小学校の教材・教具などを発行する株式会社日本標準(所在地:埼玉県日高市、代表取締役:河野 晋三)は、2023年4月に、児童の基礎基本の学力定着を確認できる「CBT国語(言葉)・算数の基本」を発行します。「CBT国語(言葉)・算数の基本」では、国語と算数の基礎基本の力をCBT(Computer Based Testing)で確認することができます。実施後には、「小問別反応表」「S-P表」が作成でき、年度はじめに実施することで、クラスの学力状況を把握し、指導に活かすことができます。「CBT国語(言葉)・算数の基本」■背景株式会社日本標準では、2022年12月6日に「国語と算数の基礎基本の習得状況に関する調査」結果を公表しました。調査では、2021年と2022年の2年間にわたり、国語の「言葉の力」と、算数の「計算・図形・文章題を解く力」に焦点を当て、子どもたちの基礎学力の習得状況を分析いたしました。調査結果から、基礎基本の定着の様子を日常的に確認していくことが必要と考え、分析を行った問題をもとに、基礎学力の習得状況を確認できる「CBT国語(言葉)・算数の基本」として発行いたします。調査・分析をもとに問題を提出していますので、信頼性のあるCBT型評価教材として実施していただけます。「国語と算数の基礎基本の習得状況に関する調査」についての結果報告は、下記をご参照ください。 ■企画概要・「CBT国語(言葉)の基本」は、言語活動を行うために最も基本的な言語事項(言葉の意味・使い方、文法事項)の問題を各学年30~40問提出しています。・「CBT算数の基本」は、計算とその文章題、図形に関する問題を各学年30~40問提出しています。・テスト実施後に、クラスの「小問別反応表」「S-P表」が作成できます。・間違えた問題を再度チャレンジできる機能、テスト実施後もくりかえし学習できる機能があります。・日本標準のワークテストをご採用いただいた3~6年生の先生が使用できます。・日本標準のオンライン教材配信システム「StudyPot」より使用できます。オンライン教材配信システム「StudyPot」 ■問題一覧「CBT国語(言葉)の基本」問題一覧「CBT算数の基本」問題一覧■使い方イメージ使い方■帳票サンプル小問別反応表学級S-P表■ご紹介ページ ■オンラインセミナーのご案内「国語と算数の基礎基本の習得状況に関する調査」の結果報告、「CBT国語(言葉)・算数の基本」の企画内容をご紹介します。日時:2023年3月29日(水)14時~14時40分(予定)下記より、お申し込みください。定員70名となります。 「CBT国語(言葉)・算数の基本」ご紹介セミナー申込フォーム■資料ダウンロード「国語と算数の基礎基本の習得状況に関する調査」資料をダウンロードできます。資料のダウンロードを希望される場合は、下記よりお申し込みください。・資料ダウンロード申し込みフォーム 「国語と算数の基礎基本の習得状況に関する調査」資料ダウンロード申込フォーム■おススメの教材日本標準では、言葉の力の育成に最適な教材として「ことばのきまり」を発行しています。 現物の閲覧を希望される場合は、お問い合わせください。【会社概要】日本標準は、1950(昭和25)年から、「日本の子どもたちの学力向上」をめざして、小学生の学習教材を発行してきました。特に、授業で使うドリル、テストなどの学校教材・図書は、現場の先生方からの評価も高く、日本中の多くの学校で使われています。社名 : 株式会社日本標準本社 : 埼玉県日高市下大谷沢91-5代表 : 代表取締役 河野 晋三創立 : 昭和25年7月1日資本金 : 5,000万円事業内容: 学校用教材・教具・学力検査の出版発行/教育図書・児童図書・一般図書の出版発行URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年03月07日株式会社 PHP 研究所(京都市南区・代表取締役社長 瀬津要)は、2022年10月17日に『「立方体が描けない子」の学力を伸ばす』(宮口幸治著/税込990円)を発売します。宮口幸治氏は『ケーキの切れない非行少年たち』(新潮新書)の著者です。同書の部数は80万部を超えており、子どもの認知機能問題に対する社会の関心の高さが見てとれます。刊行から3年が経過し、その問題にも新たな変化がありました。本書は、認知機能の弱さに困っている子どもたちを支援する活動に取り組む宮口氏の最新刊です。オリジナル教材「コグトレ」を始めた非行少年たちの経緯や「その後」、学校教育機関での事例を紹介します。「立方体が描けない」とはどういうことか本文より「立方体が描けない子」とは、認知機能の弱さに気づいてもらえなかったために非行化した子どもや少年を指しています。立方体の模写は7歳から9歳までの間にクリアする課題ですが、著者が少年院で出会った非行少年の多くは、10代後半でありながら正しく模写ができませんでした。宮口氏は、非行少年の「見たり、聞いたり、見えないものを想像したりする力」の弱さを目の当たりにし、非行問題の一因が認知機能にあるのではと考え、「まちがい探し」「点つなぎ」などの認知機能強化トレーニングを矯正教育に導入し始めました。「学習の土台」を強化するトレーニング少年院での取り組みをもとに開発された、子どもたちへの支援プログラムが「コグトレ」です。社会面・学習面・身体面という3方向のアプローチがありますが、認知機能の弱さには、学習面のコグトレが効果的です。①覚える、②数える、③写す、④見つける、⑤想像する、という5つのトレーニングで構成され、頭の基礎体力の向上を目的としています。国語や算数を学ぶ以前の「学習の土台」となるため、周囲についていけなくなることによるモチベーションの低下を防ぎ、ゲーム感覚で知らず知らずの間に力を付けることができます。本書は、コグトレの具体的内容をワークシートとともに多数掲載しています。学習面コグトレの例「何が一番?」(方法)大小、軽重、遠近など比較の入った文章を聞いて、何が一番目だったかを答える(効果)文章読解力と聴覚(言語性)ワーキングメモリのトレーニング例)「キリンさんの家は、ゾウさんの家よりも大きいです。ライオンさんの家は、キリンさんの家よりも大きいです。一番小さい家に住んでいるのは誰ですか」答え(ゾウ)「記号さがし」(方法)記号がランダムに敷き詰められた表から、法則に従って特定のマークを数える(効果)集中して数えるという持続的な注意力と、ルールに従って注意を切り替える力を同時にトレーニング「くるくる星座」(方法)上の見本と同じ星座になるように、下の点を線で繋いでいく(効果)視覚認知の基礎力と、論理的判断力を身につけるトレーニング一般の学校にも広がるコグトレは、少年院だけでなく、一般の学校でも取り入れられています。本書では、学校や教育機関での導入事例と、その成果も紹介しています。●小学校6年生を担当する教員「運動会が終わってから、コグトレに取り組み始めた。1学期は話が聞けず、いつ学級崩壊が起こるかと、学校に来るのが嫌になっていたが、今、クラスが静かになって話を聞ける場面も増えた。…2学期を終えて、落ち着いて授業が受けられる時間が増えてきた」●大阪府のある小学校の教員「(コグトレ導入の理由は、)学習の基礎になる力をしっかり整えることで、学習の力を向上させてあげたいと思ったからです。以前は、離席とか教室飛び出しが頻出するような学校だったのですが、今は落ちついてじっくりと学習できる子ばかりになりました」『「立方体が描けない子」の学力を伸ばす』について著者について宮口幸治(みやぐち・こうじ)立命館大学産業社会学部・大学院人間科学研究科教授。医学博士、児童精神科医、臨床心理士。京都大学工学部卒業、建設コンサルタント会社勤務ののち、神戸大学医学部医学科卒業。大阪府立精神医療センター、法務省宮川医療少年院、交野女子学院医務課長などを経て2016年より立命館大学教授。困っている子どもたちを教育・医療・心理・福祉の観点で支援する「日本COG-TR学会」を主宰。書に、80万部を超えた『ケーキの切れない非行少年たち』『どうしても頑張れない人たちケーキの切れない非行少年たち2』『ドキュメント小説ケーキの切れない非行少年たちのカルテ』(以上、新潮新書)のほか、『コグトレ みる・きく・想像するための認知機能強化トレーニング(三輪書店)』など。書誌情報書影タイトル:「立方体が描けない子」の学力を伸ばす著者:宮口幸治定価:990円(10%税込)発売日:2022年10月17日判型:新書判並製ページ数:240頁ISBN:978-4-569-85323-9発行:株式会社PHP研究所「立方体が描けない子」の学力を伸ばす | 宮口 幸治著 | 書籍 | PHP研究所 : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年10月14日■前回の木村先生のお話これまでは学校も親も「正解通りにできること」を、教育の目標に掲げてきました。「これから育てるべきは、自分の頭で考えることができる子」と話す木村先生。でもそういう子どもを育てるためにはどうしたらいいの?「自分の頭で考えることができる子」を育てるべきと木村先生は言います。けれども、一方で、中学受験など低年齢化した「受験熱」は、親たちの間でヒートアップしている感もあり、目先の詰め込み教育に追われる日々を過ごすママも、現実には多いのかも!? 「学歴だけでは生きていけない」と頭ではわかっていても、受験の波に巻き込まれたら最後、自分を見失ってしまう…。「私の子育て、どこに向かって何を頑張ればいいんですか?」再び読者Aさんと木村さんの会話に戻りましょう。■子どもに正解を言うと対話が終わってしまう木村先生:今までの受験社会で評価されてきたこと「インプットをした『正解』を、どれだけ正確にアウトプットできるか」は、これからの社会を生きていく上では、優先順位の上位ではないと思うのです。Aさん:では、どうしたらいいのでしょうか?木村先生: 「ママが「勉強させなければ!」と思うのは当然…でも勉強すれば幸せになれる?」 でお話ししたとおり、子どもを思いどおりに動かす子育てをしている保護者の方もいるでしょう。でも言うことを聞かせようとするから子どもは、そっぽを向くんです。それをやめれば、子どもは「ねえねえ」と勝手に寄ってきます。どういうことかというと、子どもが何を言っても、一言も口をはさまず、とにかく子どもの言うことを「聞く」「受け止める」ことから始めるんです。大人だって、自分の言うことを聞いてくれそうだと思ったら、話をしたくなりますよね?たとえば「今日、学校でAちゃんが暴れて大変だった。何とかして!」と言ってきたら、まず「ああ、そうなんだ」と受け止める。いったん受け止めることをせず「そんなことを言っちゃダメでしょ!」などと、いきなり正解を言ってしまったら、それで対話は終わってしまいます。■ゲーム嫌いなママとゲームの話しかしない子どもの場合Aさん:対話が大切なんですね。木村先生:はい。 「『正解通りにできる子ども』は生き抜けない…今の学校がつらい子どもにできること」 でお話しした新学習指導要領(※)のキーワードは、「主体的・対話的で深い学び」です。学校の先生であれば、このキーワードはみなさんご存知だと思います。