2018年6月4日 12:00
ダウン症の息子を育てる僕が、本当に父親になる日~父の日に寄せて~
当時、中学校を卒業すると行き場を失っていた知的障害のある子どもたちのために、教師だった川田昇先生が私財をなげうって山を購入し、子どもたちとともにぶどう畑を開墾したのがすべての始まりだった。
僕も以前、NPO法人アクセプションズでココ・ファーム・ワイナリー(こころみ学園と併設)へ見学にいったことがあった。こころみ学園では、知的障害のある園生たちが住み込みの形で、ぶどう栽培やしいたけ栽培、ワインづくりをしている。
Upload By 黒木 聖吾
学園開設当時、「障害があるのだからおまえは何もしなくていい」と親に言われ、「何もやりたいことなんかない」と言っていた子どもたち、白魚の手をしていた子どもたちが、大自然の中で格闘しながら農業をするうちに、たくましく、したたかな農夫へと変わっていったという。
そして、そこで栽培されたぶどうで丁寧につくったワインは、やがて沖縄サミットにも出されるほどの日本を代表する高品質のワインになった。
夫婦の考えを変えた農夫たちの姿
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10244001300
見学に行く前、そうは言っても農業なんて大変だろうと、都会暮らしに慣れた僕は考えていた。でも、そこで働く知的障害のある人々の屈託のない笑顔を目の当たりにして、180度考えが変わった。
妻もまた、別の日に取材で初めてこころみ学園を訪れたわけだが、「それぞれができる仕事を、それぞれが自主的にやる」という学園の自然体な働き方と、そこで働く人々の姿にピンと来るものがあったようだ。
妻が編集した、学園についての本
そして著者との二人三脚で完成した本がこれだ。
妻が編集をしたこの本には、学園の創設者・川田先生の言葉が登場する。
人が人間らしく生きるためには、あるていどの過酷な労働は、必要なのではないかと思います。どんなことに対しても『まだできる』とがんばり、これでもかこれでもかと挑戦して、汗を流してじぶんのものを築く。そういうことのたいせつさがわかったとき、ほんものの人間になれるような気がするのです
https://www.amazon.co.jp/dp/4562054948
この言葉は深く僕の心に刺さった。
中年サラリーマンである自分、そして、障害のある子の父親である自分に、「働くとは何か」