リドリー・スコット監督の映画『ゲティ家の身代金』の公開を5月25日に控え、主演のミシェル・ウィリアムズが撮影秘話を明かした。本作は、世界一の大富豪ともいわれたアメリカ人石油王ジャン・ポール・ゲティの孫が誘拐された事件を映画化。2017年11月、ハーベイ・ワインスタインのセクハラ問題に端を発した騒動によりジャン・ポール・ゲティ役のケビン・スペイシーが突如降板することになった。全米公開1カ月前の出来事。映画はすでに完成していた。この非常事態に、リドリー・スコットは、即座に「再撮影だ」と決断。数日後にはクリストファー・プラマーの出演が決まり、1週間後には撮影がスタート、その2週間後には映画を完成させた。クリストファー・プラマーの演技は高く評価され、アカデミー賞演技部門ノミネートの歴代最高齢記録を更新。リドリー・スコット監督のもと、共演者・スタッフが一丸となったからこそ成し遂げられた偉業だった。主演のミシェルは、「なにがそれを可能にしたか話すわ。まず最初に、誰かが『そうだね。それをやるのは正しいことだ。だから、そのお金を払うよ』と申し出ないといけなかったの。その後は、みんながホリデーをあきらめないといけなかった。サンクスギビングのお休みだったのよ。だから、そのお休みをあきらめて、他の仕事のスケジュールを入れないようにして、私たちが再び集まらないといけなかったのよ」と奇跡の要因を挙げる。苦境の中で監督の存在は大きかったようで、「彼は本当にマエストロなの。彼が仕事をしているのを見られるのは、本当に素晴らしい。彼はとても巨大なオーケストラを指揮しているみたいなのよ」と振り返った。リドリー・スコット監督は、「理由は簡単だ。一人の行いが全員の仕事を台無しにする事などあってはならない」と語っていた通り再撮に迷いはなかった。ミシェルは「多分、彼がかんしゃくを起こしたところをただの1度さえ見たことがないけど、1度だけイライラしていたことがあるわ。なぜなら、110度(摂氏43度)でものすごく暑かったからよ。でもそれ以外は、一緒に仕事をしていてリドリー・スコットよりエキサイティングな人はいないわ。そして、彼は80歳なのよ」とその魅力を伝えている。(C)2017 ALL THE MONEY US, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
2018年05月24日モダニティは3月10日、スウェーデンEARIN社の世界最小級Bluetoothイヤホン「EARIN」について説明会を開催。EARIN社の創業メンバーでありハードウェア設計者のPer Sennstrom氏が、開発秘話や製品のこだわりについてプレゼンテーションを行った。EARIN社のはじまりは2013年1月。ソニー・エリクソン(現ソニーモバイルコミュニケーションズ)やノキアでスマートフォンの開発に携わっていたKiril Trajkovski氏、Olle Linden氏、Per Sennstrom氏が共同で創設した。今回来日したSennstrom氏は、ハードウェアの設計や、エンジニアチームとの調整役を務めているという。EARINの開発は、「完璧にフィットする軽量なワイヤレスイヤホンを作りたい」といった非常にシンプルな(EARINそのものともいえる)発想からスタートした。2013年春に最初のコンセプト案を作成したが、「ニーズが合致しない」との理由で失敗。2013年秋に打ち出した第2弾コンセプトをもとに、ハードウェアの開発を開始した。その後、2013年12月に試作品を製作し、2014年5月にクラウドファンディングサイトにて製品を発表する運びとなった。ベンチャーキャピタルから出資を受けることも考えたが、資金獲得までのスピード感を優先し「Kickstarter」でのクラウドファンディングを決断。最終的に150万ドルの資金を獲得した。クラウドファンディングを行うメリットについてSennstrom氏は、「製品が認められればユーザーからすぐに反応が返ってくる。また、成功すれば製品の注目度を高められる可能性がある」と話す。自社製品への強い自信が、クラウドファンディング実施につながったことがうかがえた。EARINの具体的な内部機構は非公開となっているが、knowles製のBAドライバー、Bluetooth用チップ、アンテナを実装した基板、充電式のリチウムイオンバッテリー(容量60mAh)で構成していることはオープンになっている。特にポイントとなるのが独自開発のアンテナだ。EARINは左右のユニットにそれぞれアンテナを装備しており、プレーヤーとの通信だけでなく、左右ユニット間の通信もBluetoothで行っている。アンテナの性能は、通信の安定だけでなく音質にも大きくかかわってくるため、設計にはかなり苦労したと話していた。