連載記事:想定外の時代を生き抜く「見えない学力」の育て方

「正解通りにできる子ども」は生き抜けない…今の学校がつらい子どもにできること【想定外の時代を生き抜く「見えない学力」の育て方 Vol.2】


■10年後の社会で「生きて働く力」とは

「正解通りにできる子ども」は生き抜けない…今の学校がつらい子どもにできること【想定外の時代を生き抜く「見えない学力」の育て方 Vol.2】

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木村先生:そうですね。だからこそ、「勉強をしないさい」と子どもに言うときには、「勉強って、何だろう? 学びって、そもそも何だろう?」といったことを、ママたちには自分の頭で考えてみて欲しいのです。下記は、私が文部科学省から聞いた文言です。
「みんなと同じことができる」
このことが評価される時代は終わった。
他人と違うことに価値のある時代になってきた。

木村先生:文部科学省は10年に一度行う「学習指導要領」の改訂をし、小学校では2020年度から既に新しい学習指導要領(※)での指導が始まっています。


ところで、今の学習指導要領の下で育った子どもたちが大人になる、10年後、20年後は、どんな世の中になっていると思いますか?
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Aさん:10年後、20年後…。そうですね、学歴があることよりも、「自分が何をやりたいか?」を追求していける子が生き抜いている気がします。

木村先生:本当にそうですね。今の学歴社会、受験社会が、どこまで通用するのかな? と、私は、思います。

Aさん:でも中学受験など受験が低年齢化して、ママたちがヒートアップしている現象もある気がします。この歪みが、どこで調整されるのか? いつ世の中が変化していくのかが不安です。

■「正解通りにできること」が目標?

木村先生:Aさんが世の中の変化を感じていないのであれば、残念ながら娘さんが通っている学校は、変化をしていない可能性もありますね…。

私の肌感覚としては、「全国の学校」という日本の全体像で見れば、随分と動き始めている印象です。
一方で、旧態依然のまま、まったく変化をしていない学校があるのも事実です。たとえば、オリンピックがありましたが、現状はそのキーワードだった「多様性」や「共生」が、行動に繋がっていない人が多いのと似ているイメージでしょうか…。
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木村先生:ところで、多様性ってどんなことだと思いますか? 私は、多様性とは「違う文化をリスペクトすること」だと思っています。子どもがふたりいたら、ふたりともが、それぞれ別の人間ですから違います。お互いがお互いをリスペクトできる。言い換えれば、それぞれの人が、それぞれの人をリスペクトできれば、すべての人が「自分の人生」を生きることができるのです。

具体的に考えてみましょうか? たとえば小学校1年生になったら「廊下は、右側を歩きましょう」と、習います。右側を歩くのが「正解」で、これまでは「先生に言われなくても、自主的に右側を歩けること」が評価されてきました。
学校も親も「正解通りにできること」を、教育の目標に掲げてきたのです。

けれども、「正解通りにできる子ども(右側を歩ける子ども)」を育てたところで、多様性が尊重される社会で生きていけますか? これからの世の中には、左右がわからない人が歩いているかもしれないし、「左側を歩くことが正解」という文化の外国人の方だって増えていくでしょう。

Aさん:本当に、そうですね…。

木村先生:これから育てるべきは、「きちんと右側を歩ける子ども」ではなく、「道で人にぶつからないためには、どうすればいいか?を、自分の頭で考えられる子ども」なんです。

そのためには、「曲がり角では、立ち止まるようにしよう」など、日々生活の中で、都度、自分で考えていかなければなりません。

Aさん:そういう子を育てるためには、どうしたらいいんでしょうか?

【木村先生がママたちに伝えたい9のこと】
4.「自分には、最終的に帰るところがある」と、子どもが思えていることが大事
5. 指示命令ではなく、「あなたはどう思う?」と、子どもに聞いてみる
6. これから育てるべきは、自分の頭で考えることができる子である

「自分の頭で考えることができる子」を育てるためには、私はどうすればいいですか? 次回も、木村先生と一緒に考えます。

※文部科学省:学習指導要領「生きる力」
学校で学んだことが、明日、そして将来につながるように、子どもの学びが進化します。新しい学習指導要領、スタート。


■お話を伺った木村先生の書籍
『10年後の子どもに必要な「見えない学力」の育て方』
「正解通りにできる子ども」は生き抜けない…今の学校がつらい子どもにできること【想定外の時代を生き抜く「見えない学力」の育て方 Vol.2】
木村泰子(著)/青春出版社(1,540円(税込))
「見えない学力」が身につけば、結果として「見える学力」(成績)は上がる! 2万人が感動したドキュメンタリー映画『みんなの学校』(「不登校ゼロ」の公立小学校)で話題となった大阪市立大空小学校初代校長が明かす、子どもが自分で考え行動しはじめる「見えない学力」の育て方とは?
【木村泰子(きむら やすこ)先生】
映画『みんなの学校』の舞台となった大空小学校の初代校長。大空小学校は、「奇跡の公立小学校」「こんな小学校にわが子を通わせたかった」と言われる大阪の公立小学校。「子どもたちから学んだこと」をベースにした子育て論が、ママたちの支持を集める。

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