子育て情報『高級な食事より当たり前の団らんを。発達障害の私が幼少期に夢見たもの』

2021年8月2日 06:15

高級な食事より当たり前の団らんを。発達障害の私が幼少期に夢見たもの

私と兄はデパートで買ったちょっといい服を着せられ、テーブルマナーを小声で教えられながら席に着きます。

ここでほぼ毎回、父が胸を張って言う台詞がありました。「いちばん高いものを食え」。

私は「うちはそんなに金持ちなんだ」と少し誇らしくなると同時になんだかモヤモヤします。それでもASD特性があり、額面通りに解釈する私は、それならばといちばん高いものを注文するのでした。兄はそんな私に顔をしかめながらほどほどに高いものを注文するのが常でした。

珍しくて美味しいものをお腹がはちきれそうになるほど食べながら、私がとても不思議だったのが、父が伝票を私たち子どもには見せようとしないことでした。「ものの値段について子どもに気にさせたくない」と言うのです。


よくわかりません。いちばん高いものを食えといつも言う父こそが、いつも真っ先に子どもに(特に大人の顔色を気にしがちな兄に)ものの値段について気にさせているように思うのですが…

いま思えば、このようなところに「たくさん稼げていることを自慢したいけどあまりあからさまにやると下品かな」という葛藤が見えると感じます。

私があの場でどの程度の値段のものを頼み、料理や伝票に対してどんな反応をすればよかったのか、正解はいまだにわかりません。正解がわからないのが私がASDがあるからなのか、それとも父の子どもに要求することのハードルが高すぎるからなのかもわかりません。

高くて美味しいものを食べさせてもらえたことは感謝しています。しかしそもそも、子どもを連れての外食が「家族サービス」であるならば、子どもに(無意識にせよ)感情労働させようとするのではなくて、当のサービス相手である子ども本人の意向をできるだけ汲むことをメインにしてほしかったなと思ったりします。


外食先で「空気」が悪くなる

祖母には、その場を自分の支配下に置いていないと我慢がならないようなところがありました。

私たち子どもがなんだかんだでそれなりに外食を楽しみ、機嫌よくはしゃいでいたりすると、祖母は必ず何かしら騒ぎを起こすのです。
「素うどんでいい!」と言い張ったり、「こんなものまずい!」と騒ぎだしたり、給仕の人に「帰る!」と叫んだり。

周囲の客が何事かと振り返るほどの大声で騒ぎ立てるものだから父が「いい加減にしろ!」と怒鳴り、それで店中がシーンとなってしまったり…

これは実は私自身はほとんど具体的には覚えていなくて、大人になってから父がこぼしていた話です。

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