なお、アンテナに関わる技術は特にシークレットにしているようで、特許も取得済み。今後も詳細を明らかにすることはないようだ。開発において大きな壁となったのは、「この小さなきょう体にいかにバッテリーを内蔵するか」だったという。内蔵に成功したことで、EARINはきょう体内部のほとんどをバッテリーが占めることになった。説明会でたびたび語られたのは、「シンプル」へのこだわりについて。EARINは操作ボタンを徹底的に排除しており、イヤホンを専用ケースから取り出すことで、以前通信したプレーヤーと自動でペアリングを開始する仕様になっている。今後の展望について同社は、EARINでアピールした「ワイヤレスメーカー」としてのポジションを確固たるものにしたいと話す。記者から通話用マイク搭載の予定について訊かれると、「ノーコメント」としながらも、「開発の手は緩めていない」との回答が。また、ノイズキャンセリング機能を採用した新製品の開発は「考えていない」と話し、Complyチップの遮音性がノイズ低減の役割を充分に果たしているとの見解を示した。
2016年03月10日●ThinkPadの開発秘話を披露レノボ・ジャパンは11日、同社の設立10周年の節目を迎えるにあたり、今後の事業戦略に関する記者説明会を開催した。説明会では、同社代表取締役社長 留目真伸氏や、「ThinkPadの父」とも呼ばれる同社取締役副社長 内藤在正氏が、これまでの10年間を振り返るとともに、これからの取り組みなどを紹介した。○なぜ日本でThinkPadが開発されたのかはじめにレノボ・ジャパン 取締役副社長 内藤在正氏がThinkPadの歴史を振り返った。内藤氏は1974年に日本IBMに入社。「IBM マルチステーション5550」やその後継であるPS/55などの開発に従事した。このころは世界向け製品と日本向け製品でOSとハードウェアも異なっており、日本の開発部隊は日本向けの製品を作っていたが、DOS/Vが登場してから、この位置付けが変化し、世界向け製品の中における1機種の開発を日本で担うことになった。この部隊が開発したのがThinkPadだという。なぜ、日本の開発部隊がThinkPadの担当になったのかというと、当時の日本IBMには、TFTカラーディスプレイや小型HDD、低消費電力のCMOS、実装基板、チップセットなどから、藤沢研究所の製造ラインなど「小型PCを作るための要素技術がほぼすべてそろっていた」(内藤氏)ためだ。また、バッテリや高効率電源、FDD、キーボードやカーボンファイバーといった日本の協力企業が持つ技術力も大きな存在だったという。ユーザーが使うIT機器は1980年代から大きく変化してきた。端末やデスクトップPCでは、オフィスにいかなければ仕事ができなかったが、ノートPCの登場によってオフラインの仕事であれば会社の外へ持ち出すことが可能に。また、1998年を境にオフィスだけでなく、家庭や宿泊施設にもワイドバンドネットワークが導入され、ネットワークにアクセスできるようになったほか、現在ではWi-Fiや携帯電話網を利用して、オフィスにいなくても、オフィスにいるかのように仕事ができるようになった。「これが何を意味するかというと、デバイスの使いやすさや性能が仕事のアウトプットに影響するということ」と内藤氏。ThinkPadは当初から一貫してビジネスツールとして、PCを使ったり管理するわずらわしさを最小限にとどめ、どこにいてもオフィスと同様の生産性を提供し、ひいてはユーザーの成功を目的に開発が進められているという。○ThinkPad開発の歴史内藤氏はThinkPadの歴史を5つの世代に分けて説明する。第1世代は1992年から1999年まででThinkPadというブランドの創世記となる。初代ThinkPadの「ThinkPad 700C」からはじまり、最上位モデルには次々と機能が盛り込まれ、一方でエントリーの300シリーズや薄型軽量を目指した500シリーズ/600シリーズと製品自体のラインナップも拡充された。この時期、オーストラリアのユーザーから"非常に激しく壊れた"ThinkPadが戻ってきた。内藤氏は「それをみたときに開発陣は愕然とした。当時のThinkPadは70万円は必ずしていたので、われわれは"70万円もする製品だからきっと大事に扱ってもらえるだろう"と考えてきた。しかし返ってきた製品はそうではなかった。ツールというのは大切に使ってもらうのではなく、お客さまがどのように使ってもストレスがないように作らなければならないと学んだ」という。これを契機にテストの仕方も変化した。