本年度アカデミー賞で国際長編映画賞、長編ドキュメンタリー賞の2部門にノミネートされた話題のルーマニア映画「Colectiv」(原題)が、邦題『コレクティブ 国家の嘘』として10月2日(土)より日本公開されることが決定。併せて、予告編映像が解禁された。東欧ルーマニア・ブカレストのクラブ“コレクティブ”で2015年に実際に起きた火災を発端に、製薬会社や病院、そして政府や権力へと繋がる衝撃的な癒着の連鎖が明らかに。命よりも利益や効率が優先された果てに起こった国家を揺るがす巨大医療汚職事件の闇と、それに対峙する市民やジャーナリスト達を追っていく――。監督は、世界各国の映画祭で上映され受賞もした『トトとふたりの姉』のアレクサンダー・ナナウ。“まるでリアル『スポットライト世紀のスクープ』だ”とも評された本作は、命の危険を顧みず真実に迫ろうとするジャーナリストたちの奮闘に手に汗握るだけでなく、日本を始め世界中のあらゆる国がいままさに直面している医療と政治、ジャーナリズムが抱える問題に真っ向から迫っている。ドキュメンタリーでありながら本年度アカデミー賞のルーマニア代表として選出され、国際長編映画賞、長編ドキュメンタリー賞の2部門でノミネートを果たした本作は、世界各国の映画祭で28の賞を獲得。新聞社や雑誌からも高い評価を得ており、映画評論家の町山智浩氏は「間違った医療政策で人々が亡くなる。それは日本でも起こった。ただ『コレクティブ 国家の嘘』に感動するのは、新聞記者と大臣が事実を追及するからだ。それは日本では起こっていない」と絶賛の評を寄せた。この度解禁となった予告編は、ライブ中に演出の花火が施設に引火し一瞬にして壁を覆いつくすショッキングな場面で幕を開け、被害者の親たちの悲痛な叫びや疑問、地道な取材を続けるジャーナリスト達と国の腐敗と対峙する厚生大臣の葛藤などを切り取っていく。「我々は権力を妄信している」「メディアが権力に屈したら、権力は我々を虐げる」といった映画のカギとなる重要な言葉が飛び交い、現代社会に生きる我々へ大きな問いを投げかけている。『コレクティブ 国家の嘘』は10月2日(土)よりシアター・イメージフォーラム、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:コレクティブ国家の嘘 2021年10月2日よりシアター・イメージフォーラム、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開©Alexander Nanau Production, HBO Europe, Samsa Film 2019
2021年07月01日第91回アカデミー賞で全5部門にノミネートされ、作品賞、脚本賞、助演男優賞を受賞した映画『グリーンブック』が、このほどdTVで配信を開始した。同作は、人種差別が色濃く残る1960年代のアメリカ南部を舞台に、実在の黒人ジャズピアニストのドン・シャーリーと、その運転手を務めることになったイタリア系白人のトニー・バレロンガの出会いと友情を描いた物語である。いまだ差別が残る時代に黒人のピアニストとして成功した“ドクター”・シャーリー(マハーシャラ・アリ)は、知的で冷静。かたやトニー・“リップ”(ヴィゴ・モーテンセン)は、下町ブロンクス育ちの粗野な気質。価値観がまったく違うふたりは当然ぶつかり合いながら、コンサートツアーという旅の中でさまざまなトラブルに直面する。特に大きな影響を及ぼすのは、人種の壁。上流階級の白人が集まるコンサートでピアノの腕を讃えられる一方で、黒人として受ける差別はなくならない。そんな中で、より古い習慣が根強いアメリカ南部ツアーを敢行するシャーリーの覚悟と孤独に直面し、トニーの心も変化していく。シリアスなメッセージ性を含みつつも、同作の軸はふたりの中年男性同士の不器用な友情。時にコミカルに、時にエモーショナルに、ふたりの間で育まれていく絆を表現する、ヴィゴ・モーテンセンとマハーシャラ・アリの会話劇は必見だ。
2021年06月28日ブラックパンサー党のカリスマ的指導者暗殺の実話を基に映画化、「第93回アカデミー賞」にて助演男優賞(ダニエル・カルーヤ)、歌曲賞(「Fight for You」)の2部門を受賞した『ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償』が9月3日(金)よりDVDレンタル開始、2022年1月5日(水)よりダウンロード販売・デジタルレンタル開始されることになった。1960年代後半から70年代にかけ、アメリカ国内で黒人解放運動を展開した政治組織“ブラックパンサー党”の指導者だったフレッド・ハンプトン暗殺事件の真相に迫る本作。『ゲット・アウト』『ブラックパンサー』のダニエル・カルーヤが“ブラックパンサー党”のカリスマ的指導者ハンプトン役、『ゲット・アウト』『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』のラキース・スタンフィールドがFBIの情報提供者としてブラックパンサー党に潜入したオニール役を演じる。そのほか、『ジャングル・クルーズ』「FARGO/ファーゴ」シーズン2のジェシー・プレモンス、名優マーティン・シーンといった実力派が集結。製作は『ブラックパンサー』『クリード チャンプを継ぐ男』のライアン・ クーグラーが務めた。第93回アカデミー賞では5部門6ノミネートを果たし、助演男優賞、歌曲賞の2部門を受賞。また、カルーヤはゴールデン・グローブ賞や放送映画批評家協会賞、全米映画俳優組合賞(SAG)などでも助演男優賞を受賞。劇場未公開ながら注目度の高い本作の日本語吹替はDVDレンタルに初収録。カルーヤの吹き替えキャストは中井和哉、スタンフィールドの声は武内駿輔が務める。また、ジュード・ロウ、ナオミ・ハリスがW主演、ブラッド・ピッド率いるプランBと「HBO」がタッグを組んだ、没入型サイコ・スリラー「サード・デイ ~祝祭の孤島~」が9月1日(水)よりダウンロード販売・デジタルレンタルされる。(text:cinemacafe.net)
2021年06月18日芳根京子主演映画『Arc アーク』の監督石川慶と、科学映画ライターJoshuaによるスペシャルトークイベントが6月13日、公開に先駆けて映画を観たばかりの観客の前で行われた。『愚行録』『蜜蜂と遠雷』に続き、今作が長編作品3本目となる石川監督と、東京大学大学院宇宙線研究所で宇宙物理学を専門に研究をしながら、映画を科学的な切り口で解説するブログが映画ファンの間で人気のJoshuaさん。本作に関するインタビューでは、度々“ディストピアに描きたくない”と語っていた石川監督だが、「実はそうはいっても最初はディストピア調ではありました」と裏話を明かす。「一度出来上がった脚本を、原作を手掛けたケン・リュウに送った時に『不老化技術のような新しいテクノロジーはこれから開発されるかもしれないけど、それを今の時点で<良い・悪い>というジャッジはしたくない。それは人間の強い部分も弱い部分もさらけ出すかもしれないけど、将来的には良いものになっていくと信じてフィクションを書いている』というアドバイスがあり、この考え方は自分の科学への姿勢と共感する部分でもあったので、この作品の大きな柱になりました」とこの方向転換の理由を語る。また、本作の主演・芳根京子は、一人の女性・リナの17歳から100歳以上を生き抜く難役に挑んだ。石川監督は「芳根さんは最初『30歳の自分もイメージできないのに100歳以上は、無理です』と至極全うなことを仰ってたんですけど、芳根さんは共演する相手でガラリと変わる人。そう考えると、この時はこうだと決めるのではなく、分からないからこそ作れるものがあるんじゃないかとお話させていただきました」とコメントした。そして本作は、物語後半はモノクロ映像を中心に描かれるという、近年の日本映画には珍しい演出をとっている。石川監督は「カラーグレーディング(色の補正作業)はポーランドでやりました。カラーリストは『COLD WAR あの歌、2つの心』(18)や『イーダ』(13)をやっている方で、『蜜蜂と遠雷』の時に仕上げをどういう風にやっているのか見せてもらったんです。そしたらモノクロなのにカラーで撮影していて、しかもグリーンバックを立てて結構ヘビーなCGで作られていて。ちょうどその年に『ROMA』(18)がアカデミー賞にノミネートされていて、デジタルで作る<モノクロ>を使って細かいディティールを表現することが結構SF的だと思ったんです。それが今回の『Arc アーク』を作る時に自然に浮かびました」とアイディアを披露。超理系同士の対談ということで、本イベントは普段とは少し違った視点で語られた。劇中で描かれる<ストップエイジングによる不老不死>が、実際どこまで現実的なのか、というトークでは、Joshuaさんは「生命が誕生した数十億年前に遡ると、最初の生物は単細胞生物で、細胞分裂しても1つが2つになるだけで『老化』や『死』という概念自体がなかった。これが進化の過程で多細胞生物になって、酸素濃度が必要になり、体格も大きくなって、性も獲得した。その過程の中で人間は『死』という概念を途中で獲得したんです」と説明。作中でも描かれる<テロメア>という細胞については「人間は細胞分裂するたびに<テロメア>という“回数券”のようなものが減っていくんです。最終的に<テロメア>がなくなると細胞は自死する。このプロセスが人間の身体全体で起こると『老化』し、生物は死にます」と解説した。そこで、なぜ生物は死ぬ必要があるのか?という普遍的な問いが飛ぶと「<多様性>という仮説があります。オスとメスが存在することで有性生殖としてより複雑な個体を生み出すことができる。例えば新型コロナのウイルスは一瞬で進化していくけど、生物は<多様性>があるから一部分の人が死んでしまったとしても他は生き残ることができる」と話し、これに石川監督は「実は劇中で天音(岡田将生)にもこの話をしてもらったんです。長い台詞でやむなく本編ではカットになりましたが」と裏話を加えた。さらに「<テロメア>を再生して細胞が若返らせることで、老化を遅らせる技術は実際に既に現実世界で行われていて、『Arc アーク』の世界はそんなに遠い未来の話ではないです」とJoshuaさん。石川監督も「劇中で天音が作る“ピンクの液体”は『テロメア初期化細胞』をイメージして作った細胞です」と裏設定を語っていた。『Arc アーク』は6月25日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:Arc アーク 2021年6月25日より全国にて公開©2021映画『Arc』製作委員会
2021年06月14日埼玉・彩の国さいたま芸術劇場(以下:さいたま)の次期芸術監督に就任した近藤良平が構成・映像・振付を手がける、コンドルズの新作『Free as a Bird』。2006年以降、新型コロナウイルスの影響で上演中止となった昨年を除き、毎年同劇場で創作・発表してきた彼らにとって待望のさいたま公演となる。ビートルズへのオマージュとして、ジョン・レノンの未発表曲「Free as a Bird」をタイトルに冠した本作では、“鳥のように自由に、空飛ぶ夢の続き”を届けるという。作品の構想と芸術監督就任に向き合った思いを、近藤とコンドルズプロデューサー・出演者の勝山康晴に語ってもらった。芸術監督就任で「舞台芸術の世界に明るい未来を」――彩の国さいたま芸術劇場(以下:さいたま)におけるコンドルズの新作発表は毎年恒例ながら、今回が例年と異なるのは何といっても近藤さんの次期芸術監督就任です。このトピックから話を聞かせていただきたいのですが、コンドルズとさいたまのご縁は2006年に遡るんですね。近藤2006年に蜷川(幸雄)さんがさいたまの芸術監督に就任されたのと同じタイミングでいらしたのが、プロデューサーの佐藤まいみさん。彼女がコンドルズを呼んでくれた2006年から、毎年新作をさいたまで上演しています。さいたまってピナ・バウシュやローザスといった海外のダンスカンパニーを、まいみさん経由でよく招聘していて。彼らと同じような文脈で、コンドルズも主催で上演してくださったんですよ。そんな劇場、他にありません。勝山現在もそのつもりですけど、2006年当時も、僕ら何気に「日本代表」でしたよね?近藤そうそう!当時のチラシを見直したら「日本代表」って書いてあるの。超おもしろい!勝山ドイツで開催されるサッカーW杯(FIFAワールドカップ)をイメージしたアイデアを入れましたね。近藤懐かしいね!そんな感じで、さいたまとは順調にご縁を重ねていて。去年は一度目の緊急事態宣言下でリアルな公演はできなかったんだけど、オンライン配信をやりました。全国各地の方にご覧いただいてね。「コンドルズ観るの10年ぶりで嬉しい」って方もいらっしゃって嬉しかったです。――今回の『Free as a Bird』も近藤さんの次期芸術監督就任を機に「また観に行ってみよう」って方もいらっしゃるんじゃないかなって。就任にあたってどんな役割を期待されていると感じていらっしゃいますか?近藤4月から頭に「次期」をつけて活動を始めました。来年からその冠が取れるわけですが、就任にあたってありがたいことに、ものすごい数の取材を受けたんですね。周りの皆さんがよく反応してくださって。で、いちばんおもしろいと思ったのが……僕が「新しい劇場の在り方」みたいな話をするより、周りの人がいっぱい喋ってくれるんですよ!要は「私だったらこんな劇場にしたい」みたいな期待を寄せてくださる。もしくは「こんなことしてみたら?」って提案をいただいたりして。――近藤さんご自身は、動画で3つの方針を打ち出していらっしゃいましたよね。近藤「次期」になる前に関係各所と話し合いがあったので、その場で発言した内容をまとめてみたんですよね。アートジャンルの垣根を取り払って、国内外を問わず発信して、老若男女が足を運びやすい“No Border”の考え方を「新しい劇場の在り方」として。――勝山さんをはじめ、コンドルズのメンバーは近藤さんの芸術監督就任をどのように受け止めていらっしゃいますか?勝山もうね、大応援状態ですよ!(メンバーの)スズキ拓朗なんて号泣していましたから。泣き崩れてたから!アイツはほら、蜷川さんのところ(蜷川幸雄が学長を務めていた桐朋学園大学短期大学出身、さいたまネクスト・シアターにも所属)にいたから「僕が信じてついていった蜷川さんに次いで、良平さんまで芸術監督に!」って1時間くらい嬉し泣きで。「僕はあなたについて行ってよかった〜!」って(笑)――「この人」と決めて師事したお二人が芸術監督になることは本当に喜ばしいですよね。近藤さんの芸術監督就任は、今後どんな影響を与えると感じていらっしゃいますか?勝山演劇やダンスの世界全体への余波を期待したいですね。コンテンポラリーダンス業界でも、Noismの金森くん(りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館の舞踊部門芸術監督・金森穣)や勅使河原さん(愛知県芸術劇場の芸術監督・勅使川原三郎)はいるけど、インディペンデントを貫いて、ハチャメチャな感じでやってきた、叩き上げのパンクバンドみたいなチームがこういうところに辿り着くことって今までなかったんじゃないかと。