子どもに早期教育は要りません!なぜかって?その理由は…【3児ママ小児科医のラクになる育児】
こんにちは、小児科医の保田典子です。私生活では8歳、6歳、4歳の子どもを子育て中の3児の母です。今、世の中には知育に関する本やグッズが溢れていますね。生まれてすぐに通える幼児教室もたくさんあります。
早期の幼児教育については、小児科医師の中でも意見が別れる話ではあると思いますが、私としての意見は天才性を育てるような先取り教育に関してはあまり肯定的な考えは持っていません。子どもの発達の観点から、知育について解説します。
高IQ児のゆくさき
幼児教室の宣伝には「3歳までにやらないと手遅れになる」、「平均IQ150以上」などの文言などが飛び交い、早期教育の必要性をうたっています。
幼児教育が生まれてから少し歴史ができてきたのもあり、そのような高IQの子がその後どうなったかというデータも出てきています。
シカゴ大学ヘックマン教授らの「ペリー幼稚園プログラム」の研究によると、幼稚園時代にIQが高かった子どもも、8-10歳になるとその効果はなくなってしまうというそうです。
IQは同年代に比べて現在どのくらい認知能力があるか、という相対評価なので、早期教育をすると短期間、認知能力は上がるものの効果は長続きしない、ということでした。また、IQの効果は短期的だけれど、非認知能力を伸ばし、将来の学力や所得が良くなる傾向があるとも結論づけています。
人間は発達する生き物なので、先取り教育をしても放っておいても、段階的に子どもたちは発達していってくれます。焦らなくても、その子の成長を見守り、時に適切なサポートしてあげれば、子どもは能力を獲得していってくれるのです。
早期療育の効果は高い
他方で、言葉が遅いなど発達障害を疑われるようなお子さんに対して、早期療育をすると効果が高い、ということもわかってきています。そのため、1歳半健診で早期に発達障害の疑いのある子を見つけてあげて、早期療育につなげてあげようという取り組みが小児科の中では重要にもなってきています。
上のきょうだいがいる子の方が発達が早い傾向があるように、子ども同士の相互作用によって発達をうながすことができます。
子どもの発達にすごく大切な知育以外のこと
近年、愛着障害などの研究から、夫婦げんかが多い・DVがある・体罰を受けている子どもは、そうでない子どもに比べて脳の一部が萎縮したり、不安定で情動的な行動をとる(例えば精神的に不安定になったり、暴力的になる)