トヨタ自動車はこのほど、新型燃料電池車「FCV」に関する記者発表会を18日10:00から開始し、その模様を同社Webサイトのほか、「ニコニコ生放送」と「Ustream」にてライブ中継すると発表した。中継時間は11:30までで、ライブ中継終了後はオンデマンド配信も行う予定。FCVは、水素と酸素を化学反応させて電気をつくる燃料電池を動力源とした、セダンタイプの新型燃料電池自動車。同社が培ってきたハイブリッド技術をコアテクノロジーとして開発に応用しており、水素と酸素の化学反応により発電をするFCスタックや、燃料となる水素を貯蔵する高圧タンクを中心としたFCシステムを自社開発している。同社は、燃料電池自動車が「サスティナブル・モビリティ」実現に向けての理想的なクルマとして早期普及を目指しおり、2002年から燃料電池ハイブリッド車「トヨタFCHV」を日米で限定販売するなど、燃料電池車の開発で実績を積んでいる。
2014年11月14日アルティマとリコーは11月11日、リコー製の完全固体型色素増感太陽電池を搭載した光発電量モニタリングキット「Harvester Checker」を共同で開発したと発表した。IoT(モノのインターネット)が普及する上で課題となっているバッテリ交換にかかる負担の解決策として、環境発電の中でも、特に小型で電量の高い光発電の実用化が注目されている。しかし、環境発電は不安定な電源のため、その検証作業にも大きな障害があり、アルティマでは、その解決策を模索してきたという。今回、従来比2倍以上の発電能力を実現した色素増感太陽電池をリコーが発表したことを受け、環境発電によるIoTを実現・促進する手段として同製品を開発した。同製品は、主に室内における微弱な太陽電池の発電量と推移を、大がかりな測定器を使わずに測定し、周辺環境条件とともに記録することが可能。一定期間、所定の場所に放置して記録することや、PCと接続して各場所、各光の入射角度での太陽電池の発電量をリアルタイムに測定することを目指しているという。今後、ハードウェアおよびソフトウェア開発の蓄積を行い、IoTの普及に応じて需要が見込まれる、工場やプラント関連装置の異常監視や環境データセンシングなど、配線不要・電池交換不要で実現するワイヤレスセンサネットワーク製品の開発受託も目指していくとコメントしている。
2014年11月13日帝人は11月11日、白金を使わず、安価で容易に調達できるカーボンアロイ触媒(CAC)を開発したと発表した。これにより、燃料電池の低コスト化と安定供給につながることが期待される。燃料電池は、発電時にCO2などの温暖化ガスを排出しないため、クリーンな次世代エネルギーとして、研究開発が進められている。現在、オフィスビルの非常用電源などに使用されているが、触媒に白金が大量に必要になるため、コストが高いことが普及を妨げる一因となっている。今回開発されたCACは、炭素繊維の原料でもあるポリアクリロニトリル(PAN)と鉄を原料とする非白金触媒。PANは白金に比べ、安価かつ容易に調達できるため、触媒の大幅なコストダウンや量産化促進を期待できる。また、触媒粒子を微細化することで優れた活性を示し、CACを触媒として使用した燃料電池は、非白金触媒として世界トップレベルの発電性能を発揮するとのこと。同社は「今後、CACのさらなる高性能化や耐久性向上を図るとともに、燃料電池として実用に耐え得る特性の発現に注力し、2025年までの実用化を目指していく」とコメントしている。
2014年11月11日BASFと戸田工業は10月30日、日本を拠点にリチウムイオン電池用正極材を展開する合弁会社の設立について、基本合意に至ったと発表した。新しく設立する合弁会社の名称は「BASF 戸田バッテリーマテリアルズ合同会社」で、BASFが66%、戸田工業が34%を出資する。同合弁会社は、日本において、NCA(ニッケル系正極材)、LMO(マンガン系正極材)、NCM(三元系正極材)といったさまざまな正極材料の研究開発、製造、マーケティング、販売を行う。これらの材料は、車載用、民生用、定置用のリチウムイオン電池に使用されている。同合弁会社の本店は東京に設置される予定で、山口県山陽小野田市と福岡県北九州市に製造拠点を構え、約1万8000tの正極材および前駆体の年間製造能力を有することとなる。製造活動の開始は2015年2月末を予定している。
