「すべての子どものための教育」インクルーシブ教育って?背景、具体的な取組み、課題点について
例えば、肢体不自由があり車いすに乗って通学する子どもにとって、校舎内が階段ばかりでは自力での移動が困難です。ですが、校内の段差を減らしたり、スロープやエレベーターを設置することで移動することの障害を解消していくことができます。
他にも、市町村が主体となって、支援の必要な子どもが困ることのないようにボランティアスタッフを配置するシステムを作ることで、学習や行動面に困難のある子どもも、適切な支援を受けながら通常学級での集団授業に参加することができるようになります。
このように学校の設備や教育の体制の整備が整っていくことで、障害のあるなしに関わらず、多様な子どもが通い学びやすい学校環境を作っていくことができるようになります。
学校現場で進めるべき基礎的環境の整備には他にも様々なものがあります。
・子どもの障害の程度、能力に合わせて特別支援学校、特別支援学級、通常学級など多様な学び場を用意し、行き来できる体制を整えること
・専門性のある支援体制や教員の育成
・特別支援学級と通常学級の間で共同学習を行うこと
・個別の支援計画の作成
などなど…インクルーシブ教育の達成に向けて、現在も環境整備が進められている途上です。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/attach/1320679.htm
基礎的環境整備について(現状及び国・都道府県・市町村の役割分担)|文部科学省
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10276000028
国や都道府県、市町村などの自治体が整えた基本的な環境をベースとして、学校や教員が主として行っていく「合理的配慮」というものがあります。
合理的配慮とは、一人ひとりの特性や場面に応じて発生する障害・困難さを取り除くための、一人ひとりに合わせた調整や変更のことです。
障害のある人が障害のない人とが平等にいられるために作られた仕組みです。
例えば、文字の読み書きが困難な子どもへの合理的配慮を一例にして考えてみましょう。
読み書き困難な子どもに対して、みんなと同じ教科書やノートをそのまま使わせていては、授業内容の理解や問題の回答がとても難しくなります。そこで、読み書きの困難さを取り除くための配慮として、教科書やプリントを拡大したり、黒板の板書を色分けして見分けやすくしたり、タブレットやカメラを使って板書を撮影・印刷することを許可したり、試験時間の延長や問題の代読を行うなどが考えられます。