連載記事:『みんなの学校』流 親子関係のつくり方
自主的に学ぶ子は、こうやってできる【『みんなの学校』流 親子関係のつくり方 第5回】
トラブル発生、親としてわが子にどう向き合うか
「間違ったらやり直せばいい」と、親が言えるか?
「怒られずに済んだ」という成功体験をつくらない
大人は正解を言ってはいけないの続きです。
「相手に謝ることを目的とする生活指導で問題解決をしようとするから、『いじめた子』『いじめられた子』、その両者が安心できる学びの場が奪われていくわけよ」と、木村先生。
でも、わが子がお友達をいじめてしまった場合、とても、とても、そんな気持ちにはなれない。それはつまり、親がわが子に向き会えていないということなのだろうか。
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■スーツケースに入れるのではなく風呂敷に包む
―― 親が「わが子に向き会えてないな」と思ったら、どうしたらよいでしょう?
木村先生(以下、木村):「どうして正直に言えないの! そんな育て方をしてないよ!」ではなくて、
「この子が正直に何かを言うには、自分はどんな親になるべきなんやろう?」と考えるのがいいです。
子どもが怯えずに何でも言える、何を聞いても怒らない、子どもをゆったりと包む、風呂敷のような親になるべきです。でもスーツケースやねん。今の親たちは。
―― スーツケース?
木村:スーツケースっていうのは、スーツケースの中にしか自分の大人としての正解がない状態です。
その中に子どもが入られへんかったら、自分が安心できない。
でも、風呂敷だったら、端っこに子どもがコロっとくれば包んであげられるでしょ? その子が風呂敷の中に入ろうとするのは可能でしょ?
―― 親は風呂敷になれと。
木村:スーツケースと風呂敷って理屈じゃなく、イメージで伝わるはず。それだけのことです。「どうする?」と言って、「どうしたらいいかな? わからん」って子どもが言ったときに初めて、「じゃあさ、自分はどうしたい?」と聞く。
たとえば、「自分はどうしたい?」と聞いたら、「怒られたくない」という子がいた場合、ベテランの教員でも「怒られたくない」という子に対して「だって、自分で悪いことしてしまったんだから、怒られたって仕方ないやん」と諭すでしょう。