2014年10月30日電気通信大学は10月21日、兵庫県にある大型放射光施設「SPring-8」に同大学が建設した、燃料電池計測用のX線吸収微細構造(XAFS)ビームライン「BL36XU」に開発整備した、「2次元走査型顕微鏡XAFSシステム」を用いて、固体高分子形燃料電池触媒層のナノXAFS測定・解析に成功したと発表した。同研究成果は同大学燃料電池イノベーション研究センターの岩澤康裕 センター長・特任教授らの研究グループによるもので、独化学会誌「Angewandte Chemie International Edition」のオンライン版に10月下旬に掲載される予定。固体高分子形燃料電池(PEFC)は、エネルギー変換効率が高く、ゼロエミッションも可能なクリーンエネルギー発電装置として期待を集めており、2015年には燃料電池自動車の市場投入が予定されている。しかし、その実用化はまだ初期段階であり、本格普及に向けて電極触媒の耐久性向上を実現するために、劣化の原因とメカニズムの解明が強く求められているが、従来の方法では直接観察することができずにいた。同研究グループは、新ビームライン「BL36XU」を用いた「ナノXAFS計測」という手法によって、燃料電池電極触媒であるカーボン担体上の2-3μmレベルのPtナノ粒子が酸化・溶出する様子を観測し、画像化することに成功した。これによって、燃料電池触媒の溶出・劣化が始まる特定部位と機構の一端が解明されたことになる。岩澤センター長は今回の成果について「今後の燃料電池本格普及のための高耐久な次世代燃料電池電極触媒開発に対して、サイエンスベースの指針を提供するものである」とコメントしている。
2014年10月22日住友金属鉱山は10月20日、2次電池用正極材料であるニッケル酸リチウムの生産設備の増強投資を決定したと発表した。同材料はパナソニックと共同開発したもので、パナソニックの円筒型リチウムイオン2次電池として米Tesla Motorsが製造・販売するプレミアム4ドアセダン「モデルS」に採用されているという。今回の増産はそうした車載用途での今後の需要増に対応することを目的に決定したもの。同社の磯浦工場を中心に生産能力の強化が行われる予定で、投資額は約150億円、2015年12月の完成が見込まれている。この結果、同社のニッケル酸リチウムの生産能力は現在の850t/月から1850t/月に増加することとなるという。
2014年10月21日分子科学研究所(IMS)は10月14日、大型放射光施設SPring-8で硬X線を用いる雰囲気制御型光電子分光装置を開発し、固体高分子形燃料電池における燃料電池動作中の触媒電極の硬X線光電子分光その場観測に成功したと発表した。同成果は、IMSの高木康多助教、横山利彦教授らによるもの。電気通信大学 燃料電池イノベーション研究センターの岩澤康裕教授の研究グループ、名古屋大学 物質科学国際研究センターの唯美津木教授、高輝度光科学研究センター(JASRI)の宇留賀朋哉研究員らの研究グループと共同で行われた。詳細は、米国物理学協会の応用物理学誌「Applied Physics Letters」のオンライン版に掲載された。燃料電池は、次世代のエネルギー源として自動車などへの実用化が進められているが、発電性能の向上や、カソード(正極)における高価な白金触媒の使用量の低減など、解決すべき課題が山積している。その解決の手がかりとして、燃料電池動作中の電極内にある白金の電子状態を知ることは重要なことだが、その測定は難しく限られた手法でしか測定できなかった。その中で、X線を試料に当てて出てきた光電子のエネルギーを測定する光電子分光法は強力な手法だが、従来の光電子分光測定では試料を高真空に保つ必要があり、反応ガスが存在する動作中の燃料電池電極の測定は困難だった。そこで、研究グループは3000Paの雰囲気ガス圧下でも光電子分光測定が可能な「雰囲気制御型硬X線光電子分光装置」を開発し、SPring-8の電通大/NEDO「先端触媒構造反応リアルタイム計測ビームライン」(BL36XU)内に設置した。さらに、同装置用に燃料電池として動作する固体高分子形燃料電池型の測定セルを開発し、燃料電池として動作中の電極触媒の硬X線光電子分光測定に成功した。この測定により、燃料電池の電極間に印加された電圧に対応して、電極中の白金ナノ粒子の電子状態が変化する様子を観測することができたという。研究グループは、今回の結果が燃料電池動作中の電極の電子状態を測定することが可能になったことを示している。また今後、同装置により、様々な燃料電池電極の動作中の状態が観測され、その結果が電池電極や触媒材料の開発に役立つことが期待されるとコメントしている。
