果たして『ラ・ラ・ランド』は何部門受賞するか?第89回アカデミー賞を前に、持ち上がる話題といえばこの1点だけだった。それだけに同作が作品賞を逃す波乱の結果(というより、前代未聞のハプニング)は映画ファンや業界関係者を大いに驚かせた。ただ、まず言わなければならないのは、大逆転を果たした『ムーンライト』が作品賞の栄冠に値する完成度を誇っているという点。貧困エリアで育った黒人少年の成長を描いた本作は、「自分とは何者なのか?」とアイデンティティを模索する姿が美しい映像と繊細な心理描写で描かれており、テーマそのものが文化や宗教を超えて非常に普遍的。観客によって、感情移入するキャラクターの視点も変わるため、不思議な余韻を味わえる一作だ。6部門を受賞した『ラ・ラ・ランド』、3冠達成の『ムーンライト』に続き、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』が主演男優賞&脚本賞、『ハクソー・リッジ』が編集賞&録音賞でそれぞれ2部門に輝いた。一方、『Fences』(原題)は助演女優賞を獲得するも、大本命と目されていた主演男優賞を逃したデンゼル・ワシントンが、目を真っ赤にし、悔しがる表情が印象に残る。応援していた『メッセージ』は音響編集賞のみの受賞で、少々残念である。後出しジャンケンのようで心苦しいが、冷静に受賞者リストを見返すと、非常にバランスが取れており、大混戦だった昨年以上に今年のノミネーションが多様性に富んでいたとわかる。『ラ・ラ・ランド』の独走を止めたのも、この多様性にほかならず、アカデミー会員が個々の作品の芸術性と革新性に、真摯に向き合った結果なのではないだろうか。さまざまな批判に対し、安易な決着をせず、オスカーなりの“本気”を見せる姿勢に、好感を抱く。司会のジミー・キンメルによる絶妙なトランプいじりのおかげで、セレモニー全体は当初の予想に反して、政治色は弱めだ。授賞式の幕開けは、ジャスティン・ティンバーレイクによる華やかなライブパフォーマンス。さまざまな人種のダンサー、ミュージシャンが客席を一体化させた熱狂は、いまのアメリカの目指すべき方向を示している。ツアー客へのどっきりや、俳優本人に悪口ツイッターを読ませるなど、基本的には楽しい演出が多かった。もちろん、明確な反トランプ発言もあった。例えば、アニメ賞のプレゼンターを務めたメキシコ出身の俳優ガエル・ガルシア・ベルナルは、「メキシコ人として、移民労働者として、そして人間として、国境の壁に反対です」と明言。その直後に、アメリカの長きにわたる繁栄を支える多様性を描いた『ズートピア』が「長編アニメーション映画賞」に輝くと、共同メガホンをとったリッチ・ムーア監督は、「寛容さは、他者への恐怖より力強い」とスピーチした。また、トランプ大統領が署名した7か国の市民入国を一時的に禁止する大統領令に抗議し、外国語映画賞候補になったイラン映画『セールスマン』のアスガル・ファルハーディー監督、主演のタラネ・アリシュスティは授賞式出席を辞退。ファルハーディー監督は『別離』に続き、見事2度目の外国語映画賞に輝いたが、代理として米在住のイラン人女性がオスカー像を受け取り、「偏見を壊すのが映画の役目」と監督からのメッセージを代読した。(text:Ryo Uchida)
2017年02月28日第89回アカデミー賞は前代未聞、空前絶後(笑)のハプニングで幕を閉じた。作品に輝いたのは大本命『ラ・ラ・ランド』ではなく、対抗馬の『ムーンライト』。夢を追う尊さを描いた『ラ・ラ・ランド』にとって、受賞の喜びはまさに“夢の瞬間”でしかなかった。まずは本年度のアカデミー賞をけん引した両雄の受賞結果をまとめておこう。『ムーンライト』は作品賞、脚色賞、助演男優賞(マハーシャラ・アリ)の3部門で栄冠。一方、史上最多タイとなる13部門14ノミネートに挙がっていた『ラ・ラ・ランド』は、監督賞(デイミアン・チャゼル)、主演女優賞(エマ・ストーン)、撮影賞、美術賞、作曲賞、歌曲賞の合計6部門に輝き、本年度の最多部門受賞を果たした。■ブラッド・ピットの制作会社がまた作品賞!受賞発表後、早速話題になっているのが本作を製作した「プランBエンターテインメント」の快挙だ。映画ファンにはおなじみだが、あのブラッド・ピットが所有する映画制作会社で、過去に『ディパーテッド』(マーティン・スコセッシ監督)、『それでも夜は明ける』(スティーヴ・マックイーン監督)がアカデミー賞作品賞に輝く実績を誇っているのだ。「脚本がとんでもなく素晴らしく、構成は特筆すべきエレガントさとシンプルさがあった」と語るのは、共同社長でプロデューサーを務めるジェレミー・クライナー。決して派手な要素はないが、バリー・ジェンキンス監督の独特なビジュアル感覚と、手がけた脚本の繊細な心理描写を見抜き、映画化を実現させた功績は非常に大きい。■“白すぎるオスカー”への反省は?アカデミー賞といえば近年、白人俳優ばかりがノミネートされる“白すぎるオスカー”と批判されており、本年度はその対策にも注目が集まった。結果として、演技賞候補20人のうち、アフリカ系の俳優が6人名前を連ねることになった。そんな流れのなかで、ジェンキンス監督がアフリカ系監督で初の監督賞を受賞し、作品賞は『ラ・ラ・ランド』に…という予想を立てていたが、結果はその逆。先述した『それでも夜は明ける』も作品賞、助演女優賞、脚色賞の3部門と似た受賞結果になっている点を見ると、批判への配慮というよりは、純粋に作品が評価されたと捉えるべきだろう。■若き才能にチャンス与えるハリウッド『ムーンライト』のメガホンをとったジェンキンス監督は現在37歳で、本作は長編2作目。また、史上最年少で監督賞に輝いたチャゼル監督は現在32歳で『ラ・ラ・ランド』が長編3作目である。両監督に共通するのは野心と革新性、そして実験精神だ。彼らの躍進はハリウッドの人材の豊富さに加えて、その才能にチャンスを与える業界の懐の深さを象徴している。一方、本年度はオスカーの常連であるクリント・イーストウッド監督の『ハドソン川の奇跡』、マーティン・スコセッシ監督の『沈黙-サイレンス-』がともに技術系の部門での1ノミネートに留まっており(受賞はせず)、ベテランに厳しい結果になっている。(text:Ryo Uchida)
2017年02月27日ロサンゼルスを舞台に、エマ・ストーン演じる女優志望のミアとライアン・ゴズリング演じるジャズピアニストを目指すセバスチャンの恋と夢を描き出す『ラ・ラ・ランド』。本年度アカデミー賞で史上最多タイの14ノミネートを獲得している本作は、『雨に唄えば』や『シェルブールの雨傘』など往年の名作を彷彿とさせながら、現代の夢追い人も共感できるミュージカル・エンターテインメント。本作には、いま注目すべき日系イギリス人女優ソノヤ・ミズノが出演する。クールビューティーなルックスと、長い手足を生かした伸びやかなダンス、豊かな表現力はひと際目を引く存在だ。ソノヤさんは1988年東京生まれ、イギリス・サマセット育ち。11歳から20歳まで、かの英国ロイヤル・バレエ・スクールで学び、卒業後はドイツ・ドレスデン国立歌劇場バレエやスコティッシュ・バレエなどに在籍し、数々の舞台を踏んできた。20歳のときにモデルとしても活動をスタート。「シャネル(CHANEL)」「アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQUEEN)」「イヴ・サンローラン(Yves Saint-Laurent)」「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」といったトップブランドや雑誌でモデルを務めた。2015年には、「ケミカルブラザーズ」feat.ベックのミュージックビデオ「Wide Open」でダンサーを務めて話題となり、アリシア・ヴィキャンデルが美しすぎるAIロボットを演じたアカデミー賞視覚効果賞受賞作『エクス・マキナ』で、ハウスキーパーのAIロボット・キョウコを演じて鮮烈な長編映画デビューを果たした。日本では、2016年のユニクロスポーツのCMでクールに踊る彼女を目にした人も多いかもしれない。『エクス・マキナ』では、驚異的なAIを生み出したIT企業社長ネイサンとキレッキレのディスコダンスを踊ってみせたり、抜群のスタイルを惜しげもなく披露したりと、一躍注目を集めた。ハリウッドの“イットガール”と呼ばれ、後にアカデミー賞も受賞したアリシアや、主人公のドーナル・グリーソン、ネイサン役のオスカー・アイザックといった実力派との共演は、ソノヤさんにとっても大きな刺激になった様子だ。続く、“バレエ版『ピッチ・パーフェクト』”とも呼ばれる『ハートビート』では、名門マリインスキー・バレエに所属していたキーナン・カンパ演じる主人公ルビーのルームメイト、ジャジー役に。AIロボのキョウコはひと言も言葉を発っしないキャラクターだったが、同作ではバレエと恋の両立に悩むジャジーを快活に演じており、劇中では自慢のバレエはもちろん、アイリッシュ・ダンスなども華麗に披露している。そして今回の『ラ・ラ・ランド』でも、出演シーンはわずかながら、エマ演じるミアのルームメイト、ケイトリン役をオーディションでゲット。ミアをはじめ、同じ夢を追う個性豊かな女子4人がルームシェアをしながら、夜ごとに“仕事につながる”出会いを求めて出かけていくのだ。鮮やかな原色ドレスに身を包んだ彼女たちが「サムワン・イン・ザ・クラウド(Someone In The Crowd)」を歌いながらパーティーに繰り出すシーンは、序盤の見どころの1つとなっている(ソノヤさんは黄色のドレスを着用)。さらに、エマ・ワトソン主演のディズニー実写映画『美女と野獣』(4月21日公開)にも出演しており、こちらでも見事なダンスを披露する可能性大。『エクス・マキナ』監督&脚本のアレックス・ガーランドにも気に入られた様子でナタリー・ポートマン主演の次回作『Annihilation』(原題/’17)にも参加するほか、ミュージシャン志望の女性役で主演を務めるスリラー『Ambition』(原題/’17)など、出演作が続いている。アリシアや2人のエマといった、トップ女優へと駆け上がる彼女たちを間近で見てきたソノヤさん。今年は、彼女自身が輝く番かもしれない。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ラ・ラ・ランド 2017年2月24日よりTOHOシネマズ みゆき座ほか全国にて公開(C) 2016 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.美女と野獣 (2017) 2017年4月21日より全国にて公開(C) 2016 Disney. All Rights Reserved.
2017年02月24日現在放送中の日本テレビ系連続ドラマ「スーパーサラリーマン左江内氏」。コントさながらの構成で笑いを繰り広げるコメディドラマだが、主演の堤真一、鬼嫁役の小泉今日子のほか、ムロツヨシや佐藤二朗といった濃いキャスト陣のなかで一際視聴者の注目を集めているのが池杉照士役の賀来賢人だ。「スーパーサラリーマン左江内氏」(以下:左江内氏)は、「勇者ヨシヒコ」シリーズや『HK/変態仮面』シリーズでも見られる独特なテンポと、コメディを描かせたら右に出る者はいないと言われるギャグセンスが魅力的な福田雄一脚本。ゴールデンタイムの連ドラとは言え、前述したようにコントさながらの構成は健在。昨年大ブレイクした“恋ダンス”を意識したかのようなエンディングをはじめ、随所に見られるパロディー要素、視聴者も半ば置いてきぼりされそうなほどの間合いやキャストのメタ発言などなど、「これぞ“福田ワールド”」な本作だが、この“福田ワールド”の要と言えるのが主演の脇を固めるキャストたちだ。ムロさん、佐藤さんといった福田作品の常連キャストに加え、今回注目したいのが池杉照士役の賀来さん。左江内の会社の部下という脇役ながらも、池杉=“いけすぎ”という名の通り、いきすぎるオーバーアクションや変顔といった奇行を連発。福田氏さえも「イケスギはもう、なんだかわからないことになっています」(Twitterより)と漏らしているほどのキャラクターなのだが、このクセの強い演技には笑うよりも前に驚かされた視聴者も多いのではないだろうか。賀来さんは2007年デビュー、近年では2014年度連続テレビ小説「花子とアン」でヒロインの兄役を、2015年には大河ドラマ「花燃ゆ」で新撰組・沖田総司を演じる。昨年は野村周平とのW主演映画『森山中教習所』が公開され、「Nのために」(2014年)で共演した榮倉奈々と結婚したことも記憶に新しい。正統派イケメンのように見えた賀来さんになにが…?と言いたいところだが、賀来さんはこれまで「左江内氏」以前にも福田作品に出演しており、福田作品の新たな顔になりつつある。直近ではwebドラマ「宇宙の仕事」(2016年・amazonプライム)でも、主演のムロさんと良い掛け合いを見せていて、池杉的なクセの強い演技はここでも垣間見られる。つまり今回の「左江内氏」で、ようやく賀来さんの福田作品へのハマり具合が地上波で解放されたということだ。「宇宙の仕事」Amazonプライム・ビデオ提供そんな賀来さん、この夏には福田氏脚本の舞台「ヤングフランケンシュタイン」の公演も控える。メアリー・シェリー原作の「フランケンシュタイン」をパロディー化したコメディー「ヤングフランケンシュタイン」は1974年にメル・ブルックス監督・脚本によって映画化され、2007年にはブルックスの作詞・作曲・脚本によってブロードウェイで上演された。主演は、同じく福田氏が監督を務める映画『銀魂』(7月14日(金)公開)にも主演の小栗旬。「賢人のとこは7割カットしてる。3割であの長さ!」(Twitterより)と語る福田氏の言葉からも、賀来さんの解放はまだその一端にすぎないよう。これからはムロさんらのように、彼にしか出せないクセが見られることを楽しみしたい。(text:cinemacafe.net)
2017年02月23日今週末から、いよいよ日本でも公開される話題のミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』。今月26日(現地時間)のアカデミー賞でも作品賞最有力と言われている本作が、ある海外ドラマとつながりを持っていることをご存じでしょうか?その海外ドラマとは、スティーブン・スピルバーグが製作総指揮を務めた「SMASH」。2012年から2シーズン放送された「SMASH」は、ブロードウェイのスターを夢見るヒロインを中心に、業界の内幕を描くショウビズドラマとして日本でも注目を集めました。新作ミュージカルをブロードウェイで上演すべく、キャストの座を勝ち取った役者たちはもちろん、演出家、プロデューサー、作詞家、作曲家、出資者らが思惑を交錯させていく「SMASH」は、劇中に登場するミュージカルがドラマ用に作られたオリジナルであることも魅力の1つ。物語の中心となる劇中ミュージカルを描くため、豪華なソングライターたちによって数多くの歌曲が作られました。その豪華なソングライターたちの中の1組が、『ラ・ラ・ランド』の劇中歌の作詞を担当しているベンジ・パセック&ジャスティン・ポール。ゴールデン・グローブ賞で『ラ・ラ・ランド』が主題歌賞を受賞したときに壇上で大喜びしていた2人組、と言えば思い出せる人もいるでしょう。このベンジ・パセック&ジャスティン・ポールは、共に1985年生まれの若さでありながら、すでにブロードウェイで大活躍しているコンビ。作詞作曲を手掛けたミュージカル「クリスマス・ストーリー」がトニー賞のミュージカル部門作品賞にノミネートされたほか、リバー・フェニックス主演映画を舞台化した「ドッグファイト」などでも知られています。本来は作詞作曲を2人で手掛けることの多いパセック&ポールですが、『ラ・ラ・ランド』では彼らが劇中歌の作詞を担当し、デイミアン・チャゼル監督の盟友でもあるジャスティン・ハーウィッツが作曲を担当。言うなれば、シンガーソングライターのスガシカオさんが「SMAP」の「夜空ノムコウ」に歌詞のみを提供したときのような状態でしょうか。オープニング曲の「Another Day of Sun」からゴールデン・グローブ賞に輝いた「City of Stars」、ミア役エマ・ストーンの熱唱が美しい「Audition」まで、1曲1曲にのせた言葉がどれも愛おしく響いてきます。名作ミュージカルへのオマージュなど、クラシカルな魅力をフィーチャーされがちな『ラ・ラ・ランド』ですが、いまを生きる私たちにも身近な作品となったのはパセック&ポールの紡いだ言葉の力も大きいところ。彼らが「SMASH」で手掛けた楽曲も、若々しくエネルギッシュなものでした。『ラ・ラ・ランド』で注目度がさらに急上昇中のパセック&ポールは、作詞作曲を手掛ける新作ミュージカル「ディア・エヴァン・ハンセン」(『ラ・ラ・ランド』に負けない大傑作!)が現在ブロードウェイで大ヒット中。こちらは、友達のいない高校生エヴァンが同級生の自殺をきっかけにSNS社会の注目の的になるものの、自分の内に秘めた真実を言い出せず…という、より一層現代的な物語です。また、海外ドラマ作品では、ミュージカル仕立てとなる「THE FLASH/フラッシュ」と「SUPERGIRL/スーパーガール」のクロスオーバー・エピソードにも楽曲を提供。このエピソードは、全米で3月20~21日に放送されます。さらに、ヒュー・ジャックマン主演のミュージカル映画『ザ・グレイテスト・ショウマン』(原題)やディズニーの実写版『白雪姫』でも音楽を担当!ベンジ・パセック&ジャスティン・ポールの名前を、今後もぜひ覚えておきたいところです。(text:Hikaru Watanabe)■関連作品:ラ・ラ・ランド 2017年2月24日よりTOHOシネマズ みゆき座ほか全国にて公開(C) 2016 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.
