デルタ航空は現地時間の5月28日、フランス・トゥールーズのエアバス本社にて新型の国際線用ワイドボディ機材(通路2列)A330-300型機を受領した。この航空機は2008年のノースウエスト航空と合併以降、初めて新規購入したエアバス機で、2017年までに納品が予定されているA330-300型機10機のうちの最初の1機となる。エンジンはGE製CF6-80E1を搭載しており、主に太平洋路線と大西洋路線の長距離国際線に使用される。デルタ航空は現在、A330型シリーズを32機運航している。同型機は今日運航されている中距離用ワイドボディ機の中で、最もコスト効率の優れた航空機とされている。新たに受領したA330型機は、同機が後継機となるB767-300型機やB747-400型機よりも、1座席あたりの燃費効率が15~25%向上する。座席数は計293席で、国際線最上位クラスとなるビジネスクラス「デルタ・ワン」に、全座席通路側のフルフラットベッドシートが34席、足もとの広い「デルタ・コンフォートプラス」が32席、エコノミークラス「メインキャビン」が227席となる。機内Wi-Fiシステムを搭載し、各座席に設置された高解像度モニターでは、1,000種類以上の映画・テレビ番組・音楽などのコンテンツを擁する最新のオンデマンド型機内エンターテインメントシステム「デルタ・スタジオ」が楽しめる。頭上には広い手荷物収納棚を設け、LEDライトの採用によりモダンな機内空間を演出する。
2015年05月29日三菱航空機は5月26日、次世代リージョナルジェット機MRJ(Mitsubishi RegionalJet)に関するWEB情報発信ツール「MRJ Newsletter」を発刊し、その第1号でANAカラーとMRJロゴをコラボレーションした5号機の胴体塗装が完了したことを発表した。同ニュースレターは、MRJの開発の進ちょくや量産に向けた準備状況など、航空機事業全般に関するトピックスを分かりやすく伝えすることを目的としている。その第1号で、4月に取締役社長に就任した森本浩通氏のあいさつを始め、米国オハイオ州クリーブランドで開催された「第40回RAA Annual Convention」でのMRJプログラムに関するメディアブリーフィングについて報告している。MRJの進ちょくとしては、飛行試験機2号機の機能試験・技術試験の開始、また、すでに塗装が完了している飛行試験機1号機~4号機に続き、このほど5号機の胴体塗装が完了したことを発表した。5号機はローンチカスタマーとなるANAへの敬意と表し、ANAカラーとMRJロゴをコラボレーションした塗装を施している。これから5号機は、胴体の組み立て、主翼と胴体の結合、搭載品の取り付け等の最終組み立て、搭載システムの機能を調整・確認する全機地上試験を経た後、飛行試験へと移行する。(c)2015 MITSUBISHI HEAVY INDUSTRIES, LTD. All Rights Reserved.
2015年05月26日どうしてそういうことになるのか、その理由は定かでないのだが、この業界には「事故はいったん起きるとあちこちで続く」というジンクスがある。実際、この記事を書いているのは2015年の5月だが、前年から軍民の双方で航空機の事故が続発している。○「たるんでる」と吊し上げても事故はなくならないさまざまな航空事故の原因を単一の理由に収斂させるのは、無理かつ無謀な話だが、大きく分けると、「人的ミス」「設計上の不備」「運用・整備上の不備」「どうにもならない原因」といったところに分けられそうである。(なお、ウクライナ上空で撃墜されたマレーシア航空機の件は、事故ではなく事件というべきだろう)何か事故が起きたときに、とりあえず人的ミスに原因を求めて「たるんでる」と吊し上げるだけでは、問題の解決にならない。神様ではないのだから、誰でもミスを犯す可能性はある。そこで、どうリカバリーするかが問題だ。航空機とそれを取り巻くシステムの発達史はある意味、人的ミスの原因を減らしたり、人的ミスが発生してもリカバリーできるようにしたり、といった取り組みの積み重ねでもある。たとえば、ITとは関係の薄い分野だが、高度計のデザインがある。昔の高度計は3針式といって、同じ文字盤の上を複数の針が回っていた。要するにアナログ時計と同じで、100フィート単位・1,000フィート単位・10,000フィート単位の針が同じ文字盤の上を回る。単位によって針の長さが異なる。(3針式高度計の例)長さを変えないと区別がつかないし、細かい違いの方が正確な読み取りが求められるという考えから、こういう形にしたのだろう。そこで高度を読み取るには、どの単位の針がどの数字を指しているかを読み取って、頭の中で合算する必要がある。ところが3針式では、急いで高度を読もうとしたときに読み取りミスを起こす可能性は否定できない。しかし一方で、針が動いてくれる方が「傾向」を読み取るには具合が良いという事情もあるので、3針式は止めて、大きな単位は数字のカウンター表示にして、細かい単位は針を動かす形を用いるようになった。今ならグラスコックピット化してコンピュータ・グラフィック表示するのが普通だから、こういう表示形態の変更はソフトウェアをいじるだけで済む。昔なら高度計を取り替えなければならなかったところだ。と、強引にコンピュータがらみの話題にこじつけてみる。○人的ミスをシステムでカバーする高度計の話はマン・マシン・インタフェースの問題だが、操作ミスをシステムがカバーする仕組みもいろいろある。以前に本連載の第6回で取り上げたフライ・バイ・ワイヤ(FBW : Fly-by-Wire)も、人的ミスをカバーする仕組みのひとつといえる。操縦操作がそのまま舵面の動きに反映される方式では、機構上の限界まで舵面を動かせてしまう。ときには、それが失速などの原因になる。その点、FBWであればパイロットの操縦操作は「意志」を機械に伝える操作であり、それを受けて舵面をどう動かすかは飛行制御コンピュータの問題だ。だから、「そんなに機首を引き起こしたら失速する」と判断した場合には、操縦桿を引く操作を行っても機首上げが過剰にならないように制御することができる。最近の戦闘機の中には「パニック・ボタン」を備えるものがあるが、これも同じである。空間識失調(バーティゴ)に陥った等の場面で、このボタンを押すと自動的に水平直線飛行に戻してくれる。こうした、自動化によるミスの予防あるいはリカバリーはさまざまな場面で見られる。ただし、すでにあちこちで書いていることではあるが、大事なことなのでしつこく繰り返すと、システムと人間が喧嘩をする可能性にも留意しておかなければならない。つまり、自動化システムがどういう動作原理に基づいていて、どういう場面への対処を考慮したものなのか。その自動化システムがどういう動作モードを持っていて、それらはどういう内容で動作するのか。それに対してパイロットがどういう操作をすると、システムはどう反応するのか。そういったことをパイロットは正しく理解していなければならないし、システムを設計する側はパイロットが馴染んだやり方や習性に配慮しなければならない。そこで齟齬が生じると、人間とシステムが喧嘩をして事故が起きる。という話は、過去にもあちこちでさんざん書いている通りだ。○難しい操作・複雑な操作を自動化するまた、ミスが発生してから対処するのではなく、そもそもミスを犯しにくいようにしようという形のシステム化・自動化もある。たとえば、垂直着陸や垂直離着陸が可能な飛行機の操縦操作がそれだ。もともと飛行機というのは両手両脚をフルに使って操縦するものなのに、垂直着陸や垂直離着陸が可能な飛行機になると、さらに扱わなければならない操作系が増える。たとえばハリアー戦闘機の場合、垂直離着陸のためにエンジンの排気ノズルの向きを変える操作が必要になるから、そのためのレバーがついている。したがって、右手は操縦桿でピッチ(機首の上げ下げ)とロール(左右の傾き)、両脚は方向舵ペダルでヨー(左右の向き)、左手はスロットルレバーでエンジン推力を加減するのに加えて、排気ノズルの角度調整もやらないといけない。しかも、他の操縦操作との調和をとりながらだ。特に難しいのは、エンジン推力を下向きにして機体を支える状態(垂直離着陸時はこれ)と、普通に前進して主翼の揚力で機体を支える状態の間を行き来する、いわゆる遷移の場面だろう。たとえば着陸の場合、徐々に速度を落としながら、排気ノズルを下に向けて機体を支えていかないといけない。遷移の際には速度を落とすが、速度を落としすぎると失速する。おまけに、速度を落とすにはエンジン推力を絞るが、ノズルを下向きに切り替えてエンジン推力で機体を支える段になると、今度は全開にしないと機体を支えられない。そんなややこしい操縦操作をミスなくやるのは大変である。その点、最近のF-35BやV-22といった機体は自動化が進んでいるから、それだけ遷移飛行などの場面における操縦操作は楽になっている。つまり、操作ミスに起因する事故が起きにくくなるということだ。ただし、操縦操作は楽になったが、たとえば乱気流やダウンバーストなど、周囲の気流から影響を受けることに変わりはない。すべて機械任せにして大船に乗った気でいればよいというわけではないから、やはり訓練と熟練は必要である。また、飛行制御コンピュータが正常に機能するかどうかは、機体の姿勢や速度に関する情報を正確に得られるかどうかにかかっている。そこでセンサーの配線をつなぎ間違えると、飛行制御コンピュータに間違った情報が入ることになり、結果として操縦操作を誤って墜落事故に至ることもある。機体が思った通りに動いてくれないわけだから、パイロットは焦るだろう。○執筆者紹介井上孝司IT分野から鉄道・航空といった各種交通機関や軍事分野に進出して著述活動を展開中のテクニカルライター。マイクロソフト株式会社を経て1999年春に独立。「戦うコンピュータ2011」(潮書房光人社)のように情報通信技術を切口にする展開に加えて、さまざまな分野の記事を手掛ける。マイナビニュースに加えて「軍事研究」「丸」「Jwings」「エアワールド」「新幹線EX」などに寄稿しているほか、最新刊「現代ミリタリー・ロジスティクス入門」(潮書房光人社)がある。
