2018年8月26日 06:00|ウーマンエキサイト

「学校行きたくない」と言われたら(前編)/子どもが追い込まれる危険日は夏休み明け

目次

・小学生での不登校になる、不登校の実情とは
・小学生が不登校になる原因
・夏休み明けは一番注意が必要!
・不登校になる理由はひとつじゃない
・【同じテーマの連載はこちら】
子どもが「学校行きたくない」と言ったら

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まもなく9月、小学生ママたちにとっては長い夏休みが終わりますが、一方で子どもたちは、楽しかった毎日が終わってしまうと嘆いている子もいるかもしれません。そしてなかには、夏休み明けの学校生活に対して憂鬱(ゆううつ)な気持ちを抱えている子もいるのではないでしょうか。

夏休み明けは、子どもたちが学校に行くハードルが上がり、不登校になりやすい時期だと言えます。今回は、小学生の不登校の実情について不登校新聞の石井志昂(いしい しこう)編集長に話を聞きました。


不登校新聞とは
1998年に創刊された不登校に関する専門誌。当事者の視点を大切に、不登校についての情報を発信し続けている。
不登校とは
文部科学省は、「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくてもできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による事案を除いたもの」と定義している。

■小学生での不登校になる、不登校の実情とは

小学生での不登校になる、不登校の実情とは

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――小学生で不登校となる子はどれくらいいるのですか。

2017年に文部科学省が発表した調査結果によると、小学生の不登校者は31,151人いて、割合としては0.4%、208人に1人だということがわかっています。

学校に1ケタという数字で、けっして多いとは言えません。ですが、これまで20年ほど取材を続けてきて感じるのは、小学生の不登校というのは人数が少ないからこそ、親が孤立しやすく、なかなか対策が講じられないという問題があると感じています。

――不登校の小学生数は、年々どのように変化しているのでしょうか。

しばらく0.3%台を維持してきたのですが、この数年で0.4%台に増えてきています。
20年前は0.24%だったことから比べると、かなり増えてきている印象ですね。

■小学生が不登校になる原因

子どもが「学校行きたくない」と言ったら

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――なぜ、小学生で不登校になってしまうのでしょうか。

私は、その主な原因には5つあると考えています。それは、「いじめ」、「発達障害」「集団生活が合わない」、「人一倍敏感な気質」、「学校の管理の厳しさ」です。


▼いじめ


――小学校でのいじめとは、どういった内容なのでしょうか。

驚かれるかもしれませんが、小学校1年生でもいじめは起こります。小学校低学年でも、腕力が支配しているような旧時代のいじめは起きていて、子どもたちの見た目から想像するような平和な世界ではないのです。

ただ、子どもに「いじめを受けたか」と聞くと、クラスの半分くらいが受けたと言ったという話もあって、まだ意地悪といじめの区別はついていないように思います。

――学年によって、いじめの質も変わるのですか。

そうですね、小学校3~4年生くらいからは、現代的ないじめに切り替わってきます。クラスカーストがあって、女の子を中心にコミュニケーション操作が行われ、特定の子が孤立させられていくようないじめです。

大人からはけっして見えない高度ないじめが行われている場合もあり、いじめられた子どもにとってはつらい経験になります。
そうして、小学校から学校に行けなくなった、行かなくなったという話はよく耳にします。

▼発達障害


子どもが「学校行きたくない」と言ったら

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――発達障害があると、支援学級などでケアがあるのではないでしょうか。

たとえば、発達障害があってもグレーゾーンと言われる状態で、支援学級に行くほどではない子も多くいます。その場合、ケアは十分に受けられるとはいえず、集団生活になじめないということがあるのです。

――たとえばどのようなことが起きてしまうのでしょうか。

私が聞いた事例では、ある発達障害のグレーゾーンだった子が、消しゴムの使い方がわからなかったんですね。

その子は空気を読んで周りの子の使い方をまねすることが苦手でした。書いたところを消せないので、二重線で消していたら、先生に怒られてしまった。
しかし、消しゴムの使い方はわからないままなので、何度も繰り返して…。先生の怒りがどんどん膨らんでしまったのです。

そしてパニックを起こしてしまい、学校に行けなくなってしまった。こうした事例もよく見られます。学校がそうした子への関わり方を工夫できたらいいのですが、その受け皿ができていないのです。

▼集団生活が合わない


子どもが「学校行きたくない」と言ったら

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――集団生活が合わないとは、発達障害などの「合わせらない」こととは違うのですか。

小学生でも大人びている子がいて、その中でも集団生活がばからしく感じてしまうという子がいます。お遊戯をさせられたりするのが屈辱でたまらないと感じ、学校から離れて行ってしまうことがあります。


▼人一倍敏感な気質


子どもが「学校行きたくない」と言ったら

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――敏感な気質で学校に行けないということもあるのですね。

人一倍敏感な気質の子どもを、「ハイリー・センシティブ・チャイルド」という言葉で表します。略して「HSC」と言われることもあるのですが、ここ近年、こうした子どもたちの存在がわかってきて、私たちも何度か取材して記事にしてきました。すると、「やっと言葉にしてくれた。自分はHSCだったんだ」という反響があったのです。

――「HSC」とは、たとえばどのようなことに敏感になるのでしょうか。

典型的によく見られるのは、音に敏感になる子です。先生がだれかに大きな声で怒っていると、まるで自分が怒られているような感覚になって体が動かなくなってしまう、教室のザワザワした音が苦痛に感じるといいます。


研究者の中では、5人に1人がこうした気質を持っているとされていて、病気や障害ではないのですが、本人たちにとってはかなり大きなダメージを受けると聞いています。

そのほかにも臭いや気圧など、それぞれに敏感になる対象が違い、それが原因で学校生活が送れないという子がいるのです。

そういう子は、虚弱体質だとか、臆病だとか言われがちなのですが、そうではなくて、変えることのできない気質なのだと、ぜひ周りが理解してあげたいところですね。

▼学校の管理の厳しさ


――学校の管理というのは、校則や決まりといったことでしょうか。

取材を通じて、小学生に守らせる決まり、日々の細かい指導が近頃どんどん厳しくなっているんではないかと思っています。子どもたちの管理体制が厳しくなっているように感じ、それに対して子どもたちは合わせることが難しく、双方の亀裂が大きくなっているように思います。

学校側が子どもたち1人ひとりに合わせて指導する余裕がなくなっていて、ある種の慢性的なパニック状態になっていると言えるかもしれません。


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