それまで要求スペックに対してまでのテストしかしていなかったところ、どこまで何をしたら機械が壊れるかというテストをしたうえで、その次のレベルを目指すようになったという。「機械を見るのではなく、機械の先にいるお客さまを見るという文化が確立されたと思っている」(内藤氏)。続く第2世代は2000年から2004年。第1世代で多様化したシリーズの再定義が行われ、「A」「T」「X」「R」といったラインナップに整理されたのがこの時期だ。さらに、このころから操作方法の統一かや部材・オプション製品の共通化が図られた。これについて内藤氏は「当時のIBMの社長から"新しいThinkPadを贈ってくれるのはうれしいが、なぜ新しいThinkPadが届く度に電源スイッチを探さなければならないのか"と尋ねられ、確かに機種間の整合性が欠けていた」とその理由を紹介した。またこのころは「開発陣にとって非常につらい時期だった」と内藤氏。CPUが早くなると同時に消費電力も増え、設計が難しくなっていた。その一方でユーザーからはより低価格の製品が求められるなど葛藤の時期だったという。その葛藤の最中、2005年にLenovoがIBMのPC事業を買収し、開発陣はLenovoへ移籍することになった。「お客さまからはThinkPadが変わってしまうのではないかと心配されたが、"同じ開発理念、同じ開発部隊で続いていくので、ThinkPadは変わりません"と説明した。たくさん励ましもいただきありがたかった」と当時を振り返った。Lenovoブランドとなった2005年から2009年が第3世代だ。第2世代で取り組んだ冷却や無線、電源管理といった技術や、ThinkVantageといったソフトウェアの開発が花開いた時期だ。このころ、アメリカの大学に赴き、「学生がどのようにPCを壊すか」を調査。その結果を堅牢性の試験ラボに取り入れたという。2010年から2012年までの第4世代では、SMB(中小企業)向けに開発されたThinkPad Edgeシリーズなどを新たに投入。2012年からの第5世代では、タブレットや2-in-1といった新たなフォームファクタを提供するほか、ThinkPad X1 CarbonやThinkPad Wシリーズといったクラムシェルモデルの追求といった挑戦を続けている。2014年には1億台の累計出荷台数を達成。このうち7,500万台はLenovoブランドになってからの数字だという。現在ではレノボ・ジャパンとNECパーソナルコンピュータの開発陣が一体となって製品開発に取り組む体制が構築されており、今後もさらなる軽量・薄型化を実現するための技術や長時間駆動に必要な技術、新たなUIに向けたディスプレイやソフトウェアの開発、セキュリティの向上を目指して取り組んでいくとした。●会場では歴代のThinkPadも多数展示○レノボはこれから「未来型企業」へ - その鍵は"共創"続いてはレノボ・ジャパン 代表取締役社長 留目真伸氏が登壇。「この10年、レノボがやってきたのは新しい時代のグローバル企業を作るということにほかならない。中国の会社とアメリカの会社が一緒になったわけだが、文化的な壁をいかに乗り越えて新しい企業を作っていくことを目指していた」という。2009年から2015年まで25四半期連続で、ワールドワイドにおけるシェアを伸ばし、いまやPCでは世界1位、タブレットでも世界3位のシェアを獲得するに至っている。日本国内でも2005年の・ジャパン設立時には6.2%だったシェアが、コンシューマ市場への参入や、NECとの合弁会社設立を経て2015年には29%のシェアとなるまで成長した。これに伴い売上高も10年間で4倍となったという。留目氏はこれからの取り組みにあたり「われわれのビジョンは、パーソナルコンピューティングを人々の生活や仕事に浸透させることであり、その部分は変わらない」とし、そのうえでPCやタブレット、スマートフォンといった個人が使うデバイスから、それを支えるネットワークやサーバ機器といった分野にも注力していくとした。その一方で、「順調にシェアを獲得してきたが、現状を考えるとわれわれが目指す"デジタルライフ"や"デジタルワーク"が実現しているかというとそうとはいえない。PCでできることがタブレットやスマートフォンで可能になっても、やってることはこれまでとあまり変わらない。また、生活の中でコンピューティングパワーにサポートされている時間なんてほんのわずかしかない。これではいけないと思う」と課題を挙げる。これに対してNECレノボ・ジャパングループでは「DREAM」(Digital Revolution for Empowering All Mankind)構想を打ち出し、すべての人が常時コンピューティングパワーを使うような社会を2020年まで実現させることを目指す。