伊藤若冲(いとう じゃくちゅう)や曽我蕭白(そが しょうはく)とともに「奇想の画家」のひとりとして国内外から注目を集める長沢芦雪(ながさわ ろせつ/1754–1799)の画業を紹介する大阪では初となる回顧展が、10月7日(土)から12月3日(日まで、大阪中之島美術館で開催される。江戸時代中期に京都を中心に活躍した画家・長沢芦雪は、写生画の祖である円山応挙の高弟だ。当初は応挙の画風を踏襲していたが、師の代理で紀南地方(現在の和歌山県南部)に赴き、無量寺をはじめとする寺院の襖絵を描いた頃から大胆な筆遣いを用い始め、師の画風の再解釈や変容によって独自の画風を確立した。その後は、卓越した描写力に加え、奇抜な着想、大胆な構図、斬新なクローズアップ、また人を驚かせ楽しませようというサービス精神から生まれるユニークかつユーモラスな表現など、その独特の作品で人気を博した。同展は、その芦雪の初期から晩年まで、また国内にある代表作から新たに見つかった初公開作品まで、重要文化財4件を含む選りすぐりの優品約100件を一堂に展観するものだ。大きな見どころは、芦雪が得意とした大画面の障壁画(襖絵)の傑作が一堂に会すること。西光寺(島根)、 無量寺(和歌山)、 高山寺(和歌山)、薬師寺(奈良)、大乗寺(兵庫)と、各地を訪れて現地制作した8作品が揃って出品されるのは、実に23年ぶりだという。代表作である無量寺の《龍・虎図襖》(重要文化財)をはじめ、龍、虎、猿、牛、鳥、犬など、芦雪ならではの生き生きとした動きに満ちた動物たちの絵も堪能できる。江戸中期の京都は、師の応挙以外にも個性的な画家たちを多く輩出した。同展では、後年に芦雪と同様に「奇想の画家」として脚光を浴びた若冲と蕭白の作品も展示される。芦雪の作品と比べて見る楽しみもあるだろう。今回はまた、常に新しい表現や手法を追求した芦雪の卓越した技法や繊細な筆遣いに注目するため、大画面で作品を探るデジタルコンテンツのプログラムも充実しているという。また、音声ガイドのナビゲーターは、歴史や文化・芸術に高い関心をもつ俳優の町田啓太さんが担当する。様々な面から、奇想の天才絵師・長沢芦雪の魅力に迫る待望の展覧会だ。<開催情報>『特別展生誕270年長沢芦雪ー奇想の旅、天才絵師の全貌ー』会期:2023年10月7日(土)~12月3日(日)会場:大阪中之島美術館4階展示室時間:10:00~17:00(入場は16:30まで)休館日:月曜(10月9日は開館)、10月10日(火)料金:一般1,800円、 大高1,100円、中小500円※ファミリーデーとして10月28日(土)、29日(日)は中小無料(保護者同伴に限る)公式サイト:
2023年09月19日綾野剛、芳根京子、榮倉奈々、反町隆史らが出演する現在放送中の日曜劇場「オールドルーキー」第7話(8月14日放送)に、声優の津田健次郎と平田広明がゲストとして登場することが分かった。「ビクトリー」として初の試みであるパラアスリートのマネージメントに挑戦し、梅屋敷(増田貴久)の新たな一面が描かれる第7話。「最愛」では刑事役、「ナンバMG5」では愛犬の声、「俺の可愛いはもうすぐ消費期限!?」ではヒロインの元上司役と近年、ドラマ出演に注目が集まる津田さんが今回演じるのは、車いすテニス選手・吉木(福山翔大)が競技で使用する車いすを無償で提供する車いす製造・販売会社の社員で技術担当の矢部浩一郎。選手の体の一部となる車いすの調整をミリ単位で求められるメカニックは、競技には欠かせない存在。長い付き合いである吉木と矢部の遠慮のないやり取りを目の当たりにした主人公らは、2人の関係の深さに圧倒される。「第7話は熱いドラマが繰り広げられています」と今回の物語について語った津田さんは、「現場に入るのが本当に楽しみでした。一番びっくりしたのが、実在する車いすの製造会社で撮影したことです。実際に車いすテニスの競技にも使われている車いすが現場にあり、細部へのこだわりを感じました。その分、いい芝居をしなければと思っていましたが、現場の空気感のおかげで自然にその世界に入っていくことができました」とふり返り、「マイペースなところがある一方、心の中に熱いものもある。とても愛情あふれるエンジニアを演じておりますので、ぜひご覧ください!」とコメント。