やっぱり便利、でも後ろめたい… 育児にスマホ いけないの?
あんふぁんが行った調査では、読者ママの84.0%がスマートフォンユーザー。便利さを感じる一方で、子どもに使わせる後ろめたさがあったりママの使い方が子どもに影響を与えないか気になったりするようです。スマホを悪者にし過ぎず、依存もしないポジティブな使い方について考えてみましょう。
お話を聞いたのは:遠藤利彦さん
東京大学大学院教育学研究科教授。専門は発達心理学。NHKEテレ「すくすく子育て」で、発達の観点から幼児期にスマホを使うことの注意点について解説。共著に「よくわかる情動発達」(ミネルヴァ書房)。
子どもは親がスマホを使う姿をそっくりまねする
子育て時代にスマホをどう使うか。
スマホに限らず、子どもは親の行動をまねします。スマホをいじってばかりの子になってほしくないなら、ママやパパがスマホを四六時中いじってはいけません。ただ、調べ物やママ友への連絡など、普通に生活する上で子どもの前で使うことがあるのは当然です。本来やるべきことがおろそかになる「依存状態」になるのはまずいですが、生活の一部としてスマホを使うのは問題ないと思います。
アンケートの結果(2ページ目を参照)を見る限りでは、みなさん健康的な範囲で使えていると感じます。ただ、シーン1の「子どもに質問されてスマホで調べる」ようなシーンでは、正解を教えることよりも一緒に考えることを大事にしてください。子どもは、「○○だからかな?」と会話する中で考えを深めていきます。
スマホだけの遊びでは想像力や発見が育まれない
大人も子どもも「スマホ依存」になるのは問題ですが、特に子どもにとって良くないのは、成長に必要な体験ができなくなることです。
子どもの遊びを見ると、水を張ったボウルの中でおたまをぐるぐる回したり、同じ絵本をボロボロになるまで繰り返し読んだり、大人にとっては理解不能なことが多いもの。しかし実はこうした遊びの中で、仮説を立てて実験をする、キャラクターに成り代わってストーリーに自分を入り込ませる、といった大事な体験をしています。
かたやスマホからは、音が流れたり映像が動いたりといった強い刺激を受けます。こうした強い刺激は子どもの注意を一気に引きつけます。
子ども本来の遊びや生活をおろそかにしない
では、どうすれば依存しない範囲でスマホを使えるようになるでしょうか。
一つは、子どもにとって本来必要な遊びができるように大人が配慮することです。外遊びや工作など、遊びのバリエーションの一つとしてであれば、たまにスマホで遊ぶことがあっても問題ないと思います。また、大前提としては生活に支障が出ないこと。実際に、親が寝ている間に幼児がスマホを使って朝まで動画を見ていたという事例もありました。
スマホの画面の世界だけで完結させない
もう一つは、人との関わりの中でスマホを使うということです。例えば、子どもが動画を見ているときは、「ワンちゃんが映ってるね」など、なるべく大人が積極的に話し掛けてほしいですね。画面を通じて現実の会話が成り立ちますし、親子で心を通わせられます。家事などで目を離すときは、後から「何を見てたの?」と聞いてみましょう。
理想を言えば、ママがスマホを触るときも「電車の時間を調べるね」「友達にお手紙送るね」など、何のために使うかを子どもに伝えるといいですね。スマホは現実の生活を便利にするツールであることを教えられます。
スマホが生活の一部に入り込むのは自然なこと。
スマホを使うとき念頭におきたいポジティブな心得5箇条
●スマホだけで遊ぶのではなく遊びの一部として取り入れるだけにする
●子どもには一人で使わせたままにしない
●夜中に子どもの手の届く範囲には置かない
●ママがスマホを使うときは、「使う理由」を子どもに伝える
