「最後の最後まであきらめない麻央さんの強い気持ちに、私はいつも支えられました」と語るのは、自身もステージIIaのがん闘病を経験したAさん(43)だ。 亡くなる2日前まで352回も更新し、闘病の様子を自身のブログ「KOKORO.」に綴り続けた麻央さん。母親が絞ってくれたオレンジジュースを飲んだという、6月20日の投稿が最後になった。 《朝から笑顔になれます。皆様にも、今日笑顔になれることがありますように》 苦しさをおして、こう感謝の気持ちを記していた。彼女が「KOKORO.」を開設したのは昨年9月1日。 《ブログという手段で、陰に隠れている自分とお別れしようと決めました》 乳がんという病の重みに負けそうだった麻央さんが、はじめての投稿で示した決意。するとまたたく間に共感の声が広がり、フォロワー数は100万人を突破した。前出のAさんも、彼女のブログに励まされた1人だ。 「私が入院していた病院にはいろんながん患者さんがいらっしゃいました。その中で再発した方や亡くなった方がいると、私はそれだけでパニックを起こしそうになりました。そんな弱い自分を包み込むやさしさが、麻央さんのブログにはあるんです」 堂々とウィッグ姿を披露したり、ときおりユーモアを交えながら、麻央さんはがんという病と向き合っていた。ステージIの状態から寛解した、40歳の女性もこう語る。 「どう見ても苦しいはずなのに余裕があって、すごいです。その気持ちの強さを、私も真似したいなと感じました」 姉である麻耶さんの存在を《本当にかけがえのない愛そのもの》と記していた麻央さん。いつも見守ってくれる家族への、感謝の言葉を忘れなかった。ステージIIbのがんと闘う46歳の女性は言う。 「私はそんな考え方にとても感心したんです。私も感謝の気持ちは持っているだけじゃなくて、ちゃんと伝えなきゃいけないと思いました」 《暗いことや悲しいことだって、誰かの心にプラスでつながれる瞬間がある》と綴っていた麻央さん。彼女の言葉は、大勢のがん患者の心に響いたはずだ。
2017年06月29日●日本人女性の罹患率第1位・乳がん治療の今メディカルメイクアップアソシエーションはこのほど、メディアセミナー「患者さんの外見の悩みに寄り添う『アピアランスケア』」を開催。同セミナーでは、乳がん患者へのアピアランス(見た目)ケアに取り組む、湘南記念病院 乳がんセンター センター長の土井卓子医師が講演を行った。○日本人女性の11人に1人がなる「乳がん」国立がん研究センターの統計(2012年)によると、日本人女性が生涯で乳がんに罹患(りかん)する確率は、12人に1人から11人に1人へと引き上げられた。日本人女性の罹患率第1位の乳がんだが、死亡率は第5位(罹患率は2012年、死亡率は2014年同統計より)。土井医師は、「乳がんは日本人女性が最もかかりやすいがんですが、検診で見つけやすく、早期発見ができれば根治できるがんとされています」と語る。○手術では無駄な傷をつけない乳がんの局所療法では、手術療法や放射線療法が行われる。数十年前と比べて治療薬が増えた今、手術でも女性の体へ細心の配慮が払われているという。「最近の手術では、リンパ節への転移がなければ、わき下の傷は最小限にとどめますし、乳がんを摘出するときも、乳輪の外縁や乳房の下縁に沿って切るので、傷が目立ちません。今の時代は、無駄な傷をつけない、無駄な変形をさせない手術が行われています」。2013年にインプラントによる乳房再建術が保険適用になってからは、乳房を無理に温存せず、全摘した後で胸の膨らみを再建する女性も増えてきた。「乳房再建術では、外科医だけでなく患者さんの努力も必要です。まず、手術後に行う放射線療法の影響で、肌が黒ずんだり乾燥したりしてしまうので、保湿ケアは欠かせません」と土井医師。このほか、禁煙、清潔のための入浴(保清)、乳房を揺らさないこと、圧迫固定、感染兆候(発赤、腫脹、疼痛など)があったらすぐに病院へ連絡するなど、日常の注意事項を守って初めて美しいバストが実現するという。○全身療法で命を守るしかし局所療法は、「病巣をコントロールするための治療」という位置づけだ。乳がんは他部位のがんとは違い、乳房(病巣)が直接命に関わることはないが、肺・肝臓・骨・脳などへ遠隔転移すると、初めて生命への危険性が出現する。したがって転移を防ぐためには、化学療法、ホルモン療法、分子標的治療薬を用いた療法といった全身療法が行われることになる。全身療法の計画は、進行度とがんの性格(サブタイプ)で決定する。腫瘍が大きい、リンパ節転移が多い、増殖スピードが速い場合などは、抗がん剤による化学療法を行う。また、がんがホルモンで成長するタイプならホルモン剤を投与し(ホルモン療法)、HER2という増殖因子を持っているタイプならそれを抑える薬(分子標的治療薬)を使用する。ホルモン受容体(ER)もHER2の受容体も持たないタイプを「トリプルネガティブ」と言い、増殖スピードが速いため、たとえ早期乳がんでも、化学療法が行われることが多いという。2013年には、ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが乳がんを発症していない両乳房を予防のために切除し、後に乳房再建をしたことで話題となった。「彼女の場合は、遺伝子検査でBRCA1(がん抑制遺伝子)に変異が見つかり、もし乳がんを発症したらトリプルネガティブの可能性が高いことを知っていたので、予防のために乳房を切除するという選択をしたのでしょう」と土井医師は解説する。●抗がん剤の副作用で「見た目」はどう変わる?○QOLを高める「アピアランスケア」がん治療に伴う副作用には個人差があるが、どのような副作用が起こりうるか不安に思う人も多いことだろう。特に化学療法による副作用は、体調面での変化だけでなく、外見の変化が起こる人も少なくない。メディカルメイクアップアソシエーションが実施した調査によると、がん化学療法経験者で外見に変化が生じた人は81.2%。「脱毛(頭皮)」(58.3%)、「脱毛(まつげ、まゆ)」(35.5%)をはじめ、「皮膚の変色 / 色素沈着」「むくみ」「爪の変形」「肌の乾燥・荒れ」の経験者も約3割で並んだ。土井医師は、化学療法時の肌ケアとして、主に次のような生活指導を行っている。■生活指導・保湿・水仕事、長時間歩行、ジョギングなどの禁止・入浴(こすらず泡をのせて洗う)・かゆくてもかかない、かゆいときは冷やしてたたく・柔らかい衣服で刺激を避けるこのほか、爪の変形・変色のケア、口内炎や味覚障害のケアなど、QOLを下げないための方法を患者に指導する土井医師。がん患者を支えるのは、医師や検査技師、ナースなどの医療従事者だけだと思われがちだが、エステシャン・アロマセラピスト・美容師などによる「アピアランスケア」も重要だと説く。「がん治療を続けるために、そしてモチベーションを維持して治療の効果を上げるためにも、身だしなみは大切です。実際に、メイクやウィッグでおしゃれをすることで、治療に前向きに取り組むようになった患者さんたちを見てきました。アピアランスケアは患者さんの人生を助けます」。○メディカルメイクアップとは?メディカルメイクアップアソシエーションがアピアランスケアの1つとして提案するのが、「メディカルメイクアップ」だ。メディカルメイクアップとは、化学療法による副作用をはじめ、あざ、母斑、血管腫、白斑、事故の傷跡など、皮膚の症状や障害で起こる皮膚変色を隠し、気になる見た目を自然に見せていくもの。東京と大阪にある同団体の拠点では、無料カウンセリングを行っており、同じ悩みを経験しているインストラクターが対応するため、利用者の心に寄り添ったカウンセリングが受けられるという。会場では、メディカルメイクアップのデモンストレーションを実施。18色のファンデーションの中から適切な色を組み合わせることで、短時間で色ムラのないキレイな肌に仕上がった。がん治療において、副作用の一般的な対処法が必ずしも自分に合っているとは限らず、アピアランスケアも例外ではない。"つらい治療を頑張っているのに、外見を気にする余裕なんてない"と思う人も当然いるだろう。ただ「がん治療中でもキレイになれる」と知っておくことは、マイナスにはならないはずだ。乳がんは特に、女性なら誰でもかかる可能性がある。だからこそ、がん闘病中の女性にとって、前向きに治療を続ける励みになり、心の負担を軽くするような選択肢が、一つでも多くあればいいと思うのだ。
