◇ADHD
ADHDでは、不注意・衝動性・多動性といったADHDに特徴的な症状そのものを緩和させることが期待されています。しかし、薬物療法でADHDを根本的に治療できるわけではなく、薬を服用しながら環境調整やソーシャルスキルトレーニングなどの療育を行っていくことで、困りごとを減らしていくことになります。
ADHDにおける薬物療法は、「ADHDをなくす」ためではなく、「社会生活や学業での困りごとを解消する」ための手助けをしてくれるものだと考えるといいのかもしれません。
発達障害のある人に処方されるお薬の種類
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=11017003024
発達障害の症状に対して効果があるかもしれないと考えられている薬は多くあります。日本では未認可であっても、海外では認可されている薬や、ADHDで用いられる薬が他の精神疾患のある人に対して効果が見られるようなケースがあります。
また日々、発達障害の薬は研究が行われており、オキシトシンなどさまざまな物質が薬として利用できないか調べられています。
数多くの薬がありますが、人によって合う薬と合わない薬もあり、副作用などもあります。現在のところ、すべての人に必ず効果があるような薬はありません。
そのため、薬物療法を進めるときは医師の判断のもと、その人の症状や状態を慎重に見ながら行うことになります。
ここでは、自閉症スペクトラムやADHDの治療において認可されており、比較的用いられることの多い薬についてまとめました。
◇自閉症スペクトラム
小児の自閉症スペクトラムの易刺激性に対しては、リスパダール(リスペリドン)、エビリファイ(アリピプラゾール)といった薬が認可されています。易刺激性とは、自傷行為やかんしゃく、攻撃的になりやすいなどの性質のことです。これらの薬は、脳内の伝達物質のバランスを整える作用があります。
◇ADHD
ADHDに対しては、中枢神経刺激薬であるコンサータ、非中枢神経刺激薬であるストラテラ、インチュニブが認可されています。
それぞれの薬の詳細については関連記事を参照ください。
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/800155_1179038C1027_1_32
参考:リスパダール錠|独立行政法人医薬品医療機器総合機構
http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/GUI/800155_1179038C1027_1_32G.pdf
リスパダール患者向医薬品ガイド|特別行政法人医薬品医療機器総合機構
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1179045B1021_1_29/
参考:エビリファイ錠|独立行政法人医薬品医療機器総合機構
http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/GUI/180078_1179045B1021_1_29G.pdf
エビリファイ患者向医薬品ガイド|特別行政法人医薬品医療機器総合機構
また、コンサータと同じく中枢神経刺激薬であるリタリンは、昔は認可外ではありましたが、ADHDに処方される場合もありました。