2015年05月25日本田技研工業(ホンダ)の航空機事業子会社であるホンダ エアクラフト カンパニー(HACI)は18日、小型ビジネスジェット機「HondaJet(ホンダジェット)」が初めて欧州に訪れ、スイスのジュネーブで開催されている欧州最大のビジネス航空ショー『ヨーロピアン ビジネス アビエーション コンベンション アンド エキシビション(EBACE 2015)』にて実機公開を行ったと発表した。HondaJetは、全行程が4万8,000kmを超えるワールドツアーを4月に開始。欧州初公開に先立って行われた日本ツアーでは、6カ所の空港でデモンストレーションフライトが実施され、述べ1万人以上の来場者が同機を間近で見学した。今回はそのワールドツアーの一環として、日本に続き欧州へ初飛来。EBACE 2015の後は、ポーランド、英国、ドイツおよびスイスの9都市でデモンストレーションフライトを行う予定だ。また、欧州におけるHondaJetのディーラーネットワークにマーシャルアビエーションサービスを加え、販売およびサービスネットワークを強化したことも発表。80年を超える航空機の販売、運航およびサービスの実績を有するマーシャルアビエーションサービスは、英国バーミンガムに拠点を置き、欧州北部においてHondaJetの販売およびサービスを提供する。米国ノースカロライナ州グリーンズボロ市にあるHACIの本社工場では、デリバリーに備えてすでに3機のHondaJetが飛行検査を行っており、製造ラインでは20機が組立中となっている。
2015年05月19日三菱航空機は米国オハイオ州クリーブランドで開催されている「第40回RAA Annual Convention」において、現地時間の5月12日にMRJプログラムに関するメディアブリーフィングを実施した。「RAA Annual Convention」」は米国のエアラインやメーカーなど航空関係企業で構成する業界団体RAA(Regional Airline Association)等が開催しており、その中で三菱航空機は次世代リージョナルジェット機MRJ(Mitsubishi RegionalJet)の開発状況を発表した。4機の進捗として、ロールアウトした初号機は各種試験ならびにフィードバックを実施し、2号機は全機の機能・技術試験を実施、3号機は脚の取り付けが完了して艤装(ぎそう)作業に入り、4号機は翼胴結合作業を行っているところになっている。今後に関しては、初飛行の時期は9~10月に予定しており、各種飛行試験を集中的に実施するとともに量産機の製造を加速することで、計画通り2017年第2四半期の初号機納入につなげていく予定となっている。(c)2015 MITSUBISHI HEAVY INDUSTRIES, LTD. All Rights Reserved.
2015年05月13日ソニー企業は、東京・銀座のソニービル6F「ソニーイメージングギャラリー 銀座」にて、無人航空機"ドローン"をテーマとした写真展「空飛ぶ写真機 ~ドローンで見た日本の絶景~」を開催している。入場は無料。会期は5月28日まで。「空飛ぶ写真機 ~ドローンで見た日本の絶景~」では、写真家・林 明輝(りん めいき)氏がドローンによる空撮で捉えた日本各地の風景写真を展示。上空数十メートルから約150メートルという普段見られないアングルから各地を見下ろすことで、新たな日本の魅力が楽しめるという。会期前半(5月1日~14日)は春夏編、会期後半(5月15日~28日)は秋冬編の2部構成となっており、5月17日14:00からは同氏によるトークイベントも開催される(入場料・事前予約不要)。また、同ビル1Fエントランスホールにある外国人観光案内所「Multi Communication Window」では、本展の一部作品を紹介する外国人観光客向けイベントを開催。85型の大型ディスプレイで日本の絶景写真が楽しめるほか、映し出された風景の前で記念撮影も可能。"空飛ぶ写真機"の展示もあるという。
2015年05月08日過去2回に渡って、「飛行機のシミュレータ」というと誰もが真っ先に連想することが多い、操縦訓練用のFFS(Full Flight Simulator)の話を主体として、関連する話題もいくつか取り上げてみた。ところが昨今では、操縦訓練以外の場面でもいろいろな種類のシミュレータが使われるようになってきている。飛行機とそれに関わるシステムが高度化・複雑化して、扱う側の訓練に時間を要するようになってきた一方で、できるだけ経済的かつ効率的に訓練を進めたい、という事情もあるためだ。○操縦以外のシミュレータ飛行機に関わるシミュレータというと、パイロットの操縦訓練に使用するFFSを真っ先に連想するのが普通だと思われるが、実はそれ以外にもさまざまなシミュレータがある。たとえば、計器盤に設けられた各種のスイッチを初めとする操作系の操作手順を覚えさせるのであれば、それだけのためにわざわざ大掛かりで高価なFFSを使用する必要はない。操作手順の訓練だけならモーション装置もビジュアル装置も要らないから、摸擬コックピットに実機と同じ操作系を並べて、それを操作したときに実機と同じ表示を行う計器やディスプレイを用意すれば充分だろう。さらに簡略化して、コンピュータの画面に計器盤を再現する方法もありかもしれない。これがCPT(Cockpit Procedure Trainer)。その名の通り、操作手順を訓練するための専用機材である。これの場合、操作に応じてどういう反応を返すかを制御しなければならないから、コンピュータ制御は必要になると思われる。○物理的に再現するシミュレータこのほか、実機と同じ作業環境を物理的に再現して訓練を行う機材として、軍用機で不可欠となる兵装搭載訓練装置(WLT : Weapons Load Trainer)がある。主翼や胴体と、その下面に設けられた兵装架を実物大で再現して、兵装搭載作業を実際にやりながら「身体で覚える」というわけだ。似たようなところで、整備訓練用のシミュレータもある。整備作業に必要とされる手順を覚えさせる目的で、実機と同じ作業環境を物理的に再現するものだ。整備には整備ならではの作業要領があるので、それを訓練する仕掛けがあった方がよい。実機を使わずに訓練を行えれば、貴重な実機を訓練のためにとられなくて済むので、経済的でもある。整備訓練用シミュレータの考え方は兵装搭載訓練用シミュレータと似ているが、用途が違う。整備であれば取り付けだけでなく取り外しも必要になるし、アクセスパネルの開閉も伴う。そういう環境を物理的に再現する。軍用輸送機で不可欠となる貨物揚搭作業をシミュレートする訓練機材もある。この場合、貨物室と貨物揚搭用ランプを実物大で再現する必要があるだろう。ただし、貨物室全体を再現するか、一部分を再現するかは場合によると思われる。軍用機だと、貨物の搭載作業を取り仕切るロードマスターという乗員がいる。ロードマスターは重量バランスの計算もしなければならないだろうから(本連載の第32回「飛ぶための計算(1)重量バランス」を参照)、これも計算や機器の操作を訓練する機材が要りそうだ。○コンピュータがあれば摸擬できる場合も軍用機の中でも早期警戒機や哨戒機といった類の機体では、飛行機の部分よりも、そこに搭載するセンサー機材やコンピュータ機材の方が実質的な主役である。すると、それらを扱うオペレーターを訓練する必要があるので、これまた専用のシミュレーション訓練機材の出番である。これをWTT(Weapons Tactics Trainer)と呼ぶことがある。もともとコンピュータ・ベースで動作するものをシミュレータで訓練するのであれば、実物と同じ環境をコンピュータで再現するのは比較的容易と考えられる。たとえば早期警戒機に搭乗する要撃管制官を養成するのであれば、実機で使用しているものと同じコンソールを設置して、その画面では本物と同様に、探知を示すブリップを表示させる。そして、訓練生が行う操作や指令、あるいは教官が設定するさまざまな「状況」に従って、画面の内容を本物と同様にして変化させていけばいい。その部分は、レーダーの代わりにコンピュータででっち上げる。