国が、どの方向に向かって、教育を組み立てようとしているのか? それは、ママたちも知っておくと良いかもしれません。Aさん:主体的・対話的で深い学び…難しいですね。親は、何をすれば良いのでしょう?木村先生:難しく考える必要はないです。たとえば、ある子どもはゲームの話だけはよくお母さんにしていたそうです。でも、ゲームが嫌いなママはゲームの話なんか聞きたくない…。口を開けば「いつまでやっているの!」「宿題は?」という小言や指示命令ばかりだったそうです。「そうなんだ」と受け止めるという私の話を聞いたそのママは、意をけっして子どものゲームの話を(我慢して)最後まで聞いたところ、息子さんが「ねぇねぇ」と言って面白い動画をお母さんに見せに来てくれたそうです。子どもの話を受け止めただけで、親子の関係性が変わり、対話が生まれたんです。親が受け止めると「おお、自分の話を聞いてくれた!」と、子どもは思いますからね。■指示命令をしてきた親子関係は急には変わらない木村先生:これで第1段階クリアです。ようやくスタート地点に立ちました。Aさん:スタート地点!?木村先生:指示命令を続けてきた「これまでの長い親子関係」があるので、すぐに劇的な変化が訪れることは、まずありません。時間がかかるのです。でも、スタート地点に立てれば、だんだん、子どもの言うことを受け止めることができるようになっていきます。それが日常的に自然にできるようになったら、次の段階に行きましょう。Aさん:なかなかに険しいですね…。木村先生:そりゃ、そうです。次の段階は、たとえばニュースを見ながら「お母さん、これがわからないんだけど、あなたはどう思う?」と質問してみます。ただし「すぐに子どもが素直に答えてくれる!」みたいな変な期待は、最初から持たないことです。「あなたは、どう思う?」と聞いても「別に…」「知らない」「わからない」しか子どもが言わないようなら、しつこく追いかけないのもコツのひとつです。子どもが逃げているのですから、察知して、追いかけるのはNGです。「残念、バイバーイ!」と、あっさり引き下がりましょう。しつこくすると、せっかく築いた関係が元に戻ってしまいます。■子どもとの関係がマイナスのスパイラルに陥ったらAさん:子どもは、野生動物みたいですね…。木村先生:大空小学校でもありました。せっかく教師が自分を変えて、子どものほうから来てくれるような関係性ができてきたのに、あるとき子どもから「うるさい、そんなん知るか!」と言われた途端、「ちょっと待て!」などと言って教師が怒ってしまった。そこまでにほんの少しできてきた関係性の絆が切れてしまうと、マイナスのスパイラルに陥ってしまうこともあります。Aさん:そんな時は、どうしたら良いのでしょう?木村先生:笑いで終わらせる。しつこく追いかけない。私は学校でも、「それは残念!」などと言って軽くおどけながら子どもから離れるようにしていました。そうすると不思議なもので、「何で人がしゃべっている最中に、出ていくねん」とぶつぶつ言いながら子どもが帰ってきたりします。軽い笑いに変えると、「あなたは悪くないよ。そういうこともあるよね」という空気になるんです。その場が軽くなるような言葉をいくつか持っておくといいですね。関西人は、ちょっと有利かな(笑)。Aさん:本当にそうですね。木村先生: 今、この記事を読んでいるママたちは「現状を何か変えたい!」と思っている時なのかもしれませんね。すごいチャンスの瞬間です。現状を変えたいと思った時が、大人一人ひとりが自分で考え始めるチャンスなんです。「自分は、こう育ったから」「夫が、言うから」「ママ友が、こうだから」ではないんです。「自分がこの子だったら、どうしてほしい?」「自分が、今、やっていることは、この子にとってどうなんだろう?」 こんなふうに大人一人ひとりが常に自分に問い続けて、自分の頭で考え始めてみることが大切なんです。【木村先生がママたちに伝えたい9のこと】7.子どもに言うことを聞かせようとしない。話を受け止めることから始める8.新学習指導要領のキーワードは、「主体的・対話的で深い学びの実現」である9.大人一人ひとりが、自分の頭で考え始めることが大切いかがでしたか? 子どもが自分が思ったようにならない時、つい「自分の言うことを聞かない子どもが悪い」と思ってしまいがちです。けれども木村先生のお話しを聞くと、「あれ? じつは私自身に問題があった!?」と、ハタと我に返ります。自分の頭で考えられる子を育てるためには、まずは大人が自分の頭で考え始めることが大切…。いやぁ、本当にそうですよね! 木村先生の取材をすると、毎回、私自身(いつもよりは)深く考えます。そして木村先生と一緒に、学びを深めていきたいと思うのです。※文部科学省: 学習指導要領「生きる力」 学校で学んだことが、明日、そして将来につながるように、子どもの学びが進化します。新しい学習指導要領、スタート。■お話を伺った木村先生の書籍 『10年後の子どもに必要な「見えない学力」の育て方』 木村泰子(著)/青春出版社(1,540円(税込))「見えない学力」が身につけば、結果として「見える学力」(成績)は上がる! 2万人が感動したドキュメンタリー映画『みんなの学校』(「不登校ゼロ」の公立小学校)で話題となった大阪市立大空小学校初代校長が明かす、子どもが自分で考え行動しはじめる「見えない学力」の育て方とは?【木村泰子(きむら やすこ)先生】映画『みんなの学校』の舞台となった大空小学校の初代校長。大空小学校は、「奇跡の公立小学校」「こんな小学校にわが子を通わせたかった」と言われる大阪の公立小学校。「子どもたちから学んだこと」をベースにした子育て論が、ママたちの支持を集める。
2022年02月03日■前回の木村先生のお話これからの時代を生き抜くためには母親も子どもも、失敗しても立ち直れる「レジリエンス」が必要。しかし親が過保護になって必要以上に子どもに関わり続けてしまうとこの力は伸びません。そうならないためには…?つい、子どもに口うるさく行ってしまうのは、ママが不安だから。ヘリコプターペアレント(ヘリコプターのように子どものまわりを旋回し、管理・干渉し続ける保護者を意味)のような子育てをしないためには、「周囲の同調圧力に負けずに、子どもを信用するが大切」と木村先生に教えていただきました。再び読者Aさんと木村先生の会話に戻りましょう。■勉強しない子どもを信じることができる?木村先生:「勉強をしない」、「素行が良くない友だちと付き合ってる」…。こういったことを長い人生の中で経験することは、悪いことではないと私は思っています。子どもが成長する最中には、山あり谷ありであることの方が自然です。「わが子は今、回り道をしているけれども、最終的には自分らしく幸せな大人になっていく」と、信じていればいいんです。Aさん:その状況で、子どもを信じるって、とても、とても、難しいと思います…。木村先生:どうして? だって、自分の子どもでしょう? ゲームばかりしていても、親に迷惑をかけていても、自分の子どもでしょう? その子は、世界にたった一人しかいない、わが子でしょう? 「自分には、最終的に帰るところがある」と、子どもが思えていること。これが、とても大切だと私は思うのです。そのためには、「どんなことがあってもお母さんは、あなたの味方だよ」と、ママ自身が子どもを信用するしか方法はないと思うんです。■勉強しない子ども自身が困っている可能性もあるAさん:子どもに、「お母さんは、あなたの味方だ」ということが伝わっているのかな? というのがわからなくて…。どう伝えればいいのでしょう?木村先生:たとえば、子どもが「勉強したくない」と言ったとしましょうか。そんな時、親は心配だから「なんで?」と聞きます。聞かれた子どもは、自分の中に原因があると考えて、不安になったり、塞ぎこんだりしてしまうのです。そんな時は、発想を転換する! HOWを使うんです。「どうしたら、あなたが楽しく勉強ができるようになると思う?」「どうしたら、あなたが勉強したいと思うようになるかなぁ?」と、子どもに聞いてみるのです。Aさん:なるほど。声かけをそんなふうに変えていくことから始めればいいんですね。木村先生:子どもに対して「指示命令」をするのではなく、「問いかけ」をしてみる。そして、その問の答えを子どもから言ってもらえる。親は、そんな大人になればいいのです。「子どもが、勉強をしない」と親が困っているとしたら、子ども自身も、本当に困っていることが多いのです。「(本当は勉強したいと思うのに)、その方法がわからない、向き合い方がわからない」といった感じでね。子どもが困っている原因は、じつは本人の中ではなくて、案外、周りの環境の中にあるんです。私が校長を務めていた大空小学校(映画『みんなの学校』の舞台となった学校)には、学校に通えなくなった子どもがたくさん転校してきました。でも、大空には通えるんです。「違いは、何?」と聞くと、「空気が違う」と、子どもたちはみんな言っていました。Aさん:空気…。子どもたちは、きっと、今の世の中や、学校の空気がつらいんですよね。木村先生:今の学校の空気に入ろうとしたら、自分をガチガチのスーツケースの中に閉じ込めなければならない。でも、それを風呂敷に変えたら? 風呂敷は、どんな形にも自由自在になるでしょう? だから「子どもを育てる」のではなく、「子どもが育つ」。その周りにいる自分たち自身を少しずつアップデートしていこう! 大空は、そんな大人の集まりでした。Aさん:子どもを主語にして、自分が変わっていく…、そんな感じでしょうか。 ■10年後の社会で「生きて働く力」とは木村先生:そうですね。だからこそ、「勉強をしないさい」と子どもに言うときには、「勉強って、何だろう? 学びって、そもそも何だろう?」といったことを、ママたちには自分の頭で考えてみて欲しいのです。下記は、私が文部科学省から聞いた文言です。「みんなと同じことができる」このことが評価される時代は終わった。他人と違うことに価値のある時代になってきた。木村先生:文部科学省は10年に一度行う「学習指導要領」の改訂をし、小学校では2020年度から既に新しい学習指導要領(※)での指導が始まっています。ところで、今の学習指導要領の下で育った子どもたちが大人になる、10年後、20年後は、どんな世の中になっていると思いますか?Aさん:10年後、20年後…。そうですね、学歴があることよりも、「自分が何をやりたいか?」を追求していける子が生き抜いている気がします。木村先生:本当にそうですね。今の学歴社会、受験社会が、どこまで通用するのかな? と、私は、思います。Aさん:でも中学受験など受験が低年齢化して、ママたちがヒートアップしている現象もある気がします。この歪みが、どこで調整されるのか? いつ世の中が変化していくのかが不安です。■「正解通りにできること」が目標?木村先生:Aさんが世の中の変化を感じていないのであれば、残念ながら娘さんが通っている学校は、変化をしていない可能性もありますね…。私の肌感覚としては、「全国の学校」という日本の全体像で見れば、随分と動き始めている印象です。一方で、旧態依然のまま、まったく変化をしていない学校があるのも事実です。たとえば、オリンピックがありましたが、現状はそのキーワードだった「多様性」や「共生」が、行動に繋がっていない人が多いのと似ているイメージでしょうか…。