乳児ママ「5~10人の小さなママ・コミュニティ」が居心地良い理由【ママの心が軽くなる「助産師さんの子育てヒント」 第1回】
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世の中では「子育て支援」がうたわれているけれど、まだまだ産後の子育てに四苦八苦しているママはたくさんいるのではないでしょうか。
ベビーマッサージや産後ヨガの著作も多数ある、たらちね助産院院長の大坪三保子先生は、子育て中のママやパパと日々向き合って支えています。
そんな大坪先生に、乳児を育てるママが少しでも快適に過ごすためのお話をうかがいました。
お話をうかがったのは…
大坪三保子先生(たらちね助産院院長)
久留米大学看護専門学校、熊本大学医療技術専門短期大学助産学科卒業。たらちね助産院院長、助産師・看護師。子育て支援グループamigo顧問。母と子のウェルネス研究会幹事。『はじめてのベビーマッサージ』(保健同人社)、『安産のための体と心をつくるHappyマタニティ・ヨガDVD付』『キレイで元気なママになるHappy産後ヨガDVD付』(共に高橋書店)など著書多数。
・たらちね助産院
■ママの悩み「自分の時間がない」を解消する3つの“間”
──乳児を育児中のママには5~10人程度の小さなママ・コミュニティに参加するのがおすすめとうかがいました。
大坪三保子先生(以下:大坪先生):子育ての孤独感を癒すには、ピアサポートと呼ばれる、同じような課題に直面する人同士が互いに支えあうことが大切と言われています。
さらに、少人数のグループであれば、相手の話が聞きやすく自分も話しやすいので、お互いの支え合う力が引き出されやすいようです。
子育て支援では「時間、空間、仲間の三間(さんま)」が大切と言われるのですが、時間、空間を共有する仲間ができると、自分の気持ちを吐き出せたり、自分自身を見つめ直したりできます。
子どもを生むと「自分が自分でなくなる」「自分の時間がない」とストレスに感じる方もあるようですが、同じように子育てに悩む母親の話や気持ちを聞いたり話したりするうちに、共感しあうことで穏やかな気持ちになれるようです。
──ママ一人だとなかなか難しいということですか?
大坪先生:一人でいてはダメということではないのですが、考えが広がりにくく、不安要素が強い時などは視野がそこに集中しがちです。
例えば、赤ちゃんの泣き声って救急車のサイレンよりも心拍数を上げ、人をドキドキさせると言われていますが、赤ちゃんが泣いていると「なにかしてあげなくちゃ」と不安になりますよね。
でも、それが誰か知り合いと一緒にいる時だったら、不安は薄まりませんか? むしろ、ずっと泣いていた赤ちゃんが泣き止んだら、その場にいる人がみんな「あーよかった」と共感し連帯感が生まれたりしますよね。
──仲間といれば、赤ちゃんが泣いても、不安ではなく共感が生まれることがあるということですね。それでは具体的に、どのような場所に出かけたら、ママ・コミュニティに参加できるのでしょうか。
大坪先生:やはり子育て中は地元の集まりがおすすめです。
ご近所に知り合いができると、災害時の安心や防犯にもつながります。
2回、3回と同じ人と会えば親しく感じることができるので、できれば同じところに2、3回以上通えればなおいいと思います。
■ママの集まり「小さなコミュニティ“2つのメリット”」
──小さなコミュニティがおすすめの理由はほかにもありますか?
大坪先生:出産すると生活が大きく変わり、今まで経験したことのないことが次から次へと起こります。戸惑いや不安からネット情報収集に走ってしまいがちになる方も多いのではないでしょうか。
そのようにとまどいながら日常生活を送っている中で、遠方への外出やたくさんの人とのかかわりは疲れないでしょうか。また、赤ちゃん自身もママとのコミュニケーションを高めているところなので、5~6人程度から多くても10人程度が集まる場所の方が疲れないと思います。
行政も子育て支援に力を入れていて、そういった母親同士が集えて安心して話せる居場所作りをサポートしているところも増えてきています。子育て支援の窓口や保健センターで相談してみられると良いと思います。
──同じような境遇のママ同士が集まることもメリットがありますか?
大坪先生:ママ・コミュニティの場合は、赤ちゃんを育てている方たちが集まりますよね。みなさん赤ちゃんを通じて家族の健康や幸せを願う気持ちが高まっていらっしゃるので気持ちが分かり合え、励まし合って情報を共有されています。そのことが孤独感を癒し、子育てを続ける元気につながっていかれるようです。