マシンとアプリによる新たなスキンケアサービス資生堂は、IoTスキンケアサービスブランド「Optune」を2019年7月1日(月)より本格展開する。マシンとアプリを使用した新たなスキンケアサービスだ。同製品は、IoTパーソナライズスキンケアにより、一人ひとり、毎日変わる女性の肌と肌環境に合わせたケアが可能となる。スマートフォンにダウンロードした専用のアプリによる肌測定データや温湿度などの環境データと、睡眠データを分析し、その日に合わせたスキンケアを専用のIoTマシンから提供する。80,000通りの抽出パターンから提供申し込み時の肌情報に合わせて5本のスキンケアカートリッジとマシンが一緒に自宅に届く。マシンに手を差し入れるだけで80,000通りから今の肌に必要な2ステップのスキンケアを提供してくれる。肌の分析には、専用アプリを使用。スマートフォンのカメラで肌を撮影するだけで、水分量、きめ、皮脂量、毛穴などの肌の状態を知ることができる。さらに、体内リズムの乱れを感知する機能も搭載。就寝時にアプリに内蔵された睡眠測定機能を設定しておくと、睡眠中の動きを感知し、体内リズムの乱れを感知してマシンに反映する。カートリッジの残量を管理し、自動で配送マシンにセットされたカートリッジの残量は自動で管理され、無くなる前に自動で配送される。家事や育児、仕事で購入する時間もなかなか取れない女性たちにぴったりだ。同社として初めて、定額制料金のサービスを導入し、「月額10000円(税抜き)」で利用できる。申し込みは、同ブランドサイト内の申し込み専用ページから可能。(画像はプレスリリースより)【参考】※資生堂ニュースリリース
2019年07月05日昨今よく耳にするIoT家電。最近もCMなどで「OK!Google」や「アレクサ」などをよく見聞きしますよね。働いていて家を留守にしがちな筆者は、IoT家電たちに日々助けられています。筆者が「これは本当に使える!」と日々多用しているIoT家電を紹介したいと思います。■ 外から家の中を確認。会話もできるネットワークカメラ我が家には中学2年生の息子と小学校5年生の娘がいます。筆者が仕事から帰宅する前に彼らが帰宅することがほとんどですが、鬼の居ぬ間に……とはこのことで、自由にリビングでくつろいでいて、疲れて帰宅したら宿題何もしてませんでした!なんてこともしばしば。そこで使い始めたのがネットワークカメラです。値段は様々で、筆者は1万円以下の比較的安価なものを使用しています。このカメラをリビングに設置して、カメラ専用のアプリをスマホに入れます。そのアプリを開けば、リアルタイムでリビングの様子を見ることができるのです。筆者が使用しているものに関しては、水平方向に350度、垂直方向に100度表示することができるので、リビングの真ん中にカメラを置けば、スマホの画面をスライドさせることでカメラの方向を動かして部屋全体を見ることが可能です。スマホで見る昼間の部屋の様子。かなり鮮明です!こちらは明かりがついていない状態の夜の様子。夜でも鮮明ですよ!このように暗闇でも10メートル以上の範囲で見ることが可能です(かなり見えます!)。このカメラ、何が良いってマイクがついているので会話ができるんです。上のスマホ画面のマイクボタンを長押しして画面に話しかければOK!仕事の合間に「宿題やったのー?」なんて話しかけたりできるのは非常に便利。また、カメラがある側は特に操作が必要なく、アプリで音声のON/OFFを切り替えるだけで、音声も一緒に拾ってくることができます。筆者は仕事の息抜きにたまに子ども達やペットの様子を見て癒されたり、旅行などの長い留守の際もスマホでどこでも確認できるので何かと安心です。離れていてもお家の中を確認できるのは本当にありがたく、筆者一番のオススメです!■ テレビの電源を遠隔操作で強制シャットダウン!?しかし!カメラで子どもたちの様子が見られたとしても、テレビを見てばかりで宿題をやらない子どもにその場でリモコンを使って電源OFF!といった実力行使ができないのが、その場にいない母の弱みでもあります。そんな時にスマートプラグというものを使ったら、これがなかなか便利なんです!この白いプラグに制御したい家電のアダプタを差し込んであとはスマホの専用アプリを設定します。要は、制御したい家電(我が家はテレビ)のアダプタをこのプラグに差し込んで、スマホアプリから遠隔で電源をON/OFFさせるといったものです。電源の元を制御しているので、子どもがリモコンで電源を入れようとしても入れられない、というわけです。だらだらとテレビを見ている息子に、遠隔シャットダウン制裁を初めてくらわせる瞬間をネットワークカメラで見届けた時は、ちょっと笑ってしまいました(笑)。テレビだけでなく、いろいろな家電に使えるのでとにかく便利です。■ 子どもがスマホ使いすぎたときの最終兵器?freeangle / PIXTA(ピクスタ)中学生にもなると、学校での付き合いでLINEやゲーム、延々と見てしまう動画サイト……親が介入できない部分もたくさん出てきますよね。筆者は1日〇時まで、といった約束をしていたのですが約束を守らずにいることもしばしば。こうなった時に、最終兵器を発動します!それは、子どもが使う機器のMACアドレスをルーターの設定で拒否してしまうというもの。これは、今ご使用のルータでもできるものも多いので、最終兵器を投下しようか迷ったら、ご家庭のルーターのアドレスの設定を確認してみるとよいかもしれません。ちなみに筆者宅はいちいちPCを開いて操作するのが面倒なので、スマホアプリでこの設定ができるルーターを使っています。約束を破れば突然自分のスマホやタブレットだけWiFiがつながらない、という状況に簡単にできる、というわけです。saki / PIXTA(ピクスタ)いかがでしたか?日々進化するIoT家電たち。自分たちの生活にうまく取り入れていくと便利でなかなか面白いですよ!
2018年09月24日秋も深まってきました。季節が変わるとインテリアも変えたくなりませんか? 手っ取り早く部屋の雰囲気を変えるなら「照明」チェンジがおすすめ! 今回は、単に明るく照らすだけでなく、ちょっとユニークな機能が付いた、子育て家庭におすすめの最新照明を2つご紹介します。■子どもの自然への興味も育むソーラーランプ「+d Floe」(プラスディー フロウ)まずひとつめは、インテリアとしてもおしゃれな「+d Floe」(プラスディー フロウ)。なんとこれ、本体底面のソーラーパネルで充電が可能なソーラーランプ。日中、太陽の光が差し込む場所に置いておけば、蓄えた太陽の光をやわらかな光として放ってくれます。非対称の六角形なので、場所や季節によって変わる太陽の位置に合わせて、パネルの向きを調整するのもカンタン。毎朝子どもと「今日はどこに置こうか?」と相談したり、夜に「今日はどれくらい光ってくれるかな?」とチェックしたり、親子の楽しいコミュニケーションが生まれます。ソーラー充電は環境にもやさしく、子どもが自然や環境に興味をもつきっかけにもなってくれそう!広い海を渡りゆく流氷をイメージしたというフォルムは、どこか愛嬌があり、子どもも親しみをもってくれるはず。デザインを手がけたのは、ロンドンを拠点に世界中で活躍する安積朋子さん。素材は磁器で、オブジェとしても美しく、インテリアのアクセントにもなります。手頃なサイズなので持ち運び移動もしやすく、気軽に場所を変えて楽しむこともできます。充電できる晴れの日が親子共通の楽しみになりますね。■+d Floe(プラスディー フロウ)約W170×D90×H146mm、約670g 10,800円(税込)お問い合わせ: アッシュコンセプト ■まるで“アラジンの魔法のランプ”?!「popIn Aladdin」(ポップイン アラジン)「毎日子どもの寝かしつけが大変」というママは多いと思いますが、「おやすみ」前のひとときを親子の楽しいコミュニケーションタイムに変えてくれる、夢のようなランプがクラウドファンディングに登場しました。それが、寝室用IoTシーリングライト「popIn Aladdin(ポップイン アラジン)」です。一般的な「ライト」の機能に、「プロジェクター」「スピーカー」「音声認識対応マイク」をプラス。音声操作でさまざまなコンテンツを呼び出すことができ、まるで『アラビアン・ナイト』に登場する「アラジンの魔法のランプ」のような体験をもたらしてくれる…いうのが商品名の由来なのだとか。最大の特徴は、プロジェクター機能によって、さまざまなコンテンツを壁一面に投影できること。子ども向けには、うごく太陽系や日本地図などの「学習ポスター」や「世界のふしぎ」を知る学習百科コンテンツなど多彩な知育コンテンツが用意され、スマホアプリから再生操作が可能。スマホやテレビの画面と違って明るすぎないので、目や脳が疲れづらく、眠る前に見るのにぴったり。また、いろいろな教材を壁に貼らなくて済むので、すっきりした寝室をキープできます。親向けには、子育てのコツやおでかけ情報などのコンテンツを毎日自動的にレコメンド。朝起きてすぐ、天気などの情報をササッとチェックできるのは便利ですよね。情報はインターネット経由で随時更新されるので、新しいお役立ち情報がどんどん手に入ります。このほかスピーカー機能を生かして、声優による童話の朗読やリラクゼーション音楽を聴いたり、スマホ内の写真やビデオを壁一面に写したり、楽しみ方はいろいろ。ちなみにAI(人口知能)による音声認識機能が搭載されているので、ライトの付け消しも「アラジン、電気つけて」「アラジン、電気消して」という音声だけでOKだとか。同商品の発売はちょっと先で、2018年7月を目標とし、現在クラウドファンディングで支援者を募っています。目標金額が達成されて商品化が実現した場合、いま支援すると販売予定価格49,800円から、最大30,000円引きで手に入るそう。すでにかなりの支援者が集まっているので、これからますます注目を集めそうです。■popIn Aladdin(ポップイン アラジン)49,800円 ※販売予定価格(税込)/クラウドファンディグの早期割引料金ありお問い合わせ: クラウドファンディング 支援者募集中 ※このプロジェクトは2017年12月6日(水)12:24までに目標金額を達成した場合のみ商品化されます(プロジェクトが実行されない場合、請求は発生しません)単に照らすだけでなく、プラスの機能が付いた楽しい変わりダネのライトは、お部屋の雰囲気を変えると同時に、親子の時間を素敵に楽しく彩ってくれます。照明の買い替えや追加を検討している方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
