■「話す」より、「書く」ことの方が難しい
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「赤いハコ」の子をイメージしながら、下の表を見てみて下さい。表にしてみると、同じ「発する」という行為でも、「話すこと」と「書くこと」では、「話し言葉」と「書き言葉」という違いがあるのがわかります。
●「書く」の位置づけを整理
(竹谷和さん作成資料)
結論からお伝えすると、「赤いハコ」の子にとっては、まだまだ「書く」ことは、「話す」ことより、随分とハードルの高いことなんです。この「ハードルの高さ」を、親がしっかりと認識しておくこと。ここが、「書く力」を育てるスタート地点です。
■言葉のキャッチボールをできるようにするには
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その次に必要なことは、何なのでしょう? 「それは、子どもに
“受け手”としての実体験をたくさん積ませてあげることです」(竹谷さん)
受け手としての実体験とは、どういうことでしょうか? 竹谷さんは、キャッチボールを例にお話しをしてくれました。
「普段の生活や仕事で、“相手を言い負かす”ことが必要な人ってほとんどいませんよね。相手の意図を汲み取って反応したり、自分の言いたいことを相手に伝わるように発する。そんな風に、相手ありきで言葉をつかう、コミュニケーションができることの方が大事なのではないでしょうか。
野球に例えると、相手に打たれない剛速球ではなく、相手がしっかり受け取れる球を投げられることの方が大事なのではないかと思います」(竹谷さん)。
「キャッチボールが上手にできるためには、この速さだったら受け取れるかな、とか、この軌道はどうかな、こう投げたら面白がってくれるだろうな、といったように、相手への想像力が必要です。その想像力のベースとなるのは、自分がこれまで“ボールの受け取り手”としてどれだけ経験を積んできたかということです。
言葉もキャッチボールと同じで、じつは“受け手側”としての経験が多い人ほど、「この言い方なら、相手に伝わるかな」「このテーマってみんなわかるのかな?」といった想像を働かせることのできる範囲の広さを持てているのです」
■子どもの文章を修正するより大事なこと
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「子どもが書いた文章について、あれこれツッコミを入れ赤入れすることは簡単です。すぐに指摘だけで真っ赤になるでしょう。ただ、それでは、どうすればいいのかは子どもに伝わりません。
それよりも、『赤いハコ』の時代を生きている子どもたちにとっては、受け手として実体験をどれほど積ませてあげられるか? そちらの方を、大切にしたいと思っています」(竹谷さん)。
「赤いハコ」の時代に、“豊かな受け手”としての実体験を重ねることは、いい発し手になるための大事な土台なのだそう。「“発し手”として、『書き言葉』を操れるようになるまで、いかに、『書く』ということに対して、子どものやる気を失わせずにいられるか? そこの橋渡しを上手にしてあげたいと考えています」(竹谷さん)。
どう子どもに接すれば、この「橋渡し」を上手くできるのでしょうか? 次回は、子どもの「書く」という意欲を育てる具体的なヒントについてお話しを伺います。
■今回のお話を伺った竹谷和さんのご著書
『子どもの「書く力」は家庭で伸ばせる』
花まる学習会 高濱正伸 竹谷和著/実務教育出版 ¥1,400円(税別)
●高濱 正伸さん
花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1959年熊本県生まれ。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。
ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳パズルなぞぺー』など、著書多数。
花まる学習会公式サイト:
http://www.hanamarugroup.jp/hanamaru/
●竹谷 和さん
千葉県生まれ。一橋大学卒業。
花まる学習会教材開発部。現場を持ちつつ、年中から中学3年までの幅広い学年に対しての教材開発・各種出版に携わる。社会に出て生きていくために、読み書きをベースとした言葉の力が欠かせないという問題意識のもと、講演会、出版、読書感想文講座等を通じて、言語表現に関する親と子の橋渡しをしている。
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