子育て情報『妊娠中に薬を使用するときの基本的な考え方を解説!赤ちゃんへの影響は?』

妊娠中に薬を使用するときの基本的な考え方を解説!赤ちゃんへの影響は?

また、妊娠中は母体の肝臓や腎臓の機能に変化が起きているため、母体が摂取した薬が赤ちゃんにどの程度移行するのかについては個々の状況によって異なります。

②薬の投与方法と血中濃度の違い
同じ薬でも、薬の投与方法によって血中濃度が違います。母親と赤ちゃんの血液循環は胎盤によって分け隔てられているため、母親と赤ちゃんの血液は通常混じり合うことはありませんが、母親の血中濃度が高いほど胎盤を通過する量が多くなるため、赤ちゃんへの影響が出る可能性が高くなります。

静脈注射やほとんどの内服薬は全身に作用するため血中濃度は高い傾向にあり、使用する部位や範囲を一部に限った吸入薬や目薬、塗り薬などは血中濃度が低い傾向にあります。

妊娠中は赤ちゃんへの影響を考えて、血中濃度の低い投与方法で使用可能な薬を優先して使います。

③妊娠週数による薬物の赤ちゃんに対する影響の違い
妊娠中に使用する薬が赤ちゃんに与える影響は、妊娠時期によって違いがあります。妊娠初期(0~15週)は催奇形性、妊娠中期(16~27週)と妊娠後期(28週以降)では胎児毒性が問題となります。

催奇形性とは、赤ちゃんに奇形が生じる可能性があることです。
催奇形性について心配する妊婦さんは多いですが、実際には薬の影響で奇形が起こることはそれほど多くありません。ただし、催奇形性は妊娠の時期によって大きな差があり、最も影響が出やすいのは赤ちゃんの臓器が作られる時期です。

妊娠0~4週未満の時期に薬の影響を受けた場合、受精卵はそのまま死滅するか、自然に修復して正常に発育するかのどちらかです。

妊娠4~7週は赤ちゃんの器官が形成される時期で、正常な経過がなんらかの影響を受けると奇形を生じやすい最も危険な時期です。

妊娠8週以降は赤ちゃんの臓器の成熟と機能的な発達が続いていきます。臓器によって環境による影響の受けやすさは異なります。 

胎児毒性とは、赤ちゃんの発育や機能に悪い影響を与える可能性のことです。おなかの中にいるときだけでなく、生まれた後に薬の影響が残ることもあります。
胎児毒性については、妊娠中期(16~27週)以降に出産に近いほど影響しやすいです。妊婦さんと赤ちゃんにとって、薬で治療することが薬を使用しないことよりもメリットがあると判断できる場合は、安全性の高い薬を優先して使用して治療をおこないます。

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