早期療育とは?療育とは、障害のある子どもや、発達の遅れや偏りのある子どもに対して行われる支援です。それぞれの子どもの発達状況や特性などに応じて今現在の困りごとの解決や将来の自立に向けて支援を行います。知的発達症やASD(自閉スペクトラム症)の子どもが早期に療育を始めることで、社会的コミュニケーションの能力などが伸びるとも言われています。参考:就学前早期の自閉症児への療育介入は、社会予後を改善させる可能性|国立成育医療研究センター3歳児健診で「要観察」。療育に通うのは早い?Q:子どもが3歳児健診で「要観察」となり、療育機関を紹介されました。まだ要観察なので療育に通うのは早いのではと悩んでいます。「早期療育」のメリットなどが知りたいです。A:子どもに合った早期療育を行うことで、子どもにとって発達を促進し、困難を減らしていく可能性が高まり、保護者にとっても子どもに合わせたかかわり方が相談できるというメリットがあります発達障害者支援法においても早期支援の重要性が示されています。診断がなくても主治医の意見書によって早期から児童発達支援が受けられるようになってきました。早期療育にも個別支援や集団支援などさまざまな形態があります。子どもの発達や特性には個人差があるので、一人ひとりの子どもに合わせたプログラムが必要です。自発的、意欲的に周囲とかかわれるような環境を作り、自信や意欲、コミュニケーション能力の向上、自己選択、自己決定などを伸ばす支援を行います。子どもに合った早期療育を行うことで、子どもにとって発達を促進し、困難を減らしていく可能性が高まり、保護者にとっても子どもに合わせたかかわり方が相談できるというメリットがあります。Upload By 発達障害のキホン(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月27日星河ばよさんの長男・タロくんが3歳だったころのこと。ばよさんは保育園の先生から「療育相談センターに行ってみますか?」と告げられます。保育園でのタロくんは、ほかの園児と同じ行動ができず、自分の興味のあることしかやらない、すぐに自分の世界に浸ってしまい、集中力が続かないというのです。それは暗に、タロくんが発達障害であることを示すような内容でした。ばよさんはショックを受けますが、保育園の提案を受けてから1カ月が経ち、ついにタロくんを連れて療育センターを訪れました。そして、発達検査の結果は「発達障害の特性をお持ちです」。結果を受け、保育園には加配の先生が配置されることとなり、ばよさん親子は月に1度、療育センターに通い始めます。療育センターに通い始めた当時、タロくんは保育園の年中さん。翌年には年長さんを迎えるにあたり、センターの人から「小学校入学を見据えた療育教室が始まります」との話が。どんどんと進んでいく現実に戸惑うばよさんでしたが、それでも加配の先生や療育センターの人たちのサポートにより、少しずつ前を向けるようになっていたのです。月に1度、療育センターに通う、ばよさんとタロくん。 ばよさん親子が通う療育センターでは、子どもの課題活動が終わると、臨床心理士の先生と親との面談時間が設けられています。 保育園には息子専用の席が設けられていて… 療育教室の初日。タロくんは最後まで気分がのらず、その様子を見守っていたばよさんは、どっと疲れを感じてしまうのでした。 ばよさん親子が参加を始めた療育教室。しかし、“療育教室”という取り組みに、決まったひとつの定義はないようです。自治体が運営している機関もあれば、民間が運営している施設もあり、必ずしも「小学校入学を見据えた活動」という前提があるわけではなく、教室でおこなう活動の内容もそれぞれ。 ただ、多くの場合、療育教室に通うために必要になるのが「通所受給者証」です。これは、福祉サービスを利用するために市町村から交付される証明書。医療機関から発達障害の診断を受けていない、いわゆるグレーゾーンの場合でも、療育の必要性が確認できる書類(医師の意見書など)があれば申請可能なので、気になる方は自治体に問い合わせてみてもいいかもしれません。 >>次の話 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。著者:マンガ家・イラストレーター 星河ばよ
2023年12月14日療育手帳を取得、更新するために受ける発達検査!息子を連れて行くだけでも大変だったわが家の次男Pは知的障害を伴う自閉スペクトラム症です。初めて療育手帳を取得したのは3歳の時で、当初は「軽度」と判定されました。その2年後、Pが5歳の時に手帳の更新があり、その時には「中度」と判定されました。そしてさらに3年後の今年、Pは8歳になり2回目の更新の時期がやってきました。私は、市役所で手続きをし、発達検査を受けるためにPを連れて児童相談所へ行きました。思えば初めて療育手帳の検査を受けに行った時は、Pを児童相談所へ連れて行くというだけでも大変でした。知らない場所で、知らない心理検査員さんと発達検査を受けるのはかなり難しく、大人しく座れないし、検査もやりたいことしかしないし、分離不安もあったので、私はPの側から離れることができませんでした。5歳の更新の時も同じように大変で、Pは療育園を休んだことでルーティンが崩れ、いつもと違う雰囲気に戸惑い、ずっと泣きながら検査を受けていました。Upload By みん8歳になってから受けた発達検査は、想像以上にスムーズで……しかし今回、8歳の更新の時は前回までと違い、児童相談所へ行く前に建物の写真を見せて、ここへ行くから学校はお休みするということを伝えると、すんなりと向かうことができました。到着してからも「この先生と一緒にお勉強するんだよ。その間お母さんとはバイバイします」と伝えると、心理検査員さんと2人だけで発達検査を受けることができました。私は別室で検査が終わるのを待ちながら、Pの成長を実感していました。無事に検査が終わり心理検査員さんからも「最初から最後までずっと座って集中していて、こちらの指示通りに検査を行なってくれました」と言ってもらえて本当にうれしかったです。Upload By みん障害の等級により支援内容が変わる福祉サービス。療育手帳を取得、更新するメリットは?その後、保護者である私へのヒアリングがあり、生育歴や日常生活についての質問を受け、これらを総合的に判定した結果、A(重度)判定となりました。今回の更新で等級は下がりましたが、Pは確実に成長していてスムーズに検査を受けられたことのほうがうれしかったし、中度と重度では受けられるサービスも変わってくるので、やっと正確に判定されたことにも安心しました。重度になると税金控除の減税額も変わり、旅客運賃の減額、施設の割引など、さまざまなサービスがありますが、高速道路の割引も受けられるようになったので、車で旅行やお出かけをするのが大好きなPのために、ありがたく利用させていただきたいと思っています。支援内容やサービスは自治体によって異なりますが、療育手帳を持つことでさまざまな支援を受けやすくなります。療育手帳の取得は必ずしないといけないものではないし、取るか?取らないか?は本人や家族の考え方にもよりますが、わが家の場合は取得するメリットの方が大きいと感じています。このような制度があることに感謝しながら、これからも有効活用させていただきたいと思っています。Upload By みん執筆/みん(監修:森先生より)療育手帳の判定というのは、あくまでも「支援のために総合的に判断されるもの」であって、決して「お子さんの能力そのもの」を示すものではありません。お子さんの健全な成長のために必要なサポートをしっかりと考えて、適切な支援を受けられていて素晴らしいです。保護者の方だけでなく、自治体などの専門家の方もお子さんの成長を見守ってくれていると思うと頼もしいですね。療育手帳の取得に関して、ご家庭によってさまざまな考え方がありますが、自治体がお子さんの成長のために設けているサポート制度ですので、ぜひ有効活用してみてくださいね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年12月14日星河ばよさんの長男・タロくんが3歳だったころのこと。ばよさんは保育園の先生から「療育相談センターに行ってみますか?」と告げられます。保育園でのタロくんは、ほかの園児と同じ行動ができず、自分の興味のあることしかやらない、すぐに自分の世界に浸ってしまい、集中力が続かないというのです。それは暗に、タロくんが発達障害であることを示すような内容でした。ばよさんはショックを受けますが、保育園の提案を受けてから1カ月が経ち、ついにタロくんを連れて療育センターを訪れます。そして、発達検査の結果は「発達障害の特性をお持ちです」。結果に動揺すると同時に、ばよさんは「保育園に報告したら、私自身がタロの発達障害を認めることになる……」と葛藤します。それでも勇気を振り絞って保育園に伝えると、タロくんのために加配の先生が配置されることになったのです。発達検査を受け、その結果を保育園に報告したばよさん。以来、ばよさんとタロくんは月に1度、療育センターに通うようになります。 最初のうちはやる気があるけれど… 「その場にいられるだけでもいいんです。いられない日があってもいいんです」。 臨床心理士の先生もソーシャルワーカーの方も、保育園の先生も、ばよさん親子のことをあたたかく、前向きにサポート。タロくんの発達障害をなかなか受け入れることのできなかったばよさんですが、当時を振り返り、少しずつ、でも着実に、自身の心が溶けつつあったことに気づいたのでした。 ばよさんが「皆さんが少しずつ、私の心を溶かしていってくれた」と振り返るように、何事も一歩ずつ変化していくのかもしれません。自分ゴトとして考えてみても、特に人との信頼関係は、ゆっくりと築かれていくものですよね。 不安なときは気持ちが急いでしまいますが、皆さんにも「振り返ってみれば、少しずつ変化していたのかも?」と思えるような経験があるのではないでしょうか? 小児神経専門医の松井先生によると、今回のタロくんのように、早い時期から療育をおこなうことで徐々にいろいろなことができるようになりますが、これを“早期介入”と言うそうです。発達障害においては、早期発見、早期介入が重要とされています。 >>次の話 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修者:医師 神奈川県立こども医療センター 産婦人科 松井 潔 先生 著者:マンガ家・イラストレーター 星河ばよ
2023年12月13日星河ばよさんの長男・タロくんが3歳だったころのこと。ばよさんは保育園の先生から「療育相談センターに行ってみますか?」と告げられます。保育園でのタロくんは、ほかの園児と同じ行動ができず、自分の興味のあることしかやらない、すぐに自分の世界に浸ってしまい、集中力が続かないというのです。それは暗に、タロくんが発達障害であることを示すような内容でした。ばよさんはショックを受けますが、保育園の提案を受けてから1カ月が経ち、ついにタロくんを連れて療育センターを訪れます。そして、発達検査の結果は「発達障害の特性をお持ちです」。涙を浮かべながらセンターを後にすると、同じ育児の悩みを抱えたママ友に遭遇。互いに共感し合うのもつかの間、ママ友から「センターには行かず、民間の療育施設に通ってる」と打ち明けられ、ばよさんはまたも心細くなってしまったのです。ママ友との会話のひとときを終え、帰宅したばよさん。仕事から帰ってきた夫に、検査の結果を伝えます。 発達検査の結果は出たけれど… 保育園に検査結果を伝えるということは、自分自身がタロくんの発達障害を認めることになると葛藤するばよさん。「特性にあった関わり方が重要」という療育センターのソーシャルワーカーさんの言葉を思い出し、勇気を出して、担任の先生に検査結果を伝えました。 園長先生や主任先生の態度にはデリカシーのなさを感じつつも、ばよさんは発達検査の報告を前向きに捉えることができたのでした。 一方、ばよさんは加配の先生が配置されたことに対し、申し訳なさを感じてしまいます。「自分の子どものためだけに……」と思うと、ついつい萎縮してしまうのは、親のサガなのかもしれませんが、引け目を感じる必要はありません。 保育園や幼稚園における加配制度は、国や自治体が支援する取り組みのひとつ。厚生労働省は昭和49年、つまりは50年近くも前から、加配の推進に努めてきた歴史があります。決して“自分の子どもだけ”ではなく、多くの人たちが利用してきた制度なのです。 小児神経専門医の松井先生によると、加配制度によって子どもへのよりきめ細かい保育、対応が可能になるそうですよ。 >>次の話 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修者:医師 神奈川県立こども医療センター 産婦人科 松井 潔 先生 著者:マンガ家・イラストレーター 星河ばよ