「ONE PIECE」のサンジの声や、ジョニー・デップの吹き替えでも知られる平田さんが演じるのは、主人公らが吉木のスポンサー獲得のためにプレゼンを行う大手企業「日本海上運送」の社長・湊啓一郎。物語のカギを握ると言っても過言ではない人物だ。平田さんは「車いすテニスという競技は、今注目を浴びていると思います。国枝慎吾選手の活躍のおかげで、車いすテニスをはじめとしたパラスポーツ全般までみなさんの意識が広がっていると思います。このドラマがきっかけでさらにパラスポーツに興味を持っていただけたらなと思います」と話し、「梅屋敷による熱い説得が特に見どころだと思います。津田健次郎にも注目してぜひご覧ください!」と見どころも明かしている。そのほか、「おカネの切れ目が恋のはじまり」以来2回目のドラマ出演となる河井ゆずる(アインシュタイン)が、吉木の所属会社の社員役で出演する。「オールドルーキー」は毎週日曜日21時~TBSにて放送中。(cinemacafe.net)
2022年08月11日シーズン1、劇場版に引き続き、今回の新作『TIGER & BUNNY 2』でも主人公を演じる平田広明さんと森田成一さん。数々の作品で人気キャラを演じてきたベテラン声優2人が分析するタイバニの魅力とは。――主人公の二人、鏑木・(かぶらぎ)・T・虎徹(こてつ)を演じる平田広明さんとバーナビー・ブルックス Jr.役の森田成一さん。凸凹バディを演じるお二人に、まずはコンビの魅力を直撃。森田成一:オジサン×若者のコンビは昔からよくあるバディ像で。だからこそ見る人も一緒に喜んで、一緒にイラついて、一緒に泣ける。心が動きやすいのが、虎徹&バーナビーの魅力だと思いますね。平田広明:虎徹もバーナビーも善人ではあるけど、人として欠点がないかといえばそうでもない。その人間くささが好きですね。あとは森田くんも言っていたように年の差。世代が違えば衝突もあるだろうし。カッチリはまらないところが面白いんだと思います。でも、離れ離れにならないのは、お互いにどこか惹かれ合い、大切に思い、セットになったら大きな力になると感じているから。見る人が、「この二人はまた…」なんてツッコみながらもどこかほっとけない二人というのが、名コンビなんでしょうね。森田:ガタガタさが面白い。完全に水と油で、決して混ざり合うことはないけれど、その境界線は隙間なくピッタリくっついてる。それが虎徹とバーナビーで、気持ちのいいところかなって。――そんな名コンビの活躍も楽しみなシーズン2の見どころは?森田:台本を読んで感じたのは、『TIGER & BUNNY』の初期のテイストに戻った気がして。各キャラクターの思いがダイレクトに伝わるような物語になっているなと思いました。僕が演じたバーナビーも虎徹さんと過ごすことで、人間味のあるキャラになっている。そこは注目ですね。平田:ヒーローが敵と戦うアクションのパート以上に、人間ドラマ的な部分が本作の魅力だと思っていて。今回もどんな問題が起こり、どう乗り越え各々が成長していくのか。そこを楽しんでほしいです。森田:人間関係や心理描写が面白い作品ですからね。今回はバーナビーよりも若い新人ヒーローも出てきますから。彼らとの接し方なんかも見どころだと思います。新シーズンでの注意点は若々しく、元気よく!?――ところで、バディ役を演じるお二人の関係性も気になるところ。森田:平田さんとは『TIGER & BUNNY』が初共演。大先輩ですし、最初は大変緊張しました。平田:してなかったでしょ。森田:してましたよー(笑)。ただ、緊張はしているけど、TVアニメが始まった10年ほど前は自分も血気盛んだった分、「やったるぞ、このやろー」みたいな気持ちも強くて。力が入りすぎて、空回りしているところもあったと思います。でも、平田さんの自然体な姿を見ていたら、僕も力が抜けていきました。平田:森田くんの印象は…(と、数秒無言が続き)森田:ないんかいっ!(笑)平田:森田くんは意外と頑固。こだわりが強い。熱い男だからこそ、バーナビーという役を演じるのはツラかろうなと思いますね。バーナビーは心理的な制約も多いから。森田:バレてますね。さすがです。僕は大先輩のアフレコを間近で見ることができて、勉強になります。普通ヒーローと聞くとカッコいい人物を想像するけど、虎徹はオジサンで。