2014年10月17日東北大学と京都大学(京大)は7月14日、リチウムイオン電池の長寿命化・大容量化に寄与するシリコンのオープンセル型ポーラス粉末を開発したと発表した。同成果は、東北大 金属材料研究所の和田武助教、加藤秀実准教授、京大大学院 工学研究科の市坪哲准教授らによるもの。詳細は、「Nano Letters」のオンライン版に掲載された。また、9月24~26日に名古屋大学 東山キャンパスにて開催される「日本金属学会2014 秋期大会」において口頭発表される。研究グループは、既存のリチウムイオン電池の負極活物質に用いられている炭素系材料と比較して、10倍以上の理論容量となる約4000mAh/gを有するシリコンを用いて、リチウムイオン電池の高容量、高充放電速度および高サイクル特性を実現することを目指した。そこで、シリコンの構造単位を微粒子と捉え、電解質と接触する表面積が大きく、かつリチウム化に伴う体積膨張やこれに伴う歪を緩和する適度な空間を内包する構造として、オープンセル型ポーラス構造が理想的形状の1つと判断した。そして、マグネシウムとシリコンから成る合金がビスマス金属溶湯中において、マグネシウム原子を溶出しやすい一方で、シリコン原子を溶出しにくい性質を利用し、金属溶湯中での脱成分反応を用いて、シリコンのオープンセル型ポーラス粉末を開発した。また、これを活物質に用いたリチウムイオン電池が、現行のリチウムイオン電池よりも大きな容量を有し、さらにサイクル寿命にも優れることを明らかにした。同材料により、携帯電話・スマートフォンやノート型PCなどのモバイル機器の使用時間や電気自動車の走行距離の拡大に繋がることが期待できるとコメントしている。
2014年07月15日東北大学は5月21日、全固体電池のための新しいリチウムイオン伝導体KI-LiBH4を開発したと発表した。同成果は、同大大学院 工学研究科の高村仁教授、宮崎怜雄奈博士(現 物質・材料研究機構 研究員)らによるもの。詳細は、「APL Materials」に掲載された。リチウムイオン電池は、動作電圧が約3.8Vと高いことから、電解質に耐電圧の高い有機溶媒が使用されている。これらは可燃性であり、発火・破損事故が報告されている。そこで、有機溶媒に代わり固体電解質を用いて安全性を高めた全固体電池の開発が行われている。電池が不揮発性・不燃性の固体材料のみで構成されれば、安全性の大幅な改善が見込まれ、電極材料や電池形状の自由度も向上する。今回の研究では、従来から知られている酸化物系や硫化物系の固体電解質に比べて飛躍的に成形性が高く、電極材料と良好な接触性を示す水素化物系固体電解質「LiBH4(水素化ホウ素リチウム)」に着目。これまでに、LiBH4は115℃以上で安定な高温相においてLi+イオンが高速で移動できることが知られており、高容量負極材料であるLi金属と良好な界面を形成し全固体電池の高出力密度化を実現しうる電解質として注目されている。しかし、高いLi+イオン伝導を示すLiBH4高温相ではイオンの2次元的な伝導が示唆されており、結晶のある方向ではイオン伝導性が低く電極反応に寄与できない可能性がある。そこで、Li+イオン伝導において異方性を示さない等方的な岩塩型構造のLiBH4に着目して新規材料を開発したという。岩塩型構造のLiBH4は200℃以上、かつ4万気圧以上の極限状態でのみ存在する。従って、固体電解質として応用するためには、その高温高圧下の岩塩型構造を常温常圧でも安定化させることが求められる。そこで、岩塩型構造が常温常圧で安定であるKI(ヨウ化カリウム)中にLiBH4をドープするという、従来とは逆転の発想により岩塩型構造のLiBH4の合成に成功した。今回、同じ結晶構造を有する全く異なる化合物に目的化合物をドープした。この手法は水素化物系のみでなく、他の材料系についても応用可能なアイデアであり、未だ構造安定化が実現されていない高イオン伝導性材料を得る新しい視点を提供するとコメントしている。