NECレノボが掲げるデジタルライフやデジタルワークのイメージやそこに至る道すじを共有化し、スタートアップや他業界の企業、エンドユーザーまで巻き込んで「共創プロジェクト」として推進する。すでに取り組みは始まっており、由比ヶ浜の海の家「Lenovo House」や渋谷のハロウィンイベントも「共創プロジェクト」の一環で、地域の一部だけでなく全体の活性化などを想定しているという。留目氏は「この構想を通じて、NECレノボ自身も外部のパートナーやエンドユーザーともオープンでフラットな世界を作り上げて、新たなワークスタイルを作り出すような"未来型企業へ"脱皮を図りたい」とした。○歴代のThinkPadも多数展示会場では歴代のThinkPadが多数展示された。以下、写真で紹介する。
2015年11月12日ベトナム・ホーチミン、ハノイに拠点を持つITオフショア開発会社であるエボラブルアジアは6月11日、ゲーム開発専門のプラン「ゲームセカンダリー運用特化プラン」を開始したと発表した。同社によると、ベトナムは、エンジニアのゲーム運用力が高く、また人件費が日本の1/3というコストパフォーマンスの高さから、日本だけでなく諸外国のゲーム会社が進出している。同プランは、運用フェーズまたは売り上げが安定しているゲームを同社のラボに作業移管することで、運用コストの削減とゲームライフサイクルの長期化を狙うもの。すでに3タイトルのゲームラボの移管および運用の実績があるが、今後は作業移管のノウハウの蓄積や、エンジニアの採用・トレーニング、移管元の企業に対してのコンサルティングをより一層強化し、2015年内には10タイトルの移管や新規ゲームの開発を目指していくという。デザインの加工においても、背景画や補助的作業だけでなく、キャラクターなどのデザインの加工、ゲームの更新などを予定している。
2015年06月11日○懸念されたプッシュ通知基盤「Pusna」の性能不足リクルートホールディングス傘下の企業として、各種サービスのシステム開発、WebマーケティングなどIT関連業務の一角を担うリクルートテクノロジーズ。同社は、リクルートが2012年10月1日付けでリクルートホールディングスへガバナンス体制をを変更すると同時に、主要事業部門の分社化によって誕生した。リクルートテクノロジーズでは分社前の2011年から、リクルートグループのスマートデバイス向けアプリ用として独自開発のプッシュ通知基盤「Pusna(Push Notification Aggregator)」を提供してきた。アプリを起動していなくても、情報を的確なタイミングで知らせるこのプッシュ通知は、もはやスマートデバイスのユーザーだけでなく、アプリ配信側としても必要不可欠な機能だ。しかし近年、アプリ数およびスマートフォンユーザーが急激に増加。実際にグループ内で提供しているiOS/Androidアプリ数も2012年頃から爆発的に増加し、2014年秋時点ですでに360前後にまで達している。もちろんすべてのアプリがプッシュ通知を使っているわけではないが、そのニーズは確実に増えており、Pusnaの性能不足が懸念されていたという。リクルートテクノロジーズ ITマネジメント統括部APソリューショングループの宮川典久氏は「APソリューショングループは、リクルートグループ全体のフレームワークやアプリケーション基盤などを横断的に提供している部署です。しかし、技術の進歩が早いIT業界において適切なサポートを行っていくためには、常に新しい技術を開拓していく必要があります。その一環として、課題を抱えるプッシュ通知基盤のリニューアルに至りました」と語る。プッシュ通知基盤の再構築にあたり、当初は外部のASPサービスを使う選択肢も候補として挙げられていたが、ここで、宮川氏の「新しい技術を使って自分たちで作りたい!」という熱意が周囲を動かし、新たなプッシュ通知基盤の検討が始まったのである。○最新技術で約340倍ものスピードを実現した「Pusna-RS」Pusnaが抱えていた具体的な性能面の課題としては、まず配信スピードの遅さが挙げられる。当時のスペックでは、1000万件分の配信を行うのに分割で約1週間もの時間が必要だった。たとえば朝のニュースをプッシュ通知で配信する場合、スピードが遅いと狙った時間に全ユーザーへ通知できず、まったくもってニュースアプリの意味を成さなくなってしまう。また、高負荷にシステムが耐えられないことも問題だった。プッシュ通知は、ユーザーがアプリを起動するたびにデバイス情報を受け取るが、デバイス数の増加に伴いシステムの負荷も高くなっていく。当時はシステムダウンを防ぐため、各アプリ担当者のプッシュ通知時間を調整するといった運用対応を余儀なくされていたそうだ。