●本来の生活習慣が妨げられない範囲で使う
シーン別:あなたはどっち?気になるスマホの使い方
スマホの使い方について、普段ついやってしまいがちかどうか、またその理由について、あんふぁん読者に答えてもらいました。
1.子どもに「雨はなんで降るの?」など質問されたときはスマホで調べる。
【はいの理由】
●時間がたつと興味をなくすので、すぐ答えたい。[大阪府・年長ママ]
●事典や図鑑で調べたいが、ネットのデータ量にはかなわない。[神奈川県・年長ママ]
●写真付きで説明できるので便利。[東京都・年中ママ]
【いいえの理由】
●親がなんでもスマホに頼る姿を見せたくない。
●例えば「雷様の涙かな?」と言うと、想像力や子どもなりの考えが広がるので。[千葉県・年長ママ]
●スマホで調べるほど難しい質問をしないから。[宮城県・年少ママ]
2.よその子と一緒に遊ばせているときスマホをチェックしがち。
【はいの理由】
●子ども同士で遊びの世界ができているから、ある程度なら大丈夫な気がする。[愛知県・年中ママ]
●急ぎの連絡が来ないか見るため。[神奈川県・年少ママ]
●LINEの通知が来るとつい見てしまう。[東京都・年長ママ]
【いいえの理由】
●よその子にケガをさせては大変だし、目を向ける責任があると感じるから。[愛知県・年長ママ]
●一緒に遊んでいる子のママとおしゃべりするので。
3.すき間時間があるとついスマホを使ってしまう。
【はいの理由】
●子どもがテレビでアニメを見ていてニュースが見られないので、スマホでチェックしたい。[東京都・年長ママ]
●ブログのチェック、懸賞のアンケート、SNSの投稿をするため。[山形県・年少ママ]
【いいえの理由】
●子どもが起きている間は触らないルール。[京都府・年中ママ]
●自分がスマホ依存になっている姿を子どもに見せたくない。[兵庫県・年中ママ]
●ほかにすることがある。[福岡県・年中ママ]
4.食事中、よくスマホをテーブルの上に出している。
【はいの理由】
●固定電話がなく、幼稚園の連絡が携帯電話に来る可能性があるから。[東京都・年少ママ]
●食卓の上がスマホの定位置になっている。[兵庫県・年長ママ]
●LINEやメールが来るとチェックしたくなる。[東京都・年少ママ]
【いいえの理由】
●飲み物と食べ物以外は食卓に出してはいけない、と子どもに教えている手前、示しがつかないので。[愛知県・年中ママ]
●パパが食事中にスマホをいじると腹が立つので、自分はやりたくない。[北海道・年長ママ]
5.子どもを静かにさせるためにスマホを渡すことが多い。
【はいの理由】
●電車で知らない男性に「うるさい」と怒られたことがあるので。[神奈川県・年少ママ]
●外食中、ほかの席に行かないように。[千葉県・年中ママ]
●家族写真やビデオのみ見せている。[兵庫県・年中ママ]
【いいえの理由】
●折り紙やお絵描きができるようになってからは、スマホを渡すことはない。[神奈川県・年中ママ]
●子どもたちがスマホのゲームをしているときの、執着した目つきを見るとゾッとすることがあるので。[兵庫県・年中ママ]
6.子どもがスマホを使うときは渡しっぱなしにしている。
【はいの理由】
●どんどん次の動画を見て、会話できないから。[大阪府・年中ママ]
●家事がはかどるし、私は子どもを見ていられない。[神奈川県・年中ママ]
●子どもに「うるさい!」と言われ口を挟めない。[大阪府・年少ママ]
【いいえの理由】
●壊したり、危険なサイトにつないだり、勝手に電話をかけたりさせないため。[東京都・年少ママ]
●子どもにスマホを使わせるのは、写真を撮るときだけ。撮り終わった写真を見て子どもと2人で笑っている。[北海道・年中ママ]
Q.ママは1日のうちどのくらいスマホを見ていますか?
