連載記事:一言で人間関係はガラッと変わる!「大人の伝え方ノート」
誤解だらけの伝え方「残念な1文字、好印象の1文字」【一言で人間関係はガラッと変わる!「大人の伝え方ノート」 第1回】
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PTAやママ友、子どもの習い事や地域のおつき合い…。ママにもさまざまなおつき合いがあります。
学生時代の友だちとは異なり、年齢や過ごしてきた環境もさまざまな人の中で、できるだけ気持ちよくおつき合いをするヒントは、ちょっとした会話や言葉づかいにあるのです。
『ひと言で「人間関係」はガラッと変わる! 大人の伝え方ノート』(SBクリエイティブ)の著者であり、長崎大学准教授の矢野香さんに、ママのおつき合いをスムーズにする「話し方」のコツをうかがいます!
お話をうかがったのは…
矢野香(やの・かおり)さん
元NHKキャスター、現在は国立大学法人長崎大学准教授、スピーチコンサルタント。専門は、心理学、スピーチ・コミュニケーション論。著書に『その話し方では軽すぎます!-エグゼクティブが鍛えている「人前で話す技法」』(すばる舎)『【NHK式+心理学】一分で一生の信頼を勝ち取る方法-NHK式7つのルール-』(ダイヤモンド社)など、ベストセラー多数。
■ひらがな1文字で分かれる、「残念な人」と「友だちになりたい人」
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――ママのコミュニケーションで、知らずにやってしまいがちな「あるある」失敗とはどんなものでしょう?
矢野香さん(以下、矢野さん):本人はきちんと話しているつもりなのでしょうが、聞いているこちらが「ん?」と思ってしまうような…そんな話し方ってありますよね。
たとえば、そこまで親しくないママ友たちと、みんなでお茶を飲みにお店に入ったとしましょう。メニューを決めるときに「私はコーヒー『が』いいです」と「私はコーヒー『で』いいです」と言う人。どちらが良い印象ですか?
――うーん、「コーヒーがいいです」のほうが、なんとなく素直に聞こえます。
矢野さん:そうですよね。
「コーヒー『で』いいです」では、なんだか「なんでもいいけど、とりあえずそれでいいかな」といった、おざなりな印象があります。
対して「コーヒー『が』いいです」はきちんと自分で考えて決めたという意志や積極性が感じられますよね。
たった1文字のちがいなのですが、意外と相手に与える印象は大きく、相手も知らないうちに「この人は、こういう人なんだな」と思っていくものなのです。
――「まずい、言っていたかも…」とドキッとした人は多いかもしれません。
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矢野さん:何気なく発しているひと言は、本人は全然気にしていないかもしれませんが、聞いている側の印象には残りますよね。
その場ではお互い気にせず聞き流したとしても、相手の心には知らないうちにインプットされているかも…そう考えると、大きな1文字です。
また、どこかにみんなで集まることになった時。「行『け』ますか?」という聞き方と、「行『き』ますか?」とでは、どちらが良いでしょう?
おすすめは「行『け』ますか?」です。
「行『け』ますか?」は、行けるか行けないかの“可能性”を確認していますよね。相手の都合を思いやった聞き方です。
でも、「行『き』ますか?」では、行くのか行かないのかの“意志”を暗に確認しているんです。ですから、ちょっと強制されているような、威圧感が感じられるんですね。
「行きますか?」と聞かれたら「行けません」と断りづらいもの。しかし、「行けますか?」なら「今回は行けないんです。すみません」と断りやすいですよね。
こんなふうに、たった1文字で相手に与える“気遣い”の印象が変わってきます。
そこから「この人、なんだか感じがいい人だな」と思ってもらうことができる。おつき合いのすべてに使える、ちょっとしたコツですよ!