木村先生:ところで、多様性ってどんなことだと思いますか? 私は、多様性とは「違う文化をリスペクトすること」だと思っています。子どもがふたりいたら、ふたりともが、それぞれ別の人間ですから違います。お互いがお互いをリスペクトできる。言い換えれば、それぞれの人が、それぞれの人をリスペクトできれば、すべての人が「自分の人生」を生きることができるのです。具体的に考えてみましょうか? たとえば小学校1年生になったら「廊下は、右側を歩きましょう」と、習います。右側を歩くのが「正解」で、これまでは「先生に言われなくても、自主的に右側を歩けること」が評価されてきました。学校も親も「正解通りにできること」を、教育の目標に掲げてきたのです。けれども、「正解通りにできる子ども(右側を歩ける子ども)」を育てたところで、多様性が尊重される社会で生きていけますか? これからの世の中には、左右がわからない人が歩いているかもしれないし、「左側を歩くことが正解」という文化の外国人の方だって増えていくでしょう。Aさん:本当に、そうですね…。木村先生:これから育てるべきは、「きちんと右側を歩ける子ども」ではなく、「道で人にぶつからないためには、どうすればいいか?を、自分の頭で考えられる子ども」なんです。そのためには、「曲がり角では、立ち止まるようにしよう」など、日々生活の中で、都度、自分で考えていかなければなりません。Aさん:そういう子を育てるためには、どうしたらいいんでしょうか?【木村先生がママたちに伝えたい9のこと】4.「自分には、最終的に帰るところがある」と、子どもが思えていることが大事5. 指示命令ではなく、「あなたはどう思う?」と、子どもに聞いてみる6. これから育てるべきは、自分の頭で考えることができる子である「自分の頭で考えることができる子」を育てるためには、私はどうすればいいですか? 次回も、木村先生と一緒に考えます。※文部科学省: 学習指導要領「生きる力」 学校で学んだことが、明日、そして将来につながるように、子どもの学びが進化します。新しい学習指導要領、スタート。■お話を伺った木村先生の書籍 『10年後の子どもに必要な「見えない学力」の育て方』 木村泰子(著)/青春出版社(1,540円(税込))「見えない学力」が身につけば、結果として「見える学力」(成績)は上がる! 2万人が感動したドキュメンタリー映画『みんなの学校』(「不登校ゼロ」の公立小学校)で話題となった大阪市立大空小学校初代校長が明かす、子どもが自分で考え行動しはじめる「見えない学力」の育て方とは?【木村泰子(きむら やすこ)先生】映画『みんなの学校』の舞台となった大空小学校の初代校長。大空小学校は、「奇跡の公立小学校」「こんな小学校にわが子を通わせたかった」と言われる大阪の公立小学校。「子どもたちから学んだこと」をベースにした子育て論が、ママたちの支持を集める。
2022年02月02日子どもを産んだら、ママになる。けれども、自分がイメージするようなママになれず、落ち込んでしまうことは、ありませんか? 今回は、「子どもに、『あれしなさい』『これしなさい』とばかり言っている気がして、落ち込む」という読者のAさんと木村泰子先生の会話からスタートします。【木村泰子(きむら やすこ)先生はこんな人】木村先生は、映画『みんなの学校』の舞台となった大空小学校の初代校長です。大空小学校は、「奇跡の公立小学校」「こんな小学校にわが子を通わせたかった」と言われる大阪の公立小学校。「木村先生が子どもたちから学んだこと」をベースにした子育て論が、ママたちの支持を集めています。■「あれしなさい」「これしなさい」ばかり言ってしまうAさん:私の悩みは、つい、子どもに「あれしなさい」「これしなさい」とばかり言ってしまうことなんです。本当は、何でも大らかに受け入れて、「大丈夫よ!」と、子どもの気持ちに寄り添いたいのに……。木村先生:表面上、「大丈夫」と言って子どもを落ち着かせようとするのは、「大丈夫」という言葉を、単なる道具として使おうとしているのかもしれませんね。子どもは、それをすぐ見抜きます。子どもが暴れたりイライラをぶつけたりするのは、親を困らせようとしているのではなく、ただ、本人が困っているだけ、不安を抱え、困っている子どもに対して、大人は寄り添おうという気持ちが大切です。今、こんなふうに偉そうに言っている私ですが、私の娘が孫にあれこれ言っているのを見て、「そうやって力で押さえつけても、子どもは納得しないよ」と伝えたら、娘から言われた言葉があるんです。Aさん:娘さんは、何と?木村先生:「お母さんにだけは、そんなこと、言われたくない!!」と、猛反発されました。私も、母親時代は、娘と同じことをやっていましたからね。Aさん:木村先生も、自分の娘さんに、あれこれ言ってしまう母親だったのですか?木村先生:そりゃそうです、当たり前です。Aさん:木村先生でもそうだったと伺って、何だかホッとしました。学校の宿題など、「どうしてもやって欲しいこと」があると、子どもに寄り添えなくて、落ち込みます。木村先生:親は、「子どもが自分の望んでいるような姿になって欲しい!」と願う生き物です。私も、「いろいろなことができるお子さん」を見ると、「うちの娘も、ああなって欲しい!」と、いつも思っていましたよ。Aさん:「こういう子になってほしい」という自分の気持ちを子どもに押し付けてしまう気がして…。木村先生:母親だったら、全員そうでしょう。親の思うように行動していない子どもに、「あなたは、大丈夫!」なんて、とても言えませんよね。仮に母親が表面上そう言っていたとしても、子どもは見抜きます。■勉強をしたら、幸せになれますか?Aさん:では、どうしたらいいんでしょう? 勉強をする時間になっても、子どもがダラダラと漫画を読んでいる時、どんなふうに声かけをしたら良いですか?木村先生:その前段階として、勉強をする目的を、ママはどう考えていらっしゃいますか?Aさん:子どもが勉強することで自立する手助けになればと。私が高齢出産なので、少しでも子どもの選択肢が広げられたらと思って…。木村先生:わかります。私は、一人っ子なんです。そして、小学校の参観日に母が来るのがすごく嫌でした。友だちから、「お前は、おばあちゃんが来ているのか?」と聞かれるほど、友だちの母親と比べて年配感が漂う母だったんです。でも「世界中で一番尊敬している人は誰?」と、聞かれたら、私は「母」と答えると思います。そんな母ですが、一緒に暮らしている間、ずーっと私に、「勉強しなさい」と言っていました。その時代の自分を省みて思うのは、「勉強しなさい」と言われたところで、勉強なんてしません。勉強をしている「ふり」だけして、まったく勉強しないで大人になりました。小学校の成績は、真ん中より下だったと思います。Aさん:そうだったんですね…。木村先生:でも、「勉強しなかったら、大人になった時に幸せになれないのか?」と問われたら、そんなことはないと思うんです。ママたちは、今、子育ての真っ最中で、「子どもが勉強をしていれば安心。勉強をしていないと、不安」なのは、とてもよくわかります。私は子育てが終わっているので、「このように育てたら、こんな結果になる」ということがわかっている人間です。その人間から言わせてもらえば、「勉強して、いい学校に行けば、子どもは幸せになる」というのは幻想です。繰り返すようですが、「わが子が勉強をしていない」という姿を目前にすれば、母親なら誰だって、「勉強させなければ!」と思うのは当然のことなんです。けれども、そんなママたちだって、一個人に立ち戻った時に、「勉強すれば、幸せになれるの?」と問われたら、もはや「そんなことは、ない」と、気がついてはいるでしょう?■これからの母親に必要な力とは?木村先生:時代が大きく変わっている今、「母親として、ここだけは外さないで欲しい」と私が思う力は、復元力です。イメージとしては、大波に揺られても転覆しない船です。子どもは、大海でいろいろな波に揉まれながら、進んでいくわけです。いろんな波があっても、船が沈まないのは復元力があるからです。復元力は、最近よく使われる言葉として、「レジリエンス」とも言い換えられます。私は娘ふたりの母親ですが、上の子と、下の子は、同じ親から生まれ、同じ家で育ったのにまったく違う性格です。上の子は、ありとあらゆることに反抗する子どもでした。とにかく先生の言うことを、聞かない。先生が、「右に、向きなさい」と言えば、「何で、右に向かなきゃいけないの?」と聞いて、「いいから、右、向きなさい!」などと先生が言おうものなら、「じゃあ、私は左向くわ!」と言って、どこかに行ってしまうような娘でした。下の子は、そんな姉を見ながら、生徒会に入って、「学校改革をしよう!」と言うような子でした。姉が中学3年間でぶっ壊してきた中学を、妹は生徒会の会長になって復活させた。笑い話です。Aさん:すごいですね…。木村先生:「勉強をしない」、「素行が良くない友だちと付き合ってる」…。こういったことを長い人生の中で経験することは、私はけっして悪いことではないと思っています。人が成長する最中には、山あり谷ありであることの方が自然で、子どもが大きな失敗をして親の元に帰ってくることもあるでしょう。そんな時、「お母さん、一緒に考えるよ」と、親が言える。こんなレジリエンス(復元力)を親が持っていたのなら、子どもはいろんな曲がり角にぶつかりながらも、最終的には自分らしく幸せな大人になっていくと思うんです。Aさん:そんなレジリエンスを持てている親、いるのでしょうか?木村先生:それを持てるよう、親も子どもと一緒に学ぶのです。学びについては、別の機会に、ゆっくり考えていきましょう。今回、お伝えしたいのは、子どものレジリエンスが育ちづらくなる、親の関わりについてです。それは「ヘリコプターペアレント」と言われたりする、過保護になってしまいがちな親の行動です。子どもの様子を逐一把握していないと心配で、必要以上に関わり続けてしまう…。 「自分の視界」「自分の想定」の範囲に子どもがいないと不安で、結果的に子どもを縛り付けてしまう…。縛りつけておかないと、子どもがどこかに行ってしまうような気がして不安なんでしょうね。そうならないため大切なことは、大人も周りの同調圧力に負けない覚悟が必要です。Aさん:覚悟…ですか? 親が覚悟を持つためには、どうしたら良いのでしょう?木村先生:子どもを信用するしかないですよね。【木村先生がママたちに伝えたい9のこと】1.これからのママに必要なのは、レジリエンス(復元力)である2.復元力とは、子どもが失敗をした時に「一緒に考えるよ」と子どもの味方なる力3.ヘリコプターペアレントをしている限り、いつまでも不安のままである次回は、「子どもを信用すること」について、木村先生にお話しを伺います。■お話を伺った木村先生の書籍 『10年後の子どもに必要な「見えない学力」の育て方』 木村泰子(著)/青春出版社(1,540円(税込))「見えない学力」が身につけば、結果として「見える学力」(成績)は上がる! 2万人が感動したドキュメンタリー映画『みんなの学校』(「不登校ゼロ」の公立小学校)で話題となった大阪市立大空小学校初代校長が明かす、子どもが自分で考え行動しはじめる「見えない学力」の育て方とは?
