「働く人のメンタルヘルスとサービス・ギャップの実態調査」コロナ禍で40-50代の「社会的成功者」にメンタル不調者が増加
●健康経営の一環で多くの企業がメンタルケアサービスを提供しているにも関わらず、利用されない要因として損失回避や認知不協和、限定注意などの認知バイアスが関わっている可能性があるため、ナッジの活用を含め行動科学に基づく行動デザインによりサービス利用を促すアプローチが必要だと考えられる。
【調査の背景】
現代の日本では、生涯を通じて心の病気にかかる割合が5人に1人と言われており、特に働き盛りの世代にメンタル不調が多くみられている傾向があることから、働く人のメンタルヘルス対策は重要な課題と認識されつつある。特にコロナのまん延以降「コロナうつ」と呼ばれるように、メンタル不調をきたす人が増えている。
企業ではストレスチェックテストの実施や相談窓口の設置など、メンタルヘルス対策を行っているが、実際には従業員は自身のメンタル不調やストレスを打ち明けることのデメリットを懸念し、正直に回答したり、利用したりすることに抵抗を感じている可能性が高い。このようにケアが必要な状況にもかかわらず、サービスを適切に利用できない状況を「サービス・ギャップ」という。「サービス・ギャップ」が生じる心理的な理由として「メンタルヘルスケアサービスを利用してもメリットや効果が得られるとは思えない」