2017年02月22日受賞式を前に『ラ・ラ・ランド』の圧勝が予想される第89回アカデミー賞だが、対抗馬として高く評価される秀作も少なくない。いま、ハリウッドが最も熱い視線を送る俊英、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『メッセージ』もその1本。大げさではなく、全人類必見の傑作だ。突如、世界12の都市に降り立ち、静止する巨大な飛行物体。米軍に雇われた言語学者のルイーズは、シェルと名付けられた船内にいる謎の知的生命体との意思疎通を試みる。“彼ら”は触手から吐き出す水墨のような液体で円形を描き、他者とのコミュニケーションを図っていた。その円形に刻まれたメッセージの解読を粘り強く続けるルイーズ。一方、中国やロシアは飛行物体への攻撃を検討。アメリカも対応を迫られる…。彼らが地球に来た目的は?人類がエイリアンと遭遇し、交流(もしくは攻防)を繰り広げるSF映画は、これまでにも数多く存在するし、名作もあれば、駄作もある、いわば手あかのついたジャンルだ。にもかかわらず、本作には見る者をつかんで離さない強烈な“引力”がある。その引力とは、映画が投げかける愛と死、そして時間といった人生のナゾ。ちょうど、ルイーズが宇宙人と対話するように、私たち観客もスクリーン越しに『メッセージ』と対話を重ねるのだ。飛行物体が飛来した12の都市がそれぞれの反応を示したように、『メッセージ』に対しても十人十色、さまざまな意見や解釈があるはずだ。決して難解な内容ではないが、見終わった瞬間は「いままで見ていたものは何だったんだろう?」と思案に暮れてしまうかも。だからこそ「あのシーン、どう思う?」と誰かと対話できるのが、本作の醍醐味。そう考えると、宇宙人の到着を意味する原題“Arrival”より、邦題『メッセージ』のほうが本質を突いている。第83回アカデミー賞の外国語映画賞候補となった『灼熱の魂』をはじめ、『プリズナーズ』『ボーダーライン』といった秀作でパワフルな演出力を発揮してきたヴィルヌーヴ監督が、本作ではSF的センスの高さも証明。10月に公開される『ブレードランナー 2049』でもメガホンをとり、さらには一大SF叙事詩『砂の惑星』のリブートに大抜擢されたのだから、その手腕は本物だ。次世代のリドリー・スコットと評するのも、ほめ過ぎではないだろう。第89回アカデミー賞ではSF映画として異例の作品賞、監督賞、脚色賞、撮影賞、編集賞、美術賞、録音賞、音響編集賞の8部門にノミネートされている本作。でも、主人公ルイーズ役のエイミー・アダムスは主演女優賞候補に絶対挙がるべきだし、人類に走る緊張、そしてエイリアンたちの心情を代弁するヨハン・ヨハンソンの音楽もすばらしい。そもそも、視覚効果賞候補からもれているのも納得がいかず、正直8部門候補でも足りないほどだ。(text:Ryo Uchida)■関連作品:メッセージ 2017年5月19日よりTOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国にて公開
2017年02月19日今クールは、2017年の幕開けに相応しい深~いドラマが目白押し!中でも、深く胸に突き刺さり過ぎて「痛い」と話題の恋愛指南ドラマが、ネット上で大きな話題を呼んでいます。この冬、心に吹く隙間風をどう凌ぐべきか――今日は作品の魅力を考察すると共に、心の寒さ対策についてもまとめてご紹介していきましょう。■リアルな“結婚感”が浮き彫りに――「突然ですが、明日結婚します」に学ぶ“急がば回れ”「いつか専業主婦になりたい」と夢見ている女性ほど、なぜだか「結婚のどこが良いの?」と白けている男性に惹かれる傾向にあるから不思議ですよね。同名漫画を原作に、結婚に対する価値観がてんで合わない2人が喧嘩をしながらも惹かれ合う様を描いた「突然ですが、明日結婚します」。もちろん恋愛の延長が理想ではありますが、一筋縄ではいかないのが結婚の難しさ。その厳しい現実に、「同じように不毛な恋をしたことがある」「身近な話題過ぎて耳が痛い」との刺さる意見が相次いで呟かれていますよ~。西内まりやさんが演じる主人公・高梨あすかは、大手銀行に勤め、数々の金融に関する資格を持つバリバリのキャリアウーマン。そう、本来人が羨むべきスキルを持っているにも関わらず、“結婚”という二文字だけを手に入れることができないからもどかしいんですね!一方、山村隆太さん演じるイケメンで優秀な人気アナウンサー・名波竜も、昨今急増中と言われている「嫌婚男子」だから面白い。初対面のときから惹かれ合っているにも関わらず、厄介な結婚感が足かせとなり、なかなか上手く相手を思いやることができない悶々とした恋模様こそ、まさに現代のリアルと言えるのではないでしょうか。本作に学ぶ対策としては、その目標が結婚であれキャリアアップであれ、心の持ちようは一貫して同じ“急がば回れ”であるということ。生きる上で、隣の芝生は青く見えて当たり前!思っていたルートと違う道を歩き始めた際、「私は、どこに向かって歩いているんだろう…?」と不安になるのではなく、「どんな道を通ってでも、ゴールに着くんだ」という強い意志を掲げることが重要なのでは?回り道をしたあすかがどんな結論に辿り着くのか、楽しみですね。■アラサー・アラフォー女子の悲鳴殺到「東京タラレバ娘」は“反面教師”として活かすべしまた、今クールSNSを賑わしているドラマがもう一本。放送前から「あの名作漫画がついに…」と大きな注目を集めていた、「東京タラレバ娘」です。「もしあのとき、違う選択をしていたら」「もっとこうしていれば」と現実逃避を繰り返す30歳“タラレバ娘”たちの悲痛の叫びを、等身過ぎるラブストーリーで描いた本作。主人公・鎌田倫子(吉高由里子)は、かつて自らがふった同僚に失恋。親友・山川香(榮倉奈々)は元カレ・バンドマンの二股にずるずると引きずり込まれ、鳥居小雪(大島優子)は自分の価値を低く見積もり不倫の泥沼へ…。長らく恋愛から遠ざかっていたツケが回ってきたのか、同世代の女性たちが次々と結婚・出産していく中、取り残されていく恐怖に手も足も出せない状態です。「だからアンタたちはダメなんだよ」そこに現れた、ある種救世主の金髪モデル・KEY(坂口健太郎)の愛ある喝が、毎話私たちの胸を、これでもかというほど鋭い指摘で打ち抜いていきます。タラレバ妄想を繰り返し、傷をなめ合っているだけじゃなにも変わらない――痛い指摘の数々は、最終的にきっと、私たちに明るい未来を切り開いてくれることでしょう。「まるで自分事のようで、見ていてツライ」という声も聞こえてきますが、ドラマはドラマ!あくまで他人事という涼しい気持ちで見ていれば良いんですよ。その上で、こっそり彼女たちを“反面教師”として、自分の今後に活かしていくくらいのパワフルさを持ちましょう。いつの時代も、恋愛ドラマは人生の教科書――とても勉強になります。1月クールも、あっという間に折り返し地点へと突入です。是非、お気に入りの一作を探してみてくださいね。(text:Yuki Watanabe)
2017年02月13日ラッセ・ハルストレム監督の実写版『くるみ割り人形』の製作が、2018年の公開に向けて進んでいます。キャストは金平糖の精役にキーラ・ナイトレイ、人形使いのドロッセルマイヤー役にモーガン・フリーマン、少女クララ役にマッケンジー・フォイという魅力的なメンバー。公開前にストーリーを確認しておきたいと思っていたら、このタイミングで英国ロイヤル・バレエの「くるみ割り人形」が映画館で上映されると聞き、“映画館でバレエ鑑賞”を初体験してきました。「くるみ割り人形」のタイトルはよく耳にしますし、何と言ってもチャイコフスキーの音楽が有名です。しかし、日本ではほかのポピュラーなバレエの演目「シンデレラ」、「ロミオとジュリエット」などと比べると、詳しい内容はあまり知られていないかもしれません。私も「くるみ割り人形をもらった少女クララが、人形と一緒にねずみの王様と戦った後に不思議なお菓子の国への冒険へ繰り出す」というざっくりとした知識しかなく不安だったのですが、「英国ロイヤル・オペラ・ハウスシネマシーズン2016/17」の『くるみ割り人形』は、そんな初心者を置き去りにしない構成で作られています。バレエの舞台を見に行ってみたいけど、初めの一歩が踏み出せない…そんな人に自信を持ってオススメしたいのが“映画館でバレエ”という鑑賞スタイルです。■至れり尽くせりの解説付き&舞台裏が覗ける!映画館でバレエ鑑賞といえば、文字通り、バレエの開幕から閉幕までを撮影したものを見るというイメージがあるのでは?ところが、この『くるみ割り人形』では、練習風景、キャストや伝説的振付師ピーター・ライト(なんと90歳!)へのインタビュー(物語の解説もアリ)、バレリーナたちがトゥシューズの扱いにどんな工夫をしているかなどの裏話が第1幕と第2幕それぞれの前に流れ、演目に興味や親近感を沸かせます。物語の流れを聞いた直後に実際のバレエを見られるので、内容も理解しやすいのです。■特等席を独り占め!ダンサーの表情や光る汗までをも堪能4階建ての円形観客席を有する世界最高のレベルを誇る名門歌劇場「英国ロイヤル・オペラ・ハウス」。この劇場でわずか2か月前に上演された「くるみ割り人形」を、素晴らしいカメラワークにより、特等席で見ているかのようなゴージャス感に浸れます。オペラグラスなしに、ダンサーの豊かな表情、息づかい、汗まで目に出来るのは、“映画館でバレエ鑑賞”の最大のメリットでしょう。映画2本分のわずかな価格(特別料金:一般3,600円、学生2,500円)で極上のひとときを味わえるのもポイントです。■“体力大賞”は金平糖の精&王子!日本人ダンサーも出演見どころは、挙げたらきりがないほどたくさんありますが、中でも思わず息を止めて見入ってしまうのは、第2幕の金平糖の精と王子のパ・ド・ドゥ。たとえバレエの初心者であっても「ものすごく高度で、ものすごく体力を消耗する踊り」のオンパレードだというのが一目瞭然です。ペア、王子、金平糖の精、ペアの順で間髪を入れずにハードな踊りが続くのですが、ツラそう、大変そうなネガティブなイメージは一切にじませず、気品高く優雅に観客を魅了するプロ意識の高さ!王子役のフェデリコ・ボネッリも金平糖の精役のローレン・カスバートソンも、踊りだけでなくビジュアルもパーフェクトな美しさで、目を楽しませてくれます。アラビアン・ダンサーとして出演している日本人の平野亮一さんも、ミステリアスかつ力強い踊りで会場を盛り上げます。「くるみ割り人形」はクリスマスのお話なので時期は少しずれていますが、クリスマスのお祭りムードはいつ見てもワクワクするもの。今年のクリスマスに舞台のバレエ「くるみ割り人形」を見ることを目標に、映画館で予習するのもいいかもしれませんね。「英国ロイヤル・オペラ・ハウスシネマシーズン2016/17」は、現在公開中の『くるみ割り人形』を含め、バレエは『眠れる森の美女』など5本、オペラは『蝶々夫人』など3本が今後公開されます。それぞれ上映期間はわずか1週間で1日1回と限られているので、お見逃しなく!(Hiromi Kaku)
2017年02月11日バレンタインシーズンが到来し、チョコレート関連の催事をはじめ、カップル向けのイベントが各地で開かれている。六本木ヒルズでは、1月27日(金)~2月14日(火)までの19日間、「Roppongi Hills St. Valentine 2017」を開催。チョコレート専門店からアパレルショップまで約40店舗が参加し、チョコレートギフトや限定メニューが登場する。特に今年は思わずインスタグラムに投稿したくなってしまうようなフォトジェニックなバレンタインスイーツがラインナップしてるから、要チェックだ。今月、ぜひカップルで鑑賞したい映画は、演技派俳優・小日向文世と深津絵里が夫婦役で共演した『サバイバルファミリー』。『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』『ハッピーフライト』など、数々の大ヒット作を生み出した矢口史靖監督の待望の最新作だ。六本木では、「TOHOシネマズ六本木ヒルズ」で上映される。東京に暮らす平凡な一家、鈴木家。お母さんが話しかけても、お父さんはテレビに夢中、息子はヘッドホンから流れる音楽に夢中、娘はスマホでLINEに夢中。一緒にいるのになんだかみんなバラバラな、よくある家族。そんな鈴木家に起こった緊急事態!ある朝起きたら、電化製品が全部とまっている!!しかも我が家だけでなくお隣をはじめご近所も。突然訪れた超絶不自由な生活にほとほと困ってしまう人々。そんな中、亭主関白な父、義之(小日向文世)が下した一世一代の大決断!果たして、サバイバル能力ゼロの平凡一家は電気がなくなった世界で生き延びることができるのか?いま、鈴木家のサバイバルライフの幕があがる…。エキセントリックな物語設定だけでなく、撮影に際してロケ隊の総移動距離が地球を4分の1にも及んだというから驚きだ。さらにそのロケ内容の過酷さも話題となった。カップルでサバイバルムービーを鑑賞した後は、「いざとなった時どうする?」なんて会話に花が咲きそうだ。映画館を出たら、2人で「Roppongi Hills St. Valentine 2017」に参加している店舗をまわってみてはいかが?六本木ヒルズ内のカフェ、レストラン14店舗ではバレンタイン限定スイーツを展開している。「ヒルズ ダル・マット」では、惑星のような球体のチョコレートにアツアツのガナッシュを流しかけて、チョコレートを溶かすと、中からチョコレートジェラートとナッツが登場する仕掛けスイーツ「ドーム ショコラ」(1,620円)が登場だ。森タワー52Fのカフェ&レストラン「Museum Cafe & Restaurant THE SUN & THE MOON」でも、東京を一望できる大パノラマを眺めながらスイーツに舌鼓。デートにもうってつけの“天空のバレンタイン“を楽しめる。カフェでお茶をしたら、やっぱりこの時期ならではのとっておきのチョコレートを2人で選んでみたい。お持ち帰りして、家でじっくりと2人で楽しんでもいい。今年は9店舗でバレンタインチョコレートが販売されるが、「ラ・メゾン・デュ・ショコラ」や「ラ ブティック ドゥ ジョエル・ロブション」「ジャン・ジョルジュ 東京」など名だたる名店のチョコレートや、「エストネーション」や「エル カフェ」「ローラズ・カップケーキ 東京」など、トレンド最先端のショップのバレンタインアイテムも注目だ。そのほか、2月8日(水)から登場するワゴン ショップの中では、2016年、フランス パリで開かれたサロン・デュ・ショコラ・パリの品評会で最高評価を獲得した「ル ショコラ ドゥ アッシュ」のアイテムや、日本料理店「賛否両論」の笠原シェフが手掛けるチョコレートもチェックしておきたい。日が暮れたら六本木けやき坂通りへ。約120万灯のLEDのイルミネーションが、道行く恋人たちをあたたかく包み込む。今年は、バレンタイン当日の2月14日(火)まで点灯されている。『サバイバルファミリー』は2月11日(土)より全国東宝系にて公開。(text:Miwa Ogata)■関連作品:サバイバルファミリー 2017年2月11日より全国東宝系にて公開(C) 2017フジテレビジョン東宝電通アルタミラピクチャーズ
