ママ友探しは宝探しー映画『ママやめ』監督が語る子育て【後編】
共感して話し合える相手がいることは大きな助けになります」
人には話せないヘビーなテーマだからこそ深く共感
――『ママやめ』も「あなたはひとりじゃない」という大泉洋さんのナレーションが心に刺さりました。
「この映画が、ママ友との共感度とまた少し違うのは、より心の深淵にある暗い部分にも迫っていることかもしれません。母親から愛情を受けられなくて自尊心が低くなってしまった、わが子を受け入れられない、もっといいママになりたいのにうまくいかない……なんて、いきなり公園で繰りだす話題じゃないですよね(笑)。
誰にも話せないけれど心の中で思っていること、実は隣のママが抱えているかもしれないけれど聞き出せないこと――『ママやめ』では、そうしたヘビーな気持ちも代弁することができたのではないかな、と思っています」
子育ての問題は「第三者」が入ることで解決することも
――大泉洋さんも号泣したというのが、わが子を抱きしめてあげられないというママのシーン(写真)。子どもにどうやって愛情を伝えればいいかと苦悩する姿は、程度の差こそあれ、思い当たる人も多くいると思います。
「このママが子どもを抱きしめられないのには、自分自身が母親からの愛情表現を感じたことがなく、抱っこをされた記憶もほとんどないという理由がありました。親にされたことがないことを子どもにしてあげるのは、とてもハードルが高いことなんですよね。
彼女が“子どもを抱きしめる”という決意ができたのは、実はこの映画の撮影があったからなのだそうです。第三者である僕ら映画スタッフとの相談を重ねるうちに、わが子と向き合うきっかけをつかみ、自らの課題を解決することができたようです。
最初にお話しした産後うつのママも、“外”に解決を求めています。子育ての問題を家族だけでなんとかしようと思っても、単純にメンバーも知識も経験も、あらゆるものが足りませんよね。
もしも、夫や実家との関係が悪かったら確実に行き詰ってしまう。ママ友と話してもダメだったら、保育園の先生でもいいし、カウンセラーなどを訪ねてもよいと思います。親子間、夫婦間、子育ての問題はほっておくと子どもに負担がかかってしまう。こんなことを他人に言ったら恥ずかしいと思わず、いろいろな人に相談して、出口を見つける努力は必要です」