もちろん、本物に関するデータを蓄積しておかなければ忠実な再現はできないが、コンピュータが実現している機能を再現するのであれば、ソフトウェアで完結する話だから、物理的なものを再現するよりは難易度は低そうだ。こういった、一部分の機能を切り出して特化させた訓練機材のことを、PTT(Part Task Trainer)と呼ぶこともある。○コンピュータによる学習操縦でもそれ以外の分野でも、まず座学で基本的な知識を身につけさせた上で、現物やシミュレータを使った実地の訓練に進むことが多い。その座学についても、口頭と黒板と紙のテキストを使う方法から、コンピュータを活用する方法に変化してきている。いわゆるCBT(Computer Based Training)である。特にこれが威力を発揮するのは、修得度を確認するための試験やその後の再学習かも知れない。つまり、座学をひととおりやったところで、コンピュータの画面上で試験をやる。解答を入力した結果はたちどころに集計されて、合否の判定、あるいは得意分野・不得意分野の割り出しができる。それに基づいて、再度の学習と試験の受け直しとなったり、あるいは再度のチャンスを与えるには足りないとしてエリミネートを決めたり、といった話になる。CBTの利用が広まってきたため、航空関連の教育・訓練を行う現場では、教室に椅子と机を並べるだけでは済まず、さらにパソコンをズラッと並べることが多くなっているようだ。もちろん、そのパソコンではCBT用のソフトウェアが動作しており、LANを通じて教官用のコンピュータや学習データ管理用のコンピュータと連接する。そのCBTを活用する座学に始まり、シミュレータ訓練から実機訓練まで、何をどのように、どれくらいの時間をかけて学習させるかという訓練シラバスを組み立てて、所要の機材一式を揃えて納入と設置を行い、さらに必要とあらば教官の育成まで担当する。納入して運用を開始した後には、メンテナンスやアップグレード改修も必要になる。こういった、訓練に関わるソリューションをひとまとめにして提案・受注して、据え付けたら直ちに使えるような形で納入するのが最近の趨勢だ。いわゆる「ターンキー・ソリューション」というやつである。○執筆者紹介井上孝司IT分野から鉄道・航空といった各種交通機関や軍事分野に進出して著述活動を展開中のテクニカルライター。マイクロソフト株式会社を経て1999年春に独立。「戦うコンピュータ2011」(潮書房光人社)のように情報通信技術を切口にする展開に加えて、さまざまな分野の記事を手掛ける。マイナビニュースに加えて「軍事研究」「丸」「Jwings」「エアワールド」「新幹線EX」などに寄稿しているほか、最新刊「現代ミリタリー・ロジスティクス入門」(潮書房光人社)がある。
2015年05月04日カスペルスキーが民間航空機のリアルタイム追跡サービス「Flightradar24」の仕組みを、同社のブログ「Kaspersky Daily」で解説している。Flightradar24は、民間航空機のフライト情報をインターネット上で追跡するサービス。利用者は、航空機の位置情報をリアルタイムに把握するのに役立てられる。カスペルスキーによると、インターネット上で航空機を追跡できるサービスの多くは、各航空機会社のフライト情報を随時更新できていないという。その原因は、航空会社が持つフライト情報がサービス各社に行き渡ってないことだと指摘している。Flightradar24は、他のサービスと異なり、フライトに関するデータを(から直接受信できることが特徴だ。これを可能にしているのが、放送型自動従属監視(Automatic Dependent Surveillance-Broadcast:ADS-B)という技術で、最近の航空機はほとんどがADS-Bを採用している。ADS-B技術は、従来型のマイクロ波レーダーより正確に航空機の位置を特定できるよう、ディスパッチャー(運航管理者)向けに開発された。ディスパッチャーだけでなくパイロットも、飛行情報、天候、地形などを把握するための機能を備える。さらに、ADS-B Mode-S機能により、GPS位置データ(緯度、経度、高度)のほか、速度(昇降率など)、機体固有の「アドレス」、便名が、1090 MHzチャンネルで定期的に(約1秒に1回)送信される。この機能によって、航空機からフライト情報を直接受信できているのだという。航空機から送信されるデータの「スクォーク(トランスポンダーコード)」は、コードで表した情報が送信することもできる。例えば、緊急時には7700、ハイジャックされたときは7500が設定されるる。そのためどんな非常事態も完全に追跡できるのだという。フライト情報は、すべて暗号化されていないチャンネルから送信されているため、誰でもアクセスできる。1090MHz周波数帯のアンテナを手に入れ、簡単な無線受信機を組み立てられればデータを受信できるという。また、USBインタフェース付きの一般的なテレビチューナーをeBayやAliExpressなどの中国製品を扱うマーケットプレイスで探し(10~20ドルで購入できる)、カスタムドライバーをインストールするといった方法もあるという。ADS-B信号は、航空機の位置から240km離れている場合でも受信できるという。○Flightradar24はWebページ版とアプリ版を用意Flightradar24で飛行情報を見るには、専用のWebサイトかスマートフォン向けのモバイルアプリを使う。モバイルアプリには、有料版と無料版がある。機能面では、Webサイトのほうが優れる。便名(IATAまたはICAO)、航空機の登録番号、「スクォーク」コード、航空会社名、航空機のモデルなどの多彩な検索条件を指定できる。便名で検索することで、航空機の位置をリアルタイムで確認できる。すでに終了したフライトでも、航路上のある地点での飛行パラメーターなどの詳しいデータを知ることができる。一般の利用方法は、例えば、搭乗を希望しているフライトの航空機を簡単に知ることができる。これにより、どんなフライトになりそうか予測したりして楽しめる。追跡の機能は、「航空機が地図上を動く」「コックピットビュー」を搭載する。ビューの画像は、航空機の現在の高度から投影された衛星の地形画像を基に生成される。航路のデータがときどき消えたり、画面上の飛行機のノーズが突然写ることもある。モバイルアプリは、Android、iPhone、iPad、Windows Phoneの各プラットフォームに対応し、無料版と有料版の2つがある。Web版にはない拡張現実機能が利用できる。各超現実機能は、飛行中の航空機にデバイスのカメラを向けて使う。スマートフォンはGPSモジュール経由で航空機の位置データを取得し、加速度計と内蔵コンパスによって補正する。これで、アプリが航空機を認識し、航空機の写真と飛行データが画面上に表示される。
2015年04月27日ホンダは4月23日、同社の航空機事業子会社であるホンダ エアクラフト カンパニーによる小型ビジネスジェット機「HondaJet」のワールドツアー開始にあたり、午後に羽田空港に着陸したHondaJetを公開した。今回のワールドツアーで、HondaJetは13カ国以上を訪れ、日本と欧州で初めて公開され、ツアールートの総計は4万8000kmを超えるという。日本では、4月25日から5月5日までHondaJetの一般公開を行う。一般公開は、4月25日に仙台空港、4月26日に神戸空港、5月2・3日に岡南飛行場(岡山)、5月4日に成田国際空港で行われる予定。欧州では、スイスのジュネーブで5月19日から21日まで開催されるビジネス航空ショーの「ヨーロピアン ビジネス アビエーション コンベンション アンド エキシビション(EBACE2015)」に出展され、その後、HondaJetの欧州ディーラーとともにスイス、イギリス、フランス、ドイツ、ベルギーなどでデモンストレーションを行う予定。
2015年04月24日オートデスクは4月23日、米イリノイ大学と共同でUAV(無人航空機)を用いて工事現場を撮影し、その画像から精度の高いBIM/CIMモデルを作成することで、現況の把握と施工の進捗管理を効率的に行うことができる手法を開発したと発表した。また、大成建設が同手法の実証実験を実際の建設現場で実施し、施工進捗管理業務の品質および生産の向上に成功したことも明かした。これまで、土木工事の進捗管理は専門の業者が3Dスキャナなどで地面を定期的に観測して、その変化を計算・記録して行ってきた。広範囲な工事現場を数日かけて測量する必要があるため、時間とコストがかかってしまう。これに対し、今回開発された手法では、UAVで取得した画像を選別してアップロードすると、数時間後に自動で点群データが作成される。その後、「Autodesk Civil 3D」で写り込んだ重機などのノイズを取り除いた後、サーフェスモデルを作成する。一連の作業は、点群データを作成する数時間を除けば、120分で済むという。大成建設が高知県安芸郡の和食ダムで行った実験では、作成したCIMモデルから盛り土/切り土量などを自動的に計算し、現況の形状や土量の変化から進捗を自動的に算出することで、以後の工事予定を確認した。その結果、これまでデータの取得に1週間かかっていたのが、最短で半日に短縮したほか、従来は複数人必要だったオペレーターも最小1名で対応可能となった。精度の面では、画像から得られた位置データの最大誤差は±10cmで、これはボリューム算出には十分な精度とのこと。進捗管理の品質という面では、現況の計測回数を増やし進捗把握の情報が増えたことで、工事計画の確認と変更の検討が行い易くなったほか、現況データや進捗管理データを「Autodesk Civil 3D」や「Autodesk InfraWorks」に取り込みビジュアルで工事計画の検討をしたことでコミュニケーションの質が向上するなどの効果を発揮した。同手法は工事現場以外にも、構造物の点検や、災害時の被災状況の把握などにも応用が可能と考えらている。今後は、UAVを大型化することで、カメラ以外の計測機器も搭載することや、安全面がクリアできれば自動操縦でUAVを飛行させることも検討していくという。