2017年02月09日ただでさえ寒いこの季節――テレビの中でも、思わず背筋の凍るようなゾクッとするドラマが根強い人気を集めています。最初に大きな事件が起こるも、主人公にはその犯人がわからない。事件の全貌は明かされず、視聴者も同じ目線で物語を見進めるので、感情移入度もバッチリです!本日は、そんな手に汗握ると話題のドラマをピックアップしてご紹介致しましょう。■草なぎ剛が演じるのは、天才詐欺師悲しくも痛快な復讐の連鎖――「嘘の戦争」「SMAP」解散後、初のドラマ出演となる草なぎさん。およそ2年前、前作「銭の戦争」では、順風満帆なエリート証券マンが、金と権力に裏切られ人生の階段を急降下――心を殺し、金のみを信じて復讐の人生を辿る主人公を見事熱演し大きな注目を呼びました。そんな復讐シリーズの第2弾となる今作「嘘の戦争」でも、草なぎさんは再びその確固たる演技力を見せつけてくれています。演じるのは、家族が殺された未解決事件の真実を暴くため、天才詐欺師となり復讐に挑む主人公・一ノ瀬浩一。幸せな家庭を壊した、犯人は一体誰なのか?詐欺師ならではの手法で事件関係者に巧みな罠を仕掛け、破滅させていく様は毎話圧巻です!次から次へと明かされていく衝撃の事実。彼が最終目標として掲げている大手医療企業の会長・二科興三(市村正親)は本当に黒幕なのでしょうか!?「僕の生きる道」シリーズなど、草なぎさんと共演回数の多い大杉蓮さんや、裏切りの名脇役と言えばこの人=マギーさんなど、まだまだ気になる存在が多いので、注意してご視聴くださいね。加えて、恋愛面でも、本作はハラハラが止まりません。浩一の嘘を見破ることができる唯一の仲間・ハルカ(水原希子)VS復讐のためとはいえ、結婚を約束した恋人・楓(山本美月)。静かに燃える、2人の恋の炎――バッチバチです(笑)。愛と憎しみの三角関係に揺れる男女の行方にも、是非注目してみてはいかがでしょうか。■小雪×伊藤 でこぼこコンビの相性は抜群企業倒産に潜む悪を裁け!「大貧乏」そしてもうひとつ、ゾクゾクするのがこちらの作品。小雪さん演じる極貧シングルマザーが、理不尽な社会に立ち向かう奮闘劇「大貧乏」です。TBS「A LIFE~愛しき人~」の裏枠で苦戦を強いられているというニュースが目につきますが、日9らしいほっこりヒューマン×ミステリーのコラボはとても面白く、安心して視聴できる一作となっていますよ。2人の子どもを女手ひとつで育てている主人公・七草ゆず子は、勤めていた会社の急な倒産で、給与に貯金…その全てを失い、“大貧乏”へと転落してしまいました。最初は途方に暮れていたゆず子でしたが、同窓会で再会した弁護士・柿原新一(伊藤淳史)の助言で、会社の倒産には裏があり、その引き金として自分自身も僅かながらに関与していたことを知るのです。子どもたちが懐いている柿原と共に、でこぼこコンビを結成。しかし、事件の核心に迫るにつれ、身の回りは警告と言わんばかりの脅しが襲い掛かります。挙動がいかにも怪しい経理部長・浅岡(滝藤賢一)や、逆に優しい笑顔が恐くも見える会社社長・天満(奥田瑛二)など、黒幕の正体には様々な憶測が飛び交っていますね。回を追う毎に、予期せぬ方向へと展開していく犯人探しの旅。2017年若手注目俳優として名高い成田凌の不思議な動きを見落とさぬよう、ちりばめられているヒントを探してみてくださいませ。以上、冬クールおすすめの謎解きドラマでした。3月に迫る最終回に向け、是非ご家族で“黒幕予想”を楽しんでみては…?(text:Yuki Watanabe)
2017年02月07日同じ材料、味付けなのに、盛り付けや食器、食べる場所を変えたりするだけでも、食べてくれることがありますが、毎食ちゃんと食べてくれないと、私もイライラしてきます。食にあまり興味がないのか、なかなか食事が進まない日々を過ごしているわが家ですが、そんな中、私が実践しているわが子への食事対応をご紹介したいと思います。 同じ材料でも器を変えただけで変化が!ある日の夕食でチキンライスを出したときのこと。チキンライスをお皿に入れただけでは、まったく食べてくれなかった娘。そのため、それでは困ると、大好きなキャラクターの型に入れて再び目の前に出してみると、飛びつくように食べ始め、すべて完食していました! 同じ材料、味付けなのに、型に入れるだけで食欲が出てくるとは驚きでした。また、野菜なども型抜きをしたほうが喜んで食べてくれたりと、普段はあまり盛り付けなどにこだわっていなかったので、私にとってはとても意外だった出来事でした。 食べる場所を変えると、気分も変わって…子どもと一緒にある日お皿を買いに行った日のことです。夕食のとき、子どもが選んだお皿に食事を盛り付けると、「自分で選んだ食器だから」とうれしそうに食べていました。 また、お昼ごはんはお弁当箱につめて公園やベランダで食べたり、寒い冬はリビングにレジャーシートを敷いたりするだけでも、いつもよりほんの少し食べる気持ちが盛り上げることができたと思います。場所を変えるだけで娘の気分も変わるようで、定期的に取り入れていきたいなと思いました。 自分自身の気持ちの余裕を持つために取り組んだこといろいろと試行錯誤をしながら食事に関して取り組んでいますが、やはり食事は毎食のことなので、負担が大きいのが現状です。そのため、毎食食べてくれないと、ついイライラしてしまいます。しかし、そこで私が子どもを怒り、子どもが泣くことはあっても、だからと言って決して食べるようにはなりません。そこで私は、そんなとき自分の気持ちを落ち着けるために歌を歌うことにしました。 「パクパクモグモグ、あーおいしい♪」など適当な歌ですが、子どもも気分が少し変わるのか、ひと口、ふた口と食べてくれることがあります。また、時々パパやお姉ちゃんがアーンして食べさせてあげると、素直に食べてくれることもあります。 1歳半健診のとき、栄養士さんから「一生食べないわけではないから、あまり思いつめないでね」と言われました。頭でわかっているものの、やはりもぐもぐとたくさん食べてくれるほうがうれしいです。早くそんな日が来ることを楽しみにしています。 ベビーカレンダーでは、赤ちゃん時代を卒業して自己主張を始めた2~6歳までの子どもの力を伸ばし、親子の生活がもっと楽しくなる【キッズライフ記事】を強化配信中。今よりもっと笑顔が増えてハッピーな毎日になりますように! 監修/助産師松田玲子イラストレーター/まっふ村上八重美
2017年01月29日米西海岸時間1月24日(火)早朝、ついに今年のアカデミー賞候補のラインナップが発表された。本来であれば前回お約束した「ノミネーションで必ずきそうな俳優~女優編~」のはずなのだが、ノミネーション発表済みということで、主演女優賞にノミネートされた5人の女優たちを分析、現地目線のオスカー獲得度を交えてお送りする。1.レースの大穴!ゴールデン・グローブ賞で女優賞を獲得したフランス人女優イザベル・ユペール『エル(原題)』先日行われたゴールデン・グローブで映画の部ドラマ部門女優賞を受賞し、界隈の下馬評を覆したイザベル・ユペール。その予想外の受賞を皮切りに彼女の勝算が急上昇中。生粋の外国人女優がオスカーを獲得するということはそうそうあることではないものの、いずれの年にも例外はある。今年がその年になるかどうかは見てのお楽しみといったところ。☆ 現地目線オスカー獲得度:80%2.“人種多様性”を掲げるアカデミーの証ルース・ネッガ『ラビング愛という名前のふたり』まだ人種差別が平然と行われていたころのアメリカで、差別に立ち向かった白人男性と黒人女性のカップルを描いた本作でヒロインを演じたルース・ネッガ。去年は「白人すぎるアカデミー」などと揶揄されたことから、今年は日本の渡辺謙を含む世界各国多人種の著名映画人683名を新メンバーとして招待したアカデミー。加入メンバーの多様性が広がったことから投票にもその結果が反映されたと見え、難しい役柄を見事に演じあげたルースのノミネーション入りとなった。ただ、実際に受賞となると果たしてどうなるか。☆ 現地目線オスカー獲得度:20%3.『ブラック・スワン』以来の再受賞なるか!?ナタリー・ポートマン『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』暗殺されたジョン・F. ケネディ元大統領の妻ジャッキーを悲痛なまでに再現したナタリー。ファッションはもちろん、さりげない身のこなしや話し方までジャッキーにそっくりなナタリーの熱演は、まるで今は亡きファーストレディに取り憑かれたかのよう。『ブラック・スワン』での受賞がなければナタリーの主演女優賞はほぼ確実ともいえるほどの名演技だが、今回の主演女優賞レースでは、初めてノミネーションを受けた強力なライバルが控えているため、ナタリー受賞はやや厳しめかも。☆ 現地目線オスカー獲得度:50%4. ゴールデン・グローブ映画女優賞もいただき済み、業界のお気に入り候補!エマ・ストーン『ラ・ラ・ランド』「アメイジング・スパイダーマン」シリーズでピーター・パーカーの恋のお相手グウェンを演じたときはポップでライトウエイトな女優なのかと思いきや、去年の『バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』ではアカデミー助演女優賞候補になったほどの演技派で、話題沸騰中のミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』では歌って踊れて演技も抜群という素晴らしい才能の持ちぬし。今年のアカデミー賞レースで先頭を走る有力候補。☆ 現地目線オスカー獲得度:85%5.ハリウッドの女王ふたたび降臨!、はたして実際の受賞はいかに!?メリル・ストリープ『マダム・フローレンス!夢見るふたり』1977年作品『ジュリア』で映画デビューして以来、ハリウッドを代表する演技力と記録的なアカデミー賞ノミネート回数から、まさに“女王”と呼ばれるにふさわしいメリル・ストリープ。『マダム・フローレンス~』では、実在した“音痴の歌姫”として知られる社交界の大物マダムを好演してくれたメリルだが、これまでの統計から見てドラマディ(コメディタッチの軽めのドラマ)に冷たい感ありのアカデミーなだけに、今回メリルは苦戦を強いられるのでは…?☆ 現地目線オスカー獲得度:40%(text:明美・トスト/Akemi Tosto)
2017年01月28日ウーマンエキサイトをご覧のみなさま。ファッション・クリエイティブ・ディレクターの軍地彩弓です。最近時間があると映画ばかり見ています。定額動画サービスのお陰で、過去の良作を見られるのがいいですよね。昔映画館で見ていた昔の名画も、改めて大人になって見ると違うところに目が行ったりします。最近見た「パリ、ジュテーム」もそんな映画のひとつです。パリを舞台にしたオムニバス映画ですが、この17話目の「カルチェラタン」という回はジーナ・ローランズとベン・ギャザラが演じる夫婦のお話。離婚するためにパリに住んでいる妻を訪れた夫。妻には若いサイクリストの彼が、夫には妊娠3ヶ月の若い愛人がいます。パリのカフェ中のジーナ・ローランズの美しいこと!この時73歳。「グロリア」のあの切れ味のある目元、すらりとした脚はそのまま。もちろん顔にはたくさんの皺が刻まれていますが、その美しさはそのまま。その源は髪でした。全盛の時と変わらない美しい波打った金髪。綺麗にセットされ、艶やかでした。愛人の話をする夫に、自分の若い彼の話をして、ちょっと強がる彼女。そんなところも含めて、73歳の艶(あで)やかさにため息が出ます。年齢を重ねると、顔の皺、くすみ、たるみが気になっていろんな高いクリームを塗ったりたくさんの努力をします。電車に乗っているとみんな顔には気を使っているけど、髪はパサパサという人が多いことに気づきます。毛先が傷んでいたり、乾燥してまとまっていなかったり。最近私もそんな乾燥肌だけでなく、乾燥髪がきになってきました。それから、ヘアオイルをこまめにつけるようになったのです。肌もしっとりさせるように、髪もしっとりと。映画の中のジーナの美しさは、そんな艶が全体にあったからなのだろうと思うのです。そして、その艶を作るのは、オイルだけでなく、恋もあるのかもしれませんね。特定の彼を作るということではなくても、好きな人がいること。それはタレントや俳優さんでもいいし、ちょっと気になる周囲の人でもいいのです。ふわっと恋すること、それも艶を作るポイントなんです。仕事や育児で忙しい日々でも、好きな誰かを思い浮かべること。これってホルモンのバランスも良くなるんですって。艶にはオイルと恋。これが妙薬ですね。 ⇒老けない人のヒミツは「顔」より「頭皮」にあった!!>>>
2017年01月27日男女平等に参政権がある時代に生まれた私たちにとって、それはあって当然。でも、サウジアラビアで婦人参政権が認められたのは2015年のこと。現代でも女性が政治参加することが当たり前ではない世界がまだあるのです。映画『未来を花束にして』は、1912年のロンドンを舞台に、男性中心の社会の中で、婦人参政権を獲得するために自らを犠牲にして闘った女性たちのドラマ。当時、女性は感情的で気まぐれで、男よりも劣っているため政治には向かないとされていて、男の所有物のように扱われていました。どんなに虐げられても、抗議の声など聞き入れられず、黙って男に従って生きるのが当たり前だと思っていた時代。女性活動家たちの言葉に触れ、いまとは違った生き方ができる可能性に気づいていくヒロイン、モードが強さを花開かせていく姿が印象的です。モードは、洗濯女。当時は、電気洗濯機が一般家庭に普及していませんから、洗濯は大変な重労働だったと言います。洗濯女たちは、生活に不可欠な衣・食・住の「衣」を支える縁の下の力持ちだったわけです。重労働に加え、洗剤やガス、熱湯に日々晒される過酷な環境、恵まれない待遇に耐えながらも、黙々と働いていたモードたちの姿を観ていて、数年前に訪れたインドはムンバイの巨大洗濯場「ドービーガード」を思い出しました。ムンバイには、100年以上の歴史を持つ巨大屋外洗濯場があり、毎日ムンバイ中にあるホテルや病院をはじめ、街の洗濯屋、個人宅から莫大な量の洗濯物が運ばれてきます。たまたま、その中を見学する機会があったのですが、そこには、何人もの洗濯夫・婦がいて、洗う、乾かす、届けるところまでを引き受けているのです。言うなればそこは、来る日も来る日も誰かの汚れ物を綺麗にする人々が暮らすひとつの街。誰かが美しく着飾ることができるのも、彼らの仕事あってこそなのです。きっと彼らは、美しく豪華なドレスをクリーニングしていても、それを着て出かける日が自分にやって来るとは考えもしないのでしょう。徹底した格差社会であるインドでは、産まれた環境から抜け出すのはとても大変なこと。その可能性が少なければ少ないほど、ありえない希望を抱く者も少ないわけで、だからこそ格差があることに疑問を持つ人も少ないのでしょう。モードが、婦人参政権獲得のために、下院の公聴会で証言をする場面で、なぜ参政権を望むのか尋ねられ「いまとは違う人生を生きられるかもしれないから」と話します。女性たちから奪われてきた多くの可能性にモードが気づきはじめる様子がとても心に響くのです。権利が当然のようにあるからと言って、決してないがしろにしてはいけないことを、この映画は教えてくれているのです。出演したメリル・ストリープが言っています。「すべての娘たちはこの歴史を知るべきであり、すべての息子たちはこの歴史を心に刻むべきである」映画はイギリスで実際に起きた事件をモチーフに作られていますが、世界の女性たちは、この権利を手にするために同様に闘ってきました。もし、自分の一票に大して意味がないと思っているなら、ぜひこの映画を観て欲しいと思います。自分が投じる一票ぐらいでは何も変わらないと思っていても、あきらめずに自分の意志を主張し続けることの大切さを感じることができるでしょう。私たちにできることはそれぐらい。でも、それによって大きな変化を生むことができるかもしれないという希望に、当たり前のことが当たり前にある幸せに、本作はしっかりと気づかせてくれるのです。(text:June Makiguchi)■関連作品:未来を花束にして 2017年1月27日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開(C) Pathe Productions Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute 2015. All rights reserved.