だから良平さんの事例があれば、これからダンスの世界でがんばっていこうという若手に「続けていればこういう道もあるんだ」って可能性を示すことができる。この世界をよく知らない人にとっても「コンテンポラリーダンスって芸術監督になるくらい、社会的に価値のある芸術なんだ」って思ってもらえたら嬉しいです。近藤僕もその意見とほぼ同じです。やっぱりダンス出身だから、この世界に明るい未来を見ていたいんですよ。でも舞台芸術ってやけに細分化されていて「一緒にやっていこう」って機運はあまりないですよね。――そんな舞台芸術の世界に風穴を、と近藤さんが打ち出したのが、3方針のひとつである「アートジャンルの垣根を取り払う」に繋がるんでしょうか?近藤そうですね。言葉でいうのは簡単だけど、発想をどんどん変えていかないといけないから大変だと思いますよ。でもさ、ダンス好きがダンスだけ追っている、演劇好きが演劇だけ観ている状態にこれ以上の広がりはないし、豊かじゃないよね?――そう思います。近藤さんのご采配で、どんなアートジャンルの融合が生まれるか楽しみです!さいたま新作は「独自ネタだぞ!」と思いながら創作してる――さいたまでの創作について、劇場が持つ空間の魅力や独自性をお二人はどんな点に感じていらっしゃいますか?近藤稽古場が広くて、実際のステージである大ホールと同じ舞台面を取れるんですよ。体育館の2/3くらいあって、すごく大きいの。東京ではそんな練習まずもってできないからね。その贅沢なスペースに集まって、大きいサイズのまま稽古するから……自然とダイナミックな空間や機構を積極的に利用した、大掛かりな美術セットになるんですよね。――2017年の『17’s MAP』では、舞台中央奥から下手手前まで斜めに走っている高い壁に驚きました。勝山さんは、さいたまの創作環境をどのように受け止めていらっしゃいますか?勝山都内からの距離が絶妙ですよね。東京公演の練習ってだいたい高田馬場でやるんですけど、メンバーが都の西北に集まってくる。でもさいたまって全員が同じ動線で与野本町に辿り着くでしょう?僕ね、それがみんなの気持ちをひとつにしてる気がするんですよ!(笑)――誰もが埼京線で赤羽を経由するからこそ生まれる団結力ですね。近藤わかる!いい意味で諦めがつく(笑)。移動することで「さ、やるぞ!」って吹っ切れるんだよ!勝山鉄路だったら赤羽あたりで踏ん切りつきそうですよね(笑)あと良平さんが挙げた稽古場の特徴を補足すると……いい稽古場って人を変えますよね。飲み屋でも、安いチェーンと格式高い店を比べたら会話の内容が変わる。もちろんそれぞれにいいところはあるけど、公民館とさいたまでは練習の質が変わるんです!勝山康晴(c)HARUコンドルズは公民館寄りの人間が集まったチームですが、年に一度さいたまの公演が近づくと……あの移動を通じて心が浄化されていくんです(笑)。参加するメンバーの集中力も、さいたまの方が高い気がする。都内だとノイズが多くて。近藤そうかもしれないね!――個人的に、コンドルズの東京公演は“ザ・王道”で、さいたまで創作する新作はもっとコンセプチュアルで“尖っている”イメージを抱いています。近藤まさに。東京公演は多くの人に観てもらえるから、自然と万人に刺さるネタを選ぶんですよ。それを地方ツアーにも持って行っていますし。でも、さいたまではもっと冒険してる。「さいたま独自ネタだぞ!」って思いながらつくっています(笑)勝山さいたまの新作は、より舞台芸術鑑賞に貪欲な皆さんに観てもらうイメージですよね(笑)――日ごろ感じていらっしゃるさいたまの強みを、今回の『Free as a Bird』にどう活用していかれるのでしょうか?近藤夏にやる東京公演が「王道ラインなのでは」というあなたの読みは確実で、たしかに「どういう風に見せると多くのお客さんが喜んでくださるか」ってフォーマットがあるんですね。ロックの率とか、コントのぐだぐだ率(笑)とか、僕たちが広く知られるようになったサラリーマン体操っぽい雰囲気とか。一方、さいたま公演にこうしたフォーマットは存在せず、毎回コンセプトを変えて創作しています。「じゃあ今年のさいたまはどうする?」って話し合いは僕たちにとっても重要で、毎年必ず考えることです。――「今年はどんなコンセプトの公演になりそうか」は、次にしようと思っていた質問です。近藤だよね。でも教えない!(笑)――え、そんな!今の時代に欲しい言葉をタイトルに据える――タイトルに着目すると、去年のオンライン配信もビートルズの楽曲(『I Want To Hold Your Hand』)でしたし、今年の『Free as a Bird』はジョン・レノンが1980年に亡くなったあと25年ぶりに発表された彼らの新曲ですよね。コンドルズにとって、ビートルズが今の“気分”なんでしょうか?勝山ビートルズにこだわってはいません。僕らはオリジナルの公演タイトルをあえてつけないようにしてるんです。お客さんの間口を広げて、敷居を下げて、気軽に見に来てもらいたいので。もちろん、発想元として彼らの楽曲タイトルには普遍的なパンチ力があるのを感じてますけど。たとえば密や接触を避けるコロナ禍に突入したタイミングで『I Want To Hold Your Hand』(あなたの手を握りたい)って……ジャストフィットじゃないですか?時代が欲しい言葉をつかんでるんですよ。近藤うん、今回は「Free」も「Bird」も素敵なワードだから。“鳥のように自由に”って、やっぱり移動が制限されている今このタイミングで欲しくなる言葉でしょ?どこかへ飛んでいってしまいたい。近藤良平(c)HARUこれまで僕たちは映画や音楽から、いろんなイメージを受け取って公演タイトルに反映させてきました。「Time」しかり「Open」しかり。候補としていろんなキーワードが並ぶ中で「Free」も「Bird」も生半可な気持ちじゃ付き合えないというか。大切に取っておきたい、いつ向き合おうかっていう言葉でした。公演を通じてコロナ禍の“向こう側”を見せたい――歌詞に着目すると、ビートルズは『Free as a Bird』とタイトルに掲げながらも「鳥のように自由でいられるのは、人生において“二番目”によいこと」と歌っています。彼らがこのナンバーの中で訴える人生の“ベスト”とはいったい何だとお二人は考えますか?近藤今いる居場所がいちばん素晴らしい、ってことを言いたいんだと思う。その上で二番目が「鳥のように自由であること」って僕は捉えた。勝山それ以外の回答があったら聞きたい!って感じ。歌詞もですね、今のコロナ禍にぴったりだと感じたんですよ。パフォーマンスに影響するといけないから歌詞も精査するんですが、ばっちりだと思いました。――じゃあ『Free as a Bird』の歌詞になぞらえるなら、お二人にとってこの公演の“ベスト”な着地点は何で、“二番目によいこと”って何になりますか?近藤このご時世の中で、お客さんが劇場に足を運んでくださること、リアルに上演できることがもはや“ベスト”ですよね。お客さんと時空間を共有できることが何よりも喜ばしい。勝山本当にそうですね。僕がコンドルズのプロデューサーとして今回成し遂げたいのは、とてもあたりまえですが、お客さんに「舞台芸術を観に来てよかった」と感じてもらうこと。そのあたりまえをちゃんと届けること。コロナ禍ではチケットを取ったとしても上演日に劇場へ行けるかどうか誰もわからない。埼玉県だって、いつ(まん延防止等重点措置から)緊急事態宣言に切り替わるかわかりません。もしギリギリ行けたとしても、皆さん相当な葛藤があってさいたままでいらしてくださるわけで。だからこそ「そこまでして観に行ってよかった」「自分にとって舞台芸術って、やっぱり必要なものだったんだ」って感じてもらいたいですね!どんな卑怯な手を使っても!近藤卑怯な手(笑)勝山お客さんと時間と空間を共有して「生だからこそグッときたでしょ?」って公演にしたい。だって今回やれたとしても、次にいつリアルにできるかわからないから。その一点突破ですよ。しっかり号泣させて気持ちよく帰ってもらいたい。100%、泣かす!いや、泣いてお帰りいただく!――あれ?コンドルズっていつも笑って劇場をあとにするイメージが。勝山喜びの泣きですよ。笑い泣きでもいいです。「ホント舞台芸術っていいなぁ」って泣きながら与野本町駅まで向かったお客さんたちが、ホームで「あんたも泣いてるね、わたしもよ」って無言で視線を交わし合う感じの作品にしたい。それが僕たちの使命だと思っていますから。――勝山さんに熱意をお見せいただいたところで、近藤さんが『Free as a Bird』で二番目に大切にしたいことは?近藤今って「マスク取りたい」とか「向き合って語りながらお酒を飲みたい」とか、いろんな欲求がありますよね。取材を受けていても「去年と比べて何がどう変わりましたか?」と聞かれて真面目に答えているけど、本当はもうそんな次元を超えたくて。その向こう側へ行きたい。だから僕はこの公演を境にして、“向こう側”の居心地のよさを伝えたいんですよ。またいつかマスクなしで人と向き合える日々が来ると思いますけど「今は無理だよね」って諦めて耐える精神状態から、向こう側へ飛び出せたら絶対に楽しいことが待っているってキラキラした方向へシフトしていきたい。――ご覧になったお客さんが、明るい“向こう側”を想像できるような作品に?近藤「そうなれたら」と常に考えながら創作しています。間違ってもツラい現実を投射するような作品ではない。明るいイメージを持たせることって、ダンスは比較的得意だと思うから。――たとえばその姿勢は、どんな風に今回のステージに現れるんでしょうか?近藤やっぱり僕らが必死に踊ることじゃない?勝山そう、僕らが汗をかくだけです!(笑)「自由」の意味を履き違えずに――コンドルズのトレードマークである学ランは、本作のテーマである“自由”からかけ離れたイメージがあります。近藤いや、僕たちはそう捉えていなくて。シーンごとに衣裳を考える手間から解き放たれているんです(笑)勝山僕、中学で生徒会長をやっていて、新しい校則を考える時に「制服をなくす」と打ち出したら女子から猛反発されたんですよ。「私服だと毎朝服を選ぶのに気を遣わなきゃいけないからイヤだ」って。逆に「不自由になるからやめて」って話だったんですよね。速攻で「撤回しま〜す」って(笑)近藤個性を縛られる制服によって、時間的な自由が生まれていることに気づいたわけね。勝山おもしろいですよね。あと、さっきのみんな同じ動線でさいたまに行くと心が浄化してよい意味で諦めがつく……の話じゃないけど、学ランに袖を通すことで気持ちがフッと切り替わるところはありますね。近藤たしかに。無意識のうちにシフトチェンジする。勝山アスリートもさ、試合ごとにユニフォーム変えていたら気合い入らない気がするんですよ。同じものを身につけるって大切な儀式なんじゃないかと。――制約の中に生まれる自由ならば謳歌せよ、ということでしょうか?勝山僕自身は正直、“自由”って言葉にポジティブな印象を持てないんですよ、21世紀が始まったくらいから。人類が自由にやりすぎた弊害が出ているじゃないですか、世の中に新自由主義が浸透して。格差社会も自然破壊も。だから「もうここらへんでいい加減にした方がよくない?」って思いが腹の底にはあります。『Free as a Bird』ってタイトルが絶妙だと感じるのは、僕としては「鳥ぐらいの自由でいいんじゃないの?」って想いが込められるとこですね。何の制約もない無限の自由じゃなくて。近藤歌詞の「二番目によいこと」ってそういう意味かもしれないね。制約ある中での自由。勝山そういう解釈もできますね。鳥は自由気ままに生きたって、彼らは自然環境を大きくは壊しませんよね?そういう何らかの節度がある自由に、もう一度目を向けてみたいなって思います。制約っていうより、節度かな。近藤いいね!闇雲で勝手な自由じゃないんだね。メンバーの山本光二郎が「鳥は飛んでる時が一番運動してて、大変な時間なんじゃないの」って言ってて。確かに人は鳥が飛んでると「自由」って思うけど、鳥にとっては「不自由」なのかもしれない。今回の作品でも「不自由」からシーンを着想しています。勝山そうですね、でも自然の摂理にのっとった自由って、本能が壊れている人間という生き物には無理なんですよね。それで自由を謳歌しすぎたから弊害が出て、正直ちょっと怖いんですよ。そのせいで子どもの世代が不自由を強いられる危険性が大きくて。それは未来に対して非常に失礼な話じゃないですか。だからコロナもあるし、このタイミングで「大人の皆さん、自分から率先してちょっと立ち止まってみようぜ」って。その思いは今回の公演で、僕は伝えていきたいですね。着陸を知らないコンドルズ――そういえば、グループ名は「コンドル」って鳥の名前から来てるんですか?近藤そう、コンドルは南米の鳥で、ハゲワシみたいなもんですね。2m以上羽根が広がって、ものすごく大きくて重たいの。そのぶん不器用な鳥で、地面に降り立ってしまったら二度と飛ぶことはできない。木から木に移動することしかできないんだって。勝山離陸が難しいんだ。落ちていくような飛び方はできるけど。近藤そうそう。だからカッコよく言うと、コンドルは「着陸を知らない鳥」なんだよね。――その鳥に、今も昔もこれからもご自身たちをなぞらえるんでしょうか?近藤そう、勝手にね(笑)。僕たちはそうやすやすとは着陸しませんよ!取材・文:岡山朋代コンドルズ埼玉公演2021新作『Free as a Bird』■日時:2021年6月5日(土) 14:00 / 19:00開演2021年6月6日(日) 15:00開演※開場は開演の60分前です。※本公演は出演者との距離を確保した上で通常通りの配席にて販売します。ただし、今後の新型コロナウイルス感染症の状況によっては変更となる可能性がございます。※演出の都合により、開演時間に遅れますと入場をお待ちいただく場合がございます。予めご了承ください。■会場:彩の国さいたま芸術劇場 大ホール■チケット(全席指定・税込):S席5,000円A席3,500円U-25 S席3,000円A席2,000円※公演時25歳以下対象。入場時要身分証。■構成・映像・振付:近藤良平■出演:石渕聡オクダサトシ勝山康晴香取直登鎌倉道彦黒須育海古賀剛小林顕作(声の出演)ジントクスズキ拓朗田中たつろう橋爪利博藤田善宏安田有吾山本光二郎近藤良平■主催:公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団■企画制作:公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団/ROCKSTAR有限会社■詳細: <コンドルズ東京公演予定!>■日程:2021年9月4日(土)13:00 / 17:00■会場:LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)7月上旬チケット発売予定!
