忍たま原作者のリハビリ奮闘記「“すしざんまい”が良い運動に」
「リハビリは、鉛筆を握るところから。ただ握れても力が入らず、線1本すら書けなかった。紙をなでるだけなので、色鉛筆を使っても色がつかなくて。連載を続けるのは無理だなと思いました。でも、しばらくすると作業療法士の先生が白い紙を持ってきて、『4月から1年分のカレンダーの絵を描きましょう』とむちゃぶりをしてきたんです。試しに桜の木を描いてみると、案の定、線はヘロヘロ。蜂の姿をしたしんべヱを描くのも1日がかりでしたよ」(尼子さん・以下同)
なんともスパルタなリハビリ。さぞつらかったのではと思いきや、「落ち込んでもしょうがないから、ケラケラ笑っていた」と尼子さんは話す。
「植物を育てながらリハビリをする園芸療法では、動かない右手で紙コップを持って花壇に水を運ぶんです。フラフラするから水は全部こぼれるんですが、そんなときは、“これ検尿カップだったら、オシッコまき散らしてるわ”と大笑いしながらやっていました。手の筋肉を伸ばす運動でも両腕を開く姿が“すしざんまい!”のポーズに似ていたから、リハビリルームでは先生と一緒に『すしざんまい!』と連呼していましたよ」
それから3カ月。車いすから杖で歩けるようになり、無事退院した尼子さん。