これらの課題を解決するべく、同社では2013年9月にリアルタイム性とスケーラビリティを兼ね備えた次世代型プッシュ通知基盤「Pusna-RS(Realtime&Scalable)」の開発をスタートした。スピードについては、「AWS(Amazon Web Services)」が提供している分散キューサービス「SQS(Amazon Simple Queue Servise)」で各機能の高速化を図ると同時に、分散KVS(Key-Value Store)「Amazon DynamoDB」でI/Oの高速化を実現。スケーラビリティに関しては、単純化と分散が絶大な効果を発揮している。そのほか、「Node.js」をはじめとした今まで運用実績のなかった技術やソフトウェアも積極的に活用したそうだ。こうして同年12月末に完成したPusna-RSでは、1秒あたり1万4000件以上という、旧基盤と比べて約340倍もの驚異的なスピードを実現。1000万件分の配信が、1週間からわずか12分にまで短縮された。スケーラビリティについても、登録デバイス数が数千万台を超えて1年以上が経過した段階でも、まったく問題なく安定稼動が可能となっている。さらにPusna-RSを開発する上では、既存システムとの連携やレコメンドプッシュなどを重視していたのも大きなポイントだ。「プッシュ通知は、アプリによって使い方が異なります。一般的に挙げられるのは、ニュースなどを全ユーザーに通知する、メッセージ系アプリのようにリアルタイムで通知する、特定ユーザーへセグメント別に通知する、という3パターンです。しかし最近は、ビッグデータの分析結果に基づいてパーソナライズして送るといったように、使い方も多様化してきています。こうした需要に応えるべく、Pusna-RSでは既存システムとの連携やレコメンドプッシュにも気を配りました。社内で開発したかった理由の1つがここなんですよねセキュリティ要件を満たしながら、様々なインターフェースを持つ社内システムと連携できる仕組みにしたかったんです」と、宮川氏は将来を見据えた開発思想について語る。現在、Pusna-RSを使用しているアプリはリクルートグループ内で約50種類。ほぼすべての主要アプリをカバーしているほか、これまでPusnaを使っていなかったアプリでPusna-RSを導入するケースも増えているという。○エンジニアが“やりたいものに取り組める”社内環境Pusna-RSの案件を含めて、リクルートテクノロジーズでこうした先進的かつエンジニア主導の取り組みが行えるようになったのも、積極的な社内体制の改善によるところが大きい。実は分社化した当時、同社では事業会社ごとに個別でアプリを開発していた。事業会社が異なれば、当然ながら技術面に関する同じような知見や新しい情報などが分散してしまい、グループとしての統一性も保ちづらくなってしまう。リクルートテクノロジーズ ITマネジメント統括部 スマートデバイスグループの樋口勝彦氏は「こうした背景から、弊社では約2年前に従来の“事業別組織”から“機能別組織”へと、大規模な組織変革を実施しました。そして現在は私の所属しているスマートデバイスグループが、リクルートグループ全体の主要アプリに関する知見の集約、各種情報の展開などをまとめて行うための開発を手がけています」と語る。「Pusnaへの課題感は強く感じていたものの、アプリ基盤の専門性がなかったので宮川さんに相談したんです。そしたらすぐに“やってみよう!”という話になって、気が付いたら自分も開発することになっていました。実際にPusna-RSを運用するのは自分たちの組織なので、運用者目線で機能の取捨選択ができたことはよかったと思います」Pusna-RSの運用を始めて1年。今では、運用時のQAも自分たちで解決できているという。一般的な企業の場合、エンジニアの業務は他部署からの依頼ありきになる傾向が強い。そんな中、リクルートテクノロジーズではまったく逆で、エンジニアでも自発的に動く、発言するといったアクティブさが重視されている。もちろん提案する以上は、やり遂げる熱意と相応の技術力を持ち合わせている必要があるが、“自分のやりたいものに取り組める”環境が整っているのは、エンジニアとしてなにより嬉しいところだろう。このようにリクルートテクノロジーズでは、エンジニアの積極性を活かし、楽しみながら仕事ができる環境を武器に大きな躍進を遂げている。そして今後もプロフェッショナル集団としてのスキルに磨きをかけ、リクルートグループ全体のIT業務を支え続けることだろう。
