ASDの私、完璧主義が引越しの足かせに!?特性を逆手に取った「環境変化のストレス」緩和策
そういった作業を黙々と一日中続ける様子に、夫は「うーんさすがだ、こまねずみのようだ、こういうことはやっぱりお前が向いてるんだな」と感嘆します。
夫「コーヒーはどこ?」
私「食器棚のここだよ、元あったところだよ、適当なとこに気分でしまったりしないよ笑」
夫「なるほど笑」
というやりとりもありました。
私は、自分が変化に弱いことをよく知っていたので意識してこのようにしたのですが、これは非常によい策だったようです。自分の本棚も梱包する前にどこに何が入っているのか写真に撮っておいて、そのとおりに詰め直したので楽だったし、前のとおりに本の並んだ本棚を見ていたらスッと気持ちが落ち着きました。
また、3日目ぐらいからは、ふだん習慣にしていたヨガの決まったルーティーンを再開しました。
ふだんどおりのヨガを違った環境・状態でやると、どこがどれだけ疲れているのかの違いがよく分かります。特に凝っていると思ったところを念入りにほぐすと、しばらくぶりによく眠れました。
夫はそれを見ていて、「お前のそういう心がけは本当に立派だよな」とこぼします。
夫はふだん私より何倍も忙しいのもあるのですが、セルフケアの苦手な人で、私の心がけには一目置いているようです。
引越しを機に俯瞰することができた自分の特性
私は変化が苦手だし嫌いでもありますが、引越しのような、人生の中でときどき起きる大きな変化はいろいろと気づきを与えてくれるので、疲れるばかりではなく収穫もあるなと思いました。
私自身はいつも変わらないし、周囲の環境も変えまいとしますが、今回のように強制的に環境が変わることがあると、自分の特性がよく見えるよい機会となります。
ふだんから見つめていた自分の特性――変化が苦手であること、セルフケアなしに元気を保てないこと―― への意識が引越しの乗り切りを楽なものにしました。また、完璧主義や動作のスローさのように、あまり意識しておらず、引越しの途中でうっかり足元をすくわれた特性もありました。
発達障害の特性の中には、状況に対して有利に働くものも不利に働くものもありますが、いずれも過不足なく事実として認識し、的確に対応することが肝心だと思います。私は今回、悩みながらもきちんと自分の特性への対応ができているなと誇らしくなりました。文/宇樹義子
(監修・鈴木先生より)
環境の変化を「収穫」