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「好きなものを好きなだけ」オーストラリアンの離乳食を知って感じたこと

あんふぁん
私たち家族がオーストラリアで暮らし始めた時、下の子は日本でいう7~8か月の離乳食を始めた頃でした。
今回は、オーストラリアで生活する中で知った、オーストラリア的離乳食のあり方と幼児食以降のスタンスをご紹介したいと思います。

とても便利!お店で買えるお手軽離乳食


オーストラリアのお店でまず感激したのが、離乳食の形状と種類でした。オーストラリアのスーパーなどで売られている離乳食は、日本にある飲むゼリータイプのチューブ状のものがほとんどです。
瓶詰めやカップ詰め、もしくはパウチ状の日本的な市販の離乳食を見慣れていたため、はじめは戸惑いましたが、これがとても利用しやすくて便利。品質もオーガニックで良質なものがたくさん用意されていて、2歳と大きくなった今でも利用しています。
日本だと瓶やパックからスプーンなどですくって食べさせることが多いですが、チューブだと外で食べるときに少し大きくなった子はそのままチューチューと吸うことができます。小さい子はスプーンの上にチューブから絞って食べさせ、残ったらキャップをするといったやり方。
カフェなどでも子どもに与えている姿を多く見かけます。まったくかさばらず、お手軽です。

「好きなものを好きなだけ」オーストラリアンの離乳食を知って感じたこと

オーストラリアのスーパーの離乳食コーナーはチューブだらけ!

個人的には、チューブタイプのものにはフルーツを使ったものという印象が強かったのですが、さまざまなフルーツはもちろん、肉やチーズ入りのもの、コーンミールやライスミールで溶かれた、日本でいうおかゆ的なものもあり、種類の多さに驚かされます。
対象年齢は基本的に4か月から用意されていますが、対象年齢が書いていないものも多いです。特に、フルーツタイプは離乳食が終わってからも凍らせてアイスにしたりフルーツピューレとしても使っていると聞いたことがあります。
離乳食用のチューブ以外に、ほかのコーナーには、ヨーグルトなどさまざまなフレーバーのものが売られていて、手軽に味わえるチューブ飲料として子どもから大人まで利用しています。

ちなみに、牛乳に変わるミルクの種類も豊富。ソイミルクをはじめ、アーモンドミルク、オーツミルク、ライスミルク、ココナッツミルクなどがあり、子どもに合わせて選ばれているようです。


「One Handed Cooks」が主流の手作り事情


私がオーストラリアで、離乳食についてのアドバイスを求めた時に教えてもらったのが、「One Handed Cooks」というフレーズでした。これは本にもなっているそうですが、オーストラリアのママの間の離乳食の合言葉のようなものです。
つまり、片手で赤ちゃんを抱えながら料理するので、片手でできる簡単料理ということ。オーストラリアでヘルシーな離乳食を手作りするママたちでも、一生懸命時間をかけて用意するのではなく、片手間で作れるものこそ「GOOD!」と思っていることを教えてくれます。

赤ちゃんのためだけに用意するというよりも
それから、手間をかけないと言う意味でも、日本でいうとりわけ離乳食のように、大人と同じものを、その場でスプーンでつぶすなどして与えることも多いようです。
食事自体が、簡単なものを、労力をかけずに用意している印象で、赤ちゃん専用に、擦ったり細かくドロドロにしたものをわざわざ作って与えているというより、果物や野菜をそのまま、パスタなどはふやかして、パンはミルクなどにつけて…という感じで、本当に簡単に用意していました。
日本のように、おかゆを炊いて、どろどろにした野菜などを細々と用意して、それを冷凍して小分けしてというのは耳にしませんでした。
驚いたのは、日本の離乳食の指導でよく耳にする塩分や油分についてもあまり深く気にしていないような印象でした。

また、温かいものを食べさせるという発想はあまり見られないようで、日本でも目にする「パン粥」でも、煮込むと言うひと手間をかけることは少なく、冷たいミルクを注ぐだけということにも驚きました。

離乳食も食事も、「素材丸ごと」思考


オーストラリアは、乾燥していて、平均的には暖かい気候のためか、「子どもにはフルーツを!」という国です。その証拠に、スーパーでは、子どもが無料で食べられるフルーツコーナーが必ずと言っていいほどあったり、プリスクールやプレイグループで出されるおやつはオールフルーツ(もしくはそれに加えてビスケット)であったりします。
フルーツはヘルシーな食事の最たるものという考えで、小学校などで持参しなければならないおやつも、ヘルシーな果物が推奨されています。

「好きなものを好きなだけ」オーストラリアンの離乳食を知って感じたこと

子どもは自由に無料でフルーツを食べていいよというコーナー。バナナやリンゴやオレンジを一人丸ごと一個取って食べながらお買い物しています

また、野菜も生でそのまま食べる人が多く、焼いて食べるのは芋類くらいという人もいます。トマトやキュウリはもちろん、人参なども、大人も子どもも、ポリポリそのまま食べているのをよく見かけます。
子どもはもちろん、リンゴを丸かじりしながら歩いている大人も何度も見かけているくらいです。

日本のように、さまざまな方法で加熱・調理したものを、偏りなく食べているということのほうが珍しいと感じる食生活です。

驚きの偏食天国「それでいいの?」と思うような話も


一方で、そんなに偏食でいいの?と思うような話もよく聞きます。
これは幼児食に入って以降らしいですが、3食とも「肉、肉、肉」という子、ほかにも3食とも「トウモロコシがメイン」という子、毎晩「ソーセージとチキンナゲット」しか食べないという子、そういう「好きなモノばっかり食」の子が多く、日本の健診で相談したら真剣に心配されそうな内容の食事の子もかなりの数、見聞きしました。
一番衝撃的だったのが、通常の夕食が「3つのドーナツの上にアイス、その上にクリームとチョコソース」だという子ども…。
恐る恐る母親たちに聞くと、「子どもにはアレルギーや好き嫌いあるから、その子その子で好きなものを与えている」という返事。こういった個々の好きな物を食べるという話を聞いていると、「家族で同じものを食べる」ということ自体がもしかしたら日本的文化の一つなのかもしれないと感じたくらいです。

オーストラリアでは幼稚園や小学校に入ってからも給食がなく、お弁当もおやつも好きなものを自由に持参できるので、食べようと思えば自分の好きなものばかり食べられる環境を作ることができます。
それがよいか悪いかは別として、「好きなものを、好きな時に、好きなだけ食べられる文化」が強く影響して、偏食にもとても寛容なのが印象的でした。


こだわりが薄くなって心理的にラクに
私自身は、日本にいるときは「自分でしっかり手作りを」という意識が強く、市販の離乳食はあまり取り入れませんでしたが、オーストラリアで離乳食となった一番下の子には手軽でおいしくて安全なものが多いので、市販のものをよく利用しています。
メインというよりサブ的に用いていますが、オーストラリアにきて「手軽が一番」という文化に触れて、「お母さんの手作り」や「温かいもの」、「手間ひまかけた離乳食」といったこだわりが薄くなった気がします。日本では、離乳食や幼児食のあり方が健診できっちり指導されるので、どうしても「こうでなければ」という思いが強くなりがちですが、食事も個性を尊重される文化だと、ママの心理的にはとてもラクだなぁと感じています。

<文・写真:ライター結生>

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