2015年03月31日“ママ アクア シャボン”の商品開発の秘話が満載!商品発売イベントに登場した小森純さん!株式会社ウエニ貿易の化粧品ブランド「アクア シャボン」からの新しいライン“ママ アクア シャボン”発売イベントに、同ブランドのイメージキャラクターに選ばれた『小森純』さんが登場!小森純さんは、初めての「ママ アクア シャボン」アイテム開発について、ママラインで大事にしたポイントなど開発過程のとっておきの秘話を語ってくれた。イベントの様子は?一児のママとなった小森さんは、変化したライフスタイルや、育児の楽しさを語った。また初めて商品開発したコスメアイテムについて、ノンアルコールの“オードトワレ”や、“子供と一緒に使用できる成分”を調合したUVジェルなど、開発にあたって重視したポイントを紹介!さらにプライベートの夫婦関係についてまで、小森さんならではの楽しい“小森節”で、イベント参加者たちの笑いを誘っていたという。小森純さんについて1985年神奈川県出身。ギャルファッションモデル。2003年に読者モデルとして初めてポップティーン誌に登場して以来、ランウェイやカタログ、テレビ番組などで幅広く活動した。2011年結婚し、一児のママ。またLINEブログは総合でトップになるほど、高い人気を誇っている。(画像はプレスリリースより)【参考】・株式会社ウエニ貿易 アクア シャボン・株式会社ツインプラネット プレスリリース (アットプレスニュース)・小森純 オフィシャルブログ
2015年03月06日●関係者交え開発秘話を語りつくす2015年2月23日、Engadgetの主催によるau Firefox OS搭載端末「Fx0」トークセッションが秋葉原アートスペース3331にて緊急開催された。本誌でも取り上げているが、auのFirefox OS搭載端末Fx0が2014年12月に販売開始となった。そのFx0の使い勝手や魅力について、語り尽くすのが今回のトークセッションである。参加者は、モデレーターでEngagetの津田啓夢氏、KDDI 商品企画部 Fx0担当の上月勝博氏。そして、Geek寄り女子の池澤あやか氏、ガジェットモンスターのジェットダイスケ氏、Mozilla Japan モバイル&エコシステム マネージャ浅井智也氏である。○デザイン端末にこだわったFx0Fx0の特徴は、なんといってもそのデザイン性にある。スケルトンボディを採用し、部品配置、ネジにまでこだわった端末である。ネジは通常の40倍の価格となったが、上月氏は、Fx0の値段が高いのはそれが理由と指摘されるが、せいぜい1本何円。何十円、何百円レベルはあるが、そんな影響していないとのことだ。それよりも、とにかくめだつこと、他の端末との差別化を図ったとのことである。結果、製品発表後、海外のSNSなどで、ここまで注目されたのはKDDIとして初めてであった。デザインについて、ジェットダイスケ氏は、金色といってもそんなに派手ではない。やはりバブル期のようなハデハデは避けたい、これくらいならば十分持てるでしょうと語る。○スーパーローコストではなく、高スペックな端末としてFirefox OS搭載端末は、当初、ウルトラローコストと呼ばれる低価格帯の端末のOSとして採用されることが多かった。しかし、日本で発売されたFx0は、デザイン、機能ともにハイレベルな点が特徴である。池澤氏は、そこがすごく気になっていたと語る。なぜ、ネジにまでこだわったハイレベルな方向に舵を切ったのかと質問した。浅井氏は、そもそもFirefox OSは廉価版端末専用OSと思われるほうが心外と語る(笑)。安く作ることもでき、最初はたまたま安い端末となった。非力な端末で動くOSでも、ハイエンドな端末を作れば、カッコいい端末になる。それを採用したのがKDDIさんなんですと語る。上月氏は、スケーラビリティは最初から理解していましたが、最初は市場の関係でシンプルで普及価格帯を考えていた。しかし、社長から王道で行けとなり、方針を変換したと当時の状況を説明してくれた。実際に、クワッドコアのCPU搭載するFirefox OS端末はFx0だけである。CPUはMSM8926で、最近の端末でも採用される。ジェットダイスケ氏は、このCPUだとおサイフケータイなどを搭載する端末が一般的だが、なぜFx0では? と尋ねた。残念ながら、そこまでの対応するといつまでたっても出すことができなかったと上月氏は弁解をしていた。最初から機能を満載にしてしまうと、出すものも出せない。そこで、ベース部分をしっかり作り込み、次に考えていきたいと抱負を語った。○アプリ開発をめぐって池澤氏は、この後少し余裕ができるので、開発にチャレンジしたい。HTMLなどのWebと同じ技術でできるので、開発者としては、もう1つプラットフォームが増えたという印象と語る。そして、新興国の人にも使ってもらえるアプリを作れるのか? との質問に、浅井氏は、以下のように答えた。