2015年04月24日本田技研工業(以下、ホンダ)の航空機事業子会社であるホンダ エアクラフト カンパニー(以下、HACI)は4月23日、日本では4月25日から始まる小型ビジネスジェット「HondaJet(以下、ホンダジェット)」のワールドツアーに先駆けて、羽田空港でプレス向けに日本初のホンダジェット披露・記者会見を実施した。○クラス最大となる高度・省エネ・広さ23日に実施された記者会見の前、ホンダジェットからHACI社長 藤野道格氏が登場した。同日に発売となった新開発ターボを搭載した新型「ステップワゴン」に乗り込み、会場前にて降車して入場。記者会見には藤野社長とともに、ホンダ代表取締役社長執行役員 伊東孝紳氏、同取締役専務執行役員 山本芳春氏が出席した。記者会見では伊東社長が、「三次元のモビリティである航空機業界への参入は、創業者本田宗一郎の夢であり、ホンダはその夢の実現に向けて、ジェットエンジンと機体の両方を開発するという、いまだかつてないチャレンジを長きにわたって続けてきました」とコメントしたように、本田宗一郎氏が航空機開発への意向を示したのが昭和37年(1962)である。その後、昭和61年(1986)より航空機の研究に着手し、1997年には本格的に開発がスタートした。2011年には最高速度425ノット(778km/h、クラス最高速)、最高運用高度43,000ftを達成(クラス最高高度)、量産工場完成、失速試験の実施、降着装置落下試験の実施、パイロットシート衝突試験の実施、2012年には終局荷重試験完了、主翼着氷試験の実施、高温環境試験の実施、量産最終組み立ての開始、2013年には寒冷地環境試験の実施、エンジンインレット着氷試験の実施、水吸込み試験の実施、極低温試験の実施、型式検査承認(TIA)取得、カスタマーサービスセンターFAR Part145に認定された。2014年には量産1号機初飛行・初披露、顧客試乗会の実施、2015年にはフライトシミュレーターの設置、連邦航空局(FAA)の事前型式証明(PTC)を取得、そして今回のワールドツアーとなり、スイスのジュネーブで開催されるビジネス航空ショー「EBACE」に出展する。今回のワールドツアーは総計4万8,000kmを超えるツアールートとなり、HondaJetは13カ国以上を訪れる予定。このワールドツアーにより、ホンダジェットは日本および欧州にて初めて公開される。日本では4月25日に仙台空港(抽選で540人)を皮切りに、4月26日に神戸空港(抽選で900人)、4月29日(抽選で400人)、5月2、3日に岡山の岡南飛行場(抽選で3,000人)、5月4、5日に成田国際空港(抽選で1,600人)で、デモンストレーション飛行や地上展示などを実施する。○フェラガモのハイヒールから着想本田宗一郎氏が夢見たホンダの新時代を切り開くホンダジェットの性能については、藤野社長が紹介した。藤野社長は同機の最も優れた点として、GE Honda製新世代ターボファンエンジン「HF120」をまず挙げた。小型軽量ながら2,095lbという高い推力を発生するHF120はファンに特長があり、ホンダ独自のCFD(流体解析プログラム)とFOD解析技術を用いた最適化設計により、高推力と安全性を両立させた。また、高精度な燃焼解析技術で形状や冷却性能を最適化した燃焼器は、HF120の小型化・軽量化に大きく貢献しているという。このエンジンを通常の小型ビジネスジェットのように胴体ではなく、主翼上面に配置することにより、キャビンと荷物室の空間を最大限確保し、同時にエンジンからキャビンに伝達される騒音と振動を小さくさせる。空気抵抗の大幅な低減を目指し、主翼と胴体ノーズ部には物体周りのスムーズな空気の流れを最大化させるNLF(自然層流)技術を採用。なお、藤野社長が最初にコンセプトスケッチを描いた際、ノーズ部はフェラガモのハイヒールから着想を得たという。燃費に関しても約1,100km飛行時の消費量は165galで、同級他機に比べると-12~-17%程度となっている。また、多くの航空機では構造材料として主にアルミニウム合金が使われるのに対し、同機では複合材(炭素繊維強化プラスチック)が胴体で使われている。この胴体は強度と軽量化を追求できるスティフンドパネル様式と形状保持を追求できるサンドイッチパネル様式の構造からなりたっている。内装に関してはシングルパイロットにとって視認性・安全性に優れたデザインを採用。2台のタッチスクリーンコントローラーにはアイコンが用いられ、飛行機の直感的な操作を可能にしている。キャビンは4人がゆったりと座れるクラブ配置シートとなっており、同級他機では183cmのスペースのところ、同機では218cmにすることで足元には36cmのゆとり空間が生まれる。なお、同機の標準仕様は6人(最大仕様7人)となっている。○最新の安全基準を満たしたことが強みビジネスジェットのマーケットではボンバルディアやセスナなどが先行している中で、ホンダジェットが業界に与えるインパクトに関して、藤野社長は「最高の安全性・信頼性」を挙げた。「20年前、30年前の安全基準はもちろんその時代の最高基準ではあるのですが、年々、安全へのレギュレーションは厳しくなっています。最新の安全基準によって設計・認定されたホンダジェットは、性能はもちろんですが、安全に関しても非常に厳しい基準をパスしているということで、新たな市場に入っていく上でお客様からの信頼性はあるんじゃないかと思っています」(藤野社長)。次のモデルに関して藤野社長は明言を避けたものの、希望としては航空機開発を事業としてやっていきたいという意向を示した上で、「車でアメリカのカルチャーを変えていったように、(航空機開発に関しても)カルチャーを変えることができれば、ホンダが参入した意味があるのではないでしょうか」とコメントしている。○お披露目会
2015年04月24日全日本空輸(以下、ANA)とトヨタ紡織は4月21日都内で記者会見を開き、両社が共同開発した新航空機シートを発表した。シートは国内線普通席のシートで、6月より導入し、2016年度までにB767-300型機6機(席数合計1,560席)に装着する予定となっている。○トヨタ紡織初のシートは計1,560席今回、トヨタ紡織としては初めての航空機シート開発・製造となる。同社はコンパクトカーから高級車、スポーツカーまで、年間約700万台分のシートをトヨタ自動車をはじめとするカーメーカーに提供。近年は鉄道車両用シートも開発・製造しており、同社のシートは3月14日に全線開通した北陸新幹線の新型車両E7系・W7系のグランクラスにも搭載されている。共同開発するにあたり、ANAはエアラインとしてのノウハウ・ニーズを提供し、トヨタ紡織は長年にわたる自動車用シート開発を通して培ってきたデータと高品質のモノづくりを活用。構想・製造、国土交通省からの認可取得に至るまで3年をかけ、「お客様の心に残るひとときを」をコンセプトにしたシートが誕生した。新シートの仕様は、座席幅17.5インチ、座席間隔(ピッチ)31インチ、配列2-3-2。B767-300型機(普通席260席仕様)に装着し、合計6機(計1,560席)を予定している。ANAの国内線に関しては、2012年にB777、B787の薄型軽量シートを導入。今回はB767-300の普通席を刷新することで、国内航空の旅のさらなる快適さを追求していくという。なお、今回の新シートは5,6年の使用を予定している。○どんな体格の人もリラックスできるようにANAが2014年上期に利用者へ実施したアンケートでは、改善を要望する項目として約1/4以上の人が座席を指摘していたという。ANAの狙いとしては、快適性の向上とともに効率的な運航を実現するために、座席数を確保しながら1席の空間を広げる工夫と軽量化による燃油費負担軽減を目指していた。こうしたANAからの要望に対し、トヨタ紡織は改良の着眼点として「腰(骨盤)の安定」「座面の圧力分布の均一化」「自然なアームレストやテーブルの位置」という3点を設定。特に腰を安定させるために「体幹」を意識し、開発においても一番こだわったのがこの体幹だったという。腰をしっかり支持することで、腰周りの筋肉の疲労を抑え、結果、よりリラックスできる座り心地になるという。