2017年01月26日1月8日(現地時間)に行われた第74回ゴールデン・グローブ賞授賞式。『ラ・ラ・ランド』が7冠を独占した映画の部だけでなく、テレビの部にも様々なドラマがありました。そこで、今回はテレビの部に関連した要注目ポイントをいくつかご紹介したいと思います。1.1月20日からアメリカ合衆国はジョフリーの国に?「ジョフリーが生きていたらどうなるかな?12日後にわかるね」。これは司会のジミー・ファロンが冒頭のトーク中に放った一言。1月8日の12日後と言えば、新大統領の就任日。この日は様々なトランプ・ジョークを飛ばしたジミーですが、彼の言う「ジョフリー」とは「ゲーム・オブ・スローンズ」に登場する若き暴君のこと。幼稚で残忍なジョフリーに絡めたジョークは、「ゲーム・オブ・スローンズ」視聴者をニヤリと(あるいはゾッと)させるものでした。このジョークが「?」だった人は、ぜひ「ゲーム・オブ・スローンズ」を!「ああ、なるほど」と思えますから。2.ビリー・ボブ・ソーントン、2度目のスピーチは…?ドラマ部門男優賞は、「弁護士ビリー・マクブライド」のビリー・ボブ・ソーントンが受賞。彼の受賞は、2015年度の「FARGO/ファーゴ」に続き2度目。そのときの受賞スピーチは、「発言がトラブルを招く恐ろしさを僕は知っているから、“ありがとう!”とだけ言わせてもらいます」という短くスマートなものでした。気になる今回は、「『ベター・コール・ソール』のボブ・オデンカークに勝ったぞ!まいったか!…冗談です。ボブ、大好きです」というこれまた楽しいもの。「MR.ROBOT/ミスター・ロボット」のラミ・マレックが有力視されていたドラマ部門男優賞ですが、ビリー・ボブの面白スピーチを聞きたい人も多かったゆえの結果?…冗談です。ビリー・ボブ、大好きです。3.ゴールデン・グローブ賞は「ナイト・マネジャー」がお好きリミテッドシリーズ/TVムービー部門の男優賞(トム・ヒドルストン)、全部門共通の助演男優賞(ヒュー・ローリー)、助演女優賞(オリビア・コールマン)を受賞した「ナイト・マネジャー」。『ラ・ラ・ランド』がゴールデン・グローブ賞に最も愛された映画なら、最も愛されたドラマは「ナイト・マネジャー」。ただし、少し残念だったのは、テレビの部に監督賞がないこと。トムもヒューも受賞スピーチで感謝した相手は、監督のスザンネ・ビアでした。実際、彼女は6エピソード全てを監督しましたから、監督としての彼女を評価する部門もあってほしいところ。大勢の映画監督たちがドラマの演出を手掛けるようになったいま、もし監督賞があったら、候補者の顔触れはゴールデン・グローブ賞らしく華やかなものになる気がします。4.何と言っても、「ザ・クラウン」!「ザ・クラウン」!ドラマ部門の作品賞と女優賞は、「ザ・クラウン」が受賞!新シリーズをいち早く評価しようとする姿勢のゴールデン・グローブ賞だけに、納得の結果です。ドラマ部門作品賞のほかの候補作も、「ゲーム・オブ・スローンズ」以外は全て新ドラマ。その中でも、「ザ・クラウン」のクオリティには目を見張るものがありました。女優賞の受賞スピーチでは、クレア・フォイ(ブロンドの髪だと、印象が激変!)が会場に来られなかった共演者マット・スミスにも感謝。本当に、来ればよかったのに…。エリザベス女王と夫フィリップの物語は、2人で紡いでいるからこその見応えでしたから。シーズン2も楽しみです。さて、私は職業柄“オススメ”を聞かれることも多いのですが、「観るべき新ドラマを知りたい」というときはゴールデン・グローブ賞のノミネーションを参考にするのも1つの手だと思います。しかも、いまやストリーミングサービスやBS・CS局のおかげで、日本上陸済みの候補作品が以前よりも格段に増えていますから。気になる作品の多くを観られる状況も、海外ドラマファンには嬉しいものですね。(text:Hikaru Watanabe)
2017年01月23日全米で大ヒットを記録したマーベル・スタジオの新作『ドクター・ストレンジ』の日本公開が近づいている。ベネディクト・カンバーバッチ演じる天才外科医が手にした“魔術”が、例年以上の盛り上がりを見せる「2017年アメコミ映画イヤー」の幕開けを飾る。不慮の事故で“神の手”と称された両手の機能を奪われた天才外科医スティーブン・ストレンジが、過酷な修行を経て会得した魔術を武器に、世界の破滅をもくろむ闇の魔術師とバトルを繰り広げる。人知を超えたパワーを題材に、『ハリー・ポッター』や『スター・ウォーズ』に通ずる善悪の危ういバランス、良心の呵責や疑心暗鬼、闇への誘惑をめぐるストーリーが、『インセプション』超えのねじれた時空間ビジュアルでド派手に展開していく。『アイアンマン』の主人公トニー・スタークに負けず劣らず、傲慢で上から目線なストレンジのキャラ造形も、クセがすごい。日本でも人気が高いカンバーバッチが、栄光からの転落、そして復活と覚醒を果たす“新ヒーロー誕生”を華々しく表現した。対する闇の魔術師カエシリウス役に、北欧の至宝の異名をもち、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』でデス・スターの設計者を演じたマッツ・ミケルセン。こちらもハマっている。アメコミ映画が日本で苦戦する理由として、「なんだかんだで予備知識が必要でしょ?」という先入観があるが、一見して善悪が判断できるキャラの分かりやすさや、東洋的でファンタジックな世界観など、『ドクター・ストレンジ』には日本人にもなじみやすい要素が多い。「日本よ、これが映画だ。」の宣伝コピーで『アベンジャーズ』が上陸を果たして早5年。試行錯誤の末、徐々に広がりを見せる国内のアメコミ映画人気が、ついに爆発する予感だ。(text:Ryo Uchida)■関連作品:ドクター・ストレンジ 2017年1月27日より全国にて公開(C) 2016MARVEL
2017年01月22日綾瀬はるか主演の大河ファンタジー「精霊の守り人」(NHK)。1月21日(土)より第2シーズン「精霊の守り人 悲しき破壊神」の放送が開始となる。本作に、近年の朝ドラで活躍し、お茶の間の人気者になった男優たちが続々と参戦しており、大きな話題を呼んでいる。原作は2015年に「鹿の王」で本屋大賞を受賞した上橋菜穂子による大人気シリーズ。幼くして故郷を追われ、旅を続ける女用心棒・バルサを主人公に、異なる文化や宗教、言語を用いる複数の国々の戦いや陰謀が壮大なスケールで描き出される。朝ドラ俳優といえば、本作に第1シーズンから出演しているのが、バルサの幼なじみで彼女に好意を抱く薬草師の青年・タンダを演じる東出昌大。2013年の「あまちゃん」、そして「ごちそうさん」と2作連続で出演し、特に「ごちそうさん」では杏演じるヒロインの夫を好演した(その後、2人が結婚したのはみなさんご存知の通り)。今回の第2シーズンでは、バルサが身を潜めているロタ王国で、彼女に4年ぶりに再会する。ちなみに、少し気が早いが、11月に放送予定の最終章にもタンダは出演することが発表されており、今後、2人の仲がどうなっていくのかも気になるところ。同じく第1シーズンからの出演組では、現在放送中の朝ドラ「べっぴんさん」に、ドラマー志望の青年役でこの1月から登場している林遣都がいる。「精霊の守り人」では新ヨゴ国の若き星読博士のひとりでチャグムを支えるシュガを演じており、本作でも新ヨゴ国内の王位継承をめぐる政争に大きく関与することに…。そして、第2シーズンから新たに登場する面々にも朝ドラのイケメンたちが!バルサが身を隠しているロタ王国の王弟・イーハンを演じるのが、2015年の「あさが来た」の“五代さま”で大ブレイクを果たしたディーン・フジオカ。本作では理想と現実のはざまで苦しむ第一王位継承権者を演じている。今シリーズの鍵を握る異能の少女・アスラの母で処刑されたトリーシアとかつて恋仲にあり、さらにアスラを狙う密偵にして呪術師・シハナに好意を寄せられているが、トリーシアを演じるのは壇蜜、そしてシハナを演じるのは真木よう子。シリアスな役ながら、美女2人から想いを寄せられる(※時期は違います!)のはさすが。ちなみに、ディーンへのオファーは、朝ドラでのブレイクの前だったとのこと。NHK局内の「あさが来た」第1週の試写を見たプロデューサーが「絶対に人気者になる」と確信し、すぐにオファーを出したそうで、こちらもさすがの慧眼。周囲の国々を征服し、領土を拡大するタルシュ帝国の第二王子・ラウル役で第2シーズンから登場するのが高良健吾である。高良は「おひさま」で井上真央演じるヒロインの夫を好演し、その後、大河ドラマ「花燃ゆ」を挟んで、現在放送中の朝ドラ「べっぴんさん」にもメインキャストとして出演中。ちなみに大河ドラマ「花燃ゆ」では高杉晋作を演じたが、東出も同作に高杉の親友・久坂玄瑞役で出演しており、同作では井上が演じた主人公の最初の夫を演じている。朝ドラとは打って変わって、頭脳明晰で野心を隠さないラウルのどSっぷり(?)に早くも期待が!またラウルが重用する部下の密偵で、チャグムを追うヒュウゴを演じるのが鈴木亮平。タルシュ帝国に征服されたヨゴ国の出身ながら、出自を問わずに優秀な人材を配下に置くラウルに認められた男であり、それだけデキる密偵だということ。こちらも「花子とアン」で見せた心優しい夫をはじめ、近年の作品で見せてきた“いいひと”とは違う表情を見せてくれそう。高良と鈴木がどのような主従関係を築くのかも楽しみなところだ。さて、ご紹介の通り第2シーズンまででも、多くの朝ドラ俳優が出演してるが、さらに11月からは最終章が放送。先日、最終章から新たに参加する新キャストとして鹿賀丈史(※昨年、亡くなった平幹二朗が演じる聖導師を引き継ぐ)、武田鉄矢、米良美一、渡辺いっけいらが発表された。この中で、“元祖・朝ドラブレイク俳優”と言えるのが、渡辺いっけい。90年代から朝ドラを見ている、やや年上の視聴者は覚えているかと思うが、1992年から93年にかけて放送された「ひらり」(主題歌はドリカムの「晴れたらいいね」)で石田ひかり演じるヒロインとその姉に想いを寄せられ、三角関係となる医師を演じ、お茶の間の人気を博した。同作をきっかけに知名度を上げ、文字通り、ブレイクした。壮大なファンタジーの世界に身を投じた新旧朝ドラ俳優たちのコラボレーション、いつもと違う表情にも注目して楽しんで見るのもいいかも。(text:cinemacafe.net)
2017年01月21日前回の「イマ旬!」でもお伝えしたが、1月中盤から2月になると映画の現場に携わる人たちによって選出される映画賞が増える。先日立て続けにPGA(全米プロデューサー組合)賞、英国アカデミー賞のノミネーションが発表された。ロサンゼルス現地時間1月8日(日)に開催されたゴールデン・グローブ賞も前哨戦と言われているが、投票する会員たちは外国人記者ということで英国アカデミーや全米プロデューサー組合のメンバーとダブることはない。逆に言うと、PGAと英国アカデミーとアカデミー賞を選ぶ映画芸術科学アカデミーのすべてに属している人たちも少なくないわけだ。これを考えると、PGA賞や英国アカデミー賞、あるいはこれから行われるSAG(全米映画俳優組合)賞がどれだけアカデミー賞の結果と似てくるかの説明がつく。前回のお約束通り、今回はアカデミー賞でノミネートされそうな3本の作品についてご紹介しよう。『ラ・ラ・ランド』【あらすじ】ロサンゼルスで夢を追いかける男女の甘酸っぱい恋物語を描いたミュージカル。【アカデミー賞候補本命度】ゴールデン・グローブで計7部門を受賞したほか世界中の映画賞を席巻している作品。とにかくミュージカルが嫌いな人をも虜にしてしまうスゴイ作品でノミネーションはもちろんのこと、ライバル『ムーンライト』、あるいは『マンチェスター・バイ・ザ・シー』を退けられれば作品賞も夢ではない。【注目点:とにかくオールマイティーな作品】アカデミー賞は作品賞においてはミュージカルに冷たいという過去もあるが監督賞は必至、音楽部門のアカデミー賞も総なめ、ひょっとすると主演男女優賞、もしかすると作品賞も受賞するかもと言われており、ノミネーションの数はアカデミー史上最高となる可能性も!?『ムーンライト』【あらすじ】マイアミがドラッグにあふれかえり荒れていた時代を舞台に、主人公の黒人少年が試練・自己発見・恋愛を通して成長していく様を追ったドラマ。【アカデミー賞候補本命度】いかにもアカデミーが好みそうな作品。このところアカデミー賞で問題になっているdiversity(人種の多様性)の欠如を補う意味でもノミネーションは確実、作品賞においての本命でもある。製作総指揮にブラッド・ピットが名を連ねており、彼がどれほどの根回しをするかも受賞を左右するのでは。【注目点:好きな映画に投票するか受賞すべき映画に投票するか】まさに表題とおりで、アカデミー会員が本当に自分の楽しんだ好きな映画に投票するとしたら、きっと『ムーンライト』は、ぶが悪いのではと思う。(なんといっても題材が重い!)だが、とにかく人種の多様性が重視されているアカデミー内でどれだけの人が映画の娯楽性ではなく政治的な見地で投票するかで結果が分かれるのでは。『ヒドゥン・フィギュア(原題)/Hidden Figures』【あらすじ】1960年代のNASAを舞台にした実話の映画化。ただでさえ男性優位だった宇宙開発の職場で3人の若い黒人女性たちが差別と偏見の壁を破って、月着陸プログラムをはじめNASAの発展に貢献していく姿をハツラツと描いた元気の出るストーリー。【アカデミー賞候補本命度】作品賞受賞は難しいと思うがノミネーションはほぼ確実と筆者的には希望的観測を持っている。黒人市民による暴動や人種偏見を打ち出しそうな次期大統領を目の前に暗くなりがちなご時世を元気に歩かせてくれる作品で、その証拠に先日の全米興行収入では『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』から首位を奪うという快挙を達成。こういう映画にこそ賞を取ってほしい。【注目点:アカデミー会員が、元気になる映画にどれだけの価値を見出すか】アカデミーに“学術団体”などという意味合いがなければ、きっと本作や『ラ・ラ・ランド』がオスカー像を根こそぎ受賞していくと思うのだが、残念ながら往往にして「楽しい」映画や「元気の出る」作品がアカデミー賞を取ることは少ない。とにかく暗いニュースが多かったここ最近に免じてアカデミー賞には楽しく元気になる作品を選んでほしい。次回の「現地目線!第89回アカデミー賞レースのゆくえ」では「ノミネーションで必ずきそうな俳優~女優編~」をご紹介。お楽しみに。(text:明美・トスト/Akemi Tosto)
2017年01月15日映画『アベンジャーズ』のスピンオフとして誕生した「エージェント・オブ・シールド」。日本にも大勢のファンを持つ本作から、国際平和維持組織シールド(S.H.I.E.L.D.)のエージェント、フィル・コールソンを演じるクラーク・グレッグが来日!昨年末に行ったインタビューの模様を、2017年最初のコラムとしてお届けします。現在、アメリカでシーズン4が放送中の「エージェント・オブ・シールド」は、『アベンジャーズ』の中で死んだと思われていたコールソンが主人公の物語。コールソン率いる特命チームが、世界を脅かす危機に立ち向かうため奔走します。シーズンが進むにつれ、コールソンとチームメンバーを取り巻く状況はより深刻に。「コールソンは完璧なリーダーではないし、失敗もする不完全な人間」とクラーク自らも語るように、決して順調とは言えない彼とチームの苦闘にこそ、このドラマの面白さが詰まっています。その苦闘は、人間らしい痛みを伴うもの。「“特殊能力を持っていなくても、人間味が特別な力になる”というテーマが、ドラマの人気を支えているのだと思う」とクラークも分析します。そんな人間味溢れるストーリーを練り上げているのは、12名から成るという精鋭脚本家チーム。「12人の脚本家たちが1つの頭脳を全員で共有しているようなもの。内容よりも、物語を練る過程そのものがSFっぽいよね」と笑うクラークですが、実は彼自身も脚本家であり、映画監督でもある身。脚本を手掛けた『ホワット・ライズ・ビニース』はロバート・ゼメキス監督によって映画となり、チャック・パラニュークの「チョーク!」を映画化した初監督作(脚本も兼任)は『セックス・クラブ』の邦題で日本上陸を果たしています。そのため、「エージェント・オブ・シールド」に監督や脚本家として参加することにも「魅力的なことだし、楽しいだろうね」と興味を示すものの、「12人が一体となって脚本を書き上げている姿を思うと、軽はずみに“参加したい!”なんて言えない」とのこと。そこで、もし自分が脚本家だったら…とこっそり空想してもらいました。「そういった話は共演者たちともよくするのだけど、そうだな…。ごく平凡なことをチームメンバー全員でやりたいね。みんなで夕食に出掛けるとか、つまらなくてシンプルなこと。でも、きっと僕らメンバーは、そんなシンプルなことすら実現できないんだ。何らかの事態が起きて、物事が複雑になっていくはず。それも人間っぽいよね」。やはりクラークが語る物語の鍵となるのは、「人間っぽさ」のよう。「もともとは俳優として劇団に所属していたけど、小さな劇団では演技以外のことも自分たちでしないといけない。その流れで、演出をしたり、脚本を書いたりするようになったんだ。そのときに思ったのは、監督も脚本も演技も、すべて作品の一部であるということ。ストーリーを伝えるという作業に変わりはないんだ」という彼が監督する映画にも、執筆する脚本にも、演じる役にも人間らしさが溢れています。「最初はトニー・スタークをいらつかせるスーツの男だった」コールソンが、いまやTVシリーズを牽引する存在になったのも「人間っぽさ」があるからではないでしょうか。生身の人間だからこそ、体にも心にも傷を負う。そんなコールソンを演じている上で、実は“役得”に思っていることが1つあるのだとか。「僕にはティーンエイジャーの娘がいて、家にいるときは娘と一緒にオンエアを観る。娘はコールソンが危険な状況に陥ると、ピタッと僕にくっついてきてくれるんだ。年頃の娘と父親にしては、珍しい光景だろう?こんなにも嬉しいことはないよ(笑)」。「エージェント・オブ・シールド シーズン3」 2月3日(金)よりブルーレイ/DVDリリース、一挙デジタル配信開始。「マーベル エージェント・オブ・シールド 3」全国無料のBSテレビ局 Dlife(ディーライフ)にて1月21(土)21:00スタート。(text:Hikaru Watanabe)