もちろん可能です。現在、29か国、15キャリアからFirefox OS端末が提供されています。Mozilla Japanのメンバーが音楽アプリを作ったところ、スペイン語でフィードバックがきました。Webで翻訳して、苦情ではないかドキドキしながら確認しています。日本で、AndroidやiOS向けのアプリを出しても、海外まで届きません。しかし、Firefox OSならば、本当に必要としている人にいいフィードバックがもらえて、開発者としても楽しいと思います。ついでにスペイン語の勉強もできます(笑)。もし、わからなければ、Mozillaがサポートします。コミュニティのメーリングリストや勉強会もあります。ぜひ聞きにきてください。KDDIでは、2月半ばに新たなポータルサイトを設置した。これはユーザーの要望に応えるものだ。端末だけで作ったアプリなどを手軽にアプリをアップし、他の人に使ってもらいたい、評価してもらうものである。KDDIでは、公序良俗に反しない程度の確認を行って公開している。上月氏は、それ以外にもバグの報告がある。オープンソースの醍醐味というか、自分たちが気が付かないバグを指摘してくれ助かる。KDDIとしても今までにない取り組みが可能となるだろうと語る。○従来の開発や開発者のイメージを超えてジェットダイスケ氏も、HTMLやJavaScriptでアプリが作れるならばやってみたいと積極的な姿勢を表明する。そこで、カメラアプリもできる?と尋ねると、浅井氏は以下のように答えた。JavaScriptでフィルタ効果を、HTMLでSDカードの読み書きも可能です。従来、ネイティブでしかできなかったといわれるようなことも、可能になっています。それどころか、新しい知識がなくても、モバイルのWebサイトを作っている人ならば、テキストファイルを1つ足しただけで、Marketplaceにアップできるようなアプリが作れます。アプリのなかには、すべてをWebから読み込むようなアプリがあります。Webビュー専用に書かれていますが、Firefox OSでは、アプリとWebサイトの区別がまったくない、同じ書き方ができます。一方、iOSやAndroidでは、アプリをダウンロードしないと何もできない端末が多いです。PCならば、ブラウザを開きURLを入力すれば、ゲームもできる、表計算もできる、なんでもできます。でもなぜかアプリだとダウンロードして、専用の操作をしないといけません。これは、Webページだったらホームページにしか行けない、どんなURL書いても/ルートにしか行けないものが、iOSやAndroidのアプリだったりするんです。ならば、Webとアプリの区別のない環境を作ったほうが幸せでしょうということです。さらに、Firefox OSでは、Framinを使えば、プログラムを知らなくてもアプリを作成できます。池澤氏も、写真を切り替えたり、時間がきたらお知らせするアプリなら、1分でできたという。そして、端末性能が進歩すれば、ネイティブでなくても十分、高速な動きが期待でき、実用になるだろうと予測する。印象として、従来の開発や開発者とはイメージが異なる人たちがアプリを提供してくる感じである。そこまでいかなくても、自分好みのカスタマイズが可能な点も大きいだろう。●参加者の声や、当日の展示物も面白い○参加者の声今回のトークセッションの参加者の声とその回答を紹介したい。多分、多くのユーザーが持つ意見や疑問だと思う。まずは、新機種を含む今後の予定であった。これに対し上月氏はまったく決まっていない。まずは、フィードバックを取り込みたい。さらに、毎シーズン新機種の投入といったことはないだろうとのことである。浅井氏も、発表できるものはないが、いろいろ検討いただいていると語った。次は、スケルトンのライトなイメージがあるが、使ってみると重量が重いように感じたという意見である。上月氏は、今の機種と比較すると厚いので重さもあるが、丈夫な構造にしていることも理由と語る。さらに、パーツ1つ1つの具がしっかりしている(笑)とのことだ。Fx0では、電池の持ちがよいとの評価があるので、今後の機種によっては少し電池を小さくする可能性もあるとのことだ。また、開発者や好きな人以外では2台持ちは考えられない、普通のユーザーならば1台持ちであろう。そのあたりの方向性はいかがかという質問もあった。上月氏は、現状は2台を意識せざろうえないが、1台持ちにできない理由はない。しかし、今は、他と競合しない部分にあえて出させていただいていると答えた。今後、会社としての対応は、未定とのことである。さらに浅井氏は、自分の母親に機種変更で、初めてのスマフォでFx0を使わせているとのことだ(笑)。