2017年10月21日ITホールディングスグループのTISは4月5日、IoT(Internet of Things)技術を活用し、各種機器の消費電力データを収集して消費電力の見える化を実現する「消費電力可視化サービス」の提供を開始した。新サービスは分電盤の配線ごとにクリップセンサを取り付け、機器ごとの消費電力データを収集、そのデータを専用のWEBサイトで容易に閲覧することができるサービス。配線ごとにセンサを取り付けられるため、個々の機器の電力使用量を計測でき、消費する電力をリアルタイムに把握することが可能だという。これらのデータを分析することで、電力消費の抑制に加え、各機器の利用時間帯やオペレーション状況なども把握でき、業務改善も実現できるとしている。新サービスでは、サービス導入コンサルティングからセンサの設定、データ分析、そしてデータ分析から得られた結果をベースに業務改善提案などを顧客の要望に合わせて提供する。例えば、飲食業など多店舗展開する業態の企業の施設管理において各拠点の消費電力を測定し、機器ごとの電気使用量を分析することで、電気料金の削減やオペレーションの改善に活用することができる。多くの拠点を有する企業ほど、多数の分電盤が設置されているため、同サービスを有効に活用できるという。TISでは、新サービスを飲食業や物流業など多店舗展開する業態の施設管理ソリューションとして展開し、2019年までに2万拠点への導入を目指し、今後は取得したデータの分析やBIツール、ERPとの連携なども対応していく方針だ。また、同社が小売電気事業者向けに提供している顧客・販売パートナー向け「エネLink Portal+」のオプションメニューとして新サービスを展開していく予定だ。価格は初期費用が個別見積もり、月額費用は1万3000円(センサ、モバイルルーター、Webサイト、月次レポート含む)。
2016年04月06日ソフトバンクは3月18日、宮城県仙台市の仙台駅前にIoT製品の体験スペース「TECH CAFE(テックカフェ)」をオープンした。ヘルスケアから監視カメラまで、さまざまなIoT製品を取り扱うスペースで、同店舗は東京・六本木と南池袋、大阪の心斎橋に次ぐ4店舗目、地方の中核都市としては初の開設となる。IoTをテーマとするテックカフェだが、都市圏でもまだまだIoTというキーワードが一般化していない中で、なぜ仙台に店舗を設けたのか。同社プロダクト企画本部 商品企画統括部 スマートデバイス企画部 部長の石川 俊司氏に話を伺った。○IoT製品とは何かを感じ取れる場所に石川氏によると、昨年12月にスタートした六本木店と心斎橋店は予想以上の関心を集めており、来店者も多い状況にあるという。そのため「(携帯ショップの)代理店を含めて、協力いただける環境ができつつあった」として、当初は年度内に2店舗の予定だったものを、4店舗目となる仙台にまで拡大した。既存店舗では、来店時に展示商品を気に入ったら投票するボタンを用意したり、アンケート調査を行ったりしており、来店者の生の声、反応をフィードバックして配置する製品構成に生かしている。本来はスマートフォンの購入がコンバージョンとなるものの、現実としては楽しい場所止まりな部分もあると石川氏は苦笑いしつつも、「来ていただいたお客さまの9割が『チャレンジ姿勢を感じる』と評価していただいたほか、IoTに興味を持ち『またこの場所に来たい』と回答していただいたお客さまも9割いました」とのことで、一定の成果があるようだ。特に、他キャリアのユーザーもIoT製品ブース自体に興味を持って来訪するケースが通常より多いようで、「携帯ショップとして入るのではなく『何か面白いことをやってるぞ』と別の目的で入ってきていただける副次効果には眼を見張るものがあります」と喜びを見せる。スマートフォンが"同質化"することでラインナップに多様性が見られなくなったことから、近年の携帯ショップでは、さまざまなアクセサリや保険、名産品の販売といった携帯ショップから一歩離れた商材を並べることで、顧客との接点を確保しようという動きが見られる。保険や名産品の販売が悪いわけではないが、IoT製品は「スマートフォンが中心の世界で"サブキャラ"が必要になる時代が来る。そうした時に、携帯ショップとして、スマートフォンを説明できる人材がいなくてはIoT製品の世界観を説明できないし、スマートフォンとの親和性もある」と石川氏が話すように、スマートフォンの本質に近い製品として、取り扱う意義がある。石川氏は、商品企画の部門としてIoT商品をどのように顧客へ届けるかにフォーカスして企画を進めてきた。ただ、IoTはキーワードとしてビジネスシーンで盛んに取り上げられるものの、実情として「成功事例がない」(石川氏)という。「IoTはスマートフォンの『なんでもできます』状態ではなく、目的別に機能が限定されてハードウェアとして提供されており、使ってみないとわからない。ならば、使える環境を提供しようじゃないかとテックカフェを展開しました」(石川氏)IoT製品は、家電量販店でも多く展開されているが、ヘルスケア製品であればヘルスケアコーナー、カメラ製品ならカメラコーナーと、目的別に配置が異なるため、スマートフォンを中心に利用する製品にもかかわらず、スマートフォンから遠い位置に製品が点在する。その問題を解決するため、スマートフォンを説明できるショップ店員がいる環境とあわせて、トータルにIoT製品を見て、楽しんで、知ることができる場としてテックカフェを用意した。「まずは使っていただくことが大事です。ブランド知名度が上がれば、もっとこうしたテックカフェをさまざまな場所へ展開していきたいと考えていますし、発売前、開発中製品の展示も六本木店では行っています。ゆくゆくは、自分たちがイチから作ったIoT製品も世の中に提供していきたいですね」(石川氏)
2016年04月05日セゾン情報システムズは4月1日、2016年夏に出荷予定のIoT対応製品「HULFT IoT」の先行検証版の提供を開始した。「HULFT」は、業務システムのファイル転送に必要な機能が実装されたミドルウェア。IoT対応製品「HULFT IoT」は、これまでの「Computer to Computer」から「Device to Cloud」にシステム間連携範囲を広げることで、IoT領域における安全で確実なシステム間連携を実現するという。今回提供される先行検証版を通じて、同社では2016年夏の正式出荷に向けた製品化プロセスを進めるため、先行20社による実証実験を予定している。現時点では3社が先行検証を実施しており、製造ラインにおける品質担保に「HULFT IoT」を活用するといった検証が進められているという。なお、先行検証版の申し込みは、同社のWEBサイトから行える。
2016年04月04日●賞金総額500万円、THETA×IoTのコンセプトを募集リコーは3月31日、同社が開発した全天球カメラ「RICOH THETA」と連動するアプリケーションやガジェットを募る「RICOH THETA × IoT デベロッパーズコンテスト」を開催することを発表した。ここでは、同日、東京大学本郷キャンパス ダイワユビキタス学術研究館 ダイワハウス石橋信夫記念ホールにて行われた、同コンテストの説明会の様子をレポートする。同コンテストは、リコーより公開されるクラウドAPIを用いて、「RICOH THETA」(以下、THETA)と連動するアプリケーションやガジェットを幅広く募集するもの。昨年開催された「RICOH THETA デベロッパーズコンテスト」をさらに進化させ実施するもので、同社が主催し、ユビキタス・コンピューティングおよびIoTの研究開発を行う「YRPユビキタス・ネットワーキング研究所」の共催、そしてIoT技術を活用したオープンアプローチによる情報社会基盤の展開を学術・研究の立場から推進する「東京大学大学院情報学環ユビキタス情報社会基盤研究センター」の特別協力、さらに日本科学未来館とドワンゴの協力により開催される。○キーワードは「オープン」最初に登壇した、東京大学大学院情報学環 教授/ユビキタス情報社会基盤研究センター センター長/YRPユビキタスネットワーキング研究所 所長の坂村健氏は、同センターがこのコンテストに協力する理由について、『世の中がIoTやユビキタスコンピューティングなどで変わっていくの流れでは、あらゆる情報を「オープン」にすることで大勢の人々が参加し、さまざまな問題を解決していくことが重要だ』と冒頭の挨拶で強調。こうした考えにリコーが賛同し、今回のコンテスト開催に至ったという。また、賞金が贈られるコンテスト形式にすることにより、それが大きなインセンティブになると述べた。○最優秀賞に賞金100万円を贈呈続いて、リコー 新規事業開発本部 新規事業・プラットフォーム開発センター 所長大谷渉氏が登壇し、コンテストの概要について説明した。今回募集するのは、THETAとセンサー、Web上のデータなど、インターネットと融合した新しいIoTコンセプトのアプリケーション、あるいはTHETAと連動するガジェットやアプリケーションだと説明。スケジュールについては、募集期間が4月1日~8月10日、応募作品の提出締め切りは8月31日。審査を経て、11月7日に表彰式が予定されているということだ。また、最優秀賞(1点)には賞金100万円、優秀賞(3点)に50万円、80周年記念賞(5点)に30万円、審査員特別賞(点数未定)に10万円がそれぞれ贈呈されるという。そして応募者特典として、クラウドAPI(ベータ版)およびTHETAシリーズの筐体3Dデータが提供されるとのことだ。その他、コンテストの詳細については、コンテスト特設サイトを参照して欲しい。なお、このコンテストの狙いについて大谷氏は、「ハードウェアを介してサービスを提供するプラットフォームへ変わっていく第一歩にすること」、「プラットフォームをオープン化することで幅広い人々に参加してもらい、一緒に価値を作り上げ育てていく形態へアプローチすること」のふたつを挙げた。提供するものについては、全方位写真・ビデオ向けに設計されたクラウドストレージ機能のREST APIのほか、全方位ビデオをリアルタイムで送受信できる仕組みやTHETAを遠隔操作する機能、センサーと連携させるための機能を予定しているという。さらに、SNSとの連携や機器認証・管理など、THETAのアプリケーション開発でよく使われる機能についても公開するということだ。最後に大谷氏は「機能やデータを可能な限りオープンにしていくこと」と、「ユーザーや開発者のコミュニティを大切にし、声を聞いて開発に役立てていくこと」が同社のプラットフォームに対する考え方であると明かした。