プラダ(PRADA)の2018-19年秋冬ウィメンズコレクションが、イタリア・ミラノで2018年2月22日(木)に発表された。ショー終了後、ミウッチャ・プラダはインタビューで“私の年齢でも夜道を歩くのは時に恐怖を感じるときもある。若い女性たちはもっと怖いのではないだろうか”といったイマジネーションが今季のインスピレーションの一つとなったと明かした。女性たちは安心感を感じられるように保護させるべき。でもエレガントで可愛らしくいたいのが本音。現代女性にエールを送るべく、女性的な魅力を引き出すエレガントなドレスと身体をしっかり守るアウターという2つのピースを用意した。コレクションの中ではドレスの上にドレスを重ねたり、さらにその上にビスチェを合わせたり、コートを羽織ったり…複雑なレイヤードスタイルが披露されているが、肌に最も近い存在で“綺麗に装いたい”という本心を体現するのが、チュールのドレスだ。イエローやピンク、グリーンなど様々なネオンカラーで彩られたドレスには、後ろの首元に大きなリボンが添えられている。何層に洋服を重ねても、襟元からたらりと伸びたこのリボンが華やかさとともに本当の心をひっそりと映し出す。繊細な一面をはらんだ女性を包み込む“防護服”として、ナイロンのアウターを用意した。ブラックのコートには、手書きで花模様をさらに窓にのった水滴をイメージしたという模様を重ね、インナードレスと同様にネオンカラーで染め上げたナイロンベストには、プラダスポーツの赤いロゴを添えた。中にはハワイアンシャツから着想した、五分丈タイプのものも揃っている。新作バッグには、OMAがデザインしたというモチーフをプラスした。倉庫で行われた背景から2018-19年秋冬メンズコレクションで生まれたネームタグを、ウィメンズでも一つのアクセサリーとしてドレスなどに取り付けている。
2018年02月27日アルベルタ フェレッティ(ALBERTA FERRETTI)が2018年2月21日(水)に、イタリア・ミラノにて2018-19年秋冬ウィメンズコレクションを発表した。ショーの開幕から連続したのはブラックにダズルを組み合わせたルック群。カラーパレットにミステリアスなヴァイオレットやグリーンが混じり始めるにつれて、一気に民族的な要素が増していく。チャイナドレスやカフタンドレスが細身のオールインワンに落とし込まれ、洗練された印象に仕上がっている。テンガロンハット、東洋的なモチーフの錦糸の刺繍、エジプシャンな大柄のゴールドネックレス。東西のあらゆる文化が、ハイウエストな80年代的シルエットに詰め込まれた。乱雑にもなりうる組み合わせは、絶妙なバランス感覚によりエレガントな雰囲気を保っている。終盤のルックは目にも煌びやかなダズルで彩られた。ボウタイからブーツに至るまで、全身のアイテムがファブリック、ビーズ、スパンコール、ビジューといったバリエーション豊かな素材による輝きで埋め尽くされた、豪華絢爛なルックでショーは終焉した。
2018年02月27日スポーツマックス(SPORTMAX)の2018-19年秋冬コレクションが、イタリア・ミラノで2018年2月23日(金)に発表された。スポーツスタイルとファッション性を融合させたウェアラブルなピースを多く輩出しているスポーツマックス。今季、彼らが着目したのはウィンタースポーツだ。インスピレーション源となったのはニューヨーク、ロンドン、ミラノ、パリあらゆる都市の雪山。銀世界で纏うスポーツウェアからアイデアをもらいハイブリッドなピースを構築した。象徴的なのは、ビッグサイズフード、垂直に伸びる立ち襟、ベルクロ付きの袖口といったスキーウエアさながらのアクティブなディテール。グリーンやレッド、イエロー、ブルーなどハツラツとしたカラーで染め上げられた、テクニカルファブリックのパーツには今季デビューとなるブランドロゴ「SPX」を添えた。それらが交わるのは、クラシックウェア。襟口、袖口から顔を出し、新しいタイプのウールコートやチェック柄テーラードなどを完成させている。ボトムスは、プリーツを施したフレアスカートやスラックスをセレクトして、上品さを纏わせつつも、ウェストポーチを組み合わせたり、ストレッチの効いたスキーパンツをさらにレイヤードさせてダブルボトムスにしたりして、上半身同様躍動感を持たせた。インナーにはノルディックニットを。朗らかなモチーフを編み込んだ暖かみのある表情はそのままに、タイトフィットに仕上げたり、レースアップディテールを添えることでセンシュアルな一面も持たせている。
2018年02月26日ブルマリン(Blumarine)の2018-19年秋冬ウィメンズコレクションが、イタリア・ミラノで2018年2月23日(金)に発表された。今季は透け感のあるワンピースとパンツのセットアップをシーズンピースとし、この2つを基軸にクリエーションを進めたようだ。両者に共通するのは、相反するファブリックを共存させていること。シフォンやレース、オーガンザ素材のワンピースには、ファーやボアといった立体感のある素材で仕立てたアウターをコーディネート。一方、クロップド丈にしたりビックサイズのポケットを配したりしてカジュアルに寄せたセットアップスタイルは、襟元やポケット周り、裾などにフェザーやファーを部分的にデコレーションしている。ブランドのアイコンであるフラワーは、様々な方法で落とし込まれた。シフォンワンピースの上にはハツラツとした色彩で写実的に描かれ、立体的なアップリケやビーズ刺繍になって全体を彩るピースもある。ニットの上にでプリントされた小花模様は、ヴィンテージ風の仕上がりでどこか懐かしさを感じさせる。ピンクやホワイト、淡いグレー、ブルーなどで彩られたコレクションは、全体的にフェミニンな印象。そこに差し込まれたパイソンのヒールブーツや、シルバーパーツ付きの細ベルトなどがピリリとしたアクセントとして光る。
