イラスト:平松昭子
■ママのプロになるために! 極意を教えてくれるのはこんな人
子どもを産んだら、ママになる。あたり前のことなのだが、「ママ業」は、デビューしたての素人も、「プロであること」を求められる仕事なんだと思います。
知識も、経験値もないのに、自分が無意識にイメージしている「ママ」は、じつは
「プロレベル」のスーパーママなのではないか? と、気がついたのは、わりと最近のこと。周囲からも、「ちゃんとしたママであること」を求められているような気がして、「そんなの、できるわけないじゃん!」と、叫びたいけど、叫べない。
そんな、ひとりのママである私が、プロ教師歴45年の
木村 泰子先生と、子育ての話で対談をさせていただきました。
木村 泰子先生プロフィール
大阪市出身。大阪市立大空小学校初代校長として、「みんながつくるみんなの学校」を合い言葉に、すべての子どもを多方面から見つめながら、全教職員のチーム力で「すべての子どもの学習権を保障する学校をつくる」ことに情熱を注ぐ。その取り組みを描いたドキュメンタリー映画
『みんなの学校』が話題に。
2015年に退職後、現在は、全国各地で講演活動を行っている。
木村先生については、「
『みんなの学校』流 親子関係のつくり方」もぜひご覧ください。
今回、この対談を担当させていただくのは、ライターの楢戸ひかる。3人の子持ちの母であり、うちひとりの息子には、
発達障害があります。
プロ教師の木村先生と、素人ママの私が対談することで、木村先生が教育実践の中で得てきた
「プロの極意(知恵)」を、普通のママたちが日常の子育てで使える「ママたちに伝えたい20のこと」としてお届けします。目指せ! ママのプロ!
■「先生の言うことを聞きなさい」とママである私は言うけれど
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楢戸:木村先生は、「学校の授業で
正解のあることなんて、6時間の授業があるうち1時間も教えていない」と、おっしゃいました。
「学校で教えてもらうことには正解があり、正解を教えてもらうのが学校だ」と思っていたので、とても驚いたのですが…。
木村:もし学校が正解だけを教えているとしたら、先生は給料を1千万円くらいもらわないと割にあいません。
そんな人間離れしたこと、できるわけないと思いません?
それって、じつはママたちが
「学校をどう見ているか」という話だと思うんです。
ママたちの
「学校観」は、ママたちが受けてきた学校教育がベースになっていると思います。「学校で先生の言うことを聞いている子が『良い子』」と、思っている。だから、「先生の言うことを聞きなさい」と、子どもに言い聞かせて、小学校にいれているわけでしょ?
■わが子が先生の言うことを聞けない子だったら
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楢戸:わが子は、「先生の言うこと」をきちんと聞くことができない、つまりは「普通」から
ハミ出てしまう子です。だから学校生活では、「うちの子が悪い。申し訳ありません」という気持ちでいっぱいになります。
木村:では、楢戸さんは小学校時代、本当にすばらしい学びを得たなぁと思っている?
楢戸:じつは、1ミクロンも思っていなくて。「小学校」と聞くだけでイヤな気持ちになります。
木村:それなのに、何で、自分の子が小学校に行ったら、「うちの子、迷惑かけてすみません」って言うの? そういうものだと思ってしまう根拠はどこにあるの?