小柄な女性から大柄な男性も心地よくフィットするシートを追求し、身体にかかる圧力をバランスよく分散するように、背もたれや座面の形状、高さ、長さ、角度、構造を設計。特に背もたれは身体に負荷がかからないように立体形状にアルミをプレスして作成し、座面は固いウレタンと柔らかいウレタンを組み合わせた立体構造にするなどの工夫が施されている。また、座った際に見える前の座席の背面にもこだわり、目の高さにファブリックを配置するほか、丸みを帯びた形状にすることで圧迫感を低減させるという。使いやすさへのこだわりとして、身体に合ったテーブルの高さや、自然に肘が支えられるアームレストの高さなど、小柄な人から大柄な人まで誰もが心地よいと感じる位置やカタチを検証して設定した。会場には女子スキージャンプ 高梨沙羅選手が登場し、完成したばかりのシートを体験した。身長152cmの高梨選手は、「足がちゃんとついていることに感動しました。(今までのシートだと)足が短いので膝や腰に負担がかかっていたけれど、これならずっと座っていられそう」とその座り心地を評価していた。○"Made in Japan"のメリット現状、航空機シートは海外のシートメーカーが市場を占めている。その中で国内メーカーを採用するメリットとしてANA商品戦略部長 岡功士氏は、距離的な近さと日本語で話ができるという「意思疎通の早さ」のメリット、さらに、整備部品の調達コストも含めた「コストの削減」という長期的なメリットをあげた。またANA代表取締役社長 篠辺修氏も、「航空産業に関してシートについては海外メーカーが強いものの、日本においてもこれだけ自動車産業でシートを作っている有力なメーカーがある。だから、航空機シートだってあってもおかしくないだろうという気持ちは常にあった」とコメントしており、今回のシート開発が業界そのもののきっかけになることにも期待しているという。トヨタ紡織としては今回が初めての航空機シートであるが、今後については未定と言う。トヨタ紡織代表取締役社長 豊田周平氏も、「シートをやれるところはやっていきたい。ただ、どの業界のシートをやるべきなのかはしっかり見定めていかなければいけない。"Made in Japan"のシートとして今度も全日本空輸に買ってもらえるものを提案できるかどうかというのが、大切なファクターである」とコメントしている。
2015年04月21日4月14日に起きたアシアナ航空(本社: 韓国・ソウル)のOZ162便着陸事故の影響で、広島空港は16日まで閉鎖が継続されていたが、国土交通省の発表により17日午前より、滑走路の運用を暫定的に再開することが決定した。今回の事故以降、16日まで広島空港を発着する全便が欠航となった。17日より再開されたものの、状況としては暫定的な再開となっている。空港施設の損傷により運航可能な気象条件に制限がかかるため、天候次第で遅延・条件付き(引き返し・他空港への到着)等の影響が発生する可能性があるとしている。
2015年04月17日Hondaの航空機事業子会社であるホンダ エアクラフト カンパニー(以下、HACI)はこのほど、日本では4月25日~5月5日まで行う小型ビジネスジェット機「HondaJet」のワールドツアーに熊本空港の予定を加え、全国5カ所を巡ることを発表した。今回のワールドツアーは総計4万8,000kmを超えるツアールートとなり、HondaJetは13カ国以上を訪れる予定。このワールドツアーにより、HondaJetは日本および欧州にて初めて公開される。日本では4月25日に仙台空港(抽選で540人)を皮切りに、4月26日に神戸空港(抽選で900人)、4月29日(抽選で400人)、5月2、3日に岡山の岡南飛行場(抽選で3,000人)、5月4、5日に成田国際空港(抽選で1,600人)で、HondaJetのデモンストレーション飛行や地上展示などを実施する。現在、仙台と神戸で実施するデモンストレーション飛行や地上展示の参加者を募集している。1組あたり、最大5人(応募者本人と同行者4人)まで参加が可能で、参加条件は18歳以上(18歳以下は保護者の同伴が必要。未就学児童は同伴がいても不可)。当日の受付時に顔写真付きの身分証明書の提示が求められる。なお、HondaJetワールドツアーのスケジュールは、ツアー中の天候や使用空港の状況などによって変更される可能性もある。申し込み方法など詳細はホームページを参照。
2015年04月13日日本能率協会は、「第1回国際ドローン展」を2015年5月20日から5月22日までの3日間、千葉県・幕張メッセにて開催する。ドローン(無人航空機)に関する展示、デモンストレーション、セミナーなどが予定されている。開場は10時~18時、入場料は3,000円(ただし、事前登録証持参者、招待券持参者、学生は無料)。第1回国際ドローン展は、メカトロニクス・エレクトロニクス要素技術専門展示会「TECHNO-FRONTIER 2015」と同時開催される、ドローン(無人航空機)の展示会。主催は日本能率協会。後援は経済産業省、総務省、国土交通省の予定。出展数は、510社、1,050ブース(同時開催展示会も合わせた総展示規模)、来場者数は32,000名を予定している。展示会場では、企業や研究機関のブース展示のほか、ドローンに関するセミナー、飛行デモンストレーション、「DJI Japan」「parrot」などのドローンメーカーによるシンポジウムなどが予定されている(シンポジウムは別途参加料が必要)。
2015年04月13日三菱重工業(三菱重工)と三菱航空機は4月10日、次世代リージョナルジェット機(MRJ)の開発および量産準備状況を公表した。発表によると、現在は静強度試験や飛行試験2号機以降の製造が進められており、2015年4~6月を予定していた初飛行の時期ついては、9~10月に見直した。初飛行の計画を見直した理由は各種地上試験による検証結果とそのフィードバックに万全を期すためだという。一方、生産計画に変更はない模様で、今後は各種飛行試験を集中的に実施するとともに、量産機の製造を加速することで2017年第2四半期の初号機納入につなげていくした。MRJは70~90席クラスの次世代民間旅客機で、現在までに407機を受注している(うち確定223機)。一部で「3月に何らかのトラブルで一定期間、試験を中断したとみられる」と報道されたが三菱重工は「試験用治具の調整等に時間を要したことは事実ですが、トラブルにより中断したものではありません。」と否定していた。
2015年04月10日三菱重工業と三菱航空機は次世代リージョナルジェット機MRJ(Mitsubishi RegionalJet)について4月10日に説明会を開催し、開発状況および量産に向けた拠点展開の準備状況を発表した。初飛行の時期は9~10月に見直すものの、初号機納入については計画通り2017年第2四半期を予定している。MRJは三菱航空機が開発する70~90席クラスの次世代民間旅客機で、現在の受注機数は407機(うち確定223機)となっている。三菱重工業と三菱航空機は量産段階への移行に向け、4月1日付で新体制を発足。それに先立つ1月には、三菱航空機が本社の全機能をMRJの最終組み立て・地上試験・飛行試験が行われる場所に隣接した県営名古屋空港ターミナルビル(愛知県豊山町)の同一フロアに移転し、効率的な業務運営体制を整えた。現在、静強度試験や飛行試験2号機以降の製造を進めているが、各種地上試験による検証結果とそのフィードバックを経て、初飛行の時期については9~10月に見直すこととなった。今後は各種飛行試験を集中的に実施するとともに量産機の製造を加速することで、計画通り2017年第2四半期の初号機納入につなげていくという。また、これと並行して、高水準のカスタマーサポート体制を構築していく。2014年2月に発表した量産に向けての拠点展開として、量産機については三菱重工業の工場を最大限に活用して生産する。また現在、県営名古屋空港に隣接する県有地(愛知県豊山町)を取得し、最終組み立ておよび艤装(ぎそう)・塗装を行って完成機に仕上げる新工場を建設している。製造中の2号機以降の現状は、2号機は全機地上試験に向けた準備作業中、3号機は組み立ての最終段階、4号機は翼胴結合中、5号機は胴体結合後、現在塗装中となっている。この5号機はANAの塗装仕様にて、国内での飛行試験を実施する見通しとなっている。主翼部品に関しては神戸造船所(神戸市兵庫区)で一貫製造し、名古屋航空宇宙システム製作所 飛島工場(愛知県飛島村)に新設する専用ラインで組み立てる。エンジンはグループ会社の三菱重工業航空エンジンで最終組み立てを行う。そのほか、国内パートナーが参加した航空機部品生産共同組合を設立し、松阪工場(三重県松阪市)で民間機の量産部品を連携して一貫生産するクラスターの立ち上げを進めている。さらに、国内の各製造拠点および世界中のサプライヤーとリアルタイムネットワークを構築することで、膨大な数の物流を管理する計画を進めているという。MRJ Debutの動画(c)2015 MITSUBISHI HEAVY INDUSTRIES, LTD. All Rights Reserved.