2022年02月01日親子関係が子どもの学力に及ぼす影響は、私たちが想像しているよりもはるかに大きいらしい――。なんとなくそう感じている保護者の方も多いのではないでしょうか。家庭内の雰囲気や親子の関係性は、子どもの人格形成だけではなく、学力への影響も少なくないのです。今回は、「親子の絆と学力の関係性」について考えていきます。親子のコミュニケーションと学力の深い関係最近は、親も子どもも仕事や家事、学校や習い事などで忙しく過ごし、また専用のスマートフォンやタブレットを持つようになったことからも、家族間のコミュニケーション不足が問題となっています。たとえば夫婦のやりとりも、LINEで「いまから帰る」「了解」のみ、またはスタンプひとつで完了、ということも少なくないのではないでしょうか。教育社会学者の舞田敏彦氏は、家族における「関係の貧困」こそが、子どもの学力低下につながっていると指摘します。たとえば、「算数の計算問題はできるのに文章題はできない」「(LINEでの細切れの単語の会話に慣れてしまって)長い文章の構築ができない」など、読解力の乏しさや文章力の未熟さが見られるなら、親子のコミュニケーションについて考え直す必要があるようです。国立青少年教育振興機構の調査結果をもとに、舞田氏が独自で割り出したデータによると、「家族とよく話をするグループほど、勉強が得意という子が多い」という結果に。家族と話をする頻度が最も高い群では、52.3%が「勉強が得意」と答えた一方で、会話頻度が最低の群では28.4%と約半数でした。特にほかの教科に比べて、「国語が得意」と答えた比率は、家族関係が良好なほど明らかに高くなったそうです。同様の結果が導き出された調査はほかにも。ベネッセ教育総合研究所のアンケート調査によると、学力の上位層ほど保護者との会話が多く、「1日の出来事を話す」「学校での勉強について話をする」ことがわかりました。逆に、学力の下位層ほど「宿題をやるように(親から)注意される」と答える比率が高くなり、親子の会話というよりも、親から一方的に注意されたり叱られたりする傾向が強まるようです。これらの結果からも、子どもが落ち着いて勉強に取り組める環境は、良好な親子関係のもとでつくられるということがわかるでしょう。家族関係の問題が子どもに及ぼす影響家族といえどもそれぞれ別の人間なので、当然ぶつかり合うことやわかり合えないこともあります。すぐに関係を修復できずに殺伐とした雰囲気が続き、家庭内が不穏な空気に包まれてしまうことで、子どもにはどのような影響を与えてしまうのでしょうか。国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所で知的・発達障害研究部部長を務める岡田俊氏は、「普段から夫婦間で本音を出していないと、(子どもの進学など)大事な局面になるとお互いが譲れなくなり、対立してしまうことも。子どもの目の前で夫婦がぶつかり合うと、子どもにストレスを与えてしまう」と指摘します。日頃から夫婦間の意思疎通が不十分であることから、「ちょっとした夫婦げんかでも壊滅的な結果をもたらすかもしれない……」とお互いに思い込み、衝突を避けてやり過ごす夫婦は意外と多いものです。しかし、普段から本音を隠していることでお互いの気持ちがわからなくなり、きちんと向き合わなければならなくなった段階で夫婦のスタンスの相違が露呈してしまい、本当に取り返しのつかないことになるケースも。このような夫婦のほころびを目の当たりにすると、子どもは「自分のせいでお母さんとお父さんの仲が悪くなったのかも」と不安になり、当然勉強も手につかなくなるでしょう。ただし、共働きゆえに家族が一緒に過ごす時間が少ないのは、子どもの学力が低下する直接的な原因にはなりません。ペンシルバニア大学ウォートン・スクールの組織心理学者であるスチュワート D.フリードマン氏の研究では、「親が仕事や子育てに費やす時間の長さは、子どものメンタルヘルスに影響していない」ことや、「必ずしも長い時間を一緒に過ごす必要はなく、本当に大切なのは質の高い時間」であることがわかりました。具体的には、親が仕事に費やす時間が長くても短くても、何よりも家庭を第一に優先すべきだと考えている場合、子どもの感情面の健康状態はより良好であると判明し、また親が仕事に対してポジティブな気持ちで取り組んでいることも、子どもの心の成長にプラスにはたらくことがわかったのです。問題は、一緒に過ごす時間の長さではありません。イライラして感情的になって子どもに八つ当たりをしたり、子どもに過剰な期待をして無理難題を押しつけたりなどのマルトリートメント(不適切な養育)が問題なのです。子どもを対等な存在として尊重できているか、と改めて考えてみましょう。東北大学加齢医学研究所教授の瀧靖之氏は、「あまりにも強く叱りすぎるなど、不適切な言葉がけを繰り返すことは、子どもの脳に悪影響を与える」と述べています。さらに、小児神経科医の友田明美氏によると、「日常的に “不適切な養育” を受けてきた人の脳を調べると、傷がついて変形していることがわかった」そうです。夫婦のやりとりや子どもへの接し方は、家庭内の問題のためあまり表面化されません。しかし、確実に子どもの心や脳に影響を及ぼしているのです。親自身がストレスをためないことが第一家族間でのいざこざが子どものストレスにならないように、親はどのようなことに注意するべきなのでしょうか。前出の岡田氏は、「親自身がストレスをためないことが大事」だと言います。日々の生活に追われて自分を後回しにしたり、子どものことばかり考えてひとりで悩みを抱えたりすることで、いつの間にか精神的に不安定になっていませんか?「自分のため」に楽しんだり休んだりすることも、家庭内の安定のためには必要です。また、日頃から夫婦間で本音を出し合うように心がけましょう。正直な気持ちを伝えることに慣れてしまえば、何か問題が起こったときにも関係がこじれることなく改善に向かうはずです。家族のコミュニケーションがしっかりとれていて、家庭が安心できる場所だと感じている子どもは、落ち着いて勉強に取り組むことができます。教育ジャーナリストの中曽根陽子さんによると、「親のほうから一方的に勉強や成績、進路などの話をするのではなく、子どもからも働きかけができる親子関係であることが、子どもの学力向上に有利に働く」のだそう。前出の舞田氏も、「親子のコミュニケーションが少ないと、子どもは自分の世界にこもってしまい、未知のものに触れて何かを読み解くことも減ってしまう」と指摘しています。読解力も文章力も、そして想像力も対人コミュニケーションから得られることが多いので、ぜひ家庭での会話量を増やしていきましょう。***日々のなにげない会話は、家庭の風通しをよくし、親子の絆を深めます。さらには、子どもの学習への意欲にもつながることがわかれば、親子のコミュニケーションがいかに大事なのか理解できるのではないでしょうか。(参考)日経DUAL|親子関係の貧困化は学力に関わる 朝食は簡素でOKベネッセ教育総合研究所|学力が高い子どもは、保護者との会話が多い傾向がある。日経DUAL|夫婦関係や親のメンタル不調が子どものストレス源にDIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|親のキャリアは子どもの成長にどんな影響を与えるかSTUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|脳が変形するって本当!?子どもの脳を傷つける“親のNG行為”PHPのびのび子育て 2019年10月号,PHP研究所.プレジデントオンライン|5歳児の脳を損傷させた「DV夫婦」ビジネスジャーナル|「子どもの学力は親の学歴&年収で決まる」の“まやかし”…非認知能力と学力に相関関係
2020年08月22日どうしたら子どもの学力を伸ばせるのか? いかに勉強グセをつけさせるか? 日々頭を悩ませている親御さんは多いことでしょう。そのヒントとなるのが、秋田県にある人口約2500人の山間の小さな村、東成瀬村。コンビニは1軒だけ、民間の塾やスーパー、書店もない。そんな山村が文部科学省の全国学力テストにおいて、「学力日本一」に!いったい、この村で、どのような学力向上の取り組みがなされているのか? 普通に考えても、単なる教育プログラムの充実だけではダメで、やはりそこには子どもが率先して学ぶ気になる“何か”がないと学力日本一は難しいと思うのです。■人口約2500人の山村が学力日本一になったワケ「子どもが進んで学ぶ」。これを可能にしている学習法のいくつかが東成瀬村にはあります。そのひとつが、秋田県内の多くの小中学校で採用されている「自学ノート」です。自学ノートとは、自分で勉強をする内容を決めて、家庭で学習するための自主学習ノートのこと。この「自学ノート」を、家庭で取り組むにはどうすればいいのか。書籍 『「学力日本一!」秋田県東成瀬村のすごい学習法』 からひも解いていきたいと思います。「自学ノート」で行うのは、得意教科をより理解する勉強でも、苦手教科を克服する勉強でもどちらでもいいんです。子どもたちが自分で「これを今日はやる」と決めて、自宅で自主学習する時間を持つ。このノートを東成瀬村では徹底的に活用しているそうです。とかく、子どもの学習というのは、親の口癖「勉強しなさい」を代表するように、大人からの押しつけがほとんどではないでしょうか? さらに「あれしなさい、これしなさい」とついついせかし、「なんでこれができないの」と責めてしまう。対して、自学ノートは自主性を重んじます。主導権は子ども。他者からの押し付けではなく、自分で課題を決めて実行する。親や教師はあくまで、実行しようとする子どもを見守り、少しだけ後押しするに過ぎません。<自学ノートのねらい>●子どもたちが自分で計画して、実行→家での学習を習慣化し、自ら学習の計画を立てる。●子どもたちが自ら課題を見つけ、解決→学業のつまずきをいち早く発見し、解消する。●子どもたちが自ら進んで興味のあることにトライ→学ぶことの面白さを子どもたち自身が見い出す。ただ、村ではさらに広い見地をもって取り組んでいるそう。「自学ノート」の最終目標。それは、子どもに自立を促し、自分が何を目指しているのか人生を設計する。こうした最終目的につながっているといえそうです。■学力アップする「自学ノート」のヒミツでは、自学ノートとはどういうものなのでしょうか?写真をみればわかるように、パッと見ると、とくに変わった取り組みにはみえません。すぐにでも取り入れることができそう。これが基本です。ただ、細かく目をとおすと、よくできた工夫がなされています。自学ノートには5つの約束があるのですが、これがじつに理にかなっているんです。①日付(〇月〇日)を書く<立ち返るポイント>・いつの勉強だったかをすぐ思いだせ、復習などに有効・毎回決まった位置に書いて、目的の日をすぐ検索②取り組む内容(計算ドリルの〇ページなど)を書く<立ち返るポイント>・ノートを開けばすぐにやった内容がわかる・ドリルなどはページや番号を入れると、答え合わせがスムーズ・将来的に自分で学習計画を立てる力の基礎となる③取り組んだ時刻・時間(〇時〇分~〇時〇分まで)を書く<立ち返るポイント>・量のノルマがない代わりに、勉強時間の目安を可視化・勉強時間は学年×10分+10分が基本。2年生なら2×10分+10で、40分が目安・勉強時刻から生活が乱れていないかチェック・ちょうどいい勉強量を見つけ、正しい生活のリズムを作る④めあてで弱点を克服する<立ち返るポイント>・ビジョンをもって学習に取り組む・最初はクリアしやすいことをしながら、じょじょにレベルアップ・最後は、苦手なことや弱点に積極的に取り組むよう意識改革!⑤振り返りで次につなげる<立ち返るポイント>・自分がどれぐらいのことができて、次はどう改善すれば目標を達成するのか考えさせる・要点をまとめて書くトレーニング・次に学ぶことへの興味や好奇心、もっと上を目指してやる気を起こさせる■子どもの可能性を広げるための親の役割は…自学ノートはうまく活用すれば、子どもに無理を強いることなく、学習に向かわせるとともに、子どもにいい意味で主体性をもたせることで学ぶ意欲に刺激を与え、子どもの可能性を広げます。そこで大きな役割を果たすのが親です。みなさん、ここからが親の出番です(笑)。このノートにおいての親の役割は、子どものやったことをよく見て丁寧にアドバイスしてあげること。きちんとできていればほめる。抜けていることや間違っているところは、叱らない。まずは必ずいいところをみつけ、「ここはこうしてみたら」と責めるのではなくアドバイスに徹する。たとえば字が汚かったら、まず「もう少しきれいに書いてみたらかっこいいよ」といったように子どもに提案してみる。ものは言いようです(笑)。子どものがんばりを、親がきちんと認めてほめてあげる。じつはこれ、普段の生活では厳しさの方が先に立ってしまい、「ほめる」ことができていないのではないでしょうか? 自学ノートの成功と失敗の分かれ目は、じつは親にかかっているのかもしれません。