「お口で言って!」その叱り方、実はNGです→保育士が実践する、伝わる声かけ&叱り方のコツとは!?
保育士の中田馨さんが、集団行動での子どものトラブルや困りごとに対しての親のNG対応について教えてくれました。「すぐにお友だちに手を出してしまう……」、「なんでいつもお友だちとケンカするの……」とお悩みのパパやママはぜひチェックしてみてくださいね。
こんにちは! 保育士の中田馨です。保育所で子どもたちの遊ぶ様子を見ていると、お友だちが関わってきたときに何かしら「親が困ってしまうこと」が起こるものです。
2人、3人だと分かりにくいですが、集団になると見えてくることもあります。すぐにトラブルを起こしてしまう……とお悩みの親御さんもいるかもしれません。
そこで今回は、子どもが集団行動で起こした困りごとに対して、親の関わり方についてのお話しします。
友だちに手が出る、おもちゃを取る…こんなときは?
集団で遊んでいると、遊び方が違ったり、相手のおもちゃが欲しくなったりして、手が出たり、おもちゃを取り合ったりすることがあります。
相手のあることなので、どう対応すればよいか悩んでしまいますね。
自分の子が、叩いたり、おもちゃを取ったときは、お友だちをけがさせないためにも止めるとよいでしょう。「叩いたらダメ」「お友だちのおもちゃを取らない」ことを伝えます。そして、子どもの「イヤだった」「欲しかった」という、そのときの気持ちを代弁して共感しましょう。
「すぐに叩いて乱暴な子」や「“かして”が言えない子」などとレッテルを貼らないようにしましょう。このとき、よく言ってしまうのが「お口で言って!」という言葉。「お口で言う」とぼやけた言い方をするのではなく、何をして欲しいか明確に伝えることも大切です。
ですので、何度も繰り返し「イヤなときは“イヤ”って言うんだよ」、「お友だちが持っているおもちゃは“かして”って聞こうね」など伝えます。
ケンカは悪いことではない!
子どもがケンカを始めると、親はヒヤヒヤしますよね。「お友だちに嫌な思いをさせていないか?」「けがさせていないか?」などが心配なことだと思います。
ここで大切なことは、「ケンカは悪いことではない」ということ。ケンカすることで、相手には自分とは違う思いがあることが学べます。自分の意見も言えて、自分の意見が通らないことを知ることができます。今、子どもは人間関係を身をもって学んでいるのです。
もし、気心の知れたお子さんとおもちゃの取り合いになったときは、親同士に余裕があるのなら、すぐそばで見守るのもよいでしょう。保育所では2歳半ば以降、特に3歳を過ぎたお子さんの場合、安全なケンカだとわかったら、すぐに助けられるところに行き、黙って2人がどうするのか見守ります。
言うとしたら「どうしたの? (理由を聞いて)そうなんだ。じゃあ、どうすればいいかな?」と考えてもらいます。2人で解決できることもあったり、別のお友だちが提案を持ってきて解決したりすることもあります。すべてを大人が解決しようとせず、子どもたちにも解決できる力があることを信じて「待つ」ことも大切です。
「なんだかうちの子、集団行動が難しいかも」と思ったときに、親が思う「できている子」を見るのではなく、自分の子どもが集団行動の何に困っているのか観察してみてください。子どもが困っていることがわかれば、おのずと親が何をすればいいかの答えが見つかるはずです。
著者:保育士 一般社団法人 離乳食インストラクター協会 代表理事 中田家庭保育所施設長 中田馨
0~2歳対象の家庭保育所で低年齢児を20年以上保育する。息子が食べないことがきっかけで離乳食に興味を持ち、離乳食インストラクター協会を設立。
現在は、保育士のやわらかい目線での離乳食の進め方、和の離乳食の作り方の講座で、ママから保育士、栄養士まで幅広く指導。離乳食インストラクターの養成をしている。