2015年04月10日三菱重工業は三菱航空機が開発を進めている「MRJ」(三菱リージョナルジェット)に関して4月9日、報道されている初飛行延期が三菱重工業および三菱航空機によって発表されたものでないことをコメントした。あわせて、「3月に何らかのトラブルで一定期間、試験を中断したとみられる」という一部報道については、試験用治具の調整等に時間を要しているものの、トラブルにより試験を中断したものではないとしている。MRJのスケジュールについては、初飛行の具体的日程も含め、製造・試験状況を踏まえて検討を進めており、本日の4月10日に三菱重工業および三菱航空機から発表される。
2015年04月10日Hondaの航空機事業子会社であるホンダ エアクラフト カンパニー(以下、HACI)は4月下旬より、小型ビジネスジェット機「HondaJet」のワールドツアーを実施し、日本では4月25日~5月5日まで一般公開を行う。今回のワールドツアーは総計4万8,000kmを超えるツアールートとなり、HondaJetは13カ国以上を訪れる予定。このワールドツアーにより、HondaJetは日本および欧州にて初めて公開される。HondaJetの開発責任者であり、開発・製造・販売を担当するHACIの藤野道格社長は、「HondaJetは、ビジネス航空機の世界に革新をもたらそうとするHondaのチャレンジ精神の表れです。今回のワールドツアーでは、日本と欧州の各地でHondaJetのデモンストレーション飛行を行い、Hondaのコーポレートスローガンである『The Power of Dreams』を体現するHondaJetをひとりでも多くの皆様に見ていただければと思っています」とコメントしている。日本では4月25日に仙台空港を皮切りに、4月26日に神戸空港、5月2、3日に岡南飛行場(岡山)、5月4、5日に成田国際空港で、HondaJetのデモンストレーション飛行や地上展示などを実施する。その後、HondaJetはスイスのジュネーブで5月19日~21日まで開催される欧州最大のビジネス航空ショーの「ヨーロピアン ビジネス アビエーション コンベンション アンド エキシビション(以下、EBACE2015)」に出展する。EBACE2015の後はHondaJetの欧州ディーラーとともに、スイス、イギリス、フランス、ドイツ、ベルギーなどでデモンストレーション飛行やイベントを行う予定となっている。欧州におけるデモンストレーション飛行に対して藤野氏は、HondaJetの速度や燃費の卓越性、そして、欧州圏内の主要都市を結ぶのに最適な航続距離などを実際に体験してもらうことを目指しているという。なお、HondaJetワールドツアーのスケジュールは、ツアー中の天候や使用空港の状況などによって変更される可能性もある。
2015年04月09日講談社は4月1日、ドローン(無人航空機)による選書宅配サービス「いかが書店」を7月より開始することを発表した。実現すれば、世界初の商用ドローンサービスになる可能性がある。「いかが書店」は、質問に答えることで、ユーザーに合った本を任意の場所までドローンが届けてくれるサービス。利用方法は、まず専用のスマートフォンアプリをダウンロードし、「初めて夕焼けを綺麗だなと思った瞬間を思い出せますか?」「人にだまされやすい方ですか?」などの538項目の質問に答え、好きな本を選択する。その後、利用したいコースを選んで注文する。コースは価格別に3種類から選択できる。1万円のお手軽コースは、コミック10冊と文庫本10冊が配達されるコース。一番人気の5万円のコースは、コミック36冊と文庫本40冊がセットになっている。10万円のプレミアムコースは、コミック50冊と文庫本65冊のセットで、「ほぼ読み放題」とのこと。5万円と10万円のコースは編隊お届けサービスが付いており、目安としてコミック20冊以上、文庫本33冊以上の配達の場合、ドローンの編隊で届けられる(ドローン1台の可搬重量は約5Kg、コミック250g・文庫本150gで計算)。注文後、メールにて配送予定日が通知され、配達予定時間の30分前にはアプリにプッシュ通知が届く。配達後は、ドローンが360度カメラでユーザーの部屋の本棚などをスキャンし、精密なAIにより次回以降に配達する選書を行うという。また、すべての本が読み終わった頃に、自動的に次の選書が届く。悪天候や機械のトラブルなどで、ドローンのバッテリーランプが「オレンジ」まで減っている場合、ドローンの充電に協力すると1台の充電あたり500円のクーポンがプレゼントされる(他の割引との同時利用は不可)なお、配達先を屋外に設定することも可能(税別538円)。屋外の配達先を指定した場合は、同時に傘の配達も依頼できる(税別538円)。「いかが書店」は4月1日限定のエイプリルフール企画であり、架空のサービスである。
2015年04月01日Hondaの航空機事業子会社であるホンダ エアクラフト カンパニー(本社: 米国ノースカロライナ州グリーンズボロ市、以下HACI)は現地時間3月27日、米国連邦航空局(Federal Aviation Administration、以下FAA)より小型ビジネスジェット機「HondaJet」に対する事前型式証明(Provisional Type Certificate、以下PTC)を取得したことを発表した。これは、HondaJetの設計が安全性および耐空性の基準を満たしていることをFAAが認定し、最終の型式証明が間近であることを意味する。HondaJetの開発責任者であり、開発・製造・販売を担当するHACIの藤野道格社長は、「今回のPTC取得は、HondaJetにとって非常に大きな節目です。私たちは、FAAから要求される各種試験や書類審査をほぼ完了しており、間もなく最終の型式証明を取得できる見通しを得ました」とコメントしている。FAAアトランタ航空機認定部の責任者であるメルビン・テイラー氏は、「HondaJetに対するPTCの発行をうれしく思います。新しく設立された航空機メーカーであるHACIがPTCを取得したことは、航空機メーカーとして重要なマイルストーンを達成したと言えます。HACIとFAAのスタッフの多大な努力と協力関係の結果と言えるでしょう。アトランタ航空機認定部は、先進的な航空機であるHondaJetを市場に送り出すプロセスに参加できて誇りに思います」とコメントしている。HondaJetは、これまで全米70カ所以上で2,500時間を超える飛行試験を実施している。生産工場では12機が最終組み立て工程にあり、今後FAAによる最終の型式証明取得後、機体の納入を開始していく予定となっている。
2015年03月30日島津製作所は3月18日、同社の米国子会社「シマヅ プレシジョン インスツルメンツ(SPI)」が米カリフォルニア州ロングビーチのダグラス・パーク内にて建設を進めてきた民間航空機ビジネス向け新工場建屋の竣工式を執り行ったことを発表した。SPIは従来、米カリフォルニア州トーランスの工場にてエンジン・アクセサリ・ギアボックス、操縦系統/降着装置/貨物扉アクチュエータなどの組立・試験・修理事業を行っていたが、延べ床面積が倍増となる新工場ではこれらの機能に加えて、部品加工や表面処理の能力が追加されることとなる。また、修理職場の面積も従来比で2倍以上となり、取扱い品目の拡大も計画しているという。なお、同社は新工場に本社機能も移転する予定で、今後、米国顧客を中心に、世界各国の航空会社へのサービス提供を目指すとしている。
2015年03月23日川崎重工業は3月13日、航空機製品の生産・組立工場である名古屋第一工場内に、ボーイング787を増産するための新工場(東工場)を建設し、竣工式を実施したことを発表した。今回完成した東工場は、名古屋第一工場南工場の東側隣接地に2013年12月から建設を進めていたもので、主にボーイング787-9型機および787-10型機の前部胴体を生産する工場となる。同社はボーイング787プログラムにおいて、前部胴体、主脚格納部、主翼固定後縁の開発・製造を担当しており、2006年7月に北工場、2010年3月に南工場を竣工。787-8型機および787-9型機の生産を進めている。東工場では、現行機種のさらなる増産および787-10型機の生産開始に向けて、既設工場と同様に各種の最新鋭設備を導入し、複合材部品の加工から前部胴体の組み立てまでの一貫生産を行う。ボーイング787シリーズの生産では、同社が担当する胴体構造部位において、世界初の全複合材製の一体成形胴体を採用。2007年度初めには787-8型機の前部胴体を初出荷し、その後も順調に生産を継続している。東工場の概要所在地: 愛知県弥富市楠3丁目20-8建物延床面積: 約6万平方メートル(全長250m、幅194m、高さ21m)主要設備:(1)世界最大級(直径9m)の複合材硬化用オートクレーブ(2)胴体を一体成形(積層)するプリプレグ自動積層機(3)胴体を一体加工(孔明け・ファスナー取り付け)するパネルリベッター(4)胴体を一体加工(孔明け・トリム)するトリム・ドリル装置(5)大型NDI(超音波非破壊試験装置)
