いっそ清々しいほどです。つーか「好きとか言うのは一生で3回」って!?「あの~、今、21世紀なんスけど。アンタ、武士ですか?いつの時代からタイムスリップを?」。一体、なんの悪い冗談なのか?覚悟を決めて聞いてみた私の、この見事な吹き飛びぶりを分かっていただけますでしょうか?
その後もペースを乱されたまま、私たちはプラトニックな関係を続けていました。「まあ、それはそれでいいのかもしれない……」などと思っていた時でした。麻ちゃんが次なる爆弾を炸裂させました!
「そろそろ、してみてさ、それによって付き合うかどうか決めたいなー」
まるで、いいことを言ったかのようなさわやかな笑顔で、そう言ったのです。1970年代生まれの女性としては、さすがに「婚前交渉は……」などとは言いませんが、男性ともお付き合いしましょうという前にベッドインしたこともないし、当然女性とそういう関係になった経験もありません。そもそも、それって、“いいことかどうか、分からないなあ……” とすら思っている私にですよ、付き合うかどうかも分からないお試しセックスを!しようと!え?服の試着をするような気軽な調子で持ちかけていらっしゃる!アナタ!!ちょっと!!!
ま、そんなことを言いながら、結局そこで、私は話にのったわけです。
だって「もしかしたら、女の子も好きなのかも?」と、ずっと悩んできた私に巡ってきた、千載一遇のチャンスです。「ここを逃したら、もうこんな機会は一生来ないかも!」。そんなわけで、乙女ぶりたい気持ちはグッと堪えて、清水の舞台から飛び降りました。この時、罪の意識やら常識やらは吹き飛び、完全に “のるかそるか” の度胸試しでした。ついでにもう、この際ぶっちゃけますけど、それもですよ、私、女性は未経験だって言っているのに、先攻を譲られたわけですよ!やり方、知らねぇわ!
光はどこだ?
初体験を経て納得したのか、麻ちゃんはようやく付き合おう、と言ってくれました。ところがウキウキとお付き合いを始めたものの、徐々に関係性が曇ってきました。原因は私の罪悪感。この頃、まだホモフォビア(同性愛嫌悪)の気持ちを、根強く持っていたからです。
例えば、誰かを好きになる時、その人を好きになろうとして好きになれるでしょうか?恋愛においては、まぁ滅多にないですよね。また「なぜ異性を好きになるか」なんて考えますか?考えませんよね。