それを平田さんが演じると、しっかりオジサンだけど、その中にちゃんとヒーローが存在している。泥くさいけど、むしろそれがカッコいい。絶妙なバランスだと思うんです。小さな吐息なんかも生々しくリアルで「オジサンってこうだよね」と痛感。技術やレベルの高さを思い知る瞬間ですね。…と褒めてみました(笑)。平田:適当なこと言ってやがる。何も出ないよ!森田:アハハハハ!!――前作から期間は空いても息ピッタリのお二人。作品内でも息の合った掛け合いを披露しているが、アフレコでは何やら苦戦も!?平田:作品の時系列的には前作からそれほど空いてないので、演じる上ではヘンに気負わず、今までの流れのままと思い、自分が思う虎徹を演じてみたんです。が、音響監督から「もっと元気よく」と指摘されてしまった。森田:二人とも、とにかく「元気」を要求されましたよね(笑)。平田:最初は、収録が朝イチだから眠くてテンション低いと勘違いされてるのかな、なんて思ったけど、そうではなく…。森田:要は、「もっと若く」ってことで、それを「元気よく」と言われていた。自分では感じていないけれど、老いというものが来たんだなと思いましたね(笑)。平田:自分を客観的には見られないからわからないし、森田くんに対しても老いは感じなかったけど。森田:僕も平田さんに対しては全く感じず。でも、音響監督の耳は確かなので、実際にOKが出た声を聞くと、数段トーンが上がっている。それを朝イチから出すのはキツかったですけどね(笑)。平田広明さん(写真左)1963年8月7日生まれ、東京都出身。洋画の吹き替えやアニメ、ナレーションでも活躍中。代表作は『ONE PIECE』(サンジ役)。ジョニー・デップやユアン・マクレガーなどの吹き替えも務める。森田成一さん(写真右)1972年10月21日生まれ、東京都出身。TVアニメ『キングダム』第4シリーズ(信役)が4月9日より放送スタート。主人公・黒崎一護の声を務める『BLEACH 千年血戦篇』は10月より放送開始。『TIGER & BUNNY 2』シュテルンビルトの街の平和を守るため、所属企業のイメージアップのためにヒーロー活動を続ける鏑木・T・虎徹とバーナビー・ブルックス Jr.。今ではヒーローも増加し、シュテルンビルトにも新人ヒーローが加入。先輩ヒーローとしての活躍も期待される虎徹とバーナビーだが、果たして…。4/8よりNetflixにて全世界独占配信。©BNP/T&B2 PARTNERS※『anan』2022年4月6日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)取材、文・関川直子(by anan編集部)
2022年04月02日企画展「いちからわかる円山応挙と長沢芦雪」が、京都の嵯峨嵐山文華館にて、2020年5月23日(土)から7月13日(月)まで開催される。18世紀京都の画家・円山応挙と長沢芦雪にフォーカス18世紀の京都では、近年人気を集める伊藤若冲を筆頭に、数多くの画家が活躍した。その1人が円山応挙だ。応挙は「写生」に重きを置いた絵画で評価を高めたのち、現実には存在しない龍や、見たこともない中国の風景や人物などを描くこととなる。一方、応挙の弟子である⻑沢芦雪は、師とは異なる独自の作風を追求。本物よりも大きなサイズで⻁を描いた「⻁図襖」や、わずか3cm四方の紙に多数の高僧“羅漢”を描きこんだ「五百羅漢図」など、個性的な作品を数多く残した。“孔雀”や“虎”などの作品を比較「いちからわかる円山応挙と長沢芦雪」では、円山応挙と長沢芦雪の作品44点を展示。色鮮やかな牡丹と孔雀を描いた「牡丹孔雀図」や「虎図」など、題材を同じくする作品を並べることで、2人の画風の共通点や相違、作風の変化や魅力に迫る。初公開作品32点もまた、円山応挙の「仔犬図」や⻑沢芦雪の「絵変わり図押絵貼屏風」をはじめ、今回が初公開となる32点の作品も公開。応挙の「仔犬図」、芦雪の「梅花双狗図」や「喜雀図」など、仔犬や雀といった動物のかわいらしい姿を捉えた作品にも注目したい。展覧会概要企画展「いちからわかる円山応挙と長沢芦雪」会期:2020年5月23日(土)〜7月13日(月)[前期 5月23日(土)〜6月22日(月) / 後期 6月24日(水)〜7月13日(月)]会場:嵯峨嵐山文華館住所:京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町11TEL:075-882-1111開館時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)休館日:火曜日(祝日の場合は翌日)入館料:一般・大学生 900円(800円)、高校生 500円(400円)、小中学生 300円(250円)、幼児 無料※障がい者と介添人1名までは500円(400円)※( )内は20名以上の団体料金※常設展「百人一首ヒストリー」も観覧可※展示作品および展示期間は都合により変更となる場合あり