たしかにわが身を振り返ってみても、あまりわが子も勉強したノートは見せたがらない。東成瀬村の自学ノートの取り組み方を知ると、それは小言を言われることが明白だからという気が…。裏を返せば、子どもを尊重してあげれば自学ノートは親と子を学習をテーマにしたコミュニケーションツールとなれる予感がします。■「学び」の本来の意味を親自身が考えるときただ、注意しておきたいことがあります。おわかりのように、自学ノートは人よりも先に進むことや量を競うものではありません。子どもが目標をきちんと自分で決め、それをしっかりとやって理解する。この繰り返しがいつしか大きな力になる。ついつい学習に対して、親は費用対効果や即効性を求めがちですが、自学ノートは一夜にして学力を伸ばしたりするものではありません。長い時間をかけて学ぶ力を養う。目先ではなく、長い目で東成瀬村は子どもを見ています。このスタンスは、とても大切ではないでしょうか?いろいろな知識を得て、物事の理解を深めるのは楽しいこと。そう、本来、学びは楽しいことであるはず。でも、人間としての成長よりも、テストでいい点数をとることを優先し、子どもに必要以上に無理を強いている気がしてしまう現代。 私たち親世代は、本来の「学び」の意味についてもっと考える必要がある気がします。親の意識が変われば、きっと子どもたちとの接し方も変わってくるはず。環境をきちんと整えてあげれば、子どもは学ぶことを嫌がらない。自学ノートをはじめとする東成瀬村の学習の取り組みはそのことを教えてくれます。■参考書籍 『「学力日本一!」秋田県東成瀬村のすごい学習法』 (主婦の友社/1404円(税込))2007年に再開された「全国学力テスト」で8年連続1位の秋田県。その秋田県の中でもトップクラスの学力を誇るのが人口2600人、村の93%が山林という、小さな村、東成瀬村。村にはスーパーマーケットはなくコンビニはも1つだけ。塾もないこの村の子どもたちはなぜ優秀な学力を誇るのか? その驚きの学習方法に迫ります。
2019年07月21日子どもの頃、クラスに「運動も勉強も両方できる、万能型の同級生」が何人かいたという記憶はありませんか?それもそのはず、子どもの学力と運動能力には、相関関係があるといわれているのです。今回は、運動能力と学力の関係や、それらをアップさせるための方法について紹介しましょう。「運動能力」と「学力」には相関関係があるスウェーデンのブンケフロという町の小学校で、毎日体育の授業をするクラスと、週2回体育の授業をするクラスを設けて、運動能力と学力の相関関係についての研究が行なわれました。その結果、毎日体育の授業を行ったクラスは、体育が週2回のクラスに比べて、算数、国語、英語の成績が良かったことがわかったのです。アメリカでも同様の研究が行なわれましたが、やはり同じような結果が出ました。心肺機能・筋力・敏捷性が高い子どもたちは、算数と読解のテストで高得点を獲得。そして、体力的に優れているほど、得点が高くなったそうです。なお、日本でも、文部科学省による小中学校の全国都道府県学力テストの結果と体力・運動能力の調査結果を照らし合わせたところ、「運動ができる子どもは勉強もできる」傾向があることがわかっています。やはり「運動」と「勉強」には相関関係があるとみて間違いないようです。文武両道な子どもの特徴3つまた勉強も運動も得意な子どもには、以下のような特徴がみられることが多いといわれています。【特徴1:よく歩いている】フィンランドの調査によると、毎日たくさん歩く子どもは、ストレスに対する抵抗力が高くなり、勉強や宿題を最後までやり通すことが苦にならないといわれています。そのため、毎日の徒歩通学やウォーキングは、子どもの学力向上にも良い影響があるのです。【特徴2:朝食をとる習慣がある】文部科学省の調査によると、朝食をとっている子どもほど、テストの点数が高くなるといわれています。また、農林水産省の調査でも、毎日朝食を食べる子どもは体力合計点が高いとされています。勉強や運動で能力を発揮するためには、そのエネルギーとなる朝食が欠かせないといえるでしょう。【特徴3:何度も繰り返し学べる】例えば、漢字の読み書きや計算方法を覚えることと、ボールの投げ方を覚えることは、一見まったく違う分野に見えます。しかし、いずれも何度も繰り返すことで、脳から神経に「こうすれば、この漢字が書ける」「こうすれば、ボールがまっすぐ投げられる」という電気信号が発信されるという仕組みになっているのです。そのため、繰り返して学ぶことができれば、運動能力と学力ともに伸ばすことにつながります。「運動能力」「学力」をともに伸ばすための方法運動能力と学力をともに伸ばすためには、以下のような取り組みが効果的です。■心拍数が増える有酸素運動をする脳の記憶中枢として働く海馬や、情報伝達を担うケーブルの集合体である白質は、運動によって刺激を受けることで成長することがわかっています。また、身体を動かした直後は集中力が高くなることも立証されています。記憶力と情報伝達能力、集中力を向上させるためには、心拍数が1分間で最大150回まで上がるような有酸素運動が効果的。具体的には、なわとびやボール遊び、かけっこなどに取り組んでみましょう。■“ちょこっと運動” を取り入れる前述したように、身体を動かすと、その後集中力がアップします。そのため、子どもが宿題などをしているときに集中力が途切れてきたと感じたら、宿題はいったん中断して身体を動かしましょう。数分でできるラジオ体操などを取り入れるのもおすすめです。合間に運動を挟んで集中力を高めることで、集中すべき場面とそうでない場面の切り替えがうまくできるようになることも期待できます。■集団で行なうスポーツに挑戦させるサッカーや野球、バレーボール、バスケットボールなど、集団で行なうスポーツでは、それぞれの考えを持つチームメンバーの中で自分の意見を主張したり、他のメンバーの意見を理解したり、自分よりもレベルの高いメンバーにライバル心を燃やしたりといった、さまざまな場面があります。こうした経験は、子どもの思考力や共感力、社会性の向上にもつながります。また、「みんなで協力してひとつの目標に向き合い、悲しみや喜びを分かち合う」「熱中できるものがある」という経験は、子どもにとって一生の思い出にもなります。***現代の子どもは、交通手段の発達や公園などの減少などにより、身体を動かす機会が限られています。そのため、意識的にスポーツなどを取り入れる必要があります。親子でスポーツを楽しみ、学力・体力の向上につなげましょう。文/田口るい(参考)農林水産省|1 子供の基本的な生活習慣の状況東洋経済オンライン|子どもの学力と体力の知られざる深い関係学研キッズネット|子どもが伸びる家庭の10の習慣第6回スポーツができる子は勉強もできる!?プレジデントオンライン|なぜ頭のいい人は「運動」が好きなのかベネッセ 教育情報サイト|学力も体力も生活習慣が左右!?ベネッセ ウィメンズパーク|第1回 子供の成長と運動の関係 – スポーツキッズの体と心を応援!
2019年04月01日「学力」とは、「教育を通じて獲得した力」です。一般的には、「どれだけ勉強ができるかを示す力」といっていいでしょう。文科省がおこなっている学力調査などは、まさにその意味で使われているものです。しかし、育児や教育に関する執筆活動の他、各種メディアで活躍する教育ジャーナリストのおおたとしまささんは、「『本質的な学力』とは『どう生きていくか』を考える力」だと語ります。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)勉強をし過ぎる子どもと全然しない子どもいま、小学生を見ていて問題に感じるのは、勉強をする子どもとそうではない子どもの差が開き過ぎているということです。これは中学受験に付随する問題でもあります。いまの中学受験は競争が過酷ですから、受験をするとなるとすごく勉強をしなければなりません。一方、中学受験をしないと決めた子どもは、逆に勉強を全然しなくなる傾向にあるように感じます。人間形成のためか、あるいはいわゆる後伸びする力を養うためか、「子どもの頃にはできるだけ遊んだほうがいい」という意見もあります。でも、その遊びがただゲームをするだけだったり、スマホをいじるばかりだったりというものであれば問題でしょう。もちろんずば抜けて勉強ができる必要はありませんし、教科書を丸暗記するような必要もない。でも、教科書に書かれていることを筋道立てて理解し、小学校で得るべき基礎学力を身につけておかなければ、その子どもの後々の人生は厳しいものになるはずです。それこそ、中学受験はしなくても、高校受験や大学受験の場面で壁にぶつかることになるでしょう。基礎学力や学びの姿勢がなければ、そういうときに手にしようとするのは「付け焼き刃の学力」でしかないのです。つまり、高校入試や大学入試という目的をクリアするためだけの「間に合わせの学力」です。もちろん、それで目的を達成できれば問題はないかもしれません。ただ、付け焼き刃の学力だけしかない場合と、それとは異なる「本質的な学力」を身につけている場合では、その後の人生は大きく変わってくるはずです。「教養」が世界での自分の生かし方を示すでは、「本質的な学力」とはどんなものでしょうか。それは、ふたつの要素にわけられるとわたしは考えています。ひとつは「教養」。もうひとつは、「学び続ける力」です。教養とは、「さまざまな学問の観点から世のなかを見る目を養うこと」です。ここではひとつの卵を例にしましょう。家庭科の観点からなら、卵を使ってどんな料理がつくれるのかという見方になる。栄養学の観点なら、黄身にはビタミンが多くて白身にはタンパク質が多いといった見方になるでしょう。理科なら、この卵がニワトリのものなのか別の生き物のものなのかを見分けるための方法を考える。社会科なら卵の値段が決まった理由を考えるかもしれないし、数学なら卵の容積を求めたり、殻が描く放物線を数式で表す方法を考えたりするかもしれません。ひとつの卵というものも、いろいろな学問の観点、角度から光を当てることによってその本質が立体的に見えてきます。「教養を得る」ということは、そういうふうにさまざまな視点に立つことで、ものごとをより正確に捉えられるようになることなのです。そうして教養を得ると、自分が置かれている世界を正確に把握し、そのなかで自分をどういうふうに生かしていくのかと考えられるようになっていきます。つまり、自分が「どう生きていくのか」を判断できるようになるのです。これは「学ぶ意味」でもあり、もはや付け焼き刃の学力とはまったく別のものですよね。そして、教養が身についていれば、日常のなかで、「あ、こういうことも学ばないといけないな」と新たな課題を次々に見つけることもできるはずです。そういう意味では、「学び続ける力」も教養に含まれると考えることもできるかもしれません。抽象的思考を高めるのは幼いときの「具体的体験」子どもに本質的な学力、つまり教養を身につけさせたいのであれば、幼い頃から「具体的な体験」をできるだけたくさんさせることが重要です。11歳くらいまでは、人間は抽象的な思考を苦手としています。だから、小学生のうちは「りんごがいくつでみかんがいくつ、合わせていくつでしょう?」というふうに、目に見えるもの、手で触れられるものを使って学びます。でも、中学生以降になると、抽象的思考ができるようになる。「x」や「y」という概念上の数字を使って表す方程式を理解するようになります。抽象的思考では、りんごやみかんのような具体物を使いません。でも、頭のなかでは抽象的なものを具体物と同じように操作しています。そして、小さい頃に具体物に触れた体験が豊かであればあるほど、抽象的思考がより得意になるのです。そのために、小さい子どもにはできるだけさまざまな体験をさせてあげてほしいと思います。また、高校受験や大学受験を見越した実利的な面からわたしの意見を述べると、やはり小学校の低学年のうちに学習習慣を身につけさせておくべきです。先にお伝えした、「学び続ける力」にも通じるものですが、受験で成果を出すにも、結局は「自ら学ぶ」姿勢が必要だからです。そのためには、学校で出される宿題以外に、ほんの少しでもいいから別の勉強をすることを子どもの習慣に組み込んでみてください。内容は本当になんでもOKです。市販のドリルをやってもいいし、新聞を読んで気になった記事に対する感想を書くということでも、虫が好きな子どもなら自分で虫図鑑をつくるというプロジェクト型のものでもいいでしょう。そして、それらをやる時間は本当に短くてもいい。1日に10分の「自ら学ぶ」習慣がついていれば、その10分を30分や1時間に伸ばすことができます。でも、ゼロを1にすることはものすごく大変です。自ら学ぶ習慣がないまま大人になると、その後の人生が充実したものでなくなる可能性が高いことは、簡単に想像できますよね。『中学受験「必笑法」』おおたとしまさ 著/中央公論新社(2018)■ 教育ジャーナリスト・おおたとしまささん インタビュー一覧第1回:過当競争極まれり。難関中学への“逆転入学”が子どもに弊害をもたらしている第2回:「間に合わせの学力」では人生厳しい。