2021年05月28日例年2月の終わり、または3月の初めの日曜日に開催されてきたアカデミー賞授賞式。今年は新型コロナウイルスの影響で4月25日に行われたが、来年も少し遅めになるという。主催の映画芸術科学アカデミーは、第94回アカデミー賞授賞式を2022年3月27日(現地時間)にロサンゼルスのドルビー・シアターで開催することを発表した。当初は2022年2月27日を予定していた。選考対象となる作品の条件については、今年と同様、いまだパンデミックの影響で全ての映画館が通常通りに稼働しているわけではない状況を考慮し、劇場公開をスキップして配信を行う作品も含めるという。詳しいルールは、6月に発表される。現在分かっているスケジュールは、応募締め切りが2021年11月15日、ショートリストの発表が2021年12月21日、ノミネーションの発表が2022年2月8日。毎年伝統的に行われながら、今年はキャンセルとなってしまったガバナーズ賞と候補者たちが集う昼食会は、来年は再開。それぞれ2022年1月15日、2022年3月7日に行われる。ただし、同アカデミーは上記の第94回アカデミー賞授賞式に関連するイベントのスケジュールについて、新型コロナの感染状況によっては変更の可能性があると断りをいれている。(Hiromi Kaku)
2021年05月28日昨年は韓国映画『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー賞4部門受賞、今年は『ノマドランド』のクロエ・ジャオがアカデミー賞で監督賞、『ミナリ』のユン・ヨジョンが助演女優賞を受賞するなど、近年、アジア系映画人の活躍が注目されている。とはいえ、南カリフォルニア大学のアネンバーグ・インクルージョン・イニシアティヴの調べによると、2007年から2019年までのハリウッドの上位興収1300作品において、セリフを与えられているアジア人あるいは太平洋諸島またはハワイの血を引く俳優(以下、API俳優)は、ほかの人種・民族と比べて6パーセント未満であったという驚きの結果が明らかになっている。1300の作品で51159人のキャラクター中、“しゃべる”API俳優はたったの3034人で、5.9パーセントだったという。API俳優が主演、または共同主演した作品は、より少ないことが明らかに。1300作品で白人の男性俳優が主演または共同主演した作品が336作品なのに対し、わずか44作品(3.4パーセント)しかなかったのだ。44作品のなかで、主演または共同主演として活躍したAPI俳優は、ドウェイン・ジョンソン、キアヌ・リーヴス、ジョン・チョー、コンスタンス・ウー、ヘイリー・スタインフェルド。さらに、API俳優は悪役または端役にキャスティングされがちで、ハリウッドではAPIに対して害のあるステレオタイプが横行し続けていることが数字によって証明された。(Hiromi Kaku)
2021年05月19日米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア(略称:SSFF&ASIA)は、映画を通じ女性監督やプロデューサーなど女性映画人の想いを発信する「Ladies for Cinema Project(レディースフォー シネマプロジェクト)」を2019年より開催。本日5月11日(火)より「SSFF&ASIA 2021」のオンライン会場にて、世界で活躍する5人の女性フィルムメーカーの作品を配信する。配信に先駆け、昨年よりSSFF&ASIAでクリエイターズ支援プロジェクトを設立した剛力彩芽と、映画祭アンバサダーのLiLiCoがオンライントークセッションに登壇した。冒頭ではLiLiCoより、先のアカデミー賞でアジア系女性として初の監督賞受賞の快挙を果たしたクロエ・ジャオ監督のホットな話題から始まり、今回の「Ladies for Cinema Project」の5作品の中で、剛力がもっとも印象的だったと語る、大富いずみ監督の『SHIBUYA,TOKYO 16:30』についてトークを開始。「映画監督を志す助監督の主人公が、念願の機会を前にして様々な葛藤を抱く」という作品について、剛力は「はっきり言わない二人のもどかしさや、せっかく前に進めそうなのに進めないという苦しさが、今の何かを象徴していると感じました。最後には考えさせられ、苦しくなり、画面越しに何か言いたくなるような作品でした」とコメントすると、LiLiCoは「エンドロールが終わってもこの作品は終わっていないという感じが、何とも言えなかった。この作品は、男性のプロデューサーが弱い女性を利用しているストーリーですが、同じような経験をした方も多くいるかと思います。今は“自分の思いを言う勇気”を持った女性も多くなってきてはいますが、この作品を見て女性だけでなく、男性にも何か感じ取ってほしいです」と、女性監督ならではの感性で作られた特徴的なシーンについて語った。また、女優として幅広い役柄に挑戦する剛力は、 “演じる側”としての目線で「去年のSSFF&ASIAの時に打合せ段階から参加し、スタッフさんと一緒に作品を作り上げることにわくわくしました。やはりエンタテインメントは人の心を癒すものなので、自ら立ち上がって発信していき、勇気をもって一緒に立ち上がってくれる人が増える世界になったらいいなと思っています」と発言。さらに、LiLiCoから日本が古代から築き上げてきた美の歴史を見つめ直すと共にそこで活躍してきた女性クリエイター、また現代のエンパワーメントに至るまでを考える「令和3年度日本博主催・共催型プロジェクト Discover Beautyシンポジウム」についても概要説明があると、「日本人より外国人の方が日本の文化に詳しかったりして、私もまだまだ知らないことも多いです。でも、知らないということを恥じないことが大事なので、ぜひ参加して色々学びたいです!」と剛力はコメントした。最後にLiLiCoは、「映画は心で楽しむものだと思っていて、今、このような状況下で心を潤してくれるのは、素晴らしい作品やエンターテインメントだと思います。是非、皆さんSSFF&ASIAで沢山の作品に触れあってください!」と心の内をさらけ出した。「Ladies for Cinema Project」は、映画祭のオンライン会場()にて本日から無料で先行配信がスタートする。また、発表会の模様は5月12日(水)9:00より一般公開となるので、併せてチェックしてほしい。【開催概要】ショートショート フィルムフェスティバル&アジア 「Ladies for Cinema Project」オンライン発表会日時: 2021年5月11日(火) 11:00~11:20登壇者: 剛力彩芽(女優)、LiLiCo(タレント・映画コメンテーター)【ショートショート フィルムフェスティバル&アジア 2021 概要】映画祭代表:別所 哲也フェスティバルアンバサダー:LiLiCo(映画コメンテーター)開催期間:6月11日(金)~6月21日(月)※オンライン会場は4月27日(火)~6月30日(水)上映会場:オンライン会場および都内複数会場オフィシャルサイト: 主催:ショートショート実行委員会 / ショートショート アジア実行委員会
2021年05月11日2021年度アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた映画『アイダよ、何処へ?』が、2021年9月17日(金)より東京・渋谷のBunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開される。惨劇「スレブレニツァ・ジェノサイド」の真実を描く映画『アイダよ、何処へ?』は、第二次世界大戦後の欧州最悪のジェノサイド(=集団虐殺)とされる、約8千人のイスラム教徒が虐殺された惨劇「スレブレニツァ・ジェノサイド」の真実を描いた衝撃の作品。1995年のボスニア・ヘルツェゴヴィナ東部のスレブレニツァを舞台に、国連平和維持軍で通訳として働く女性アイダが同胞や家族を必死に守ろうとする姿を描く。気鋭の女性監督ヤスミラ・ジュバニッチ監督を務めるのは、31歳の時に発表した長編デビュー作『サラエボの花』でベルリン国際映画祭金熊賞に輝いた、ヨーロッパを代表する気鋭の女性監督ヤスミラ・ジュバニッチ。『サラエボの花』を発表して以来、『サラエボ、希望の街角』をはじめ、一貫して故郷ボスニア・ヘルツゴヴィナで起きた悲劇を描き続けている。ヤスミラ・ジュバニッチは、映画『アイダよ、何処へ?』について下記の通りコメントを寄せた。ヤスミラ・ジュバニッチ コメント全文5 年の歳月をかけ、多くの障害を乗り越えて、ようやく映画を完成させることができました。スレブレニツァ事件はボスニア人にとってつらい記憶です。 25 年を経た今でも遺体の捜索は続いているし、虐殺を逃れた人たちの多くはまだ生きている。そして、殺害された遺体が新たに発見されたら誰かが刑に処されることになる。だからセルビアでは事件自体を否定する声もあるし、さまざまな感情が渦巻く政治的にも難しい問題なのです。そこに踏み込むのは私には無理だとずっと思ってきました。ですが5作品を手掛け、ようやく私にも撮れると感じたんです。それで 調査を始めて大勢に話を聞くところから始めましたが、想像以上の大仕事でした。生き延びた人たちー彼らは今も生きているし、実際に起こったことをその目で見ているーへの大きな責任もある。だから、私たちボスニア人にとって苦痛に満ちたこの出来事を、できるだけ正確に世界に伝えたかったのです 。アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートなお、映画『アイダよ、何処へ?』は、第74回アカデミー賞外国語映画賞受賞作『ノー・マンズ・ランド』以来19年ぶりにボスニア・ヘルツェゴヴィナ映画として、2021年度のアカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた。映画『アイダよ、何処へ?』<ストーリー>ボスニア紛争末期の1995年7月11日、ボスニア東部の町スレブレニツァがセルビア人勢力の侵攻によって陥落。避難場所を求める 2 万人の市民が、町の外れにある国連施設に殺到した。国連保護軍の通訳として働くアイダは、夫と二人の息子を強引に施設内に招き入れるが、町を支配したムラディッチ将軍率いるセルビア人勢力は、国連軍との合意を一方的に破り、避難民の“移送”とおぞましい処刑を開始する。愛する家族と同胞たちの命を守るため、アイダはあらゆる手を尽くそうと施設の内外を奔走するが――。作品詳細映画『アイダよ、何処へ?』公開日:2021年9月17日(金)よりBunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開監督:ヤスミラ・ジュバニッチ出演:ヤスナ・ジュリチッチ/イズディン・バイロヴィッチボスニア・ヘルツェゴヴィナ・オーストリア・ルーマニア・オランダ・ドイツ・ポーランド・フランス・ノルウェー・トルコ合作映画/ボスニア語・セルビア語・英語他/2020年/101分/原題:Quo Vadis, Aida提供:ニューセレクト/配給:アルバトロス・フィルム
2021年05月09日米国アカデミー賞公認の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)」では、2021年もIT関連及びデジタルコンテンツの人材養成スクール・大学・大学院を運営するデジタルハリウッドと共にCGアニメーション部門を展開。優秀賞を決定する審査員に、現在はデザイナーやアーティストとして活躍する篠原ともえ、映画監督の落合賢、デジタルハリウッド大学学長の杉山知之の3名に決定した。今回、世界73の国と地域から733点の応募があった2021年のCGアニメーション部門は、6月11日(金)よりプログラム作品の上映・配信がスタート。ノミネート28作品に加え、第93回アカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートされた『Yes-People』、デジタルフロンティアグランプリ2021「ベストCGアニメーション賞」受賞『アダーニア:アサイファイショートフィルム(Adarnia : A Sci-fi shortfilm)』が特別招待作品に。ノミネート作品の中には、宇宙やロボットといった未来が舞台になるものと共に、環境破壊が起きた地球、そこから巻き起こる人種問題やパンデミック、引きこもり、サステナビリティなど、現在の社会問題を切り取り、訴えかける作品も多く見られ、CGアニメーションだからこそ描ける世界や未来像を楽しむことができる。審査員となった篠原さんといえば、映画、ドラマ、舞台など歌手・女優活動を経て、現在はイラストレーター、テキスタイルデザイナー、衣装デザイナーとして活躍。2020年、アートディレクター・池澤樹と共にクリエイティブスタジオ「STUDEO」を設立し、「SHIKAKU -シカクい生地と絵から生まれた服たち-」では、サステナビリティと向き合い、廃棄となる余剰の生地を余すことなく使い切る衣装作品などを展観して話題となった。また、落合監督は『太秦ライムライト』が国内外で高く評価され、ベトナムにて外国人として初のスタジオ映画を監督し、アクション映画『サイゴン・ボディガード』、日本原作の実写化『パパとムスメの7日間』の両作が記録的大ヒット。『サイゴン・ボディガード』はクリス・プラット主演でリメイク化が決定し、落合監督も『アベンジャーズ』シリーズのルッソ兄弟と共にエクゼクティブプロデューサーとして参加し、注目を集めている。「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2021」は6月11日(金)~6月21日(月)、都内にて開催予定。オンライン会場は6月30日(水)まで開催中。(text:cinemacafe.net)