●今、「IoT」という呼称が使われている理由は?○IoTは社会を大きく変えるか、カギは「オープン性」再び坂村氏が壇上に戻り、オープンIoTとこのコンテストの関連性について述べた。同氏によれば、自身が1984年から取り組むプロジェクト「TRON」の目的が、今で言うところの「IoT」で、それを実現するには「API」(アプリケーション・プログラム・インターフェイス)のオープン化が必須であるという。例えば、ハードディスクレコーダーの機能がAPIとしてネットワーク経由で呼び出せれば、スマートフォンで出先から操作したり、クラウド側でデータを管理して高度な録画設定や再生を行ったりすることなどが可能にあると前置きし、APIが公開され、独自のUIを持たないソニーの「nasne」を紹介した。APIがクローズの場合、同じメーカーの機器同士としか連携できないが、ここ最近はAPIのオープン化が少しずつ浸透し、メーカーを超えたすべての機器間の連携が可能になってきたという。また、これまでも同義語が多く現れてきた中で「IoT」という呼称が定着した理由として、坂村氏は「『モノがインターネットに繋がる』のではなく『インターネットのようにモノを繋ぐ』ことを明確にしている呼称だから」だとした上で、IoTが大きく社会を変えられるかどうかのカギは「オープン性」であると強調。オープンアーキテクチャやオープンソース、オープンソース・ハードウェア、そしてオープンAPI、オープンデータへと、さまざまなものがオープン化され、多くの人々の力で製品を発展させていくという考え方に世界中が移行してきたと説明した。坂村氏は、今回のコンテストで採用された「オープンAPI」により、全世界の人々からの新しいアイデアが集まり可能性が広がっていくと語る。THETAはまさにこうした考え方を先取りした製品であり、クラウドを介してコントロールするAIPをすべて公開し、これにより高度な機能を実現しようというのが今回のコンテストであると説明した。今回のコンテストでは「1人ではできないような、チームによる大きなシステムの応募を期待している」とし、「日本人は仲間でない他人との連携を好まず、エコシステム作りも下手だが、これからは日本でもこのコンテストを開催するリコーのような先進的な考えの会社が増えることを期待している」と語るとともに、IoTがオープンでベストエフォート型の世界であることを、日本がもっと学ぶ必要があると断言した。最後に坂村氏は「今回のコンテストが、変わり始める日本を象徴するコンテストになることを願うとともに、どんなことが起こるか大いに期待しています」と述べ、説明会を締めくくった。なお、コンテストの審査基準は、IoT時代に相応しい革新性(独創性)、将来性や発展性、実用性、利便性などが総合的に判断されるという。審査員は坂村氏のほか、日本科学未来館 科学コミュニケーション専門主任 小沢淳氏、NAKED代表 村松亮太朗氏、ドワンゴ 技術コミュニケーション室 室長 清水俊博氏、リコー 会場執行役員 近藤史朗氏が務める。
2016年04月01日オプティムは3月30日、直感的にIoT端末の制御、データ解析、AI(人工知能)、クラウドサービスと連携ができる「OPTiM Cloud IoT OS」を発表した。2016年夏頃の提供を予定している。同社では、スマートフォン・スマートデバイス管理技術分野のノウハウ・技術を応用し、2014年よりドローン・ネットワークカメラ・ウェアラブルデバイスなどを含むIoT端末の研究開発を進めている。OPTiM Cloud IoT OSは直感的かつ安全なIoT端末の管理・制御、データの蓄積・分析、クラウドサービスとの連携を可能とし、あらゆるユーザーがIoTを享受できる「新しいユーザー体験」を提供するという。サービスの特徴として、UI(ユーザーインタフェース)はデスクトップOS形式を採用し、直感的な操作が可能。IoT端末から取得した情報を蓄積し、標準搭載している接続中のIoT端末やデータをデバイスに一覧表示する「OPTiM IoT Explorer」の画面から閲覧できるほか、緊急を要する場合においても、スマートフォンに通知する設定を行える。また、OPTiM IoT Explorerで収集している機器の情報やカメラ映像分析など、さまざまな数値・映像データに対して分析を行う「OPTiM Insight」を標準アプリケーションとして提供することに加え、数値・映像データをビジュアル化して表現することで、状況の把握が可能。ウィジェットエンジンの標準搭載により、デスクトップ上で必要かつ最新の情報を常に確認できるという。さらに、画像データや各IoT端末から取得したデータに対し、OPTiM Cloud IoT OSに搭載されているAIやビッグデータ分析エンジンを駆使することで、人の手を介して行うには困難である膨大なデータを多様な角度から分析。これにより、農業分野ではドローンを用いての品種ごとに異なる害虫を検知したり、医療分野ではヘルスケアデバイスが取得したバイタルデータから病気リスクの予測や予防への活用、建築分野ではセンサーが取得したデータからビルの老朽化を予測したりするなど、さまざまな産業において応用でき、新たなアプローチを可能としている。加えて、企業が保有する情報の全てはテナントと呼ばれる空間ごとに区切られて保存。テナント内は、マルチアカウントに対応しており、組織階層、グループごとの細やかな権限管理が容易に実施できるという。そのほか、統合開発環境の「OPTiM Code」利用し、OPTiM Cloud IoT OS上で動作するアプリケーションを容易に作成することを可能とし、IoT端末やサービスを専門に販売するマーケットプレイスである「OPTiM Store」も利用が可能だ。公開予定のAPIはマルチテナントな階層管理、アプリ管理などのコアロジックを担うCore API、リアルタイムなストリームデータ、および永続化されたストリームデータのI/Oを担うMessaging / Datastore API、クラウド上でユーザープロセスを実行可能とするPaaSを担うRuntime API / OPTiM Codeとなる。また、仮想化されたコンピューター基盤上でインターネットを介し、アプリケーションサーバ・データベースを提供。これにより、クラウド上に構築されるシステムは用途に応じて自動的に拡張され、物理的な制約から開放されるとしている。
2016年03月31日ソフトバンクは30日、主にIoT関連のアイデアや試作品の商品化を支援する消費者参加型プラットフォーム「+Style」(プラススタイル)を発表した。同日から提供開始する。IoT商品などを創出したい企業と、IoT商品などを購入したい消費者をつなげるプラットフォーム。企業は消費者の声を取り入れながら商品の企画から販売までを行え、消費者は自分のニーズに沿った他では手に入らない商品を購入できるようになる。主な機能は、投稿されたアイデアに対し意見を募集する消費者参加の商品企画「プランニング」、事前に商品購入を募り一定額以上の応募で商品化する「クラウドファンディング、一般販売前の商品を先行販売・数量限定販売で購入者から意見を募集できる「ショッピング」の3種類。購入者の評価が高い商品は、ソフトバンクショップでの取り扱いも検討する。利用は個人・法人ともに可能。アイデアや試作品を公開したい場合、掲載フォームから問い合わせし、キュレーターと相談したのち、クレジットカード等の審査を経て、一般公開される。第1弾として、ソニーのスマート照明「Multifunctional Light(マルチファンクションライト)」や、Cerevoのロードバイク向けテレメトリ(遠隔測定)デバイス「XON RIDE-1」、ピクセラのライブ配信対応360度カメラ「パノトルLIVE」といったアイデアや試作品をラインナップ。4月下旬までに、同プラットフォームで29製品を順次公開していく。掲載商品の一部は、ワイモバイル六本木 Internet Parkの「TECH LAB」、ソフトバンク表参道の「Future Marketing Unit」スペースでも展示する。このほか、優れたアイデアを商品化する過程を下支えする「ものづくりサポーターズ」も結成。資金や設計、開発、生産など、得意分野に応じて企業がサポートし、新製品やサービスを生み出す環境を提供していく。
2016年03月30日ユニアデックスは3月22日、企業におけるIoT利活用の早期実現を支援するため「ユニアデックスIoTエコシステムラボ」を4月11日に開設すると発表した。同社は、2015年7月からデバイスなどのセンサ技術とICTインテグレーション技術を組み合わせたIoT分野の実証実験を実施。また、これまで培ったデバイス開発を含めたICT基盤技術を駆使し、デバイス、ネットワークの提供からデータ収集・配信、データ加工・解析までのワンストップサービスを実現する「IoTビジネスプラットフォームサービス」の開発も日本ユニシスと共同で進めている。今回、開設するラボではIoTを利活用した新たな価値創造の実現を目的に、顧客の課題を解決するシナリオの具体化に向けた「利活用検討の場」、オープンイノベーションをもたらす共創パートナーとのIoTを利用した「ビジネス共創する場」として、さまざまな活動を進めていく。利活用検討の場では「体感」「仮説導出」「技術検証」を目的にIoT利活用の具体化を目指すほか、ビジネス共創する場ではさまざまな強みや知見を持った共創パートナーとバリューチェーンから課題と価値創出の利用シーンを洗い出し、段階的な試行により利用シーンを具現化することでビジネスの早期実現を目指す。プレオープンは4月11日~6月上旬に同社の東京ベイ開発センターとなり、本オープンの開設時期は6月上旬、東京都江東区豊洲、東雲への移転を予定。なお、ユニアデックスはラボの活用にあたり、有償にてワークショップによる利活用シナリオ導出やコンセプト立案、それを検証する技術的支援、IoTスタートキットの提供を予定している。
2016年03月23日インフォコムは3月17日、IoTに対する取組みの一環として、漁業領域におけるIoT活用の共同開発研究プロジェクトをスタートすると発表した。同プロジェクトは、米EverySense(エブリセンス)、光電製作所およびブロードバンドタワーと共同で進める。インフォコムは、2016年1月にIoT領域の専任組織である「IoT推進部」を設置し、事業創出に向けて本格的な活動を開始するとともに、IoTプラットフォーム上でデータ交換サービスを提供するエブリセンスとの事業提携を行い、取り組みを加速している。今回、エブリセンスと光電製作所が開発した「EveryStampFF(Fish-Finder)」を用いてデータ収集を行い、ブロードバンドタワーのデータセンター機能と、インフォコムのデータ分析技術やアプリケーション開発力を融合し、魚群探知機を連携する情報共有プラットフォームを構築するプロジェクトをスタートした。プロジェクトが実現した場合、水揚げ港や水産管理施設など地上側とのより広域においてリアルタイムな情報共有が可能になるという。今後は、衛星データなどとの連携により、水深/水質/水温/潮目/潮流/風向/風速/波高などの海洋情報との統合的収集、分析への展開を進める予定となっている。