2017年02月17日「治療している病院から『これ以上やれることはない』と言われた患者さんが、医療連携室を通して私のところに来られます。その段階で、余命をはっきりお伝えします。1カ月、よくて3カ月などとね。中にはまだあきらめないという人もいますが、ここでは治す治療はない。痛みを和らげる治療のみです」 こう語るのは、在宅医療の第一人者で、医療法人社団パリアン・クリニック川越(東京都墨田区)の川越厚院長。末期がんの患者に、自宅で最期を迎える支援をする「在宅ホスピス」の取り組みを25年以上前から実践し、開業してからは2,000人以上を患者の自宅で看取ってきた。 在宅で看取りをするなら、家族は仕事を辞めてつきっきりで看護をしなければならないと不安を抱く人も多い。だが、川越先生のクリニックでは患者の1割がひとり暮らしだ。 「夫婦のどちらかが他界して、ひとりで住んでいる人が最期を迎えても、離れて暮らすお子さんたちが親御さんをつきっきりでみる必要はありません。在宅ホスピスでは、医師、訪問看護師、薬剤師、ケアマネジャー、ヘルパー、ボランティアがチームを組んでケアをします。そして、誰かが1日最低1回は自宅を訪問しますし、緊急時にはすぐに駆けつけられるよう、医師と看護師が24時間体制で待機しています。他人が家の出入りをすることに理解をしてくだされば、お子さんたちが離れて暮らしていても看取ることができますよ」 「在宅死」を選択してから来院するのは10人に1人ほど。ほとんどの人は混乱の中、もがきながら決断するという。悩みも「まだできる治療があるのではないか」「治療費がかかりすぎてもうお金がない」など、病院から自宅に戻る不安はさまざまだ。川越先生はこう語る。 「いちばんお伝えしたいのは、末期の場合は『お迎え』が来るまでの時間がとても短いということです。つまり、そんなに大きなお金はかからない。『先が短いことを念頭に置いて、これからの生活設計を立てましょう』と伝えています」 治療方針をめぐって家族の中で意見の対立を起こさないためにも、元気なうちに「どんな最期を迎えたいか」を聞いておき、穏やかに過ごす看取りプランを立てておこう。 「がんの患者さんは最期が近づくまでお元気な方が多い。痛みを和らげる治療を施せば、やりたいことが最期までできます。死期がわかっていても前向きに生きる。ご本人も家族も不安が解消され、のびのびと過ごされている。それがとても大事なことだと思います」
2017年02月15日俳優のヒュー・ジャックマンが、再び皮膚がんの治療を受けていたことが分かった。2013年に皮膚の基底細胞がんと診断されて以降、過去数回にわたって鼻の皮膚の手術を受けているヒューだが、今回再び鼻に絆創膏を着けている自身の姿をツイッターに投稿し、医師団によって非黒色腫皮膚がんが発見されたことを明かした。ヒューは写真と共に「新たな基底細胞がんが見つかったよ。定期的な検診と素晴らしい医師団に感謝するよ。すべてはうまくいっているよ。この絆創膏を着けていると見た目は悪いけどね!みんな、日焼け止めクリームを塗るようにしてね」とツイートしている。ヒューは以前あるインタビューの中で「『がん』という言葉は聞くだけもショックを受けるものだよね。皮膚がんはオーストラリアで育った自分にとって珍しくないんだ」「がんについては落ち着いて対応するようにしたよ。基底細胞がんとはただ向き合わなくちゃいけないんだよ。これは悪性腫瘍だからね。どんどん症状が進行するんだ。だから僕らはただこれを取り除かなくちゃいけないんだよ」とコメント。また、「僕は3カ月ごとに検診にいっているところさ。まあ僕にとってこれは新しい習慣だけどね。医者はこれからも再発するだろうと言っているし、もし君がこの病気にかかることがないとしたらそれはラッキーだってことだよ」と語っていた。(C)BANG Media International
2017年02月15日2013年11月に鼻のてっぺんに皮膚がんの一種“基底細胞がん”ができ、手術で取り除いたことを公にしていたヒュー・ジャックマン。昨年2月9日(現地時間)に「(4回目の)除去手術を受けた」とSNSでファンに報告してからわずか1年、再び手術を受けたことを月曜日(現地時間)に明かした。過去、肩にも同じがんができて手術を受けたことも告白しているので、実に6回目の手術であった。今回SNSに掲載した、鼻にガーゼとテープを貼った自撮り写真は、昨年の手術時よりもずいぶんと痛々しい。ヒュー本人もその姿を気にしたのか、「ガーゼを貼っている方が貼っていない状態より見た目がひどい!」とコメントを添えている。「頻繁な検診と、素晴らしいお医者さんたちのおかげで、すべて順調だよ。とにかく日焼け止めを塗ってね!」といつものようにファンに日焼け止めの必要性を訴えた。アメリカの皮膚がんに関する慈善団体「スキン・キャンサー・ファンデーション」によると、アメリカにおいて基底細胞がんは、年間300万人が診断を受けているという、珍しくないタイプのがんだそうだ。また、外科的手術で早々と対処すれば、転移することはほとんどないとのこと。(Hiromi Kaku)
2017年02月14日メディカルメイクアップアソシエーションはこのほど、「がん患者と一般生活者のがん治療における見た目の悩みに関する意識調査」の結果を発表した。同調査は2017年1月、がんの化学療法による治療を行っている・または治療を経験した515名と一般生活者520名を対象に、インターネットで実施したもの。がんの化学療法による治療を経験した人に、外見面でどのような変化が生じたか聞くと、58.3%が「頭皮の脱毛」と答えた。「皮膚の変色/色素沈着」「むくみ」「爪の変形」は約3割が経験している。がんの化学療法による治療を経験し、社会復帰をするにあたって困ったことを尋ねたところ、もっとも多かったのは「体力面の変化」(67.9%)だった。また、全体の48.5%が「外見の変化」と答えている。特に女性では59.5%と、約6割が外見の変化に困ったと回答している。がんの化学療法による治療を経験し、外見面に変化が生じたことで日常生活にどのような影響があったか尋ねたところ、「日常生活の活動に対してモチベーションが下がった」(38.3%)、「外出をためらうようになった」(36.8%)が多かった。がんの化学療法による外見の変化について、周りの人にはどのように接してほしいか聞くと、男性の74.9%、女性の70.6%が「これまでと変わりなく接する」と答えた。一般生活者に、身近な人が化学療法によるがんの治療(抗ガン剤治療)中に外見の変化を経験した場合、どのように対応するか尋ねたところ、「外見の変化があったとしても患者に変わらずに接する」が54.2%でもっとも多かった。一方で、「外見に触れないようにする」(36.0%)など、意識してしまう人も見られた。がんの化学療法を行った人を対象に、外見の変化に対して、対策をとっているか尋ねたところ、55.3%が「やっていない」と答えた。「やっている」と答えた人に具体的な対策方法を聞くと、女性は「医療用ウィッグ」、男性は「肌のケア」が最も多い結果になった。皮膚の変色に対しメイクアップをした結果、どのような変化があったか聞くと、47.5%が「精神的に明るくなった」、45.0%が「外出が積極的にできるようになった」と答えた。がんの化学療法による外見の変化に対応する方法について、どのように情報収集したか聞くと、女性では「インターネット検索」(50.0%)が多かった。情報収集の際に感じた課題について尋ねると、「治療についての情報を優先するため聞きづらい」(46.4%)、「どこで探していいか分からなかった」(37.7%)という回答が多くなっている。治療中の人に、がんの化学療法による外見の変化の悩みについて、もっと知りたいものを尋ねたところ、「適切な肌のケア」(46.8%)、「爪のケア」(44.3%)、「医療用ウィッグ」(39.2%)が多かった。
2017年02月13日質問:がんのごく初期でも何か自分で分かるようなサインはないのでしょうか?父方、母方両方の3親等以内の親族にがんで亡くなった方が複数います。皆さん気付いた時にはすでに手遅れ、というレベルでした。私自身も常に気を付けて検診も受けてはいますが、ごく初期でも何か自分で分かるようなサインはないのでしょうか?例えば、胃がんや大腸がんなどは全く無自覚のまま進行してしまうものなのでしょうか?東京都:そらまめさん(42)回答:「がん」の初期症状についてお答えします。――がんの初期症状として見られる症状親族にがんの患者さんが多いおうちを「がん家系」と呼びますね。確かにがんの中には遺伝性が強いものもありますが、ほとんどは体質(遺伝)と環境の組み合わせによって発症するといわれています。もちろん純粋に「○○がんになりやすい体質」というのもあるでしょうが、それ以外に家族の中で食習慣や運動習慣などを共有することが多いため、同じ部分に負荷がかかりやすい、ということもあるでしょう。がんの初期症状として見られる症状について、簡単にご説明したいと思います。ひと口にがんの初期症状といっても、場所により症状の出方が大きく異なりますので、今回はご質問にあった胃がんと大腸がんについて、お話ししましょう。1.胃がんもともと日本人に多いとされてきたがんですが、近年減少傾向にあります。初期症状としては、食欲不振、吐き気、胸やけ、胃部不快感、黒色便(胃からの出血の可能性があります)、体重減少、貧血などが挙げられます。症状自体、普段でもよくみられることなので、見分けがつきにくいことがありますが、何日か続くようなら胃がん、あるいは胃炎や胃潰瘍の可能性があります。2.大腸がん食生活の欧米化とともに最近増えてきているがんの一つです。本当に早期のがんは、便潜血が陽性であったり、他の病気で内視鏡検査を行って偶然見つかったりすることが多いようです。少し進行すると、便秘がちになる、便に血が混じる、便秘と下痢を繰り返す、下痢便しか出なくなる、貧血といった症状が出てくることがあります。早期の大腸がんでは自覚症状が出にくいので、40歳を過ぎたら定期的に健診を受けることが大切です。<定期検診の重要性>ご相談者さまはいつも検診も受けていらっしゃるとのこと、これは本当に大切なことですのでぜひ継続してください。多くの場合、検診を定期的にきちんと受けていれば、手遅れになるまで見つからないということはあまりありません。がんの初期症状は、自分の身に起こるとなかなかそれとは気付きにくいものです。何か変だなと思ったら、早めに受診してくださいね。