2014年05月22日●大規模案件は縮小傾向にあるが、住宅用は堅調に推移パナソニックは、住宅用太陽電池モジュール「HIT」の新製品として、出力と変換効率を向上させた「244α」および「250α」、ハーフタイプの「N120α」を発表。6月23日から受注を開始する。また、ハーフタイプを自由に組み合わせることができる「屋外用マルチストリング型パワーコンディショナ 4.6kWタイプ」の受注も開始した。国内の住宅用太陽光発電システム市場は、再生可能エネルギーの導入を促進する固定価格買取制度により堅調な需要が見込まれており、また、家庭の屋根などでは「できるだけたくさん発電したい」というニーズが増えている。パナソニック エコソリューションズ社エナジー商品営業企画部商品営業企画グループ 太陽光・蓄電池商品営業企画チーム・吉澤正昭チームリーダーは、「国内の太陽電池市場は大規模案件が縮小傾向にあり、市場全体としても減少するとみられているが、当社がターゲットとしている住宅用案件は安定的に推移すると予測されている」としたうえで「堅調な住宅市場への販売強化として、新たな製品を投入した」と語る。今回発表した「244α」および「250α」は、独自のセル構造と、低反射ガラスの改良などにより、優れた温度特性を発揮。面積あたり、システム容量あたりの発電量はトップクラスを実現した。また、ハーフタイプモジュールを組み合わせることで、設置面積が限られた屋根や複雑な形状の屋根においても、より高容量の太陽電池モジュールの設置が可能になる。公称最大出力が244W、モジュール変換効率が19.0%の「244α」の希望小売価格は13万5,000円(税別、工事費別)。250Wで、モジュール変換効率が19.5%の「250α」が16万3,000円(同)。ハーフタイプのN120αは6万6,500円。今年度8万セットの販売を見込んでいる。いずれも、20年間のモジュール出力保証を無償で行っている。また、250αは受注生産となる。●ラインナップ強化でさまざまな顧客ニーズに対応吉澤氏は「結晶系シリコン太陽電池セルは結晶シリコン界面に欠陥が多く、電荷が消失するのに対して、HIT太陽太陽電池はアモルファスシリコン層が電荷の消失を抑制し、電荷ロスの防止に寄与。一般的な結晶系シリコン太陽電池が1度温度が上がると、0.5%出力が落ちるが、HIT太陽電池では、0.29%出力が落ちるだけに留まる。結果として出力が同じでも温度特性の違いで発電量に差が出る。244Wの244αと同等の年間推定発電量を得るためには一般的な結晶系シリコン太陽電池では262W相当の出力が必要であり、250Wの250αの場合には、269W相当の出力が必要となる」とした。一方、屋外用マルチストリング型パワーコンディショナー 4.6kWタイプは、独自開発の高効率化技術により、屋外設置可能タイプでは業界トップクラスとなる電力変換効率96%を実現。朝夕や曇りの日などの低日射でも実使用上の動作時間が長い「低~中出力領域」でも効率的に発電する。また、クラス最大となる全回路独立動作の最大電力追従(MPPT)回路を4回路搭載。回路ごとにモジュールの枚数を揃える必要がないことから、様々なモジュール構成に対応でき、屋根スペースを有効に活用できる。入力回路ごとの太陽電池モジュールの枚数が不揃いでも昇圧回路付付属箱は必要がないほか、太陽電池モジュール接続を分割して回路入力できることから、樹木の影などに対しても発電ロスを最小化できる。さらに、接続箱機能をタイミダイキャスト採用の本体筐体内に内蔵。直流電流をそのままパワーコンディショナーに接続し、IP65クラスの防水性を実現している。最大5台までの並列運転が可能で、5.9kWの製品との組み合わせで20通りの容量を実現。2セットの組み合わせでは49.9kWにも対応できる。希望小売価格は、41万円(税別、工事費別)。今年度1万台の出荷を見込んでいる。パナソニック エコソリューションズ社パワコンSBU パワコン商品管理グループ・石田健雄グループマネジャーは、「4分の1出力でも96%という高い効率を実現している。今回の製品投入により、マルチストリング型での屋内用、屋外用の製品ラインアップを強化。さらに屋内用の集中型を含めて、顧客の様々なニーズに応えることができる」としている。また、同社では今回の新製品発売に合わせて、モジュールを含むシステムに関して、同社の設置基準を満たせば、現在の機器瑕疵保証10年間を15年間に無償で延長するサービスも開始する。さらに、2014年9月30日までの期間限定で、新製品発売記念キャンペーンとして、抽選で5万円のキャッシュバックを行う。HIT太陽電池は、1990年から研究開発を開始。1997年から量産、販売を開始している。2014年には研究レベルで世界最高となるセル変換効率25.6%を達成。実用サイズで初めて25%の壁を突破した。累計生産数で10億セルに達しているという。
