新型コロナの治療で話題の人工肺とは?息子がつけたときの様子【体験談】
横隔膜に穴があき、腹部の臓器が胸部に脱出して肺の発達を妨げる病気「先天性横隔膜ヘルニア」により、肺がほとんど機能していない状態で生まれた息子。生まれた次の日に人工肺を装着しました。最近新型コロナウイルスによる肺炎の治療でよく話題になっている人工肺について、息子がつけたときの様子やそのときの思いをご紹介します。
事前に聞いていた人工肺のリスク
産前、息子の治療について説明を受けたとき、人工肺についてのお話がありました。人工肺は自力での呼吸で血液に十分な酸素を送り込めないときに使うもので、体中の血液を頸動脈から装置へとつなげて酸素を送り込むものです。
人工肺をつけるとき、体の外に血を流しても血が固まらないようにする薬を使うのですが、その薬の影響で脳出血などが起こるリスクがあると言われました。そのときはまだ息子の状態が人工肺を使うほど悪いとはわかっておらず、「万が一」というニュアンスでしたが、それでも十分恐ろしく、「人工肺になりませんように!」と祈っていました。
たくさんの同意書と長い手術
息子が生まれた次の日、容体が急変し、人工肺の取り付けと横隔膜ヘルニアの手術の前倒しを提案されました。手術直前の息子は人工呼吸器の圧力で風船のように胸が膨らんだり縮んだりしていて、到底「自分の力で生きている」という感じではありません。
人工肺が怖かった私も「このままでは死んでしまう」と手術に同意。恐ろしい説明を聞きながら、無心でたくさんの同意書にサインし、半日にも及ぶ手術が終わるのをひたすら待ちました。
腎臓に負担が…溶血の恐怖
手術が無事終わって安心したのもつかの間、翌日お見舞いに行くと、息子の体はぱんぱんにむくみ、黄疸で光線治療を受けていました。担当医から話を聞くと、人工肺から高い圧力で血液が流されていくことによって起こった「溶血」が原因だと言います。溶血は、血液中の赤血球が壊れてしまうこと。
さらに溶血が多いと赤血球が壊れた血液がそのまま腎臓に達し、腎障害を引き起こすのだそうです。
腎臓への負担を減らすため、息子は交換輸血(血液内にある有毒成分を体外へ排除するために、その血液を抜き取り、新しい血液を輸血する治療法)をおこなうことになりました。
ずっとは使えない? わずか5日で離脱
人工肺装着から4日後、息子の担当医との面談があり、「もうすぐ人工肺の許容量を超えてしまう。