「本質的な学力」を伸ばす“1日10分”の学び第3回:学力は人並程度あればいい。「新たな時代」を生き抜くためには“3つの力”が必要だ(※近日公開)第4回:「教育虐待」のやっかいな実態。今の子どもには“決定的に足りない”時間がある(※近日公開)【プロフィール】おおたとしまさ1973年10月14日生まれ、東京都出身。教育ジャーナリスト。麻布中学校・高等学校卒業、東京外国外大学英米語学科中退、上智大学外国語学部英語学科卒業。株式会社リクルートを経て独立し、数々の育児誌、教育誌の編集に関わる。心理カウンセラーの資格、中学高校の教員免許を持っており、私立小学校での教員経験もある。現在は、育児、教育、夫婦のパートナーシップ等に関する書籍やコラム執筆、講演活動などで幅広く活躍する。著書は『受験と進学の新常識 いま変わりつつある12の現実』(新潮社)、『名門校とは何か? 人生を変える学舎の条件』(朝日新聞出版)、『ルポ塾歴社会 日本のエリート教育を牛耳る「鉄緑会」と「サピックス」の正体』(幻冬舎)など50冊を超える。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月12日子どもが小さなうちは、自宅で勉強を見てあげる機会が多くなりますよね。わが子が集中して取り組めるよう、気づかっているママも少なくないでしょう。自宅学習に関する、とある調査に「父親の帰宅時間が遅いほうが、子どもの学力が高い」というものがあります。父親の帰宅が遅いと、なぜ子どもの学力が高くなるのでしょう。今回は、子どもの自宅学習について、父親不在のメリット・デメリットをあげながら考えていこうと思います。■父親の在宅時間が短い家庭ほど、子どもの学力は高い?国立大学法人お茶の水女子大学が行った調査によると「父親の帰宅時間が22時以降となる家庭の子どもの学力が最も高い」という結果が明らかになったそうです。これは 「保護者に対する調査の結果と学力等との関係の 専門的な分析に関する調査研究」(国立大学法人お茶の水女子大学) というテーマで行われたもので、調査対象は無作為に抽出された公立学校に通う児童の保護者。小学6年生の児童の場合、父親の帰宅時間が22時以降(早朝帰宅を含む)になる家庭の子どもの学力が、ほかの時間帯に父親が帰ってくる家庭よりも上回っていました。このデータからうかがえるのは「父親が自宅にいる時間が少ないほうが、子どもの学力アップにつながるのではないか」ということです。■「父親の不在時間が長い」そのメリット・デメリット父親の不在時間が長いと、子どもの自宅学習にどんな影響を与えるのでしょうか? メリット・デメリットを考えてみました。まずは、メリット。妻の視点から考えてみると、夫の帰宅が遅いということは、子どもが起きている時間に夫の食事の支度やお世話などに振り回されなくてすむということです。つまり、子どものことに集中できるというわけですね。「よし、やるぞ!」という子どもの“やる気スイッチ”は、常に同じサイクルでやってくるわけではありません。やる気満々なときもあれば「今日はやりたくない」とだらけモードなときもあるでしょう。夫の世話に時間がとられないということは、子どもがやる気モードに入った瞬間に気づくことができ、それが継続している間、邪魔が入ることなく取り組ませてあげることができるのではないでしょうか。また帰宅時間が遅く、日ごろわが子の勉強の様子を目にしていない父親は、子どもの自宅学習に対する発言が少なくなります。見ていないので「ああしろ、こうしろ」と子どもの学習を指図したり、文句をつけたくてもつけづらいですからね。つまり、父親と母親で意見が分かれることが少なく、自宅学習のやり方について意見の相違が起きにくいというメリットがあると思います。では反対に、デメリットについて考えてみましょう。例えば、子どもの勉強が時にはうまくいかないこともあるでしょう。すると母親は「いつも仕事で家にいない、父親のせい」と責任転嫁をしやすくなってしまうことがあげられます。父親の責任ではないのに、帰宅時間が遅いことを子どもの学力が上がらない理由にしてしまう可能性があります。また、母親が何事も思いつめてしまうタイプだった場合、子どもの学力がなかなか上がらないと、不安定になった母親の気持ちを子どもが一身に受け止めることになります。そうなると、子どもの精神的な逃げ場がなくなってしまう恐れがあるかもしれません。■「父親の不在が子どもの頭を良くする」ではない、調査結果だけでは見えない点調査から「父親の不在時間が長い家庭の子どもは学力が高い」という結果はわかりますが、だからといって、父親が家にいなければいないほど子どもの頭が自然と良くなるかというと、私はそういうわけではないと思います。父親が不在は、単に母子の密着度が増し、勉強に関する考え方や対応が一本化されるので、子どもが混乱せずに取り組めるだけではないでしょうか。父親の在宅時間が長かったとしても、夫婦の意見がしっかりすり合わされていれば勉強の妨げにはならないと考えます。例えば、毎日30分は机で勉強をさせる、リビングで一緒に勉強する時間をつくる、学習塾に行かせるなど「学力をあげるためにどんな方法をとるのか」といったことや、どんな校風の学校を目指すのが子どもに合っているかなど「具体的なゴール」を夫婦で話し合い、設定しておくのです。目指すべきところが同じと分かっていれば、父母それぞれで対応が多少違っても子どもが混乱する事態にはならないでしょうし、共通意識があるので相談などもしやすくなるのではないでしょうか。そして、どちらかが「がんばって!」とハッパをかけるなら、どちらかは「のんびりでいいからね」と見守る役に徹すること。役割分担をきっちりと分けて、子どもに逃げ場をつくってあげると煮詰まってしまう心配も少なくなります。夫婦それぞれの役割がバランスよく保たれているとメリハリもつき、子どもが安心して勉強に取り組めるでしょう。上記の2つが夫婦間でしっかり一本化されていれば、夫の在宅時間の長短と子どもの学力に相関性はないように思います。ただし、ふだんから帰宅時間の遅い夫にモヤモヤするなら、この調査結果は「うちの子はこれで学力の高い子になるかも!」と気楽に構えられる要素にはなるかもしれませんね(笑)。働くお母さんは時間に追われますので「親が忙しいからといって子どもの勉強がおろそかになってしまうのはマズい」とあせることもあるでしょう。でも、お母さんが気持ちに余裕をもった状態を維持することも大切。いったん手をとめ、おおらかな気持ちで「もう少し気楽にいこう」と子どもに接していくのが、一番大事なことかもしれません。参考:国立大学法人お茶の水女子大学 「保護者に対する調査の結果と学力等との関係の 専門的な分析に関する調査研究」
2018年12月02日スイミングにサッカー、ピアノに学習塾など、子どもの習いごとは多種多様です。わが子にも何か習いごとをさせてあげたいと考えているお母さんも少なくないでしょう。習いごとをさせるのは「好きなことを伸ばしてあげたい」「興味の幅を広げてあげたい」といったママの思いがあり、たくさん通わせてあげたほうが良いだろうという発想が生まれてくるのは自然なことかもしれませんね。けれど、習いごとにたくさん通わせなければ、子どもを教育できないものでしょうか? 今回は、習いごとと子どもの学歴について考えてみたいと思います。■子どもの学歴は「家庭の年収」が左右する?文部科学省の委託により、国立大学法人お茶の水女子大学が分析を行った小・中学生の保護者への調査( 平成29年度全国学力・学習状況調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究「保護者に対する調査の結果と学力等との関係の専門的な分析に関する調査研究」(国立大学法人お茶の水女子大学) )によると、家庭の社会経済的背景が高い子どものほうが、各教科の平均正答率が高い傾向にあることが分かりました。この調査データから分かることは、経済的に余裕のある家庭の子どもは学力が高いということです。確かに、お金に余裕があればたくさんの習いごとに通わせることができるでしょう。まだまだ好きなこと、やりたいことが分からない状態でも、その小さな興味に応じた学びを与えることができるかもしれません。けれど「行かせてあげたいけど、難しい」という状況にある場合、この調査結果を見て焦りや不安を感じてしまうかもしれません。そこで、いま一度、考えてみたいと思います。「子どもにお金をかけること」は本当に学歴に結びついているのでしょうか? 私は少し違うような気がするのです。■教育はお金で買える?「子どもに習いごとをさせていない」不安経済的な理由から、子どもに習いごとを十分にさせてあげられないことで悩んでいるママは少なくありません。「まわりはみんな習いごとをやっている。うちのように習いごとに通わせていないのは、子どもにあまり良くないのでは?」「学歴によっては、子どもの人生が悪い方向にむかうかも…」といった心配が積もっていけば、ストレスになってしまうこともあるでしょう。確かに、今回の調査データでは「教育はある程度、お金で買える」という事実があるのかもしれません。けれど、私はお金がすべてではないと思います。子どもの教育を考えるなら「習いごとに通わせる」「お金をかける」ではなく、「子どもへの親の働きかけ」に目を向けてみてほしいのです。 ■子どもの教育「いくらかけた」ではなく「どれだけ関わった」か教育をお金で買うことができるのは事実。けれど、子ども本人に学習意欲がなければ、あまり効果がないのも事実です。脳も体の一部なので、小さいときから、たくさん体を動かして遊んだほうが脳も発達するといわれています。 では体操や医スイミングなど「体を動かす習いごと」に通わせるのが一番手っ取り早いですが、お金を出して習わせないと、子どもは体を動かさないものでしょうか?例えば、公園遊びがそうですね。公園には広い空間のなかにいくつかの遊具があったり、さまざまな植物が植えられていたりしますよね。そうした環境でも、子どもに学びを与える遊びがたくさんできます。自分でルートを選び、手足をひっかけながらよじのぼったり、移動したりするジャングルジムは、立体的な見方ができる空間把握能力を養うといわれています。また、わざわざ植物園や昆虫展に行かなくても公園には季節の花々や小さな虫たちがたくさん隠れていますし、種類の異なる木々も生えています。図鑑を持って出かければ、名前や特徴と照らし合わせる遊びができますよね。そこから知識と経験の両方を得ることができます。自宅でできることもたくさんあります。例えば、トランプ。神経衰弱はどこに何があるかを覚えなければならないので記憶力が身につきますし、七ならべでは自分のカードから相手のカードを推測し、先を見通す力を養うことができるでしょう。絵を描く、ゲームをする、本を読む、たくさん話をする。実は習いごとにお金をかけなくても、親の働きかけで、子どもの好奇心や学習能力は伸ばせるのではないでしょうか。さらに、こういった日々のくらしや遊びを通して学んだ体験は、学習塾だけでは決して得られないものといえます。そして、その遊びをママも一緒にやりましょう。すると「この遊び、特に気に入ってるな〜」と子どもの興味にいち早く気づくことができます。さまざまな習いごとをさせてムダな時間とお金を費やすよりも、はるかに効率的に伸ばすべきポイントが分かるメリットもあるようです。大事なのは「親が子どもとどう関わっていくか」。子どもに寄り添い一緒にやることで母子のつながりが強まれば、「自分は愛されている」という子どもの自信や親への信頼感が芽生えます。ママに褒めてほしいから頑張るんだ! といった気持ちを持ちやすくなり、学力向上にもつながるのではないでしょうか。参考サイト: ・平成29年度全国学力・学習状況調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究「保護者に対する調査の結果と学力等との関係の専門的な分析に関する調査研究」(国立大学法人お茶の水女子大学)