2023年12月12日星河ばよさんの長男・タロくんが3歳だったころのこと。ばよさんは保育園の先生から「療育相談センターに行ってみますか?」と告げられます。保育園でのタロくんは、ほかの園児と同じ行動ができず、自分の興味のあることしかやらない、すぐに自分の世界に浸ってしまい、集中力が続かないというのです。それは暗に、タロくんが発達障害であることを示すような内容でした。自分の息子に発達障害の可能性があるとは思いもせず、ばよさんは大きなショックを受けます。そこに追い打ちをかけるように保育園の主任先生は、ばよさんとタロくん自身が療育センターに足を運ぶのか、それともセンターの人に保育園に来てもらうのか、畳み掛けるように決断を迫ります。 ショックに打ちひしがれるばよさんは、さらに混乱してしまうのです。 家では、そんな様子はないのに… 答えの出ない理由を探してはネット検索を続け、夜になっても考えることをやめられない……。ばよさんは、枕を濡らす毎日を過ごしていたのでした。 悩みの種は違ったとしても、ばよさんと同じような経験のある人は、決して少なくないはずです。ましてや、ばよさんにとって、息子に発達障害の可能性があるとは思ってもみなかったこと。発達障害とは何なのか、療育センターとはどのような場所なのか、あらゆる情報が氾濫したネット上に答えを求めてしまうのも仕方ありません。 しかし、ひと口に「発達障害」といっても、その特性には個人差があります。また、お子さんの発達障害に気づいたり、その可能性を告げられたりするタイミングやきっかけもさまざまなようです。 先輩ママたちの経験談は、発達障害と向き合おうとする親御さんの強い味方。一方、特性には個人差があることを忘れず、医師をはじめとする専門家が監修した情報に目を通すことも大切です。 小児神経専門医の松井先生によると、軽度の発達障害のお子さんは保育園や幼稚園で「ちょっと気になる」お子さんとして見つけられることが多いそう。発達障害の可能性があると気づいた際には、療育センター・小児科・保健師さん等に相談するのが良いとのこと。療育センターで検査を受け、療育をおこなうことで、弱い部分があっても、発達が伸びていきます。また、お子さんの苦手なところ、得意なところがわかり、家族も子どもへの関わり方がより具体的になっていくことでしょう。 >>次の話※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修者:医師 神奈川県立こども医療センター 産婦人科 松井 潔 先生 著者:マンガ家・イラストレーター 星河ばよ
2023年12月08日医師の診断を受けるため、療育医療センターへUpload By プクティわが家の長男は、4歳の時に発達支援センターで知能検査を受け、精神年齢が約2歳遅れていることが分かりました。その際、IQの数値から「療育手帳」を申請することができると案内してもらいました。療育手帳を持っていると、今後いろいろと話がスムーズに進む場合が多いとのことだったので、さっそく申請することにしました。私たちの住んでいる自治体では、療育手帳の申請には「医師の診断書」の提出が必要でした。息子のことを詳しく診てもらいたかったこともあり、すぐに専門病院である療育医療センターに診察の予約をしました。しかし、発達支援センターや療育施設と同様、療育医療センターもとても混んでいるようで、診察の予約が取れたのは、最短で3ヶ月後だったのでした……。3ヶ月待ちの療育医療センター。いよいよ診察開始Upload By プクティ3ヶ月後、待ちに待った診察の日がやってきました。どのような診察が行われるのかドキドキしながら診察室へ……担当してくださったのは男の先生でした。診察室は特に普通の病院とは変わらず、ただ部屋の隅にちょっとした畳のスペースがありました。先生とのお話中、なかなかじっと座れずだらだらしている息子を見かねて、その畳のスペースでお絵描きさせてもらえることに。おかげで、息子はお絵描きに夢中になり大人しくしてくれていたので、私たちは先生とのお話に集中することができました。Upload By プクティ先生とのお話は、事前に記載しておいてほしいと言われていた息子に関する成長の記録と、知能検査の結果を元に進んでいきました。Upload By プクティ先生は非常に慣れているようで、息子の様子を少し見ただけで即座に判断していてすごく説得力がありました……。私たちが心配していた多動も集中力も心配ないとのことで、「好きなことへのめりこむ集中力があるのだから、集中できないことに関してはまだ楽しさを見いだせていないだけ。なので、周りが興味を持てるようサポートしていくことが必要」というお話でした。医師の診断結果は・・・?Upload By プクティそして診察の結果は、IQの低さや息子の様子から、ASDやADHDの疑いもなく、診断を出すとしたら知的発達症(知的障害)に該当するとのことでした。こうして診断名も分かり、診断書もいただき、無事療育手帳の申請をすることができたのでした。執筆/プクティ(監修:新美先生より)診断名決定と療育手帳取得についてのエピソードを聞かせていただきありがとうございます。療育手帳の取得の手順や基準は、都道府県によって若干異なることがあります。プクティさんの地域では、療育手帳取得のために、療育医療センターでの医師の診断が必須なんですね。プクティさんは、診察の日を「待ちに待った」と書いておられますから、息子さんについて有用なアセスメント、診断名が分かることに期待していたのですね。診断名が分かることで、息子さんについての見通しが持てたり、手帳を取得することで受けられる支援の幅が増えるなどメリットがありますよね。診断が出ること自体を不安に思ったり、手帳の取得を迷ったりする方もおられると思いますので、プクティさんのエピソードも一つの参考にしていただければと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年11月05日年中から始まった個別療育Upload By まるついに念願の個別療育が始まった。過去に記事にも書いたことがあるのだが、去年の夏頃から個別療育に行きたいと思い、見学を始めたのだがどこも定員がいっぱいだったり、都合の悪い時間帯1コマしか空いていなかったり……。結局、個別療育を始められたのが今年の4月からだったのだ。ちなみに、夏頃に3ヶ所ほど気になる療育施設の予約を入れて、どこも1月〜3月あたりに空きが出たと連絡がきたので、気になっている療育施設がある方は早めに見学に行って予約を取ることをおすすめしたい。現在は週1回の個別療育と月2回ほどのST(言語聴覚士)の授業を受けている。ひとり親で働きながらという事情もあり、2ヶ所も通えるのかと悩んだが、療育で他人との関わり方やルールを学び、STさんに発音や言葉の引き出しの増やし方を教えてほしいと思い親子で頑張って通っている。個別療育と集団療育の違いUpload By まるUpload By まる息子が行っていた集団療育は幼児数人でリトミックをしたり、功技台(はしごや滑り台などを組み合わせて、いろいろな運動ができる室内遊具)を使って体の動きなどをサポートして教えてくれる感じだった。集団療育だとお友達との関わり方や集団行動でのルールなどが強化できる印象があるが、まだ息子が今よりも幼かったこともあり、子どもたちがお互いにあまり興味がなく、そこまで他人との関わり方を学べる感じではなかった。個別療育はそれとは違って、息子のレベルに合わせたトレーニングをマンツーマンで細かく指導してくれる。椅子に座ってお絵描きやシール貼り、先生とゲームなどをやったり、体を動かすようにボールや平均台などを使用したりもする。ちなみにSTの授業は、基本的には椅子に座って行い、物の写真やイラストを見て名称を答えるゲーム形式のもの、発音の練習、鉛筆を使ってなぞり描きなどが主になっている。現在加配保育で保育園に通っていることもあり、集団でのルールなどは保育園で学ぶことができる。ある程度指示が入るようになってきた息子にとって、とてもいいタイミングで個別療育を受ける機会に恵まれたと思っている。息子の個別療育での様子Upload By まる現在通っている個別療育では、親は別室でモニターを見ながら療育の様子を見ることができる。1時間のうち45分が先生と息子との授業、残りの15分で保護者へ本日の授業の振り返りを行う。挨拶から始まり、絵本を読んだり先生とゲームをしたり体を動かしたりして過ごしている。その一つひとつにも息子との関わり方で勉強になるなぁと感じることが多い。例えば、絵本の読み聞かせをしながら、登場人物のおじいさんは今なにしてる?の問いかけに息子は答えることができないが、おじいさんは立ってる?座ってる?の問いかけには「座ってる!」と答えることができた。先生とゲームをした後に、今のゲーム楽しかった?悲しかった?の問いかけに「楽しかったー」と答えることができた……など、私も知らない息子の言葉を引き出してくれるのだ。おもちゃの順番の貸し借りなども「リュウちゃん使ったから次先生の番だね?貸してくれる?」の問いかけにすんなりとおもちゃを渡すなど、毎回私が『おお……こんなことできるんだ……』という発見がある。もちろん場合によって不機嫌になってしまうこともあるが、これはできるけど、これはできない、と息子の反応を注意深く見てくれて、この声かけ方法なら伝わるかなど息子に合った支援に繋げてくれているので、私は息子の成長がとても楽しみになっている。参考:施設情報執筆/まる(監修:新美先生より)個別療育の実際について詳しく教えて下さりありがとうございます。個別療育と集団療育、それぞれに目的があり、お子さんの特性や発達段階、療育以外の生活環境によってどちらが適しているかはさまざまです。個別療育では、お子さんの発達段階や興味に合わせて、マンツーマンで適した活動を行ってくれるというのがなによりいいですね。ほかのお子さんなどの刺激に左右されず、お子さんのその日のコンディションに合わせて対応してもらえるメリットもあります。個別療育では環境も関わり方も、お子さんに合わせてやっていただける分、普段見られないようなお子さんのベストパフォーマンスを見られるのもうれしいですね。普段の生活にも役に立つ、お子さんに適した環境設定や関わり方などを教えてもらえるのもいいです。保護者さんとの振り返り、相談の時間が設定してある場合、ちょっとした気になることなどを気軽に相談しやすいのもいいですね。まるさんが書いていただいたように、個別の療育で、お子さんのことをよく分かって専門的にアドバイスももらえることで、お子さんの成長をさらに楽しみに思えるのは何よりよかったと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年10月18日療育手帳って?発達障害娘は取得できるの?中学1年生の娘は、4歳の時に広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)と診断されました。コミュニケーション能力が低く、情報を聞き取ること、自分の考えを口に出してしゃべることが苦手な特性があります。発達障害の診断を受けている娘ですが、療育手帳は持っていません。というより、取得することができませんでした。※「療育手帳」とは、知的障害がある人に発行される障害者手帳です。