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:咳が増えて食欲不振、がん患者が多い家系なので胃や肺や肝臓が悪いのではないかと心配。父は昔から酒、たばこが好きで、ほぼ毎日両方を摂取しております。父は現在50代なのですが、以前に比べ咳が増えたり食欲不振なことが増えたりしていて、がん患者が多い家系ですので、胃や肺や肝臓が悪いのではないかと心配しております。考えられる病気は何がありますでしょうか。また今から飲酒・喫煙を控えることによって症状が少しは改善されるでしょうか。福岡県:やまあゆさん(25)回答:咳や食欲不振の症状についてお答えします。――症状から考えられる疾患近頃お父さまの咳が増え、食欲不振があるとのこと、ご心配ですね。また、家系的にがんの方が多いということですね。長期間の飲酒・喫煙歴があるということもあり、考えられる病気はたくさんあるのですが、まず一番注意をしなければいけないのは、ご心配していらっしゃる、がんです。体重の減少や全身の倦怠感などの症状はないでしょうか。飲酒、喫煙を毎日されるということは、口腔内のがん、食道がん、胃がん、肺がん、喉頭がん、大腸がんといった多くのがんのリスクファクターをお持ちということになります。咳の症状が続くようならまず、呼吸器内科を受診してみるとよいでしょう。呼吸器内科的な病気で疑われるものとしては、肺がんのほかに肺炎や慢性閉塞性肺疾患(COPD、主にたばこの煙が原因となって肺に炎症ができる病気)、咳喘息(気管支の慢性的な炎症で1カ月以上空咳が続くもの。大人の長引く咳の3分の1を占めているという頻度の高い疾患です)、あるいは昔の病気と思われがちですが、実は新規の感染者数が毎年一定数見られている、結核や百日咳などの可能性もあります。また、飲酒歴と食欲不振の点から、アルコール性の肝疾患などの可能性も考えられます。胃や食道等も心配ですから、消化器内科も合わせて受診されるとよいのではないでしょうか。また例えば、咳喘息とアルコール性肝障害といった、二つの病態の組み合わせという可能性もあります。もちろん、単に風邪が長引いているなど、特に大きな身体的な問題はないという可能性も大いにありますが、年齢的にも、生活習慣の点からも、急いで治療をする必要のある疾患がないかどうか、一度確認しておくことは大切かと思います。<これをきっかけに禁煙・節酒しましょう>最後に、お酒やたばこを控えることによって改善するかというご質問に関してですが、咳に関しては、たばこをやめることで気道に刺激がなくなり、多くの場合、これまでよりは減ってくると思います。ただ、完全になくなるかどうかは、咳の原因によります。しかし、病気がCOPDなどであった場合、喫煙を継続することが命取りになることもありますので、いずれにしてもこれをきっかけに禁煙をされた方がよいと思います。また、飲酒に関しては受診の結果や、これまでの飲酒量にもよりますが、最低週に2回は休肝日を設け、楽しまれるにしても少量にとどめることをおすすめします。どうぞお大事にしてください。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:男女・年齢などでがんになる確率は違うものなのでしょうか?祖父をがんで亡くしており、義父にもがんが見つかりました。医療の進歩により、かつては致命的だった他の病気などで命を落とすことが少なくなった分、がんになる確率はとても高いと思いますが、男女・年齢などで確率は違うものなのでしょうか?がんの治療は昔と比べてだいぶ進歩していると聞きますが、治療で助かる人と助からない人の違いはありますでしょうか?また、治療にお金をかければかけるほど治りやすくなるものでしょうか?東京都:たもさん(32)回答:「がん」についてお答えします。――性別や年齢で「がん」になる確率は変わるのか?ご家族にがんにかかられた方が複数いらっしゃるということで、ご心配でしょうね。やはり、身近でがんの宣告・闘病を目の当たりにすると、いろいろな不安や疑問も湧いてくるかと思います。ご相談のなかに複数のご質問があるようなので、ひとつずつお答えしたいと思います。まず、性別や年齢などでがんになる確率は異なるのかというご質問についてですが、これは大きく異なるというご返答になるかと思います。最近発表された日本の統計によると、がん全体で見ると男女とも50歳前後からがんにかかられる方が増加し、高齢になるほど確率が上がります。また、30代の後半から40代では女性の方がややがんの罹患率が高いのに対し、60代以降になると女性よりも男性の罹患率の方が明らかに高い、という特徴もあるようです。また、がんの種類についても、食道がん、胃がん、肺がんなどは男性に多い傾向があり、女性はがんのなかでも肺がんや大腸がんなどに加え、乳がん、子宮がん、卵巣がんなどに罹患される方が多くおられます。従って、年齢によってがんの罹患率は大きく異なりますし、男女でもがんの確率や部位などはやや差がある、ということはいえるかと思います。<「がん」は早期発見・早期治療が大事>次に、治療で助かる人と助からない人の差についてのご質問ですね。これは、非常に難しいご質問ですが、主に治癒率、生存率の差は、がんの種類とステージ、つまり進行度によって変わってきます。確かにおっしゃるように、医学は日々進歩しており、例えば胃がんの場合では胃の粘膜下層と呼ばれる比較的浅い層までにとどまっているがんであれば、9割以上という高い確率で治癒が望めます。しかし、全身に転移が広がっている症例では1割前後とかなり厳しい生存率になります。従って、がんの早期発見、早期治療が、治療で助かるための一番のポイントということになります。また、お金をかけるほど治りやすくなるのか、ということに関しては、日本では多くのがん治療が保険診療で行われており、お金を多くかければ治療に変化がある、という状況ではありません。ただ、一部保険適用になっていない治療法を自費診療で行っている医療施設もありますし、患者さんによっては日本で行っていない新しい治療法を試みるために海外に渡航される方などもいますので、お金をかけることで、選択肢としては広がるかもしれません。ご参考になれば幸いです。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:がんは遺伝すると聞いたことがあります。生活習慣が異なってもがんは遺伝するのでしょうか?現在、第一子を妊娠中の30歳です。夫の母がぼうこうがんに、私の母が卵巣がんになり、手術は成功したものの、転移の恐怖や、後遺症で苦しんでいます。がんは遺伝するとも聞いたことがあります。実際のところ、生活習慣が異なっても遅かれ早かれがんは遺伝するのでしょうか?愛知県:とちおとめ♪さん(30)回答:「ぼうこうがん」と「卵巣がん」の遺伝性についてお答えします。――「ぼうこうがん」の遺伝性ご妊娠中とのことで、おめでとうございます。また、義理のお母さまがぼうこうがん、実のお母さまが卵巣がんにかかられたということで、大変でしたね。がんの原因に関しては、さまざまな研究が進められていますが、子宮頸がんなどのようにウイルスとの関連がある程度明らかになっているものもありますが、多くは遺伝的なものと生活習慣の組み合わせで生じるものとされています。義理のお母さまがかかられたぼうこうがんに関しては、遺伝性のものは少ないとされており、喫煙との関連性が非常に高いといわれています。それ以外に、特定の染料を使う職業や皮革製品の製造などに携わる人の発症率が高いことも指摘されていて、職業による発がんも見られるとされています。<「卵巣がん」の遺伝性>一方、お母さまがかかられた卵巣がんに関しては、一部遺伝性があることがはっきりしています。およそ5~10%の卵巣がんは、「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」によるものと考えられており、BRCA1遺伝子、BRCA2遺伝子という遺伝子の変異が関与するといわれています。これらは、遺伝子検査で調べることができます。遺伝性乳がん卵巣がん症候群が疑われる場合としては、若くして乳がんを発症していること、両方の乳房に乳がんを発症すること、乳がんと卵巣がんの両方を発症すること、家系内に乳がん・卵巣がん・すい臓がん、または男性の乳がんの患者さんがいるなどといったケースが挙げられます。ご相談者さまの場合は、家系内に卵巣がんの患者さんがお母さまだけであり、ある程度お年を召してからの発症ということならば、遺伝性のものである可能性はそう高くはないでしょう。ご心配であれば念のため検査を受けてもよいかもしれません。また、卵巣がんは原因がはっきりしないものが多くを占めますが、初経(初潮)が早かった人(12歳以下)、閉経が遅かった人(55歳以上)、30歳以降に出産した人、妊娠や出産経験がない人、排卵誘発剤による不妊治療を受けた人などが、相対的にリスクが高いとされています。がんの多くは遺伝性ではありませんし、その後の生活習慣が発症に大きな影響を与えると考えられています。食事のバランスや運動習慣、生活のリズム、禁煙などに気をつけて生活することで多くは予防できると思われます。どうぞお大事にしてください。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:がんは遺伝するものと聞くのですが、わたしにも同じ部位に遺伝でがんができますか?先日祖父が脳梗塞で倒れました。幸い脳梗塞は軽いもので、発見も早かったので大事には至りませんでしたが、詳しく検査してみると胃がんが発見されました。