2021年05月07日台湾アカデミー賞(金馬奨)をはじめ、ほかの映画賞でも高い評価を受けた映画『親愛なる君へ』(原題:親愛的房客/英題:Dear Tenant)が7月23日(金・祝)より日本公開決定。ポスタービジュアルが完成した。本作は、世界的評価を受けた『一年之初(一年の初め)』や『ヤンヤン』など、人と人のつながりや人生模様、アイデンティティを描くことに長けたチェン・ヨウジエ監督が5年ぶりにメガホンを取り、緻密で繊細なストーリーラインで愛の極限を描いた最新作。老婦・シウユーとその孫のヨウユーの面倒を見る青年・ジエンイー。2人は亡き同性パートナーの家族だった。しかしある日、シウユーが急死してしまう。その死因を巡り、不審の目で見られるようになるジエンイー。警察の捜査によって不利な証拠が次々に見つかり、しまいには罪を認めてしまう。だがそれは全て、愛する“家族”を守りたい一心で選択したことだった…。主演は『一年之初(一年の初め)』でもヨウジエ監督とタッグを組み、映画・舞台・ドラマと幅広く活躍するモー・ズーイー。本作でも高い評価を受け、第57回台湾アカデミー賞(金馬奨)や、第22回台北映画奨、第2回台湾映画評論家協会奨で受賞。また、老婦の名演が光ったチェン・シューファンは“国民のおばあちゃん”の別名を持つ台湾の国宝級女優で、2020年は本作と『弱くて強い女たち』で映画賞を席巻、本作で第57回台湾アカデミー賞最優秀助演女優賞を獲得した。解禁となったポスタービジュアルは、「間借り人は少年にとって“もうひとりのパパ”」というキャッチコピーとともに、ジエンイーとヨウユーが海辺で切ない表情で抱き合う写真が大きく配置されている。さらにパートナーが生きていたときの幸せな家族の食卓の写真が対照的に起用されている。『親愛なる君へ』は7月23日(金・祝)よりシネマート新宿・心斎橋ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:親愛なる君へ 2021年7月23日よりシネマート新宿・心斎橋ほか全国にて公開© 2020 FiLMOSA Production All rights
2021年04月27日25日(現地時間)に開催されたアカデミー賞で、国際長編映画賞を受賞したデンマーク映画『アナザーラウンド』。すでにレオナルド・ディカプリオの製作会社「アッピアン・ウェイ」がハリウッドでの英語リメイク権を獲得しており、ディカプリオはマッツ・ミケルセンが演じた主人公を演じることにも興味を持っているという。「Variety」誌が伝えた。昨年から様々な映画祭や映画賞で高い評価を受けている同作。リメイク権をめぐって争奪戦となり、ディカプリオのほかジェイク・ギレンホールやエリザベス・バンクスの製作会社も参戦していたと報じられている。ハリウッド版『アナザーラウンド』には、オリジナル版を監督、脚本を共同執筆したトマス・ヴィンターベアが製作総指揮として参加する。プロデューサー陣も続投。『アナザーラウンド』のストーリーは、血中アルコール濃度を一定に保つと創造力が生まれ、日々の生活も潤うという理論を証明するために、マッツ演じる主人公の教師が3人の同僚とともに実験を行うというもの。デンマークの飲酒文化をテーマとし、祝福した作品であるゆえに、オリジナル版のファンは「あえて英語でリメイクする必要がない」と不満顔。また、元ダンサーのマッツが劇中で見せているキレキレのダンスを「ディカプリオが踊れるのか?」という疑問の声も上がっている。(Hiromi Kaku)■関連作品:アナザーラウンド 2021年9月3日より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷シネクイントほか全国にて公開©2020 Zentropa Entertainments3 ApS, Zentropa Sweden AB, Topkapi Films B.V. & Zentropa Netherlands B.V.
2021年04月27日第93回アカデミー賞授賞式が4月26日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターとユニオン駅の2つの会場で開催され、ディズニー&ピクサー作品『ソウルフル・ワールド』が長編アニメーション映画賞を受賞した。人間が生まれる前の「ソウル(魂)」たちの世界を舞台に、そこに迷い込んだジャズミュージシャンを夢見る音楽教師の主人公と、何事にも興味も示さず、生きる目的を見つけられない22番と呼ばれるソウルが冒険を繰り広げる。昨年の『トイ・ストーリー4』に続き、ディズニー&ピクサー作品が同賞に輝くのは2年連続。ピート・ドクター監督の作品が受賞するのは、『カールじいさんの空飛ぶ家』(第82回)、『インサイド・ヘッド』(第88回)に続き3回目となる。『ソウルフル・ワールド』は当初、劇場公開が予定されていたが、度重なる公開延期を経て、現在はディズニー公式動画配信サービス「Disney+ (ディズニープラス)」にて独占配信されている。長編アニメ/ピート・ドクター監督の受賞コメントこの作品は、人生を教えてくれるジャズに対するラブレターです。(スタッフ、キャストの名前を挙げながら)人生の目的を追求したいという私の思いを、支えてくれた。家族もそうです。そして映画の主人公と同じ世界中の音楽教師たちにも感謝を申し上げます。彼らは世界をより良いものにしてくれています。ジャズミュージシャンの模範に従って、これからも美しいものを作っていきましょう。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ソウルフル・ワールド 2020年12月25日よりDisney+(ディズニープラス)にて配信©2020 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
2021年04月26日本年度アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた『アイダよ、何処へ?』(原題:Quo Vadis, Aida?)が、この秋、日本公開決定。ティザービジュアルも到着した。1995年夏。セルビア人勢力によって占拠されたボスニア・ヘルツェゴヴィナの町、スレブレニツァ。2万5千人もの住人たちが保護を求めて国連基地に集まっていた。国連平和維持軍で通訳として働くアイダは、交渉の中で極めて重要な情報を得ることに。セルビア人勢力の動きがエスカレートし、基地までも占拠しようとする中、アイダは逃げてきた同胞、その中にいる夫と息子たちを守ることはできるのか――。本作は、長編デビュー作『サラエボの花』が2006年ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞し、注目されたヤスミラ・ジュバニッチ監督による最新作。『サラエボ、希望の街角』をはじめ、一貫して故郷ボスニア・ヘルツェゴヴィナの悲劇、ボスニア紛争の傷跡を描き続けている監督が、オスカー初ノミネートを果たした本作は、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ東部のスレブレニツァで約8000人のイスラム教徒が虐殺された惨劇から25年という節目に、国連平和維持軍で通訳として働く女性アイダが、必死に家族を守ろうとする姿を通して、その真実を描く衝撃のドラマだ。ヴェネチア国際映画祭では無冠だったが、オスカー候補への追い上げで注目されている本作。RottenTomatoesでは、100%フレッシュの高評価を得ている。『アイダよ、何処へ?』は9月17日(金)よりBunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。(cinemacafe.net)
2021年04月25日2020年米アカデミー賞®で国際長編映画賞ショートリスト選出、さらにハンガリーアカデミー賞4部門(作品・監督・脚本・主演男優賞)受賞ほか各映画祭で話題となった映画『この世界に残されて』が、PIA LIVE STREAMにて期間限定配信されることが決定した。第二次世界大戦後のハンガリー。ナチス・ドイツによるホロコーストを生き延びた16歳の少女と、42歳の寡黙な医師アルド。家族を喪い癒えることのない心の傷を抱えた二人が、痛みを分かち合いながら再び人生と向き合う姿を、節度をもって叙情的に描く名作。少女クララを演じたのは、これが映画初主演となるアビゲール・セーケ。16歳にして家族を失ったクララの悲しみや怒り、諦念をリアルに表現し、「アルドの心の翳りに寄り添い続ける彼女の演技は感動的」(バラエティ誌)「心に傷を負った思春期の少女を演じるセーケが素晴らしい」(ハリウッド・レポーター誌)と高く評される名演を披露した。ハンガリーを代表する名優カーロイ・ハイデュクが、クララを支え無償の愛を注ぐアルドに扮し、ふとした仕草やまなざしに思いやりを感じさせる繊細な演技で、ハンガリーアカデミー賞およびハンガリー映画批評家賞で最優秀男優賞を受賞した。これまでおもに短編映画を手がけ高い評価を受けてきたバルナバ―シュ・トートが監督を務め、ベルリン国際映画祭金熊賞受賞作『心と体と』のモーニカ・メーチとエルヌー・メシュテルハーズィが製作を手がけ、孤独な男女の心の結びつきを丁寧に描く名作をふたたび世に送り出した。【ストーリー】ナチス・ドイツによって約56万人ものユダヤ人が殺害されたと言われるハンガリー。終戦後の1948年、ホロコーストを生き延びたものの、家族を喪い孤独の身となった16歳の少女クララは、ある日寡黙な医師アルドと出会う。言葉をかわすうちに、彼の心に自分と同じ欠落を感じ取ったクララは父を慕うようにアルドになつき、アルドはクララを保護することで人生を再び取り戻そうとする。彼もまた、ホロコーストの犠牲者だったのだ。だが、ソ連がハンガリーで権力を掌握すると、世間は彼らに対してスキャンダラスな誤解を抱き、やがて二人の関係も時の流れとともに移り変わってゆく―。配信は4月23日(金)から5月6日(木)まで、PIA LIVE STREAMにて。チケット発売中。
2021年04月20日4月25日(現地時間)に開催される第93回アカデミー賞授賞式において、出席者はマスクの着用を求められないことが明らかになった。主催者の映画芸術科学アカデミーが行ったZoomミーティングで発表されたという。「Variety」誌が伝えた。授賞式はテレビ/映画製作に当たるため、カメラに映っている間はマスクを着用しなくていいが、一方で、カメラに映っていないとき――例えばコマーシャルタイムなどには、マスクを常に着用する必要があるとのこと。なお、先週土曜日に行われたZoomでのプレス会議には、今回の授賞式のプロデューサーを務めるスティーヴン・ソダーバーグが出席していたが、「マスク着用が必要ない」ということには触れなかった。「マスクは今回のオスカーの物語を伝えるのに重要な役割を果たす」という意味深なコメントはしていた。また、出席者が170人に限定され、授賞式の間に入れ替えを行うことも明らかになった。候補者たちは会場の1つであるロサンゼルスのユニオン駅に到着後、会場への出入りのタイミングが記された予定表をそれぞれが受け取る。出席者には当日のユニオン駅での体温チェックはもちろんのこと、当日までに少なくとも3回のPCR検査が課されている。今年のアカデミー賞授賞式は、例年の開催地ドルビー・シアターに加えユニオン駅と2か所で行われる。また、海外にも会場を設置することも決定しており、その1つはロンドンであることが分かっている。(Hiromi Kaku)
2021年04月20日「いきものがかり」の楽曲「きらきらにひかる」をテーマにした小説を原作にしたショートフィルム『星屑の子』が、米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(略称:SSFF & ASIA)2021」にて、4月27日(火)より先行スタートするオンライン会場のオープニング作品として世界初公開、グローバル配信されることになった。原作となった小説は、ソニー・ミュージックエンタテインメントが運営する小説投稿サイト「monogatary.com」で実施されたコンテスト「モノコン2020」にて「いきものがかり」の楽曲「きらきらにひかる」をテーマにした作品として応募され、「いきものがかり賞」を獲得した作品。『ミッドナイトスワン』で日本アカデミー賞を受賞した内田英治監督が、ソニーのスマートフォン「Xperia」で全編撮影して映像化した。あらすじ呪われし子と呼ばれ、太陽の国を追われた少年マルタ(中村榛)。森をさまよい辿りついた星の国で神様に仕える星屑の子たちと出会う。星屑の子は美しく清廉潔白でなくてはならない。今年の御子であるセネブ(南出凌嘉)や、ベラ(菊地麻衣)や子どもたちと交流を深めるマルタ。だが、15歳になった御子は七夕になると…。「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2021」は6月11日(金)~6月21日(月)、都内にて開催。オンライン会場は4月27日(火)スタート。『星屑の子』は日本時間4月27日(火)14時~プレミア公開。(text:cinemacafe.net)
2021年04月20日英国アカデミー賞が発表された。作品賞に輝いたのは、『ノマドランド』。今作ではさらに、クロエ・ジャオが監督賞、フランシス・マクドーマンドが主演女優賞、ジョシュア・ジェームズ・リチャーズが撮影賞を受賞した。主演男優賞は『ファーザー』のアンソニー・ホプキンス。助演男優賞は『Judas and the Black Messiah』のダニエル・カルーヤ、助演女優賞は『ミナリ』のユン・ヨジュン。イギリス映画賞は『プロミシング・ヤング・ウーマン』。脚本賞は『プロミシング・ヤング・ウーマン』、脚色賞は『ファーザー』だった。文=猿渡由紀『ノマドランド』公開中
