子育て情報『発達障害の症状に、お薬は効果があるの?―児童精神科医・吉川徹(7)』

2016年10月14日 16:00

発達障害の症状に、お薬は効果があるの?―児童精神科医・吉川徹(7)

「やらないと落ち着かない」からやむを得ずやっているという、繰り返しの行動には時にはお薬が有効な場合があります。

その他、睡眠の障害やカタトニアなどの症状に対して、それぞれの状況にあったお薬が使われることがあります。これらの場合にも有効な場合とそうでない場合の見極めが必要ですので、主治医にご相談いただくとよいでしょう。

また注意欠如多動症(ADHD)に対しても、お薬が使われることがあります。実はADHDの治療薬は、あらゆる精神科のお薬の中でも一番効き目が確かなお薬の一つです。投与するとかなり高い割合で効果を発揮します。しかしこれも対症療法に留まり、一方で副作用もしっかりあるので、使いどころを見極める必要があります。


どんなときに「薬を使う」という決断をすれば良い?

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出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10230001937

さてそれでは、どんなときにお薬を使うことを考えればよいのでしょうか。
発達障害そのものへの投薬は常に対症療法であるため、発達障害があること、それだけでは投薬の対象にはなりません。

必要な対応や環境の調整をして、それでも本人の苦しさが続くとき、またいろいろな対策を講じていてもどんどん環境との不適合が増しているときは、お薬をつかうことを考えても良いでしょう。自分の場合には、「人生の中で嫌いなもの・ことがどんどん増えているとき」というのを一つの基準にしています。

またお薬以外の方法をとることがそもそも難しい場合も、投薬を考えることになります。家庭の状況に全く余力がないとき、家族に他の危機が訪れているときなどには、時期を限ってお薬を使うこともあります。

もう一つ、これは発達障害に対する投薬ではありませんが、併存する他の精神疾患がある場合には、当然その治療薬を使うことになります。

また最も大切で難しいのはお薬のやめどきです。

これについては、常に止めることを考えながらお薬を使う、というのがおそらく正解であると思います。
減薬や中止のチャンスを常にうかがっていないと漫然とお薬を使うことになってしまいます。

・標的となっていた症状が改善してきたとき
・環境との不適合が小さくなってきたと感じられるとき
・他の支援がうまく回り始めたとき

などが、お薬を減らす・止めるチャンスです。

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