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お子さんのお口ポカンは危険信号!正しく呼吸できている?

あんふぁん
気付くと子どもの口が半開き。「だらしないよ」「お口を閉じなさい!」と言っていませんか?でも、閉じたくても閉じられないとしたら…その裏には鼻づまりという原因が隠れているかもしれません。今や、人口の約半数がなっているといわれる「口呼吸」。正しい呼吸ができているか、親子で見直してみましょう。

■お話を聞いたのは…
黄川田 徹さん
お子さんのお口ポカンは危険信号!正しく呼吸できている?

「鼻のクリニック東京」理事長、医学博士。クリニック内には小児専門の治療外来も併設されている。鼻の手術治療への内視鏡技術の導入や新しい術式の開発、周辺機器の開発など、20年以上鼻の治療に向き合ってきた。著書に「こんなに怖い鼻づまり!」(筑摩書房)、「鼻のせいかもしれません」(筑摩書房、共著)など。


●口呼吸のデメリットは?
■口呼吸のデメリット1
空気中のばい菌やほこりをそのまま吸い込んでしまう

「鼻で息をしなくたって、呼吸は口からでもできるでしょ」と思っていませんか?空気中にはいろいろなばい菌やほこりが漂っています。これらが肺の中に入らないよう阻止するのが、鼻の役目。鼻毛・粘液・繊毛(せんもう)が、ばい菌やウイルス、ほこりや花粉などの粒子をキャッチします。結果的に肺の中に入り込めるのは、花粉の粒子よりもはるかに小さい1マイクロメートル以下の粒子だけ。鼻は私たちの体に入る空気をきれいする働きがあります。

■口呼吸のデメリット2
肺にとってちょうど良い温度や湿度の空気を取り込めない

砂漠の熱い空気を吸っても、南極の冷たい空気を吸っても、肺に運ばれた時には、いつも肺の環境に近い温度や湿度の空気になっている。鼻はこんなエアコンのような役割も果たしながら、私たちが病気になることを防いでいます。口で呼吸をした場合、こうした手順が踏まれず、汚れた空気やカラカラに乾いた空気、冷たい空気がそのまま肺に運ばれてしまいます。
「呼吸は口でも鼻でもいい」のではなく、「呼吸をするのは鼻の仕事」なのです。

■口呼吸のデメリット3
ぐっすり眠れなくなり体と脳の成長が妨げられる

口呼吸の主な原因は鼻づまりであると私は考えています。鼻がつまっているということは息苦しさを感じているわけですから、夜にぐっすり眠ることができません。よく眠れないと、集中力がなくなったり身長が伸びにくくなったりといった、成長面への影響も出てきます。特に幼い子どもの場合は睡眠が脳の成長に大きな影響を与えることが分かっていますから、鼻づまりによる睡眠不足は軽視できない問題です。

■口呼吸のデメリット4
歯のかみ合わせが悪くなり食事を楽しめなくなる

子どもの歯列矯正治療が増えていますが、口呼吸もかみ合わせが悪くなる原因の一つです。あごの骨は幼児~小学校低学年の間に育つのですが、その時期に一日中、あるいは夜寝ている間ずっと口が半開きになっていると、上下のあごの発達にズレが生じてしまいます。ちなみに、1~2㎜程度口が開いているだけでも「口呼吸」のうちに入ります。
パッと見ただけでは分からないので、お子さんの様子をよく観察してくださいね。

●アンケート
Qお子さんは、気付くと口が半開きになっていることが多いですか?
  • お子さんのお口ポカンは危険信号!正しく呼吸できている?

  • 2017年10月4日~11月7日、有効回答数1018

    Q普段のお子さんの様子で、当てはまるものはどれですか?(複数回答)
  • お子さんのお口ポカンは危険信号!正しく呼吸できている?