自治体によっては「愛の手帳」「緑の手帳」という名前で発行されています。療育手帳を持つことで、療育や支援をはじめとしたさまざまな障害福祉サービスを受けることができます。娘は2歳から療育畑を歩いてきました。Upload By SAKURAしかし、恥ずかしながら私は、療育手帳の存在を、娘が小学生になるまで知りませんでした。放課後等デイサービスに通うために必要な「受給者証」というものが、療育手帳と似たようなものだと勘違いしていたこともあります。Upload By SAKURA小学生になると「療育手帳持ってる?」と聞かれることが増え、「あれ?持っていないとまずいものなのかな?」と思い始めました。Upload By SAKURA療育手帳の取得方法を調べてみると……療育手帳の存在をちゃんと知らなかった私は、「取れるものなら取ろうかな」とその時は軽く思いました。Upload By SAKURAあとから知ったのですが、この療育手帳の取得は、親御さんにとって、「障害を認めたことになるようで、取得を躊躇する」ということがあるようでした。Upload By SAKURA私は、グレーゾーンの時から「早く診断名がついてほしい」と思っていましたし、療育手帳の存在は、診断を受けて3、4年経ってから知りました。躊躇することはまったくなく、前向きな気持ちでした。Upload By SAKURAそれから私は、療育手帳を取るため、取得方法を調べました。しかし、知的障害がない場合、療育手帳は取得はできないということが分かりました。※療育手帳は、各自治体によって療育手帳の取得基準や、受けられるサービスが違います。Upload By SAKURAそれ以降も、療育手帳について聞かれる場面はありましたが、「娘の場合、取れないみたいです」と答えていました。その後、娘が小学6年生の時、中学に向けて発達テストを受けることになり、テスト結果と(特別支援学級の在籍に必要な)診断書をもらうため、発達外来の受診をした時、療育手帳について確認してみると……Upload By SAKURA娘は療育手帳も精神障害者保健福祉手帳も取得はできないと言われました。やっぱり……。事前に調べていたので、確認のため……という感じの質問でしたが、帰宅後、私はふと思いました。障害者手帳が取得できない=困りごとがない訳ではないのに……Upload By SAKURAじゃあ……障害者手帳を取得できない娘は……どの位置にいるのだろうか。昔……まだ娘に診断がついていないグレーゾーンの時、発達障害なのか、そうではないのかという、中途半端な位置がとても嫌でした。その時のことを思い出しました。娘は知的障害がありません。IQも通常範囲内。しかし、しゃべれば、言葉の並びがぐちゃぐちゃだし、出てこない言葉も多い。口頭の指示は、一度では絶対に聞き取ることができないし、言われたことを覚えるのもとても苦手で、すぐに忘れてしまいます。Upload By SAKURA相手の立場になって考えることが苦手で、空気が読めないため、信じられないタイミングで、とても感じが悪いことを言ってしまうこともよくあります。自分の中の感情や、思いついた言葉を頭に留めておくことができないので、叱られているのにニヤニヤしてしまったり、一人でぶつぶつと独り言を続けてしまうこともあります。Upload By SAKURA娘は発達障害ではあるけど、障害者手帳を取得する基準にない……。今まで、手帳を持っていなくて、損したことや、受けたいけど受けられない福祉サービスがあったわけではありません。しかし、娘には、苦手なこと、困りごとが多くあります。それを証明する代わりになるような手帳は、持たせてもらえないのか……と思いました。知的障害がなくても、困っていないわけではありません。どうやってもできないことがあります。娘が大きくなった時、コミュニケーション面でなにか困ったら……。Upload By SAKURAなんてことにならないか……。考えすぎかもしれませんが、言葉で説明できない娘が心配になりました。知的障害がなくても、困ってること、助けて欲しいことはあります。日常生活に支障をきたすほどのパニックがなくても、冷静に対応できるわけではありません。そのことを証明するような……それぞれの特性や、困りごとにそった手帳があるといいのになーと思います。執筆/SAKURA(監修:新美先生より)療育手帳取得にまつわる、いろいろな思いを聞かせてくださりありがとうございます。あまりいいことではないと思いますが、療育手帳や精神障害者保健福祉手帳の取得基準については、地域による違いがあったりして、なかなかコメントがしにくいところがあります。多くの自治体において、療育手帳は原則として知的障害のある方が対象ですが、地域によっては発達障害がある場合、知的障害の基準が緩和されることもあるようです。知的障害を伴わない発達障害の方の場合、コラム内の漫画にも書いてありましたが、精神障害者保健福祉手帳が取得できる場合があります。これについても地域による基準がまちまちだったり、時代によって変化してきていることもあります。発達障害特性があって、生活面で何らかのサポートが必要な場合、精神障害者保健福祉手帳は取得できる可能性は十分にあります。一般的に、義務教育年代は、障害者手帳がなくても多くの福祉サービスは、コラムにあったように受給者証があれば利用できることが多いので、必要性をそこまで感じないかもしれません。ですが義務教育年代以降、福祉サービスを利用するためには、障害者手帳が必要になる場面が多くなります。こうしたことから義務教育年代を主に担当する支援者が精神障害者保健福祉手帳の取得は重度なケースのみと認識している地域でも、成人期にはもう少し柔軟に取得できる幅が広がるということもあるかもしれません。この先義務教育年代以降、就労などにあたって、精神障害者保健福祉手帳があったほうがいいと考える場合は、改めて地域の相談窓口等に当たってみてもいいかもしれません。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年10月04日家族の休日の過ごし方が豊かに!困りごとも解消!Upload By べっこうあめアマミ私の息子は重度知的障害として、東京都から「愛の手帳」の2度の判定を受けています。「愛の手帳」というのは東京都が交付する療育手帳の呼称で、障害の程度を示す等級は、・軽度4度・中度3度・重度2度・最重度1度となっています。「A1」「B1」などとアルファベット付きの等級名を使う地方自治体が多いことを考えると、少しめずらしいかもしれませんね。息子が初めて手帳を取得した年長の時は中度の3度でしたが、小学校入学後に再度判定を受けに行くと、重度である2度になっていました。就学前の就学相談の時点で教育委員会から「重度知的障害」と言われていたので、最初に判定を受けた時は幼かったのもあり、少し軽めに判定されたのかもしれません。手帳の等級が重くなればなるほど、受けられるサービスは手厚くなります。特に私の経験上、中度から重度に変わるところで、支援内容が大きくランクアップしたように感じました。中度の手帳を持っていた時から手帳の便利さは感じていましたが、重度判定の手帳をもらって、その存在感はより大きくなったからです。息子を含めた家族の毎日が、以前より過ごしやすくなり、困りごとの多くが解消されたと感じています。具体的に何が助かっているの?Upload By べっこうあめアマミ療育手帳を持っていると助かるとか、いろいろなメリットがあるという情報はよく出回っていますが、具体的に何がどう助かっているのか?イメージしづらい人もいると思います。なぜなら、療育手帳制度は地域差が大きいので、インターネットで調べても具体的なことは断定しづらいからです。そこで、あくまでわが家の息子が利用しているサービスや支援について、具体的にお伝えしたいと思います。実際に手帳で受けられるサービスは、分厚い冊子1冊で語られるほど種類が多く、対象者の規定も細かいです。そのため、その全てを理解し、利用するのはかなり難しいのではないかと思います。本人の年齢や家庭環境によっても必要な支援やサービスは変わるでしょう。あくまで一例ではありますが、小学生の息子がいるわが家が今、「これは助かる!」と思って利用しているサービスのみに絞ってお伝えしたいと思います。息子が、私たち親の代わりにヘルパーさんに付き添ってもらって外出する、移動支援の利用。そして、夜間の宿泊込みで息子を預かってもらう短期入所の利用。これらは手帳とは別にそれぞれ受給者証の取得も必要になりますが、非常に助かる福祉サービスです。移動支援も短期入所も施設を探すハードルが高く、利用までは時間がかかりますが、障害がある子どもの付き添いや預け先を確保しておく安心感ははかりしれません。手帳を提示すると、駐車場料金が無料になる都立公園は非常に多いです。公園以外でも、都立のレジャー施設の入場料などが同伴者含め無料になったり割引になったりします。民間のレジャー施設の入場料も手帳の提示で割引になることが多いため、休日のお出かけに手帳は必須の持ち物です。知的障害や発達障害などがある子どもとのお出かけでは、レジャー施設に行っても何かしら本人にひっかかるところがあって入れなかったり、癇癪を起こして早々に出ることになる場合もあるでしょう。しかし、入場料が無料であれば、親としても気軽に「行ってみようか」と誘えますし、無理せずサッと帰ったり、何度も入りなおしたりできるのが非常に助かります。・タクシー券の配布(重度から)※所得額などにより支給制限があります・駐車禁止等除外標章の交付(重度から)・都営地下鉄、都営バスなど都営交通の利用料が無料・有料道路の通行料金割引(ETC利用も)・JR、私鉄の旅客運賃の割引などの移動の際に使えるサービスも助かります。これらのサービスは、レジャー施設と同じように、本人の気分が乗らなければサッと移動しようというフットワークが軽くなるのがうれしいところです。駐車禁止等除外標章をもらえると、いくつかの定めに沿った場所であれば路上に車を停めておけるので、子どもの送迎などの際に助かります。東京は駐車場が少なく、学校、放課後等デイサービス、福祉施設や病院も駐車場がないところがほとんどなので、持っておくと特にありがたみを感じます。手帳を持っていると、等級に応じてさまざまな手当を申請できます。所得制限の基準などもあり、必ずしももらえるとは限りませんが、何かとお金がかかる障害児育児を金銭面で助けてくれます。自動車税や軽自動車税の減免や、所得税や住民税の障害者控除などが受けられます。どこまで受けられるかは障害の等級によりますが、手帳を取得したなら申請しておくに越したことはありません。注意!手帳は地域差が大きい&障害の程度でサービス内容が大きく変わるUpload By べっこうあめアマミここまで療育手帳について詳しく書いてきましたが、ここで書いているのは、あくまでわが家の息子の場合です。具体的には、東京都が交付する療育手帳、「愛の手帳」の2度(重度)判定で受けられる支援やサービスの中で、息子の家庭環境や状態に適応しているサービスです。そして、わが家もすべてのサービスを利用しているわけではなく、必要なものを選択して利用しています。療育手帳の運用は地方自治体に任されているため、先にもお伝えした通り、療育手帳は障害者手帳の中でも特に地域差が大きいです。そのため、すべての地域で同様のサービスが保証されてはいません。その上、障害の程度によっても状況は全く変わります。ただ、おおまかな内容は似ていると思うので、「こんなことはできるのか?」と気になることがあれば、ぜひご自分の地域の障害福祉課などにお問い合わせください。手帳がないと、障害児育児はより一層ハードモード…持っていて損はないUpload By べっこうあめアマミちなみに、はじめて息子の手帳を取得した時は、不覚にもショックで涙した私でしたが、重度判定を受けた時は特に何も出てこず、無の感情でした。しかし、「実際の障害の程度は重度なのに受けられる支援は中度」なんていう不条理な状況を脱することができたことには心底安心しました。もちろん、両手をあげてバンザイ!