2016年03月18日TISは3月17日、電池レスかつ配線レスの無線通信規格「EnOcean(エンオーシャン)」に対応したセンサをアマゾンウェブサービス(AWS)のIoT(Internet of Things)のマネージド型クラウドプラットフォーム「AWS IoT」と組み合わせて提供することを発表した。TISでは、需要が拡大しているIoT関連システムの構築支援に向けて各種アライアンスや関連技術の取り込みを進めており、EnOceanセンサの取り扱い開始もその一環だという。EnOceanは光や温度、振動などの微弱なエネルギーを集めて電気エネルギーに変換する「エネルギーハーベスト技術(環境発電技術)」を使用した電池不要の無線通信規格。特にスマートホームやビルオートメーション分野で急速に普及が進んでいるという。また、TISはAWSパートナーネットワーク(APN)の「AWSプレミアコンサルティングパートナー」に認定されており、数十億個のデバイスとそこから収集される数兆件のデータを確実かつ安全に処理することが可能なAWS IoTにEnOceanのセンサを接続してデータの収集・蓄積が可能なことを検証した。今後は、AWS IoTにEnOceanセンサを組み合せたIoT向けプラットフォームを製造業などを中心に提供していく方針だ。
2016年03月18日NTTデータ イントラマートは3月16日、外食産業のコロワイドの子会社であるワールドピーコムと提携し、店舗における電力削減を目的としたIoTの実証実験を開始すると発表した。実証実験では、イントラマートが提供するシステム共通基盤「intra-mart」に搭載される「IoTモジュール」「プロセス管理モジュール」を活用したセンサー情報を基に、店舗の電力状況を監視・把握、自動分析し、現場へ状況を通知して改善策を促すプロセスを確立させ、10%以上の電力コスト削減、化石燃料使用量の削減を目指す。さらに、このプロセスをクラウド(MEMソリューションズのクラウドサービスを想定)で展開することで、初期コストを抑え、利用形態に合わせたスケーラブルな運用を可能にするとともに、本部側での各店舗の電力分析と店舗間の電力削減ノウハウのスムーズな共有を実現する。システムを利用する端末としては、ワールドピーコムが提供するスマートワイヤレスルータ(多機能無線ルータ)、タッチパネル式端末「メニウくん」をWeb端末として利用する。
2016年03月17日ニフティは3月15日、法人向けMVNOサービス「NifMo法人サービス」において、M2M(Machine to Machine)やIoT(Internet of Things)での利用に適した、上り下り最大200kbpsで月額480円(税別)の「スタートプラン」と、小容量で月額640円(税別)の「1.1GBプラン」を提供開始すると発表した「NifMo法人サービス」では、これまで法人企業向けに3つのデータ通信プラン(3GB、5GB、10GB)のSIMカードを提供してきたが、M2MやIoT分野のにおいては、低速度の通信で十分なケースや、テキストデータだけをやり取りするなどのデータ通信量が少ないケースも多いことから、新プランを提供する。新サービスは低速度/小容量のプランであるため、POS管理やバス・トラックなどの運行管理、農作物管理、各種計測器・センサーでのデータ送受信などでの利用に適している。概要は以下のとおり。今後、より幅広い用途で利用できるよう、上り通信に特化したプランや夜間専用プラン、複数SIMカードでのデータシェア機能、契約中のSIMカードの利用状況参照や契約変更が可能な管理者用画面など、サービスの拡充に努めていくという。
2016年03月16日TISは3月10日、IoT(Internet of Things)向け予測分析ソリューション「メンテりてぃくす」が、アマゾン ウェブ サービス(AWS)のIoTプラットフォーム「AWS IoT」とデータ連携が可能になったことを発表した。同社は今回、AWS IoTに蓄積したセンサーデータを「メンテりてぃくす」に連携させて予測分析できることを確認する稼働実証を行った。「メンテりてぃくす」は、産業機械から収集・蓄積した稼働データを、SAPのBIツール「SAP BusinessObjects BI Solutions」と予測分析ツール「SAP Predictive Analytics」で分析・解析することで、「蓄積データから業務に影響を与える要因を特定する故障発生パターン導出」「生産品の不良原因分析」など、稼働データの予測分析を可能にするIoTソリューション。「メンテりてぃくす」の導入により、自社で設備を保有する企業は保全コストの削減、生産性の向上、設備の稼働率の改善による歩留まりを実現できるという。産業機械メーカーは、製品導入後のアフターサービス領域での効率化や収益性の向上を実現できるとしている。AWS IoTでは、接続されたデバイスが簡単かつ安全にクラウド・アプリケーションやその他のデバイスとやり取りでき、AWSが提供するマネージド型クラウドプラットフォームで、数十億個のデバイスとそこから収集される数兆件のデータを確実かつ安全に処理する。AWS IoT上で収集・蓄積したセンサーデータを「メンテりてぃくす」に連携させてスムーズに分析・解析を可能にすることで、需要が急速に高まり今後の大規模化が予想されるIoTシステムへの容易な適応と、導入のトータルコスト削減を実現する。TISは、新たなプラットフォームに対応した「メンテりてぃくす」を、稼働データの「見える化」やデータをもとにした業務改善を行いたいというニーズを持つ組立製造業や生産設備メーカー、化学製造業、特殊車両メーカーなどを中心に展開していき、2020年までに約20億円のビジネス規模とすることを目指す。
2016年03月11日シマンテックは9日、日本、米国、イギリス、オーストラリア、カナダの5カ国を対象に行った、モバイルアプリとIoTに関する意識調査の結果を発表した。調査はオンラインで行い、対象は18歳以上の一般消費者。調査機関は2016年2月4日から8日の5日間。日本で1,016、米国で1,007、イギリスで1,000、オーストラリアで1,031、カナダで1,007の回答数を得た。同調査では、ネットワークに接続できる機器全般を「IoT機器」と定義。ベビーモニターや自動車、フィットネストラッカー、スマートウォッチ、スマートTVなどのホームエンターテイメント、スマートロックなどのホームエントリーシステム、セキュリテイカメラ、スマート電球、スマート家電などだ。これらIoT機器と、機器を管理するモバイルアプリに関し、使用率や不安に感じることなどを調査した。モバイルアプリを使ってIoT機器を管理・操作しているか、という問いについて、日本では42%が1種類以上のIoT機器を管理していると回答。米国・カナダでは60%、イギリスでは53%、オーストラリアでは63%と海外ではいずれも50%を超えており、5カ国平均は56%。日本は平均より低い結果となった。また、スマートロックの使用を安全だと思うか、という問いについては、日本では70%が「不安を感じる」と回答。「わからない」が18%、「安全だと思う」が12%という結果となった。5カ国平均では「不安を感じる」が52%、「安全だと思う」が26%となり、日本より不安を感じる割合が低かった。これについて同社のノートン事業統括本部 プロダクトマーケティング部 リージョナル プロダクト マーケティングマネージャーの古谷尋シニアマネージャは、「スマートロックを含むIoT機器がどれだけ国に浸透しているかが回答に影響するのでは」と分析した。同社は、スマートフォンがIoT機器のコマンドセンターとして機能していると指摘。スマートフォンを通じて、スマートTVやホームセキュリティ、車といったネットワークにつながる機器に被害が及ぶ可能性があると説明し、モバイルアプリのセキュリティについても注意を促した。同社は90以上のアプリストアで2,500万以上の無料アプリをサンプルとしてセキュリティスキャンしたところ、このうち900万が悪意あるアプリだったとして、IoT機器へのリスク要因として警告する。同社では、IoTデバイスにおけるセキュリティについて、下記5点を認識しておくことを推奨している。アプリダウンロード前にアプリをスキャンし、潜在的な脆弱性を特定できる、信頼性の高いモバイルセキュリティアプリを使用するIoT機器は対策のないセキュリティ上の脆弱性を含んでいる可能性があるアプリストアの検証や審査内容には差があり、特にサードパーティによるアプリストアでは、厳格なアプリ検証や審査を行っていない可能性がある危険なアプリをインストールしないための保護設定を無効にするよう指示してくるアプリに注意するモバイルデバイス、IoTデバイスへ必ず最新アップデートを適用する
2016年03月09日バニーホップは3月8日、システムのダウンタイムを発生させない冗長構成のIoTプラットフォーム「IoT HA」をリリースしたことを発表した。「IoT HA」は、IoTソリューションを実現するための高信頼性プラットフォーム製品。クラウドを利用したシンプルな構成で冗長構成を実現しているだけでなく、自動で暗号化されたトンネルを構築して通信を行うなど高いセキュリティも確保している。「IoT HA」では、サービスのダウンタイムをゼロにするために、端末とネットワーク回線の双方を冗長化しており、端末はホットスタンバイ型の冗長構成、ネットワークはマルチキャリアの複数回線(有線/docomo系回線/KDDI系回線)の冗長構成にして、シングルポイント障害(SPOF)を回避する。接続機器や端末上の主要プロセスは、クラウドから常時監視しており、万一故障などが検知された場合は、即時にアラート通知を行い、待機構成に切り替えることができる。また、AUFS(Another Union File System)という、Read-OnlyのファイルシステムでOSを提供しているため、突然の電源断や、SDカードなどの不揮発性メモリへの書き込み回数制限によるデータ破損の心配がないほか、端末側から発呼する通信のため、ネットワーク設定が不要で、ファイアウォールで外部に特定ポートを開放する必要もない。
