「本当のママになって!」家政婦だった私にプロポーズ!? 断ろうとした私に待っていた結末とは!?
そう言って大粒の涙をこぼすリクトくんを、私はやさしく抱きしめました。
落ち着いたリクトくんに話を聞いてみると、どうやら奥様もこうやってレイカさんから嫌がらせを受けていたそうなのです。ただ、レイカさんはハルトさんが務める会社の社長令嬢……仕事に影響しないように、亡き奥様はリクトくんにも口止めしていたそうです。
「私は大丈夫! 安心して」とリクトくんに伝えると、ほっとしたような顔を見せてくれました。その日以来私たちの距離はぐっと縮まり、リクトくんのお誕生日のお出かけにも同行させてもらうまでになりました。
「本当のママみたい! ずっとうちで働いて!」と言ってくれるリクトくんがかわいくて仕方がありません。
突然のプロポーズ
そんな状況をレイカさんが許すわけもなく、嫌がらせはエスカレート。私はいつものようにスルーしていたのですが、あるとき仕事を中抜けしてきたハルトさんに見られてしまい、レイカさんの本性がバレてしまいました。
レイカさんは動揺していましたが、ついに開き直って「この家政婦を解雇しないなら、パパに言ってハルトを解雇してやる!」ととんでもないことを言い始めました。
ハルトさんは「リクトも希望しているし、僕は彼女に結婚を申し込むつもりだから、解雇で構わないよ」とびっくり発言! ハルトさんの言葉に、私とレイカさんは違う意味で驚いてしまいました。
しかし私のために仕事をクビになっていいわけがありません。私はハルトさんの申し出を、断りました。
ワガママ令嬢の末路
ハルトさんは諦めませんでした。すぐに社長に電話してことの顛末を告げると「そんなことで解雇にしない」と社長はキッパリ言ってくれました。レイカさんのわがままは受け入れられず、優秀な社員だったハルトさんは職を失わずにすんだのです。
「いいよね? 一生僕と専属契約で」とハルトさん。
ワナワナ震えるレイカさんの前で、私たちは結婚の約束をしたのでした。
レイカさんは自分の思った通りにならず、悔しかったことでしょう。今後は父親の肩書をかさにするようなことはやめてほしいなぁと願ったのでした。
レイカさんのようなやり方では相手の気持ちを手に入れることはできないのではないでしょうか。仕事も恋愛も人と人との関わり合い。