と言えるほど喜べるわけではありませんでしたが、今以上に障害児育児が楽になると思うと、それは喜ばしいことだったのです。とはいえ、障害の等級が重くなったことに変わりはありません。息子が重度判定を受けた日、なんともいえない複雑な空気で児童相談所をあとにした私たち。そんなモヤモヤを察した夫が、「じゃあ景気づけに焼肉行こう!」と言って空気を変えてくれたのがなんとなく救いでした。夫の一声で、家族みんな楽しくわいわいモードになり、ポジティブな気持ちで一日を締めることができました。その後の毎日も、息子が重度判定になって受けられるようになった支援を存分に使って生活しています。障害児育児は大変です。でも、手帳を持っていないとその毎日はより一層ハードモードになるでしょう。少しでも負担を減らして生きていくために、使えるものは使ったほうがいいんじゃないか、手帳は持っていて損はないものなんじゃないかというのが、私の気持ちです。執筆/べっこうあめアマミ(監修:初川先生より)療育手帳の活用法を具体的にシェアしてくださりありがとうございます。手帳取得をめぐっては葛藤を感じられる方も多いので、手帳取得の思い、判定が変化した際の思いも含めて聞かせていただき、とても参考になりました。さまざまなサービスを受けられるからぜひ取得したらとすすめられることが実際には多いのではと感じますが、アマミさんが書かれていたようにお子さんの気分が乗らない、癇癪を起こしたなどでも、心の面からしてもさっと引き上げられるというメリットがあるのですね。さまざまなところでお子さんにとって良い経験をさせてあげたいと思って外出されたり、療育や通院で必要に迫られて移動したりする際に、移動(交通費、駐車料金)や入場料などの負担が少ないのは長期的に見て、また外出しようという行動を維持しやすいですね。実際の活用法は自治体によって、障害の度合いによっても違うと思います。お住まいの自治体の障害福祉課にまずは話を聞きに行くところから情報収集していだければと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年08月23日「手帳は持っていますか?」何のことか分からずポカーン…初めて知った療育手帳の存在私が初めて療育手帳の存在を知ったのは、息子が3歳のときでした。引っ越し先の発達支援センターに、療育を受けたいと相談しに行ったところ、相談支援員の先生から、サラッと「手帳は持っていますか?」と聞かれたのです。先生は、何てことない質問の1つとして聞いただけのようでしたが、当時の私が「手帳」という言葉で連想するのは「スケジュール帳」。あまりピンとこず、ポカーンとしてしまったのを覚えています。息子は1歳半から発達相談に行っており、2歳から療育にも通っていたため、引っ越し前の自治体でも発達支援センターには何度も足を運んでいました。しかし、引っ越す前の自治体では、どこにも私に療育手帳の存在を知らせてくれる人はいなかったのです。このように対応に差があったのは、息子の年齢が幼かったこと、自治体ごとの方針の違いなど、理由はいろいろあったのだろうと思います。しかし私はその日、療育手帳にまつわる多くの福祉関係の情報を、一気に知ることができたのです。引っ越し先の自治体の発達支援センターの相談支援員さんからは、「息子さんくらいの発達の遅れだと、療育手帳がとれないことはないと思う」とはっきり言われたのを覚えています。そのくらい、息子の発達は遅れていました。しかし、すぐに療育手帳の取得を決めることもできず、とりあえず保留の状態で数ヶ月を過ごしました。Upload By べっこうあめアマミ療育手帳って何?取得するメリットは?療育手帳は、3種類ある障害者手帳の中の1つです。障害者手帳は、・身体の機能に一定以上の障害がある人が取得できる「身体障害者手帳」・知的障害のある人が取得できる「療育手帳」(名称は自治体によって違うことがあります)・一定の精神障害の状態にある人が取得できる「精神障害者保健福祉手帳」(発達障害も対象になります)の3種類あります。息子が取得を検討していたのはこのうちの「療育手帳」でした。療育手帳制度は自治体ごとに運用しているので、取得の流れや等級の判定基準、名称、受けられる支援など、地域差が大きいです。しかし、いずれにしろ、取得しているとさまざまな福祉サービスを受けられることに変わりはありません。療育手帳を持っているかどうかで線引きされてしまうので、同じくらいの困りごとを抱えていても、持っているかどうかで受けられる支援に大きな差が出てしまうのです。そのため、療育手帳を取得するメリットは大いにあると思います。療育手帳のデメリットとは?Upload By べっこうあめアマミでは、逆に療育手帳を取得するデメリットはないのでしょうか?実は、私は息子が療育手帳を取得することになかなか踏ん切りがつかず、「療育手帳の情報を得たい」と言いながら、デメリットを探しにいっていたような時期がありました。しかし、どんなに探しても、療育手帳を取得することにこれといったデメリットはなかったのです。しいて言えば、「息子の障害を認めること」。これに尽きると思います。療育手帳を持っていることは自分から言わなければ誰にも知られませんし、使わなければ提示を求められることもありません。しかし、公的に「障害者」だと証明されることに違いはないのです。ですから、手帳の取得に躊躇してしまうのは、主に気持ちの問題かと思います。息子に障害の診断が出たときが、手帳取得のきっかけになったUpload By べっこうあめアマミすぐには息子の療育手帳の取得に動き出せなかった私ですが、その年の12月、息子が4歳になったとき、きっかけになる出来事がありました。息子が、発達検査で医師から正式に、「知的障害を伴う自閉スペクトラム症」と診断されたのです。息子が1歳の終わりころから通っていた病院の主治医の診断でしたし、私も薄々、「何もないわけではないだろう」とは思っていました。しかし、まだどこかで「障害」という言葉を受け入れられない自分がいたのです。それが、白黒はっきりしてしまいました。当時はものすごく落ち込み、将来への不安で頭がいっぱいになりました。しかし、ちょうどときを同じくして、私には同じ療育に通う、息子と同じような障害がある子どもを育てるママ友ができたのです。同じ立場にある仲間と過ごす時間の中で、自然と気持ちも和らいでいきました。さらにママ友同士で話す中で、私が躊躇していた療育手帳も、意外とみんな持っているんだということも知りました。このように、私はタイミングよく人に恵まれて、幸運だったと思います。ショックが大きかった障害の診断も、「息子に知的障害があることは変わらない事実なのだから、息子のためにできるだけのことをしよう」と切り替えられるようになりました。そして、療育手帳の取得に向けて、前向きに検討しだしたのです。療育手帳が手元に届いた日、突きつけられた現実に涙「息子は障害者なんだ」Upload By べっこうあめアマミ息子に障害の診断が出てから約4ヶ月後の4月、ようやく私と息子は療育手帳の判定を受けに、児童相談所に行きました。療育手帳は、18歳未満の子どもの場合は児童相談所で発達検査や診断などを受け、取得の可否や障害等級の判定がなされます。私も児童相談所に予約を取り、指定された日に息子と一緒に出かけました。息子はその日の時点で「中等度知的障害」を示す等級で、療育手帳の交付の判定を受けました。息子に知的障害があることは、すでに知っていたことです。そのため、私もその日はそこまで落ち込まずに帰ったのですが、その後、意外な感情の起伏がありました。療育手帳はその場でもらえるわけではなく、判定を受けてしばらくしてから自宅に届きます。児童相談所に行ってしばらくたったある日、わが家にも息子の療育手帳が届きました。すると、初めて息子の顔写真が載った実物の療育手帳を見たとき、私の目からふいに涙がこぼれたのです。頭では分かっていても、実際に手にすると、「息子は障害者なんだ」という現実を突きつけられたようで、複雑な気持ちを抑えきれなくなってしまったのを覚えています。手帳の取得に後悔はゼロ!息子と私たち家族を助ける後ろ盾のような存在息子は今8歳になりました。特別支援学校に通う小学3年生です。障害の診断が出て、療育手帳の取得を決め、手元に届いた療育手帳に涙した日はもはや4年前。今の私たち家族の生活にとって、息子の療育手帳はなくてはならない存在です。療育手帳によって受けられる福祉サービスで、息子も私たち家族も、安定した生活を送ることができています。療育手帳の取得に迷ったこともありましたが、今の私がはっきり言えるのは、「療育手帳の取得に後悔はゼロ!」だということです。もし、少しでも手帳に興味がある方がいたら、まずは自治体の障害福祉課や、発達支援センターなどに問い合わせてみてください。このコラムが、誰かの困りごとを少しでも減らす後押しになったらうれしく思います。執筆/べっこうあめアマミ(監修:藤井先生より)療育手帳は、療育などの児童発達支援を受けている方の全てが取得しているわけでもないので、ご存知ない方も多くいらっしゃいます。べっこうあめアマミさんが、療育手帳について書いてくださったことで、取得に迷われている方や、知らずに福祉サービスが受けられないと困っている方にとって、後押しになったと思います。ありがとうございます。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年07月23日■前回のあらすじ保護者面談での園長先生の言葉から退園を促されていることを理解したが、だからといってすぐに受け入れることはできず…。結論が出ないまま面談は終了するが、帰宅後夫婦で相談し退園を決意するのだった。■転園先探しがスタート■転園先が決定!最後は駆け足で描いてしまいましたが、幼稚園を退園し新たに保育園に通うことになりました! 今のところ問題もなく本人も楽しんでくれてるのでひと安心しています。ここまで読んでくださりありがとうございました! 今後も引き続き温かく見守ってくださる方がいらっしゃればとても嬉しいです。次回に続く「幼稚園辞めました」(全5話)は12時更新!
2023年07月19日■前回のあらすじ単身赴任中の夫に、ゆいが軽度知的障がいで療育手帳の取得を勧められたことを報告。すると夫は「様子見でいいんじゃない?」と言うが、ゆいが高学年であることが引っ掛かり…。■もう少ししたら追いつく!?■長女のために私たちがすべきこと様子見にしたい気持ちはわかる。障がいを認めたくない気持ちも…。でも、私たちがそういう気持ちを乗り越えて行動できたら、ゆいが生きやすくなると思ったのです。次回に続く「療育手帳を取得した話」(全38話)は12時更新!
2023年06月28日■前回のあらすじ検査結果によると、ゆいは実年齢より2歳ほど発達の開きがあるそうで、療育手帳の取得を勧められる。これまでの対応に後悔する中、「この結果を見てどう思われますか?」と問われるが混乱して答えられず…。■ADHDや場面緘黙は?■障がいについては…?実年齢に比べ発達に開きがあることはわかったものの、私が調べて疑ったADHDや場面緘黙については児童精神科などを受診しないとわからないとのこと。では一体、療育手帳は何を証明するもので、何に使えるものなのか?調べると「知的障がいが判定された方に発行される手帳」と書かれていて、私はショックを受けながらも、これからのことをちゃんと考えねばと思うのでした。次回に続く「療育手帳を取得した話」(全38話)は12時更新!
2023年06月25日■前回のあらすじ発達検査の日。緊張した表情のゆいを見て、検査に答えられるのか不安になる。その後は保護者のヒアリング。そこには現状を伝えながらも、少しでもフォローを入れてしまう自分がいた。そして検査結果が…。■長女、緊張してる!■次は保護者のヒアリング成績が気になって勉強系の習いごとをさせていたけれど、まず検査をやるべきだったんだ…。いつか本人にやる気が出たら変わるものだと思っていたのです。検査結果を受けて意見を求められましたが、状況を受け入れるのが精一杯でした…。次回に続く「療育手帳を取得した話」(全38話)は12時更新!
