川を下り終え、車で集合場所で家族と合流し、お次は山岳民族の村へ。30分ほど車で移動すると、そこは首長族の村。周りは美しい山が広がり、辺りは木々が生い茂っている。
市内からたった2時間程度でこんなに自然の多いエリアに来れるのだから子連れには嬉しいことだ。
首長族とはその村の女性が首に金色の真鍮リングを纏う民族のこと。幼少期から真鍮リングを首にはめ、歳を重ねるごとにその数を増やしていく。もともと体格も小柄なので、大人でも身長が150センチ未満の方も多い。
可愛らしいカラフルな衣装を身にまとい、子どもも大人もせっせと美しい織物を織って日々暮らしている。
仕事といえば、こうした私たちのような観光客の昼食を用意し、民芸品を販売し、わずかな貨幣を得ているそうだ。それでも、住居や、食べ物、衣類など、生活のために最低限必要なものは全て揃っているという。
村人が協力し合い建てられたと思われる、木造の簡素な作りの家が連なるこの村の周りには何もない。生活はとても質素だけれど、ここに暮らす人々の表情はとても穏やかで、幸せそうに見えた。わたしが暮らす東京で、毎日「幸せ」を感じている人はどのくらいいるだろう。
息子には身近に感じられる幸せに気づけるような子になってほしいと願っている。こうした異文化交流が、この先の人生に彩りを添えてくれた嬉しい。
生活に必要なものや、仕事自体を自ら作り出せる術を身につけることができたなら、どんなに良いだろう。
村人の女性は小さな息子を見て、流暢な英語で声をかけてくれた。
「こっちにいらっしゃい。一緒にギターを弾こう」。
手作りのギターで女性は歌をプレゼントしてくれた。
学校教育で英語を勉強したわけでもない彼女が、こうして英語を話せるようになっているのは、暮らす上で仕事に必要だからだろう。わたしはアジアのこうした小さな村を訪れるたびに、もっと努力しなくては。と反省するのだった。
昼食を挟み、最後はエレファントライドへ。この村では数頭の象を飼っていて、そのうちの象1頭に家族3人を乗せてもらった。息子を抱っこ紐で抱っこし、夫はわたしの後ろへ。
落ちやしないかソワソワしたけれど、予想以上の安定した歩きに安心し、川の近くまで散歩をした。
象はその後、川の中で水浴びを始め、ガイドのお兄さんに連れられ私たちも川の中へ。寝転がる象の上に座らせてもらい、象と一緒に水の掛け合いをして、楽しいひと時を過ごした。お気に入りのワンピースがずぶ濡れだったけれど、そんなことはどうでもいい。
家族の良い思い出ができて本当に良かった。こんなに楽しい思い出を作ってくれた象に感謝したい。
こうして、ツアーは無事終了。残すところ、数日はチェンマイ市内のおしゃれなカフェでお茶をしたり、美味しいレストランへご飯を食べに行ったり、ここにきて良いことしかなかった。
今回初めて出かけた子連れ海外の旅は、とても充実した時間を過ごすことができた。一人旅をしていたころも感じたこと
やっぱり、行って見なくちゃ分からない。経験することが学びとなる。
息子はここで過ごした思い出を忘れてしまうかもしれない。けれど、彼は感じているはずだ。日本と違う、匂いや、景色や、言葉を。どんな経験もその人の血となり、肉となる。
親になったからといって、旅することをはじめ、諦めることなんてないんだと、改めて思うことができた。
これからも、子連れであらゆる場所を旅したいと思っている。
「サンタさんって…?」 純粋な子どもの質問に親はどう答えれば!?【両手に男児 Vol.68】