今月の人。
Illustration:Hidemi Ito
漫画家
古泉智浩さん
1969年生まれ。’93年、ヤングマガジンちばてつや賞大賞を受賞してデビュー。代表作に『ジンバルロック』、『ワイルド・ナイツ』など。そのほか『青春★金属バット』、『ライフ・イズ・デッド』、『死んだ目をした少年』、『チェリーボーイズ』が実写映画化されている。DVD『渚のマーメイド』原作・脚本担当。2015年に刊行した子育てエッセイ『うちの子になりなよある漫画家の里親入門』が話題を呼ぶ。2017年に続編となるコミック・エッセイ『うちの子になりなよ 里子を特別養子縁組しました』を刊行。現在、池袋コミュニティ・カレッジで第2・4月曜日に初心者マンガ教室を開催中。
ブログ:古泉智浩の『オレは童貞じゃねえ!!』
子どもへの愛が生まれる瞬間
里親になろうとしたときに
とても勇気づけられた作品
『おまえ うまそうだな』
作・絵:宮西達也¥1200/ポプラ社
大昔、卵からアンキロサウルスの赤ちゃんが生まれました。まわりには誰もいません。赤ちゃんが泣きながら、ひとりぼっちで歩いていると、おそろしいティラノサウルスが現れました。「おまえうまそうだな」と言って、ティラノサウルスがとびかかろうとした時、なんとアンキロサウルスの赤ちゃんは「おとうさーん!」とティラノサウルスにしがみつきました。ティラノサウルスはとまどいながらも、赤ちゃんの父親としてふるまいます。
「肉食恐竜のティラノサウルスが、草食恐竜のアンキロサウルスの赤ちゃんと出会うんですね。もちろん最初は赤ちゃんのことを “食べ物” としてしか見ていないんですが、自分になついてくる赤ちゃんに対して、いつしか保護者みたいな気持ちになっちゃうっていう心の変化の描写がすごいなぁと。息子の1歳の誕生日のときには映画版の『おまえうまそうだな』のDVDも買いました。
将来ぜひ見せたくて。こちらもすばらしい感動作です」
赤ちゃんを前にしたとき、わきあがる
熱い感情を描いた里親ストーリー
6年間で600万円を費やした不妊治療を経て、里親制度で男の子の赤ちゃんを預かり、その後 “特別養子縁組” をするまでのいきさつについて、正直に、ユーモラスに綴った子育てエッセイ『うちの子になりなよ ある漫画家の里親入門』が大反響を呼んだ古泉智浩さん。2017年には新たに女の子の赤ちゃんが加わって、現在は、古泉さん、奥さん、長男、長女、古泉さんのお母さんの5人家族で暮らしている。