2017年01月14日いま、世界の映画ファンから注目を集める俊英のひとり、ニコラス・ウィンディング・レフン監督。2011年にカンヌ国際映画祭で彼に監督賞をもたらしたクライム・サスペンス『ドライヴ』、そして2年後に同映画祭で高い評価を得た『オンリー・ゴッド』に続き、発表された新作が『ネオン・デーモン』だ。究極の美に執着を見せる者たちの欲望を、煌びやかなファッション業界を舞台に描き出す本作の魅力、そして創作活動について、来日したレフン監督に聞いた。現代社会を描く上で、切り口は無数にある。“執着”もそのひとつだろう。物質社会の中では、所有する願望を抑えることはなかなか難しい。今回、ニコラス・ウィンディング・レフン監督が映し出す世界は、幻想的な映像美とともに描き出される、グロテスクなまでの美への執着だ。自分を否定してまで、自分を削ってまで、危険な美に引き寄せられる人々を通して、人間の本質に迫ったレフン監督は、本作を創るきっかけをこう話す。「ある日、自分が女性に支配されて生きていることに気付いた。そして、危険な美についての映画を撮りたいという不思議な衝動を覚えた」。女性に支配されているといっても、決して否定的な意味では決してないと言う。「自らすすんで女子の支配下にいるんだ。なぜなら、女性の方がすべてにおいて男性より断然面白いから。かといって、男女の違いを追求したいのかどうかはわからない。女性についてはミステリアスなままにしておきたいんだ」。今回テーマとした、美への執着を通し、人間の欲望の極限を描いている。その衝撃的な表現で、本年度のカンヌ国際映画祭では賛否の議論を巻き起こした。だが、「観客の心に刺さることで、彼らの一部になる目的は達成された」と、むしろ満足気な様子さえある。「クリエイティビティとは破壊なのだと思う。一回既存の概念を壊して、それを再構築する行為が、クリエイティビティであり、映画を作ることだと思う」。『ブロンソン』『ヴァルハラ・ライジング』『ドライヴ』などこれまでの作品が、既存の映画と全く違うと感じさせるのは、私たちが考える“映画”という概念を壊すことを、監督自身が恐れていないせいなのだろう。「壊すことを怖いと感じているとしたら、安全が欲しいからだ。安全とはクリエイティビティと対極をなすものだ。クリエイターにとって健全な状態というのは、安心していない状態だ」。批判に屈せず、安全さえも嫌い果敢に観たこともない表現に挑み続ける監督は、その繊細かつ大胆な感性をいったいどのように育んできたのだろう。「特に劇的な人生ではないよ。デンマークに生まれ、8歳まで育った。その後、NYに移住し、安全な普通の家庭に育ったんだ。だから、自分の感性がどこで育まれたのかはわからない。失読症だったから、普通でいることの素晴らしさというのが分からなかったけれど。失読症のイメージは、社会的にあまりよくない。それを背負っていかなきゃいけないところはあるけれど、普通の人とは違う脳の部分を使うことを強いることができる。それに気づいてから、失読症は一種のギフト(才能)だと思うようになった。だから、失読症の結果、自分の中の何かが変異しようと、それを資質として受け止めようと考えたんだ。それ意外では、家族のことで悩んだりする普通の人生さ」。解説的な手法を使わず、映像や音楽をコラージュするように物語を紡ぐ手法も、もしかすると、“ギフト”に由来する素晴らしい資質ということなのかもしれない。「物語よりもスタイルを重要視していると言われるけれど、質の良い物語とはいったい何なのかと思うことがある。一方的な見方を押し付けることが、これからの映画の進化の妨げになるかもしれない。例えば、ある作品について内容よりも様式が勝っていると言う人がいたとして、そういう気持ちもわからなくはないさ。でも、その人自身に、その作品から物語を読み取る力がないのかなと思うこともあるんだ。映画のパワーとは答えがないこと。課題や政治的な目的があって映画を作っているわけではないのなら、特にね。答えを求めるなら算数でいい。定義のようなものを映画に求めるのは違うんじゃないかな」。監督の作品の中で、重要な意味を持っている音楽についてはどう捉えているのだろう。「デバイスとして、映画の中で音楽を使うことをとても楽しんでいるんだ。もちろん、音楽自体を聴くのも好きだ。同時に沈黙も愛している。世界で最も大きな音だから。音楽と沈黙のコントラストが、また好きなんだ。僕にとって、最大のインスピレーション源は音楽だ。物語をどう綴ろうか模索しているとき、音楽が助けになる。企画中のプロジェクトでも、ではこれは音楽だったらどんな風になるだろうと考えるんだ。楽器もできないし、楽器も弾けない、専門的知識は何もないけれどね」。作品自体はもちろん、映画作りの発想からして、レフン作品が既存の枠を超えているのは明らかだ。「映画とは何であるかには興味はない。何が映画でないかに興味があるんだ。そうすれば発見があるから。すべてのクリエイティビティは、定義づけることを避けるべきだ。なぜなら、定義づけることによって神秘が取り除かれる。僕にとってクリエイティビティの半分は、その神秘によって成り立っているんだ」。では映画監督と定義づけられるのも嫌い?「職業欄に“director”と書くのは苦手だね。そもそもその意味するところが、自分にとって腑に落ちていないから。それに、人が映画監督と呼ぶような領域に、自分が達しているかどうかもわからないから恥ずかしさもあるし。だから、どこかで職業を書かなくてはならないときは、“unidentifiable (正体不明)”としておくよ(笑)!」映像作家として、「自分のフェティッシュを形にして生きていくことをとても楽しんでいる」と語るレフン監督。「でも、その他の部分は現実世界に即して生きている。妻、子供は何より大切だというのは間違いない。ただ、僕は欲望に正直に生きていくことしかできない。だから、現実とフェティッシュのバランスをどうとっていくかを、長いこと模索してきた。クリエイティビティとは、その人の欲望の延長線上にあると思うからね」。(text:June Makiguchi)■関連作品:ネオン・デーモン 2017年1月13日より全国にて公開(C) 2016, Space Rocket, Gaumont, Wild Bunch
2017年01月12日映画、ドラマ、CMなどに次々と現れる美しきヒロインたち。モデルとして自分を磨きながら女優として主演作に挑んだり、話題のドラマから知名度を上げたりと、“酉年”2017年に羽ばたくヒロインたちにはどんな顔ぶれが揃うのだろうか?また、早くも話題の超大作や人気シリーズの“顔”に抜擢された、海外の若手女優たちにも迫った。■10代のネクストブレイク、キーワードは“姉妹”!?女優の平祐奈は今年、現在分かっているだけで1月28日(土)公開『キセキ ーあの日ソビトー』から人気イケメン・中川大志とのW主演作『ReLIFE リライフ』(4月15日公開)まで、6本もの出演作品が決定している。サッカー日本代表の長友佑都選手の“アモーレ”平愛梨の実妹として、その姉妹仲のよさでも知られる平さん。2011年、是枝裕和監督『奇跡』のオーディションに合格して女優デビューし、『紙の月』では宮沢りえの中学時代を演じるなど、着実に注目を集めてきた。今年は、『きょうのキラ君』(2月25日公開)ではドSな美少女、『サクラダリセット』前篇(3月25日公開)では“リセット”のために亡くなってしまう女子高生という物語のキーパーソンに、6人の最旬女子が勢揃いする『暗黒女子』(4月1日公開)では優秀だが負い目を感じている奨学生と、クールビューティなイメージをスクリーンでも発揮。一転、『ReLIFE』では、成績はトップだがコミュニケーション下手の不器用過ぎるヒロインに。また、NHK BSプレミアム「立花登青春手控え2」では溝端淳平と青春時代劇に挑戦し、大野智・主演『忍びの国』(7月1日公開)では政略結婚させられる姫さま役が決定しており、新境地を目にすることができそうだ。妹といえば、『君の名は。』でヒロイン・三葉の声を務めた上白石萌音の2歳下の妹、上白石萌歌にも注目。2011年に「東宝シンデレラ」オーディションで最年少のグランプリを獲得(姉の萌音は審査員特別賞)。NHKのアニメ「はなかっぱ」のオープニングテーマ「ス・マ・イ・ル」で歌手デビューを果たしているが、昨年は萌音さんとバトンタッチする形でミュージカル「赤毛のアン」で主人公アン・シャーリー役を務めて話題に。「午後の紅茶」の冬限定CMでは、Charaの「やさしい気持ち」を駅のホームで熱唱している少女としてもお馴染み。透明感あふれるその歌声は、萌音さんはとはまた違った魅力を放っている。昨年は『金メダル男』に出演し、今年は佐藤勝利(「Sexy Zone」)と橋本環奈の『ハルチカ』(3月4日公開)に吹奏楽部の実力派チューバ担当として出演する。CM上ではあるものの、“長女”深田恭子、“次女”多部未華子という豪華“姉妹”の三女を演じている永野芽郁も、幅広い作品が控えている。まず、初主演作『ひるなかの流星』(3月24日公開)では“イケメン先生”三浦翔平、“イケメン同級生”白濱亜嵐と贅沢な三角関係に!また、橋本愛&染谷将太という実力派と井の頭公園を舞台に贈る『PARKS パークス』(4月22日公開)、菅田将暉ら最旬男子の中の紅一点『帝一の國』(4月29日公開)と話題作に続けて抜擢。『ピーチガール』(5月20日公開)では、最強最悪といわれる“小悪魔”女子に。5歳から伸ばしていたというロングヘアをばっさりカットして、果敢に挑んでいる。「こえ恋」でドラマ初主演を経験し、先の大河ドラマ「真田丸」にも出演、若手女優の登竜門といわれる「全国高等学校サッカー選手権大会」応援マネージャーや「カルピスウォーター」のCMキャラクターも務めた永野さん。冬の定番CMとして人気を博した「アルペン」の新作シリーズでも愛らしい魅力を発揮しており、さらなるブレイクが近づいている。■人気モデルから日本映画のニュー・ヒロインに「ニコ☆プチ」「nicola」の“ニコモ”を経て、「Seventeen」専属モデルとして“王道”をゆく永野さんにとって、“先駆者”にあたる飯豊まりえは女優としてさらなる躍進の年となりそう。まもなく、出演ドラマ「嫌われる勇気」がスタート。中川さんと共演する“キュン泣き”ラブストーリー『きょうのキラ君』では、初めての恋に一生懸命になる少女ニノを熱演する。そして何と言っても、秋吉理香子原作の“イヤミス”実写化に清水富美加とW主演する『暗黒女子』だ。先日解禁された特報映像には、かつてない暴言をはく(!?)姿も収められており、期待が高まる。同作には清水さん、飯豊さんほか、平さん、清野菜名、玉城ティナ、小島梨里杏と注目女子が集結し話題性十分。また、中島裕翔がラブストーリーに初挑戦した『僕らのごはんは明日で待ってる』のヒロイン、“年女”の新木優子は「non-no」専属モデルとして知られる。正統派美少女系ながら、中島さん演じる無口でネガティブ、でも一途な草食男子とは対照的な、超ポジティブで明るい女子をはつらつとして演じており、大きな注目を集めている。「ゼクシィ」をはじめCM起用も多く、ますます知名度を上げそうだ。知名度上昇といえば、「テラハ」製作陣のもと、連ドラ初出演にして初主演で伊藤沙莉と女の子同士のラブストーリーを演じた「トランジットガールズ」の佐久間由衣もその1人。「ViVi」専属モデルの彼女は、ドラマ放映中から「あの美少女は誰?」と話題となった。4月スタートのNHK朝ドラ「ひよっこ」では、有村架純演じるヒロイン・みね子の幼馴染み役で朝ドラ初出演。オーディションを勝ち抜き、自他ともに認める村一番の美少女で気が強く、女優を夢見ている…というイメージそのままの役どころをゲット。有村さんのように全国的なブレイクを果たすかもしれない。女優デビュー作の朝ドラ「あさが来た」で一躍注目を集めた清原果耶は、現在、「nicola」専属モデルとしても活躍。公開中の『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』では小松菜奈演じるヒロイン・福寿愛美の“中学生時代”を演じている。そういえば、どことなく儚げでありながら、芯の強そうな雰囲気は小松さんとも相通じるものが…。神木隆之介を筆頭に奇跡のキャスティングといわれる『3月のライオン』(前篇3月18日公開)では、500人のオーディションを勝ち抜いて川本三姉妹の次女・ひなた役に選ばれており、やはり目が離せない存在だ。■ディズニーの新ヒロインからアクションに挑む新鋭まで要注目の女優たち海外に目を移してみると、まず、『アナと雪の女王』『ズートピア』と現代の新たなヒロイン像を提示してきたディズニー・アニメーションの最新作『モアナと伝説の海』(3月10日公開)に抜擢されたアウリー・クラバーリョが筆頭株だろう。“海に選ばれた少女”モアナの声優を数千人ものオーディションを勝ち抜いて射止めたアウリィは、モアナと同年代でハワイ出身。彼女が歌う主題歌「How Far I’ll Go」も話題を呼んでおり、まさに現代のシンデレラガールといえる。『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』のヒロイン・ティナに大抜擢され、世界的に人気上昇中なのがキャサリン・ウォーターストン。今後『ファンタビ』第2弾以降にも出演していくほか、今年はリドリー・スコット監督が手がける『プロメテウス』の続編『エイリアン:コヴェナント』(9月公開)で主人公に!来日時にベリーショート姿を見せていたのは、このためだったらしい。シガニー・ウィーバーが演じた伝説的ヒロイン、リプリーのような存在となるのか、期待が高まる。ショートヘアといえば、『バイオハザード:ザ・ファイナル』に出演しているルビー・ローズも要注目女優だ。Netflixドラマ「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」で知られる彼女は、これから、ヴィン・ディーゼルやドニー・イェンら豪華競演の『トリプルX:再起動』(2月24日公開)、キアヌ・リーブス主演『ジョン・ウィック』の続編、『ピッチ・パーフェクト』第3弾などに出演することが決まっている。また、少し前のアリシア・ヴィキャンデルのように、“ハリウッドで最もホットな女優”といわれているのが、ヘイリー・ベネット。『ガール・オン・ザ・トレイン』で強烈な存在感を発揮し、『七人の侍』&『荒野の七人』を原案にした『マグニフィセント・セブン』、全米を席巻した革新作『ハードコア』と日本公開作が続く。ほかにも、『高慢と偏見とゾンビ』『ネオン・デーモン』の注目美女ベラ・ヒースコートは、全米でバレンタイン公開される『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』の続編『フィフティ・フェイズ・オブ・ダーカー』(原題)で重要なキャラクターを演じており、日本上陸が決まれば話題を呼ぶこと必至。『マレフィセント』で注目を集め、ティム・バートンの『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』に出演するエラ・パーネル、『メイズ・ランナー』から『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』ヒロインに抜擢されたカヤ・スコデラーリオにも、熱い視線が注がれることになりそう。2017年に最も羽ばたく女子は、いったい誰になるだろうか…!?(text:cinemacafe.net)
