#わたしたちでもできること
犬山紙子×坂本美雨(後編)
なかなか難しいけど、そういう姿勢で話しかけることが大事だなと。「駄目でしょう!」じゃなくて「大丈夫ですか?何かできることはありますか?」って。うざがられても。
坂本:その場の空気をいい意味で乱すというか、張り詰めた空気を乱す役割をやってみるとかね。
犬山:エッセイストの紫原明子さんがやっている「WEラブ赤ちゃんプロジェクト」にはステッカーがあって、貼っていると、「赤ちゃんが大好き。全然泣いてもいいよ!」という表明になる。実際に声をかけるのは難しくても、ひとつ前の段階で見えるところにステッカーを貼るくらいならできると思うんです。それを受けて美雨さんが「赤ちゃん抱っこしたい」ステッカーを作ろうと(笑)。
坂本:マタニティマークみたいな感じで、どこででももらえるようにしたくて。ちょっと荷物が多いとか、赤ちゃんを抱っこしていて、電車の中で「どうしよう?」というときあるじゃないですか。そんなときに、「お手伝いしましょうか」と言いやすいように。言われたお母さんも構えないように、ステッカーがあればなって。
犬山:声をかけられないという気持ちは滅茶苦茶わかるし、それが大多数だもんね。私もそうだったし。男の人はそのことで余計に悩んでいるんですよね。男だから、子どもに声をかけたら通報されるかもしれないとか。
でも、だったら何もしないよりは折衷案というか、ひとつ、優しい空気を出してみよう。公共の場を優しくしていこうというのは、私たちにもできることですよね。
坂本:いっぱいいっぱいのときは周りの人が普通にしているだけでもマイナスに思えちゃうから、むしろ周りがプラスにしていかないといけないんですよ。それはみんなが、どんな立場の人でも努力できることだと思うんです。今回本当に思ったのは、助けが必要な人は助けを求めに来れないことがほとんどだということ。だから、助けが必要な人を私たちが探し当てなきゃいけない。それをするにはどうしたらいいんだろう?ということをずっと考えている。ちょっと余裕のある人は手を差し伸べるようにする。
そうやって能動的に動いていかないと。
犬山:そこで、何かしたいけど勇気もないし何をすればいいかわからないという人に流行らせたいハッシュタグが、「#わたしたちでもできること」なんです。私たちができる作業は、ハードルを下げていくことだから。「児童虐待問題に取り組みます!」とマザー・テレサのように私生活もなげうって子どものために何かやるとなるとハードルが高すぎるけれど、「赤ちゃんが泣いていたら変な顔をしてあげる」