2019年2月23日 16:00
ステージIII乳がんも完治、新療法「コータック」作用の原理
『放射線治療の効き目を高める(=増感)薬を開発しなければ』との思いで、マウス実験などで研究を重ね、がん細胞中で放射線を防御する『よろい』となっている『抗酸化酵素』を失活させる方法を発見したのが、’06年でした」
小川さんが高知大学医学部教授時代に、研究に研究を重ね開発した「コータック」の作用のメカニズムは、次のようになる。
「がん(=がん細胞の集団)が大きくなると、個々の細胞中の酸素が減って抗酸化酵素が増え、放射線治療効果は3分の1まで低下してしまいます。その抗酸化酵素を失活させ『よろい』を解くためには『過酸化水素』が必要で、かつ、その効果を持続させると同時に、注射の痛さを半減させるには『ヒアルロン酸』を混ぜるとよい。この増感剤(過酸化水素+ヒアルロン酸のコンビ)が放射線治療をフル(=3倍)にするのです」
効果は大きいのに、とてもシンプルな構造の新治療法だ。
こんなに画期的な開発なのに、昨年の本庶佑さんのノーベル生理学・医学賞受賞で注目された治療薬「オプジーボ」に比べて、まったくといえるほど認知されていないのはなぜだろう。日本もそうだが世界でもまだ、保険適用がされておらず、薬も商品化されていないというのだ。