  • ●子どももパパ・ママも要チェック!あてはまるのはどれ?
    口呼吸&鼻づまりシート
    1.日中、口を開けて息をしている
    2.昼間に眠たがる
    3.寝ている時、いびきをかく
    4.寝ている時、呼吸が止まることがある
    5.口を開けて寝ている
    6.夜中に頻繁に目を覚ますことがある
    7.よく鼻をすすっている、かんでいる
    8.集中力がない
    9.ボーッとしていることが多い
    10.キレやすい
    11.運動していると息切れしやすい
    12.歯並びが悪いと診断されたことがある
    13.食事の時よくかまずに飲み込む
    14.朝すっきり目覚めない
    15.朝起きた時、のどがカラカラに乾いている

    ●1・2にあてはまる人…口呼吸・重度の鼻づまり
    ●3~6にあてはまる人…口呼吸・かくれ鼻づまり
    ●7~15にあてはまる人…口呼吸・かくれ鼻づまりの可能性アリ

    ●先生に解説してもらいました!「お口閉じて!」と言われただけでは無理なんです
    お子さんのお口ポカンは危険信号!正しく呼吸できている?
    「口を開けているとだらしがないよ。ちゃんと閉じなさい」。昔から親が子どもに言ってきたセリフです。
    しかし昼の間、または寝ている間に口が開いてしまう「口呼吸」の原因は、クセやだらしがないからではなく、多くの場合、鼻づまり(慢性鼻炎)が原因であることが分かってきました。
    風邪をひくと鼻がつまりますね。これは鼻の粘膜の一部が腫れ、空気の通り道がふさがれてしまうためです。この状態がずっと続くのが慢性鼻炎です。
    鼻呼吸だけでは苦しくなりますから、どうしても口で息をしてしまいます。
    こうなるといくら「口を閉じなさい」と注意されても直りません。本人の意志で何とかなる問題ではないのです。

    ●鼻づまりには一日の間にリズムがあります
    ここからは上のチェックシートを見ながらお話ししましょう。まず、1と2にチェックが入った人は重度の鼻づまりの可能性があります。
    鼻の粘膜の腫れはホルモンの関係上、夜になると症状がひどくなり、明け方にかけてピークを迎え、日中は治まる傾向にあります。逆に言うと、日中にも症状が出ている人は重度の鼻づまり。口呼吸をしている可能性が高いのです。


    ●「日中は大丈夫!」でも就寝中は口呼吸しているかも
    昼間は鼻呼吸ができていても、3〜6にチェックが入った人は要注意。なぜなら、いびきや無呼吸といった症状は、寝ている間に口呼吸をしている証拠だから。夜は鼻の粘膜が腫れ、呼吸が苦しくなり口が開いた状態で寝ていま
    すが、日中は治まっているため、本人も症状を自覚しにくいのです。私はこれを「かくれ鼻づまり」と呼んでいます。

    ●一見関係がない症状の中にも「口呼吸」の可能性が
    7〜15のような症状にチェックが入った場合も、「かくれ鼻づまり」の可能性があります。いずれもちゃんと眠れていなかったり、夜間に口が開いていることが原因です。一度、寝ている時のお子さんの様子をチェックしてみるといいですね。完全な鼻呼吸であれば、唇の間にまったくすき間がない状態になります。

    ママやパパが自分の呼吸を確かめる場合は口にテープを貼って寝てみると、呼吸が苦しいかどうかで分かります。

    ●正しい呼吸で見違えるように変わった子も
    慢性鼻炎の原因は、大気汚染や食生活の変化などさまざまなことが挙げられていて、まだはっきりしたことは分かっていません。しかし患者さんの数は増えていて、今や人口の40〜50%といわれています。大人になって、ひどい鼻づまりに悩んで来院された患者さんに、「いつから鼻づまりを感じていますか?」と聞くと「小さいときから」という答えが非常に多く返ってきます。
    鼻づまりの度合いは人によって異なりますが、重症な患者さんの中には、満足に眠れないことで勉強に集中できなかったり、イライラしたり、学業や性格にまで影響が出てしまう場合があります。実際、クリニックの小児外来で受診した患者さんの中には、手術で重症な鼻づまりが解消したことで、顔つきや性格まで見違えるように変わった子がいます。
    早めに気付いて専門医にかかれば、つらい思いをせずに症状が良くなります。そのためには、正しい呼吸ができているかどうか、まずおうちでママがお子さんの様子に気付くことがポイントです。

    呼吸は毎日行うものだからこそ、とても大切なもの。あらためて親子で一緒に気を付けていきたいですね。

    巻頭特集監修/西東桂子さん(あんふぁんサポーター)illustrationYAMAMOTO Mamoru

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