2020年05月28日企画展「長沢明展 オワリノナイフーケイ」が、新潟市美術館にて、2020年5月12日(土)から6月7日(日)まで開催される。長沢明・初の大規模個展長沢明は、新潟に生まれ、現在は山形を拠点に国内外で活躍する画家だ。大画面にトラなどのモチーフを描く長沢は、日本画を出発点にしつつもその伝統にとらわれず、素材の物質性に向き合いながら、新たな表現を生みだしている。初の大規模個展となる「長沢明展 オワリノナイフーケイ」では、各時期の代表作に加えて、継続的に描いているドローイングを貼りこんだ巨大な《マントラ》、そして立体やインスタレーションをおり交ぜ、作家の追い求める“風景”を紹介する。スケールの大きな作品の数々とりわけ注目は、スケールの大きな作品の数々。長沢を象徴するトラのモチーフを描いた《マウンテンII》や《Mother》、翼を大きく広げるトリ《ブルーバード》など、3mを超える代表作が並ぶ。また、古本を使用したダイナミックな立体作品や、新作によるインスタレーションも楽しむことができる。初公開のドローイングもさらに、切り絵などの手法によるドローイングを初公開するほか、初期作品の《鳥に舟》や、2019年に刊行された長沢初の絵本『あおいトラ』の原画なども展示。長沢の制作の秘密と、幅広い活動を見て取ることができるだろう。展覧会概要企画展「長沢明展 オワリノナイフーケイ」会期:2020年5月12日(土)〜6月7日(日)※当初は4月25日(土)~開幕予定だったが臨時休館にともない、開幕を延期。※5月10日(日)に開催予定だったワークショップは中止。※新潟市美術館は4月21日(火)~5月10日(日)までの間、臨時休館。※今後の状況により、さらなる変更が生じる可能性あり。決定次第、新潟市美術館公式ホームページ、Facebookなどにて告知。会場:新潟市美術館 企画展示室・常設展示室の一部住所:新潟県新潟市中央区西大畑町5191-9休館日:月曜日(5月4日(月)は開館)、5月7日(木)開館時間:9:30〜18:00(券売は閉館30分前まで)観覧料:一般 1,000円(800円)、大学・高校生 800円(600円)、中学生以下 無料※( )は20名以上の団体およびリピーター割引料金※障がい者手帳・療育手帳の所有者および一部の介助者は無料【問い合わせ先】新潟市美術館TEL:025-223-1622
2020年03月19日三瓶(41)が3月5日、福島県郡山市に開設された情報発信施設「福島よしもと」で会見。故郷である福島県に活動拠点を移すと発表した。 今後は福島県を中心に、東北6県にまたがる人気芸人を目指すという三瓶。既に福島や宮城のテレビ局の情報番組と、山形のラジオ番組2本のレギュラー出演が決定している。これを機に実家に戻ることも決めたそうだ。 「大きいことは言えないけど、少しでも笑ってもらえれば……。僕によって地元が活気づけばいい。吉本新喜劇みたいな劇団もやってみたい」 Twitterでは三瓶の“帰郷”に激励の声が上がっている。 《おお、福島出身の同い年として嬉しいニュースだね》《地元のために頑張って欲しい》《またテレビで見れるのかな?頑張ってほしいなー》 震災当日は膝の手術をしたばかりで、自宅でリハビリ中だったという三瓶。震災直後のインタビューでは、「膝に重りを載せたリハビリの最中だったので、びっくりしたし、とても怖かったです」とその恐怖を語っていた。福島に住む家族は無事だったものの、“原発事故”が襲いかかった。テレビで報道される故郷の変わり果てた姿に、三瓶は胸を痛めたという。 