※「園児とママのデータvol.14」(2016年)より
お話を聞いたのは:遠藤利彦さん
東京大学大学院教育学研究科教授。専門は発達心理学。NHKEテレ「すくすく子育て」で、発達の観点から幼児期にスマホを使うことの注意点について解説。共著に「よくわかる情動発達」(ミネルヴァ書房)。
子どもは親がスマホを使う姿をそっくりまねする
子育て時代にスマホをどう使うか。
ママの子ども時代はスマホがなかったからこそ、悩む方は多いことでしょう。
スマホに限らず、子どもは親の行動をまねします。スマホをいじってばかりの子になってほしくないなら、ママやパパがスマホを四六時中いじってはいけません。ただ、調べ物やママ友への連絡など、普通に生活する上で子どもの前で使うことがあるのは当然です。本来やるべきことがおろそかになる「依存状態」になるのはまずいですが、生活の一部としてスマホを使うのは問題ないと思います。
アンケートの結果(2ページ目を参照)を見る限りでは、みなさん健康的な範囲で使えていると感じます。ただ、シーン1の「子どもに質問されてスマホで調べる」ようなシーンでは、正解を教えることよりも一緒に考えることを大事にしてください。子どもは、「○○だからかな?」と会話する中で考えを深めていきます。
一方、スマホで調べる間は会話が生まれませんし、ママも初めて知った内容を読み上げたところで、結局子どもは理解できません。「分からない」ことも含め、まずはママの考えを言葉にしましょう。正しい知識を教えたいなら後で調べて、ママが納得した上で教える方が、子どものためになると思います。
スマホだけの遊びでは想像力や発見が育まれない
大人も子どもも「スマホ依存」になるのは問題ですが、特に子どもにとって良くないのは、成長に必要な体験ができなくなることです。
子どもの遊びを見ると、水を張ったボウルの中でおたまをぐるぐる回したり、同じ絵本をボロボロになるまで繰り返し読んだり、大人にとっては理解不能なことが多いもの。しかし実はこうした遊びの中で、仮説を立てて実験をする、キャラクターに成り代わってストーリーに自分を入り込ませる、といった大事な体験をしています。
かたやスマホからは、音が流れたり映像が動いたりといった強い刺激を受けます。こうした強い刺激は子どもの注意を一気に引きつけます。
食いつきはすごく良いのですが、刺激そのものに注意を奪われてしまい、発見や想像をする余地がありません。だからすぐに飽きがきて、新しい刺激を求めます。次々に動画を見たがるなど、依存性も高まってしまうのです。
子ども本来の遊びや生活をおろそかにしない
では、どうすれば依存しない範囲でスマホを使えるようになるでしょうか。
一つは、子どもにとって本来必要な遊びができるように大人が配慮することです。外遊びや工作など、遊びのバリエーションの一つとしてであれば、たまにスマホで遊ぶことがあっても問題ないと思います。また、大前提としては生活に支障が出ないこと。実際に、親が寝ている間に幼児がスマホを使って朝まで動画を見ていたという事例もありました。
家庭によっては「スマホは○時まで」など、ルールを考えなくてはいけない場合もあるでしょう。
スマホの画面の世界だけで完結させない
もう一つは、人との関わりの中でスマホを使うということです。例えば、子どもが動画を見ているときは、「ワンちゃんが映ってるね」など、なるべく大人が積極的に話し掛けてほしいですね。画面を通じて現実の会話が成り立ちますし、親子で心を通わせられます。家事などで目を離すときは、後から「何を見てたの?」と聞いてみましょう。
理想を言えば、ママがスマホを触るときも「電車の時間を調べるね」「友達にお手紙送るね」など、何のために使うかを子どもに伝えるといいですね。スマホは現実の生活を便利にするツールであることを教えられます。
スマホが生活の一部に入り込むのは自然なこと。
全否定する必要はありません。本来の生活を妨げない範囲で上手に利用していきましょう。
スマホを使うとき念頭におきたいポジティブな心得5箇条
●スマホだけで遊ぶのではなく遊びの一部として取り入れるだけにする