2015年03月13日YS-11以来約50年ぶりの国産旅客機かつ初の国産ジェット旅客機「MRJ」(三菱リージョナルジェット)を開発している三菱航空機は3月11日、4月1日付の役員人事を決定した。3月31日付で代表取締役 会長最高経営責任者(CEO)の江川豪雄氏、代表取締役社長 最高執行責任者(COO)の川井昭陽氏が退任し、三菱重工業から執行役員 森本浩氏が代表取締役社長に就任する。なお、三菱航空機の常務執行役員 篠原裕一も退任となるが、4月1日より三菱重工業に復職する。森本氏は京都大学経済学部を卒業後、昭和52年(1977)に三菱重工入社。海外戦略本部海外事業管理部長を経て、同社の米国法人社長を務めた。三菱重工に復帰後は、エネルギー・環境ドメインの営業戦略統括部長などを経て、2015年1月に交通・輸送ドメインの副ドメイン長に就任した。なお、同じ4月1日より総務部および経営企画部を廃止し、各グループおよび東京支社を本部直轄へ変更。また、カスタマーサポート企画部を廃止し、プロジェクトマネジメント部を新設する。MRJは今年第2四半期に初飛行を予定しており、順調に進めば、2017年上期の型式証明取得、同年第2四半期に初号機引き渡しを計画している。
2015年03月12日ボーイングは3月10日、最新鋭航空機777X型機向けのプライマリー・フライト・コントロール・アクチュエーション・システムの供給について、日本のパートナーであるナブテスコと合意したことを発表した。アクチュエーターは、主翼の補助翼や尾翼の昇降舵などの舵面を動かして飛行中の機体の姿勢を制御する航空機システムの重要な部品。ナブテスコは現行の777プログラムでも、フライト・コントロール・アクチュエーター4種をボーイングに供給している。今回の新たな契約によって、ナブテスコはスポイラーを含む全舵面、計8種のアクチュエーターを供給することになり、その業務範囲がおよそ2倍に増加する。ボーイング ジャパン社長のジョージ マフェオ氏は「ナブテスコは、40年近くにわたりボーイングの傑出したパートナーであり続けています。今回の合意により、今後数十年続く新型航空機777Xの製造を、これまで以上の業務範囲でサポートいただけることをうれしく思っています」とコメントしている。ボーイングはナブテスコのパフォーマンスへの評価として、2014年には合計2万1,000社以上の中から「2013 Boeing Supplier of the Year」にも選出しており、マフェオ氏も「ボーイングはナブテスコの777Xも含めた今後のコミットメントとパートナーシップに感謝しています」と言う。ナブテスコの航空宇宙カンパニー社長の長田信隆氏は、「今回、ボーイングに777Xのパートナー企業として選定していただき非常に光栄です。777Xは現行の777同様、将来ベストセラー機になると確信しております。そのような重要プログラムにおいて重責を担えることを誇りに思います」とコメントしている。新たに777ファミリーとなる777Xには、777-8Xと777-9Xの2種があり、それぞれ市場のニーズと航空会社の要望に応えるように設計されている。777Xの設計は現在も進行中で、これまでに航空会社6社から300機の受注・発注コミットメントを獲得している。なお、生産開始は2017年、初回納入は2020年を予定している。
2015年03月10日エアバス(本社: 仏トゥールーズ)は現地時間の3月9日、米ロサンゼルスを拠点とする航空機リース会社のエア・リース・コーポレーション(ALC)がA330-900neoを25機とA321LRを30機、合計55機を正式発注したことを発表した。A321LRはA320neoファミリーの派生機で、A321neoの最大離陸重量を97tに増加させたタイプ。ALCは2014年のファーンボロ航空ショーにて、ローンチされた新型エンジンを搭載する広胴型機A330neoファミリーに対して最初に発注意向を表明しており、A321LRのローンチカスタマーでもある。A321LRの発注覚書は2015年1月に締結され、2014年にA321neoを60機発注し、A321neoに対する合計発注数は90機に増加した。今回確定発注した30機のA321neoと25機のA330neoを合わせると、ALCのエアバス機に対する合計発注数は258機になる(A320ceoが53機、A320neoファミリーが140機、A330ファミリーが15機、A350 XWBファミリーが25機、A330neoファミリーが25機)。A321neoの最大離陸重量を97tに増加させた派生機であるA321LRは、航続距離が4,000海里(7,408km)に延長される。これは単通路型機の中で最長の航続距離で、大西洋横断路線での運航に最適な機体となる。これにより、航空会社は従来の単通路型機では実現できなかった新たな長距離路線市場開拓も可能。快適な2クラス制の客室に206席を装備する。初号機の引き渡しは2019年に開始される予定。A330-800neoとA330-900neoは、エアバスのワイドボディ機ファミリーの新型派生機。2014年7月にローンチされ、初号機の引き渡しは2017年第4四半期(10月~12月)の予定。ロールス・ロイス社製新型エンジンのトレント7000エンジンを装備する。また、空力性能を強化して客室装備も改良する。A330neoは、A330ファミリーの経済性と柔軟性、高い信頼性を受け継ぎ、座席あたりの燃費を14%削減する。中距離用ワイドボディ機市場において最もコスト効率の優れた航空機となる。大幅な燃費削減のほか、最大400海里(740.8km)航続距離が延長され、他のエアバス機ファミリーとの運航共通性を保持する。
2015年03月10日日本損害保険協会発表の「2014年度版 自動車保険データにみる交通事故の経済的損失の状況(2012年4月~2013年3月)」によると、交通事故による経済的損失額は3兆2,406億円とのこと。3兆円といわれても実感がわきませんが、これは横浜市の年間予算とほぼ同額です。交通事故により、大都市の1年間の予算と同じ金額が失われているということに驚きます。それでは、自動車事故による経済的損失の内容を詳しくみていきましょう。そもそも自動車事故による経済的損失ってなに?2012年4月~2013年3月の自動車事故による経済的損失額3兆2,406億円の内訳を詳しくみてみると、「物的損失額」は1兆7,958億円で全体の55.4%、「人身損失額」は1兆4,448億円で全体の44.6%となっています。そもそも、経済的損失とはどういうものなのでしょうか。経済的損失とは、一般的には「そのことが起こったことにより発生した費用」と「そのことが起こらなければ得られたであろう利益」の合計額のことです。今回参考にした日本損害保険協会の資料では、自動車事故による経済的損失を下記のように定義しており、救急搬送費、警察の事故処理費用、交通渋滞による損失額などは含まれていません。・自動車事故による経済的損失の定義 人身損失額…自賠責保険および対人賠償保険に係るデータによる被害者の治療関係費、慰謝料、休業損害、逸失利益等の合計です。 物的損失額…車両保険および対物賠償保険に係るデータによる車両(自車両、相手車両)、家屋、ガードレール等の損傷復旧費用等の合計で、物損事故のみで済んだケースのほか、人身事故に至ったケースにおける物損部分のデータも含みます。※人身損失額、物的損失額ともに、過失等による減額を考慮する前の損害認定実額で、保険金の支払額とは必ずしも一致しません。自動車事故による後遺障害の経済的損失は、人身損失の約36%!2012年4月~2013年3月に発生した自動車事故により死亡された方の人数は4,385人で被害者全体の0.4%、後遺障害を負った方の人数は59,797人で被害者全体の4.9%です。一方、死亡された方の人身損失額は1,208億円で全体の10.0%、後遺障害を負った方の人身損害額は4,387億円となり、全体の36.2%です(図1)。死亡した方と後遺障害を負った方を合わせると、人数的には約5%ですが、人身損失額では約46%を占めます。このことから、死亡と後遺障害は、人数に比して損失額が大きいことがわかります。図1 被害者数と人身損失額の割合資料:日本損害保険協会「2014年度版 自動車保険データにみる交通事故の経済的損失の状況(2012年4月~2013年3月)」をもとに執筆者作成意外な年齢層の被害が大きい!2012年度から過去10年分の自動車事故データを年齢別でみてみると、後遺障害を負った方の人数は、29歳以下と50~69歳は減少傾向にあるものの、30~49歳は増加傾向に、70歳以上は微増傾向にあります(図2)。人身損失額では、同じく29歳以下と50~69歳は減少傾向にありますが、30~49歳と70歳以上は減少傾向とはいえない状態が続いています(図3)。