2016年03月09日今年のITトレンドの1つのIoT。デバイスやサービスも出そろい、導入フェーズに入ってきた。IoTに興味を持ちながらも、どこから手を付けたらよいのかわからない企業も多いだろう。IDC Japanがこのたび、国内IoT市場のユースケース(用途)別/産業分野別予測を発表するとともに、市場拡大に向けた企業とベンダーの施策について説明を行った。同社は、国内IoT市場におけるユーザー支出額について、2015年の見込み値は6兆2232億円(前年比15.2%増)、2014年~2020年まで年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)16.9%で成長し、2020年には13兆7595億円に達すると予測している。コミュニケーションズ マーケットアナリストの鳥巣悠太氏は、20産業分野のうち、IoT市場を牽引するのは12の主要産業分野であり、主要産業分野の中でも主要ユースケースの成長が著しいと語った。12の主要産業のうち、組立製造、プロセス製造、運輸/運輸サービス、公共/公益、官公庁では、予測期間内におけるCAGRは16%台後半から17%台で推移し、いずれも2020年までに1兆円以上の市場へ成長すると予測されている。IDCはグローバルで主要産業分野別に主要ユースケースを29種類絞り込んでいる。例えば、「組み立て製造」「プロセス製造」では、「製造オペレーション」「製造アセット管理」「製造業フィールドサービス」「食品トレーサビリティ」が主要ユースケースとされている。この4つのユースケースのうち、「製造オペレーション」と「製造アセット管理」の導入が多いそうだ。なお、世界のトレンドと日本のトレンドは合致しているという。こうした国内IoT市場に対するユーザー支出額の力強い成長の背景には、2020年の東京オリンピック開催に向けた景況感の上昇の期待に加え、企業の事業部門におけるIT予算の拡大とIoTへの期待の高まり、IoTを利用する上での技術とコストの障壁の低下、IoTをとりまく法規制や支援策の変化が影響していると同社では見ている。続いて、鳥巣氏は企業が今後取るべきIoT施策について説明した。最近、デジタルトランスフォーメーションという言葉を耳にする機会が増えたが、このデジタルトランスフォーメーションが、企業をIoTサービス・プロバイダーに変えるという。そもそも、デジタルトランスフォーメーションとは何か。簡単に言うと、「企業が自社の製品やサービスにITを組み合わせることで、新たなビジネスを創出すること」となる。ここで言う「IT」は、クラウド、ビッグデータ、ソーシャル技術、モビリティによる「第3のプラットフォーム」を指す。鳥巣氏によると、これまで企業のIT活用はバックエンドが中心だったが、第3のプラットフォームの登場によりITを迅速かつ容易に利用できるようになり、企業のデジタルトランスフォーメーションが拡大しているという。実のところ、同社の調査「2015年 国内IoT市場 ユーザー利用動向分析」によると、IoTの導入/運用に関し、直接関わる事業者の14%が非IT事業者という結果が出ている。IoTを活用したデジタルトランスフォーメーションの例としては、GE(産業機器を利用する企業向けに稼働効率の最適化をクラウドで提供)、コマツ(建設業/公共公益向けに建機を活用した業務最適化を実現)、セコム(企業全般向けにドローンを活用した防犯サービスを提供)などがある。鳥巣氏はこうした企業のIoTサービスプロバイダー化が進むと、IoT投資の増加に直結すると述べた。こうした背景を踏まえ、鳥巣氏は「IoTによるクラウド、アナリティクスといったサービスはIoTを実現するツールでしかない。IoTを導入するにあたって重要なことは、ビジネスを具現化するアイデアと継続力」と語った。ビジネスを具現化するアイデアには、ビジネスモデルやマネタイズの方法などが含まれる。継続力とはトライ&エラーを重ねることを指し、これにより、自社としてのサービスを固めていく必要があるわけだ。鳥巣氏によると、ベンダーのIoTへの取り組みも、「産業分野」「ユースケース」「IoTエッジ」と3つの方向性で拡大しており、こうした動きも押さえておきたい。産業分野を拡大させる取り組みとしては、IoTクラウドプラットフォームの拡大や産業分野別の営業体制の強化がある。ちなみに、IoTクラウドプラットフォームの種類は「開発環境」と「デバイス管理」に分けられるが、「大抵のベンダーは両方を提供しており、差別化が難しい」と鳥巣氏。そうしたこともあり、企業はIoTの技術よりも、IoTを使って何をするかということに注力する必要があるわけだ。こうしたプラットフォームの提供により、「とりあえず試す」という敷居は下がっていると思われる。国内でも、IoTを活用して成果を上げている企業が出てきている。興味がある企業は、IoTが自社のビジネスにとってどのようなメリットをもたらすのかについて検討を始めてはいかがだろうか。
2016年03月04日米ON Semiconductorの日本法人であるオン・セミコンダクターは3月3日、RFMicronとの協業により、ワイヤレスパッシブセンサソリューションをIoTクラウドプラットフォームへ素早く導入できる開発ツールを開発したと発表した。同IoTプラットフォーム開発キットには、性能が最適化されたコンピューティングと接続モジュール一式が統合されており、特に電力とスペースの制約が懸念される場所に、バッテリ不要のワイヤレスセンサ技術とIoTハードウェアを迅速かつ効果的に導入できる。各開発キットには、オン・セミコンダクターのバッテリ不要のワイヤレスセンサタグが組み込まれており、RFMicronのMagnus S2センサICを使用して温度、湿度、気圧、または近接感知の機能を実行できる。また、同プラットフォームは、32dBmWの定格電力と周波数範囲860~960MHzのUHF RFID読み取りモジュールを特徴としており、ローカライズされたデータ処理は、ARM Cortex-A8ベースのAM335x SoCにより実行される。また、キャプチャしたデータは、WLAN、Zigbee、Z-Wave、UHF Gen 2などの無線および、KNX、CAN、SPI、イーサネットなどの有線で転送可能。同開発キットは、オン・セミコンダクターの既存のワイヤレスセンサ評価キットである「SPS1M-EVK」を補完するものであるという。
2016年03月03日日本IBMは、コグニティブ・コンピューティングとIoTが密に連携する新たな次元の「つながる」ソリューションを業界ごとに創出するWatson IoT事業部を3月1日から新設する。新事業部は、日本を含む、アジア、欧州、米国の8カ所の「Watson IoT Client Experience Center」と連携して、顧客とパートナー向けに 、コグニティブ・コンピューティングを活用した新しいソリューションの開発・作成に必要なテクノロジー、ツールを提供する。IBMは、WatsonのAPIおよびサービスをIBMのクラウド上で提供し、コグニティブIoTのソリューションとサービスの開発を加速させている。IBMではIoTが効果を発揮する領域として、「つながるクルマ」「スマート・マニュファクチャリング」「コネクテッド・ライフ」「ヘルスケア」「スポーツやエンターテイメント」「小売業の店舗」など、6つのユースケースを想定し、ビジネスを推進している。スマート・マニュファクチャリング分野では、三菱電機とIoT技術を活用した次世代スマートファクトリー実現に向けて技術協力することで合意、コネクテッド・ライフの分野では、ソフトバンクとIoTを活用したソリューション提供において協業することで合意している。
2016年03月01日スペイン・バルセロナで2月25日まで開催されていた「Mobile World Congress 2016」では、「IoT」が大きなテーマの1つとなった。IoT向けのLTE規格「NB-IoT」などの標準化も始まり、高速・低遅延などの要素を持つ5Gが登場すると、人だけではなく、"人とモノのためのネットワーク時代"が本格化する。通信インフラ大手のEricssonは「通信事業者にとってIoTは大きなチャンス」と喧伝する。今回、同社のクラウドとIP部門でIoTを担当するBo Ribbing氏に話を聞いた。○M2MとIoTの違いは?――企業における導入など、IoTの現状について教えてほしい。IoTは社会と企業、人々の生活を変える大きなチャンスとなる。企業であればプロセスの効率化によるコスト削減だけでなく、新しいサービスを創出することで収益増が見込める。IoTの前提は"接続性"だ。IoTアプリケーションや端末、業界全体の共通土台となる重要な要素となる。われわれは、IoT接続のデバイスの数が現在の50億台から、2021年に150億台まで増加すると予想している。ただ、IoTのコンセプト自体は「M2M(マシン間通信)」などとして20年ほど前から存在する。これまでは火災報知器やスマートメーターなどから小容量のデータが送られているにすぎなかったが、現在は、デバイスから送信されるデータ量が大きくなっている。デバイスメーカーは自社製品をネット接続に対応することで、「さらなるバリューが得られる」ことにに気づき始めている。ネットワークが"ユビキタス"になったこともあり、「もっとデータをやり取りしよう」という方向にある。家庭用のアラームであれば、これまでは警告を発信するだけだったものが、「何が起きたのか」ということまでわかりやすくなる。例えば、「現場の様子の写真も一緒に送る」といった用途がある。また、自動車分野においても活用が進んでおり、インフォテインメント(Information<情報>とEntertainment<娯楽>の造語)などに関連したトラフィックが増えている。――IoT分野におけるEricssonの戦略は?(顧客である)通信事業者と一緒になって、IoTの潜在能力とメリットを企業や社会にアピールし、提供していく。われわれは"通信"と"接続"のプロであり、いいポジションにいると思っている。製品としては、2011年より「Device Connection Platform(DCP)」を提供しており、すでに20社以上が利用している。買収したTelenor Connexionの技術を土台としているが、重要な特徴が"クラウド"、つまり"as a Service"として提供している点だ。