連載記事:毒親連鎖を防ぐ「後悔しない子育て」
叱らない親と怒鳴る親。子どもを成長させる親はどっち?【毒親連鎖を防ぐ「後悔しない子育て」 第2回】
■子どもに怒ってしまったことは取り返しがつかないの?
© maroke - stock.adobe.com
―すごく思い当たります…。でも、やっぱり、何だか及び腰になってしまうんです。
信田:「怒る」と「叱る」を、整理できるようになってくると、怒りのエネルギーを上手に使えるのかもしれませんね。
そんな方に知っておいて欲しいのは、思わず怒りの感情が暴発してしまったとしても、取り返しがつかないわけではない。ちゃんとフォローできていれば大丈夫、ということです。
取返しのつかないことなどないんです。
―そういってもらえると、何だかホッとします。
信田:そして、さらに、親が叱る時の基準をつくることが大切です。
親の気分次第の勝手な叱り方は、子どもに大きな混乱をもたらしますからね。そうすると、子どもなりに、
リスクの少ない安全策は「親から見て常にいい子でいることである」と学んでしまうんです。
過剰ないい子、誰からみてもいい子であることの背景に、
親のわけのわからない無原則的な怒りの暴発があることは指摘しておきたいと思います。
―そうなんですね…。
信田:望ましい家族の一つの条件は、「子どもなりに納得できる原則を親が示し、親がそれを守ろうとする姿勢を示すこと」。それはひとつの「秩序」を示すことですね。
叱るという行為は上から下への支配的な言動のひとつですが、「自分の感情を爆発させるためではなく、相手の成長のため」という目的ゆえに許されるのです。こうやって整理しておけば、「怒る」ことをむやみに怖がらなくなるし、感情的になってしまった時も、きちんと「叱る」ために、ハッと立ち止まれるのではないでしょうか?
<感情的に怒ってしまうママへ>
1)「怒り」の表現方法は選択できる。
「怒りの温度計」という比喩を使うとわかりやすい
2)「叱る」のは、相手の成長のため。叱る時は基準を示し、親は基準を守る姿勢を見せる
3)親のわけのわからない無原則的な怒りの暴発が、「いい子」を作ってしまう
次回は、いよいよ本特集の仕上げ。虐待の世代間連鎖を防ぐためのお話しです。
■今回、取材を受けてくださった信田さよ子先生の最新作
『後悔しない子育て 世代間連鎖を防ぐために必要なこと』
(¥1,400円(税別)/講談社)
信田 さよ子さん
臨床心理士。原宿カウンセリングセンター所長。駒木野病院、嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室を経て1995年に原宿カウンセリングセンターを設立。アルコールなどさまざまな依存症、摂食障害、ドメスティック・バイオレンス(DV)、子どもの虐待などに悩む本人やその家族へのカウンセリングを行っている。著書に『母が重くてたまらない』(春秋社)、『母・娘・祖母が共存するために』(朝日新聞出版)、『母からの解放 娘たちの声は届くか』(集英社)『タフラブという快刀』(梧桐書院)など。
【2024-2025冬ツアー】冬キャンプで育てる子どもの感性。雪を楽しむ厳選15ツアー!