2017年01月09日『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』に出演し、一躍注目を浴びたアダム・ドライバーやジョン・ボイエガら「スター・ウォーズ」男子たち。また、『X-MEN』シリーズから派生した『デットプール』のライアン・レイノルズは、キレキレアクションやコミカルな演技で大人気となった。では2017年は、どんな俳優たちが映画界を席巻するのだろうか、“七人”のネクストブレイク候補に迫った。1人目は、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』にも登場した“新生スパイダーマン”であり、ついに単独主演作『スパイダーマン:ホームカミング』が公開されるトム・ホランドだ。1996年生まれ、まさに弱冠20歳の英国俳優は、アメコミ界の重鎮スタン・リーをして「スパイダーマンの役をやるために生まれてきた」と言わしめるほどの逸材だとか。アベンジャーズで最も若いヒーローとして、純粋で暴走しがちな正義感と、力を持つことの苦悩と混乱を抱えつつ敵と戦う、初々しいヒーロー像を見せてくれることだろう。その前後に、ブラッド・ピット製作の伝記アドベンチャー『Lost City of Z』(全米4月公開)の日本上陸もあればなおよし!また、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』で重要なキャラクター、クリーデンス青年を演じたエズラ・ミラー。超高速移動のパワーを持つヒーロー“フラッシュ”として、2018年の単独主演作よりも先に『ジャスティス・リーグ』に登場する。1992年生まれのエズラは、これまで『少年は残酷な弓を射る』『ウォールフラワー』などインディペンデント系の作品に出演していた“アート系男子”の筆頭株。そんな彼が、アメコミヒーロー映画に出演すること自体が、もはや事件!? 日本をはじめ世界的ヒットとなった『ファンタビ』でさらなる人気を獲得しつつ、ひとクセある若手ヒーローとして大きな注目を集めそう。同じく大抜擢といえるのが、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ最新作にして第5弾『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』で、ジョニー・デップ演じるジャック・スパロウと関わることになる英国人兵士ヘンリー役のブレントン・スウェイツだ。1989年生まれ、現在27歳のブレントンは昨年、イケメン盗賊を演じた『キング・オブ・エジプト』のプロモーションで来日した際、五輪体操選手の“白井健三に似ている”と話題となった爽やかなルックスが目を引く。本シリーズでおなじみのオーランド・ブルームのように大ブレイクが期待されており、あの『マレフィセント』続編への再登場もうわさされている。さらに、ティム・バートン監督最新作『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』の主人公に抜擢された、次世代の英国男子エイサ・バターフィールドの成長も見逃せない。マーティン・スコセッシ監督の『ヒューゴの不思議な発明』で注目され、名作SF小説の映画化『エンダーのゲーム』でも繊細な演技を見せたエイサは、1997年生まれ、4月でついに20歳となる。背もぐんと伸び、青い瞳がいっそう大人びてきた(でもトトロは大好き)彼は、ティム・バートンの奇妙な世界の中でどんな姿を見せてくれるのか、乞うご期待。なお、2014年に主演した『僕と世界の方程式』(原題:X+Y)も1月28日より公開されるので楽しみ。そして、今年も「スター・ウォーズ」男子には要注目だ。まず、絶賛公開中『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』にはディエゴ・ルナやドニー・イェン、マッツ・ミケルセンら人気どころが多数だが、帝国軍から逃亡してきたパイロット、ボーディー・ルック役のリズ・アーメッドの精悍なイケメンぶりも気になる!ジェイク・ギレンホール主演『ナイトクローラー』では冴えない助手、『ジェイソン・ボーン』では新進IT起業家を演じていた彼は、文才もあり、ラッパー・Riz MCとしても知られる。スターチャンネルにて放送中のクライム・サスペンス「ナイト・オブ・キリング失われた記憶」ではゴールデン・グローブ賞にノミネートも。Netfilxオリジナルドラマ「The OA」にも出演中で、今後も日本上陸作が出てくるかもしれない。少々気が早いかもしれないが、『ローグ・ワン』に続く2018年公開の「スター・ウォーズ」アナザーストーリー2作目にて、若きハン・ソロに大抜擢されたオールデン・エアエンライク(アルデン・エーレンライクとも)も、ぜひいまからチェックを。1989年生まれ27歳の彼は、学生時代にスピルバーグに見いだされ、フランシス・F・コッポラ、ウディ・アレン、『ヘイル、シーザー!』ではコーエン兄弟と名匠たちに愛されてきた。現在はウォーレン・ベイティ監督、リリー・コリンズ共演の『Rules Don’t Apply』(原題)、ジェニファー・アニストン共演の『The Yellow Birds』(原題)などが控える。過去には、『アメイジング・スパイダーマン』シリーズのピーターやハリーのオーディションを受けていたという彼は、日本での知名度はまだこれからだが、いよいよ花開くときがきたようだ。最後に、新旧スパイダーマン対決!…というわけではないが、アンドリュー・ガーフィールドにも再注目することをお薦めする。3部作になるはずだった『アメイジング・スパイダーマン』シリーズは興行が振るわず、製作中止に。スパイダーマンに思い入れがあったアンドリューはすっかり意気消沈したといわれているが、今年は改めて、彼の演技力&役者魂を実感する1年となりそう。スコセッシ監督の渾身作『沈黙-サイレンス-』がまもなく公開、メル・ギブソンが監督を務めた戦争映画『Hacksaw Ridge』(原題/夏公開)ではゴールデン・グローブ賞、全米映画俳優組合賞などにノミネートされており、アカデミー賞にもノミネートされる可能性大。さあ、2017年、あなたは誰に注目する?(text:cinemacafe.net)
2017年01月04日年が明け、いよいよ本年度アカデミー賞に向けた映画賞レースは本格化。とはいえ、日本公開がまだまだ先の作品が多く、現状ではピンときていない人も多いのでは?いまのところ、ライアン・ゴスリング×エマ・ストーン×『セッション』監督で贈るミュージカル『ラ・ラ・ランド』、ブラッド・ピット製作総指揮で貧困やドラッグ、LGBTに斬り込んだヒューマンドラマ『ムーンライト』、マット・デイモン製作総指揮で盟友ベンの弟ケイシー・アフレック主演の『マンチェスター・バイ・ザ・シー』といった作品が前哨戦を牽引しているが、本年度アカデミー賞はとりわけ女優部門が華やかとなりそうなのだ。日本でも高い人気を誇る若手演技派から、注目の新星、ベテランまで混戦模様となっている。■主演女優賞には人気実力派がひしめくまず、主演男優賞では、『Manchester by the Sea』のケイシーや『ラ・ラ・ランド』のライアン、『Hacksaw Ridge』(原題)のアンドリュー・ガーフィールド、『ラビング愛という名前のふたり』のジョエル・エドガートン、『Fences』(原題)のデンゼル・ワシントン、『はじまりへの旅』のヴィゴ・モーテンセン、『ハドソン川の奇跡』トム・ハンクスといった顔ぶれが、おおかた揃いつつある。ライアンと並んで数多くのノミネートを受けているのが、『ラ・ラ・ランド』エマ・ストーンだ。一昨年は、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされた。トム・ハンクスが『ハドソン川の奇跡』の記者会見中にもかかわらず絶賛したことでも話題を呼んだ同作は、エマが「ヴェネチア映画祭」で女優賞を受賞し、快進撃が始まった。「キャバレー」でブロードウェイデビューも果たしているエマでも、歌とダンスを猛特訓したという。L.A.を舞台にし、オーディションに落ち続けても女優になる夢をあきらめないという役柄は、アカデミー会員でなくても共感を集めること必至。そんなエマと、おそらく対抗することになりそうなのが、『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』のナタリー・ポートマン。ノミネートされれば、自身が受賞した『ブラック・スワン』以来、2度目。誰もが一度は目にしたことがある1963年11月22日のJFK暗殺のその後、ファーストレディとして、妻として、母としての“ジャッキー”の4日間に迫っていく。ナタリーは外見はもちろん、英語のアクセントや歩き方まで見事“ジャッキー”を再現しているという。だが、『ザ・マスター』など4度の助演女優賞+『アメリカン・ハッスル』での主演女優賞ノミネートを誇る、『メッセージ』エイミー・アダムスにもそろそろオスカーを獲らせてあげたいような…。ゴールデン・グローブ賞(コメディ/ミュージカル部門)は2年連続受賞しているが、オスカーが無冠なのは意外ですらある。同作では、『ブレードランナー』も控えるドゥニ・ヴィルヌーヴ監督のもと、突然飛来した謎の知的生命体とコミュニケーションを試みる言語学者に。多様性を受け入れない“不寛容さ”が世界的問題となる中、どんな“メッセージ”を彼女が伝えようとするのか、気にならずにいられない。■今年は何か違う!?多彩な顔ぶれに注目さらに、無冠のベテランにも注目したい。まず、『人生はビギナーズ』のマイク・ミルズ監督が自身の母親をテーマに描いた半自伝的作品『20TH CENTURY WOMEN』(原題/6月公開)のアネット・ベニング。激動の70年代を軽やかに生きた女性を体現したアネットは、キャリア最高の演技と絶賛を受けている。アカデミー賞にノミネートされれば、『キッズ・オールライト』以来6年ぶり実に5度目。加えて、ポール・ヴァーホーヴェン監督初のフランス語映画『Elle』(原題/夏公開)から、フランスの実力派イザベル・ユペールの初ノミネートもあるかも。作品はカンヌをはじめ高い評価を得ているが、アカデミー外国語映画賞の候補からは漏れてしまったため、イザベルのノミネートに期待する。また、昨年は「白いオスカー」と物議を醸し、ボイコット騒動などもあったが、今年は少し風向きが異なりそうだ。『ラビング愛という名前のふたり』で夫(ジョエル・エドガートン)と深い愛で結ばれた妻を演じた新星ルース・ネッガは、まず主演女優賞候補に入るだろう。デンゼルの監督&主演作『Fences』で妻を演じたヴィオラ・デイヴィス、作品賞候補の筆頭株『ムーンライト』のナオミ・ハリス、さらにNASAに協力していた天才黒人女性を描く『Hidden Figures』(原題)から主演タラジ・P・ヘンソンほか、助演にオクタヴィア・スペンサー、ジャネール・モネイのうち誰かがノミネートされるかもしれない。ちなみに同作の音楽は、ファレル・ウィリアムズが務めている。助演女優賞といえば、ほかに『マンチェスター・バイ・ザ・シー』からミシェル・ウィリアムズ、『LION/ライオン~25年目のただいま~』からはニコール・キッドマン、『20TH CENTURY WOMEN』からはグレタ・ガーウィグなど、世代も個性もさまざまな女優たちが揃いそう。助演男優賞候補としては、『ムーンライト』で主人公の少年の面倒を見る麻薬ディーラーを演じたマハーシャラ・アリ。続いて、Netfilx配信中『最後の追跡』からジェフ・ブリッジスとベン・フォスター、『LION/ライオン』デヴ・パテルなどが上げられる。(text:cinemacafe.net)
2017年01月03日2017年に劇場公開される作品リストから、大作を中心に「これぞ観るべき!」と言える注目洋画をご紹介。相変わらずシリーズものが数多いので、日本での興行成否は未知数だが、2016年に比べるとはるかに粒ぞろいで、洋画復権を期待したくなるラインナップだ。<絶対観るべきマスト作>2017年最もヒットが期待されている実写洋画が、ディズニーの『美女と野獣』(4月21日公開)だ。ずば抜けた作品の知名度に加えて、主演を務めるエマ・ワトソンは日本でも高い人気を誇る存在。すでに公開されている予告編からは、ビル・コンドン監督(『ドリームガールズ』、『トワイライト・サーガブレイキング・ドーン』シリーズ)らしい上品で華麗な世界観が伝わってきて、ファンの期待を裏切らない出来ばえになる予感だ。いま最も新作が待たれる監督、クリストファー・ノーランの『ダンケルク(原題)』(9月公開)は、戦争映画の歴史を変えそうな重要作でやはりマスト。12月15日には、『スター・ウォーズ/エピソード8(仮題)』が世界同時公開。まずはタイトル解禁を待ちたい。<長編アニメは、ディズニー VS イルミネーション>すでに全米で大ヒットを記録しているディズニー・アニメーションの新作『モアナと伝説の海』(3月10日公開)は、日本でもヒット確実の鉄板タイトル。実際、とても良い出来です!常に新しいヒロイン像を追求し続ける野心的な姿勢も評価したい。夏にはピクサーの新作『カーズ3』が公開予定。また、日本での公開時期は未定ながら、同じくピクサーは『COCO』という新作も待機中だ。メキシコの“死者の日”を題材に、『トイ・ストーリー3』のリー・アンクリッチ監督がメガホンをとっており、こちらはかなり期待できそう。ディズニー・アニメーション及びディズニー/ピクサーのライバルとして近年、存在感を増しているのが『ミニオンズ』を手がけるイルミネーション・スタジオ!昨年公開された『ペット』のヒットも記憶に新しいが、今年は『SING/シング』(3月17日公開)、『怪盗グルー』シリーズの最新作(夏公開)と2本の新作をリリースし、長編アニメシーンを盛り上げてくれそう。<量産されるアメコミ映画、何を観たらいい?>年明け早々に公開される『ドクター・ストレンジ』を皮切りに、2017年も量産体制に入ったアメコミヒーローが大暴れ!『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(5月12日公開)、『ローガン(原題)』(6月公開)、『ワンダーウーマン』(夏公開)、『スパイダーマンホームカミング』(8月11日公開)、『ジャスティス・リーグ』(冬公開)などなどタイトルを挙げるだけでも、ヒーローたちの多忙ぶりは明らか。世界の平和は、まだまだ遠いようです。一番楽しみなのは、『レゴバットマン ザ・ムービー』(4月1日公開)!!<終わらない続編祭り、でも2017年は豊作の予感>『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』を除いて、日本ではほぼ散々な結果だった2016年の実写洋画のシリーズもの。そんな状況などお構いなしに、ハリウッドでは続編祭りが終わりを見せない。ただし、2017年は『ワイルド・スピード ICE BREAK』(4月28日公開)をはじめ、『トランスフォーマー/最後の騎士王』(夏公開)、『猿の惑星:大戦記(グレート・ウォー)』『キングスマン2』『ジョン・ウィック2』と豊作の予感がヒシヒシ!もちろん、夏休みの本命『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』(7月1日公開)も期待せずにはいられない。<名だたるSF金字塔が続々復活>2016年、ここ日本でも『オデッセイ』がスマッシュヒットを記録し、健在ぶりをアピールしたリドリー・スコット監督。そんな希代の映像作家が70~80年代に手がけたSF金字塔が続々復活するのも、2017年のうれしい出来事だ。まずは、スコット監督が自らメガホンをとる『エイリアンコブナント(原題)』が9月に日本上陸。そして、ハリソン・フォードも出演しちゃう続編『ブレードランナー 2049』が11月に公開される!こちらはスコットが製作総指揮、『プリズナーズ』『ボーダーライン』『メッセージ』とわずか数年で傑作を連発中のドゥニ・ヴィルヌーブ監督という強力タッグで、期待が高まりまくる。SF金字塔といえば、ハリウッド実写版「攻殻機動隊」、その名もズバリ『ゴースト・イン・ザ・シェル』(4月7日公開)も忘れちゃいけないビッグタイトル。原作やアニメ版が偉大過ぎるゆえ、期待値もハードルも高いが、果たして?(text:Ryo Uchida)