2018年11月12日母「学校には慣れた?」息子「うん」母「給食は美味しい?」息子「普通……」最近の我が家での親子の会話です。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)中学校に上がったばかりの息子の様子を知りたい母は、いろんな切り口で話を振ってみますが、適当な返事を返されるばかり。実はこれ、親の質問の仕方に問題があったようです!前回と今回の2回にわたって、有元秀文氏の著書「学力をグングン伸ばす親の『質問力』」(扶桑社刊)を参考に、地頭のいい子どもにするための方法をご紹介します。今回は、親子の会話が弾むための質問の仕方についてご紹介いたします。■ 意外にも、みんな「親子の会話」で苦労している!?Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)前回、社会に出てから「デキる人」と評価されるには、「地頭」のよさが必要不可欠である!というお話をしました。そして「地頭」は家庭の会話で育つ!ということですが、もともと親子の会話が少ないと、地頭を良くするもなにも……という感じではないでしょうか?我が家の場合、コミュニケーションをとろうにも、息子と会話のキャッチボールが続きません。質問をしても「うん」とか「別に」この感じ、本当にどうにかなりませんかね!?「一問一答は会話ではない」-「学力をグングン伸ばす親の『質問力』」より-まさに、我が家の親子の会話は「一問一答」。質問をして会話を投げかけても、その話題はすぐに消え去ります。息子のほうは別に話をしたいと思っていないのか、話題を広げようと努力はしてくれません。反抗期だからと片付けて、子どもが話したくないと思っている以上「地頭」が良くなってほしいと思うのは諦めて、そのまま放っておくしかないのでしょうか?■ 質問の仕方は2種類だけ!「クローズエンド・クエスチョン」と「オープンエンド・クエスチョン」って?Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)「クローズエンド・クエスチョン」と「オープンエンド・クエスチョン」。質問の仕方はだいたいこの2種類に分かれるそうです。一つ目は「答えが一つしかないもの」。二つ目は「たったひとつの正解がないもの」。答えが必ず一つしかないものを「クローズドエンド・クエスチョン」というそうです。「いま、雨が降っていますか?」とか「お住まいはどちらですか?」という答えがすでに決まっていて、それ以外の回答がないものを指します。聞かれたことに対して答えたらそれで話が終わってしまうため、会話が広がる事がなく「よい質問」とは言えないのです。筆者の「給食は美味しかった?」なんてのは、「美味い」か「不味い」か「普通」か。答え方が3択で限られていて会話が広がらないので「クローズドエンド・クエスチョン」。ひと言で終わらせてしまえる悪い質問の仕方でした……。一方で「たったひとつの正解がない」質問、たくさんの答えが存在する質問のことを「オープンエンド・クエスチョン」。たとえばある物事について「どう思うか?」と意見を求めたり「○○が好きな理由」など、深い説明を求めるような質問の仕方を指すそうですよ。■ あ、あれが「オープンエンド・クエスチョン」だったのか!!Ushico / PIXTA(ピクスタ)そういえば先日、息子と妙に話が盛り上がったのを思い出しました。息子の小学校の卒業アルバムを開いて「どの子が好きだったの?」なんて息子に嫌われるような質問をしていた時の話です(笑)。最初は「別にいない」なんてそっけない回答だったのですが、「お母さんだったら、この子が一番かわいいと思うなー」とか、「この子人気ありそう!」なんて話から「○○(息子)だったらどの子が一番かわいいと思う?」いう流れになりました。すると息子は「この子はあまり人気ないんじゃないかな。だって○○だと思うから。」「僕はこの子が一番人気があったと思う。だって○○だから」と、しばらくのあいだ会話のキャッチボールが続いて思わず大笑いしてしまうほど。知らなかった息子の女の子の好みまでわかって、とても楽しい時間を過ごしました。そうです!これが「オープンエンド・クエスチョン」だったのです。これまでの弾まない会話は、息子の様子を知りたい筆者のための質問であって、息子が物事をどう考えているか?とうものではなかったことに気づきました。まるで尋問のように、今日あった出来事を一方的に「報告しなさい!」と言われても嫌ですよね……反省します(泣)。いかがでしたか?親子の会話にあまり自信がないな、という「親子の会話に」苦労しているお母さん!ぜひ「オープンエンド・クエスチョン」を意識して、お子さんとの会話を楽しんでみてはいかがでしょうか?【参考】※「学力をグングン伸ばす親の『質問力』」(扶桑社刊)
2018年05月16日最近は習い事も多様化しています。ロボット教室、パズル道場、ミュージカル教室など、子どもの基礎学力の底上げや、将来的に能力を発揮するであろう後伸びを狙った“進化系の習い事”が注目です。今回はその中から「レゴスクール」を紹介します。レゴスクールってどんなところ?レゴスクールは子どもが大好きなレゴブロックを教材に取り入れ、楽しみながら理系脳を育てられる教室です。大井町教室のチーフインストラクター・山口幸子さんにスクールの特徴を聞きました。「レゴスクールでは必要以上に教えこまないようにしています。子どもたちに自主的にやらせ、考えさえ、やりたいと思っていることに自ら近づけるように指導しています」とのこと。レッスンはそれぞれの年齢に応じた年間カリキュラムにそって進みます。たとえば、年少さんでは「ごっこ遊び」を通して自分の感情や気持ちを表現することが目標。年中さんになると「ルールがある遊び」をしながら友達との関わり方、ゲームの得点から、加算・減点など数字を理解していきます。年中さんのレッスン「マイワールドディスカバリー」年中さんの年間目標は「友達と一緒に作業をしながらコミュニケーション能力を深める。物を観察し、比較・分類する。数学の基礎を学ぶ」というもの。「テックマシーン」と呼ばれるオリジナル教材を使い、生活の中で活躍する乗り物や機械を組み立てます。この日のテーマは「車輪の世界」。みんな真剣な顔で荷物を運ぶ車を組み立てていました。その後の集荷と宅配の疑似体験では「この荷物をおばあちゃんの家に運ぶんだ」など嬉しそう。レッスンの最後には自分が工夫したことをみんなの前で発表するプレゼンタイムがあります。スクール生のお母さんによると「人前で話すことに自信がついた様子。自分の考えを言葉でしっかり説明できるようになりました」とのこと。小学1年生のレッスン「マイワールドアドベンチャー」1年生の目標は「物理・数学・テクノロジーの基本概念を学ぶ。自分の考えを整理し作品で表現する」というもの。ギア、アクセル、レバーなどのパーツが入った「アーリーシンプルマシン」という教材を使用しています。「つかんでみよう」をテーマに、手の動き、親指の役割を学んでいました。ゴムの張力を利用して強度を増す、てこの原理(支点・力点・作用点)なども盛り込まれた高度なレッスン。「10秒で何個のボールをつかめるか」というゲームで子どもたちは大盛り上がり!2年生からはプログラミングのコースも選べるようになり、「それまで絶対やめない!将来はゲームを作る人になりたい」というお子さんも。空間認識・理系脳の他に自己肯定感も養われる?実は私の娘も小さい頃にレゴスクールに通っていました。今でも心に残っているのは「1本足の生き物を作ろう」というテーマ。1本足の生き物をブロックで作り、自分も一本足で立ってみる。「一本足だとバランスが悪い、動きづらい」と確認したあとで「好きなようにパーツを付け足して、安定した動きやすいものに作り変えてみよう」というレッスンでした。足を付け足す子、エンジンを取り付ける子とさまざま。娘は折り紙で羽を作り、セロテープで貼り付けていました。「歩きづらいから飛べば良い」という発想。先生にたくさんほめてもらって嬉しそうな娘を見て、私も誇らしい気持ちになりました。ブロックを使って想像力を膨らませながらそれぞれの回答に向かって工夫できるレゴスクール、気になる方は体験レッスンに参加してみてください。レゴスクール大井町スクールデータ住所〒140−0014品川区大井1−49−15アクセス大井町ビル1階電話(新規問い合わせ受付)03−6413−1360レッスン曜日火・水・木・金・土問い合わせ受付時間火〜土10:00〜18:00アクセスJR京浜東北線大井町徒歩1分高速鉄道りんかい線大井町駅徒歩2分東急大井町線大井町駅徒歩3分<文・写真:フリーランス記者森藤理絵>
2017年06月06日今や小学生も塾に通う時代。私立小学校に通う子の7割、公立小学校に通う子の4割が通っているというデータがあります。学校の授業だけでは足りないと感じる家庭が増えている中、自宅で本格的な学習ができるオンライン教育サービスが各社から提供されています。いつでもどこでも勉強ができ、塾や家庭教師より割安で利用できることが注目されている理由です。どんな利点やサービスがあるのでしょうか。ゲーム感覚や最新電子機器でやる気UP↑やる気を持たせ、継続させるための工夫が色々施されています。学研の「学研ゼミワンダードリル」では、教科(国語、算数・数学、社会、理科、英語)ごとに分かれる「国」を自分のアバターが冒険するという設定にし、クリアすると新しいステージに進むことができます。ゲーム感覚で子どもが続けやすい設定であり、月額500円という料金も魅力的です。ジャストシステムの「スマイルゼミ」は、今や大人だけではなく子どもにも身近な存在となっているタブレットを教材に使用しています。理科の実験を動画で体感できるなどして、理解度がより深まる仕組みになっています。主要5教科の他に、音楽、美術、技術・家庭、保健体育の配信もあるので、定期試験対策にも活用できます。紙のお勉強にプラスアルファで効果UP↑デジタルと紙のセットでより効果的な学習ができるのは、ベネッセコーポレーションの「進研ゼミプラス」です。記述式の添削以外にも、“赤ペンコーチ”とタブレット上でやりとりできる仕組みや、具体的な学習計画をアドバイスしてもらうこともできます。対象年齢が小4から高校生と高めの設定になっているのは、リクルート関連会社の「スタディサプリ」。大手予備校講師の動画が見放題になっていたり、志望校対策やセンター試験対策の授業動画を視聴したりすることができます。さらに参考書や問題集ごとに勉強した時間やページを記録することができる無料アプリもあり、自宅学習であっても勉強の進み具合を自分で管理することが可能です。オンライン教育を行なうときの注意点オンライン教育を継続するために何よりも必要なことは本人のやる気です。やる気を継続できるような工夫が施されているものは多くありますが、実際に勉強をしなければ意味がありません。時間やスケジュールの管理をしっかりと行い、学習意欲を持ってもらうための働きかけを親も行っていく必要があります。私の息子は園児なので宿題などはありませんが、幼児向けの通信教材が毎月自宅に届きます。年中になってから文字を書くプログラムが始まり、字を書くための教材もいくつか届きました。音が出たり光ったりするオモチャなのですが、ゲーム感覚でなぞるなどをしている内に字が書けるようになるというものです。自然と書き順も覚える仕組みになっています。幸い息子は楽しく取り組んでいるので、お陰で少しずつ字を書けるようになってきました。入り口はどうであれ、本人がやる気を持って取り組むことがとても大切だと思います。小中学生と年齢があがれば内容も難しくなり、やる気の継続は一番の課題となってきます。遊びの延長だから、と敬遠するのではなく、子どもに合ったものを見つけてあげてやる気を上げることは効果的だと思います。各社のサービスも異なるので、比較しながらより良いものを試してみてはいかがでしょうか。
2016年10月06日フジテレビ系大型バラエティ特番『FNS27時間テレビフェスティバル!』(23日18:30~24日21:24)で、フリー・同局系列の女子アナウンサーによる学力テストが行われることが決定した。今回は、24日朝10時ごろから、ネプチューンがMCリレーを担当して「林修先生からの挑戦状! ネプリーグ 真夏の女子アナ センター試験」を実施。アナウンサーの常識問題といえる日本語・漢字テストを、上田まりえ、岡副麻希、高橋真麻、馬場典子、本田朋子、丸岡いづみのフリーアナウンサー軍団に加え、事前テストで好成績をおさめたフジ系列27局の女性アナウンサー20人が挑み、"女性アナ界最強のインテリ=女性アナセンター"を決定する。フジテレビの小仲正重プロデューサーは「一体、誰が1位になるのか!? 生放送ならではの緊迫感のある戦いと、林先生が今回の『27時間テレビ』のために厳選したクイズ問題を楽しんでいただきたい」とコメントしている。