2021年04月12日世界各国の映画祭で観客賞を受賞しながら、「『パラサイト 半地下の家族』に続きアカデミー賞で波乱を起こす作品」と海外メディアから評された映画『ミナリ』。本年度の第93回アカデミー賞でも作品賞、監督賞ほか6部門にノミネート。主演のスティーヴン・ユァンもアジア系アメリカ人として初めて主演俳優賞にノミネートされた。ユァンといえば、海外ドラマファンでなくともその名は知る、大人気サバイバル・ヒューマンドラマ「ウォーキング・デッド」のグレン・リー役でお馴染み。大出世作となったこの「ウォーキング・デッド」を含め、製作総指揮も務めた『ミナリ』までの彼の軌跡に追った。コメディ&音楽のセンスも抜群!スティーヴン・ユァンの魅力1983年12月21日、韓国ソウル生まれ。幼少時にカナダをへてアメリカに移住し、ミシガン州トロイで育つ。「ウォーキング・デッド」においても、グレンが“ミシガン出身で韓国からの移民”と話すシーンがあり、自身の境遇が生かされている。心理学を学んでいた大学在学中から演技に目覚め、卒業後はシカゴでアジア系アメリカ人で構成されるスケッチ・コメディグループ「シチュー・フライデー・ナイト」に参加。また、ビル・マーレイやスティーブ・カレル、マシ・オカらを輩出した即興コメディ劇団の名門「セカンド・シティ」のメンバーでもあった。短編映画やコメディ映画『My Name Is Jerry』(原題/09)などに出演し、人気ドラマシリーズ「ビッグバン★セオリー/ギークなボクらの恋愛法則」シーズン3にシェルドンの元ルームメイト役でゲスト出演、1シーンながらもコメディ俳優としての才覚を発揮する。そして2009年に受けたオーディションで、AMCの「ウォーキング・デッド」(10~)の主要キャラクター、グレン役を見事に掴むと、シーズン1からシーズン7第1話まで同役を演じた。ドラマは日本をはじめ世界的人気を博し、彼も一躍ブレイク。アメリカのTVシリーズで最も成功したアジア系俳優のひとりとなった。走り回ったり、大声で叫んだり、何かと体力を消耗する撮影にはボクシングで鍛えて臨んでいたとか。2016年12月に写真家ジョアンナ・パクと結婚、現在は2児の父でもある。また、声優の仕事にも定評があり、ロボットアニメシリーズ「ヴォルトロン」をはじめ、「ファイナル・スペース」、映画『ザ・スターはじめてのクリスマス』、ギレルモ・デル・トロ監督の「トロールハンターズ」「ミッシング・スリー」「ウィザード」の“アルカディア物語”など多数の作品で活躍する。確かにユァンの深みのある低めの声質は、聞いていて心地よい。「ウォーキング・デッド」シーズン2ではグレンが「誰かギターを弾ける?」と尋ねるシーンがあったが、実は彼こそギターの達人で美しい歌声の持ち主。しかも、2016年にはJ.Y.Parkことパク・ジニョンの「Fire」MVにアメリカの人気司会者コナン・オブライエン、「TWICE」「Wonder Girls」と参加したことも。K-POPアイドル風メイクでキレキレに踊る姿も必見だ。映画では『アイ・オリジンズ』(14)や『ホワイト・ボイス』(18)ほか、ポン・ジュノ監督『Okja/オクジャ』、イ・チャンドン監督『バーニング 劇場版』と母国・韓国を代表するアイコニックな監督の作品に相次いで出演、“「ウォーキング・デッド」のアジア人”だけじゃない魅力をスクリーンで見せつけた。主演の短編映画『頑固者』(18)はショートショートフィルムフェスティバル &アジアでも日本に紹介されている。2019年には『ゲット・アウト』『アス』のジョーダン・ピールによる「トワイライト・ゾーン」リブートや、YouTube Premiumのシュールなコメディ・アンソロジー「ウィアード・シティ」にも参加。次回作は『ミナリ』の「A24」製作、トニー賞受賞舞台をエイミー・シューマーで映画化した『The Humans』(原題)で、ジェイン・ハウディシェルやリチャード・ジェンキンスといったベテラン、『ブックスマート卒業前夜のパーティーデビュー』のビーニー・フェルドスタインらと共演。さらに「トロールハンターズ」の新作ほか、ジョーダン・ピールが手がけるダニエル・カルーヤ共演のホラーなども待機する。「ウォーキング・デッド」で愛された“グレン”“ウォーカー”が大量発生した終末世界で、キャップを被った元ピザ配達の青年はいつしか銃を携え、愛する妻や仲間を命がけで守るたくましい青年へと見事な成長を遂げた。ミショーン役ダナイ・グリラを筆頭に、アフリカ系やヒスパニック系ほか、女性キャラクターも数多く登場し活躍する作品ではあるが、アジア系俳優のユァンが期待された以上の役割を演じたことに誰も異論はないはず。極限サバイバルでの人間関係も色濃く描かれた本作で、彼が演じたグレンは視聴者が心を寄せた屈指の人気キャラクターだ。シーズン序盤のグレンは、気弱なところはあるが生きるために必死。俊敏で機転が利き、偵察や物資調達の名人。仲間思いで誠実、決して嘘がつけない男。当初ダリル(ノーマン・リーダス)に中国人と間違えられるも、「韓国だ」とはっきり言うシーンもあった。人気キャラクターとなったゆえの宿命か(!?)、幾度も幾度も絶対絶命のピンチに遭遇しながら“絶対に生き抜く”という覚悟で乗り越えてきたグレン。シーズンを重ねるごとに、リーダー格の保安官リック(アンドリュー・リンカーン)が終末世界での大混乱に際して倫理観が揺らぎ、生きた人間を殺めることにも躊躇しなくなっていくのとは対照的に、グレンの変わらぬ善意に溢れた人間性はより強い印象を放っていった。シーズン2で出会い、シーズン3で夫婦となったマギー(ローレン・コーハン)から、グレンは“賢くて頼りがいのある”男性であり、囮や偵察に使われるなんて「軽視されている」と指摘されるシーンも印象的。さらに、マギーとともに捕虜になったとき初めて感情を爆発させ、ウォーカーを倒すシーンや、離ればなれになったマギーを探しにいく際の黒ずくめの防御服を着た姿などもグレンを語る上では外せない。必要とされれば、やるしかない。とにかく、前に進むしかない。そんな彼の生き様は観る者を高揚させたが、あまりにも衝撃的すぎる最期には世界中のファンが騒然となり、日本でも追悼特別映像が作られたほど。愛する者のために力強く成長していく姿を見せてきたグレン(と彼の精神)が理不尽な暴力に倒れたことは、現実の不寛容な世界を暗示しているようでもある。そして時を経て、映画『ミナリ』ではアメリカン・ドリームが打ち砕かれる恐怖を家族にも見せまいとする、理想の父親像や“男らしさ”に囚われすぎた役どころを演じている点も見逃せない。ポン・ジュノ監督×プランBとタッグ『Okja/オクジャ』(2017)ブラッド・ピットの製作会社「プランB」とポン・ジュノ監督が組んだNetflixオリジナル映画。多国籍企業のスーパーピッグ計画により誕生した“オクジャ”は、韓国の山村で少女ミジャ(アン・ソヒョン)とともに立派に育ったが、やがてアメリカへ連れていかれることに。そこへオクジャを救い、ミジャに手を貸す活動家ジェイ(ポール・ダノ)率いるALF(動物解放戦線)が現れる。ユァンが演じたのは、ALFメンバーの韓国系アメリカ人でミジャへの通訳を任されるケイ。だが、彼がジェイの言葉を正しくミジャに伝えなかったことから、さらなる悲劇がミジャとオクジャに降りかかる――。昨年度の各映画賞でポン・ジュノ監督が何度も口にしていた、「英語を習えば役に立つ」「翻訳は尊い」が身に染みたはずの(?)ケイの活躍ぶりは要チョック。ミステリアスな青年を怪演…イ・チャンドン監督『バーニング 劇場版』(2018)主人公イ・ジョンス(ユ・アイン)は兵役を終え、大学を卒業してもバイト暮らしの小説家志望の青年。パントマイムを勉強中という幼なじみシン・ヘミ(チョン・ジョンソ)と再会するが、彼女がアフリカ旅行から帰ってくると見知らぬ年上の男ベンと親しくなっていて――。ポン・ジュノ監督と組んだ縁から、イ・チャンドン監督に起用されたというユァン。「ウォーキング・デッド」の純朴青年が、優雅で都会的な雰囲気をまとい、カリスマ性と色気を放つ危険な男を演じることになるとは!彼の含み笑いには、胸騒ぎが止まらない。一等地に住み、高級車に乗り回す裕福でインテリなベンが、田舎の幻想的なマジックアワーを背景にジョンスに語る“ビニールハウス”の比喩が鍵を握る。あまりにも魅惑的なベンを演じたユァンはロサンゼルス映画批評家協会賞、全米批評家協会賞などで助演男優賞を受賞。アカデミー賞にもノミネートされてほしかった作品。感染パニックの高層ビル内で大暴れ『Z Inc. ゼット・インク』(2018)製作総指揮も兼任したユァンが演じる大手法律事務所の弁護士デレク・チョーは、ある日、同僚のミスの責任を押しつけられ解雇を言い渡される。そんなとき、感情と理性のバランスを狂わせるウィルス「ID7」が社内で蔓延、高層ビルのオフィスがまるごと隔離処置されてしまう。「ウォーキング・デッド」序盤のころのグレンの姿はどこへやら。本作では一切の迷いナシ、解雇撤回を求めてペントハウスにいるボスのもとへ、クライアントの女性(サマラ・ウィービング)とコンビを組みながら血で血を洗うバトルを繰り返して暴れ回る。本作で不思議な爽快感を得てしまうのは、かなり職場にストレスがたまっている証拠かも!?こんな彼氏に思い当たる節あり?「トゥカ&バーティー」(2019)自信家で自由奔放なオオハシのトゥカ(声:ティファニー・ハディッシュ)と、自分に自信のもてないウタツグミのバーティー(声:アリ・ウォン)はルームシェアをする親友同士。バーティーが彼氏のスペックルと同居することになり、トゥカは真上の部屋に引っ越すのだが…。トゥカとの友情や職場のセクハラなどに悩み、内に抱えがちなバーティーに対し、彼女が悶々としていることは分かっても、それが何に対してなのか見当もつかず(そのモヤモヤの原因は自分ではないと思っている)、あるときは鈍感すぎ、あるときはセンシティブすぎる彼氏スペックルの声を演じているのがユァン。大切なパートナーに黙って家を購入してしまうあたりは、『ミナリ』のジェイコブにも通じる!?なお、Netflixではシーズン2の更新がキャンセルされたが、カートゥーンネットワークの大人向け時間帯「Adult Swim」にて2021年内に復活が決定(日本上陸は未定)。また、カップルを演じたウォンとは「A24」製作のドラマシリーズで再共演することになり、ともに製作総指揮も務める。「ザ・ボーイズ」に匹敵する!?「インビンシブル ~無敵のヒーロー~」(2021)Amazon Original作品として3月26日より配信されたばかりの本作は、「ウォーキング・デッド」の原作者で製作総指揮のロバート・カークマンが手がけるスーパーヒーローアニメ。17歳のマーク・グレイソンは父親のスーパーパワーを受け継ぎ、地球で最も偉大なヒーローの1人として活動することになるが、ある衝撃的な出来事がすべてを変えてしまう…。成長途上のティーンエイジ・ヒーロー物かと思いきや、なんとR18+指定の完全大人向け。「ザ・ボーイズ」並に血しぶきが飛び、ユァンが声を務めるマーク=インビンシブルの“ヒーローであること”の恐怖や葛藤、試練に焦点が当てられる。J.K.シモンズ、サンドラ・オー、マーク・ハミルほか声優陣は豪華で、マギー役のローレン・コーハンら「ウォーキング・デッド」キャストも。全8話。「子どもたちに成功する姿を見せてやりたい」『ミナリ』(2020)リー・アイザック・チョン監督が妻のいとこだった縁もあって、参加を決めたというユァン。主演とともに製作総指揮にも名を連ねている。韓国から移住したのが4歳ごろという彼は、まさに自分の親世代に当たるジェイコブを演じた。「プランB」がこれまでも取り組んできたような、家族の再生を描くリー監督の自伝的物語であり、誰もが共感できる夫婦や、孫と祖母の普遍的な物語ともなっている。最初は西海岸で、ヒヨコの鑑別をしながら地道に働いて資金を貯めたジェイコブは、アーカンソーの高原に50エーカーもの土地を買う。映画冒頭で一家が目にする光景は、妻モニカ(ハン・イェリ)でなくとも「約束が違うじゃない!」と言いたくなるほど、何もない。ジェイコブはこの地に、自分の手で一から農園を作ることに意欲を燃やす。家族の運命を自分が握っているという、使命感とある種の優越感にひたっていることが、トラクターの後をついてくる子どもたちの様子を悠々と振り返る姿からもうかがえる。まるで、“俺が拓いた道についてくればいい”とでも言いたげだ。しかし、水が干上がり思うように作物が育たなかったり、取引先が見つからなかったりと苦難は続く。ジェイコブが闘うのは大自然でも、家族の困難でもなく、自らが背負った“子どもたちに成功する姿を見せなければ”“彼らのために道を作らなければ”という十字架のようなもの。やがてジェイコブは、アメリカン・ドリームとは父親や夫だけのものではないと気づくことになる。これまでも男性ゆえに求められる強さと、恐怖やプレッシャーと向き合う役柄を演じてきたユァン。2度目の収穫からがおいしいとされる「ミナリ」のごとく、世界的ヒットシリーズを糧にした本作で次なる躍進のときを迎えている。(text:Reiko Uehara)■関連作品:ウォーキング・デッド [海外TVドラマ]© 2010 American Movie Classic Company,LLC. All Rights Reserved.【Netflix映画】ブライト 2017年12月22日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】マッドバウンド 哀しき友情 2017年11月17日よりNetflixにて全世界同時配信【Netflixオリジナルドラマ】オルタード・カーボン 2018年2月2日より全世界同時オンラインストリーミング2月2日(金)より全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】レボリューション -米国議会に挑んだ女性たち-オクジャ/okja Netflixにて配信バーニング 劇場版 2019年2月1日よりTOHO シネマズ シャンテほか全国にて公開©2018 PinehouseFilm Co., Ltd. All Rights Reservedミナリ 2021年3月19日よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開©Photo by Melissa Lukenbaugh, Courtesy of A24