2017年01月03日2016年、最も支持されたTVドラマの1つ「逃げるは恥だが役に立つ」。キャスト陣の好演とケミストリー、実は社会性にあふれたテーマ、主題歌の「恋」ダンスなどが相乗効果となり人気を博した。このドラマに出演していたキャストたち、特に“メンノン”モデルの成田凌や“逆輸入俳優”といわれる大谷亮平は、今年さらに注目を集めるはず。また、「あの映画のあの子は誰?」という新星や、着実に力をつけてきた若手がさらなる飛躍を見せそうだ。大いなる期待も込め、“七人”のネクストブレイク男子をご紹介する!■人気ドラマの気になるイケメンが「GReeeeN」に!?1993年11月22日生まれ、「逃げ恥」撮影中に23歳になった成田さん。坂口健太郎と同様、「MEN’S NON-NO」専属モデルとして活躍、飄々としたマイペースなキャラと独特のセンスで存在感を放っている。彼が「逃げ恥」で演じた“百合ちゃん”(石田ゆり子)の部下、梅原くんは最終回にまさかのカミングアウトがあり、彼のラブも無事ハッピーエンドに。視聴者に驚きと喜びを与えてくれた。また、昨年はNHK BSプレミアムのドラマ「ふれなばおちん」で長谷川京子演じる主婦に恋する役を熱演したほか、大ヒット作『君の名は。』への声の出演、急きょ『L-エル-』でパン屋の代役を務めたことが映画界でも注目を集めた。菅田将暉、横浜流星らと「GReeeeN」のメンバーを演じる『キセキ ーあの日ソビトー』では、劇中グループ「グリーンボーイズ」としてCDデビューも。その愛嬌のあるルックスとはギャップのある低音ボイスは彼の魅力でもあり、MVでも成田さん演じるクニの美声は必聴。1月からは小雪と伊藤淳史が共演する“日9”ドラマ「大貧乏」で、眉目秀麗、頭脳明晰、人心掌握にも長けるというハイスペック男だが、裏にはある思いを抱えているという加瀬春木役に抜擢されており、さらに人気を拡大させるはず。「グリーンボーイズ」メンバーのうち、杉野遥亮にも注目。1995年9月18日生まれ、現在21歳の杉野さんは、「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」で校閲部に出入りする印刷会社の“正宗くん”として、和田正人演じる米岡と仲良し(?)になった長身(185cm)のキュートな男子。一昨年、松坂桃李らを生み出した「第12回FINEBOYS専属モデルオーディション」でグランプリを獲得、『キセキ-あの日ソビト-』で映画デビューを飾る。Huluオリジナルの「地味スゴ」スピンオフにも和田さんや江口のりこらと出演。1月スタートの“火9”ドラマ「嘘の戦争」ほか、『兄に愛されすぎて困ってます』では“ヘタレ系塩顔男子”を演じるなど、伸びしろを感じさせている。■「あのイケメンは誰?」思った人は数知れず…Netflix「TERRACE HOUSE」シリーズのスタジオメンバーとして活躍する健太郎も、大ブレイクの兆しあり。1997年6月30日生まれの19歳。現役高校生モデルから、「昼顔~平日午後3時の恋人たち~」で俳優デビュー、『俺物語!!』で映画デビューを果たした。昨年は「私結婚できないんじゃなくて、しないんです」「仰げば尊し」と話題のドラマで鮮烈な印象を残し、現在公開中の『ミュージアム』では、小栗旬演じる主人公・沢村の高校時代を演じているが、これがまた雰囲気から何から小栗さんにそっくり!また、ヤンキー少年を演じた『14の夜』では全裸でプールに飛び込むシーンに挑むなど、熱演を見せている。“塩顔”の切れ長の目元にはどこか憂いを感じさせ、演技センスも抜群の様子。2014年に出演した清水翔太「SNOW SMILE」のMVでは、小松菜奈と超絶キュートなカップルを演じていただけに、今後は胸キュン作品にも出演してもらいたい!と思ったら、2017年は『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』では中条あゆみに、『先生!』では広瀬すずに“想いを寄せる”役に。また、太賀の友人役を演じる剛力彩芽主演ドラマ「レンタルの恋」が1月スタート。野村周平×黒鳥結菜『サクラダリセット』では「声を届ける能力」を持った高校生役で前後篇に登場し、歌とギターも披露するという。ちなみに、「レンタルの恋」では清原翔、『サクラダリセット』では岩井拳士朗といったモデル出身俳優たちにも要注目だ。■話題作相次ぐ!2017年の売れっ子になる!?菅田将暉や窪田正孝らが過去に出演し、若手の登竜門といわれる山田孝之の『闇金ウシジマくん』シリーズには、昨年、間宮祥太朗、太賀ら注目俳優が多数出演した。中でも山田裕貴は『HiGH&LOW THE MOVIE』から『ふきげんな過去』『青空エール』『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』、加えて自身の主演シリーズ『闇金ドッグス』など話題作に立て続けに出演。何気に、出演映画は9作にものぼっている。山田さんは、1990年9月18日生まれの26歳。“戦隊ヒーロー”としてデビューし、『ストロボ・エッジ』などで注目を集めた。「カメレオン俳優を目指している」というだけに、ヤクザやチャラ男から、狂気の男、野球部の先輩など、演じてきた役は実にさまざま。2017年は、タツノコプロのヒーロー『破裏拳ポリマー』で馴染みの深い坂本浩一監督のもと主演・溝端淳平の“相棒”に。また、故・寺山修司の小説の映画化『あゝ、荒野』にも参戦。待望のボクサー役で、初共演となる菅田さんの宿命のライバルを演じるというから楽しみ。さらに村上虹郎主演『二度めの夏、二度と会えない君』では、銀髪姿でベースにも挑戦する。もしかしたら、昨年の菅田さんのように「どの映画にも出ていたよね」と言われるような存在になっているかもしれない。一方、菅田さんを主演に迎え、古屋兎丸の人気漫画を映画化する『帝一の國』に、野村さん、竹内涼真、間宮さん、千葉雄大とともに出演する志尊淳も今年、爆発的人気を得そうな1人。1995年3月5日生まれ、21歳の志尊さんもまた“戦隊ヒーロー”出身。多部未華子主演のクリスマスドラマスペシャル「わたしに運命の恋なんてありえないって思ってた」では、“王子様キャラ”を好演したばかりだ。今年は、あの「イタズラなKiss~Love in TOKYO」を手がけたチームのもと、癒やしの胸キュンラブコメディー「きみはペット」のモモ役に抜擢。先日公開された予告編でも、子犬のようなモフモフヘア、自販機ドンキスやバックハグなどが再現されており、期待度は十分。生徒会長の座をめぐる名門男子高校生の激しいバトルをギャグ満載で描く『帝一の國』では、若手人気俳優×超個性派キャラが激突するなか、志尊さんは茶髪&ボブヘアで、アイドル的な存在を体現。同じく戦隊レッドだった“ヌクメン”千葉さんの後継者となるかも!?さらに中条あやみ主演『覆面系ノイズ』に小関裕太とともに出演するなど、引っ張りだことなりそうだ。■2人の“おにいさん”から目が離せない「わたしに運命の恋なんてありえないって思ってた」で、ハイスペックなのに女心を理解できない“残念男子”を演じた高橋一生にも注目!1980年12月9日生まれ、36歳を迎えたばかりの高橋さんは、昨年、「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」「僕のヤバイ妻」などで名バイプレイヤーとしてその演技力を発揮し、大ヒット映画『シン・ゴジラ』の理系オタク・安田龍彦がハマリ役に。同じく“リケジョ”尾頭ヒロミ(市川実日子)らとともに人気者となった。今回、多部さんを相手に王道ラブストーリーに挑戦したことも新鮮だったが、今年は「逃げ恥」と同じ火曜ドラマ枠「カルテット」で松たか子、満島ひかり、松田龍平と共演。“全員が片想い”という大人のラブ・サスペンスを描くというから期待高まる。さらには、大河ドラマ「おんな城主直虎」や豪華キャスト競演の『3月のライオン』なども控えている。ハイスペックイケメンといえば、「逃げ恥」の風見役で注目を集めた大谷亮平だ。1980年10月1日生まれの大谷さんは、韓国のダンキンドーナツのCMで注目を集め、モデル、俳優として10年間にわたり現地で活躍。日本で人気ドラマにレギュラー出演しているということで、韓国からも取材が来たほど。ディーン・フジオカに次ぐ“逆輸入俳優”といわれる。「逃げ恥」では、年齢差という百合ちゃんの“呪い”を打ち破ってくれた一途キャラであり、ちょっとぎこちない「恋」ダンスのギャップなども好印象に。“塩顔”ブームの中にあって貴重な“濃厚系”の顔立ちだが、1月20日からは倉科カナ、三浦翔平、水野美紀とドロドロしてるのにキュンとするという(!?)“ドロキュン”ドラマ「奪い愛、冬」で、さらなる一面を見せてくれそうだ。2017年、彼らの躍進を楽しみにしていて。(text:cinemacafe.net)
2017年01月03日2017年の幕開けとなる1月クール。いよいよ今週から始まる新ドラマについて、今日はドラマニアな筆者が見どころを交えてご紹介していきましょう。■笑って泣ける名作がズラリ!原作モノは“コミカル”押し待っていました!現代アラサー女子のバイブル、希望と絶望に満ち満ちた話題の名作漫画「東京タラレバ娘」がついに実写化。朝ドラ「花子とアン」以来約2年ぶりの主演となる吉高由里子さんに加え、親友役に榮倉奈々さん&大島優子さんという異色コンビが控えているとあって、一体どんなドタバタ恋愛劇を繰り広げてくれるのか…期待が高まります。原作モノと言えば、堤真一さんが「スーパーサラリーマン左江内氏」に扮するコメディ作品にも注目。藤子・F・不二雄氏が唯一連載したとされている大人の同名漫画を、「勇者ヨシヒコ」シリーズの奇才ぶり知られる福田雄一氏が脚本・演出で魅せてくれますよ。また個人的には、久しぶりのお受験モノもおすすめです!阿部サダヲさん×深田恭子さんが中卒夫婦役で共演。娘の最難関中学合格を目指す「下剋上受験」は、桜井信一氏原作のノンフィクション書籍が原作となっています。娘・佳織役には、約250人の中からオーディションで選ばれた山田美紅羽ちゃんが登場!眩しい演技力をとくとご堪能あれ~。■“シリアス”な作品に挑戦解散後の主演作に注目が集まる1月クールは、昨年末をもって解散した「SMAP」の新たな活動の場としてもその動向が注目されています。草なぎ剛さん主演の「嘘の戦争」は、「銭の戦争」に続く復讐シリーズ第2弾。幼い頃に家族を殺された主人公が成長して天才的な詐欺師となり、巨大企業へ復讐を企てる様を、禁断の三角関係と共にシリアスかつユーモラスに描いていくとあって、ドキドキ…緊張の展開から目が離せません。藤木直人さん、安田顕さん、水原希子さん、山本美月さん、市村正親さんら実力派キャストとどんな化学反応を見せてくれるのか楽しみですね。さらに、「A LIFE~愛しき人~」では木村拓哉さんが一途に患者と向き合う医師役に挑戦。かつて病院を追われた主人公外科医を中心に、愛しき人のたった一つの命とかけがえのない人生を描く、骨太なヒューマンラブストーリーとなっています。こちらの共演にも、竹内結子さん、松山ケンイチさん、木村文乃さん、菜々緒さん、及川光博さん、浅野忠信さんら豪華な顔ぶれが集結。橋部敦子氏のオリジナル脚本ということで、人間愛の深さをじっくり味わいたいと思います。■複雑な人間模様様々な“謎”や“疑惑”に迫る1時間また次クールには、ミステリアスな展開の作品もたくさん放送されますよ~!「Mother」や「Woman」など、社会問題を積極的に取り上げてきたベテラン脚本家・坂元裕二氏の完全オリジナル作品「カルテット」では、冬の軽井沢を舞台に、ある日偶然出会って共同生活をすることになった4人の男女に巻き起こる、愛とサスペンスに満ちた人間ドラマが描かれます。主人公の第1バイオリン奏者を演じるのは、およそ5年ぶりの連ドラ出演となる松たか子さん。チェリスト役に満島ひかりさん、ビオラ奏者役に高橋一生さん、第2バイオリン奏者役に松田龍平さんと、いまをトキメク実力派のキャストが揃っています。加えて「嫌われる勇気」には、こちらも5年ぶりの主演作となる香里奈さんが登場です。アルフレッド・アドラー氏の心理学解説を元にした同名書籍を原案に、1話完結の刑事ドラマとして大胆アレンジ。スカッとする難事件解決に期待大!他者から嫌われることを恐れないパワフルなヒロイン――そんな彼女を人はどう見るのか。人間関係の何たるかを考えさせられる作品と言えそうです。そして、最後にご紹介するのがこの作品。小雪さん演じる極貧シングルマザーが、理不尽な社会に立ち向かう「大貧乏」。勤めていた会社が倒産し、給与も貯金も全てを失い…転落人生を辿る主人公が、子どもたち家族のため、企業の疑惑に果敢に立ち向かっていく姿を追う本作。事件の真相に辿り着いたとき、主人公の身に危険が迫る…!?「リッチマン、プアウーマン」「失恋ショコラティエ」など、これまでに数々のラブストーリーを手掛けてきた安達奈緒子氏の最新作とあって、リアルな感情表現に着目してご覧くださいませ。ついに始まる冬クール。どの作品をチェックするか、吟味の参考にしてみてはいかがでしょうか。(text:Yuki Watanabe)
2017年01月03日ハーイ、みなさん!ずいぶんご無沙汰してしまいました!そうこうしている間に、ここアメリカでは、すごくおかしな出来事(でもなぜか興味深いこと)がいろいろありました。もうみなさんも分かってると思いますが、最大のニュースは、あと数週間で私たちの国に新しい大統領が誕生することです。ニュースを見たり読んだ人はご存知でしょうが、この新しい政府については、いろいろ意見が分かれそうです。トランプは(私の個人的な意見ですが)、アメリカの投票者の恐怖と不満に焦点を当てたことで勝利しました。移民排斥を訴え、女性を軽蔑し、公然と人種差別と思える発言をしていました。そんな人って…。実は私も、多くのハリウッドの人たちと同じように、今回の選挙戦の結果にはとてもガッカリしました。ところで、映画界ではもうすぐアワード・シーズンに突入しますね。ゴールデン・グローブ賞のノミネーションはすでに発表済み。数週間後には、アカデミー賞のほうも発表されます。実は皮肉なことに、今年のゴールデン・グローブ賞のノミネーションは、非常に多様性に富んでいるんです。去年のアカデミー賞で、白人ばかりが候補に選ばれたことが大きな問題になったことを覚えていますか?これはアカデミー賞のイメージダウンにつながるため、2017年には多様性を確保する改革案が、委員長から公式に発表されました。そこで今回のゴールデン・グローブ賞のノミネーションを見てみると、ハリウッドはしっかりと前回の反省を生かし、変革をしているようです。助演女優賞候補には、ヴィオラ・デイヴィス、オクタヴィア・スペンサー、ナオミ・ハリスというアフリカ系アメリカ人女優が選ばれていますし、男優賞には、デーヴ・パテール、リズ・アーメッド、デンゼル・ワシントンがノミネートされました。この変革は、作品賞でも顕著に表れています。テレビ部門では、「アメリカン・クライム・ストーリー/O・J・シンプソン事件」、「ATLANTA」、「BLACK-ISH」、「ナイト・オブ・キリング 失われた記憶」、「This is Us」。映画部門では『Fences』、『ムーンライト』、『Hidden Figurers』が候補に上がりました。同じようにアカデミー賞のノミネーションでも、多様性が実現するのでしょうか。その答えが分かるのは1月24日(現地時間)です。もちろん、1月8日のゴールデン・グローブ賞の結果もとても楽しみにしています!だからね、余計に切なくなってしまうんです。ハリウッドではさまざまな文化を描き、さまざまな肌の色の人たちが一緒に働いているのに、なぜアメリカ人はまったく正反対の道へ進もうとする人に投票したんでしょうか…。いろいろな文化の中で生きてきたアメリカ人女性の私にとって、来月、史上初の女性大統領が誕生しないことをとても悲しいです。でも決して希望は捨てず、世界中の映画やテレビ番組が、文化、人種、性別などの枠にとらわれずに、無知や恐怖と戦い続けてくれることを願います。(text:Lisle Wilkerson)