2023年06月24日こんにちは、吉田いらこです。今回のお話は、長女ゆいが療育手帳を取得するまでのお話。私の不勉強と配慮のなさに腹立たしく思われることもあるかと思いますが、お付き合いいただければと思います。■申請したものとは?■ついに取得しちゃった…療育手帳とは、児童相談所または知的障害者更生相談所において、知的障害があると判定された方に交付される手帳。取得すれば、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスや、各自治体や民間事業者が提供するサービスを受けることができます。その療育手帳をどのような経緯で取得することになったのか。私の体験談をお届けします。次回に続く「療育手帳を取得した話」(全38話)は12時更新!参考: 障害者手帳について/厚生労働省
2023年05月31日療育手帳(愛の手帳)とは?「療育手帳」とは、知的障害がある人に発行される障害者手帳です。療育手帳を持つことで、療育や支援をはじめとしたさまざまな障害福祉サービスを受けることができます。療育手帳の判定基準等の運用方法は「療育手帳制度について(昭和48年9月27日厚生省発児第156号厚生事務次官通知)」というガイドラインに基づき、各自治体に委ねられています。そのため、各自治体により療育手帳の区分や判定基準、受けられるサービスなどが異なります。また、療育手帳には交付から一定期間後に再判定・更新などがあります。再判定・更新期間も自治体により違います。具体的な内容が知りたい場合には、それぞれの市区町村の福祉担当窓口に問い合わせるのが良いでしょう。療育手帳制度について|厚生労働省療育手帳は取るべき?取得のきっかけや、取得で変わったことは?発達ナビ会員に療育手帳についてアンケートを取りました!発達ナビでは2023年3月27日から4月9日の期間、「『療育手帳』取得していますか?療育手帳について知りたいことなどエピソードを大募集!」として療育手帳についてのアンケートを実施しました。結果は「療育手帳を取得している(41%)」「療育手帳を取得していない(取得する予定がない)(39%)」と僅差で「療育手帳を取得している」方が多い結果となりました。また、「療育手帳を取得したかったができなかった」という方も19%と数多くいらっしゃるようです。参考:『療育手帳』取得していますか?療育手帳について知りたいことなどエピソードを大募集!(アンケートは終了しています)Upload By 発達障害のキホン5歳?4歳?で取得。IQ74(田中ビネー)8歳で更新。(夢野途中さん)支援級の先生から、学校での様子を書いてもらった手紙と検査中の様子から低学年の今は、必要な支援を受ける上でも取得した方が良いと判断され小1で取得。(さぁしぃとゴリラままんさん)療育園に通う事になってすぐ、取得しました。そちらでSTを選択していて、心理は併用不可だった為、検査は出来ずでしたが、取得の際に検査するので、目安になって良かったです。(りるるさん)就学や療育のタイミングなど、必要な支援を受けるために療育手帳を取得される方が多いようです。IQが規定を超えているので取得できなかったと思われます。(二年前)今年は、精神障害者保健福祉手帳を申請するべく、療育園の主担任、及びリバビリの先生方、主治医と4月末に合同面談予定です。(対策を話し合います。)(hisaeさん)発達外来で、取得出来ないと言われました…。IQが取得するには高すぎるとか…。実際困っているのは事実なんですがね…と。(しのっぺさん)2歳のときに一度取得。ですが、IQが上がったことで5歳で対象外となり、返納となりました。重度の自閉症ですので、「支援がなければ生きていけない」と、小2のときに精神障害者保健福祉手帳を取得しています。(中略)手帳があることで、たくさんのチャレンジが可能になりましたし、学校等へ合理的配慮を申し出るときも「手帳の威力」というのを痛感しました。(あまだれさん)療育手帳を取得できなかったという意見の中では「IQが高く、対象外だった」という方が多いようです。あまだれさんのように、知的な遅れがなく、発達障害の診断がある場合には、「精神障害者保健福祉手帳」の取得を早めに検討したほうがいいのでしょうか?行政書士の渡部伸先生に伺いました。A:知的障害を伴う発達障害の場合は、療育手帳の対象となることがあります。知的障害を伴っていない発達障害の場合は「精神障害者保健福祉手帳」が対象になることが多いです。療育手帳の申請には申請には医師による診断書は不要ですが、精神障害者保健福祉手帳申請の場合には医師による診断書が必要となりますので、詳しくはお住いの市町村にお問合せください。Upload By 発達障害のキホン心理士さんから療育手帳の提案をされました。今まで発達検査や診断をされていませんが、私自身は知的障害があると思っています。でも、療育手帳を取得する勇気というか決断ができません。(キビドラさん)療育手帳を取得するとさまざまなメリットがありますが、心理的な面で取得を悩んでしまうことも少なくありません。療育手帳は知的障害があるからといって必ず取得しなければならないものではありません。また、取得した場合もその後返納することも可能です。受けたい支援やサービスをふまえて取得を検討されるのが良いと思います。ここまではアンケートの結果や、アンケート結果にまつわるQ&Aを紹介しました。ここからは療育手帳についての気になる疑問を、先のQ&Aと同様に行政書士の渡部伸先生に伺いました。Q:「愛の手帳」「愛護手帳」なども療育手帳?なぜ名前が違うの?全て「療育手帳」となりますが、名称が違うのは、ほかの障害者手帳とは異なり、法で定められておらず、「療育手帳制度について(昭和48年9月27日厚生省発児第156号厚生事務次官通知)」というガイドラインに基づいて各自治体が発行しているからです。自治体により制度が違うんですね。「愛の手帳」は東京都、「愛護手帳」は青森県と名古屋市の療育手帳の名称になります。Q:療育手帳の対象は?取得に年齢やIQは関係ありますか?後天的な事故などではなく、18歳くらいまでに知的障害と診断を受けた方が療育手帳取得の対象となります。ただ、18歳までに申請しなければいけない訳ではなく、18歳をすぎてからでも申請は可能です。基準IQは知的障害と診断される70~75前後となりますが、取得についての判断基準は自治体によって違います。Q:療育手帳の区分と判定基準は?IQで変わりますか?B1とB2の違いは?例えば、千葉県などはIQ21以上35以下をAの1、IQ36以上50以下で身体障害者手帳を所持しているとAの2、IQ36以上50以下をBの1、IQ51以上75以下をBの2と区分しています。参考:千葉県療育手帳制度実施要綱東京都などはIQのほかに、年齢に応じた社会性、日常の基本生活などを総合的に判定し、1度(最重度)、2度(重度)、3度(中度)、4度(軽度)の4つに区分されています。参考:愛の手帳|東京都福祉保健局Q:療育手帳と障害者手帳の違いってなんですか?身体障害者手帳は視覚障害、聴覚障害、肢体不自由など身体障害者福祉法に定める身体上の障害がある人に交付される手帳、精神障害者手帳は総合失調症、うつ病、薬物依存症、高次脳機能障害、てんかん、発達障害などなんらかの精神障害のある人に交付される手帳です。Q:療育手帳を取得するメリットってなんですか?療育手帳を取得することで保育・教育面での援助や就労に向けての支援、各種サービス・割引を受けられます。また、税の減免や控除など税制上の優遇措置が受けられます。・保育、教育:自治体によっては保育園の入園の優先度が高くなったり、特別支援学校への入学の際の証明書になったりなどします。・就労支援:特定求職者雇用開発助成金、障害者トライアル奨励金、障害者雇用奨励金などの支給対象者にもなるので、障害者雇用枠や特例子会社で就職が可能になり、就労の可能性が広がります。・各種サービス、割引:交通機関(電車・飛行機・バス・タクシー・高速道路など)の割引やNTTふれあい案内という無料の電話番号案内の利用、博物館、美術館、動物園、水族館、その他レジャー施設なども割引のサービスを展開しているところが多くあります。療育手帳についての関連コラムはこちらコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月22日娘は言葉が遅い?…でも1人目が未だに喋らないので「普通」が分からないUpload By べっこうあめアマミ娘の発達に関しては、これまで特に健診等で問題を指摘されたことはありませんでした。1歳から保育園に通っていましたが、4歳の今まで、園側からも何か娘の発達について指摘されたり、療育を勧められたりしたことはありません。しかし、私は上の子どもに重度知的障害があることから、いわゆる「普通の子どもの成長」がいまいち分からず、娘の発達が本当に問題なく進んでいるのか、ずっと心配でした。私が娘の発達で何に一番ひっかかっていたかというと、言葉の発達が遅いことでした。娘は、身体の発達状況は定型発達の範囲内で、対人関係でも気になる点はなく、これといった問題行動もありません。成長していくにつれ、身の周りのことも人並みに自分でできるようになっていきましたし、息子と比べると、驚くほど成長が早いようにも思えました。しかし、唯一言葉の発達においては、同年齢の子どもたちよりぎこちない気がしていました。そして、それを決定的に感じる出来事があったのです。これはなんとかしてあげたい...!娘を療育につなげたいと思ったきっかけUpload By べっこうあめアマミ娘が2歳のある日、保育園にお迎えにいくと、玄関で娘のクラスのお友だち数人と一緒になりました。人懐っこい娘はお友だちに何か話しかけていましたが、話しかけた女の子にバッサリと「〇〇ちゃん、なにいってるかわかんない!」と言われてしまったのです。正直、娘が何を言いたかったのかは私にも分かりませんでした。私が分からないということは、2歳の女の子にも分からなくて当然です。しかし、女の子に言われた言葉を受け、しゅんと下を向いて静かになってしまった娘を見て、私はいたたまれない気持ちになりました。このことがあって、やはり娘の言葉の力をもう少し底上げして、お友だちとスムーズにコミュニケーションがとれるようにしてあげたい。娘がこんな風に悲しい思いをしなくてすむように、なんとかしてあげたいと思うようになりました。こんなとき、私の頭にパッと浮かぶのは、息子が通っていた発達支援センターです。発達支援センターは私にとって馴染みの場所だったので、先生たちも娘のことは赤ちゃんのころから「妹ちゃん」としてよく知ってくれていました。こうして私は発達支援センターに相談し、それからは娘のことで時々通うようになりました。かつて息子が通った療育施設、でも娘と息子で療育内容は全然違うUpload By べっこうあめアマミ娘は最初の1年間は、年齢や必要度などの関係から集団療育は勧められず、発達相談と個別療育での対応となりました。数ヶ月に一度発達支援センターに行き、先生に娘の様子を見てもらいながら一対一でいくつかの課題をして、最後にその日の振り返りの面談をします。その中で、やはり娘は言葉以外の日常生活のことはちゃんとできているけれど、実年齢に比べて言葉の面で遅れがみられるため、丁寧に見ていったほうがいいと言われました。具体的には・語彙が少なく、ものの名前の認識が弱いので「これ」「それ」などの便利な言葉を使いがち・言葉を違う意味で捉えていたときに修正するのが難しく、何度も伝える必要がある・数字は言えるけれど、概念としての把握はできていないなどの課題が挙げられました。これらの課題を克服していくために、年少になる次の1年はもう少し頻度が多い、月2回の集団療育に通うことになったのです。ここで、息子の療育を振り返ってみます。息子の場合は、後に重度知的障害と診断されるほど明らかな発達の遅れがあったので、療育の主な目的は身辺自立でした。必然的に療育の頻度も多く、週の半分くらいは通いました。療育の内容も、言葉を交わさなくても気持ちを伝えられることや、身辺の自立を生活の中で少しずつ進めていくことが主な目的で、発語がないお子さんも多かったです。幼稚園や保育園には通っていないお子さんもいましたし、子どもたちにとって安心できる居場所としての意味合いも大きかったように思います。対して娘の療育のクラスは頻度も少なく、あくまで生活の中心は保育園でした。保育園では学びきれないことを補う形の、お勉強や習い事に近い療育だったように思います。娘の集団療育のクラスに通うお子さんはみんな、ぎこちなさがあっても話すことができましたし、机を前に椅子に座って課題に取り組んだり、集団でルールのある遊びをしたりしていました。