アスペルガー症候群の特性で料理が超苦手!私のストレスを激減させたキッチンお助けツール
生活の妨げになっていたのは「努力不足」ではなく…
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言語能力に頼って生きている私は、目の前にあるものの形を捉えたり認識したりすることはできるのですが、脳内でそれを再生できません。それによって人の顔が覚えられない、道が分からずしょっちゅう迷子になる、服を着た自分を想像できないため服選びが困難といったことがあります。
長い間、それが当たり前だと思って生きました。なので、何もかも一生懸命にやらなければ人並みにこなすことができない自分をでき損ないだと思い続けてきました。
しかし、子どもを育てながら発達障害についての勉強をしていくうちに、私に当てはまるそれらは努力不足なのではなく“脳の構造の問題”なのだと気づいて心がかなり楽になりました。同じような特性がある私の子どもたちには、自分自身を卑下することなく生きていってほしいという願いが大きくなるばかりです。
そこで、私自身の苦手なことは子どもたちに折に触れて「ママ、こういう理由でこういうことが苦手なの」と伝え、「だからこんな風にしているよ」とどんな風に乗り切っているのかを伝えていくことにしました。
この作業を行うことで、私にとっても何を苦手とし、どこにその原因があるのかを真剣に考えるよいきっかけとなっています。
今回は、アスペルガー症候群の特性がある主婦の私が、家事の中でもっとも苦痛を感じる「食事の用意」について考えたいと思います。
掃除や片付けとは違う、料理の難しさ
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どうして食事の用意が私にとって大きな負担となっているのか、改めてじっくりと考えてみることにしました。部屋の片付けや掃除・洗濯は面倒ではあるけれど、そこまで気持ちが重くなる家事ではありません。
なぜなら…
片付け=決まった位置に戻す
掃除=汚れを取り、きれいな状態に戻す
洗濯=洗濯機を回して干し、畳んで収納する
つまり、どの状態がゴールなのかが始める前から分かっているので、取りかかる前のストレスが少ないのです。では、料理はどうでしょう?
食にあまり興味のない私と息子は同じものを食べ続けても平気ですが、娘と夫はそういうタイプではないので、毎日同じ献立というわけにはいきません。そうすると、まず「献立を決める」という難関が立ちはだかっています。
これは特性のない人でもとても面倒な作業だと思いますが、私の場合は今口の中にある料理が好きか嫌いかは判断できても、「食材やレシピをから味を想像する」ことができません。
つまり、“こういう味になればよい”という「料理のゴール」が皆目分からないのです。
できることなら毎日外食や総菜で済ませたいと思うのですが、私や子ども達には卵や乳製品、エビといったいくつもの食物アレルギーがあるため、簡単にはできません。そのため、特にしっかりとしたおかずをつくらなければならない夕方になるといつも憂鬱になるのでした。
味をイメージできない!頼っているのは…
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そんな私の役に立ってくれているものの一つが、レシピサイトです。
私が参考にしているサイトでは、有料会員になるとレシピのランキング表示ができるようになります。そのレシピでご飯をつくった人が「美味しかったよ」「こんな風にアレンジしてみたよ」とレポートを投稿する機能があり、投稿の多い順にレシピを並べ替えられます。
味を想像できない私にとって、これはとてもありがたい機能です。多くの人が美味しいと思って何度もつくっているのなら、と安心して調理することができます。
上位のいくつかのレシピの中からシンプルな手順のものを選んだら、食材と調味料がすべて揃っているかを入念にチェックします。
味を想像できない分、確実にレシピを再現するために1つでも足りない調味料があると、もうつくることはできません。大さじ・小さじ・計量カップ・量りといった道具もレシピに忠実に従って使います。
ちなみに、調理工程を記憶することもできないので、1つ終わるごとにレシピサイトをのぞいて手順を確認します。さらには、途中でキッチンを離れてしまうとほかのことに夢中になってしまい、すっかり料理のことを忘れてしまいます。そのため「10分煮る」と書いてあればコンロの前で10分待機するのです。
同時に何品も調理することも混乱のもとになるのでできません。やっと1品ができあがったころには疲れてしまいぐったりです。その後、食に興味のある娘が「美味しい」と言ってくれてはじめて1つの料理が「ゴールにたどり着いた」ということになります。
調理器具の活用で手順の大幅カットに成功!
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毎日の献立を考えたり、味つけの基準とするべきものが見つかった次の課題は、毎回へとへとになってしまう調理の手順をいかに簡単にするか。そんな私を救ってくれたのは、新しい調理家電でした。
みなさんは、ノンフライヤーをご存知でしょうか。油を使わずに揚げものができるというノンフライヤーを、わが家にお迎えしたのは2年ほど前のことです。
偏食が激しく、肉といえば鶏の唐揚げしか食べてくれない息子のために導入したのがきっかけでしたが、これが思いのほか私を救ってくれました。
とにかく、塩コショウを振りかけた鶏肉をノンフライヤーに放り込んでしまえば、メインの1品ができあがるのです。これならレシピを見なくても手順が覚えられるので、冷蔵庫に鶏肉が入っている日はすごく気が楽になりました。
唐揚げ風にしたければ片栗粉をまぶすこと、カレー粉やクレイジーソルト、青のりや鶏がらスープで味付けのバリエーションを広げられることはレシピサイトで覚えました。
偏食の息子がもりもり食べてくれるので、大満足です。
ノンフライヤーの導入は「私がしんどいところは機械に助けてもらえばいいんだ!」と気づかせてくれました。そして次に購入したのが水なしで自動調理してくれる調理器具です。材料をカットして決められた調味料を投入さえすれば、後はこちらも放っておくだけで料理が完成するという夢のようなグッズです。
簡単に買える値段ではなかったのでずいぶん迷いましたが、「コックさんを1人雇ったと思えば安い買い物」というレビューを見て節約を決意。お金を貯めてから購入しました。
複雑な手順に惑わされることなく、いつも同じ味のものができあがる。味が分からない私をこれほど安心させてくれる道具はほかにありません。
さらに、コンロの前に張りつく必要がなくなったので大助かりです。
この2つの調理家電を導入したことで、私の夕食づくりは劇的に楽になりました。
外食やお総菜で済ませたり機械を使って楽をすることはなんだか後ろめたいことだと思っていました。しかし、「そこに膨大なエネルギーを注いで疲れ果てるぐらいなら、頼ってしまってもいいじゃないの!」と思えるようになったのは、私にとって大きな進歩でした。
後ろめたさを感じずに何かに頼れるようになると、他人が何かに頼っていても責めたり努力を求めたりする気持ちがなくなっていきます。「どんどん頼っていこう!」「もっといい道具があったらいいね!」という方向に思考が進んでいくのです。
せっかく便利な道具がたくさんある時代に生まれたのですから、使える道具はどんどん取り入れて使っていけばいいのです。今度はスープを自動でつくってくれる調理器具を買えたらいいなあといろんな情報を仕入れているところです。
私のように味が想像できなかったり、手順が多すぎてパニックになってしまう方は、スムーズな生活を送るための手段として、いろんな調理器具の活用を試してみてもいいのではないかなと思います。