母子ともに大きなリスクを伴う前置胎盤 その原因や症状、出産方法とは
また、運動や性交渉も控えた方がいいとされています。また、妊娠期間をなるべく長くさせるために、子宮収縮抑制剤の使用などもおこなわれています。
●入院管理
出血が見られる場合は、基本的に入院して管理することになります。
●出産方法
・出血がないまたは少量の場合:
おなかの赤ちゃんの成長などを考慮し、妊娠37週まで妊娠を継続し、陣痛が来る前に予定帝王切開をおこないます。
・出血が多量またはおなかの赤ちゃんの状態が良くないと判断された場合:
妊娠週数にかかわらず緊急帝王切開をおこないます。
予定帝王切開では、輸血の準備として自己血貯血(※1)やインフォームドコンセント(※2)をおこない、安全に手術をおこなうための準備がなされます。また、通常の帝王切開よりも大きなリスクが伴うため、ICUやNICU、麻酔科などのある大きな病院(大学病院・総合病院)での対応が必要です。基本的には、小さな病院にかかっていても前置胎盤の疑い、または診断が出た後は大きな病院へ紹介されることが多いですが、紹介がない場合は自分から医師に相談したほうが良いでしょう。
※自己血貯血:前置胎盤では帝王切開がおこなわれますが、出血量は通常の帝王切開に比べて多く、約14%の割合で輸血が必要となっています。そのため、出産に備えて、自分の血液を採取する「自己血貯血」という方法で十分な血液量をストックしておきます。これは、妊娠33~34週ごろにおこなわれています。
※インフォームドコンセント:患者・家族が病状や治療について十分に理解し、また、医療職も患者・家族の意向や様々な状況や説明内容をどのように受け止めたか、どのような医療を選択するか、患者・家族、医療職、ソーシャルワーカーやケアマネジャーなど関係者と互いに情報共有し、皆で合意するプロセス(出典:インフォームドコンセントと倫理 | 日本看護協会
まとめ
前置胎盤は、妊娠期~分娩~分娩後まで大きなリスクを伴います。そのためハイリスクな妊娠のひとつとなっており、しっかりとした妊娠の管理が必要です。症状としては、目に見える変化が少なく腹痛などもないですが、出血が起きたときは量が少なくてもすぐに受診することが大切です。大量の出血を起こした場合は、お母さん、おなかの赤ちゃんともにリスクを伴います。運動や性交渉を控え、安静にすることが大切です。