2021年04月09日「第93回アカデミー賞授賞式」の前週にYouTubeで生配信される「アカデミー賞授賞式直前パーティ!」に声優の津田健次郎が出演することが分かった。WOWOWでは、アメリカ・ロサンゼルスで開催される世界最高峰の映画の祭典「第93回アカデミー賞授賞式」を今年も独占生中継・配信する。その開催を前に行われる「アカデミー賞授賞式直前パーティ!」は、映画をこよなく愛する著名人が集い、アカデミー賞に関するトークをメインに、大好きな映画について気ままに語り合うイベントだ。すでに発表されている出演者、ビビる大木(MC)、尾上松也、こがけん、よしひろまさみち(映画ライター)に加え、「K」「Free!」などのアニメ作品や、『スター・ウォーズ』シリーズのカイロ・レンの吹き替えを担当し、声優、俳優、ナレーター、映画監督としても活躍する津田さんが出演。またこの配信終了後、事前応募者60人限定の「アカデミー賞授賞式直前パーティ!プレミアムトークセッション」が開催される。YouTube配信では語りつくせなかった濃密なトーク、プレゼント抽選会、出演者が参加者からの質問にも答えていくコーナーなども予定している。「アカデミー賞授賞式直前パーティ!」は4月16日(金)20時頃~WOWOW公式YouTubeチャンネルにて配信。※約1時間を予定「アカデミー賞授賞式直前パーティ!プレミアムトークセッション」は4月16日(金)21時頃~。※約30分を予定「生中継!第93回アカデミー賞授賞式」は4月26日(月)8時30分~WOWOWプライムにて、字幕版は4月26日(月)21時~WOWOWプライムにて放送。(cinemacafe.net)
2021年04月02日日本科学未来館は、大友克洋原作のアニメ映画『AKIRA』の“音楽”に着目した新常設展示「『AKIRA』の音 不朽のアニメ映画を彩る未知のサウンド」を2021年3月29日(月)より、常設展示ゾーン「未来をつくる」にて公開する。大友克洋の人気作品「AKIRA」の“音を体感する”常設展示がスタート1988年公開の『AKIRA』は、大友克洋による漫画が原作のアニメーション作品。2019年の混沌とした“ネオ東京”を描く緻密な筆致による画風は、その後の漫画やアニメ作品に多大な影響を与えた。また、山城祥二(芸能山城組主宰)作曲のサウンドトラックは海外で近年再発売されるほど人気を博している。独自の音楽制作を確立した山城による「AKIRA」の音楽『AKIRA』の音楽を制作した山城は、自然科学者としてホモサピエンスのとるべきライフスタイルとは何かを探る研究を行いながら、音楽の専門教育を受けないまま芸能山城組を創立して音楽活動をしていた。その活動の中で大友からの依頼を断り切れず、映画音楽を勉強しながら制作することとなり、映画音楽の制作のためサウンドモジュールという方式を考案。既存の映画音楽とは異なる作品を成立させた。制作背景を映像で紹介&スピーカー6台によるサラウンド体験新展示「『AKIRA』の音 不朽のアニメ映画を彩る未知のサウンド」では、映画『AKIRA』の音楽にフィーチャーし、作曲家という立ち位置だけでなく研究者の視点ももつ山城独自の観点による制作手法と、フィールドワークで収集した世界の民族音楽手法をもとに生まれた『AKIRA』ならではの音楽の制作背景を展示映像で読み解く。展示内では、映像制作・堀田英仁、アートディレクション/デザイン・安田昂弘の指揮のもと、3面にプロジェクターで投影する映像によって制作背景を紹介する。山城自身が設計した可聴域以上を再生可能な6台のスピーカーによるサラウンドで『AKIRA』の世界を音で体感できる。【詳細】零壱庵 「『AKIRA』の音 不朽のアニメ映画を彩る未知のサウンド」公開日:2021年3月29日(月)展示エリア:日本科学未来館 3階 常設展示ゾーン「未来をつくる」住所:東京都江東区青海2-3-6開館時間:10:00~17:00(入館券の購入は閉館時間の30分前まで)入館料:大人 630円、18歳以下 210円 ※オンラインによる事前予約が必要
2021年04月01日米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(略称:SSFF & ASIA)2021」が、6月に都内複数会場およびオンライン会場での開催が決定した。今年のテーマは「CINEMADventure(シネマドベンチャー)」。「ベンチャー」精神で、人々を「アドベンチャー」へと導いていけるよう願いを込め「シネマ」「ベンチャー」「アドベンチャー」「アド」を合わせている。世界中のフィルムメイカーたちがいまどんなことを考え、「シネマ(映画)」として発信しているか――。自由な発想に基づく創意工夫を重ねて作るショートフィルムは、これまでも溢れる「ベンチャー(開拓・新しいもの)」精神で人々を「アドベンチャー(冒険・探求心)」へと導いてきた。近年では、企業や団体も「アド(広告)」の観点からブランディングのためのショートフィルムを作り始めているケースも多い。本映画祭では、世界とつながる国際短編映画祭として、フィルムメイカー、来場者、視聴者、そして映画祭をサポートする方々と一緒に「CINEMADventure」を体現することを目指す。本年は、アカデミー賞ノミネート候補にもなる「オフィシャルコンペティション supported by Sony」ほか、全10部門に世界約120の国と地域から6,000作品以上の応募があった。「スマートフォン映画作品部門 supported by Sony」には、モバイルシューティングに対するクリエイターからの高い関心が集まり、「SSFF & ASIA」の新設部門として史上最多となる900点以上もの新しい映像表現の作品が世界中から寄せられた。なお、「SSFF & ASIA 2021」においてソニー株式会社(以下、ソニー)は昨年に続きアカデミー賞短編実写部門へのノミネート候補になる「オフィシャルコンペティション(インターナショナル部門、アジア インターナショナル部門、ジャパン部門)」を、新しい映像文化を担うクリエイターの登竜門としてサポート。昨年、「SSFF & ASIA 2020オフィシャルコンペティション supported by Sony」で上映した『白い自転車(White Eye)』(監督:Tomer Shushan)、『プレゼント(The Present)』(監督:Farah Nabulsi)が、先日発表された第93回アカデミー賞短編実写映画部門の最終ノミネート作品に選ばれている。また、「スマートフォン映画作品部門」は、クリエイターの表現の幅とチャレンジの機会をさらに広げ、スマートフォンならではの新しい映像クリエイティブの創出を目的とし、ソニーモバイルコミュニケーションズ 株式会社(以下、ソニーモバイル)がサポート。同部門は2022年の公募についても引き続き、ソニーモバイルからのサポートが決定している。「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2021」は6月11(金)~6月21日(月)、都内にて開催。オンライン会場は4月27日(火)スタート。(text:cinemacafe.net)
2021年03月25日香港代表作品として第93回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた『BETTER DAYS』(英題)が、邦題『少年の君』として7月16日(金)より劇場公開決定。メイン画像と本国版ポスターアートワークが披露された。壮絶ないじめ、苛烈な受験戦争、ストリートチルドレンなど過酷な社会問題を描いたサスペンスでもあり、主人公の2人が魅せるピュアな魂の交錯が激しく胸を打つ本作。本国ではほとんど宣伝が行われないまま公開されたにもかかわらず、250億円近い興行収入を叩き出す大ヒット、青春映画ジャンルとしてみれば歴代1位の記録を樹立した。また、香港アカデミー賞ともいわれる香港電影金像奨では作品賞、監督賞、主演女優賞を含む8冠を達成したほか、これまで実に57の映画賞を獲得(3月19日・IMDb調べ)。そして、先日は第93回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた。本作の監督を務めたのは、『インファナル・アフェア』シリーズへの出演で知られる俳優・監督のエリック・ツァンの息子で、デビュー作から高い評価を獲得してきた俊英デレク・ツァン。中国で「13億人の妹」の愛称で親しまれる人気女優チョウ・ドンユイと、中国の国民的人気アイドルグループのメンバーにして本作で演技派俳優としての地位を確立したイー・ヤンチェンシーを主演に迎え、スリリングかつ繊細な美しき傑作を作り上げ、監督作として初めて日本での全国劇場公開が決定した。ストーリー進学校に通う高校3年生のチェン・ニェン。大学進学のための全国統一入学試験を控え殺伐とする校内で、ひたすら参考書に向かい息を潜めて卒業までの日々をやり過ごしていた。そんな日々の中、同級生の女子がクラスメイトのいじめを苦に、校舎から飛び降り自らの命を絶つ。無遠慮に向けられる生徒たちのスマホのレンズ、その異様な光景に耐えきれなくなったチェン・ニェンは、遺体にそっと自分の上着をかけてやる。しかし、そのことがきっかけで、激しいいじめの矛先はチェン・ニェンへと向かうようになってしまう。彼女の学費のためと犯罪スレスレの商売に手を出している母親以外に身寄りはなく、頼る者もないチェン・ニェン。同級生たちの悪意が日増しに激しくなる中、下校途中の彼女は集団暴行を受けている少年を目撃し、とっさの判断で彼・シャオベイを窮地から救う。辛く孤独な日々を送る優等生の少女と、ストリートに生きるしかなかった不良少年。2人の孤独な魂は、いつしか互いに引き合っていくのだが…。『少年の君』は7月16日(金)より新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマほか全国にて公開。(C) 2019 Shooting Pictures Ltd., China (Shenzhen) Wit Media. Co., Ltd., Tianjin XIRON Entertainment Co., Ltd., We Pictures Ltd., Kashi J.Q. Culture and Media Company Limited,The Alliance of Gods Pictures (Tianjin) Co., Ltd., Shanghai Alibaba Pictures Co., Ltd., Tianjin Maoyan Weying Media Co., Ltd., Lianray Pictures, Local Entertainment, Yunyan Pictures,Beijing Jin Yi Jia Yi Film Distribution Co., Ltd., Dadi Century (Beijing) Co., Ltd., Zhejiang Hengdian Films Co., Ltd., Fat Kids Production, Goodfellas Pictures Limited. ALL Rights reserved.(text:cinemacafe.net)■関連作品:少年の君 2021年7月16日より新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマほか全国にて公開© 2019 Shooting Pictures Ltd., China (Shenzhen) Wit Media. Co., Ltd., Tianjin XIRON Entertainment Co., Ltd., We Pictures Ltd., Kashi J.Q. Culture and Media Company Limited, The Alliance of Gods Pictures (Tianjin) Co., Ltd., Shanghai Alibaba Pictures Co., Ltd., Tianjin Maoyan Weying Media Co., Ltd., Lianray Pictures, Local Entertainment, Yunyan Pictures, Beijing Jin Yi Jia Yi Film Distribution Co., Ltd., Dadi Century (Beijing) Co., Ltd., Zhejiang Hengdian Films Co., Ltd., Fat Kids Production, Goodfellas Pictures Limited. ALL Rights reserved.