ある程度進行したがんのようで、祖父は胃を全摘出する手術を受けました。がんを摘出したことにより、祖父は元気を取り戻し、今では以前より元気に過ごしております。がんは遺伝するものとよく聞くのですが、わたしにも同じ部位に遺伝でがんができるものなのでしょうか?福島県:クローバーさん(26)回答:「がん」の遺伝性についてお答えします。――「がん」の遺伝性おじいさまが脳梗塞で倒れられて、脳梗塞は軽症であったものの、検査によって進行胃がんが発見され、胃の全摘手術を受けられたということですね。短期間の間に大きな病気に二つもかかられて、ご本人はもちろんのことご家族も大変に心配されたことでしょう。ご質問いただきました、がんの遺伝性についてお答えしたいと思います。がんには数多くの種類がありますが、発生するがんの中で明らかに遺伝によるものと認められるのはわずかに約1%であるともいわれます。ずいぶん少ないように思いますが、実際には同じ家族の中で数人が同じタイプのがんにかかったという話を耳にすることも多いですよね。では、なぜ同一家系内に同じがんが多いような印象があるのでしょうか。これは、食事の好みや運動習慣をはじめとする生活習慣が、家族や親戚内で共通する場合が多いためと考えられています。多くのがんはいわゆる遺伝子による遺伝と、環境・生活習慣の微妙なバランスで発生することがわかっています。家族として生活していると、どうしても食事や運動習慣などの選択基準や好みは似通ってくることが多いものです。<「がん」の予防法について>がんのなかでも、胃がんは、スキルス胃がんと呼ばれる若年女性に多いタイプを除き、遺伝性よりも食生活やピロリ菌感染の有無の方が発病に関連が深いとされています。具体的には、塩分量の多い食事を避け、野菜や果物を多くとり(一日400g以上が望ましいといわれています)、熱い食べ物や飲み物は避け、またピロリ菌が陽性の場合はしっかり除菌を行うことで、ご家族に胃がんの方がいても多くの場合、胃がんを予防することができると考えられています。また、過度のストレスは万病の元になります。忙しい現代においてなかなか難しいこととは思いますが、できればある程度若いうちに、心からリフレッシュできるストレス解消法を見つけておきたいものです。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日スポルツはこのほど、糖尿病患者や予備軍の人の予防や改善に向け、糖尿病療養支援サービス「糖尿病コーチング」のオンラインプログラム提供を開始した。同プログラムは、NPO法人ヘルスコーチ・ジャパンと連携して提供するもの。糖尿病は日々の食習慣、運動習慣などの生活習慣を見直すことで予防・改善が可能だが、生活習慣の改善では患者の生活スタイルを変えなくてはならないことも多い。そのため、取り組みの重要性は理解していても、実践は難しいといった課題がある。そこで、糖尿病患者や予備軍の人を個別にしっかりと理解し、それぞれに合わせて生活習慣を健康なものに変えていけるようオンラインにてサポートするプログラムを開発した。相手のやる気と行動を引き出す対人支援スキル・コーチングに、同社が展開しているデジタルヘルスを活用した「ヘルスコーチング」を組み合わせている。プログラムでは、糖尿病患者や予備軍の生活習慣改善につながるヘルスコーチングを行うためのコンテンツと、運用を行うためのノウハウを提供。オンラインにて、ヘルスコーチングによる行動変容を促すコミュニケーションを行うことで、糖尿病患者や予備軍の人々が、無理なく生活習慣を改善し、定着させることができるという。
2016年11月17日乳がん闘病中のフリーアナウンサー・小林麻央が13日、自身のブログを更新し、「がんこな人はがんになりやすい」と言われていることについて、「私も、たぶん、がんこです笑」と明かした。麻央は「今日、乳がんの方と会って、お話しをしたのです!私にとっては、初めてのことです」と報告。「同じ病でも病状によって、全く違いますし、同じ治療をしていても、副作用の出方によって、全く違います」とした上で、「でも、今日は、そういうところを超えた、心のお話しができて、とても癒されました」と伝えた。そして、「がんこな人はがんになりやすいと、よく聞くけれど、私も、たぶん、がんこです笑」と打ち明け、「主人には不動明王ならぬ、不動麻央(まおう)と呼ばれます」と夫で歌舞伎俳優の市川海老蔵とのやりとりを告白。「もっと心を柔軟に解放してあげたいです」と記した。さらに、「いつも思っていたことがあるのです。主人は、縛られるものが多いのに、いつも自由です。私は、自由なのに、いつも何かに縛られています」と夫と比較。「『結婚しても、あなたの人生だから、あなたの好きに生きてください』と、言われたのを思い出します」と振り返り、「自分の本当の『好き』を見つけるつもりです」とつづった。
2016年10月14日がんは今や誰にとっても他人事とはいえない病気。国立がん研究センターが発表した「2016年がん統計予測」によると、2016年のがん罹患数予測は101万200例(男性57万6,100例、女性43万4,100例)で、昨年よりも約28,000例増加しているといいます。今回ご紹介する『がんは治療困難な特別な病気ではありません!』(真柄俊一著、イースト・プレス)の著者は「がんと食」「自然治癒力」を軸に置いたがん専門クリニックで多くの患者さんのがんを治すのに成功しています。そこで本書の中から、あまり知られていないがんに関するデータをご紹介します。■日本と欧米の「がん死亡率」には大きな差があるイギリス、フランス、アメリカ、日本の「がん死亡率」の推移を比較すると、1950年の時点では、日本人のがんでの死亡率は最も少なく、トップのイギリスの40%程度でした。その後各国ともに死亡率が上昇しますが、1990年頃を境に日本以外の3カ国はがん死亡率が軒並み下がり始めます。しかし日本だけはぐんぐん死亡率が上昇し、90年代半ばでアメリカを抜き、2000年代に入るとフランスを抜き、主要先進国の中でがん死亡率が1、2を争う国になってしまいました。もし他の3つの国のように日本も死亡率が下がっていたとしたら、10万人以上が亡くならずにすんだという計算になります。■アメリカではがん死亡率が20%も減少しているアメリカでは1970年代から国をあげてがんの対策を行ってきました。そのため、1990年を境にがん死亡率が年々減少しています。アメリカがん協会は2013年版の発表で、ピークとなった1991年から20%減少したと述べています。著者は、日本とアメリカではがん医療の違いがはっきりあるといいます。日本では臓器転移のあるがんの場合、治癒は困難で「がん放置療法こそが最善である」という風潮があります。しかし、アメリカの医療現場でそんな指導をする医師がいれば、医師免許が剥奪されてもおかしくありません。■肉の発がん性はタバコ並みに高いことが明らかに2015年10月、IARC(国際がん研究機関)が「肉にはアスベストやタバコ並みの発がん性がある」と発表しましたが、うやむやのうちにこの話題は消えてしまいました。しかし、WHO(世界保健機関)の傘下であるIRACが肉や肉加工品の発がん性をはっきり認めたということは極めて重要です。動物性食品の危険性に関する研究は進んでおり、イギリスの研究論文では「赤身肉の大量消費は体内のDNAにダメージを与え、がんの発生を引き起こす」と発表しているのです。■じつは移民労働者は高齢者ほど元気に生きているイギリス王立会議の医師トロウエル博士は、「先進国民は動物タンパク狂」だと指摘しています。肉食中心の食生活が現代病の原因だということです。同じように食生活と病気の発生について指摘している医師は大勢いるといいます。1972年にアメリカ人医師がハワイに赴任した際、ハワイの農園で働く日系人は高齢者ほど元気だということに気づきました。アメリカ本土では同じ年代の老人たちは心臓疾患やがん、リウマチなどの何かしらの病気を抱えているのが普通でした。しかし、ハワイの農園で働くアジア系の高齢者たちは病気とは無縁。90歳になっても元気に働いている人もいました。ところが、そんな移民の人たちも第2世代になるとやや不健康、第3世代以降では本土のアメリカ人と同様、肥満や糖尿病、心臓病などを抱えていました。さらに彼らの食生活について調査すると、上の世代では出身地で食べていた米と野菜を多く食べていたものの、子どもたちの世代になると食生活が欧米化していました。やがて食事を植物性食品から動物性食品に変えるととたんに病気になるとわかりました。実際、彼のもとを訪れた乳がん患者が動物性食品と油脂分をやめ、穀物は全粒粉、果物や野菜を多くとる食事に変えたところ、がんを克服し、トライアスロン選手になって30年経った今も活躍しているそうです。*本書では病院で治らないといわれたがんが「自然療法」によって完治した事例も掲載されています。がんには特効薬がなく、未だ解明されていないことも多いです。しかし、いつ誰がかかってもおかしくない病気だからこそ、最新の情報やデータをチェックしておきたいものです。(文/平野鞠) 【参考】※真柄俊一(2016)『がんは治療困難な特別な病気ではありません!』イースト・プレス※2016年のがん統計予測-国立研究開発法人国立がん研究センター
