「アデュカヌマブ」で救えるか、医師語る「認知症治療の展望」
「薬の承認には第1相試験から第3相試験までクリアしなければなりません。ところがアデュカヌマブは’19年3月、第3相試験で効果の見込みがなく、一度中止を発表しています。しかし7カ月後に“高容量投与群を増やすことで、効果が見られた”と発表しました」
「アデュカヌマブ」による治療は月1度の点滴のため、“誰でも予防のために簡単に行える”ものではなさそうだ。しかし、患者への大きな負担はないだろうと、新井さんは期待を込める。
「治療期間は78週間ですので、だいたい18~20回ほどの治療回数となるでしょう。副作用として脳内血管周囲の浮腫などが挙げられていますが、命の危険があるようなケースはなく、仮に浮腫が確認されても、服用を中止することで改善すると報告されています。一度研究が中止されたという“異例の経緯”を持つ同薬ですが、アミロイドβを減少させるというエビデンスは確認されています。同薬をファーストランナーとして改良を重ねれば、認知症治療の可能性はさらに広がるでしょう」
「女性自身」2020年7月28日・8月4日合併号 掲載