メールやカメラが使えれば問題なく、唯一の苦情は、キー入力が使いにくいで、それもハードキーがないことが理由とのことだ。1台持ちでもなんとかなると思うと語った。最後の質問は、ブラジルなどでFirefox OS端末がどう利用されているのかであった。浅井氏は、現地に赴いたわけではないが、ブラジルやインドなどでは、2台、3台持つような金銭的余裕はない。Android端末は通信料も多く、従量課金では使用料も高額になるが、Firefox OSではそのようなことがないので受け入れられているとのことだ。日本ではWeb接続は水道と同じようなイメージである。しかし、水道も完備していない、Webも繋がらないことが多いといった環境では極限まで安く、Webが速い端末を提供することで、社会的インフラとして普及している印象と語った。上月氏は、ブラジルなどでは、FMラジオが必須なんですと語る(笑)。浅井氏は、バージョン1.0の頃には、NFCがないのにFMラジオの機能があった。国によって違いがあり、その国のユーザーが使いやすい端末を、キャリアが自由に開発できることから、Firefox OSを採用している。単純にこれまでの端末と同じものを出しても、売れないこともあるだろうと語る。そして、上月氏も本当に好き勝手にやらせてもらえたし、なによりも、ここにいらしている皆さんと一緒にやりたかったと、うれしい台詞で締めくくった。トークセッション終了後、懇親会となり、自由な雰囲気のなかで、歓談が進む。イベントの最後はじゃんけん大会となった。Mozilla、Firefox OS関連のイベントは、とにかく楽しく、遊び心に溢れている。まじめな勉強会もあるが、楽しむみながら学ぶことが基本となっている。この雰囲気からか、普段聞けないような話も飛び出す。そんな話を聞けることもうれしい。○当日の展示物から会場では、デモ用にFx0が5台展示され、自由に使うことができた。筆者も初めて実機に触れることができた。印象であるが、想像以上に動作が軽かった。30万円かかる試作を10回も繰り返したというネームキーの感触もよかった。隣りでは、3D PRINT LAB.の展示が行われていた。これは、2015年1月より開始されたサービスで、3Dプリンタを使いオリジナルのスマホケースの製作・購入ができるものだ。あらかじめひな型が用意されており、そこに文字を入れたり、立体スタンプで造形していく。申し込みは、Webサイトから行う。使う3Dプリンタは、DMM.comの粉末焼結積層造形式の高性能プリンタで、スマフォケースならば1cmに1分ほどかかるとのことだ。納期は2週間程度で、費用は送料込みで3980円(税抜)である。ちょうど横に、ジェットダイスケ氏がおられたので「やはり透明タイプもほしいですよね」と聞いたところ、うなづいていた。着色していない無垢の白とかもおもしろいだろう。Fx0専用ではなく、他の機種にも対応する。さらに、データさえあればいいので、iPhone4Sのような、旧い機種にも対応するとのことだ。そして、Firefox OS搭載炊飯器である。半分、ジョークのような企画であるが、見ていておもしろかった。すでにPanasonicがCESでFirefox OS搭載TVを発表している。今後も、注目である。○コミュニティイベントも多数予定Fx0販売開始以降、Mozilla JapanやKDDIなどの主催するイベントも開催されているが、さらにコミュニティやメディア主催のイベントも予定されている。いくつか紹介すると、まずは毎月定期的に開催されるのが、Firefox OS のソースコードを読んだり、語らったりする「ゆるふわ」なFxOSコードリーディングミートアップである。また、Firefox OS勉強会も関東、関西にて、回数を重ねてきており(ほぼ2カ月おきに開催)、今後も開催予定である。ハンズオンも東京だけでなく、名古屋、高崎などでも開催を予定する。こちらは、初心者向きのイベントも多数ある。Firefox OSアプリを作成してみたいと思うならば、要チェックだろう。本誌も含め、現状のFx0の問題点として、アプリの数の少なさを指摘する意見が少なくない(特に、ゲーム系)。だからこそ、アプリ開発の幅も広いといえるのではないか。自分がほしい機能をアプリとして実現する。ひょっとしたら、それがキラーアプリになる可能性も潜んでいる。やってみようという意識さえあれば、いいだろう。これらの開催予定などは、上述のMozilla Japanのブログにて随時発表される。実際、Fx0に触れる機会やその中身などを知るとなると、個人だけでは難しい。そこで、こういったコミュニティイベントは、大きなチャンスといえるだろう。興味を持たれたのであれば、参加してみてはいかがだろうか。
2015年02月24日