2016年07月12日「秋田県の子どもたちはなぜ学力が高いのか - ポイントは"生活習慣"にあった」と題した前編では、全国学力テストで好成績を残している同県の教育の特徴、生活習慣と学力の関連性についてお伝えした。後編では、子どもたちに家庭学習を身につけさせるための「家庭学習ノート」や、自ら課題を設定して学ぶ「探求型授業」など、教育の具体的な内容についてご紹介する。○子どもを机に向かわせる「家庭学習ノート」「家庭学習ノート」は、地域によっては「自学ノート」「自由学習ノート」などとも呼ばれ、児童・生徒が自分で内容を決めて毎日決まった分量や時間の学習を進めるノートのことだ。子どもたちは毎朝担任にこのノートを提出し、夕方までにコメントをもらって返してもらう。その日に習った計算や書き取りの復習をしたり、理科で習った法則を使って発展的な学習をしたりと内容は自由。ただし、毎日提出しなくてはならないので、必然的に毎日家庭で学習に取り組むようになる仕組みだ。何をしていいか迷う子どものために学校独自の手引書を作成したり、PTA集会などで優れたノートの展示会を行ったり、親にもコメントを書くよう求める場合もある。40年以上前から県内の一部の小中学校で行われていた取り組みだが、徐々に全県に浸透していったそうだ。○少人数学級で行う秋田流の探求型授業そして「規則正しい生活」、「家庭学習ノート」の活用を背景とした「家庭学習の習慣」に続き、秋田の教育の3つ目の特徴としてあげられるのが、「少人数学級で行われる探求型授業」だ。学校質問紙の結果によると、「児童生徒自ら学級やグループで課題を設定し、その解決に向けて話し合い、まとめ、表現するなどの学習活動を取り入れましたか(89.7%)」(+16.7)、「算数・数学の授業においてチームティーチングによる指導を行いましたか(81.8%)」(+17.1)、「将来就きたい仕事や夢について考えさせる指導を行いましたか(92.1%)」(+19.7)などで全国平均を大きく上回る回答があった(かっこ内の数字は小学6年生の全国データとの比較)。こうしたきめ細かい指導を可能にしているのが少人数学習だ。県は2001年度以降15年間で約92.1億円の事業費をかけ、これまでに小学校1~5年生と中学校1~3年生で33人程度の学級編成を実現。1クラスの授業を複数の教師で指導するチーム・ティーチング(TT)についても、小学校では国語、算数、理科、中学校では数学、理科、英語の3教科で体制を整えている。さらに、秋田県の探求型の授業スタイルは研究者らからも高い評価を受けている。毎回の授業の始めに教師と生徒が一緒に話し合って課題や目的を設定し、授業の最後に再び話し合ってまとめ・理解を深める。「今日はこういうことが分かればいいと、1人ひとりが自分の考えや見通しをもって授業に臨むというスタイルが全県的に確立されている」と県の担当者。県は平成27年度から、こうした秋田流の探求型授業を検証して発信する事業も進めている。規則正しい生活と家庭学習の習慣を身に付け、子ども自ら課題を設定して学ぶ姿勢を養う秋田流の教育。そんな”当たり前度の高い”秋田をヒントに、家庭で何かできることをとり入れてみてはいかがだろうか。※写真と本文は関係ありません
2016年02月15日2010年7月、文部科学省の幼稚園課が気になる調査結果を公表しました。「幼稚園卒の子どものほうが、保育園卒の子どもよりも、学力テストの成績が高い」というものです。本当でしょうか? 本当だとしたら、なぜでしょうか?この発表を受けて、発達心理学や保育学が専門の内田伸子先生が詳しい調査を行いました。親の経済格差が子どもの学力格差につながる?文部科学省の発表に対し、一部で「学力格差は経済格差を反映している。保育園に通わせる家庭は低所得者が多いため、学力も低いのではないか」という意見が出されました。そこで内田先生は、経済格差が子どもの発達や親子のコミュニケーションにどのような影響をもたらしているのか、日本、韓国、中国、ベトナム、モンゴルにて各国の3~5歳児3,000名を対象に調査しました。「日本では、世帯所得が700万円以上を高所得、700万円未満を低所得とし、子どもの『読み書き能力』を比較しました。その結果、文字を書く能力、読む能力のどちらにも、親の経済力による差はありませんでした」子どもの教育に配慮している家庭の子どもは、語彙が豊富「ただし、知能テストと相関が高い『絵画語彙検査』では、所得の高い家庭の子どものほうが成績が高いという結果になりました」「絵画語彙検査」とは、絵を見せ、その絵が示す言葉を知っているか尋ねるテストです。語彙の豊かさは知能と相関しているので、語彙の多い子ほど知能が高いと言われています。「所得が高い家庭は子どもに習い事をさせていることが多いので、それが影響しているのではないかと思い、調べました。すると、習い事をしている子のほうが、していない子より絵画語彙検査の得点が高いという結果がでました。ただし、運動系の習い事をしている子と、学習系の習い事をしている子の間に成績の差はありませんでした」ということは、習い事の内容が知能を高めているわけではないようです。習い事によって、友だちや先生などとコミュニケーションを取る機会が増えるため、語彙も増えるのではないかと推察されます。「自由保育」の幼稚園や保育園に通っている子どもは学力が高いさらに、保育形態によって子どもの語彙得点に大きな差があることがわかりました。「自由保育(※1)で、子ども中心の保育を行い、自由遊びの時間が長い幼稚園や保育園に通っている子どもの語彙得点が非常に高かったのです。反対に、一斉保育(※2)で、小学校一年生の授業を先取りして準備教育を行っている幼稚園や保育園に通っている子どもは得点が低い結果となりました。しかも、子どもの年齢が高くなるほどその差が開いていきました。幼稚園か保育園かは、まったく関係がありませんでした。韓国、ベトナム、モンゴルでの調査も同じ結果でした。唯一、中国は保育園での一斉保育しかないので、比較ができませんでした」 (※1) 自由保育とは:自由遊びの時間が長く、子どもが主体となって自発的にやりたいことに取り組む、子ども中心の保育形態のこと。放任とは違い、子どもの自主性を尊重しつつも、幼児期に学んでほしい目標や狙いを達成できるよう保育士が誘導する。国立大学附属幼稚園や公立幼稚園や私立幼稚園の一部、社会福祉法人の保育所では子ども中心の保育であり、子どもたちは好きな遊びに主体的に取り組み保育者は援助者として子どもの学びに寄り添い、子どもが困っているとき助けてあげる「わき役」である。(※2) 一斉保育とは:全員に同じこと(体育や音楽、お絵かきなど)をさせる、カリキュラム中心の保育形態のこと。小学1年生の準備教育や英会話などを取り入れ、体操選手をつくるということなどを教育目標にかかげる私立幼稚園や私立保育園の一部にみられる。園種より保育形態が語彙力と関連する(内田・浜野,2012より)「文部科学省の調査の対象となった国立大学付属幼稚園はすべて自由保育を行っています」つまり、子どもの学力格差は幼稚園と保育園の違いによるものではなく、自由保育か一斉保育かの違いによるものだったのです。保育形態の違いによって差が出てしまうのはなぜなのか、次回の記事で詳しくお伝えします。(佐々木月子)今回取材に協力してくださったのは内田 伸子先生十文字学園女子大学特任教授・お茶の水女子大学名誉教授・学術博士。専門は発達心理学、認知心理学、保育学。国立教育政策研究所「幼児の論理的思考の発達調査プロジェクト会議」(主査)、最高裁「裁判員制度の有識者会議」(委員)、文化庁国語審議会委員なども務めるほか、NHK Eテレの「おかあさんといっしょ」の番組開発やコメンテーター、ベネッセの子どもチャレンジの監修、しまじろうパペットの開発、創造力知育玩具「エポンテ」(シャチハタ)の開発なども担当。著書は、『発達心理学―ことばの獲得と教育』(岩波書店)、『よくわかる乳幼児心理学』(ミネルヴァ書房)、『 子育てに「もう遅い」はありません 』(冨山房インターナショナル)など多数。
2015年12月29日神戸大学(神戸大)は12月3日、国内大手企業の若手技術者の理数系の基礎学力が低下していることを調査で確認したと発表した。同成果は、同大学 社会科学系教育研究府 西村和雄 特命教授らの研究グループによるもので、12月2日に京都大学で行われた「科学教育in 京都2015」にて発表された。2014年度に行われた同調査では、東証1部上場の製造業9社の協力のもと、20代の若手技術者1226人が数学、物理、化学、電気の基礎問題11問を解答した。同大学によると「問題の多くは高校で習う初歩的な内容。中学入試でも出題され、優秀な小学生なら正答する」ものだったというが、100点満点中平均点は56.66点にとどまった。高校時代に数学III、物理を履修した人の平均得点が高く、入試制度別では一般入試、AO入試、推薦入試の順で平均得点が高かったという。西村教授は大学入試の多様化や入学後のカリキュラムに問題があると指摘し、「数学IIIや物理を学ばずに大学に入ってくる学生が増えている。機械工学の4大力学が必修でなくなるなど、大学のカリキュラムにも問題がある」と問題提起している。
2015年12月04日オウチーノはこのほど、「『子どもの学力』に関するアンケート調査」の結果を発表した。調査は6月18日~24日、首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)在住で子どもがいる35~49歳の695人を対象にインターネット上で行われた。「あなたは、お子様の学力を気にしますか?」という質問を小学生の子どもを持つ親と、中学生の子どもを持つ親に別々に聞いた。子どもが小学生の場合、「非常に気にする」人は26.0%。「どちらかというと気にする」人が40.4%、「どちらかというと気にしない」人は23.5%、「全く気にしない」人は10.1%だった。子どもが中学生の場合は、「非常に気にする」人が39.3%、「どちらかというと気にする」人が39.8%、「どちらかというと気にしない」人が13.4%、「全く気にしない」人が7.5%となった。子どもの学力を気にする人は、子どもが小学生の場合は66.4%、中学生の場合は79.1%だった。小学生の子どもを持つ親は、「授業についていけるか心配だから」という理由が多く、「積極性に欠けるため、授業についていけているのか心配」(36歳)や、「学校の授業が楽しいと思えているか気になる」(38歳)などの意見が。中学生の場合、「受験、進学に関わるから」という理由が最も多かった。具体的には「希望の高校に進学してほしいから」(48歳)や「高校進学後の勉強姿勢につながる」(47歳)など。次に、「小学生・中学生のときの学力は、お子様の将来に影響を与えると思いますか?」と聞いたところ、「非常に影響を与える」と回答した人が34.6%、「どちらかというと影響を与える」と回答した人が50.4%いた。全体の85.0%の母親が「小学生・中学生のときの学力は子どもの将来に影響を与える」と考えていることが分かる。理由を聞くと、最も多かったのは「基礎が大事だから」。具体的には「生活する上での基本的な知識は小学校・中学校で学ぶから」(48歳)、「理解できる、できないによって勉強が好きか嫌いか分かれると思う」(49歳)などが挙がった。次いで多かった理由は、「進路、就職に関わるから」という理由で、「行く高校・大学にも影響するし、それによって出会える友だちなど人間関係や、就職までつながると思う」(38歳)という意見があった。他にも、「勉強に取り組む態度が将来役立つから」という声が聞かれた。「お子様の勉強を、ご自身で見たり教えたりしますか?」という質問では、小学生の場合、「自分で教える」が75.6%、「夫が教える」が22.2%、「塾に通わせる」が23.7%。一方、中学生の場合は「自分で教える」という人が33.8%、「夫が教える」が14.6%、「塾に通わせる」が45.8%だった。最後に、「テストの成績や勉強態度・姿勢を見て、叱ることはありますか?」という質問をした。テストの成績については、子どもが小学生の場合、「頻繁に叱る」という人は2.9%、「時々叱る」人は17.7%。中学生の場合、「頻繁に叱る」人は6.5%、「時々叱る」人は27.3%だった。また勉強態度・姿勢については、子どもが小学生の場合、「頻繁に叱る」人は7.5%、「時々叱る」人は38.5%。中学生の場合、「頻繁に叱る」人は9.2%、「時々叱る」人は37.7%、だった。テストの成績について「頻繁に叱る」「時々叱る」人は、小学生の場合が20.6%、中学生の場合が33.8%。勉強態度・姿勢について「頻繁に叱る」「時々叱る」人は、小学生の場合が46.0%、中学生の場合が46.9%だった。「成績よりも勉強態度・姿勢などの過程を重視する母親が多いようだ」と調査は分析した。
2015年07月10日不動産サイト「オウチーノ」、「キャリルーノ」を運営するオウチーノ総研は、近畿圏の各沿線にある高校の学力偏差値を集計し「近畿圏沿線『学力偏差値』ランキングTOP10」を発表した。1位に輝いたのは千里ニュータウンの通勤・通学路線である「阪急千里線」。阪急千里線の沿線には、大規模ニュータウン開発の先駆けとなった「千里ニュータウン」がある。ニュータウン建設が推進される前は、当時としては先進的だった田園都市として開発されていた場所だ。開発に伴い高校・大学が移転、設立され街が成熟していく過程において、徐々に学力偏差値が上がっていったものと推測される。阪急電鉄はTOP10に3沿線がランクイン。ブランドイメージの高いベッドタウンが数多く点在している沿線だ。この他、北摂エリアを通る沿線も多くランクインする結果となった。北摂エリア内では吹田市、豊中市、箕面市の一部は環境保全のための規制も厳しいことから富裕層が多く人気の高いエリアとなっているという。首都圏では田園調布や松濤、横浜山手などの古くからある高級住宅街を通る沿線の偏差値が高い傾向があったが、近畿圏での高級住宅街である芦屋、西宮、夙川を通る阪急神戸線はランク外となる意外な結果となった。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年04月02日