2018年02月26日ジョルジオ アルマーニ(Giorgio Armani)の2018-19年秋冬ウィメンズコレクションが、2018年2月24日(土)に発表された。テーマは「ATMOSFERA」。今シーズンは、色の選び方、シルエットの作り方など様々な部分で繊細な一面を見られるコレクションであった。ロングコートやコンパクトなジャケットなどには部分的にフェザーを配して、美しさフォルムの上にふわりとした動きを加える。クロップドパンツはたっぷりと生地を取り、歩みに合わせてサイドのテキスタイルが揺れ動くように設計した。シースルードレスやロングスカートは、裾の辺りをくしゃっと絞るように一部分をたくし上げている。残ったスカート部分には、なめらかなドレープが生まれ、エレガントなムードを纏うようになる。動きのあるシルエットが多いため、キリッと締まったブラックのレザーブーツがよく似合う。強さと気品のあるポインテッドトゥブーツは、ロングだけでなくサイハイタイプも揃え、ドレスやワンピースと組み合わせた。カラーは淡いグレーやパープルなどのニュアンスカラーをポイントに。品のあるブラックのテキスタイルには、フラッシュライトのようなメタリックカラーやレッドでアクセントを加え、黒が持つ厳格さを控えさせ、全体のパレットと調和させている。
2018年02月26日ヴェルサーチ(VERSACE)は2018年秋冬ウィメンズコレクションを、日本時間2018年2月24日(土)午前4:00にミラノで発表する。ファッションプレスではその模様をライブ配信。前回の2018年春夏コレクションでは、ジャンニ・ヴェルサーチが没後20年を迎えるにあたってのアニバーサリーコレクションを展開。ジジ・ハディッド、ベラ・ハディッド含む豪華モデルがアーカイブ作品から生まれた鮮やかなウェアを纏い、会場を盛り上げた。さらにフィナーレ後にはジャンニの栄光を讃えるかのようにナオミ・キャンベル、シンディ・クロフォードといった往年のトップモデルがドナテラ・ヴェルサーチと共に現れ、笑顔を見せていた。ミラノで発表される最新コレクションは、どのようなショーで楽しませてくれるのか、期待が高まる。【詳細】ヴェルサーチ 2018年秋冬ウィメンズコレクション開催日時:日本時間 2018年2月24日(土) 4:00現地時間 2018年2月23日(金) 20:00
2018年02月26日トッズ(TOD’S)は2018-19年秋冬ウィメンズコレクションを、日本時間2018年2月23日(金)17:30にミラノで発表する。ファッションプレスではその模様をライブ配信。前回の2018年春夏コレクションでは"イタリアの夏"をキーワードに、イエロー、サンド、ライトブルーにほんのり柔らかなニュアンスをのせて、ブランドを象徴するレザーピースを展開。またイタリアンヘリテージに、テクニカルナイロンで仕立てたショートパンツといったスポーツ要素を融合し、軽やかで都会的なルックも存在感を放っていた。ミラノで発表される最新コレクションではどのようなルックが登場するのか、期待が高まる。【詳細】トッズ 2018-19年秋冬ウィメンズコレクション開催日時:日本時間 2018年2月23日(金) 17:30現地時間 2018年2月23日(金) 9:30
2018年02月26日エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)が2018-19年秋冬コレクションをランウェイショーで発表。昨シーズンは、「プール パーティ」をキーワードに、モデル約30体を迎えたプレゼンテーション形式で発表されたため1年ぶりのショーとなった。ミラノ・ファッション・ウィーク3日目の2018年2月22日(木)のことである。序盤は、アイコンの総柄パターンが控えめ。代わって登場するのは、パンチの強いパープル、グリーン、ブルーなどをコンビネーションさせたカラーコントラストの強いルックたちだった。コートやポンチョは、ダブルフェイスになっていて、襟を大きく開けたりフレアなシルエットに仕立たりして、表と裏どちらの色彩も主役級に大きく扱った。レザーやレースのドレスは切り替えやパイピングによって、色彩の対比を強化。色の持つ力を体感させられるパワフルなルックが続いた。会場が温まってきた頃には、エミリオ・プッチならではの総柄プリントのお目見え。今季は三つ葉や四つ葉などを想起させる可愛らしいモチーフを組み込んだプリントや、HOLLYWOODロゴを取り入れたものなど、キャッチーなプリントが起用されている。それらのテキスタイルは、昨シーズンの「プール パーティ」の名残からであろうか、ビキニトップやフード付きガウン、スイミングキャップ風の帽子などに使用。派生して、ダウンジャケットやジャンプスーツ、キルティングダウンなど、スポーティなテイストにも積極的に用いられていた。対峙させるように“プッチ柄”をセクシーにアレンジするピースも存在。ボディコンシャスなドレスや総スパンコールのワンピースなどのディテールまたは全面に取り入れられている。様々な視点からアイコニックなプリントにアプローチする姿は、このアイコン柄がカジュアルにもスポーティにもそしてドレスにも、様々なアレンジが可能なことを視覚的に表現しているように映る。