クラウドにして、オペレーターと提携して各社のネットワークをアグリゲーションしている。これにより、グローバルに展開する製造業は、世界中でサービスを利用できる。このように、クラウドでIoTプラットフォームを提供する企業はEricssonとJasper Wireless(Cisco Systems傘下)ぐらいだろう。機能としては、加入管理や課金、ポリシー管理、プロビジョニング、オーダー管理、接続モニタリング、デバイス管理など、必要なものを一通りそろえている。Jasperとの大きな違いは、Ericssonのコアネットワークを統合している点で、加入管理などのBSS(Business Support System)だけでなく、コアネットワークも備える。――DCPでは、国際ローミングはどのように提供されるのか?IoTサービスはコンシューマー向けのサービスとは異なり、BtoBのボリューム契約となるため、通常はグローバルローミング・モデルで契約する。つまり、1個のSIMにより、世界中でサービスを利用できる。だが、先述のようにIoTでのデータ容量が増えているため、ローカルのネットワークサービスを契約するほうがメリットを生む例も出てきている。また、国によっては特定のデバイスに対し、自国のSIM利用を義務付けているとこともある。この問題を解決するのが「eSIM」だ。リプログラマブルなSIMカードで、工場で製品を製造する際にeSIMを入れておけば、どの地域に出荷してもネットワーク上でプログラミングが可能だ。この機能は2016年中に一部で提供を開始し、2017年に拡大する予定だ。――IoTではどの業界にフォーカスしているのか?自動車や運輸・物流、ITS、公共事業(電気、水、ガスなど)、公共安全や国家保安、メディアの6業界で、コラボレーションを進めている。――IT側の統合なしにはIoTのメリットが得られない。ここでの取り組みは?ネットワークの機能をAPIの形でエクスポーズしている。企業はAPIを経由して、SIMカードやデバイスのアクティベーションやデアクティベーションが可能になる。これは接続に関する話だが、ITの課題の多くはプロセスに関するものだ。デバイスがネットワークにつながると、プロセスを変化させる必要がある。最終的にはIoTによりコストを削減したり、新しいサービスを立ち上げたりしたいはずだ。そこで、EricssonはMWCで「IoT Transformation」をロンチした。サービス側の機能を利用して、企業がITをベースにオペレーション変革を支援するというものだ。われわれには変革を実現する技術があり、企業の変革を支援できる。――IoTは無線技術と通信インフラが主体であるEricssonの事業にどのような影響を与えるのか?会期中はAmazon Web Services (AWS)との提携を発表しており、ITベンダーとの協業も重要になってくる。IoTは2つの点で、われわれの事業に影響を与える。1つ目は「通信事業者との関係性」だ。通信事業者はこれまでコンシューマーをメインターゲットに据えていたが、法人市場も無視できない状況にある。接続性をマネタイズにつなげるという観点から、変革期にある通信事業者をサポートする。2つ目は、(通信事業者を挟まない)企業との関係性の構築。ケースによっては、通信事業者よりもEricssonのほうが企業の求める機能を持っていることがあると思う。通信事業者はネットワークの運用と接続性の提供ではプロだが、EricssonはIT領域で提供できるものを多数そろえており、継続して強化を進めている。接続の部分だけではなく、IT、プロセスでも支援できる。ここは、われわれにとって新しいビジネスとなる。
2016年03月01日IoT(Internet of Things)は人工知能と並ぶ今年のITトレンドの1つだ。IoTに関連した製品の展開、企業による導入も始まっている。ヴイエムウェアと言えば、仮想化製品のベンダーとしての印象が強いが、同社の製品はIoTソリューションの構築に活用されており、すでにさまざまな企業にIoTソリューションを導入しているという。今回、米VMware EMEA担当 戦略コンサルティング部門統括 マティアス・ショーラー氏より、同社のIoTへの取り組みについて話を聞いた。同氏は、中央ヨーロッパで自動車関連のビジネスを統括しており、コネクテッド・カーや自動車業界の新たなビジネスモデル全般に取り組んでいる。ショーラー氏は初めに、IoTソリューションについて、「接続」「管理」「モバイル通信」「インフラ」「セキュリティ」「アプリのライフサイクル」を組み合わせる必要があると説明した。同社が提供するIoTソリューションはこれらの要素を活用して、「モノの管理」「データのキャプチャと分析」「クラウドモバイルサービスの提供」を行う。「モノの管理」では、AirWatchでデバイスのアクセスと管理を、NSXでセキュアなコネクションを、vRealize OperationでIoTエッジゲートウェイの管理と監視を行う。ショーラー氏によると、インテルと提携しており、インテル製ゲートウェイにvRealize Operationのエージェントが搭載されているという。「データのキャプチャと分析」では、Pivotal Spring XDでデータ収集を、EMCのFederation Business Data Lakeでデータストレージを、Pivotal Big Data Suiteでデータの分析と対処を、EMC Real Time Intelligenceでエッジ分析を行う。IoTアプリの設計・開発・展開・運用を行うために、SDDCなどによりデータセンターのインフラを構築し、アプリ・プラットフォームを活用して、クラウドモバイルサービスの提供を実現する。このように、同社は「IoT向け」と銘打った製品ではなく、一般に企業向けとして提供している製品群によりIoTソリューションを提供している。ショーラー氏はIoTソリューションの導入事例として、Coca-Colaを紹介した。コカ・コーラは、1台で100種類以上の飲料を提供する自動販売機「コカ・コーラ フリースタイル」を提供しているが、裏ではAirWatch製品が動いているという。AirWatchはデバイス管理、構成管理、デバイス分析、SAPとSalesforceの連携を行っている。具体的には、飲料の利用データの収集、販売機のメンテナンスと飲料の補充管理などを行い、収集したデータの分析結果から、販売機によって飲料の種類を変更したり、個人のオーダーを管理したりすることで、購買客のニーズに応えている「Coca-Colaは米国でペプシにシェアを奪われていたが、フリースタイルの導入により、盛り返していると」ショーラー氏。Coca-ColaがAirwatchを選んだ理由としては、「拡張性、柔軟性が高いこと」が挙げられた。あわせて、ショーラー氏のメインの業務であるコネクテッド・カーに関する取り組みについても紹介された。IoTは製造業で導入が進んでいると言われており、製造業の中でも自動車業界は日本の経済を牽引しており、その取り組み状況は気になるところだ。ショーラー氏は、Pivotal製品を用いてアプリを開発したメルセデス・ベンツとフォードを紹介。メルセデスが2016年に発売を予定しているEクラスに搭載されるアプリ「メルセデス・ミー」は離れた場所からのドア施錠・解錠などのリモート操作を実現し、スマートフォンを鍵と利用することが可能になるという。「メルセデスはソフトウェア・カンパニーを目指している。そのスタンスの成功は、元はソフトウェアベンダーだったテスラモーターズが示した。EVはエンジンが見えないため、ハードウェア面で差別化の要素がない。そのため、ソフトウェアとサービスで工夫をしていく必要がある」と、ショーラー氏は自動車業界におけるソフトウェアの価値について語った。ショーラー氏はIoTソリューションを支えるデータセンターのインフラにおいては、ハードウェアでもソフトウェアでも構築可能な拡張性が特に重要だと述べたが、拡張性と並ぶ重要な要素が「セキュリティ」だという。例えば、ドイツの製造業では、製造システムが仮想化されるなど、IT化が進んでいるが、セキュリティの強化が課題となっているという。ドイツのある工場では、1台のマシンのUSBから工場全体にウイルス感染が広がったそうだ。「NSXのマイクロセグメンテーションでタイトな制御を行えば、ウイルス感染の被害を最小に食い止められる」と、ショーラー氏は語る。「ヴイエムウェアがIoT」と聞いた時は少々違和感があったが、考えてみれば、同社の戦略「One Cloud, Any Application, Any Device」はIoTと関わりが深い。規模が求められるIoTのインフラもソフトウェア定義のデータセンターなら容易に拡張可能だ。さらに広がることが予想されるIoT分野において、ブイエムウェアがこれからどのようにして存在感を放っていくのか、興味深い。
2016年02月22日日本マイクロソフトは2月9日、東京エレクトロンデバイスなど9社と協力して「IoTビジネス共創ラボ」を発足したことを発表した。Microsoft AzureをベースとしたIoTソリューションの開発促進や、共同検証結果を発表するセミナー開催など、各企業がマッチングする場を提供する。登壇した日本マイクロソフト 代表執行役 会長の樋口泰行氏は、「Azure IoT Suite」による迅速な共同検証の支援で、スモールスタートから本格導入までスムーズに行えるとアピールした。日本のICT産業を語る上で「IoT(Internet of Things)」は、今もっとも注力しなければならない分野である。米国のように官民一体となってIoT事業を推進しなければならないのは、誰の目にも明らかだ。このことを改めて強く感じさせたのが、日本マイクロソフトが2016年2月9日に開催した「IoT分野の新たな取り組みに関する共同記者発表会」である。東京エレクトロンデバイス IoTカンパニー(幹事社)、日本マイクロソフト(事務局)、アクセンチュア、アバナード、テクノスデータサイエンス・マーケティング、電通国際情報サービス、ナレッジコミュニケーション、日本ユニシス、ブレインパッド、ユニアデックスの計10社が協力して「IoTビジネス共創ラボ」を発足したことを発表した。登壇した東京エレクトロンデバイス IoTカンパニー カンパニープレジデントの八幡浩司氏は、「IoTのエキスパートによるエコシステム構築や、プロジェクトの共同検証によるノウハウ共有、先進事例の共有によるIoT導入の促進といった目的を持って、各企業がエコシステム的に協力しあう。