娘と息子、2人の療育を見てきて、ひとことで「療育」といっても本当に幅広いと感じたものです。1年が経ち、目覚ましい成長を見せた娘、療育は卒業?Upload By べっこうあめアマミ今、娘は4歳となり、この春には年中になります。1年間の集団療育を経て、大きな成長が見られました。まず、この1年でたくさんの言葉を覚え、一気に語彙が増えました。時々「そんな言葉どこで覚えたんだろう?」と思うほどです。これまで勘違いして捉えていたと思われる物の名前や言葉の意味も、かなり修正されていったように思います。そして、以前はただ数字を唱えられるだけだったのが、小さい数字なら量の把握ができるようになりました。ごはんのおかわりなどを「1たべたい」「2ほしい」などと量を指定して求めたり、みかんを1房ずつはがしてテーブルに並べ、1つずつ数えて「ぜんぶで10こ!」などと教えてくれるようになりました。このように、数字や言葉の概念の把握が進んだことで、娘との会話が成立しやすくなったと感じています。今でも会話の中で、伝えたいことがはっきり分からないことは多々ありますが、1年前と比べると確実にステップアップしていると思います。言葉が上手に扱えるようになって、お友だちのことも家でよく話してくれるようになりました。保育園生活にプラスし、細かい専門的な指導を療育で補えたことで、めざましく成長できたのかなと思います。療育のハードルはそんなに高くない、「ちょっと気になる」くらいの子どもこそ飛び込んでみては?療育になんとなく抵抗がある人の中には、「一度療育の世界に入ったらやめられない」と思う人もいるかもしれません。でも、娘はこの1年間の成長を受け、来年度は今の療育とは別の形での支援を勧められています。今より頻度を抑えた、数ヶ月に1度の発達相談と個別療育のスタイルに戻り、もっと保育園中心の生活にしていくことを提案されています。娘の今後はまだ分かりませんが、このような形で徐々に療育を卒業していく人だってたくさんいると思います。療育にはさまざまな種類がありますし、障害の有無だけで必要か不要かを判断できるものでもありません。そして、重度の障害がある息子と、障害というわけでもないけれど発達の遅れがあった娘、2人を療育に通わせて思うのは、娘のような「ちょっと気になる」くらいの子どものほうが効果が見えやすいということでした。どちらも確実に成長はしていますが、もともとの成長速度のベースが早い分、娘の成長のほうが分かりやすかったように感じます。療育はどこも待機が多く、必ずしも入れるとは限りませんが、あまりハードルを高く考えず、ちょっとでも気になることがあれば飛び込んでみるのもいいかもしれません。執筆/べっこうあめアマミ(監修:鈴木先生より)療育とは、「心と科学」です。優しい心で接してあげて最新の正しい知識を持った人々が担当するので、安心してお子さんを預けることができるのです。障がいの有無にとらわれず、困ったことがあれば遠慮なく利用したほうがいいと思います。それと同時にかかりつけの小児科医にも相談するのがいいでしょう。何かの病気が隠れていて言葉が遅れている可能性もあるからです。発熱などで混んでいる小児科外来で気軽に相談するのは難しいかもしれませんが、知識のある先生ほどきちんと話を聴いてくれます。障がいのあるお子さんだけでなく、そのご家族やきょうだい児の事情も気遣って日々診療したいと心がけています。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月24日良いことだらけと聞いていた療育手帳Upload By カタバミ療育手帳を取得するということに身構えてしまう方は多いと思います。でも私は、まちゃが2歳10ヶ月で正式に自閉スペクトラム症と診断されてから週に1回発達センターで療育を受けつつ、発達障害のあるお子さんがいる友人がSNSで「療育手帳を取得したら良いことがたくさんある」と発信しているのを読んでいました。でもそのときはまだ発達障害に関して、特に制度に関することは分からないことだらけで「療育手帳というものがあるのか」とぼんやりとしか分かっておらず、すぐにまちゃに療育手帳を取得させようとは思っていませんでした。思い返すと、発達センターにも通い始めたころで、これからメキメキと成長するかもしれないと考えていたと思います。療育手帳と受給者証って何?Upload By カタバミ2歳の後半から週に1度、まちゃは発達センターで少人数での療育を受けるようになり、私は療育に集まるお子さんたちが児童発達支援事業所というものにも通っていることを知りました。そして児童発達支援事業所に通うには受給者証というものが必要だということも教えてもらいました。児童発達支援事業所に通うには必要なものがあることがだんだん分かってきたころ、まちゃの2歳年上のお姉ちゃんの幼稚園の同じクラスにきょうだいに障害のあるお子さんがいるママがいて、お話をする機会があり、思い切って質問をしたら受給者証と療育手帳の取得についてとても丁寧に分かりやすく説明してくれました。また同じころにほかのママが「療育手帳を持っていると利点がたくさんある」と話しているのも聞きました。私はまずは受給者証がほしかったのですが、療育手帳についても持っていた方がまちゃのためになると聞いていたので、療育手帳の取得と受給者証の取得を同じ時期に決心しました。取得のための相談窓口というところに緊張して電話をしたら、いつもの発達センターにつながったのでホッとして脱力したのを覚えています。すぐにまちゃの担当の臨床心理士に話がいき「まちゃくんなら取得できるだろう」と言われて、許可が必要だったのかと意外に感じたことも覚えています。児童相談所での発達検査Upload By カタバミ療育手帳の申請をしてから約2ヶ月後に児童相談所で発達検査がありました。まちゃと同室か別室で待つか聞かれて私は同室を選びました。優しい声の若い女性が問題を出してくれたせいかまちゃはリラックスしていて、パズルの問題などは前のめりになって考えて応じていました。しかし「これをこうしてください」など、言葉で説明される問題に入った途端、まちゃは困ったようなはにかんだ表情になりました。このころは今よりもっと発語もなかったため、私にはしゃべることができないまちゃが『問題を解きたいんだけど、何を言ってるのか分からないよ〜』と言ってるように見えました。まちゃは機嫌も悪くなく、やる気もあるけど本当に分からないようで、そこからあとの時間は私へのまちゃに関する長い質問タイムになりました。私は「まちゃはこんなこともできる」「あんなこともできる」と、無意識にまちゃはいろいろ理解していてできることも多いと説明したと思います。発達検査のあとUpload By カタバミ発達検査によってまちゃには知的障害があることが分かり、小児科医から知的障害の程度は「軽度よりの中度」と言われました。今から考えると遅過ぎてあきれますが、そのときになってようやく私は療育手帳の重みを感じてショックを受けた気がします。「まだ幼いので今後言葉が出れば結果はガラッと変わりますから落ち込まないように」と言われました。そのあと、発達センターの療育の先生からも「療育手帳の取得のための検査は言葉が出ていないと低く出るんですよ」と言われました。でも、数週間後にかかってきた児童相談所からの電話では「身辺自立などできていることも多いので軽度です」と言われました。良かったのか悪かったのか分かりませんでしたが、とにかくまちゃは軽度の知的障害があるということで、療育手帳を取得し、私は2年後の更新のときまでになんとかまちゃから言葉が出るようにしようと思いました。私は前もって情報があったのでそんなに構えずに療育手帳を取得しました。夫も止めませんでしたが、親戚は驚いて悲しむかもしれないと考えて黙っていました(今は話しています)。私は自分の経験から、療育手帳を取得するのは特に制度の面では良いことが多いですが、結果を受け止めるのは人によっては大変なので、親御さんと場合によってはご本人がいろいろな情報をよく聞いて調べて決めるのが良いと思います。執筆/カタバミ(監修:藤井先生より)療育手帳の取得の際の発達検査だけでなく、病院や療育センターで行われる発達検査の結果を聞いて、ショックを受けたというお声を聞くことがあります。しかし、小児の発達検査は、年齢が幼いお子さんの場合は特に、将来的な発達指数と直結するとは限りません。療育やご家庭での働きかけ、お子さんの特性によって、変わっていくこともあります。療育手帳を取得することでのメリットもありますので、事前に調べて決められることをおすすめしております。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月09日■前回のあらすじ長男のことを詳しく知るため発達検査を受けることに。結果は精神年齢2歳、IQ52。人より物への興味が高く、ボディイメージが弱いなどが判明。私は長男のためになることをやっていこうと心を新たにするのでした。■療育施設の見学へ行くと…■何を重視する? 選んだ結果は…ということで…長男の療育先が決まりました! たまたま空きがあって、早めに通い始められることになって本当に運がよかったです…!見学に行って思ったのは、同じ療育施設でもそれぞれ違うということ。そんな中で、教室の雰囲気や内容、先生たちの資格の有無、個別療育か集団療育か、私たちの通える時間に空いているか、などなど検討する項目を整理して決めました。療育に通って長男がどう変化していくのか? またお伝えできたら嬉しいです。今回の連載はこちらでひとまず終了となります。最後までお読みいただき、ありがとうございました!あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。気になる症状がある場合は専門機関にご相談ください。
2023年02月21日■前回のあらすじ年中になった長男。新しく担任になった先生はやさしく丁寧で、長男も大好きに。しかし幼稚園への行き渋りが始まり、長男に変化が。先生に聞くと、物事を敏感に感じ取るようになってストレスを抱えているみたいで…。■療育に通うまでの手続きを知り…■診断書をもらい、療育先を探す発達支援センターにて、療育に通うまでの流れを説明してもらいました。しかし、受給者証を取得するための診断書もすぐに書いてもらえる病院とそうでない病院があること、療育先も自分たちで探さなければならないこと…。初めてのことばかりの中、療育に通えるようになるまでには道のりが長そうだなと思いました。流れに関しては自治体によって異なりますので、参考程度にご覧ください!次回に続く「息子が療育に通うまで」(全11話)は12時更新!あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。気になる症状がある場合は専門機関にご相談ください。
2023年02月19日■前回のあらすじ主任先生から療育の話を聞くと、園で長男が感じているストレスを取り除いたり、楽しく過ごせるように療育を勧められたのだと知る。私たちは前向きになり、早速支援センターへ連絡し、3ヶ月後に予約が取れるのでした。■とうとう相談の日に!■臨床心理士に遊んでもらう長男ここからは、これから実際療育に通うまでの道のりを描いていきます。自治体によってやり方などいろいろ違うところがあるので、参考程度にご覧ください。※基本マスク割愛、会話は実際の会話よりも短くまとめて描かせていただいています。臨床心理士さんいわく、発達の遅れはあまり感じないが、間違えることを恐れたり、自分の思い描いていた理想に実力が伴わないとやっていることをやめてしまうなどの傾向があるとのこと。「失敗しても大丈夫なんだよ」と伝えてみるのも良いかも、などアドバイスをいただきました。次回に続く「息子が療育に通うまで」(全11話)は12時更新!あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。気になる症状がある場合は専門機関にご相談ください。
