#31 にじいろかぞく、のはじまり その4(ゴー・アメリカ)
ちょうどこの年のゴールデン・ウィークに、「にじいろかぞく」ではLGBTファミリーのピクニックを開催していました。青空の下で、さまざまなLGBTファミリーが語り合う様子を見て泣きそうになっていたのですが、自分たちのやっていることが、まだまだ本当にささやかであることを思い知らされました。
ニューヨークでは、ニューヨーク州上院議員を務めるゲイの方のオフィスにお邪魔し、映画監督の夫と一緒に、2歳になる愛娘を育てている話を聞きました。また、乗り合わせた飛行機のキャビンアテンダントの男性からは、「今週、パートナーの男性と、養子を取る手続きに行くんだ」なんて話を聞かせてもらったりしました。
研修では、都会だけでなく保守的な田舎にも行きます。オハイオでは、自分の連れ子2人と、同性パートナーの連れ子2人を育てているレズビアン・ファミリーに会いました。
最も保守的だったオクラホマ州では、まだまだ根強くLGBTへの差別が残っているようでしたが、一方で地域に根付いたLGBTセンター(LGBTに関する情報センター)がありました。
私がとても感動したのは、そのセンターにキッズルームがあったことです。
カラフルな色のおもちゃや絵本が並ぶ部屋から、日常をともにする家族としてのLGBTの姿を感じることができたからです。
怒涛のように過ぎていった3週間の研修。ワシントンD.C.からはじまって、ボルチモア、ニューヨーク、オハイオ、オクラホマ、最後はポートランド。おまけに数日、元議員の方と2人でサンフランシスコに立ち寄ることもできました。
もちろんいい話ばかりではありません。アメリカのLGBTをめぐる課題なども、たくさん見聞きしてきました(このことについては、機会を見つけてお話ししたいと思います)。でも、これまで見たこともなかったLGBTファミリーのロールモデルを、現実に、目の当たりにさせてもらったことは貴重な経験でした。
これまで“見たこともないから、想像できない”と思っていたことに、イメージが持てるようになったのです。
日本の、それも狭い範囲でしか生活してこなかった私にとって、この旅はまさに人生のターニングポイント。“これでもか!” というほどの情報をもらい、私のテンションはメーターを振り切っていました。
帰国してすぐに、子どもを産んだばかりのレズビアンの友人の家に押しかけ、アメリカで見聞きしたことを語りました。