2017年01月02日胸がキュンキュンし過ぎて「一度、お医者さんに診てもらっては?」と心配したくなる最近の日本映画界。『君の名は。』の大ヒットに沸いた2016年に続き、良いニュースがあるといいのですが…。既存のセオリーが崩壊したいま、映画ファンはどんな作品を観るべきなのか?<成功のカギは海外ロケ?ハズせない話題作>2017年、邦画界で最も注目を集めている大型実写企画が『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』(8月4日公開)、そして『鋼の錬金術師』(12月公開)だ。ともに国内外で高い人気を誇るコミックが原作になっており、それぞれスペイン、イタリアで大規模なロケを敢行した点も共通している。独特な世界観の再現が不可欠なだけに、海外ロケがもたらす効果は、両作品にとって成否を分ける重要なカギとなるはずだ。また、『ジョジョ』であれば“スタンド”、『ハガレン』なら錬金術を駆使したバトルシーンも見どころになる。原作を尊重しつつ、斬新なアクション描写を生み出せるかが勝負である。キャスティングや脚色に対する賛否は、実写化ならではの悩ましい問題だが、それでもファンなら見逃せない、映画会社にとっては失敗できない、絶対に“ハズせない”話題作なのは間違いない。ヒットして、シリーズ化が軌道に乗ればいいけど…。<カリカリするだけ無駄?コミック実写化どう楽しむべきか>コミック実写化の話題が続きます。すべてのタイトルを挙げると、本当にキリがないけど、いまやヒット請負人の地位を確立した神木隆之介を主演に迎えて、二部作で映画化される『3月のライオン』(前編3月18日公開、後編4月22日公開)をはじめ、『銀魂』(夏公開)、『東京喰種トーキョーグール』(夏公開)、『亜人』(9月30日公開)は押さえておきたい作品だ。異色のプロモーションを展開しているのが『銀魂』で、主演の小栗旬が「実写化してどうもすいませんでした」と自虐的な謝罪動画を公開し、大反響を巻き起こしたばかり。でも、「実写化してどうもすいませんでした」って気持ち、あらゆるコミック実写化に携わる関係者の本音なのかも…。もはやカリカリするだけ無駄だし、2017年は映画を受け取る観客側の姿勢も問われそう。<嵐メンバー主演作が続々公開、岡田准一&生田斗真も変わらぬ活躍>例年以上に、ジャニーズ事務所に所属する男性タレントの主演作が公開されるのも2017年の特徴。特に大野智主演の『忍びの国』(7月1日公開)を皮切りに、松本潤主演の『ナラタージュ』(10月公開)、二宮和也主演の『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』(11月3日公開)と、「嵐」メンバーの主演作が続々公開され、ファンはうれしい悲鳴だ。すでに俳優として確固たるポジションを築いている「V6」の岡田准一は、『追憶』(5月6日公開)と『関ヶ原』(8月26日公開)に主演。同じく実力派俳優の生田斗真は『彼らが本気で編むときは、』(2月25日公開)、『先生!』(秋公開)で主演を務め、スクリーンで変わらぬ活躍を披露する。「KAT-TUN」の亀梨和也は『PとJK』(3月25日公開)、『美しい星』(5月公開)に出演。「Hey! Say! JUMP」の山田涼介は前述した『鋼の錬金術師』に加えて、東野圭吾原作の『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(秋公開)に主演する。2016年大晦日をもって解散した「SMAP」の元メンバー、木村拓哉が主演する『無限の住人』(4月29日公開)も注目すべき一作だ。<『君の名は。』に続け!アニメ映画は2017年も期待大>国内興収210億円を突破した『君の名は。』をはじめ、『聲の形』『この世界の片隅に』といった秀作が、正当な評価と予想を超える興行成績を獲得し、まさにアニメ映画豊作の1年だった2016年。この現象に続けとばかりに、2017年も期待作が目白押しだ。制作会社の解散を理由に、公開が延期になっていた伊藤計劃原作の『虐殺器官』が、満を持して2月に公開。『攻殻機動隊S.A.C.』『東のエデン』の神山健治監督によるオリジナル作『ひるね姫知らないワタシの物語』(3月18日公開)は、主演の高畑充希をはじめ、豪華な声優陣も注目を集めそう。また、“逃げ恥”で一躍全国区のブレイクを果たした星野源が、主人公の声を務める『夜は短し歩けよ乙女』(4月7日公開)、岩井俊二監督の同名傑作をアニメ化する『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』(8月18日公開)など、アニメに興味がない人にこそ観てほしい作品も。スタジオジブリ出身の米林宏昌監督(『借りぐらしのアリエッティ』『思い出のマーニー』)は、新スタジオ「株式会社スタジオポノック」から最新作『メアリと魔女の花』(夏公開)を発表する予定だ。“ポストジブリ”論争もいまは昔。個性あふれる作り手によるアニメ映画の数々が、スクリーンで躍動する。(text:Ryo Uchida)
2017年01月02日菅田将暉は2016年、最も忙しい若手俳優の1人だった。出演映画は9本、もちろんいずれも主演クラス。連ドラは「ラヴソング」「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」と話題を呼んだ2作に参加。CMも、“鬼ちゃん”としてau「三太郎」シリーズに多数出演したほか、「グランブルーファンタジー」「ファンタ」「メンズビオレ」など7本に出演。“その顔を見ない日はない”超売れっ子俳優となった。また、新たな胸キュン男子の名をほしいままにするかと思えば、朝ドラ「とと姉ちゃん」で全世代にファンを広げた坂口健太郎、『ちはやふる』や『ミュージアム』などで演技の幅を見せた野村周平、予想どおり2016年随一のブレイク男子となった竹内涼真らも、文字どおりこの1年を駆け抜けた1年となった。■菅田将暉の2017年は“戦国イケメン”&シンガー&声優!?菅田さんの大躍進は、2013年『共喰い』で注目を浴び、『そこのみにて光輝く』や『海月姫』などで、演者としてさらにひと皮むけたことから始まった。加えて、au「三太郎」CMの“鬼ちゃん”は彼をお茶の間にも知らしめ、一見チャラいが、飾らず正直で子だくさんという設定も「気持ちのいい人だなぁ」という空気感が伝わり、人気を呼んだ。ユーモアを愛する関西人でありつつ、福田雄一監督が「情熱大陸」で迫ったように“洋服づくり”にハマるなど、ストイックで凝り性な面もまた、放ち続ける色気とのいいギャップを生み出している。髪型や髪色の変化から、さまざまな役柄に挑んでいることは伝わってきたが、2016年の出演映画は1月の『ピンクとグレー』に始まり、3月の『星が丘ワンダーランド』『暗殺教室~卒業編~』、5月の『ディストラクション・ベイビーズ』、6月の『二重生活』、7月の『セトウツミ』、10月の『何者』『デスノート Light up the NEW world』、そして11月の『溺れるナイフ』といずれも話題作ばかり。特に、革新作といえる『ピンクとグレー』での前半と後半の豹変ぶり、『ディストラクション・ベイビーズ』の想像の上をいくサイテーな小心者ぶりは“事件”ですらあった。かと思えば、『セトウツミ』では池松壮亮と男子高校生に扮し、ユルくて深い青春会話劇で笑って泣かせてくれた。池松さんと東出昌大と挑んだ『デスノート Light up the NEW world』、佐藤健を主演に有村架純、二階堂ふみ、岡田将生、山田孝之と共演した『何者』と、日本を代表する若手実力派たちとがっつり組んだ作品でも存在感を発揮してみせた。『溺れるナイフ』では小松菜奈とともに、鋭く、煌めいた青春の刹那のラブストーリーを体現。神主一族の跡取りを熱演した菅田さんは、華奢な体つきではあるものの、決して芯は細くないことを感じさせる姿だった。意外にも恋愛映画は初主演だったが、“壁ドン”や“顎クイ”などはなく、“顔ベロォ”や“ツバ吐き”がある(!)という、いわゆる“胸キュン”映画とは一線を画すものに。また、ドラマ「地味にスゴイ!」のラストでも、菅田さん演じる幸人と石原さとみ演じる悦子が、自分とお互いのために選んだ答えが好感を持って受け入れられている。いずれも、真摯に役に向き合った菅田さんの好演が光っていた。そして1月28日(土)からは、すでにその歌声が話題となっている松坂桃李とW主演の映画『キセキ ーあの日ソビトー』が公開。横浜流星、成田凌、杉野遥亮と劇中で結成した「グリーンボーイズ」としてCDデビューも果たす。auのCMでもサッカー日本代表応援ソング「見たこともない景色」を熱唱しているが、2017年は若手実力派俳優としてだけでなく、“歌手・菅田将暉”も話題となるかも。また、ついに大河ドラマにも名を連ねることになる菅田さん。柴崎コウ主演「おんな城主 直虎」で、戦国の“イケメン”といわれた虎松/井伊直政を演じるというだけに期待は高まる。「まさかでしょ?」と目を疑った実写版『銀魂』も、先日の“そっくり”ビジュアルや解禁映像を見るかぎり、(ほっと胸をなでおろしつつ)期待値は上がるばかり。コメディ部分の要となる、菅田さんが演じる“新八”のツッコミは楽しみだ。そのほか、故・寺山修司原作の『あゝ、荒野』では韓国の鬼才ヤン・イクチュンとともにボクサー役に挑み、さらに岩井俊二の初期作で根強い支持を集める「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」のアニメ化にて声優にも初挑戦。監督は『バクマン。』の大根仁、共演には広瀬すず、宮野真守と鉄壁の布陣だ。菅田さんの快進撃と挑戦は、2017年も続いていく!■映画界のネクスト世代ー坂口健太郎&竹内涼真&野村周平月9ドラマ「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」から始まった坂口さんの2016年。火10ドラマ「重版出来!」に続いて、NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」のヒロイン・常子(高畑充希)の相手役でさらに人気を集めた。「とと姉ちゃん」で演じた星野武蔵は、植物を愛する真面目で不器用な姿が多くの朝ドラファンをキュンとさせ、“葉っぱのあんちゃん”として親しまれることに。その一方、『64 -ロクヨン-』では警察署付きの記者というこれまでにない硬派な役柄、スペシャルドラマ「模倣犯」では初の悪役を務めて話題となった。2017年は、坂口さん演じる“一途男子”・長谷川陸が、事故に遭った恋人(miwa)を救うため、すべてを投げ打ちタイムリープを繰り返すラブストーリー『君と100回目の恋』(2月4日公開)が控えている。また、ドラマ「東京タラレバ娘」での、吉高由里子演じる30歳独身のヒロインと関わる金髪のイケメンモデル役という、これまでありそうでなかった役柄にも注目だ。ドラマ「下町ロケット」(’15)で一躍脚光を浴びた竹内さんは、その勢いのまま2016年へ。「臨床犯罪学者 火村英生の推理」「時をかける少女」「THE LAST COP/ラストコップ」など人気ドラマへの出演が途切れることなく、まさしくブレイクを遂げた。自身は大学のスポーツ推薦を得るほどのサッカー選手だったが、土屋太鳳と共演した『青空エール』の甲子園を目指す野球部員の、まっすぐで熱い姿は彼のキャラクターにもマッチ、多くの涙を誘ったことも記憶に新しい。GWには、唐沢寿明&窪田正孝とともに「THE LAST COP/ラストコップ」の映画化(5月3日公開)に挑む。野村さんの2016年は、『ライチ☆光クラブ』では変貌した“光クラブ”を憂うリーダー、『ちはやふる』では競技かるたチームのエース、『森山中教習所』では超マイペースな大学生と、タイプのまったく異なるキャラクターが続いた。小栗旬と刑事役でコンビを演じる現在公開中の『ミュージアム』では、衝撃の最期を迎えることでも話題沸騰。また、ブレイクのきっかけの1つとなった「恋仲」から1年ぶりに、月9ドラマ「好きな人がいること」に参加した。桐谷美玲、山崎賢人、三浦翔平ら最旬キャストが勢ぞろいする中、野村さんは女子にやさしくお調子者、BMXを華麗に乗りこなす三男という、最も“素”に近い(!?)役柄で人気に。中国語が堪能なだけに台湾での同作スピンオフにも主演し、大活躍を見せた。そんな野村さんや竹内さんも出演する、菅田さんの主演作『帝一の國』には、間宮祥太朗、志尊淳、千葉雄大など注目俳優&ネクストブレイク候補が顔を揃える。やはり、イケメンの豪華競演は見逃すわけにはいかない。(text:cinemacafe.net)
2016年12月31日名作ドラマ「フルハウス」の続編が、現在Netflixで配信中!そのシーズン2の配信開始に合わせ、来日を果たしたキャストたち。主人公であるタナー家の長女DJ役のキャンディス・キャメロン・ブレ、次女ステフ役のジョディ・スウィーティン、DJの親友キミー役のアンドレア・バーバーに続き、今回はDJやステフの父ダニー役のボブ・サゲット、ダニーの親友ジョーイ役のデイブ・クーリエがインタビューに応じてくれました。「フルハウス」ではまだ幼い娘たちを懸命に育てていたダニー、そんな彼の良き協力者だったジョーイ。それだけに、いまや大人になった娘たちが子育てに奔走する「フラーハウス」に対しては感慨深いものがあるようです。「僕自身には20代の娘が3人いて、そのうちの1人にはボーイフレンドもいる。けれど、まだどの娘にも子どもはいないから、孫役の子たちに“おじいちゃん”と呼ばれるとぎょっとするよ(笑)。いつか僕もダニーのようになるのかな…。まあ、孫ができたときは、お小遣いをやって手なずけるつもりだけどね!」。(ボブ)「彼女たちを幼い頃から見てきたけど、3人とも本当に美しく立派な大人の女性に成長したと思う。『フラーハウス』に出てくる家族はちょっとばかり機能不全家族だと言えるけど、それでも見ていて気持ちのいいものだよ」。(デイブ)デイブの言葉通り、『フラーハウス』では複数の家族が少々いびつに入り乱れていて、「シーズン2は特に“みんなおいで!”って感じ」。大勢のキャストが集う撮影セットはボブいわく「宇宙船みたい」だそうで、「僕たちのドラマは『スター・トレック』のファミリー版だとも言えるね」とのことです。そんな中、ボブとデイブは撮影時も(大人なのに)じゃれ合っているようで、このインタビュー中にもその片鱗が。隙あらば互いの腕をペシペシとはたき合ったり、頬をムギュッとつまんでみたり、テーブルの上に置かれていた花瓶の花の実を投げ合ったり…。「僕たち心は10歳だから。教室にいるでしょ?こういう奴ら。大抵は退学させられちゃうんだけど」と自身も認めるコドモぶり…、ではなく仲良しぶりでした。実際、ダニーの義弟ジェシー役のジョン・ステイモスも含めた彼ら3人は、『フルハウス』を通して本物の友情を築き上げてきたそうです。「僕ら3人は兄弟みたいなもの。人生のあらゆることを共有してきた。結婚、子どもの誕生、離婚、家族との死別といった様々な出来事を、みんなで体験してきたんだ」(デイブ)。「ある晩、ジョンと僕が一緒にディナーをしていたことがあってね。ところで、ジョンは5時に夕食を取って、8時には寝るんだ。おばあちゃんみたいだよね。でも、だからあんなにお肌がスベスベなんだ(笑)。さておき、そのとき、デイブのお母さんがもう長くない状況になり、彼から電話がかかってきた。ジョンと僕はデイブの家に駆けつけ、裏庭で人生について語り明かしたよ。そういった互いに対する愛情は、脚本の台詞ではないところにもにじみ出ている。そういう番組なんだ、『フルハウス』は」(ボブ)。もちろん、その愛情は“娘たち”にも向けられていて、「ジョディは僕の長女と仲がいいし、キャンディスをサーカスやコンサートに連れて行ったこともある」とボブ。それだけに、シーズン2で彼女たちが織りなす恋愛模様にもパパの心は穏やかではないようです。「DJはマットとスティーブの板挟みになるだろう?彼らの三角関係を見るのは、本当に胸の痛むことなんだ。スティーブ役のスコット(・ウェインガー)と僕はよくダブルデートをした仲でね。僕が若い女の子ばかりを追いかけていた時期だったから、ちょうどよかったんだ(笑)。だから僕は個人的にスティーブが大好きなんだけど、マットもDJにとってはいい相手のようだし…。あとはステフの恋も気になるところだな。キミーと別れた夫のすったもんだからも目が離せないしね!」。(text:Hikaru Watanabe/photo:Takashi Tokita)
2016年12月31日