連載記事:『みんなの学校』流「生き抜く力」の育て方
不登校で苦しむ子。「過保護」と「教育」の線引はどこにあるのか?【『みんなの学校』流「生き抜く力」の育て方 第2回】
大ヒットしたドキュメンタリー映画
『みんなの学校』。「人を大切にする力」、「自分の考えを持つ力」、「自分を表現する力」、「チャレンジする力」の4つの力を育てることに尽力をしたのが、初代校長を務めた
木村泰子先生です。
木村先生は、この「4つの力があれば、子どもたちは
未来を生きていける」と言います。しかし、いまの学校現場では、見過ごせない問題が起きているとも…。
不登校になってしまった娘を抱えるママからの話をもとに、どうして学校に通うことに苦しむ子どもが出てしまうのかを考えます。
※本連載は、木村先生との「学びの会」を抜粋したものです。記事内に登場する参加者は、「学びの会」に出席した方々となります。
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■子どもが育つ学校現場で見過ごせないことが起こっている
木村:大空小が地域の新しい学校として開校したのは、2006年4月1日です。
いまから約10年前に、「
10年後って、どんな世の中になっているのかな? いまより、もっと日本には入り混じった人たちがたくさんいる。そんな世の中で生きていくために、子どもたちが身につけなければいけない力って、何だろうね?」と、考えました。
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あれから10年たったいま、映画『みんなの学校』に注目してもらえるのは、10年先取りでやってきてことが、いまになって、ニーズを感じていただいているのかな? と、思っています。
いまの学校現場では、
「子どもが育つ環境」という視点でみると、
「見過ごしてはいけない」ということがたくさん起こっているのが現実です。でも、そんな地元の学校に行かざるを得ない子がたくさんいる。そして、学校にどうしても行けなくなってしまう。そんな苦しんでいる子、保護者は、たくさんいます。
■「不登校」が増えている理由は?
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木村:ここ2、3年で、学校現場は「いかに子どもに
規則を守らせるか」という方向に、急速に傾いています。その結果、どんなことが起こっているか?
たとえば、ある都道府県では、ここ2,3年で
「学校に行けなくなった子」の数が
2倍強に増えたという報告がありました。それは、その地域に限った話ではなくて、全国的にその傾向が強まっています。
参加者:4年生の娘が不登校です。どうして学校に行けなくなったかというと、担任の先生が「○○しなさい」「○○、しなくてはいけない」という先生なんです。過保護な母親のように、手とり足とり教えてくれることが、うちの子にとっては窮屈だったみたいで。
娘のクラスでは、娘が不登校になっただけではなく暴力的になってしまう子など、いろいろな
「症状」が出始めています。
木村:一教員が、急激に意識を変えるというのは、現実的には難しいかもしれませんね。
もし、それで変われる資質がある先生なら、もともと、そうはなりませんからね。ある意味、その担任の先生の姿は、典型的な
いまの学校の姿です。
参加者: 正直言って、「過保護や過干渉」と、「教育をきちんとする」の
線引きがわかりません。どうやって見極めたらよいのでしょうか?