自由な議論から生まれる発想を活かしたい」と発足理由を語る。そもそも東京エレクトロン デバイスは、産業用エレクトロニクス製品の設計や開発、半導体電子デバイスおよび情報通信機器の販売や保守を行う企業として、さまざまなデバイスを世に送り出してきた。日本マイクロソフトとは23年前から組み込み分野で付き合いがあるというから、Windows Embedded CompactがまだWindows CEと呼ばれていた時代までさかのぼる。そこで東京エレクトロンデバイスと日本マイクロソフトが中心となって、ビジネスソリューション開発やサイエンス分野など幅広い専門分野に声をかける形で、IoTビジネス共創ラボの発足に至った。IoT分野における未来予測はIDCやGartnerの調査結果が顕著だが、八幡氏は2020年までにIoT接続数は250億(Gartner)、市場売り上げ規模は1.7兆ドル(IDC)を引用し、「数字だけではピンと来ないが、我々が関わるすべてのものがインターネットにつながる世界を想像してほしい。より良い行動指針を提示する未来が訪れる」とIoTで変わる未来を語った。また、McKinsey&Companyの調査結果である"IoTがもたらす価値の70パーセントはB2Bシナリオから"についても、「正しい予測だ。我々も同様に始める」という。さらに日本国内のIoT市場についても言及し、「(IDC Japanの調査結果によれば)現在のICT市場は25兆円だが、そのうちIoT市場は9兆円。今後はIoTが市場全体を牽引し、年12パーセントの成長率がある」と説明した。特にサーバーやストレージ、分析ソフトウェアなどが成長分野となり、IDC Japanの調査結果では4年後の2019年には16兆円まで拡大する。この7兆円の部分を参画する企業たちで盛り上げようというのが、IoTビジネス共創ラボの存在理由だ。IoT導入で問題視されるのがセキュリティや投資対効果、そして人材不足である。この点についてはMicrosoft Azureで解決することが可能であると八幡氏はいう。記者からの他社製パブリッククラウドの導入について検討しなかったのか、という質問に対して、「(東京エレクトロン デバイスの調査によれば)あらゆるモジュールを持っているのはMicrosoft Azureだけだった。顧客がオンプレミスサーバーでデーターを管理している場合も、データーだけをPower BIに投げるなど柔軟なシナリオに対応できる」と、日本マイクロソフトを協業パートナーに選択した理由を説明した。さらに日本国内にデーターセンターを保有している点も大きいという。IoTビジネス共創ラボではプロジェクトを検証するため、5つのワーキングループを設けることを明らかにした。各分野に特化した「製造ワーキンググループ(リーダー: 東京エレクトロンデバイス)」「物流・社会インフラワーキンググループ(リーダー: ブレインパッド)」「ヘルスケアワーキンググループ(リーダー: ユニアデックス)」の3つに加え、ビジネスインパクトがあるIoTシナリオを検討する「ビジネスワーキンググループ(リーダー: アクセンチュア)」と、多様なデーターを分析、活用する「分析ワーキンググループ(リーダー: ブレインパッド)」が脇を固める。八幡氏は「ホワイトボードに書き殴りながら議論を進めたい」と語った。日本マイクロソフト 代表執行役 会長の樋口泰行氏は、「IoTはクラウドとデバイスを結びつけることで高い付加価値を生み出せる。弊社は後出しジャンケンが得意な会社だが、より良いもの目指した結果、機能的には(他社製パブリッククラウドよりも)先に進んでいる」と述べている。IoT市場においてはMMI(マンマシンインタフェース: 人と機械の間で情報伝達を行うデバイスやソフトウェア)が重要だが、Microsoftは同分野の研究を長年続けてきた。この点についても「M2M(Machine to Machine)からIoT、最終的には人とつながることに価値を見いだしたい」という。樋口氏はIoTデバイスの多様化を、自社のSurface HubやHoloLensといったデバイスと機械学習などのIT技術を例に挙げ、「別々に存在したものがクラウドやIoTでつながり、それが人につながっていく」と説明した。近年の日本マイクロソフトは国内にデーターセンター設置してから、Microsoft Azureを用いたビジネスを開く展開している。シェア拡大の理由について樋口氏に尋ねると「最近はオンプレミスサーバーを自社で購入する企業はかなり減ってきている。その環境変化に合致したのだろう。『Azure Stack(IaaSやPaaSの機能をオンプレミスで利用可能にするパッケージ)』や他社製パブリッククラウド、企業内クラウドなどにシームレスに対応し、その裏でもインテリジェンスな機能が多数存在するため選んでもらっている」と、Microsoft Azureの強みを語った。IoTビジネス共創ラボにおける日本マイクロソフトの役割は事務局ということだが、容易なクラウドとIoT導入を実現すると同時に遠隔監視や予兆保全、資産管理などのシナリオをパッケージ化する「Azure IoT Suite」や、IoTデバイスとソリューションバックエンド間でセキュアな双方向通信を認定する「Azure Certified for IoTプログラム」を提供。後者は2015年9月から米国本社で始めたプログラムだが、認証済みデバイスなどをリスト化することで、ユーザーのIoT導入支援につなげる意図がある。既に8社のゲートウェイパートナーが申請を開始し、内1社認証を取得済みだという。その他にも、「Azure IoT Hub(何百万台ものIoTデバイスとクラウド双方向通信やセキュリティ保護を確立するサービス)」を2月3日から最終版として提供を始めている。さらにIoT市場の需要喚起として、製造や流通といった各種業界の意思決定者5,000人を対象にしたイベントやセミナーを開催。既に3月10日には1回目の勉強会を予定している。さらにパートナーマッチングや先進事例のモデル化などを行いながら、1年以内に100案件の送出を目指すという。加えてIoT技術者不足を改善するため、無償トレーニングも提供する。年90回以上のトレーニング開催を予定し、合計1万人の技術者育成を目指す。最後に活動目標として八幡氏が「1年以内に(顧客企業を)100社に拡大する」と語った。その理由として「日本は製造業の土壌がある。長年付き合いのある企業は3,000社、常に取引のある企業は2,500社以上。各社からIoT市場への参画をほのめかす声を頂いている」からだという。今回の取り組みがIoT市場へどのようにコミットし、成果を生み出すのか現時点では分からない。だが、IoTへの取り組みは世界レベルで切磋琢磨する時代となった。IoTビジネス共創ラボには次世代のICT市場を盛り上げる役割を期待したい。阿久津良和(Cactus)
2016年02月09日さくらインターネットは2月8日、IoT(Internet of Things)サービスに必要な通信環境とインフラ基盤サービスを一体で提供する「さくらのIoT Platform」を2016年度中に提供開始すると発表した。「さくらのIoT Platform」は、IoTサービスに必要な機能をサービスとして提供する。同社はデバイス向け通信モジュール「さくらのIoT通信モジュール」、同社のデータセンター内の閉域網に設けるデータを保存・処理するインフラ基盤を提供する。通信回線は、ソフトバンクとソラコムの2社から選択可能だ。データ提供者は同社の閉域網にデータを送受信できる。送信したデータをパブリックデータとして閉域網に保存する場合は無償で利用できるが、プライベート領域でデータを利用する場合などは有償となる。パブリックデータとして送信されたデータは、APIを介して、有償で利用できる。デバイスと通信モジュールの通信はUART、SPI、I2Cを介して、コマンドベースで行われる。非常に軽いため、貧弱なマイコンでも対応可能だという。提供が予定されているmbed用ライブラリ、Arduino用ライブラリ、IchigoJam用ライブラリ、Raspberry Pi(Linux)用ライブラリを利用することで、既存センサーや制御モジュールと同等に扱うことが可能になる。通信モジュールは1万円以内で提供され、課金は同社が定める単位「Message」に対して行われ、通信モジュールや通信にかかるコストはすべてこの料金に内包される予定。1個当たりのモノに対する実質負担は数十円程度に抑えるとしている。代表取締役 社長を務める田中邦裕氏がIoTプラットフォームを提供する背景を説明した。田中氏は「モノがつぶやけばいいのに」という会話がきっかけだったと語った。「Twitterでは、APIで情報を統合して価値を生み出した。これからは人間よりもモノのほうがインターネットに接続する機会が増えるため、モノのタイムラインを作ることで、そこから新たな価値が生まれるようになる。Twitterの世界をモノで実現したい」と田中氏。その一方で、IoTを実現するうえで、デバイスと通信が一体になっていないためインターネットと融合できないという課題があり、「通信」「モノ」「クラウド」をもっと簡単に接続する必要があると考えたという。田中氏は同サービスのコンセプトが「どこでも誰でも手軽に今すぐに」であることを紹介した。現状、IoTは、スマートフォンを介してなど、人間がいる場所でモノをつなぐことが前提となっており、つまり、人間がいないとモノを接続できないという。同社では、人間がいない場所でもモノが接続することを実現する。また、人間がいない場所でモノをつなぐにはコストの課題もあるとして、安価につなぐことも可能にする。さらに、田中氏は「エンジニアはハードウェア、ソフトウェアなど、ジャンルごとに分断されており、スタンドアロンのIoTデバイスを作ろうと思うと、知識不足がネックとなる」と指摘。そこで、同社はハードウェア、通信環境、APIを垂直統合で提供することで、技術面でのハードルの解消を目指す。なお、データを利用するAPI課金によって得られた利益はMessage課金によってデータを送信した人にフィードバックすることも計画しているという。「データが利用されればされるほど、インセンティブとして還元することを考えている」(田中氏)田中氏は「利用できるデータが増えれば、データを処理する量も増え、われわれのビジネスも広がる。つまり、もっとインターネットにデータが吐き出される必要がある」と、同サービスに込める期待を語った。サービス提供に先駆け、2016年4月より「さくらのIoT Platform α」、9月より「さくらのIoT Platform β」が提供される。「さくらのIoT Platform α」では、「さくらのIoT通信モジュール」が無償で貸与され、1000個の通信モジュールが用意される予定だ。2月8日より、「さくらのIoT Platform α」のパートナーが開始されたが、発表会には、ソラコムなど7社のパートナーの担当者が参加し、さくらのIoT Platformとの連携について説明した。