2016年10月11日タレントのヒロミ(51)が、9日に放送されたフジテレビ系トーク番組『ワイドナショー』(毎週日曜10:00~11:15)にゲスト出演し、人工透析患者を中傷したフリーアナウンサー・長谷川豊(41)を痛烈に批判した。ブログに「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!」などの過激な主張が発端となり、全レギュラー番組から降ろされた長谷川。ヒロミは面識がないとした上で「こういうこと言うと怒られるかもしれないけど」と前置きし、「バカだなと思ったね」とバッサリと切り捨てた。知り合いに透析患者がいるというヒロミは、「すごく大変なのも分かるし。病気に関して、この人がそんなことを言うなんておかしいじゃん。"殺せ"って」とあきれ顔。自身でもブログを書いていることに触れ、「俺なんて天気みたいなことを書いても、もう1回読み直すのに」と危機意識の低さも嘆いた。スタジオで笑いが起こる中、ヒロミは「本当に」と真剣な表情で続け、「僕らは一文字一文字、しょうもないことでも一応2度見して、大丈夫かな? 誰か傷つけてないかな? と確認する」と主張。「これを平気で書けて……ちょっと怖いもんね。"殺せ"というのは」と理解ができない様子で、皮肉たっぷりに「すごい」と持ち上げていた。
2016年10月09日俳優のベン・スティラー(50)が、2年前に前立腺がんと診断されていたことを明かした。医者に前立腺がんと診断された際、ベンはその予期せぬ診断にあっけに取られたという。4日にラジオ局シリウスXMの『ザ・ハワード・スターン・ショー』に出演したベンは「予期していなかったよ。そんなこと考えたこともなかったんだ」「まずはじめに一体何が起きるのかわからなかった。だからすごく怖かったね。全てが止まってしまったよ。だって将来何があるのかわからないから、映画に出演する計画も立てることができないからね」と当時の胸中を語った。ベンが前立腺がんの闘病生活について明かすことを決めた理由は、前立腺がん抗原検査を受けることへの意識を高めるためだという。妻クリスティン・テイラーとの間に娘エラ(14)、息子クイン(11)を持つベンは「前立腺がん抗原検査について話したかったんだ。このテストによって僕の人生は救われたと思うからね」「死亡する原因となるがんの中でこれは2番目なんだけど、完治することのできる可能性が高いがんの1つでもあるんだよ」と続ける。そんなベンは、『スクール・オブ・ロック』のマイク・ホワイトが脚本を手掛け、ブラッド・ピットの製作会社プランBがプロデュースを務める新作コメディ映画『ブラッズ・ステイタス』に出演することが決まっている。同作品の中でベンは、幸せな家庭を築き、素晴らしいキャリアを持ちながらも昔の同級生の生活に嫉妬心を抱く主役のブラッドを演じる。その一方でベンは、ダスティン・ホフマンとアダム・サンドラーと共演した『ザ・マイロウィッツ・ストーリーズ』の撮影が終了したばかりだ。(C)BANG Media International
2016年10月06日2013年にハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーが、がん対策のひとつとして、自らの乳房と卵巣の摘出手術をしたことが話題になりました。彼女の選択については賛否両論ありましたが、がんへの恐怖はセレブであっても同じなのですね。2011年の国立がん研究センターによる統計によると、生涯でがんにかかる確率(累積罹患リスク)は、男性は62%、女性は46%です。つまり俗にいわれる「日本人の2人に1人はがんになる」というのは、決しておおげさな数字ではないということがわかります。実際にがんで死亡するのは圧倒的に60代以降ですが、それでも「万が一」を考えて、若いうちからがん保険などに加入する人は少なくありません。事実、20代だと5人に1人、30代になると5人に2人ががん保険・がん特約(全生保)に加入しているというデータがあります。しかし、そこまで備えても、本当にがんになったときに平静でいられる人はごくわずかなのではないでしょうか。おそらくほとんどの人が、「なぜ自分ががんに?」と事実をすぐには受け入れられないことでしょう。がん患者にクスリではなく、言葉を処方する「がん哲学外来」という社団法人団体があります。そこからうまれた「がん哲学外来メディカル・カフェ」は、2008年以来、またたく間に全国に広まり、いまや90ヶ所にものぼるといいます。がん哲学外来の理事長を務める樋野興夫先生に、処方される言葉について、また、メディカル・カフェというローカルな場の持つ力についてお聞きしてきました。■うつ的症状がでたときはどうすればいいのかがんと宣告されて、初めから笑っていられる人など、まずいないでしょう。それどころか、笑いが消えてなくなる人がほとんどではないでしょうか。実際、がん患者の3割にうつ的症状があるといわれるそうです。樋野先生はいいます。「そんなときは、1時間、部屋に閉じこもって深刻に考え込むといいんです」「その心は?」とお聞きすると、「人間は、1時間以上は深刻に考えられない生物なんです。1時間もすると、部屋を出て、ちょっとお茶でも飲もうかという気分になるんです。中途半端に悩むから、一日中悩むことになる」とのこと。これは、普通の悩みにも効き目がありそうですね。■クオリティ・オブ・デスという新しい価値観2008年以来、3,000人以上の患者さん・ご家族に言葉を処方してきた樋野先生。十人十色の患者さんに、それぞれに合った言葉をどのように選んでいるのでしょうか。「頭の引き出しのなかにある、若いときに読んで感銘を受けた言葉や自分が心得としている言葉をポンポンいっているだけ」だそうです。「患者さんの風貌や顔をみていると、『この人にはこういう言葉がいい』という発想が出てくるんです」そんな樋野先生が患者さんに贈る言葉は、ときにドキッとするものもあります。「あなたには死ぬという仕事が残されている」こんなことをいわれると、初めはショックを受ける人がほとんどですよね。「いまの日本で死は日常から切り離されています。クオリティ・オブ・ライフはあっても、日本にはまだ死の質を高めるという意味のクオリティ・オブ・デスはまだないのです」その観点からすると、「死は悪いものではない」という考えなのでしょうか、とお聞きしたところ、「悪いものというよりは、仕方のないもの、不条理なもの」というお答えが返ってきました。ただ、患者さんが若かったり、子どもがまだ小さかったりした場合、なかなかそう割り切れるものではないと思います。その点をもう少しお聞きすると、「それはもう不条理だから、なんのために生まれてきたのか、考えるしかないのです。自分の人生を残された人へのプレゼントとして生き切るという意味で、死ぬという仕事と言っているのです」と教えていただきました。がんはそれに向き合うきっかけに過ぎない、ということなのですね。■心の痛みに対応するには傾聴だけでは不十分メディカル・カフェでは、言葉についで、「対話」を大切にしています。病院や、ときには家庭でさえも得られない「対話」を求めて、患者さんはカフェに集います。樋野先生によると、対話とは、たんなるおしゃべりではなく「心と心のコミュニケーション」。対話は、最近注目されるようになった「傾聴」ともまた異なるそうです。「傾聴は話を聴くことが中心で、聴き手が話す割合は全体の二割程度」であり、「心の痛みに対応するには傾聴だけでは不十分」と樋野先生は考えます。カフェでは、他人の意見の否定や非難はしない、カフェで知った情報は他言しないなどの決まりがあるので、患者さんの尊厳やプライバシーは守られます。病院でも、家庭でも埋められない、医療や心の隙間をうめる仕組みとしてのメディカル・カフェは、その必要性のためか、いま全国でどんどんその数が増えているそうです。カフェの運営には医療事業者をはじめ、多数のボランティアが関わり、がん患者以外にも、がんを克服した人や、がん患者の家族も訪れることも少なくありません。*がん哲学外来で実際に処方されてきた言葉をあつめた『あなたはそこにいるだけで価値ある存在』が、先月KADOKAWAから出版されました。一読して、がん患者でなくとも、心に響く言葉ばかりだと思いました。どう生きるか、またどう死ぬかを見つめるのに、早すぎることはありません。どうぞ手にとってみてください。(文/石渡紀美) 【取材協力】※樋野興夫・・・1954年、島根県出身。順天堂大学医学部病理・腫瘍学教授、医学博士。米国アインシュタイン医科大学肝臓研究センター、米国フォックスチェイスがんセンター、癌研究所実験病理部長などを経て、現職。一般社団法人「がん哲学外来」理事長。癌研究会学術賞、高松宮妃癌研究基金学術賞、第一回「新渡戸・南原賞」などを受章。『明日この世を去るとしても、今日の花に水をあげなさい』(幻冬舎)、『がん哲学外来へようこそ』(新潮新書)、『いい覚悟で生きる』(小学館)、『見上げれば、必ずどこかに青空が』(ビジネス社)など、著書多数。 【参考】※樋野興夫(2016)『あなたはそこにいるだけで価値ある存在』KADOKAWA※一般社団法人 がん哲学外来※最新がん統計-国立研究開発法人 国立がん研究センターがん対策情報センター※平成25年度「生活保障に関する調査」-公益財団法人 生命保険文化センター