2018年02月26日エトロ(ETRO)の2018-19年秋冬ウィメンズコレクションが、イタリア・ミラノで2018年2月23日(金)に発表された。50周年のアニバーサリーイヤーを目前に控えた今季のテーマは「フォーク デコ」。左右に大きく広がる平原と砂岩の浸食で生まれた地形。奇妙だけれど美しい広大な西部の風景にインスピレーションを得て、ヴェロニカ・エトロはクリエーションを進めた。今季の鍵を握るのは多彩なプリント。ちりめんの手法を用いたエスニックパターン、白と黒のフラッカーチェック、スタープリント、1920年代のカーペットからインスパイアされたアール・デコ モンタージュ、ハートと矢のモチーフといった様々なパターンが、エトロを象徴するペイズリー柄と交わっていく。カラーはチョコレートやグリーン、濃いオレンジ、赤みがかったロブスターと落ち着きのあるものを揃えた。それらユニークな色柄をのせたシルクジョーゼットやクレープ、シルクは、ロマンティックなドレスへと変わる。襟は高くとり、ボディは身体にぴったりフィット。ウエストから裾にかけてはふんわりと広がり、風をきって優雅に揺れ動く。合わせたのは、マフラー付きのコートやカウチンニット、スエードコートなど。どれも民族的なエッセンスを孕んでおり、エトロが目指す、デコラティブなフォークフロアスタイルの完成へと近づける。仕上げに差し込んだのは、伝統工芸品から着想を得たアクセサリーたちだ。ターコイズやコーラル、タイガーアイなど深みあるストーンを含んだネックレスやピアスはどれもヘビー級の重量感で。フリンジをあしらったレザーバッグもまた、「フォーク デコ」のキーワードを体現するのに一役担っている。
2018年02月26日フェンディ(FENDI)の2018-19年秋冬ウィメンズコレクションが、ミラノ・ファッション・ウィーク3日目の2018年2月22日(木)に発表された。今シーズンのフェンディは強さと柔らかさ、相反するものをドッキングさせている。強さを象徴的に示したのは、ボックス型のショルダーだ。真四角な側面を持つパワーショルダーは、クラシカルなジャケット、ベルト付きのコート、ファーコート、短い丈のケープなどに起用されている。そういったパワフルなアイテムには、男性服などに用いられる様々なチェックパターンがよく似合う。ボクシーなシルエット、力強い色柄…そういった男性的でタフな世界の中で大きなファーラペルや中央に切り目を入れたオリジナルラペルがふわりと揺れ動き、優しいささやきを投げかけてくる。一方、ソフトな一面を打ち出すのはシルクドレスの数々。肩から裾にかけてふわりと八の字に広がったラインは、少女趣味的でロマンチック。間にはレースが組み込まれ、背中やスカート部分にあしらわれた花刺繍が可憐な雰囲気を助長する。ボックスショルダーのピースと強さ・甘さの面で対比をなすとともに、こういったフェミニンなアイテムは足元はブーツなどできゅっと締めることで、これ1体で今季のキーワードである柔らかさと強さを体現している。また、ロゴの起用も今季の象徴的な要素である。メゾンのアーカイブから選ばれたFFロゴが、スカートのスリットから、ファーコートのラペルから顔を出す。中盤以降はFFロゴのオンパレードとなり、モスグリーンやネイビー、キャメル、ブラックといった落ち着いた色彩のアウターやトップスの上で花を咲かせた。さらに、今季はアーティストとのコラボレーションによるFENDI / FILAのロゴもデビューしている。
2018年02月25日ヌメロ ヴェントゥーノ(N°21)の2018-19年秋冬コレクションが、ミラノ・ファッション・ウィーク2日目の2018年2月21日(水)に発表された。今シーズンのヌメロ ヴェントゥーノは、アンバランスさを楽しんでいるように映る。コレクションを通して多く登場したセンシュアルなミニドレス。スパンコール刺繍やシースルー素材などを使って幾分フェミニンに仕上げられたドレスの上には、肩を大きくドロップさせたオーバーサイズのチェックシャツやカウチンニットをセット。オーガンザドレスの透け感を楽しむように、上からファーコートを羽織ったルックもある。また、膝上20cm以上の短い丈感を利用した不均衡さも存在。スカートからすらりと長く伸びた脚は生足で、甲からつま先をヒールの低いミュールでくるりと包み込む。その様はなんとも艶っぽく、センシュアルな魅力を放っている。コーディネートだけでなく、アイテムそのものの上で異なる要素を共存させたものもある。ツヤツヤと光るビニルスカートの裾にはレースを、肉厚ニットやレザージャケットは肩周りを覆うようにスパンコール刺繍が配されている。シルエットとしてはアームラインに重量を持たせたものが多い。コートやジャケットの類は、袖めくりするかのようにアームラインをくしゅくしゅとさせている。カジュアルな印象のチェックシャツなどには、舞台衣装ばりに華やかなスパンコールフリンジが取り付けられた。アンバランスな世界に花を添えるのは、ミリタリーのエッセンス。モデルの頭にのった背の高い帽子や笛付きネックレスは、門番兵士のよう。前身頃はビジュー付きパンツだが、後ろを振り返るとカーキ色に染まったミリタリーパンツというピースもあった。
2018年02月25日マックスマーラ(Max Mara)2018-19年秋冬ウィメンズコレクションが、ミラノ・ファッション・ウィーク3日目の2018年2月22日(木)に発表された。今季のマックスマーラは力強いワーキングウーマンというイメージがぴったり。キャメルカラーやロングコートといったメゾンのアイコンは引っ提げつつも、挑発的なパターンやユニークなコーディネートによって、独自性を確立している。象徴的なのは、スカートやドレスにレギンスを重ねた着こなし。スリット入りの膝下丈スカートやベアドレス、またはスラッシュカットを入れて広がりを持たせたプリーツスカートなどに、スリムフィットなパンツを重ねる。一見エレガンスとは程遠いスタイルであるが、上質なレザーを使っていること、センタープレス加工を施していること。こういった細かなこだわりがレギンスに投影されているため、Wボトムスのレイヤードスタイルが洗練されたイメージへと昇華する。パターンは、昨シーズン登場したメゾンのアーカイブロゴ、そしてアニマルパターン、チェック模様などが見られた。ほとんどのルックは同色または同柄で揃えて全身がコーディネートされている。そこにアクセントとなるのが、プリントTシャツやスウェットトップスの差し込みだ。ブラックのコットンTシャツやスウェット地の上にのせたのは、マックスマーラのロゴとウーマンのイラスト。カジュアルなピースをあえてクラシックなコート、テーラードジャケットなどとぶつけ、ミックススタイルを楽しんでいる。シルエットはどこか一部分にボリュームを持たせたものが多い。シアリングやニットなど秋冬らしい素材で重量感たっぷりに仕上げたトップスまたはアウターには、タイトなスカートを。反対にウエストからふわりと膨らんだスカートにはTシャツを合わせて抜け感を。アイテムそのものもアームに重量を持たせたものが多く、長く伸びたフリンジをふんだんにあしらったニットなどが登場した。