2023年02月17日「なんでうちの子が発達障害なんだろう……」。息子の発達障害という現実をなかなか受け入れることができずに苦しむばよさんでしたが、ひとまず療育相談センターへタロちゃんを連れて行き、検査やトレーニングをおこないました。その後、小学校入学するにあたって「通常級」か「支援級」か、葛藤することに。ばよさんの答えは……?! 「誰のため…?」 療育相談センターは市の施設で、平日しかやっていませんでした。もし仕事が平日休みじゃなかったら、どうしていたんだろう……。会社辞めていたのかな??などとたまに過去の自分に思いをはせます。 ひとたび気持ちがストンと決まり、ご近所の仲良いママたちに何もかもすっかり打ち明けたら、気持ちが軽くなってオープンマインドになれました。何をあんなに私は悩んでいたんだ?とすら思えます。 市の教育委員会による就学相談会が開催され、特別支援級が望ましいとの通知を受けます。 「できれば通常級に入れてやりたい……」と悩みましたが、「一番大事なことはなんだ?」と改めて考え直したばよさん。 「タロに合ってるんだからいいじゃん」 ストンと気持ちが決まりました。 仲の良いママたちにも打ち明けることができ、気持ちが軽くなってよかったですね! 監修/助産師 松田玲子 著者:マンガ家・イラストレーター 星河ばよ
2023年02月17日■前回のあらすじ前回から約1ヶ月後、再び幼稚園の面談へ。担任から、長男の様子に変化がないことや発達専門の先生からのアドバイスもあり、「療育に通ってほしい」と言われる。療育の知識がなかった私は頭が真っ白になってしまう。■主任の先生の話で前向きに…■早速支援センターに連絡!そんなこんなで発達支援センター通いを始めることになりました! 実際の会話はとても描き切れないので、かなり省略させていただいております。あまり上手に描けず、ちゃんとお伝えできていないかもしれませんが、私自身療育について全然知識がなく、先生の話を聞いていろいろ知ることができ、今はとてもポジティブに捉えています!息子のために何が1番良いのか、今回のことをきっかけに見つけてあげられたらいいなと思っています。次回は、ついに発達支援センターへ相談に行きます。次回に続く「息子が療育に通うまで」(全11話)は12時更新!あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。気になる症状がある場合は専門機関にご相談ください。
2023年02月16日療育園では保育中どんなことをする?療育園へ入園する前は、週2回の母子登園の療育に通っていたため、私は自家用車で送迎し、ずっとPのそばで一緒に過ごしていました。それが療育園に入園すると毎日登園になり、Pはバスに乗って1人で登園し、クラスで過ごして、またバスで帰ってくるという生活になりました。最初の方は園での生活に慣れるまで本当に大変で、集団でのルールにも従えなかったし、お友達とのトラブルもあったし、給食もほとんど食べられないなど、多くの困りごとがありました。でも療育園での生活は、障害のある子一人ひとりに合わせた保育をしてくれながらも、それだけにとどまらず、園での生活の中にABA、感覚統合療法、視覚支援などの療育をたくさん取り入れて実践してくれます。そして保育士だけではなく、週に1度は専門の療法士や心理士もクラスに入って関わってくれます。そのような手厚い環境で毎日過ごすうちに、Pもだんだん療育園に慣れ、生活も落ち着いてきたので、私も安心して通わせることができるようになってきました。Upload By みん療育園へ通わせると親も忙しい?そのように言うと、急に手が離れたかのようにも聞こえますが、Pの通った療育園は長男が通っていた幼稚園と比べると、保護者が園へ出向く機会がとても多かったです。クラス懇談、個別懇談、個別療育、勉強会、行事など、保護者が参加するような場面がたくさんあったし、普段の日でもいつでも自由にクラスを見学できたので、子どもの様子が気になったときや療育を見たいときには見学しに行っていました。でもそうやって何度も園へ行くからこそ、先生と親密になれるし、ママ友もできやすいので、私自身も相談できる人と場所が一気に広がり、知識も増えたように思いました。Upload By みん療育園は子どもだけではなく親にとっても成長できる場所そして何より、個別療育を受ける時間は子どもにとっての療育だけではなく、親にとっても子どもへの関わり方を学ぶ時間となります。私は障害のあるわが子にどうやって関われば良いのか?今こんな困りごとがあるんだけどどうすれば良いのか?などを先生に相談し、一緒に考えてもらい、対処法などを教えてもらったり、アドバイスをもらったりしていました。また、こんなことができるようになった、こんな言葉が出るようになったなど、Pの成長を先生と報告しあえるのもうれしくて良い時間となっていました。療育園へ通うことで、Pの成長はもちろん、私自身にとっても成長と学びの場になり、母子ともに本当に救われたと思っています。Upload By みん私にとって療育園は今まで足を踏み入れることのなかった知らない世界でしたが、実際に通ってみるとこんな暖かく素晴らしい園があるんだな…と実感し、とても充実した3年間になりました。今、子どもを療育園へ通わせるか?行く必要があるのか?と悩んでいる人も中にはいるかもしれません。でも、1度見学へ行ってみてください。療育園へのイメージが変わるきっかけになるかも?しれません。そして、母子ともに安心できる居場所となるような場所を見つけることができますように。執筆/みん(監修:鈴木先生より)以前学会で「療育」とは何ですかと聞かれたことがありました。単純に考えると医療と教育の造語かと思われますが、私は「科学と心」と答えました。最新の知識をもって優しい心で接することではないかと。そしてこれは療育園に限らず保・幼・小・中・高・大とその子の人生においてすべての場所で通じなければいけないことだと思っています。しかし、残念なことに現実は必ずしもそうではありません。保・幼と小学校の間には溝があり、切れ目のない療育が行われているとは言い難い現状があります。小学校からは各市町村の教育委員会が管轄になるからです。特別支援学校に進学した場合にはその限りではありませんが、一人ひとりに合わせて手厚い保育を受けていた療育園とは違い、地域の小学校ではカリキュラムと集団の中に埋もれてしまうお子さんが多いのです。理解してくれる先生にもばらつきが出てきます。そのため、未就学の時期から療育へ通っていたお子さんたちが地域の小学校へ進学する場合には、特別支援学級を利用するケースが多く見受けられますが、そこも担任次第となりがちです。校内連携がうまくいっていて、「科学と心」を持った担任に出会えれば、スムーズにいくのです。
2023年01月23日今回はさやこさんが娘さんの療育に夫を誘ったときのお話です。以前に比べると、娘さんのことに対して、かなり積極的になってきた夫でしたが、さやこさんが「次の療育ついてくる?」と尋ねてみると……?夫を療育に誘ってみると…? 「次の療育ついてくる? 先生と話す機会あるし……」 さやこさんが夫を誘うと、「いや、ちょっと忙しいんでっ」と断られてしまいました。 「とりあえず聞いといて」 夫の言葉を聞いて、"こういう所はまだまだかぁ~"と、モヤッとするさやこさん。 (本を読んだり、話を聞いてわかったつもりになられても……) 心の中でそう思ってしまうのでした。 休みの日が療育に行くことでつぶれてしまうのが嫌だったのでしょうか? 娘さんのことに対して、積極的になってきたなと思っていただけに、少し残念な言動ではありましたが、夫も少しずつ変わってきているようなので、少しずつ一緒に参加してくれるようになるといいですね。著者:マンガ家・イラストレーター さやこ娘と夫の3人暮らし。自閉症スペクトラムの娘との日常を中心にいろいろと過去の出来事などエッセイマンガを描いてます。
2023年01月03日発達グレー長男が年少から通い始めた「療育センター」での流れについて長男が療育センターに通い始めたのは、年少の終わりごろ。きっかけは保育園で受けた面談で発達の遅れを指摘されたことでした。療育センターの存在は以前からなんとなく知っていましたが、何をするのか、どんな先生たちがいるのか、何も分からなくてとにかく不安でした。けれどもそこに通えば、長男のゆっくりな発達を促してくれるのではないか、というひとすじの希望を感じていました。【療育センターでの流れ(一例)】1.心理士による発達検査2.専門医による発達診断、療育指導、相談3.理学療法士・言語聴覚士・作業療法士による各種検査4.医師による今後の療育プログラムの提案5.子どもに合った療育プログラムの開始(自治体や施設により異なるかもしれません。ご参考まで)最初の1年目(年中のころ)は療育センターへ毎月1度通い、担当のソーシャルワーカーや臨床心理士の方のお世話になりながら療育プログラム(※)を受けました。※長男の場合は、つみき遊び、間違い探し、迷路、すごろく、かるた、トランプの神経衰弱など遊びながらできるトレーニングを行いました。ちなみに保護者は隣の部屋から、トレーニングの様子をマジックミラー越しに見学ができました。そこでは臨床心理士の方と長男のやりとりもスピーカー越しに聞こえて来ます。いつもちょっとわくわくしながら見学していました。2年目(年長のころ)になると、これまでの毎月1度の療育プログラムに加えて、隔週での集団療育が始まりました。長男が通っていた療育センターは平日のみだったため、当時私は会社に頼んで月曜と火曜を週休にしてもらって通いました。私が仕事の都合で連れていけないときは、夫や実母に頼んでやりくりしました。Upload By 星河ばよ集団療育で、母の膝の上に丸くなって座る長男長男が年長になった4月から始まったのが集団療育でした。集団療育では「小学校入学を見すえた活動を行う」というコンセプトのもと、長男を含め8〜10人くらいの子どもたち(長男と同程度の発達特性がある)が毎月2回集まって、お絵かきや工作、ちょっとした運動などを1時間半程度行いました。またその合間にはあいさつやちょっとした休憩もあり、毎回子どもたちの中から号令係や配布係を決めます。つきそいの保護者は同じ部屋のうしろのほうで見学しました。長男は臨床心理士の方との個別トレーニングはなんとかこなしていましたが、この集団療育では毎回気乗りしない様子で、いつも興味なさそうな顔をしていました。今でも忘れられないのが、ほかの子どもたちが活動に熱心に取り組んでいる中、いすに座って見学していた私のところに長男がたびたびやって来て、膝の上で丸くなるように座っていたことです。Upload By 星河ばよ今ではもう笑い話ですが、当時の私はとにかく周りの保護者の目が気になってしまい「もう帰りたい…」という気持ちでいっぱいになってしまいました。そんな私たちに集団療育の先生はいつも優しい声かけで、長男の気持ちを上手に切り替えてくれて…。長男が私の膝の上に座りにくるのはほぼ毎回でしたが、私も数ヶ月経過してようやく慣れました(笑)。Upload By 星河ばよちなみに、そのときのことを最近になって長男に聞いたところ、「(みんなの前で自己紹介したり、活動したりするのが)恥ずかしかったんだよね〜」と照れくさそうに言っていて。なんだか謝りたくなったと同時に、「いやむしろそっちの方が目立ってるような…」と笑ってしまいました。ほかの保護者の方々とは仲良くなれなかったけれど隔週の集団療育で毎回顔をあわせる中で、何人かのほかの保護者同士は親しくなっていた様子でした。私は少し「いいなあ」とは思いましたが、相変わらず心が閉じたままで、もともとの性格もあって自分からほかの保護者の方に声をかけることはしませんでした。集団療育では長男以外の子どもはみんな先生の指示を聞いて活動したり発言したりしているように見えました。(一体ほかのお子さんはどこに困りを抱えているんだろう…)と疑問に思うばかりで、私は正直わが子のできないところばかりが気になっていました。あるとき保護者だけの懇談会がありました。隣の部屋では子どもたちが集団療育の真っ最中で、賑やかな声が聞こえています。懇談会のテーマは「今悩んでいることについて」。保護者が順々に、わが子の悩みを語っていきました。ほかの保護者の方々の悩みは、普段の集団療育で見ている様子から私はまったく気づいていませんでしたが、思わず「分かるー!」と共感せずにはいられないものばかりでした。Upload By 星河ばよ私は今まで自分ばかりがつらさを抱えているようで、なんとなく孤独だと感じていたけど、この日はほかの保護者の方たちと見えない絆で結ばれたような、あらためて同志になったような、自分は一人じゃないんだという心強い気持ちになりました。療育センターでの2年間を振り返って思うこと長男に発達障害があるかもしれないと知った当時、私はその事実を受け入れることができていませんでした。そのため療育センターに通っていても、いつもどこか心ここにあらずでした。でももっと心を開いて臨床心理士の方に自分の気持ちや悩みを打ち明けていれば良かったのかなと思っています。療育センターに通う2年間の中でなかなか前向きになることはできませんでしたが、もっと心を開いていれば、もしかしたら少しずつでも心が軽くなれたかもしれないし、臨床心理士の方ともっと濃い連携が取れたかもしれない。