2016年05月14日「日本人の2人に1人ががんになる時代」といわれますが、このフレーズは、国立がん研究センターの「がん統計」がもとになっているのではないかと推測できます。■2人に1人は「がんになる」は間違いない実際の統計データ「がんに罹患する確率~累積罹患リスク(2011年データに基づく)」を見てみても、生涯でがんに罹患する確率は“男性62%(2人に1人)、女性46%(2人に1人)”。そのため、2人に1人の確率でがんになるというのは間違いではないことがわかります。また、胃がんは男性が11%(9人に1人)、乳がんが9%(12人に1人)と書かれているので、男性は胃がんが、女性は乳がんが多いことも同時にわかります。もうここまでくれば、りっぱな国民病といってもいいのでしょう。こんな統計を見させられると、やっぱり「がんへの備えをしておかないと!」と考えてしまいますよね。それはきっと、「がんを患うとお金がかかる」というイメージがあるからではないでしょうか?だとすると、「やはり、がん保険に入ったほうがいいのか?」と考えることになるでしょう。■30~50歳で「がんになる確率」は低いしかし、どうなのでしょうか?別の統計データ「現在年齢別がん死亡リスク」を見ると、0歳の男性が、50年後の50歳までにがんになる確率は、なんと2%しかありません。一生涯では、女性にくらべて男性の方ががんになる確率が高いのですが、60歳までをくらべると、女性ががんになる確率が高いこともわかります。つまり、がんを患う確率は50歳以降一気にあがるのです。いいかえれば、おもに子育てをしている30歳から50歳の間にがんを患うケースは、確率的にはとてもまれなのです。「日本人の2人に1人ががんになる時代です。がん保険に入っては?」と勧誘されるのと、「お子さんが成人するまでにがんになる確率は2%程度です。それ以降のためにがん保険に入っては?」と勧誘されるのでは、ずいぶん印象が変わりませんか?数字は使う側に都合のいい部分だけが切り出されています。振り回されないで判断しましょう。(文/ファイナンシャルプランナー・岡崎充輝) 【参考】※最新がん統計-国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター
2016年04月14日質問:家族で「がん」になった人はいないので「がん保険」に加入しなくても良いのでは?「がん」発症の要因の約70%は生活習慣に起因するものといわれています。ご家族で「がん」になった方がいらっしゃらなくても、一定の割合でリスクがあると考えるべきですので、がん保険への加入をおすすめします。遺伝的要素は50%程度さまざまな研究が進むなかで、がんを誘発する遺伝子の存在が明らかにされてきました。これがいわゆる「がん家系」という言葉を生み出した一因ではないかと思います。実際、「大腸がん」や「乳がん」の発症例のなかに、遺伝的要素が認められるものがあるようです。国立がん研究センターがん情報サービスのサイトに掲載されている「人のがんにかかわる要因」によると、ハーバード大学のがん予防センターの推計で、喫煙、食事、運動、飲酒という代表的な生活習慣要因が68%を占めるようです。また、全部のがんのうち「遺伝するがん」は5%以下といわれ、「大腸がん」「乳がん」「前立腺がん」など遺伝素因の強いこれらのがんでも、たとえ遺伝子が100%一致している人がいたとしても、同じがんになる確率は10%~20%にすぎないとまとめています(出典:国立がん研究センターがん情報サービス)。したがって、ご家族のなかに複数のがん経験者がいらっしゃる場合、ご本人もがん発症への注意が必要といえますが、ご家族のなかに発症者がいらっしゃらない場合でも、安心できるとはいえないでしょう。「喫煙」の有無や食生活など、生活習慣の要因が上位を占める「喫煙」と「がん」との因果関係が深いということが指摘されてからずいぶんたちました。若くして喫煙を始めた場合や喫煙年数が長く、喫煙本数が多いほど「がん」のリスクを高めるといわれています。日本においては「喫煙」に続く因子として「肝炎ウイルス(B型、C型)」や「ピロリ菌」、「ヒト・パピローマ・ウイルス」などの「感染性因子」、そして「飲酒」が続きます。他にも「塩分摂取」や「過体重・肥満(BMI25以上)」などが指摘されています(出典:国立がん研究センターによる「科学的根拠に基づく発がん性・がん予防効果の評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」ホームページ )。まだ十分な研究結果が揃っていないとはいえ、今現在「喫煙」や「飲酒」や「食生活」など、身近な生活習慣が遺伝的要素より高い確率で「がん」につながるため、日々の生活習慣を見直すことで「がん予防」が可能であるといえるでしょう。日本人の3人に1人が「がん」で死亡、2人に1人が「がん」を経験する時代。突然の告知に対応できますか?厚生労働省の資料によると、日本人の2人に1人は「がん」を経験するといわれています。早期発見や医療技術の進歩で「治せるがん」が増えているといわれますが、治すためには適切な治療が必要です。がんが発見されたら初期段階のうちに治療を開始することで、治癒の確率をあげるといわれていますが、がんの治療には多大な費用がかかる場合があります。そんなときに役立つのが「がん保険」ではないでしょうか。ご自身の生活習慣を振り返るとともに、がん保険などの保障内容が十分か、見直してみてはいかがでしょうか。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年04月05日米Appleは3月22日(現地時間)、患者の健康状態を管理するために設計されたソフトウェアフレームワーク「CareKit」をiOSアプリの開発者向けに発表した。4月からオープンソースとして提供開始する。2015年4月に公開したResearchKitは、臨床研究向けに提供されていたが、CareKitは、患者が自主的に健康状態を管理するためのアプリ開発キットとなっている。患者が管理する情報を、家族や医師と共有し、積極的な疾病ケアに携わることが可能。CareKitが利用される最初のアプリはパーキンソン病患者に向けたものだという。その他にも、手術後の治療、自宅での健康状態のモニタリング、糖尿病管理、メンタルヘルス、妊産婦の健康管理のためのアプリが例に挙がっていた。アプリ開発用のCareKitのモジュールは4つ用意する。Care Cardは、服薬や理学療法など治療計画や管理に使用されるモジュール。治療に関する記録は、Apple WatchやiPhoneのセンサーによって自動的に管理される。Symptom and Measurement Trackerでは、体温や痛みなど、症状と体調の記録に使われる。傷の治癒状況を撮影したり、iPhoneの加速度センサーやジャイロスコープを使って動く範囲を数値化したりできる。Insight Dashboardは、Care Cardで集めたデータから、治療の有効性を確認するためのもの。Connectは、患者の健康状態について、医療関係や家族と共有するためのモジュールとなっている。
2016年03月23日慶應義塾大学、日本医療研究開発機構(AMED)、科学技術振興機構(JST)は3月22日、乳がん、卵巣がん、肝がん、肺がん、膵臓がんなどの難治性がんを含む多くの悪性腫瘍で高発現している膜結合性ヘムタンパク質「PGRMC1」の構造を解明したと発表した。これにより、がん細胞が増殖を活性化する仕組みと、抗がん剤に対する耐性を獲得するメカニズムが明らかになった。同成果は、慶應義塾大学 医学部 医化学教室 加部泰明講師、末松誠教授(研究当時、現:AMED理事長)らの研究グループによるもので、3月18日付けの英科学誌「Nature Communications」オンライン版に掲載された。今回の研究では、X線結晶構造解析を行うことにより、PGRMC1がタンパク質中のチロシン残基を介した珍しい様式でヘムと配位することがわかった。この配位したヘムはタンパク質表面上に突出した構造を取っており、PGRMC1は分子中のアミノ酸残基をほとんど介さずに突出したヘム同士が重なり合った特異なヘム重合体構造を形成している。PGRMC1はヘムのない状態ではアポ体としてモノマー構造で存在するが、今回の生化学的な解析から、ヘムと結合することにより二量体化することが明らかになった。このようなタンパク質中のヘムを介した重合化が見い出されたのは、真核生物では初めてだという。また、生体内ガス分子である一酸化炭素(CO)は、がん細胞が抗がん剤や放射線治療、低酸素などにさらされると増加することが知られているが、同研究グループは今回、このCOがPGRMC1上のヘムに結合すると、ヘム同士の重合が解離してPGRMC1の機能が消失することを見出した。さらに解析を進めた結果、PGRMC1はヘムにより重合化し、がん増殖に関わる上皮成長因子の受容体(EGFR)と会合して、これによるがん増殖シグナルを増強することが明らかになった。重合化したPGRMC1は薬物代謝酵素であるシトクロムP450とも会合し、抗がん剤の分解活性を増強して、がん細胞の薬剤耐性を促進することもわかった。以上の結果からPGRMC1は、がん細胞内のヘム濃度に応答し重合化することによって活性化し、がん細胞の増殖促進や抗がん剤耐性獲得に関与するという、ダイナミックな構造変換によって機能していることが明らかになったといえる。同研究グループは、PGRMC1に結合してその機能を阻害する化合物が見つかれば、新たな抗がん剤の開発につながる可能性があると説明している。