2014年05月14日三菱化学は3月24日、大成建設と共同で、有機薄膜太陽電池を用いた発電する建物外壁ユニットを開発し、大成建設が都市型ゼロエネルギービル(Zero Energy Building:ZEB)の実現に向け、建設を進めている建物へ導入し、実証試験を開始すると発表した。近年、建物の省エネや災害時における機能維持に関する要求が高まっており、快適性を損なわずに消費エネルギー量を削減し、その上で必要なエネルギーを再生可能エネルギーなどで賄うことで年間の消費エネルギーを限りなくゼロにするZEBの実現へ向けた取り組みが加速している。太陽光発電は、その要素技術において重要な再生可能エネルギーだが、パネルの設置面積が限られる都市部の建物においては、より多くの発電量を確保するために、屋根や屋上面への設置に加え、壁や窓などの側面を有効活用することが必須となる。しかし、建物の外壁へ設置するためには、サイズや色など建物に求められるデザインに対応できるフレキシブル性や軽量性、また、建物の長寿命化に伴う機器更新の容易さなどが必要となり、本格的な建物の外壁対応型太陽光発電パネルは今まで実用化されていなかった。今回、両社が開発した有機薄膜太陽電池外壁ユニットは、薄くて軽く、色の自由度を持ち合わせ意匠性が高い三菱化学の有機薄膜太陽電池を使用し、建物外装に関する設計・施工において多くの実績とノウハウを有する大成建設の技術を用いることで、クリーンで持続可能なエネルギーを供給しつつ、建物の多様な階高やスパンへの適応、多様な色の選定が可能な意匠性、軽量性、将来の機器更新の容易性などを併せ持つ本格的な発電する外壁ユニットとなっている。今後、大成建設の技術センター(横浜市戸塚区)内に建設中のZEB実証棟へ、同有機薄膜太陽電池外壁ユニットを導入し、実用化に向けた実証を進めていくとしている。
2014年03月25日筑波大学と物質・材料研究機構(NIMS)は2月10日、有機薄膜太陽電池に用いる高分子材料の新たな合成手法を開発し、高い純度を有する材料を簡便に得ることに成功したと発表した。同成果は、同大 数理物質系の桑原純平講師、神原貴樹教授、NIMS 太陽光発電材料ユニットの安田剛主任研究員らによるもの。詳細は、「Advanced Functional Materials」オンライン版に掲載された。有機薄膜太陽電池は、軽量、フレキシブル、低コストという特徴から、次世代の太陽電池として注目されている。近年、その発展は目覚ましく、変換効率が10%を超える報告もある。しかし、すでに実用化されている無機材料を使用した太陽電池と比較すると、変換効率や耐久性の面で改善の余地を残している。そのため、有機薄膜太陽電池の特性向上を目指した材料開発やデバイス構造の最適化が盛んに進められている。有機薄膜太陽電池の発電を担う部分には、一般的にフラーレン誘導体とπ共役高分子を混合したものが用いられている。太陽光を良く吸収し、効率よく発電できる材料の開発を目指して、様々な構造の化合物が合成されてきた。これらの研究の蓄積により、太陽電池材料に適した構造が明らかになってきている。一方で、材料の純度向上も重要な課題となっている。材料に含まれる不純物が変換効率を低下させ、さらに、素子の劣化を引き起こすためである。高い純度の化合物を得るためには、合成の後に入念な精製操作が必要となる。将来的に有機薄膜太陽電池が広く実用化されるためには、材料を低コストで大量生産する必要があり、簡単な精製操作で高い純度の材料を製造することが求められる。その手段の1つとして、合成方法を抜本的に見直すことで反応によって生じる不純物の量を低減することが考えられる。分離すべき不純物が少なければ、精製操作が簡単になり、生産プロセスを低コスト化できる。有機薄膜太陽電池の材料であるπ共役系高分子は、これまで主にクロスカップリング反応を用いて合成されてきた。この手法は適応範囲が広く様々な高分子の合成が可能であるため、有機薄膜太陽電池の発展に欠かせない技術である。その一方で、スズやホウ素、リンなどを含む不純物が副生されるため、反応後にそれらを除去する必要がある。これに対し、研究グループは、π共役系高分子の合成において、クロスカップリング反応の代替として新しいカップリング反応を用いる手法を開発し、高純度の高分子を簡便に合成することに成功した。同方法では、反応剤のC-H結合を反応点とするカップリング反応を用いるため、従来のクロスカップリング法では必須であったホウ素化合物などを必要としない。