子どもの発達について悩む日々の中で、振り返るとこれ以上の心強い存在はいなかったのではと、2年間の中でなかなか心を開けなかったことを今になって後悔しています。療育センターに通っていた当時は、先が見えなくて前に進んでいるのかも分からないような不安な気持ちでしたが、当時の臨床心理士の方やソーシャルワーカーの方、集団療育の先生方の温かさが、長男だけでなく私までも成長させてくれたのではと感謝の気持ちでいっぱいです。Upload By 星河ばよ執筆/星河ばよ(監修:初川先生より)2年間の療育センターへの通所の思いをシェアしてくださりありがとうございます。3歳児健診や保育園や幼稚園などの集団生活の場を通して、療育センターへ行ってみることをすすめられることが多いので、その当初のばよさんのお気持ち、「分かる、分かる」と思いながら読まれた読者の方も多いのではと思います。そして、療育センターって何をするんだろう?と思っている方にもとても情報量の多いお話でしたね。最後にばよさんが語られていたように、療育機関や相談機関での支援職へ、子育てで困っていることや保護者の方ご自身の気持ちなどを語れる場合にはぜひ語っていただきたいなぁと支援職の立場からすると思います。療育の場面は毎日の生活に比べたらわずかな限定的な時間です。それ以外の時間でどのようにお子さんが過ごしているのか、保護者の方がどう心配されているのか、困っているのか、そのあたりをうかがうことで逆に支援場面に活かせることもあります。話せる場合には(短い時間だとは思いますが)いろいろと話したり聞いたりしていただければと思います。集団での療育場面や、幼稚園や保育園の参観日などで、集団の中でお子さんの様子を見ていると、お子さんの様子が気になり、ほかの保護者の方の目が気になったりすることもあると思います。療育場面は特にそうですが、保護者の方は基本的に「自分の子」を見るのに集中されていることが多いので、意外と周りはそんなに気にしていないこともあります。とはいえ、自分の子が逸脱行動をしていたり、集団に乗り切れなかったりするといたたまれない気持ちになることはありますね。今回のエピソードでは保護者の懇談会があり、みなさんが何を心配されているのか語ってシェアする時間があったとのこと、何よりです。話してみると(聞いてみると)、自分と同じようなことで心配していたということが分かると、まさに「見えない絆」で結ばれた「同志」のように心強く感じますね。そういった横のつながりをもたらしてくれる可能性も、療育センターのような支援機関の持つ良さの1つである場合もあります。
2022年12月04日療育での進路面談Upload By まる息子は現在、週に1回集団療育に通っている。年度末も近づいてきた3月、進路面談を行うこととなった。息子の成長したところなどの話をしつつ、最近個別療育も気になっていることを先生に相談したところ、「リュウちゃんできることも増えてきたし、うちとは違うタイプの施設に通ってみてもいいかも…」と先生に言われた。今通っている集団療育は毎回動きが決まっていて、登園→朝の支度→自由遊びと設定遊び(その日によって平均台が出ていたり、鉄棒が出ていたりと変わる)→リトミック→椅子に座っての作業(お絵描きや工作)→園庭遊び→お弁当→帰宅といった感じだ。1年以上通っている息子はこの流れを熟知し動けるようになっている。リトミックが嫌いだとか、椅子に座っていられない、集中力が続かないなど問題もあるが、去年より息子本人の理解能力も上がっているため、そのあたりを個別療育で強化したほうがいいのではないかとのことだった。漠然と未就学のうちはここに通うものだと思っていたので私はハッとさせられた。確かに成長に合わせて施設を変えた方がいいかもしれない、集団での動きは保育園に通っているのでそこで学ぶこともできる。今の息子なら先生と一対一でやりとりをする環境の方が伸びるのではないか?ただ、ちょうど今まで通っていた保育園が2歳児までの園だったため、翌月から転園することが決まっていた。保育園も療育も一気に変更となると息子が疲れてしまうので、とりあえず療育はこのまま通わせてもらい、夏ごろに個別療育に移ることを先生と話した。個別療育の見学へUpload By まる新しい保育園に慣れてきた6月ごろから、個別療育を行っている施設の見学に行くことにした。1件目は、息子の友人も通っている施設。見学に行きたいと思い、予約の電話をかけた。すると、現状教室の空きがなく、このまま予約して順番が回って来たら見学に行ける、しかしいつになるかは分からないとのこと。ちなみに放課後等デイもやっているが、そちらは今5年待ちと言われて衝撃を受けた。ここで嫌な予感がし始める。…もしかして…動くの遅すぎた…?現在通っている集団療育の見学へ行ったのは、夏~秋くらいだった。4ヶ所ほど見学に行ったが、どの施設も曜日さえ選ばなければ入ることはできそうだったから油断していた。集団と個別はこんなに違うのか。2件目は、施設の見学予約が取れたので訪問し、息子を交えていろいろお話を聞けた。とてもいい雰囲気だったのでぜひ入れたら…!と思ったのだが、体験授業を受けてからの申し込みとなり、その体験授業が今予約待ちでいっぱいらしく、順番が来たら連絡を入れますと言われ帰ってきた。ちなみにいまだに連絡は来ないので、常に満員の状態のようだ。3件目は、見学予約も体験授業もすんなりいけ、どの曜日でも空きがあり、通わせることが可能だった。しかし気になったのがそちらの療育、個室での授業ではなく一室をパーテーションで区切って4組くらい同時に授業を受けている。話を聞くと未就学児から高校生まで幅広い層が通う場所のようだ。集中が途切れやすい息子にとってこの空間はあまり良くない気がする…。そして体験授業を見ていると、今行っている集団療育とあまり変わらないことをしている気がして、せっかくだがやめておくことにした。個別療育の体験授業Upload By まる普段仕事もしつつの毎日なので、家から通いやすい施設…となると数も限られてくる。ここがダメなら4月まで待つしかないな…と思い電話をかけた4件目の施設は、いきなり体験授業を受けさせてもらえた。個室で先生と一対一、その様子を親はマジックミラー越しに外から見る。すぐに飽きる息子に先生も次々と教材を変えて対応してくれ、約30分間ほぼ座ってやりとりをしている姿が見れて、環境によってこんなに違うんだと驚いた。普段の集団療育では30秒座っているのが限界なのに…!ぜひ通わせてもらいたいと思い話を聞くと、ある曜日の1時間1枠しか現在空きがないとのこと。ちょうど今通っている集団療育と同じ曜日と同じ時間だった。同じ時間なため、仕事には支障はない。今乗り換えるでもいいかな…と思ったのだが、息子が現在通っている集団療育へ行くのをとても楽しんでいるのでためらってしまった。空きが出るのを待つことにUpload By まる新しく通い出した保育園へは行きしぶりをするのに、今通っている集団療育へはウキウキで行くのだ。息子が毎週楽しそうに通うので、私の仕事との兼ね合いが大変だが、今年度は週一集団療育、週一個別療育へ通えたらいいなと思っていたところだったのだ。私も慣れた先生、お友達がいて悩み相談ができる環境を急に手放したくなくて、「他の曜日に空きが出たら連絡をください。」と苦渋の決断をしてきた。療育は一度入ったら卒園まで辞める人はほぼいないだろう。実際に個別療育に入れるのは次の4月かなと思っている。個別療育でこんなに入れないなら、小学生になったときにひとり親でできればフルタイムで働きたい私は、放課後等デイなんてどうなってしまうんだ!? 今から見学予約をした方がいいのか!? と頭を抱えている。執筆/まる(監修:鈴木先生より)療育先を変えることでお子さんの環境が変わります。本来は療育先を変えるのではなく、それぞれのお子さんの成長に合わせて療育の仕方を変えてあげるのが理想です。療育の中にも特別支援学級があればいいのです。療育とは少し違いますが、学校の特別支援学級も同じです。初めはサポートするために特別支援学級を利用していたお子さんも、学年が進むにつれてADHDの治療などで落ち着きを取り戻して通常学級でも可能になった場合には特別支援学級をやめてもいいのです。逆に、通常学級で途中から授業についていけなくなったり、感覚過敏などで集中できなかったりする場合には、特別支援学級の利用もありなのです。小学校からは各市町村の教育委員会が主導となるので就学前とは状況が異なります。そのギャップで小1問題が浮上するわけです。お子さんの成長に合わせて学校を変えることはほとんどありません。療育の規模や内容と先生との相性(知識と経験)の問題もありますが、まるさんが検討されているように、集団と個別と併用するのもありかと思います。事務手続きの煩雑さや分かりにくさ、施設側のキャパシティの問題などさまざまな要因により、子どもに必要な療育や教育がなかなか受けづらいことも多くありますが、こどもファーストの考えで、その子に合った療育や教育ができるようにしていかなくてはいけないと思っています。
2022年10月25日取得する?しない?夫婦でもめた日わが家が手帳取得したのは、ほぼ私の意思です。夫は「そんな大げさな」「別に急がなくても」と渋っていたので、いかに手帳を取るメリットがあるか力説して押し切りました。私は手帳取得のデメリットはないと考えています。手帳を持っていることはわざわざ他人に言わなくてもいいし、不要と感じればいつでも返還OKだし、障害があるとハッキリした証明になるのが日常生活において大きいなと感じています。Upload By 吉田いらこどんなメリットがある?ゆいが療育手帳を役所で取得した時、手帳と一緒に分厚い冊子を渡されました。これには手帳を持つ人が使えるサービスが載っています。娘の手帳の等級はB2で、三段階あるうちの一番軽いものとなりますが、一番等級の低い娘の場合でも受けられるサービスはありました(等級も地域によってそれぞれ形式が違います)。例えば文化施設や映画、テーマパークなどの利用料の割引サービスがあります。私は関西圏在住なので関西の大型テーマパークのパスポートが割引になるのはありがたいです。そのテーマパークに家族で遊びに行ったときに、窓口で療育手帳を提示するとチケットと一緒に「サポートブック」という冊子が貰えました。なんとそれが大活躍!これにはすべての乗り物の写真や演出効果が掲載されていて、何が起きるのか見通しが立てられるのです。私にとってはネタバレ冊子ですが、見通し不安のある娘にとってはかなりのお助けアイテムになりました。Upload By 吉田いらこさらに子ども向けですと就学支援のサービスもありました (自治体によって違います) 。娘はすでに小学校に入学していたので使えませんでしたが、ランドセルや学用品の購入に関して補助が出るそうです。障害についてネット検索しているとよく見かける「未就学児の保護者の方へ、入学用品の領収書を保管しておいてください」というメッセージもこのことを言っていたのだと分かりました。また、手帳の等級によっては年金受給や税金の減免など経済的なサービスを受けることもできます。少し先になりますが、中学卒業後の進路にも手帳の有無が影響する場合があります。Upload By 吉田いらこ冊子をパラパラとめくっていると行政サービスの多さに驚きました。特に手帳の等級が高い方に限りますが、多くの生活支援や自立支援が受けられます。障害がある子どもの保護者として一番不安なのは自分がいなくなったあとのことですが、行政の手を借りてなんとかやっていけるのでは?と心強さを感じました。ただ、これも自分から調べて問い合わせない限りどんな支援があるか分からないので、情報収集の大切さを感じます。Upload By 吉田いらこ迷っているなら手帳を取った方がいい?障害があると診断されても、障害者手帳を取得するかしないかは自由です。手帳を取得することでわが子が定型発達ではないと認めることになるのも事実です。けれども手帳の取得によって行政とつながり支援を受けられることは、私たち保護者に何かあったときに強力なサポートになってくれると感じています。Upload By 吉田いらこ執筆/吉田いらこ(監修:三木先生より)見通しの立てられる冊子、素晴らしいですね!テーマパークのサポートも素晴らしいですが、自治体のサポートにも目を見張るものがあります。文中にもあるように自治体ごとに詳細が違ってはいるのですが、どの自治体も基本的には障害のある方の暮らしが楽になるようなメニューを用意しています。手帳を取ることで「自分は/うちの子は障害なんだ」とより実感するという面があるのは確かですが、得られるメリットに目を向けてみるのも良いと思います。
2022年10月04日