「東京に来る前、学校に通い、平穏な日々を過ごしていた町が、あんな風になってしまうなんて……」 金銭的に恵まれた状況ではない三瓶だが、震災以来「わずかばかりでも……」という気持ちで募金をしていると言う。 さらに福島にちなんだイベントに出演するようにもなり、昨年1月も「福島よしもと」の1周年記念イベントに参加。同年6月、福島の主婦がオススメ地元商品を選ぶイベント「よしもと福島シュフラン」に出席し「福島の商品を取り上げる機会をいただいてありがたい」と感謝の気持ちを述べていた。 調理師免許を持つ三瓶。昨年4月、長沢広明復興副大臣(59)と対談した際「福島のスイーツをつくったらどうですか?“三瓶で〜スイーツ”」と提案を受け「あぁ、いいですね!」と笑顔で返していた。夢の叶う日は近いかもしれない。
2018年03月05日木曜日連載、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店による今読むべき1冊。今週は、現在愛知県美術館にて開催されている「長沢芦雪」展の公式図録『開館25周年記念 長沢芦雪展 京(みやこ)のエンターテイナー』。愛知・名古屋の支店・ナディッフ愛知(愛知県名古屋市東区東桜1-13-2 愛知芸術文化センター地下2階)によるご紹介です。■『開館25周年記念 長沢芦雪展 京(みやこ)のエンターテイナー』本書は、現在愛知県美術館にて開催されている「長沢芦雪」展の公式図録。江戸時代中期に京都で活躍した絵師長沢芦雪は、円山応挙の門下生で、今日では伊藤若冲や曾我蕭白と共に「奇想」の画家と称され、その人を驚かせ楽しませるエンターテイナーとしての資質を特徴とする画家の一人。展覧会では、46年の生涯の中で描かれた、最初期の作品から最晩年までの作品80点超が展示され、本書はその全作品をカラーで掲載。図録の表紙や展覧会ポスターに採用されている虎は無量寺(和歌山県)の襖絵に描かれたもの。一見迫力のある虎のようで、実は水辺の魚の目線から描かれた子猫を表したのだという。その構想の裏付けを解説するため、展示室では畳・柱・鴨居を設置してオリジナルに近い状態で鑑賞できるよう工夫されている。芦雪が「白像黒牛図屏風」で黒牛の足下に描いた子犬の愛くるしさは高い人気を集め、展覧会の解説役としても子犬が度々登場する。芦雪の絵画には他にも多くの動物が描かれており、その豊かな表情の表現力も注目される点である。ナディッフ愛知では、関連書籍や雑貨と共に、芦雪の絵画に登場する動物たちをHANSAのぬいぐるみで構成するフェアを開催中。なお、愛知県美術館の改修工事休館に伴い、ナディッフ愛知は11月20日より休業となる。【書籍情報】『開館25周年記念 長沢芦雪展 京(みやこ)のエンターテイナー』執筆:山下裕二、金子信久(府中市美術館)、岡田秀之(嵯峨嵐山日本美術研究所)、深山孝彰(愛知県美術館)、佐藤晃子(ライター)版元: 長沢芦雪展実行委員会言語:日本語ソフトカバー/220ページ/297×226mm発売:2017年価格:2,222円【展覧会情報】「開館25周年記念 長沢芦雪展 京(みやこ)のエンターテイナー」展会場:愛知県立美術館住所:愛知県名古屋市東区東桜1-13-2 愛知芸術文化センター10階会期:10月6日~11月19日開館時間:10:00~18:00(金曜日は20:00まで、入場は閉館の30分前まで)料金:一般 1,400円、高大生 1,100円、中学生以下無料休館日:月曜日愛知県美術館「長沢芦雪」展公式サイト
2017年10月12日1993年から2012年までの19年間、人生を賭するように一筆一筆を重ねて不死身の侍・万次を描き続けた漫画家・沙村広明氏。10年ぶりの時代劇主演となる俳優・木村拓哉がその万次を憑依させ、『十三人の刺客』『一命』など数々の時代劇を手掛けてきた三池崇史監督によって映画『無限の住人』(公開中)は完成した。原作者として、今、何を思うのか。○「木村拓哉」という強烈な存在その心境を探る上で、鍵となるのは2008年のTVアニメ化。沙村氏にとっては、客観的視点での気づきがある一方で、「若い頃の自分の未熟なところが忠実に再現されることに『あー本当に申し訳ない』と思います(笑)」と自身の反省点が露わになるという不思議な体験をする。2015年10月、映画化発表。