2016年03月22日北海道大学病院(北大病院)は3月2日、「がん遺伝子診断部」を開設したと発表した。同部署は、がん患者のがん遺伝子情報を解析し、患者個々人に最も適した抗がん剤の情報を提供する専門部署で、同部署にて「がん遺伝子診断外来」が開始される。開始時期は4月1日を予定。同外来では、自由診療で、研究ではなく医療サービスとして網羅的ながん遺伝子検査を行う。同院によると、独自の院内がん遺伝子解析システムを利用することで、高い検査精度を担保しつつ、検査結果が得られるまでの期間が2週間にまで短縮されるところが特徴であるとしている。最終的な治療については、遺伝子解析担当医、主治医、腫瘍内科医などからなる専門チームがカンファレンスにて決定し、患者が納得したうえで行うという。
2016年03月03日国立がん研究センター(国がん)は2月15日、がん患者の免疫状態(ADCC活性)を測定する新手法を開発したと発表した。同成果は、同先端医療開発センター臨床薬理トランスレーショナルリサーチ分野の濱田哲暢 分野長の研究グループと、同中央病院先端医療科の北野滋久 医員の研究グループの共同研究によるもの。英科学誌「Scientific Reports」に1月27日付けで掲載された。抗体薬には、がん細胞の表面に発現する標的分子に結合し抗腫瘍効果を示す直接的な作用のほか、患者自身の免疫細胞を介して抗腫瘍効果を発揮する作用がある。そのため、標的分子の発現量だけでなく、患者自身の免疫状態、特に抗体薬ががん周囲に呼び寄せた免疫細胞を活性化するADCC活性をどの程度誘導できるかが治療効果に大きく影響すると考えられている。現在、抗体薬の投与においては標的抗原の発現量や遺伝子変異を確認することで治療効果の予測が行われているが、従来のADCC活性測定法は測定結果が不安定のため患者の免疫状態を把握することは困難だった。同研究グループが開発した測定方法では、あらかじめ標的がん細胞に緑色色素を取り込ませて、標的がん細胞(緑色色素を取り込ませたもの)と免疫細胞(緑色色素取り込みなし)を区別できるようにする。さらに、生きている細胞と死滅した細胞を区別できる色素で標識し、フローサイトメーターという装置を用いて測定することで、がん細胞と免疫細胞をそれぞれ別々に、生きている細胞と死んだ細胞に細胞一個単位で区別することができるようになった。同手法は、従来の測定法と比べて1/100以下の低濃度の抗体でADCC活性が測定可能だという。また、従来の測定法では血液検体をいったん凍結保存してしまうと測定結果のバラツキが大きくなり、不安定で再現性が乏しくなってしまっていたが、新しい測定法では凍結検体を用いても1カ月以上にわたり再現性をもってADCC活性が測定することができた。新しい測定法は、従来の測定法よりも高感度にADCC活性を検出できることから、個々の患者の免疫状態をより詳細に把握することで、抗体薬の治療効果予測に役立つことが期待されるほか、凍結保存した検体でもADCC活性を安定して測定できるため、他施設で採取した血液検体をいったん凍結した後、国立がん研究センターに輸送し、後日、測定することが可能となる。また、新規薬剤開発の面からも多施設共同臨床試験が可能となるため、効果の期待できる患者の選別や開発を進めるか中止するかの判断などに役立ち、抗体薬の効率的な開発につながることが期待される。
2016年02月16日富士通と富士通フロンテックは2月15日、愛知県がんセンター中央病院の入院患者向けベッドサイドシステムを構築したと発表した。同システムは、同病院の入院患者が、自分の病室で貸与されるタブレットで利用するもので、同病院の電子カルテシステムと連動する。患者は同システムを利用し、病院の診療方針や医療費概算などの病院の伝達事項、診療スケジュールと診療・治療・検査室への案内表示、過去の診療・検査記録などを確認できる。そのため、診療に対する不安を軽減できるという。また、体の症状・食事量・飲水量などを、患者自身がタブレットから電子カルテに入力できるため、患者の体の症状の変化の認識や自己管理意識を高めることができ、治療に取り組む主体性の醸成につながる。一方、看護師は同システムにより、患者が自分の体の症状や食事量、飲水量などをタブレットから電子カルテシステムへ入力するのをサポートするだけでよく、ナースセンターでの電子カルテシステムへの入力作業が不要となる。これにより、事務的作業負荷が軽減されるため、看護師は、患者とのコミュニケーションや、より手厚いケアに注力できるとしている。ベッドサイドで利用するタブレットには、富士通の10.1型ワイド軽量長時間駆動タブレット「FUJITSU Tablet ARROWS Tab Q555/K32」を導入。同製品は約630gの軽量タブレットで、バッテリー駆動時間は約11時間のため、患者は起床から就寝まで安心して利用できる。
2016年02月15日2013年11月に鼻に皮膚がんの一種“基底細胞がん”ができ、手術で取り除いたことを公にしていたヒュー・ジャックマン。それから鼻3回、肩1回のがん除去術を受けたことを「People」誌に明かしていたが、今月9日(現地時間)、鼻にがんが再発し、5度目の手術を受けたことをSNSでファンに報告した。大きな絆創膏を鼻に貼った画像をインスタグラムとツイッターに投稿し、「日焼け止めを塗らないとこうなっちゃうっていう見本だよ。お願いだから日焼け止めを使ってね!」とファンに日焼け止めの使用を呼びかけている。また、ヒューは呼びかけるだけでなく、小さい子どもでも積極的に日焼け止めを塗るよう、容器に『スパイダーマン』や『アナと雪の女王』がペイントされた日焼け止め「Pure Sun Defence」の販売にも携わっており、日常での紫外線ケアの重要性を訴えている。日本形成外科学会のHPによると、基底細胞がんは皮膚がんの中で最も頻度が高いものの、悪性度は低く転移は稀とのこと。誘発因子として紫外線が挙げられるという。始めは撮影中にできたちょっとした傷だと思っていた鼻のできものが、まさかのがんでとてもショックを受けたというヒュー。彼が勧める予防策は、日焼け止めを塗るという決して難しくないことなので、私たちでもすぐに始められそうだ。(Hiromi Kaku)
2016年02月09日国立がん研究センター(国立がん研)は2月4日、朝食摂取回数が少ないと脳出血のリスクが高くなることが明らかになったと発表した。同成果は、国立がん研究センター がん予防・検診研究センターと大阪大学の研究チームによるもので、米科学誌「Stroke」2016年47巻に掲載された。これまでに、朝食を欠食すると肥満、高血圧、脂質異常症、および糖尿病のリスクが上がることが多くの研究で示されてきたが、脳卒中および虚血性心疾患のリスクを上げるのかという点に関してはほとんど研究されていなかった。そこで同研究チームは、朝食欠食と脳卒中および虚血性心疾患との関係を検討するため、1995年に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、1998年に、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の9保健所管内に在住していた45~74歳の男女のうち、循環器疾患およびがんの既往がなく、アンケートの朝食に関する項目に回答した8万2772人(男性:3万8676人、女性:4万4096人)に対して調査を行った。同調査では、週に0~2回、週に3~4回、週に5~6回および毎日という4つの群に分けて、その後の脳卒中および虚血性心疾患発症との関連を分析。2010年まで追跡した結果、3772人の脳卒中発症と870人の虚血性心疾患発症が確認された。朝食を毎日摂取する群と比較して、朝食を週に0~2回摂取する群の発症リスクは、脳卒中と虚血性心疾患を合わせた循環器疾患で14%、脳卒中全体で18%、脳出血で36%高くなっていたという。同研究チームは、脳出血の最も重要なリスク因子は高血圧だが、朝食を欠食することで朝の血圧が上昇し、毎日朝食を摂取する人に比べて脳出血のリスクが高くなっていた可能性が考えられるとしている。
2016年02月05日国立がん研究センター(国がん)は1月20日、食道がんの前がん病変だと考えられているバレット食道での幹細胞の存在を明らかにしたと発表した。これまでがんの前がん病変において組織を維持する働きを持つ幹細胞の存在は明らかになっていなかった。同成果は国がん研究所分子細胞治療研究分野の山本雄介 主任研究員によるもので、1月19日に米科学誌「Nature Communications」に掲載された。バレット食道とは、食道と胃上部の接合部に発生する粘膜組織の変化で、主に逆流性食道炎などによる炎症が原因で発生する。これまで統計的な解析や病理学的な知見により、バレット食道が食道がんへ進行していくことは知られていたが、実際の細胞がどのように遺伝子異常を蓄積し、悪性度の高い細胞へ進展していくかはわかっていなかった。今回の研究では、さまざまな進行状態の12症例のバレット食道から内視鏡で生検組織を採取し、新しく開発した培養手法を用いて、幹細胞を単離・培養することに成功。培養したバレット食道由来の幹細胞と正常食道由来の幹細胞にがん遺伝子を導入し、強制的にがん化させたところ、バレット食道由来の幹細胞は食道腺がん様の腫瘍を形成したのに対し、正常食道由来の幹細胞は食道扁平上皮がんに類似した腫瘍を形成した。これにより、バレット食道は食道腺がんの前がん病変であることが確認され、前がん病変においても幹細胞が存在し、病変を維持している可能性が示された。また、ゲノム変異解析を行った結果、より進行したバレット食道においてより多くの変異が認められた一方で、25%の症例においてゲノム変異が認められなかったことから、バレット食道の発症に遺伝子変異は必須ではなく、その後進展していく過程でゲノム変異が蓄積し、より悪性度の高い腫瘍へとなっていくと考えられるという。今回の成果をベースに、さらに前がん病変の性状明らかにすることで、前がん病変の早期検出による早期診断や、前がん病変の幹細胞の除去など新たな治療の開発につながることが期待される。
