子育て情報『発達障害児童のための通級指導教師の増員に向けた署名キャンペーン、その背景は?』

2016年10月13日 11:59

発達障害児童のための通級指導教師の増員に向けた署名キャンペーン、その背景は?

年度概算要求を見てみましょう。

http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2016/08/30/1376640_3.pdf
文部科学省初等中等教育局, 「2017(平成29)年度概算要求」

上に述べたような通常学級の子どもたちを取り巻く状況を受けて、通級指導に関わる教員の増加に注力した予算要求が提出されています。

1) 教員対子ども比率が現在の13:1から10:1になるように、教員数を追加で10年間にわたって毎年890名増やすこと
2) 増加教員を加配ではなく基礎定数化すること

の2つが大きな柱です。

1つ目の増員目標ですが、これは、通級指導教員を今後10年で10倍に増やしていくという方針を示した数値です。

少子化の進展により、日本の学校の児童生徒数全体は減少傾向にありますが、発達障害に対する認知の向上や、個別の支援を必要とする子どもたちの早期発見体制が整ったことなどもの要因もあり、通級指導の対象となる児童生徒は、この10年で約2.3倍に増加しました。

発達障害児童のための通級指導教師の増員に向けた署名キャンペーン、その背景は?の画像

Upload By 鈴木悠平(発達ナビ編集長)

今後もこうした個別の支援に対するニーズは拡大していくと思われ、専門的な個別の支援・指導が行われる通級指導教員の増員が目指されています。

次に、通級指導教員を「基礎定数化」するとはどういうことでしょうか。

これまで、通級指導教員は、「加配定数」という扱いで、毎年の予算折衝ごとに人数が決められていました。
これを、通級の対象児童生徒人数に応じて、教員の必要人数を機械的に算出する「基礎定数」枠に変更することで、安定的・計画的な教員採用・配置を出来るようにするという狙いのようです。
発達障害児童のための通級指導教師の増員に向けた署名キャンペーン、その背景は?の画像

Upload By 鈴木悠平(発達ナビ編集長)

一方、今回提出された予算要求については、財務省との間で考え方の相違があり、交渉は難航しているとの見方もあります。

これに対して、財務省は、通級指導と日本語指導の教員定数を基礎定数に組み入れることには賛成しているものの、加配定数の増加は認めない考えです。少子化による児童生徒数減少で、放っておいても、これから基礎定数は減少していき、そのうえで加配定数の増加を認めなければ、教員数全体を大幅に削減できる……という狙いです。つまり両省は、基礎定数の変更までは同じ方針でも、その後の加配定数の扱いについては、まったく別の考え方を持っているわけです。

関連記事
新着子育てまとめ
もっと見る
記事配信社一覧
facebook
Facebook
Instagram
Instagram
X
X
YouTube
YouTube
上へ戻る
エキサイトのおすすめサービス

Copyright © 1997-2024 Excite Japan Co., LTD. All Rights Reserved.