2021年03月23日草なぎ剛主演の映画『ミッドナイトスワン』が、「第44回日本アカデミー賞」で最優秀作品賞、最優秀主演男優賞はじめ、優秀賞8部門、新人俳優賞受賞を受賞したことを記念し、凱旋上映されることが決定した。東京、神奈川、千葉、大阪、福岡の全7劇場で26日より上映される。本作は、都会の片隅で出会った、トランスジェンダーの凪沙(草なぎ)と母親の愛を知らずに生きてきた少女・一果(服部樹咲)が心を寄せ合う姿を描き、凪沙の生き様、無償の愛を届けた。これまで各種SNS、ネット上では、観客や著名人、さらには昨年末12月31日に公開された台湾からも感動の声が続出。文春文庫より発売された小説版も異例の大ヒット、ハワイ国際映画祭、カイロ国際映画祭と、世界での上映も続いた。また、各映画賞でも評価され、数々の賞を受賞している。凱旋上映される7劇場は、TOHOシネマズ日比谷、TOHOシネマズ新宿、池袋HUMAXシネマズ(いずれも東京)、TOHOシネマズららぽーと横浜(神奈川)、TOHOシネマズ流山おおたかの森(千葉)、TOHOシネマズ梅田(大阪)、kino cinema 天神(福岡)。上映時間など詳細については、各種映画館ホームページにて。(C)2020 Midnight Swan Film Partners
2021年03月22日映画情報総合サイト「Yahoo!映画」と動画配信サービス「GYAO!」が公開している「第93回アカデミー賞2021特集」にて、WEBでは無料配信が初となる『ソーシャル・ネットワーク』をはじめ、『LION/ライオン ~25年目のただいま~』『ムーンライト』『ラ・ラ・ランド』など過去にアカデミー賞を受賞した作品、ノミネートされた作品を合計42作品が無料で配信されることになった。本特集ではそのほか、ノミネート作品の紹介やレッドカーペットのフォトギャラリーなど、本年度のアカデミー賞を盛り上げるたくさんの企画を実施。部門別ノミネート作品・予告編の紹介はもちろん、授賞式当日の日本時間4月26日(月)午前10時には、特集ページ上でリアルタイムで授賞式の様子や結果速報をお届けする。※米国アカデミー賞自体が中止となった場合、本特集も中止となる。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ソーシャル・ネットワーク 2011年1月15日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2010 Sony Pictures Digital Inc. All Rights Reserved.ラ・ラ・ランド 2017年2月24日よりTOHOシネマズ みゆき座ほか全国にて公開© 2016 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.ムーンライト 2017年3月31日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© 2016 A24 Distribution, LLCLION/ライオン〜25年目のただいま〜 2017年4月7日よりTOHOシネマズ みゆき座ほか全国にて公開© Long Way Home Holdings Pty Ltd and Screen Australia
2021年03月16日KAAT神奈川芸術劇場の新芸術監督就任会見、ならびに2021年度ラインアップ発表会が行われ、現芸術監督の白井晃、芸術参与で次期芸術監督の長塚圭史が登壇した。3月末で任期を終える白井は、KAATに携わった7年の歳月を「身に余る重責に自問自答する日々でした」と振り返る。その中で、長塚の演出作である新ロイヤル大衆舎『王将』(2017年)を東京・下北沢で鑑賞した時に「小劇場からあふれ出るエネルギーや企画力をぜひKAATでも活かして欲しい」とオファーの経緯を明かした。続いて壇上に立ったのは、4月に白井からバトンを受け取る長塚。芸術監督としてのテーマに“劇場をより開いていく”を掲げ、実現に向けた3点の新方針を打ち出した。1.シーズン制の導入新国立劇場などですでに取り入れられているシーズン制だが、その狙いを「劇場に季節感やリズムをもたらしたい」と語った長塚。4〜6月にはプレシーズンとして、実験的なトライアル公演を多数投入する。その後、初夏に恒例のキッズプログラムを配置。8月からのメインシーズンには毎年タイトルを設け、今年は「冒(ぼう)」がアナウンスされた。「飛び出す・はみ出す・突き進むイメージで“冒険心”いっぱいにやっていきたいですね」2.ひらかれた劇場を目指してKAATは今年で開館10周年。長塚は「演劇界で存在感が増してきたKAAT自身を財産に、これまで芝居を観たことのない人にも届けたい」と意気込む。手始めに、新ロイヤル大衆舎『王将』の再演を開放的なエントランス(1階アトリウム)に特設劇場を設けて行う試みを発表。タニノクロウとは『虹む街』で神奈川県民とのクリエーションを企画中だ。自身が上演台本・演出を手がける最遊記モチーフの『冒険者たち ~JOURNEY TO THE WEST~』では県内を西に向かって巡演し、「KAATを飛び出して多くの県民にお会いできれば」と笑顔を覗かせた。3.豊かな創作環境作り・劇場の未来を考える「上演がない期間もクリエーションが常に続いている劇場でありたい」という思いを込め、長塚は任期スタートとともに「カイハツ」と題したプロジェクトを始動させる。もともと“つくる劇場”を掲げていたKAATを「アーティスト同士の相互交流、国内外・新旧問わない戯曲との出会いや開発の場にできれば」として、さらなる創作環境の発展に努める構えだ。このあと、2021年度のKAATラインアップが発表された。「オリンピック前の上演がふさわしい」と長塚が懇願し、昨年度に公演中止となった『ポルノグラフィ』『未練の幽霊と怪物 ―「挫波」「敦賀」―』が持ち越されたほか、自身が演出する『近松心中物語』、2020年頭に草彅剛が主演し話題を集めた白井の演出作『アルトゥロ・ウイの興隆』再演も。心機一転したKAATの充実ぶりから、引き続き目が離せない。取材・文:岡山朋代
2021年03月05日2021年4月より、長塚圭史が白井晃の後を引き継ぎ、KAAT神奈川芸術劇場の新芸術監督に就任する。現芸術監督の白井晃は、2014年に同劇場の芸術参与に就任、2016年より芸術監督を務め7年間劇場と共に歩んできた。白井が「そのエネルギーをぜひ劇場に注いでほしい」と信頼を寄せる長塚の新芸術監督就任式と、2021年度の同劇場プログラムのラインアップ発表会がおこなわれた。白井晃長塚の芸術監督就任に際し、白井は「本当に嬉しく思っています」と喜びを表し、「(この7年間は)身に余る重責をいただいた、その重責との闘いだったと思います。就任時は開館3年の若い劇場で、“つくる劇場”を提唱してクリエーション力には定評がありましたが、より強い発信力が必要だと思いました。『劇場こそ広場である』という言葉がありますが、もっとたくさんの人に集まってもらいたいと思い、東京ではやらないようなより挑戦的で先鋭的なプログラムを企画し、おかげさまで19年度は過去最高のお客様に来場していただきました」と自身の就任期間をふりかえった。さらに「もっと面白く刺激的な作品をやらなければと思った時に、(長塚が所属する)新ロイヤル大衆舎の『王将』を下北沢の小劇場で観ました。そのエネルギーをぜひとも劇場にほしいと思い、それをきっかけにお願いしました」と長塚を任命した経緯を語り、「(予定していたプログラムの多くが中止になったため)バトンタッチをするときはここまでやっておきたいと思ったところに行けなかったのは残念」としつつ、「劇場を取り巻く環境も大きく変わらざるを得ない状況なので良いチャンスなのではと思います。この7年の間、関わってくださった全てのアーティスト・スタッフの皆さんに心から感謝します。長塚新芸術監督の船出を心よりお祝いします」と感謝と激励で締めくくった。長塚圭史続いて長塚新芸術監督より、2021年度に打ち出していきたい、という3つの方針についての説明があった。まずひとつめは、「シーズン制の導入」だ。「劇場に季節感やリズムをつくりたい、劇場がリズムをもっていると、周辺の方々により劇場という存在が浸透するのでは」と導入の理由を説明。4~6月を「プレシーズン」として実験的な公演を、夏には人気の「キッズ・プログラム」、そして秋から冬の半年間が「メインシーズン」。この「メインシーズン」は毎年テーマに沿ってプログラムを企画するとしており、2021年度のテーマは「冒」。ふたつめの方針は「ひらかれた劇場」。劇場の外からもみえる劇場1階のアトリウムに特設劇場を設置して新ロイヤル大衆舎『王将』を上演することが決定しているほか、劇場を飛び出して神奈川県内を巡演する公演も企画しているという。「まだ出会えていない方たちにもお会いできるように1階のアトリウムをもっと活用したい」と語る。3つ目は「カイハツ」プロジェクト。アイデアを練り上げたり、戯曲を研究したり「創造すること」に焦点をあて、アーティストがさまざまなアイデアをトライアルする場や機会を積極的に設けていくという。「上演をしていなくても、中ではぐつぐつと、アーティストたちが熱をもって創作をしている、そんな空間にできたら」と長塚。「大役を任せられて非常にがんばらなければと思っています。これまで10年間で築き上げられたものに大いにのっかって、動きのある劇場にしていきたいなと思います」と意気込みを語った。長塚圭史2021年度のラインアップは以下の通り<プレシーズン>■KAAT神奈川芸術劇場プロデュースリーディング公演『ポルノグラフィ』2005年ロンドン市内で起きた地下鉄とバス同時爆破事件に想を得た意欲作をKAATプロデュース公演初登場となる桐山知也が演出。作:サイモン・スティーヴンス翻訳:小田島創志演出:桐山知也出演:上田桃子内田淳子小川ゲン奥村佳恵竪山隼太那須凜平原慎太郎堀部圭亮(五十音順)2021年4月16日(金)~2021年4月18日(日)<中スタジオ>■新ロイヤル大衆舎×KAAT『王将』-三部作-伝説の下北沢「楽園」公演から4年。アトリウム特設劇場にて『王将』待望の上演決定。作:北條秀司構成台本+演出:長塚圭史音楽:山内圭哉出演:福田転球大堀こういち長塚圭史山内圭哉(以上新ロイヤル大衆舎)常盤貴子江口のりこ森田涼花弘中麻紀櫻井章喜高木稟福本雄樹荒谷清水塚本幸男武谷公雄森田真和田中佑弥忠津勇樹原田志2021年5月15日(土)~2021年6月6日(日)<アトリウム特設劇場>■KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『未練の幽霊と怪物』―「挫波(ザハ)」「敦賀(つるが)」―第72回読売文学賞受賞作。能のフォーマットを応用し、ついえた「夢」を幻視する、レクイエムとしての音楽劇。作・演出:岡田利規音楽監督・演奏:内橋和久出演:森山未來片桐はいり栗原類石橋静河太田信吾/七尾旅人(謡手)2021年6月上旬~下旬<大スタジオ>■KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『虹む街』演劇界の鬼才、タニノクロウが、“神奈川・横浜市のある地域、そこに暮らす人々の風景”を描く最新作。作・演出:タニノクロウ出演:安藤玉恵金子清文緒方晋タニノクロウ蘭妖子 +県民参加の皆様2021年6月上旬~下旬<中スタジオ>■KAAT DANCE SERIES 2021イスラエル・ガルバン「春の祭典』ストラヴィンスキーの作曲の根源に迫る傑作。振付・ダンス:イスラエル・ガルバン作曲・音楽監督:シルヴィー・クルボアジェピアノ:シルヴィー・クルボアジェ、 コリー・スマイス2021年6月18日(金)~2021年6月20日(日)予定<ホール>■KAATキッズ・プログラム2021『ククノチテクテクマナツノボウケン』振付家・北村明子と現代美術家・大小島真木がタッグを組み、「夏休み」をテーマに自然や生命をめぐる子ども向けダンス作品を上演。振付:北村明子舞台美術:大小島真木出演:柴一平清家悠圭岡村樹黒須育海井田亜彩実永井直也2021年7月<大スタジオ><メインシーズン『冒』>■KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『湊横濱荒狗挽歌(みなとよこはまあらぶるいぬのさけび)』歌舞伎でおなじみの「三人吉三」をモチーフに、型破りでハードボイルドな現代劇が誕生。脚本:野木萌葱演出:シライケイタ2021年8月末~9月中旬<大スタジオ>■KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『近松心中物語』元禄時代の二つの恋の情景が、2021年の我々に問いかけることとは? 現代演劇の金字塔に、新芸術監督・長塚圭史が挑む。作:秋元松代演出:長塚圭史出演:田中哲司/ 松田龍平、笹本玲奈 / 石橋静河ほか2021年9月上旬~下旬<ホール>※北九州、豊橋、兵庫、松本公演もあり■KAAT EXHIBITION 2021 『志村信裕 展|游動』うつし/思い寄せる。その瑞々しさと、ゆらめき/語りかける。それらが交感する世界を志村の新作映像インスタレーションを通じて展覧。2021年9月9日(木)~10月8日(金)<中スタジオ>■KAAT DANCE SERIES 2021×Dance Dance Dance@YOKOHAMA 2021『エリア50代』出演:小林十市近藤良平ほか2021年9月23日(木・祝)~9月26日(日)<大スタジオ>■KAAT DANCE SERIES 2021×Dance Dance Dance@YOKOHAMA 2021『Noism Company Niigata × 小林十市』演出振付:金森穣出演:Noism0 / Noism1 / Noism 2、小林十市v2021年10月16日(土)~2021年10月17日(日)<ホール>■KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『アルトゥロ・ウイの興隆』白井晃×草彅剛のタッグで注目集めた話題作が待望の再演。作:ベルトルト・ブレヒト翻訳:酒寄進一演出:白井晃音楽・演奏:オーサカ=モノレール振付:Ruu2021年11月<ホール>■KAAT DANCE SERIES2021『Le Tambour de soie綾の鼓』演出・振付・出演:伊藤郁女、笈田ヨシテキスト:ジャン・クラウド・カリエール原作:三島由紀夫音楽:矢吹誠2021年12月下旬<大スタジオ>■KAATカナガワ・ツアー・プロジェクト第一弾『冒険者たち~JOURNEY TO THE WEST~』誰もが親しむアジアの古典『西遊記』をベースに、長塚圭史が書き下ろし演出する、神奈川県内の伝説を巡る冒険譚。原作:呉承恩『西遊記』上演台本・演出:長塚圭史共同演出:大澤遊音楽:角銅真実2022年2月<中スタジオ>※相模原公演、大和公演、厚木公演、小田原公演、横須賀公演ほか、神奈川県内を巡演予定。■KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『ラビット・ホール』篠﨑絵里子×小山ゆうなの初タッグ。受け止めがたい現実を人はどのように受け入れていくことができるのか?作:デヴィッド・リンゼイ=アベアー上演台本:篠﨑絵里子演出:小山ゆうな2022年2-3月<大スタジオ>■YPAM 2021‒ 横浜国際舞台芸術ミーティング開館以来開催してきたTPAMを受け継ぎ、国際的舞台芸術プラットフォームとして装いを新たに再出発。2021年12月中旬<ホール・大スタジオ・中スタジオ>予定【提携公演】仕立て屋のサーカス4月<大スタジオ>錬肉工房6月<中スタジオ>とりふね舞踏舎7~8月<大スタジオ>劇団た組10~11月<大スタジオ>OrganWorks12月<大スタジオ>地点1月<大スタジオ>Baobab1月<大スタジオ>Co.山田うん1月<大スタジオ>BATIK3月<大スタジオ>ほか※各公演の最新情報は、劇場公式サイト にてご確認ください。
