連載記事:『みんなの学校』流 親子関係のつくり方
親が子に望むべき1番目の価値観とは?【『みんなの学校』流 親子関係のつくり方 第6回】
■親が子に望むべき価値観とは?
―― 親が自分の価値観を子どもに押し付けないようにするには、どうしたらいいんですか?
木村:勉強してほしい、いい大学に行ってほしい。安定した職業に就いてほしい。親が子どもにこうしたことを願うこと自体は、何も悪くない。
でもこれは、親が子どもに望んでいい価値観の2番目です。そんな価値観を持ってはいけないことはない。なんぼでも持っていたらいいんです。でもそれは、あくまでも2番目。
―― では、1番目は?
木村:その子が「僕は(私は)、これで幸せだ」と思ってくれることでしょう。
いい大学に行って、いい会社に行ったとしてもね、何かにぶつかって閉じこもったとしたら?
「そこまでは親の価値観を見事に果たしてくれたけど、この先、どうすんねん!」みたいな子が、山ほどいる。
―― もしもそうなってしまったら、どうしたらいいんですかね?
木村:何かにぶつかったとしても、その子が自ら、「自分がやっていることは、自分にとってためになることなんだ。幸せなことなんだ」と思えば、なんとかなると思います。
どんないい大学に行っても、「自分の意志に反している」「やらされている」と思ったら幸せではないはず。大事なのは、子どもが自ら選択するということです。
―― 考えとしてはわかるのですが、「そこまでユルくはなれない」という抵抗感があるのですが…
木村:親も、ただ子どもを放っておくだけではだめです。子どもが自分でした選択を後悔しないように、いろんなアドバイスをシャワーのように入れてあげる。
「大学卒業するのとしないのとでは、変わってくることもあると思うで」「大学で得た経験が、社会に出て役立つこともあるで」と、親は情報のシャワーを浴びせたらいいんです。
そして、最後に一言「ま、大学、行きたくなったら、いつでも行けばいいやん」という可能性を言ってあげれば、子どもは迷わず自分の道を選べるでしょう?
周りに動かされたわけではなく、
すべては自分が決めたこと。それを自分の力でやる。失敗しても落ち込まなくていい。やり直せばいい。この生き方を身につけさせる。それが、学歴がどうのとか会社がどうのとか言う前に、一番大事な力なんです。
今回は、ここまで! この記事は木村先生の取材の、ほんの一部分だ。また機会があれば、ぜひこの続きも書いてみたい。
■次の世代に必要な教育
ところで、この記事を書いている私は今、3人の男児を育てている母親で、長男は高校1年生、次男と三男は小学校6年生の双子だ。
彼らを育てながら漠然と「学歴なんて、もはや、ほとんど意味がないのではないか?」とか「これからは生きる力が必要だ。その力って、どうすればつけてあげられるんだろう」そんなことは考えてはいるが、いかんせん「次の世代に必要な教育」の具体的な姿が見えなかった。見えなかったからこそ、「今の教育」にしがみついてしまっていたのかもしれない。
けれども今回、木村先生の話を伺って、その姿がようやく見えてきた気がする。木村先生の実践されてきた教育こそ、これからの日本にとって必要な教育だと感じている。たとえるなら、「あっちに、行けばいいんだ!」という未来の灯のようなものだ。
今後、この灯りの姿を私自身がもっともっと知りたいし、ほかの親御さんたちともシェアしていきたいと思っている。
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