母子ともに大きなリスクを伴う前置胎盤 その原因や症状、出産方法とは
2.部分前置胎盤
内子宮口の一部を胎盤が覆ってしまっているタイプです。
3.辺縁前置胎盤
胎盤が内子宮口の縁にわずかにかかっているタイプです。
重症度は、全前置胎盤 > 部分前置胎盤 > 辺縁前置胎盤となっており、原則として帝王切開で出産します。しかし、分娩までの妊娠期間中に大量の出血を起こす可能性もあるため、十分な妊娠管理が必要です。なお、妊娠中に前置胎盤と診断されても、経過とともに胎盤が上に上がり、前置胎盤でなくなるケースもあります。
●前置胎盤で見られる症状
前置胎盤では自覚症状が少なく、無症状という方も多いです。症状として、腹痛を伴わない出血が起こることがあります。また、内診によって大量の出血を招くことがあるため、診察時の内診は禁忌となっています。
これは、子宮の壁と胎盤がおなかの赤ちゃんの重みによってずれ、胎盤から出血を起こしてしまうためです。
特におなかの赤ちゃんが大きくなってから症状が出やすい傾向にありますが、そのほかでも大量の出血がある場合は、緊急を要する事態となっているため、すぐに受診しましょう。
前置胎盤がお母さんに与えるリスクとは?
前置胎盤における最大のリスクは大量の出血と癒着胎盤です。
●前置胎盤と大量の出血
前置胎盤の場合は、出血がない場合でも早産になるリスクが非常に高く、妊娠が継続できた場合でも帝王切開での出産となります。出血量が非常に多いため、場合によっては赤ちゃんだけではなくお母さんも危険にさらされてしまうことがあるため、自己血や輸血の確保が必要とされています。
●前置胎盤と癒着胎盤
通常、胎盤は出産時に赤ちゃんと一緒に体の外に排出されます。しかし、子宮に癒着して剥がれなくなるケースがあり、この状態を癒着胎盤とよんでいます。前置胎盤においては、約5~10%の割合で癒着胎盤を合併するといわれており、さらに大量の出血をする可能性が高くなっています。場合によっては、子宮を全て摘出しなければいけないこともあります。
前置胎盤の管理と出産方法
前置胎盤における分娩週数は平均34~35週となっており、可能な限り37週まで待機しますが、少なくともこの時期を目指した妊娠の管理がおこなわれます。
●安静にする
出血がない状態でも、早産や出血のリスクが高いため、基本的には安静にしておくことが必要です。