図2 被害者年齢別の後遺障害人数資料:日本損害保険協会「自動車保険データ(支払保険金関連)」をもとに執筆者作成図3 被害者年齢別の後遺障害による人身損失額資料:日本損害保険協会「自動車保険データ(支払保険金関連)」をもとに執筆者作成高齢者については、アクセルとブレーキの踏み間違いで建物に衝突したり、高速道路を逆走したりといったニュースを耳にすることも多くあります。運転技術に少しでも不安を感じたら、運転免許の返納手続きを考えましょう。しかし、中には自動車がないと生活に支障をきたす方がいらっしゃることも事実です。高齢者が運転をしなくても生活できる仕組みが、早急にできることを願います。今回は、自動車事故による経済的損失を数字でみてきました。後遺障害を負わせてしまうことは、経済社会に多大な影響があることがわかりました。しかし、実際に被害に遭われた方とそのご家族の「心」や「気持ち」は数字で計ることはできません。後遺障害はご本人やご家族の、その後の生活を大きく変えてしまいます。金額では表せないご苦労も多いことと思います。ほんの一瞬の歯車の狂いで、いつ自分が、家族が、自動車事故に巻き込まれるかわかりません。自動車を運転するということは、そのような危険を伴うということを、常に意識したいものですね。コラム執筆者プロフィール 中垣 香代子(なかがき かよこ)CFP(R)/2級ファイナンシャルプランニング技能士損害保険会社に約10年勤務後、子育てに専念。約20年間の専業主婦の後、ファイナンシャルプランナーとなる。「老後のお金サポーター」として、相談業務の他、40~50歳代女性にお金の知識をわかりやすく伝える活動をしている。また、自身の経験から、経済的理由で進学をあきらめるお子さんが一人でも減ることを願い、就学支援の情報発信にも力を入れている。老後のお金を一緒に考える事務所 所長。コラム監修者プロフィール 柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)CFP(R)/1級ファイナンシャルプランニング技能士関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。家計アイデア工房 代表※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2015年03月10日トプコンは2月24日、ドローンなどのUAS(Unmanned Aerial Systems=無人航空機システム)で撮影された画像から広範囲の3点地形モデルを作成することができる3D画像計測統合ソフトウェア「Image Master UAS」を発売すると発表した。同製品は新開発の画像解析エンジンにより、UASに搭載されたデジタルカメラの画像を自動で評定することができるため、簡単に大量の空撮画像から詳細な3D点群データを作成できる。また、算出した3D点群データをもとに、TIN作成、等高線作成、体積計算などの機能を用いて各種応用計算も可能だ。また、撮影間隔や飛行速度、地上分解能など空撮計画の策定に必要な撮影条件を計算するソフトウェアと、現場で撮影した画像の良否判定が即座に行えるソフトウェアが付随している。標準価格は新規単体パッケージで86万4000円。
2015年02月24日JALグループでは3月3日のひなまつりに、7回目となる「ひなまつりフライト」を実施する。当日は航空機の運航に携わる様々な職場で働く女性社員が出発前の搭乗口に集まり、乗客を見送りする。フライトは羽田10:05発・長崎12:05着で、機長や副操縦士とともに、女性運航乗務員が担当。また、出発前の整備(※)や貨物、機内食搭載も女性社員が実施する。※女性の有資格者がいなため、最終整備確認サインは男性社員が行う
2015年02月17日世界を代表する航空機メーカーであるボーイングとエアバス。2013年の売上高はボーイングが530億ドル(6兆2,833億円)、エアバスが420億1,200万ユーロ(5兆7,618億円)。ほぼ互角の勝負を長年にわたって続けている両社である。ただ、1970年代から2014年までジャンボジェット(747型機)が国内線に就航し、2011年にはANAが最新型機の787を世界で初めて就航させるなど、日本では長い間、ボーイング機の存在感が大きかった。実際、ANAもJALも主力機はボーイング機が占めていた。ところがここ数年、日本におけるエアバスの存在感が増している。○JALがエアバス最新機・A350XWBを大量発注日本におけるエアバスの戦略で強いインパクトを与えたのが、2013年10月のJALによるエアバスA350XWB(エクストラ・ワイド・ボディ)の大量発注だ。2014年11月には同機のテストフライトが日本(羽田)でも実施されたが、これはJALが発注したからだった。また、世界の先端を行くサービスで知られるシンガポール航空やエミレーツが運航する総2階建てのエアバスA380も旅行者の話題の的。さらには国内で便数を増やす低コスト航空会社(LCC)の多くがA320を使っていることも、日本でエアバスが知名度を上げている理由のひとつだろう。○ヨーロッパの威信をかけた航空機メーカーしかし、エアバスの歴史はボーイングに比べると約60年も浅い。エアバスの旅客機が初めて就航したのは1974年のこと。それまではボーイング、それにロッキードやマクドネル・ダグラス(後に両社はボーイングに吸収・合併)といったアメリカ勢が、民間機の世界を席巻していた。エアバスの歴史は1970年に設立されたエアバス・インダストリーに始まる。同社はフランス、西ドイツ(当時)、イギリス(後に撤退しスペインが参加)によってヨーロッパの威信をかけて設立されたが、最初はさっぱりと言えるほど売れず、1976年頃までは生産が受注を先行していた。航空機はオーダーメイド生産だから、つまるところ、工場が"開店休業状態"というありさまだったのだ。○命運をかけた前代未聞の戦略しかし、エアバスは思い切った戦略に出て、これが見事に成功する。敵地アメリカの航空会社であるイースタン航空にセールスをかけたのだ。内容は、当時エアバスが1機種だけ展開していたA300というワイドボディ(2通路機)を半年の間、無償で使ってもらうというもの。しかも、30機もという前代未聞の好条件を提示した。加えて、エアバスは試用期間の整備費や運航証明取得手続きの費用を負担し、さらには自社のリスクでイースタン航空への金融機関からの融資の手配までしたという(※)。実は当時、イースタン航空は経営状態が芳しくなかった。そこにエアバスは目をつけて攻勢をかけたのだ。結果、エアバスは31機(オプション9機含む)の受注に成功する。数百円や数千円の製品ならばそうした商法も見かけるが、1機あたり数百億円というケタ違いな旅客機の世界ではまさに前代未聞の手段である。○優れた旅客機で高い評価を得るしかし、この成功は大胆な販売戦略だけがもたらしたものではなかった。性能が悪ければ売れない。その点で、エアバスが売り込んだA300はほとんどトラブルなく運航されたのだ。それが、エアバスという航空機メーカーの高い信頼性をヨーロッパ外に広めるという相乗効果をもたらしたのだった。その後、ナロウボディ(単通路機)のA320を開発した際に、同社の努力が花開く。A320は1987年の初飛行の時点で約400機もの受注を集め、これを機にエアバスはボーイングのライバルとして認められる存在となった。○A320で一気にボーイングのライバルにA320はLCCだけでなく、レガシーキャリア(大手)の大型機を飛ばすには需要が足りない路線にもマッチした。A318、A319、A321(数字が大きいほど機体が長く座席数が多い)といったファミリー機が次々に造られ、最大離陸重量(乗客+貨物+燃料の重さ)を増加し航続距離をファミリー機最長の7,408kmまで延長させたA321neoもつい最近ローンチされるなど、いまだに売れ続けている。その受注数は1万1,514機(2014年12月末時点)と、"300~500機が採算ライン"と言われる旅客機事業で驚異的な数字に達している。なお、A320シリーズの標準座席数は107~185席で、ボーイングの737シリーズの競合機だが、737の初飛行は1967年とA320より20年も早い。しかし、すでにA320シリーズの総受注機数は737に肉薄している状態だ。また、エアバス機全体の「2014年末の受注機残数は航空史上最大の6,386機に上る」(同社)という。かつてアメリカ勢の独壇場だった本国に攻勢をかけ、最近ではボーイングの牙城だった日本の旅客機市場にくい込み始めたエアバス。トータルの受注機数は歴史の長いボーイングがまだまだ上だが、近年のエアバスの勢いには目を見張るものがある。もちろん一方のボーイングも負けてはいないわけで、両社の競争により良質な旅客機が開発され続けるなら旅行者としては楽しみが増すばかりだ。※参考文献『新・航空事業論』(井上泰日子著・日本評論社刊)
2015年02月17日