今回の実写化に全く不安を感じなかったのは、「木村拓哉」という強烈な存在があったからで、「木村さんが原作を忠実に演じたばかりに、映画を観た人から不満を言われるようなことがなければいいな」という別の心配も。「もし不評なところがあるようでしたら、おそらく私のせいです(笑)」と自嘲しながら、"生みの親"としての責任感をチラリとのぞかせる。実写化にあたっての希望は一切なく、「三池監督にお任せしました」。連載当時、「話せば分かるキャラ」ばかりなのを嫌って誕生させた、残酷非道な剣士・尸良。市原隼人が演じた狂気の果ては、「華々しく散らせたかった」とひそかに思っていた沙村氏の思いを成就させ、閑馬永空(しずま・えいくう/市川海老蔵演じる不死身の剣士)の四肢が斬られる壮絶な最期は、その再現性の高さに目を奪われる。多種多様な武器も「よく再現していただけた」と太鼓判を押す出来映えで、「とにかく木村さんの殺陣はずっと連続でやられていて、劇中で武器を何本も使ってくださっていた」と原作者冥利に尽きるようだ。○万次の誕生秘話「長くやるつもりなかった」不死身でありながら、痛みや傷を負う"不完全体"の万次。そのルーツは漫画家としてデビューする前、原稿を持ち込んでいた頃まで遡る。「後に担当さんになる人に新人賞へ応募する前に持ち込みに行ったんです。その時はベタベタな病院の話だったのですが、人の生死を扱う話で『ベタだな』って言われて。その時に学生時代に描いた漫画があって絵の参考に持っていっただけなんですけど、こういう絵で描きますって言ったら『時代劇で描いてみないか』って返されて。病院で生死を扱った流れがあったので、『じゃあ似たようなテーマで描いてみます』となりました。命のケリのつけ方というか、自分の意志ではどうにもならないところを表現するキャラクターができたのですが、最初のうちはあんまり長くやるつもりはありませんでした。もっと入り組んで重たい話になるとわかってたら、不死身に対して制限をつけていたと思います。木村さんもそうですが『痛い』というシーンは、血にまみれながらでしか表現できない。映画では2時間ですが、19年も続くとやられてまた立ち上がってというのが難しい。今だったら足枷のある不死身にしたと思います」○映画を通して「思い出してほしい」編集者の鋭い一言と苦労の末に『無限の住人』の世界を構築していった沙村氏。あらためて、原作ファンに届けたいメッセージとは。「まず、木村さんがかっこいいです。思ったよりも剣劇シーンがすごく多く、特に男性ファンはこの一本で満足できると思います。三池監督の作品を4作品くらい拝見いたしましたが、こんなに原作に忠実になるとは思わなかったです。非常にありがたく感じています。序盤のモノクロのシーンの、木村さんの万次のギラついた感じがものすごく印象に残っています。片目を塞がせてしまったのが申し訳ないなと思いましたが(笑)。とにかく役者さんの熱量、本気度がすごいです(笑)。基本的に原作よりも重苦しく感じますが、そのアレンジで正解だと思います。『無限の住人』が、根底のところでシビアな復讐譚であったということを思い出してほしい。それから、原作は万次と凜が何度も色々あって弛緩した空気になっていたので、『いかに万次の戦いが苦しそうか』というのも思い出してほしいですね。素晴らしいエンターテイメントにしてくださって、三池監督には非常に感謝しています。三池監督のグロい感じとか、やり過ぎちゃう感じとか、人に伝わんなくてもいいやっていうエグいシーンとか。そういうのをファンとして観るのは好きなんですが、自分の作品でやられるとなるとちょっと想像がつかなかった。そういった意味でも、熱の入ったエンターテイメントにしていただけてうれしかったですね」■プロフィール沙村広明(さむら・ひろあき)1970年生まれ。千葉県出身。1993年、アフタヌーン四季賞に『無限の住人』を投稿し、四季大賞を受賞。19年にわたって連載し、1997年に文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、2000年に米国でウィル・アイズナー漫画業界賞最優秀国際作品賞を受賞。現在は、月刊『アフタヌーン』にて『波よ聞いてくれ』、隔月刊『ネメシス』で『ベアゲルター』を連載している。(C)沙村広明/講談社 (C)2017映画「無限の住人」製作委員会
