2021年12月1日 06:15
第3回日本ダウン症会議・合同学術集会をレポート。自立していくため、保護者の不安と孤独を埋めるためにーー「つながる」の大切さとは
金子衛さんと橋本先生との一問一答より
――2回の入院大変でしたね。「つながる」ことの大切さ、よく分かりました。
衛さん:つらかったです。
――今日の発表は誰に見てほしいですか?
衛さん:みんなです!(いい笑顔)
――ところで、一人暮らしはしてみたい?
衛さん:それはありません(きっぱり)。おうちがいいです。大変です。洗濯物とか、家事とかあるから。おうちでも(家事は)やってるけど、一人暮らしは大変だと思います。
3人の発表後、橋本先生からは、今、ダウン症のある人について研究するという時代はそろそろ終わり、これからはダウン症のある本人や家族が、どういうことを研究してほしいかという段階に入っている、とのまとめがありました。
「こうした本人の発表を通して、どんな自己理解をされていて、自己実現をしているのか。障害のあるなしに関わらず、ダウン症のある人もない人も、どうやって豊かな生活を営んでいきたいかが大切です。それを支えるためには、どんな課題があるのかを研究するためには、本人からの発信に常に耳を傾けていかなくてはいけないでしょう。
話し言葉で表現するのが苦手な方が多いので、まわりの家族や私などが先回りして言ってしまうと、「うん」「そう」「はい」と答えてしまうこともあるので、ほんとは違うことを思っている場合もあるとは思います。こうしたご自身の言葉での発表は、そのまま問題提起となり、私たちはさまざまなことを考えさせられます。今後研究していくべきことを、提供してもらったと思っています」
市民公開講座より基調講演、作家・岸田奈美さん「ダウン症のある弟が越えるべき壁を自分の壁にしてはいけないと思った」
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作家・岸田奈美さんは、母のひろ実さんが車椅子ユーザー、弟の良太さんはダウン症があり、お父さまは奈美さんが中学生のときに他界という家族構成。
てんやわんやの日常を切り取り、ときに泣かせ笑わせるエッセイが人気です。「100文字ですむことを2000文字で書く」というキャッチフレーズ通り、豊かな表現で読む人の共感を呼ぶ文章を書く作家ですが、基調講演でもその饒舌ぶりが発揮されました。
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「私は特殊な家族で、平凡な日常を送っています。岸田みたいな人間もいるんだと思ってください。岸田みたいじゃなくてよかったなと思って聞いてほしい!(笑)」