●子どもには一人で使わせたままにしない
●夜中に子どもの手の届く範囲には置かない
●ママがスマホを使うときは、「使う理由」を子どもに伝える
●本来の生活習慣が妨げられない範囲で使う
シーン別:あなたはどっち?気になるスマホの使い方
スマホの使い方について、普段ついやってしまいがちかどうか、またその理由について、あんふぁん読者に答えてもらいました。
1.子どもに「雨はなんで降るの?」など質問されたときはスマホで調べる。
【はいの理由】
●時間がたつと興味をなくすので、すぐ答えたい。[大阪府・年長ママ]
●事典や図鑑で調べたいが、ネットのデータ量にはかなわない。[神奈川県・年長ママ]
●写真付きで説明できるので便利。[東京都・年中ママ]
【いいえの理由】
●親がなんでもスマホに頼る姿を見せたくない。
[埼玉県・年中ママ]
●例えば「雷様の涙かな?」と言うと、想像力や子どもなりの考えが広がるので。[千葉県・年長ママ]
●スマホで調べるほど難しい質問をしないから。[宮城県・年少ママ]
2.よその子と一緒に遊ばせているときスマホをチェックしがち。
【はいの理由】
●子ども同士で遊びの世界ができているから、ある程度なら大丈夫な気がする。[愛知県・年中ママ]
●急ぎの連絡が来ないか見るため。[神奈川県・年少ママ]
●LINEの通知が来るとつい見てしまう。[東京都・年長ママ]
【いいえの理由】
●よその子にケガをさせては大変だし、目を向ける責任があると感じるから。[愛知県・年長ママ]
●一緒に遊んでいる子のママとおしゃべりするので。
隣にいるのにスマホばかりいじられたら私は嫌。[千葉県・年長ママ]
3.すき間時間があるとついスマホを使ってしまう。
【はいの理由】
●子どもがテレビでアニメを見ていてニュースが見られないので、スマホでチェックしたい。[東京都・年長ママ]
●ブログのチェック、懸賞のアンケート、SNSの投稿をするため。[山形県・年少ママ]
【いいえの理由】
●子どもが起きている間は触らないルール。[京都府・年中ママ]
●自分がスマホ依存になっている姿を子どもに見せたくない。[兵庫県・年中ママ]
●ほかにすることがある。[福岡県・年中ママ]
4.食事中、よくスマホをテーブルの上に出している。
【はいの理由】
●固定電話がなく、幼稚園の連絡が携帯電話に来る可能性があるから。[東京都・年少ママ]
●食卓の上がスマホの定位置になっている。[兵庫県・年長ママ]
●LINEやメールが来るとチェックしたくなる。[東京都・年少ママ]
【いいえの理由】
●飲み物と食べ物以外は食卓に出してはいけない、と子どもに教えている手前、示しがつかないので。[愛知県・年中ママ]
●パパが食事中にスマホをいじると腹が立つので、自分はやりたくない。[北海道・年長ママ]
5.子どもを静かにさせるためにスマホを渡すことが多い。
【はいの理由】
●電車で知らない男性に「うるさい」と怒られたことがあるので。[神奈川県・年少ママ]
●外食中、ほかの席に行かないように。[千葉県・年中ママ]
●家族写真やビデオのみ見せている。[兵庫県・年中ママ]
【いいえの理由】
●折り紙やお絵描きができるようになってからは、スマホを渡すことはない。[神奈川県・年中ママ]
●子どもたちがスマホのゲームをしているときの、執着した目つきを見るとゾッとすることがあるので。[兵庫県・年中ママ]
6.子どもがスマホを使うときは渡しっぱなしにしている。
【はいの理由】
●どんどん次の動画を見て、会話できないから。[大阪府・年中ママ]
●家事がはかどるし、私は子どもを見ていられない。[神奈川県・年中ママ]
●子どもに「うるさい!」と言われ口を挟めない。[大阪府・年少ママ]
【いいえの理由】
●壊したり、危険なサイトにつないだり、勝手に電話をかけたりさせないため。[東京都・年少ママ]
●子どもにスマホを使わせるのは、写真を撮るときだけ。撮り終わった写真を見て子どもと2人で笑っている。[北海道・年中ママ]
Q.ママは1日のうちどのくらいスマホを見ていますか?
※「園児とママのデータvol.14」(2016年)より