2017年06月08日俳優の平田広明が、ジョニー・デップが主演を務めるアドベンチャー大作『チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密』の日本語版で主人公チャーリーの声を演じている。約20年に渡ってデップの声を演じ続けてきた平田が語る本作の注目ポイントとは?その他の写真本作は、美術商のチャーリーが、英国諜報機関MI5の依頼を受け、盗まれたゴヤの幻の名画を捜索するも、その絵画に世界を揺るがす財宝の秘密が隠されていたことから、富豪、マフィア、国際テロリストなどが絡む争奪戦に巻き込まれていく様を描く。平田はアニメーションはもちろん、外国の映画の吹き替えも多く務め、マット・デイモンやジュード・ロウの声も演じているが、『エド・ウッド』以来、約20年間、デップの声を演じてきた。しかし、平田は「ハリウッド作品を吹き替えるのは難しいですけど、ジョニー・デップを演じるのは特に難しい」と言う。「収録の時に思ったのは、シーンが変わるたびにそのシーンの持っているテンポが変わるんです。テンポが変われば雰囲気も変わりますし、声を入れながら『こんなにも難しかったんだ』と改めて思いました。最初に声を演じた『エド・ウッド』で少し風変わりなお芝居をしていたんですけど、基本的には『ドンファン』のように影のあるセクシーな役が多かったんです。ただ『パイレーツ・オブ・カリビアン』あたりから、この人はどれだけ引き出しを持っているんだろう?と毎回驚かされます」。平田が語る通り、デップは大スターになったあとも様々な役どころに挑んでいる。「最近は特に変わった役が多いですが、新たなキャラクターに次々と挑めるのは素敵なことですよね。モルデカイは彼の努力とは関係ないところでいろんなトラブルが解決していくというジョニー・デップが演じてきたこれまでのパターンと共通する部分があり面白くてハラハラドキドキできます。更に『まだ開けていない引き出しがあったの!?』と思わせる新しい側面もあります。あくまでも僕の憶測ですが、モルデカイの役はチャップリンを意識した部分があるんじゃないのかな。ジョニー・デップは演技をしっかりと作り込む人ですから、映画を観ながら彼の色々な魅力を見つけ出せると思います」。「長く続けられる役に出会えることは、俳優として糧になりますし、価値のあること」という平田にとって、デップは特別な存在なようだ。「演じている時は大変ですが、日本語版としてちゃんと成立するものができた時にはすごく達成感があります。ジョニー・デップの吹き替えを20年もやらせて頂いているので、これからも見届けていきたいです」。『チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密』公開中
2015年02月12日平田広明が、ジョニー・デップが主演を務めるアドベンチャー大作『チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密』の日本語版で主人公チャーリーの声を演じることが決定した。平田は約20年に渡ってデップの声を演じ続けており、チャーリーのような大きなヒゲをつけたコラボポスターも公開された。その他の画像本作は、美術商のチャーリーが、英国諜報機関MI5の依頼を受け、盗まれたゴヤの幻の名画を捜索するも、その絵画に世界を揺るがす財宝の秘密が隠されていたことから、富豪、マフィア、国際テロリストなどが絡む争奪戦に巻き込まれていく様を描く。平田はアニメーションはもちろん、外国の映画の吹き替えも多く務め、マット・デイモンやジュード・ロウの声も演じているが、『エド・ウッド』以来、約20年間、デップの声を演じてきた。そこで本作の日本語版でも主人公チャーリー・モルデカイの声を演じることが決定。平田は「これまで多くのジョニー・デップの吹き替えを演じてきましたが、今回は、一癖も二癖もあるキャラクターです。ちょびヒゲのインチキディーラー、果たしてどんなジョニー・デップになりますやら…、乞うご期待っ!」とコメントを寄せている。『チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密』2015年2月6日(金) TOHOシネマズ スカラ座ほか全国ロードショー
2014年12月19日