2016年01月20日国立がん研究センターは1月20日、「全国がん(成人病)センター協議会」(全がん協)の協力を得て、加盟施設での診断治療症例に関する部位別10年相対生存率を集計したと発表。その結果を全がん協のホームページ上にて公開したと明らかにした。同センターによると、国内においてこれほどの規模でがんの10年相対生存率が公表されるのは初めて。がんの生存率は治療による効果を表す指標で、がん診療評価などにおいて重要な要素となる。一方で、信頼できる生存率を算出するには、精度の高い予後調査の実施などの課題があった。同センターの研究開発費に基づく研究班は、1999年診断症例より部位別施設別5年生存率を公開。さらに2012年からは、グラフを描画する生存率解析システム「KapWeb」を公開するなどしていた。今回、部位別施設別5年相対生存率については、2004年から2007年に診断治療を行った14万7,354症例を集計。10年相対生存率については、1999年から2002年に診断治療を行った3万5,287症例を集計した。個々の数値をみていくと、全部位全臨床病期の5年相対生存率は68.8%で、1997年の62.0%から徐々に改善している傾向にあるという。同センターは「化学療法、放射線治療や早期発見技術の進歩が貢献していると考えられます」としている。生存率が高いのは「前立腺(100%)」「乳(92.9%)」「甲状腺(91.6%)」など。一方、「胆のう胆道(28.9%)」「膵(9.1%)」は3割以下にとどまっている。今回が初集計となる全部位全臨床病期の10年相対生存率は、58.2%だった。同じデータベースの5年相対生存率は63.1%となっており、5年間で4.9%の減少がみられる。10年生存率において高い生存率をみせた部位は、「甲状腺(90.9%)」「前立腺(84.4%)」「子宮体(83.1%)」など。逆に「食道(29.7%)」「胆のう胆道(19.7%)」「肝(15.3%)」「膵(4.9%)」などは低い数値となっていた。国内において死亡者数が多い部位に関しては、「胃(69.0%)」「大腸(69.8%)」「気管・肺(33.2%)」「乳(80.4%)」という結果が出ている。なお、研究班は今回の結果をKapWebに反映させて公開。「がんの種類」「病期」「治療法」などの条件設定で検索でき、5年もしくは10年までの生存率年次推移をグラフで見られるようにしている。
2016年01月20日国立がん研究センター(国がん)はこのほど、全国がん(成人病)センター協議会(全がん協)の加盟施設での診断治療症例について、部位別10年相対生存率を全がん協のWebサイト上で公開した。○乳がんは長期間のケアが必要生存率には実測生存率と相対生存率があり、実測生存率ではがん以外の死因も含まれる。一方、がん患者について計測した実測生存率を、対象者と同じ性別・年齢・診断分布をもつ日本人の期待生存率で割ったものを相対生存率と呼ぶ。相対生存率は、がん以外で死亡する可能性に影響する要因(性別・年齢など)が異なる集団で生存率を比較することができ、世界と生存率を比較する場合でも用いられる。今回発表された部位別10年相対生存率は、1999年から2002年に診断治療を行った16施設3万5287症例を対象としたもの。全部位を対象とした10年生存率は58.2%だった。部位別がんでは胃がんが69%、大腸がんが69.8%、乳がんが80.4%、肺がんが33.2%、肝臓がんが15.3%となった。同センターは2004年から2007年に診断治療を行った14万7354症例を対象とした5年相対生存率も集計。こちらでは全部位が68.8%、胃がんが73.1%、大腸がんが75.9%、乳がんが92.9%、肺がんが43.9%、肝臓がんが34.8%となった。なお、今回発表した10年相対生存率と5年相対生存率は対象となるデータが異なるため、一概に比較することはできないとしているほか、公表されたデータは新しくて2007年のものであり、治療技術の向上により現在はもっと改善していると考えられるという。また、5年相対生存率では施設別のデータも全がん協のホームページ上で公表した。施設別のデータでは、同じ部位でも対象期間や早期がんと末期がん患者の比率などが施設ごとに異なる点に注意してほしいとする。国がんはこれまで、部位別5年相対生存率は発表しているが、10年相対生存率は初集計となる。10年相対生存率について国がんの堀田知光 理事長は「5年は治療効果を判定する1つのポイントとなる。10年はそのがんがどのような経過を辿るか、どこまでフォローすれば良いかが分かるデータとなる」と説明。10年相対生存率により、例えば胃がんでは5年を過ぎると相対生存率は横ばいになるため5年が治療効果を計る大きな目安となるが、乳がんなどでは第I期に治療を開始した場合でも5年を過ぎても相対生存率が下がり続けるため、より長期間の経過を見る必要があることがわかる。○治療法選択の助けに今回の集計結果は国がんなどが開発した生存率解析システム「KapWeb」にも反映されている。KapWebはがんの種類、病期、性別、年齢、初回治療などの条件を組み合わせて相対生存率を見ることができるシステムで、2012年10月より一般公開されている。今回、10年相対生存率のほか、新規診断症例、治療法の選択項目が追加され、より詳細な条件設定が可能となった。千葉県がんセンターがん予防センターの三上春夫氏は「どの治療法を選んだら生存率が高くなるかを知ることができる。治療法選択の判断の目安になる」と説明し、治療に同システムを活用するよう呼びかけている。
2016年01月20日東京都墨田区は2015年12月、同区内では初となるがん教育のモデル授業「がんのことをもっと知ろう」を、墨田区立業平小学校の6年生を対象に実施した。保健学習の一環として行われたこの授業に用いた教材は、がん教育を検討する過程で区や教育委員会らが共同して作成したもので、このようなケースは全国的にみても珍しいという。教員やがん患者、区、教育委員会が一丸となってモデル授業を実施した目的は何なのか。墨田区 保健計画課の松本静さんに伺ったので、2回にわたって紹介する。○モデル授業のきっかけモデル授業のそもそものきっかけは、2012年6月に閣議決定された「がん対策推進基本計画」にがん教育の推進が盛り込まれたことだった。それとは別に、2013年における墨田区のがんの死亡率は、男性が23区中7位で女性が同1位と、がんの死亡率が高いという素地もあった。これらの現状を受けて、区は2014年に「墨田区がん対策基本方針」を新たに策定。「がんによる死亡者数を減らす」などの基本目標を達成させるため、4つの個別目標を設定した。その中の一つに「がんに関する正しい知識を持つための健康教育・普及啓発活動の推進」も盛り込んだ。複数の目標を達成させるため、区長の付属機関として「がん対策推進会議」を設置。その下部組織として「がん教育部会」を設け、子どもたちへのがん教育の在り方を検討していった。教育部会ではがんの有識者やがん患者、教育関係者らが一堂に会し、何度も検討を重ねて教材作りを進めていった。「がん教育部会にはがんに詳しい日本女子体育大学の助友裕子先生をお招きして、先生からいただいた資料をベースに、墨田区に見合った教材を作成していきました」。○話し合いやクイズでがんの知識を深めるそして迎えた2015年12月3日、業平小学校でモデル授業が実施された。多くの子どもたちはがんにまだ接したことがないため、「予防」という観点を子どもたちとがんをつなげる"架け橋"として、理解を進めてもらうように工夫したという。「授業は、がん予防につながる生活習慣やがんの死亡率が高いこと、今は2人に1人ががんになる時代だということなど、できるだけがんを科学的に理解してもらうよう進めていきました」。「がん予防をするために大切なこと」というテーマで複数グループに分かれて話し合いをしたり、授業で学んだことをクイズ形式で復習したりして、がんについて正しい知識を深めていった。○がん経験者の話で命や家族の大切さを知る授業内容は「机上」だけにとどまらなかった。同11日には、乳がんを患った経験があるがん教育部会の委員が、自身の体験談を子どもたちの前で告白。子どもたちにがんについて語るのは初めての経験だったそうだが、「命の大切さについて、きちんと子どもたちへとメッセージを送ってもらえました」。授業後に実施した子どもたちへのアンケートでも、「家族を大切にしたい」「家族と一緒にいることが大事」などの回答が目立ったそうだ。紙の教材だけではなく、実際のがん体験談という「生きた教材」に触れることによって、子どもたちはがん検診の大切さやがんの治療、緩和ケアまで踏み込んで学べた。「がん患者の話を聞いて命の大切さを知り、がんに対する偏見を緩和・減少してもらえば」と願っていた松本さんも、体験談授業に手ごたえを感じているようだ。ただ、業平小学校での授業は、墨田区が掲げる目標の序章でしかない。次回は、モデル授業の今後の展開について紹介する。※写真と本文は関係ありません
2016年01月19日