2018年02月25日モスキーノ(MOSCHINO)の2018-19年秋冬ウィメンズコレクションが、ミラノ・ファッション・ウィーク2日目の2018年2月21日(水)に発表された。洗車機を会場に持ち込んだり、だまし絵の水着を登場させたり、花びらを散らせて歩くモデルがいたり…ジェレミー・スコット率いるモスキーノといえば“劇場型ランウェイショー”が鉄板。しかし今季は、一味違ったモスキーノに変身。ショー会場は郊外へ引っ越し、大きなフラワーパネルや家具が並んだオブジェなど“フォトジェニック”な装飾は排除。ランウェイは客席とフラットタイプへと様変わりし、とにかく長いロングランウェイが特徴だ。これまでと比べてシンプルだからこそ、反して高まる“ジェレミー今季は何を見せてくれるの”というワクワクする気持ち。蓋を開けてみると、今季はここ数シーズンに比べるとエンターテインメント性は低いものの、モスキーノが王道ファッションへしっかり向き合っているが見てとれる。ショーは大きく2つに分けることができ、前半はスーツ、後半はドレス・イブニングを提案。スーツスタイルは、力強いカラーを基調としながらも、立ち襟を器用に使い上品に仕上げているのがポイントだ。レッド、オレンジ、蛍光グリーン、パープル。弾けるようなビビットな色彩でウールやシアリング素材を染め上げ、2ピースに仕立てられている。中には、ミッドセンチュリーを意識したというマルチストライプ、そしてインビテーションのモチーフにもなったお菓子のパッケージ風プリントも登場している。よく見ると、それらはどれもベースはブランドアイコンのライダースになっていて、胸元のジップをぐぐっと伸ばしてワンピースタイプに再構築したり、身丈・袖共にカットオフしてショート&七分丈のジャケットに変えたり、ボタンをプラスしてコート風にしたり、ウエストベルトをバックスタイルのアクセントにしたり…と、ライダースにメスを入れてアレンジされたものになっている。イブニングドレスを含むドレスラインは、スパンコールやクリスタル装飾がキーワードに。胸元や背中が大きく開いたものや、優雅なマーメードラインを描くもの、身体にフィットしたスリムタイプまでどれも、“ジャラジャラ、ジャラジャラ…”歩みに合わせて音がするほどボリューミーな立体装飾が施されている。また、ほぼ全てのドレスは2つの素材をドッキングスタイルで提案。サテン地とスパンコール、シースルー素材とスパンコールといった具合に2種類が使用され、いずれもはぎ取ったかのようにランダムでジグザグのつなぎ目が特徴となっている。
2018年02月25日アンテプリマ(ANTEPRIMA)の2018年秋冬コレクションが、2018年2月22日(木)にイタリア・ミラノにて発表された。今季アンテプリマが描いたのは、冬の静かな空気感の中で高まっていくモダンロマンス。女性的でクラシカルなピースにハッとするようなアレンジを加えることで、 エレガンスに不安定さを孕ませたクリエイションを作り上げた。モチーフフラワーとなったチョコレートコスモスは、情熱的な恋の花言葉をもつ花だ。シンプルなイラストとしてや、花弁の茶色がかった深い赤色、花茎のくすみのある緑がカラーパレットに姿を変えてルックに登場した。随所に見られるオーバーレングスのディテール。ハイネックは顔を隠すほど高く、コートやドレスの丈は引きずってしまいそうなほどの長さだ。過剰に装われる部位がある一方で、はためくシフォンスカートに施された深いスリットやバックのカッティングからは覗く素肌の質感のアンバランスさは、儚げなフェミニティを演出する。全体としてシルエットは落ち感のある緩めのものであるが、縦に垂れ下がる太めのリボンやカッティングが縦のラインを強調しているためか、崩れた印象は感じさせない。上品なシルクや柔らかに揺れるウールが、むしろたおやかな空気感を醸し出している。
2018年02月25日エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)は、2018-19年秋冬コレクションを日本時間の2018年2月22日(木)23:00にイタリア・ミラノで発表する。ファッションプレスでは、その模様をライブ配信。前回の2018年春夏コレクションは、エミリオ・プッチが初のブティックを持ったカプリ島のリゾートスポットにインスピレーションを受け、「プール パーティ」をキーワードに展開。鮮やかなカラーリングのスイムウェアやシャツドレス、カフタンなど朝から夜までパーティを満喫できるほど、バリエーション豊かなルックで楽しませてくれた。最新コレクションはどのようなショーで魅了してくれるのか、期待が高まる。【詳細】エミリオ・プッチ 2018-19年秋冬コレクション開催日時:日本時間 2018年2月22日(木)23:00現地時間 2018年2月22日(木)15:00