2016年02月09日米Mozillaは2月4日(現地時間)、スマートフォン向けOS「Firefox OS」の開発を終了すると発表した。今後は、IoT分野への展開に注力していくという。Firefox OSの開発について昨年12月、コネクテッドデバイス担当SVPであるAri Jaaksi氏が、スマートフォン向けOSの開発終了と、今後はコネクティッドデバイスへリソースを投入することを明らかにしている。今回の発表内容によると、「バージョン2.6」を最後に、スマートフォン向けOSの開発を終了する。なお、開発・提供に関わってきたスタッフは、6月から別のプロジェクトに移るという。それに伴い、アプリストア「Firefox Marketplace」では、3月29日をもってAndroid版、タブレット版、デスクトップ版のFirefox向けアプリの登録受付を終了。Firefox OSをサポートしないアプリは削除される。Firefox OS用のアプリ登録は2017年まで受け付ける。Firefox OS開発はIoT分野へ軸足を移しており、コネクティッドデバイスチームでは、新たな製品開発テストを進めている。すでに、スマートTVを含む3製品が3段階ある開発テストの第1段階を通過している。2016年前半に開発プロセスを正式に公開するとしている。
2016年02月08日IoT検定制度準備委員会は2月5日、IoTの普及と知識スキルを可視化する策として検定制度を開始することを発表した。同検定は技術的な視点だけでなく、マーケティング担当、サービス提供者、ユーザーなどの視点から必要となるカテゴリー、スキル要件を網羅し、それぞれの立場でIoTのシステムを企画・開発するために必要な知識があることを証明できるものとなっている。主な受験対象者は、IoTを取り入れる組織の経営者および管理者、IoT化を推進するプロジェクトの企画担当者、IoTを活用しデータ分析などを行う利用者、IoTシステムの構築・保守運用に携わるエンジニア。検定分野は、企画推進・戦略立案のための基礎知識やプロジェクトマネジメントに関する知識を問う「戦略とマネジメント」、産業システム・スマート製品に関する知識やIoT関連の標準化に関する知識を問う「産業システムと標準化」、通信関連の法律に関する知識を問う「法律」、データ送信プロトコルやWAN、LANなどに関する知識を問う「ネットワーク」、電子工学やセンサ技術に関する知識を問う「IoTデバイス」、クラウド環境や分散処理システム利用に関する知識を問う「プラットフォーム」、データベースや機械学習に関する知識を問う「データ分析」、暗号化や攻撃対策に関する知識を問う「セキュリティ」を予定している。3月より希望者および有識者に対してベータ試験が実施される予定で、詳細については後日発表される。
2016年02月05日アクロクエストテクノロジーは2月1日、同社が展開するIoTストリームデータ処理のアプリケーションプラットフォームである「トレンティオ(Torrentio)」に異常検知機能を追加したと発表した。同機能は、Torrentioと連携しているセンシングデバイスなどから収集している「時々刻々と変化するデータ」(ストリームデータ)をリアルタイムに機械学習し、異常発生時は、連携されているダッシュボードやメールで通知したり、MQTTやWebSocketなどのプロトコルを利用して、外部システムを制御したりすることが可能となっている。また、「ばらつきデータ」や「データ層・モードが変化するケース」でも誤検知を避けることが可能なほか、Torrentioはビジュアルエディタにてプログラミングレスで設定・構築が可能なため、素早く異常検知機能を導入できるという。これらの機能は、センシングデバイスなどと連携することで、セキュリティ分野における攻撃検知や、工場や鉄道、電力分野の設備などに対する予兆保全などに活用できるとしている。また、同社では、IoTサービス構築やデータ活用で悩みを抱える担当者向けに、無料相談サービスも開始する。無料相談キャンペーン期間は2016年3月31日まで。キャンペーン内容は「IoT導入のシステム構成/設計に関する相談」「IoTを利用したユースケースの相談」「導入効果の検証」となっている。
2016年02月02日日本ポステックは1月28日、IoTスマート照明「onia」を発表した。クラウドファンディングサイト「Makuake」にて同日11時より一般販売開始に先駆けて先行予約プロジェクトを開始している。同製品は、スマホアプリでコントロールできるLED照明。上下2段に別れた構造でそれぞれ14色のカラー選択が可能となっており、5段階の光量調整やタイマー機能などといったすべての機能について、Bluetooth接続されたスマートフォンから操作できるようになっている。ユーザーの感情と使用環境に注目して開発された同製品には、カラーセラピーの概念が取り入れられており、アプリに搭載されている「カラーコンサルティング」モードで、ユーザーが求める状態に最も近い光の色や強さによる調光が可能となっている。同社によると今後は、「愛してる」「ありがとう」といった言葉をアプリに話しかけると、その言葉を認識しマッチしたカラー表現する「トーク機能」や、FacebookやInstargramなどのSNSから感情を分析しカラーを表現する「SNS分析機能」が搭載される予定であるとしている。販売予定価格は2万4480円(税込)で、専用アプリはiOS/Android版ともに無料。Makuakeでは、割引価格で同製品を先行予約することが可能となっている。
2016年01月28日村田製作所は1月26日、サイバーエージェント・クラウドファンディングと連携し、ハードウェア製作支援プログラム「IoTアイデアコンテスト」を開催すると発表した。同プログラムは、村田製作所のセンサと無線通信モジュールを活用したハードウェアの開発を目指す企業・個人を対象としたもので、審査通過者に対して試作品製作段階におけるセンサ、無線通信モジュールなどのサンプル提供や技術サポートを行う。また、審査を通過した対象者は、サイバーエージェント・クラウドファンディングが運営する「Makuake」において、クラウドファンディングプロジェクトを実施することが可能。これにより、クラウドファンディングによって集めた資金を、製品の開発・改良にあてることができるほか、試作品開発段階でプロジェクトに支援をしたサポーターの意見を聞くことができる。募集期間は1月26日~2月29日。その後、書類による一次選考、ヒアリングによる二次選考を経て、4月22日に審査通過者が発表される。審査通過者は5月31日までにプロトタイプの開発を完成させ、6月にクラウドファンディングを開始させる予定となっている。なお、最優秀賞1組には賞金100万円、優秀賞2組には賞金50万円が授与される。
2016年01月26日富士通は1月20日、企業向けIoTパッケージ「Fujitsu IoT Solution UBIQUITOUSWARE」の新製品10種を発表した。発表会では、新製品の披露とともに、昨年5月に発表された同パッケージの実証実験結果と今後の事業展開についても説明が行われた。ユビキタスウェアは、高度なセンシング技術でデータの収集・解析・分析を行い、価値の高いデータとして提供する製品群。人を中心とした情報を価値あるものとしてセンシングと解析を行う「ヒューマンセントリックIoT」を基本コンセプトとする。富士通 ユビキタスビジネス戦略本部長代理の松村孝宏氏は、ユビキタスウェア製品の特徴として、「すぐに現場で使える、高精度なセンシング、ユーザーの環境・戦略に合わせて自由に選択できる製品群」と説明した。ユビキタスウェアは68種類のセンシングアルゴリズムと49種類の特許に基づいている。ユビキタスウェアのアルゴリズムの具体例として挙げられたのは以下の6種類。身体の姿勢…人が座り込んだり、倒れたりしていないかを検出転倒、転落…意図しない転倒や転落を検出熱ストレス…熱に対する一人ひとりの身体ストレスを検出ジオフェンス…特定エリアへの侵入、エリアからの退出を検出生体反応…生活の気配を検出いびき、せき…人体の変調を検出また、実地環境に基づいたさまざまな検証を重ねて高精度化を実現しており、位置精度30cm、遅延時間1秒での追従が可能で、リアルタイムでの高度の検知・追従にも対応する。発表会では3Dのマップを表示したキャッチボールのロケーションデモが行われた。今回、提供が開始されるユビキタスウェアの製品群は以下のとおり。すでに、「パイロットパック」を活用して、情報・通信、化学、輸送用機器、官公庁・自治体、建設、鉄道などの10業種14社の顧客と、工場内の健康管理や従業員の位置把握・転倒検知などについて、検証・準備が行われている。実証実験の例としては、「住宅メーカーによる現場作業員の熱ストレス検知(熱中症予防)」「農作業中の事故防止(一人作業による発見の遅延を予防する)」「製造現場の工程改善シミュレーター(効率化検証)」「住宅メーカーの高齢者見守りサービス(オペレーションセンター経由での健康監視)」が紹介された。また、昨年5月の発表から現時点にかけて、さまざまな企業から470件の引き合いがあるという。製造分野が195件と最多だが、エネルギー分野(37件)物流分野(25件)など、業種は多岐にわたる。「パイロットパック」では、ユーザーの環境に合わせてパッケージ構成の変更や導入サポートにも対応したうえで、ユビキタスウェアを実用導入するためのIoT環境を2カ月間貸与する。価格は、センサーデバイス10個、ゲートウェイ用スマートデバイス2台、IoTプラットフォーム、導入支援サービスの最小パッケージで80万円~130万円ほどの見込み。ユビキタスウェアは今後、グローバルで展開されることも決定している。欧州では2月、北米とアジアでは3月に販売を開始し、2017年には実地導入を目指す。ニーズの高いデジタルマーケティング・見守りソリューション分野や、富士通が得意とする医療・農業・交通分野を中心に、富士通全体の中のユビキタスウェアソリューションとして、2018年までに500億円、2020年までに1000億円の事業規模を目指すとしている。
2016年01月21日