2021年03月04日米津玄師が、令和2年度(2020年4月〜2021年3月)の第71回芸術選奨文部科学大臣新人賞・大衆芸能部門を受賞した。大衆芸能部門において、平成生まれのアーティストの新人賞受賞は初めての快挙となる。芸術選奨文部科学大臣新人賞は文化庁が毎年度、芸術各分野において優れた業績を挙げ、新生面を開いた人物に対して送られる賞となっており、米津が2020年8月にリリースしたアルバム『STRAY SHEEP』において「沈静化したポップス界の再活性化」を促したことが評価され、今回の受賞に至った。アルバム『STRAY SHEEP』は、CDの売上枚数と、デジタルダウンロードのDL数およびストリーミングの再生数を合計したセールスがダブルミリオンを突破し、今なお記録を更新し続けている。3億5,000万ユーザーを誇るオンラインゲーム「FORTNITE」での革新的なバーチャルライブの開催や、ユニクロとのコラボTシャツの販売、さらには世界的映画監督・是枝裕和氏が手掛けた「カナリヤ」MVの公開など、1年を通して様々な活動を展開。米津が2020年度に受賞したランキングは今回の賞も含めて29冠を達成した。■令和2年度「第71回 芸術選奨文部科学大臣 新人賞」大衆芸能部門 贈呈理由米津玄師氏は2018年に発表され、ロング・ヒットとなった「Lemon」でその存在を広く知られ、Foorinへの提供曲「パプリカ」のヒットにより幅広いファンの支持を得た。ヒップ・ホップ的なセンス、歌謡曲的な要素を継承したメロディー、エレクトロニクスとアコースティックを融合させた斬新で充実した完成度の高い音楽性が評価され、アルバム「STRAY SHEEP」では新型コロナウイルス禍による混沌(こんとん)とした社会状況を反映した新曲も収録。沈静化したポップス界の再活性化を促す端緒となった。文化庁 報道資料リリース情報米津玄師 5th ALBUM『STRAY SHEEP』2020年8月5日(水) 発売『STRAY SHEEP』ジャケット<商品形態>おまもり盤(初回限定):CD+ボックス+キーホルダー / 税抜4,500円アートブック盤(初回限定):CD+Blu-ray+アートブック / 税抜6,800円アートブック盤(初回限定):CD+DVD+アートブック / 税抜6,800円通常盤:CD only / 税抜3,000円<収録内容>【CD】(全形態共通)01. カムパネルラ02. Flamingo(ソニーワイヤレスヘッドホンCM)03. 感電(TBS系金曜ドラマ「MIU404」主題歌)04. PLACEBO + 野田洋次郎(野田洋次郎とのコラボ楽曲)05. パプリカ(Foorin「パプリカ」のセルフカバー)06. 馬と鹿(TBS系日曜劇場「ノーサイド・ゲーム」主題歌)07. 優しい人08. Lemon(TBS系金曜ドラマ「アンナチュラル」主題歌)09. まちがいさがし(菅田将暉「まちがいさがし」のセルフカバー)10. ひまわり11. 迷える羊(大塚製薬「カロリーメイト」CMソング)12. Décolleté13. TEENAGE RIOT(ギャツビーCM)14. 海の幽霊(映画「海獣の子供」主題歌)15. カナリヤ【Blu-ray・DVD】(アートブック盤(初回限定)のみに収録)LIVE VIDEO:米津玄師 2019 TOUR / 脊椎がオパールになる頃2019.3.11 幕張メッセ展示ホール01. Flamingo02. LOSER03. 砂の惑星04. 飛燕05. かいじゅうのマーチ06. アイネクライネ07. 春雷08. Moonlight09. fogbound10. amen11. Paper Flower12. Undercover13. 爱丽丝14. ピースサイン15. TEENAGE RIOT16. Nighthawks17. orion18. LemonEN1. ごめんねEN2. クランベリーとパンケーキEN3. 灰色と青MUSIC VIDEO:01. Lemon02. Flamingo03. TEENAGE RIOT04. 海の幽霊05. パプリカ06. 馬と鹿関連リンク米津玄師 オフィシャルHP米津玄師 公式twitter
2021年03月03日今年80周年を迎えるアニメーションシリーズの実写映画化『トムとジェリー』。日本でもお馴染みのこのアニメーションシリーズは、なんと過去に13回もアカデミー賞にノミネートされており、1940年代には同賞短編アニメ賞を席巻、そのうち7度もアカデミー賞を受賞。その可愛らしいキャラクターとユーモアに溢れたストーリーで、子どもだけでなく大人からも長年に渡り支持され続けている。そんな世界中から愛され、根強いファンも多い作品には一体どんな魅力があるのか?これまでにアカデミー賞を受賞したアニメーション映画の名作をふり返りながら、誕生から80周年を迎え、ついに実写の世界へ飛び出した『トムとジェリー』の魅力にも迫った。『千と千尋の神隠し』(スタジオジブリ/2001年)10歳の少女・千尋は、両親と地方都市に引っ越す途中、異世界に迷い込む。そこでは人間は、魔女・湯婆婆が経営する神さまのための銭湯で働かない限り、ブタや石炭に変身させられてしまうのだった。ブタになった両親を助けようと、千尋は“千”としてそこで働きはじめる。果たして、千尋は名前を取り戻し、両親と共に元の世界に帰ることはできるのか…?宮崎駿監督のもと作画監督の安藤雅司、美術監督の武重洋二、音楽の久石譲など、“宮崎アニメ”の常連が結集。第52回ベルリン国際映画祭ではアニメーション作品として初の金熊賞を受賞し、第75回アカデミー賞でも長編アニメーション賞を受賞。国内興行収入は316億円となり、今年まで約19年もの間、日本国内の歴代興行収入1位に君臨してきた。懐かしさや異国情緒あふれる煌びやかな風景、慣れない環境下で両親を助けるため奮闘する“千”=千尋の姿に、世界中が勇気をもらい涙したスタジオジブリの傑作。『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』(アードマン/2006年)町の住人は畑の野菜を荒らしまわるウサギたちに頭を悩ませていた。年に一度の“巨大野菜コンテスト”を目前に控え、害虫駆除隊のウォレスとグルミットは大忙し。彼らは畑で大量のウサギを捕まえるが、心優しいウォレスは殺せずに野菜嫌いにさせる実験を試みる。だが実験は失敗し、さらなる大事件を引き起こしてしまう。ウォレスとグルミットは町の野菜を守りきることができるのか?これまで数本の短編・中編映画が製作されていたクレイアニメ作品「ウォレスとグルミット」シリーズ初の長編映画であり、製作には5年半もの月日が費やされた。第33回アニー賞全10部門及び第78回アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞。CGアニメにはない独特の質感や、シュールなストーリーが人気を博し、世界中に熱狂的なファンも多い。愛犬グルミットの表情の豊かさが愛らしく、気づけばその世界観に引き込まれてしまうこと必至。「トムとジェリー」のようなコメディタッチな展開や、少しとぼけた主人公としっかり者の愛犬コンビというキャラクターの可愛さも魅力!『リメンバー・ミー』(ディズニー・ピクサー/2017年)天才的なギターの才能を持つ少年ミゲルはミュージシャンを夢見ているが、過去の悲しい出来事が原因で、彼の一族は代々、音楽を禁じられていた。ある日ミゲルは、憧れの伝説的ミュージシャン、デラクルスの霊廟に飾られていたギターを手にしたことをきっかけに“死者の国”へと迷いこんでしまう。ミゲルはそこで出会った陽気で孤独なガイコツのヘクターに協力してもらい、元の世界へ戻る方法を探るが……。メキシコの祝日「死者の日」を題材に、ミゲルの冒険や家族をめぐる重大な秘密と強い絆を、つい口ずさんでしまいたくなる音楽とともに描き、ピクサー屈指の“泣ける作品”として話題になった。物語の鍵を握る劇中歌「リメンバー・ミー」の作詞・作曲を、『アナと雪の女王」の「レット・イット・ゴー~ありのままで~」を手掛けたクリステン・アンダーソン=ロペス&ロバート・ロペスが担当。第90回アカデミー賞では長編アニメーション賞および主題歌賞を受賞し、日本でも興行収入50億円を超える大ヒットを記録。『トムとジェリー』(ワーナー・ブラザース/2021年)とあるニューヨークの一流ホテルで、世界中が注目するセレブカップルの「世紀のウエディングパーティー」が行われることに。ホテル中が準備に追われる中で、あのいたずら好きネズミのジェリーがホテルに引っ越してきて大騒ぎ!新人スタッフのケイラは急遽“ネズミ対策”で猫のトムをボーイとして雇うも、“ふたり”はニューヨーク中を巻き込んだ壮絶な追いかけっこを繰り広げ、さらにはある陰謀に巻き込まれウエディングパーティーを台無しにしてしまう。そのせいでクビになったケイラを助けるため、そして新郎新婦のため、“ふたり”はタッグを組むことになるが――。ケイラ役のクロエ・グレース・モレッツほか、『アントマン』シリーズのマイケル・ペーニャ、『デッドプール2』のロブ・ディレイニー、『ハングオーバー!』シリーズのケン・チョンらが共演。『ファンタスティック・フォー超能力ユニット』のティム・ストーリーがメガホンをとった。1940年の誕生から80周年を迎える「トムとジェリー」初の実写映画化で、アニメーションで描かれるトムとジェリーのキャラクターデザインの可愛さはそのままに実写映像と融合。さらに豪華俳優陣と織りなす、お茶目な“ふたり”の掛け合いは必見。これまで命がけでケンカしてきた「トムジェリ」が、今度は命がけで手を組むことに。そして、まさかの心揺さぶる展開が待ち受ける。こうした名作アニメーション作品には、アニメーションならではの表現方法や個性の光るキャラクター、観る者の琴線に触れるようなストーリー展開など、ファンの心を掴んで離さない魅力に溢れている。様々なジャンルやテーマのアニメーション映画の中から、お気に入りの作品を見つけてみては?『トムとジェリー』は3月19日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:リメンバー・ミー(2018) 2018年3月16日より全国にて公開©2017 Disney/Pixar. All Rights Reserved.トムとジェリー 2021年3月19日より全国にて公開©2020 Warner Bros. All Rights Reserved.
2021年02月24日舞踊家の近藤良平が彩の国さいたま芸術劇場の次期芸術監督に決定したことが発表された。彩の国さいたま芸術劇場は、優れた舞台芸術等の芸術文化に身近に接する機会を提供し、及び埼玉県民の芸術文化活動を支援すること等により、芸術及び文化の一層の振興を図り、真に豊かさとゆとりを実感できる県民生活の実現に寄与することを目的とした劇場。2006年からは蜷川幸雄芸術監督の下で、演劇、ダンス、音楽を中心に芸術性の高い作品を創造・上演してきたほか、「さいたまゴールド・シアター」や「さいたまネクスト・シアター」など公共劇場ならではの取り組みを実施するなど、「創造する劇場」として埼玉から日本全国、世界に向け芸術文化の発信を行ってきた。この度、蜷川幸雄前芸術監督の後を引き継ぐ新しい劇場のリーダーとして選任された近藤は、1996年に自身のダンスカンパニー「コンドルズ」を旗揚げ。以降、振付家・ダンサーとして舞台や映像の分野で幅広い支持を集めている近藤はこれまで、コンドルズ埼玉新作公演や障がい者ダンスチーム「ハンドルズ」公演などを通じて、埼玉県の芸術文化に貢献したことを評価され、次期芸術監督の決定に至った。今後は近藤次期芸術監督の下、彩の国さいたま芸術劇場が次代の芸術表現を果敢に切り拓く創造拠点として、また社会や地域に開かれた広場として、あらゆる人々が自由闊達に交わりアートを創造・発見する劇場を目指していく。 また、近藤は2022年4月の芸術監督就任に先立ち、2021年4月1日から次期芸術監督として、2022 年度以降の劇場の新たな創造発信の方向性やプログラムの策定にあたる。なお、彩の国シェイクスピア・シリーズは吉田鋼太郎が「シリーズ芸術監督」として続投するとのことだ。近藤良平コメント令和3年となり、未だ続く安心できない時代の中、彩の国さいたま芸術劇場の芸術監督就任のお話をいただきました。その驚くべき任命と決定に心から謝意を申し上げます。大学で「ダンス」に出会い「舞台」という場所を知り「コンドルズ」をはじめました。たくさんのダンサー、役者、舞台関係者に出会い、そして蜷川幸雄さんにここ彩の国さいたま芸術劇場で出会い、転がるように時間が過ぎ今この場所にいます。思いかえすと劇場には、人が人を呼びさらに人へと繋いでいくそんな景色が見えます。僕も決して一人でかけあがってきたわけではありません。みんなと共にやってきました。劇場の扉をあけるとそこは楽しいところです。間違いありません。様々な人が行き交う場所、風が気持ちよくぬける劇場に、僕はしてゆきたいと思います。まずは次期芸術監督として、この彩の国さいたま芸術劇場と一緒に動き出したいと思います。なにとぞよろしくお願いいたします。 近藤良平※財団HPでは近藤の動画コメントも公開中www.saf.or.jp<次期芸術監督に関連する事業予定(2021年度)>●「コンドルズ埼玉公演 2021新作」公演日:6月5日(土)・6日(日)
2021年02月16日