2018年02月24日グッチ(GUCCI)の2018-19年秋冬ウィメンズコレクションが、ミラノ・ファッション・ウィーク2日目の2018年2月21日(水)に発表された。今季もメンズとの合同ショーである。テーマは「サイボーグ」。アレッサンドロ・ミケーレの世界から動物たちが姿を消した。クリエイティブ・ディレクター就任以降、彼の世界を象徴する存在として用いられていた鳥、タイガー、ネコなどが隠れ、また彼が積極的に使用していたメゾンのコード(GGロゴやウェブ)も今季は控えめになっている。代わって登場したのは「サイボーグ」というテーマにぴったりな不可思議な要素だ。ランウェイを歩いているモデルと全く同じ顔のマネキンがまるでバッグのように小脇に抱えられていたり、リュクスな素材で仕立てたドレスやコートがラップのようなシースルー素材で全面的に覆われていたり…。ニット帽には前髪風のサラサラなフリンジがあしらわれ、モデルたちの顔を覆面マスクのようなヘッドピースが覆っている。中には第3の目を持つモデルも。モチーフが控えめになったからか、素材やシルエットで遊んでいるルックが多い。ドレスにはベルベット、ラメ地といった光沢素材や総スパンコール装飾など、キラキラと光るツールを使用。袖口や胸元にはボリュームフリルがあしらわれ、裾がアシンメトリーにカッティングされたり、アームにふわっと膨らんだボリュームスリーブを組み合わせたり、不均衡なフォルムが主流になっている。また“着るジュエリー”と称するのが相応しいオールビジューのベストも存在する。演出、装飾、ファブリック…あらゆる面で新鮮さや変化を感じられるが、クリエーションの姿勢は変わらず折衷主義のようだ。特に今季は、野球から着想したスポーツスタイル、民族的なエッセンスの交差が激しい。膝丈のクラシックなスカートスーツには胸元「NY」のロゴをのせた。テキスタイルには野球のユニフォームのようなストライプ地が使用され、またスカート中央にはベースボールシャツのように縦一列にボタンをあしわれている。チャイナ服またはアオザイを解体したようなセットアップも登場。身頃には繊細な刺繍が施され“アジアの雰囲気”を感じさせるが、胸元の野球ユニフォーム風の刺繍がただの民族衣装ではないことを裏付ける。カーペットみたいなポンチョ、ターバンといったエスニックな小物も多く起用され、ミケーレの新しい世界を彩っている。
2018年02月23日モスキーノ(MOSCHINO)は、2018-19年秋冬コレクションを、日本時間の2018年2月22日(木)AM4:00にミラノで発表する。ファッションプレスではその模様をライブ配信。前シーズンは、“花”を様々なドレスで表現。一輪のピンクの花をモチーフにしたものや、ムラ染めで花びらを忠実に再現したデザイン、花そのものを模した球体のシルエット、花を寄せ集めて作った花束のようなルックなど、リアルに花を再現したドレスの数々がランウェイを飾った。また、ユニコーンのキャラクターMy Little Ponyとのコラボレーションアイテムや、チュールドレスなどと、レザーのハードなアイテムを合わせる“甘辛MIX”スタイルも散見された。最新コレクションはどのようなショーで魅了してくれるのか、期待が高まる。【詳細】モスキーノ 2018-19年秋冬コレクション開催日時:日本時間 2018年2月22日(木)4:00現地時間 2018年2月21日(水)20:00
2018年02月23日ブルマリン(Blumarine)は、2018-19年秋冬コレクションを日本時間の2018年2月23日(金)18:30にミラノで発表する。ファッションプレスでは、その模様をライブ配信。前シーズンは、ショルダーラインから長く伸びたリボン、胸元にあしらわれたフリル、ギャザーといったフェミニンなディテールと、ふわりとした曲線のシルエットで可憐な空気感を演出。シフォン、シルク、レースを中心に、柔らかな印象の素材を使い、レースを差し込んだチャイナ風ブラウスやパフスリーブのシフォンドレスなどが登場した。フラワーモチーフは繊細な刺繍やプリントで表現し、エレガントな美しさを描き出した。ミラノで発表される最新コレクションではどのようなルックが登場するのだろうか。ぜひリアルタイムでチェックしてみて。【詳細】ブルマリン 2018-19年秋冬コレクション開催日時:日本時間 2018年2月23日(金)18:30現地時間 2018年2月23日(金)10:30
2018年02月22日ジュン・ジー(JUUN.J)の2018年秋冬コレクションが、フランス・パリで発表された。デフォルメによる空間づくりを得意とするジュン・ジーが、今回はさらに身体との対話に熱心になった。ある一方では空間。もう一方では密着。重ねることで見出したのは、均衡と不均衡が紙一重で調和するワードローブの数々だった。構築的な洋服の中でもキー素材となったのは、まず一つ目にダウンだ。アウターだけでなく、ハイウエストスカートやマフラーとして異彩を放っている。特に首元のボリュームは今シーズンの特徴的なシルエットのひとつ。そこから裾へと流れるように直線的なラインが築き上げられているのだ。直線的なラインと言えども、今回は重なりと空気感があるからか、どこか歪みが感じられる。しっかりプリーツのかかったランダムヘムのスカートと、交差するチェック柄の直線はその関係性を如実に表している。不規則に並べられたプリーツが、本来直線であるはずのチェック柄を蜃気楼越しに見た景色のようにしてしまう。これが2つめのキー素材ではないだろうか。直線というのはシルエット全体からも感じられ、身体をすっぽりと覆うような縦のラインが強調されている。ワイドパンツは裾を引きずるほど長く、そこに同じくらい長いロング丈のウールコートを羽織っている。ラペルまで肥大化されたチェスターコートは、膝丈ほどまであり、その裾からはプリーツの縦線がなびいている。ディテールでは、紐やむずびのディテールが目に留まる。裾に忍ばせたドローコードは、丸いフォルムを生み出している。一方でただ垂らしたコートの紐は、裾をするほどに長く、今季の特徴的な縦のラインを繊細にも表現しているようだ。