さらに、反応条件の検討を行い、リン化合物の添加も不要な合成法を確立した。これによって、生成物である高分子にホウ素やリンなどの不純物が残存する懸念が抜本的に解消された。次に、期待通りに高分子の純度が向上しているかを、従来法で合成した高分子と比較することで検証したところ、元素分析や微量分析の結果から、同じ精製方法であっても、新規合成法によって得られた高分子が高純度であることが明らかになった。また、この高純度高分子を実際に太陽電池の材料として評価したところ、4%の光電変換効率が得られた。従来法で合成した同じ骨格の高分子を用いた場合の変換効率は0.5%であることから、材料の純度の高さが太陽電池特性の向上に大きく寄与していると考えられる。さらに、連続光照射下での変換効率の経時変化を追跡したところ、高純度材料を用いると素子が長寿命化することを見出したという。今回の不純物の種類や量を低減できる合成方法により、簡単な精製操作で高い純度の高分子を得ることが可能になった。同方法を用いて、高い変換効率を示す最先端材料を高純度で合成すれば、さらに変換効率を向上させることが可能になる。また、反応効率や生成プロセスなどの面で大量生産にも適した合成手法であることから、新たな製造技術としての活用も期待されるとコメントしている。
2014年02月12日パナソニック株式会社 エコソリューションズ社は、太陽電池とリチウムイオン蓄電池を連携させ、電力を有効活用できる「住宅用 創蓄連携システム」の受注を3月21日から開始する。太陽光発電システム単独の場合、夜間の利用ができない上、天候の影響により配給が不安定になる場合があり、また蓄電池システム単独の場合、停電時に蓄えた電気を使い切ると再充電できない。そこで、この両方を連携させたシステムが「住宅用 創蓄連携システム」。停電時であっても日中は太陽光で発電した電力を使用し、余った電力は蓄電池に充電することが可能になっている。さらに蓄電池に蓄えた電力は日中の電力配給を安定化し、夜間に利用できる。また平常時も、太陽電池に加え、深夜電力で充電した蓄電池の電力を利用することで、電力需要ピークの抑制ができるほか、安価な深夜電力を活用する「経済優先モード」、太陽光で作った電気を売電せず、夜間に使う「環境優先モード」、「蓄電優先モード」生活者のライフスタイルに合わせて、選択することができる。屋内に設置するリチウムイオン蓄電池ユニットはW450×H600×D156mmと小型だが、停電時に使用したい機器への電源を約2日間確保できるという。また、照明器具や、通信機器など停電の際すぐに使いたい機器を、あらかじめ配電しておくことで、停電時でもコンセントの差し替えをせずに使用できる。パワーステーションは、希望小売価格(税込み・工事費別)672,000円、リチウムイオン蓄電池ユニットは1,218,000円。システムを構成した場合の商品の合計価格は2,110,500円となっている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年02月29日JR東日本は7日、蓄電池駆動電車システムを採用したクモヤE995形「NE Train スマート電池くん」(以下「スマート電池くん」)の実用性を確認する試験の実施を発表した。非電化区間である烏山線で、2月および3月に充放電試験と走行試験を行う。蓄電池駆動電車システムは、車両に大容量の蓄電池を搭載し、非電化区間の走行を可能にするというもの。気動車のエンジンから発生する排気ガスを解消し、二酸化炭素と騒音の低減をめざす。「スマート電池くん」では、架線からパンタグラフを介して蓄電池へ充電し、架線と蓄電池の一方または両方からモーターを駆動、さらに回生ブレーキの電力も蓄電池に充電できるというシステムに。これまでは車両センター構内や電化区間を中心に走行試験が行われてきた。今年度は施策した充電設備による急速充放電試験や、蓄電池を座席の下に収納しての走行試験も行われている。2~3月に行われる試験では、烏山駅に試験用充電設備を仮設し、「スマート電池くん」は東北本線(宇都宮線)小金井~宝積寺間と烏山線宝積寺~烏山間を走行。非電化区間での走行試験と急速充電を組み合わせ、実運用に近い条件で、最終的な性能・機能確認試験を行うとのこと。試験はおもに定期列車の営業時間外に行われる。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年02月08日