2018年02月14日産地と食卓をつなげるイベントオイシックスドット大地株式会社が運営している「大地を守る会」が、2018年3月4日(日曜日)に「オーガニックフェスタ2018」を開催します。オーガニックフェスタは約400名の生産者と、約2000名の来場者が集う産地と食卓をつなげるイベント。今年開催の「オーガニックフェスタ2018」はJR「有楽町駅」から徒歩1分の「東京交通会館」で開催。76店のブースが出展するマルシェがひらかれ、大地を守る会が達人と認めるトマト農家による「春のトマト」や成清海苔店の「秋芽一番摘み」にこだわった海苔などが販売されます。生産者とコミュニケーションしながら買いものを楽しめるほか、各ブースに設置されたQRコードから生産者の情報を閲覧することも可能です。映画やトークセッションなども開催「オーガニックフェスタ2018」では物販だけでなくさまざまなイベントも開催されます。10時30分からは在来作物のおいしさや食文化、味覚について学べる映画「在来作物で味覚のレッスン」を上映。12時30分からは「ちょっと大人のチョコレート講座」が開催されます。14時からは人気料理研究家の枝元なほみさんによるトークセッション、15時からは印鑰智哉さん(日本の種子を守る会事務局アドバイザー)による「種のお話」が実施されます。「オーガニックフェスタ2018」の開催時間は10時から16時。入場は無料ですが、「在来作物で味覚のレッスン」と「ちょっと大人のチョコレート講座」は参加費500円が必要となります(要事前予約)。(画像はプレスリリースより)【参考】※オイシックスドット大地株式会社のプレスリリース/PR TIMES※オイシックスドット大地株式会社※大地を守る会
2018年02月13日トリー バーチ(TORY BURCH)は、2018年秋冬コレクションをアメリカ・ニューヨークで日本時間2018年2月10日(土)午前0:00より発表する。ファッションプレスでは、その模様をライブ配信。前回の2018年春夏コレクションは、インテリア・デザイナーのデービッド・ヒックスをインスピレーションの源に、カラフルで大胆な幾何学模様や細部に宿る美的感覚を反映したアイテムの数々が提案された。今季はどのような世界観を創り上げるのか、リアルタイムで配信される最新コレクションに期待が高まる。【詳細】トリー バーチ 2018年秋冬コレクション開催日時:日本時間:2018年2月10日(土)0:00現地時間:2018年2月9日(金)10:00
2018年02月11日タダシ ショージ(TADASHI SHOJI)は、2018年秋冬コレクションをアメリカ・ニューヨークで日本時間2018年2月9日(金)5:00より発表する。ファッションプレスでは、その模様をライブ配信。タダシ ショージがテーマにするのは「女性を最も美しく見せるデザイン」。独自のカッティング技術を用いた立体的なシルエットが、ボディーラインを美しくみせてくれる。前回の2018年春夏コレクションでは、ビビットなフラワーモチーフや太めのストライプなど大胆なデザインが施されたドレスが登場。ピンクやイエロー、グリーンやオレンジなどの鮮やかなカラーが、シフォンやレースをふんだんに取り入れた繊細なディテールのドレスを彩っていた。2018年秋冬コレクションでは、どのような表現を見せるのか注目したい。【詳細】タダシ ショージ 2018年秋冬コレクション開催日時:日本時間 2018年2月9日(金) 5:00現地時間 2018年2月8日(木) 15:00
2018年02月09日モスキーノ(MOSCHINO)は1月14日、ミラノファッションウィークメンズで2018-19年秋冬メンズコレクションとウィメンズの2018プレフォールコレクションを発表した。今回のコレクションのテーマは「Overt/Covert」。明白なもの(Overt)と隠されたもの(Covert)だが、ウィメンズは徹底したフェティッシュ。サスペンダーやガーターベルトで吊られた破壊されたテーラードやタキシード、パンツ、ホワイトシャツ、パーカ…。インナーはブラックPVCのボディスーツとマスクで覆われ、ウールのコートにはカマーバンドとオーバーブラ。ピンストライプの梳毛(covert)のスーツのジャケットはセクシーに破壊され、ピンナップガールを思わせる。“HOT”、“SPANK”、”CHERRY”、”X-rated”などの文字が全面に安全ピンで留められたコートやジャケット、モッズパーカ、あるいは大きく安全ピンが拡大されたプリントのモチーフのコートなど、パンクとフェティッシュなアイテムが黒とグレー、カーキのカラーを中心にハードに展開される。メンズもそれに呼応するかのようにテーラードなアイテムにくすぐりを入れたジェレミー・スコット(JEREMY SCOTT)お得意の饒舌なジョークスタイリング。テーラードコートのヘムをフェザーでフェミニンに仕上げたり、タキシードコートの前だけカットしたジャケットにはPVCのアンダーパンツにブーツ。肩を切り取ってサスペンダーをあしらったスーツやワンショルダーのピンストライプのダブルジャケットなど、マスキュランとフェミニンをミックスすることで、ジェンダー論争をからかった。ビザールで過激な見せ方ながら、後半のフォトプリントのドレスやMA—1をベースにしたドレスやジャケット、パテントレザーのコートなど、マーケットインしたアイテムへの落とし込みは流石。フィナーレにはつながったタンデムのタキシードを着たジェンダーレスなモデルをデュオで登場させ、相反と同一をミックスするモスキーノ・ワールドを締めくくった。Text: Tatsuya Noda
2018年02月05日ポール・スミス(Paul Smith)の2018-19年秋冬コレクションが、パリ・ファッション・ウィーク最終日の2018年1月21日(日)に発表された。この日の天気はあいにくの雨。今回のファッションウィークは雨続きで、どんよりした空気に少し嫌気がさしていた。そかし、そんな雰囲気と気分を払拭してくれたのがポール・スミスのショーだった。ドリーミーな色使い、幻想的なモチーフや刺繍によって、会場は来場者皆の気分を躍らせるポジティブなムードに溢れた。カラーパレットは、挿絵画家のエドマンド・デュラックにインスパイアされたロマンティックなコード。ミッドナイトブルー、バーガンディ、エメラルドグリーンなど。絵画のようなプリントは、サイケデリックなフラワーモチーフや優美な月明かりに照らされた風景でとにかくハッピーだ。なかでも、“Dreamer”プリントは特別な存在で、ウールやモヘアのニットに編み込まれている。表が一見トラッドなグレンチェックやブラックウールだとしても、裏地にはたくさんの色を用いたカラフルな世界が広がっている。一方で、あくまでテーラリングがベースなのは、これまでとは全く変わっていない。ただ少し違うのは、ジャケットの着丈を少し長くすることでリラクシングな着こなしを提案していること。これは、80年代にポール・スミスが積極的に提案していたスタイルに基づいたものだ。滑らかなサテンのラペルとプリーツのディテールが特徴的なテーラードコートは、ウールジャカードの袖に踊る妖精のモチーフを表している。シングルジャケットは、千鳥格子とプリンスオブウェールズの2種類のチェック柄をパネル使いで組み合わせたり、暖かく肉厚なウールコートの袖にレザーを組み合わせたりと、色柄のミックスによって構築されている。スーツというアイテムを尊重しつつも、素材、デザイン、着こなしをモダナイズしているのが今季らしさなのだろう。
2018年01月27日Y-3(ワイスリー)の2018年秋冬コレクション「NICE TO MEET YOU」が、2018年1月21日(日)にフランス・パリのグラン・パレにて発表された。今季は、スタイリングを構成するレイヤードのテクニックが光った。ドレープカラーのクロップド丈ブルゾンは、ふくらはぎ中程まであるチェスターコートの上に羽織ったり、テクニカル素材のパーカーはトラックスーツを重ねたり。コンパクトなレザーブルゾンはインナーにロング丈のシャツをあわせて、ボトムスではズワーブパンツとジョガーパンツの組み合わせで足元までキチンとレイヤードした。ヘムだけでなく袖口でもそれを強調していて、アウターを腕まくりしてトップスを見せるという着こなしも提案。袖にスリーラインがあしらわれたクラシックなラップコートの裾からは、今季のキーカラーであるイエローのプルオーバーが、そしてオープンカラーのオールインワンからはカッターシャツのクリーンな袖が覗いている。身体との空間を意識しながら楽しむレングスの遊びは、ただスポーティなものを重ねるわけではなく、トラッドなものも取り入れる。複雑化したスタイルの中には、これまでY-3 が大切にしていた部分とこれからに向けて進化する部分の両方を蓄えている。新鮮さを加えたファブリックはインサイドアウトの手法でさらに多様性を導きだしたようだ。ライニングで使われるキルティングは、アウターやトップスとして主役級の役割をしっかりと務めている。また、フラワーパターンはリバーシブルのMA-1で提案。同柄のナイロンジャケットは、スケルトンの黒から花柄が透き通ってほんのりと映るようになっている。常に進化し続けるY-3にとって、シューズは重視すべきアイテムのひとつで、今季も新しいスタイルが登場している。アディダスのアーカイブからインスパイアされた「Kaiwa」は、控えめなミッドソールによってミニマルな印象。また、靴下のようなフィット感を誇る「Ekika」は、滑らかなネオプレンメッシュのアッパーにスエードのアクセントとステッチのディテールを組み合わせた先駆的なスタイルだ。もちろん、ブランドを象徴する「Y-3」のロゴとスリーストライプは、どんなアイテムにも寄り添っている。それをより主張的に表したのは大判のマフラーだろう。そこにはスリーラインが伺えるだけでなく、ブランドのヒストリーを想わせる「Y DON’T YOU CALL ADIDAS」、そして今季のテーマ、革新的なものを迎える言葉「NICE TO MEET YOU」も配されている。
2018年01月27日ジョニー・ヨハンソン(Jonny Johansson)によるアクネ ストゥディオズ(Acne Studios)が1月24日、パリのサン・マルタン運河沿いにある税関内の船置き場を会場に2018-19年秋冬ウィメンズコレクションショーを開催した。今シーズンより、レディ・トゥ・ウエアのコレクション期間からクチュール期間中(2018年春夏パリオートクチュールコレクションウィーク)に移行しての発表となる。前シーズンはジョニー・ヨハンソンの友人、特にファッションとは関わりの無い人々からインスパイアされたものだったが、今季は街から離れたところで暮らすクリエイティブな人々から影響を受けたという。基本的なスタイリングはアウトドアを意識したレイヤードで、暖かそうな装いが中心。70年代レトロなフローラルモチーフのドレスやパンツはロマンティックで、トレンチやガウンジャケット、バイカージャケットなどは一見オーソドックス。しかしフローラルドレスは、プリーツの一本一本がローエッジになっていたり、コートの裾がフリンジになっていたり、極端にオーバーサイズだったりと、どこかにアクネ ストゥディオズらしいボリュームの変更とひねりが加えられている。それはハンド風ニットのディテールやソックス、プリントのストールにまで及び、通常ならば垢抜けなくなるアイテムを見事なまでに現在のモードに変換させている。今シーズンもジョニー・ヨハンソンのインテリジェンスに感服したのだった。
2018年01月26日ケンゾー(KENZO)の2018年秋冬コレクションが、2018年1月22日(月)に発表された。今季も、メンズ・ウィメンズの合同ショーで、パリ・ファッション・ウィークの最後を飾る。会場では、デザイナーのウンベルトが、お姉さんの結婚式の前の日に髪を染めて怒られたという実体験を劇団員たちが再現し、それをリアルタイムで大きなスクリーンに映し出した。まるでひとつの映画館のような空間。映画は見た瞬間だけではなくて、私たちの心に大きく残る。これまで人々に大きな影響を与えてきた映画のその魅力を、ワードローブにも投影したのだ。テーマは「My Sister’s Wedding」だ。ウエストラインを強調したサファリジャケット、大胆なプリントのタイトスカート、パンクなレザーのボディコンシャスなドレス……。スタイリングも同様。例えば、ボックス型のクラシカルなモヘアコートはトラックスーツと合わせた。ファーストルックから続けて登場するフェミニンとマスキュリンが交差するルックに、ケンゾーの多彩なものを積極的にとり入れるその姿勢を感じる。中盤になるファブリックが刺激を帯びる。花柄は蛍光カラーが織り交ぜられ、エキセントリックなスタイルへ。一方で、メンズでも採用されていたシルクサテンの桜のジャカードは、ローゲージのざっくりとしたニットに組みあわせられ、ペールカラーも相まってフェミニンな印象で登場。ナイトパティーを想わせるアシンメトリーなドレス、シースルーのアンサンブルなどセンシュアルなエッセンスもスタイリングの中に微量に交えていく。最後はグリッターに満たされる。この煌びやかさは、ランウェイというひとつの映画のフィナーレを飾るかのよう。スパンコールがミラーボールのように輝き、ケンゾーのランウェイ、そしてパリコレクションを締めくくった。今シーズンは彼の思い出も交えて、皆の思い出になるワードローブだと余韻を残して。
2018年01月25日阿部千登勢によるサカイ(sacai)が1月20日、リベラシオン紙が入居していたことでも知られる北マレ地区のガレージを会場に2018-19年秋冬メンズコレクション、2018年秋冬ウィメンズプレコレクションショーを行った。同ショーではアグ(UGG®)とコラボレーションした限定コレクションも発表された。ニューヨーク・タイムズ紙が昨年行ったキャンペーンで使用した「Truth(真実)」をキーワードとし、同紙の宣言を出発点として真理・知覚・信頼性の概念を探求したという。そうして、クリイティヴィティーを阻害するものに立ち向かい、自身の信念とアイデンティティーに正直でありつつ新たなものを創造する、と高らかに宣言。その強固な意思が現われる、力強いコレクションとなっていた。冒頭はフェアアイル・ニットからインスパイアされたアイテムで構成。ボリューム感あるフリンジを飾ったニットプルや、ミリタリーパーツを配したブルゾンなど、ゆったりしたサイジングの暖かそうアイテムが主流。特にブルゾン類については、コクーンのように身体を包み込むシルエットにすることで、その日の気分によって異なる着方が出来るよう工夫されている。今季のトレンドともいえるチェックやタータンチェックをあしらったアイテムのバリエーションも豊富だ。ミリタリーディテールのボンバース風ジャケットやブランケット風のコート、そしてダウンジャケットなど、そのどれもがこのブランドらしい異素材ミックスの妙を見せるものばかり。アロハシャツの老舗メーカー、レインスプーナー(reyn spooner)とのコラボレーションによるフローラルプリントも眩い。ミリタリーのディテールを配してコントラストを付けることにより、現代へのアイロニーをも感じさせた。UGG®のクラシックブーツをベースに、サカイのハイブリッドの美学を落とし込んだ限定コラボコレクションでは、UGG®のアイコニックなシープスキンブーツの甲へ、ストライプのニットを取り付け再構築。 全3色、2種類のシャフトの高さで展開される。発売は2018年秋、サカイ直営店、ドーバー ストリート マーケット、UGG®公式サイトでの展開を予定。
2018年01月25日クリスチャンダダ(CHRISTIAN DADA)の2018-19年秋冬コレクションが、パリ・ファッション・ウィーク最終日の2018年1月21日(日)に発表された。ところどころにドラムが置かれた、渦巻状に客席が並ぶ円形の会場。外はどんよりした雲行きで、雨が降り続いているにも関わらず、会場の中は爽快感や解放感で溢れている。テーマは「SPIRAL(螺旋)」。“螺旋は上昇·下降を繰り返す円環である。この螺旋は、私にとって進化を表象する円環なのである”という、映画監督デヴィッド·リンチの言葉にインスパイアされた。ドラムのパーカッションとともに、ランウェイはクラシカルなムードからスタートした。コーティングレザーのブーツカットやボディコンシャスなデニムがそこに加わり、パーカッションの音楽と共に一気にリズムを加速させる。メイントピックは、中盤に差し掛かるころ登場したカッパ(Kappa)とのコラボレーションだろう。MA-1やトラックスーツのアーム部分、トラックパンツのサイドライン、プルオーバーのフロントなどにはお馴染みのブランドマーク。面白いのは、スポーツブランドの概念を取り払ったことだ。ストライプのフォーマルシャツには、袖に沿ってマークがあしらわれている。全体的にはビッグシルエットが先行している。こなれ感の出るオーバーサイズのアウターは、クロップドパンツやスラックスに合わせてバランスを図った。肩の張ったジャケットが見せるどこか懐かしい男らしさは、ディテールやカラーでフェミニニティをプラスして新鮮な印象に。後半になるにつれ、より目立ったハイウエストのラップパンツにトップスをタックインするナードな着こなしも今季の特徴のひとつだ。そして何より、森川自身が意図する「スパイラル」が存在している。ボタン位置のズレたセットアップは、着用者の体を軸にまるで回転しているようにみせたデザインだ。めくるめく変わる素材のなか、クリスチャンダダらしい日本的要素を交えた表現は今季も健在。リンチのアート作品「スパイラル」へのオマージュとして織られた、京都・西陣織のセットアップ、そしてインディゴ染の生地を手縫いでつなぎ合わせたパッチワークのジャケットは、西洋のシルエットに日本の伝統美を落とし込んだルック。そして、モデルたちが最初から身に着けていた薔薇は、リンチの映画からインスパイアされたという。時代を超え、形状を変え、様々な要素を取り入れつつ新しいものを生み出していく進化を、リンチの作品と重ね合わせてワードローブに投影した今季。見るもの、着るものに、今までとは異なる形で美しさを再認識させる。
2018年01月25日